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  • 特開2015200467-気流式乾燥装置の被処理物分散機構 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-200467(P2015-200467A)
(43)【公開日】2015年11月12日
(54)【発明の名称】気流式乾燥装置の被処理物分散機構
(51)【国際特許分類】
   F26B 3/08 20060101AFI20151016BHJP
   A61J 3/06 20060101ALI20151016BHJP
   F26B 17/10 20060101ALI20151016BHJP
【FI】
   F26B3/08
   A61J3/06 E
   F26B17/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-79941(P2014-79941)
(22)【出願日】2014年4月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000112912
【氏名又は名称】フロイント産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102853
【弁理士】
【氏名又は名称】鷹野 寧
(72)【発明者】
【氏名】伏島 靖豊
(72)【発明者】
【氏名】磯部 重実
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 憲一
(72)【発明者】
【氏名】寺田 敬
【テーマコード(参考)】
3L113
4C047
【Fターム(参考)】
3L113AA03
3L113AB03
3L113BA02
3L113DA05
4C047CC14
4C047GG33
4C047LL04
(57)【要約】
【課題】水平方向に横置きした環状の処理管を有する乾燥装置において、効率の良い乾燥・整粒処理が行えるよう被処理物を管内に広く分散可能な被処理物分散機構を提供する。
【解決手段】乾燥装置1は気流式の連続乾燥装置であり、造粒物投入部11、乾燥処理部12、製品排出部13とから構成されている。乾燥処理部12は、ステンレス鋼管を螺旋状に横置き配置したループ管25を有する。造粒物投入部11と乾燥処理部12の間には、造粒物投入部11や乾燥処理部12よりも小断面積に形成された小断面積部43を備える分散機構10が配されている。小断面積部43の前段には造粒物投入部11に接続された導入部41、後段には乾燥処理部12に接続された送出部42が設けられている。造粒物は、造粒物投入部11から導入部41にて増速されて小断面積部43内に導入され、小断面積部43から送出部42にて径方向に拡散されつつ乾燥処理部12内に送出される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物が投入され熱風が供給される被処理物投入部と、前記熱風によって前記被処理物を乾燥させる乾燥処理部と、を有してなる気流式の乾燥装置に設置される前記被処理物の分散機構であって、
該分散機構は、前記被処理物投入部と前記乾燥処理部との間に配置され、前記被処理物投入部及び前記乾燥処理部よりも小断面積に形成された小断面積部を有することを特徴とする被処理物分散機構。
【請求項2】
請求項1記載の被処理物分散機構において、
前記分散機構は、前記被処理物投入部に接続された導入部と、前記乾燥処理部に接続された送出部とを有し、前記小断面積部は、前記導入部と前記送出部との間に配置されることを特徴とする被処理物分散機構。
【請求項3】
請求項2記載の被処理物分散機構において、
前記導入部は、前記被処理物投入部に対し徐々に縮径して前記小断面積部に連通し、
前記送出部は、前記小断面積部に対し徐々に拡径して前記乾燥処理部に連通することを特徴とする被処理物分散機構。
【請求項4】
請求項2又は3記載の被処理物分散機構において、
前記被処理物は、前記被処理物投入部から前記導入部にて増速されつつ前記小断面積部内に導入され、前記小断面積部から前記送出部にて径方向に拡散されつつ前記乾燥処理部内に送出されることを特徴とする被処理物分散機構。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の被処理物分散機構において、
前記乾燥処理部は、環状に形成され水平方向に沿って横置きに設置された処理管を備え、前記乾燥装置は、該処理管内に被処理物として水分を含んだ造粒物を熱風と共に導入し、該熱風によって前記造粒物を乾燥させることを特徴とする被処理物分散機構。
【請求項6】
環状に形成され水平方向に沿って横置きに設置された処理管を備え、該処理管内に被処理物として水分を含んだ造粒物を熱風と共に導入し、該熱風によって前記造粒物を乾燥させる気流式の乾燥装置あって、
前記乾燥装置は、
前記造粒物が投入される造粒物投入口と、前記熱風が供給される熱風吹き込み口と、を備える造粒物投入部と、
前記造粒物投入部の後段に該造粒物投入部と連通して設けられ、前記処理管を備え、前記造粒物が前記熱風と共に流通する乾燥処理部と、
前記造粒物投入部と前記乾燥処理部との間に配置され、前記造粒物投入部及び前記乾燥処理部よりも小断面積に形成された小断面積部とを備える被処理物分散機構と、を有することを特徴とする乾燥装置。
【請求項7】
請求項6記載の乾燥装置において、
前記被処理物分散機構は、前記被処理物投入部に接続された導入部と、前記乾燥処理部に接続された送出部とを有し、前記小断面積部は、前記導入部と前記送出部との間に配置されることを特徴とする乾燥装置。
【請求項8】
請求項7記載の乾燥装置において、
前記導入部は、前記造粒物投入部に対し徐々に縮径して前記小断面積部に連通し、
前記送出部は、前記小断面積部に対し徐々に拡径して前記乾燥処理部に連通することを特徴とする乾燥装置。
【請求項9】
請求項7又は8記載の乾燥装置において、
前記造粒物は、前記造粒物投入部から前記導入部にて増速されつつ前記小断面積部内に導入され、前記小断面積部から前記送出部にて径方向に拡散されつつ前記乾燥処理部内に送出されることを特徴とする乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気流式乾燥装置における被処理物の分散機構に関し、特に、螺旋状に設置された処理管によって粉粒体を連続的に乾燥させる乾燥装置に使用して好適な被処理物分散機構に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品等の分野においては、押出造粒機や高速撹拌造粒機などによって製造した湿式造粒物を乾燥させて顆粒状としたものや、それを打錠して錠剤化したものが多く用いられている。従来、湿式造粒物の乾燥には流動層乾燥装置が使用されており、造粒機にて製造された造粒物を適宜バッチ式(回分式)に乾燥処理し、所望の顆粒物を生成している。但し、このようなバッチ式の乾燥装置は連続的な処理が行えないため、ロータリーフィーダー等によって連続的に乾燥処理を行う装置も提案されている。
【0003】
また、顆粒の製造には、スプレードライヤー(噴霧乾燥装置)も使用されている。スプレードライヤーでは、原料粉末や溶媒、バインダ等によって構成されるスラリーをノズルや回転ディスク等の噴霧部により噴霧し、それを熱風で瞬時に乾燥させて顆粒物を生成する。一方、汚泥などの廃棄物やトナー粒子等の乾燥には、ループ型の気流式乾燥機も使用される。気流式乾燥機では、縦型のループ管に大風量の熱風と共に造粒物を送り込み、造粒物をループ管内にて循環させて乾燥させる。
【0004】
ところが、連続式の流動層乾燥装置は、連続処理が可能なものの、乾燥時間が長く、乾燥状態が一定のものが得にくい。また、装置構成も大がかりになり、多大な設備コストが必要となる。一方、スプレードライヤーは、液体として流動性を持つものを乾燥させることには適しているが、水分量が少ない固形状・半固形状のものの乾燥には適さない。さらに、ループ型の気流式乾燥機は、ループ管が縦型配置で垂直部が存在するため、垂直部の下部に被処理物が堆積し、風量を多くしたり風圧を高くしたりする必要があり、せっかく造粒したものが粉化してしまう(元の粉末に戻ってしまう)という問題があった。
【0005】
そこで、本出願人は、ループ型乾燥機による高い乾燥能力を維持しつつ、その破砕能力を抑えて造粒物の粉化を防止した新発想の乾燥装置を考案した(特許文献1)。特許文献1の装置では、水平方向に横置きした環状の処理管(ループ管)が使用される。このループ管は、通常2〜4段程度上下方向に螺旋状に積み重ねられて配置される。ループ管内を流れる被処理物は、大風量や重力落下による大きな衝撃を受けることなく、遠心力を受けつつ熱風にて乾燥される。これにより、被処理物は、粉砕・粉化されることなく、顆粒状のまま乾燥される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特願2013−141534号
【特許文献2】特開2000−317288号公報
【特許文献3】特開2014−25506号公報
【特許文献4】特開平10−17147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、特許文献1のような気流式乾燥装置では、環状の処理管内に乾燥エアが流れており、湿潤した被処理物はこの乾燥エアに乗って管内を移動しつつ乾燥される。ところが、管内の被処理物は遠心力によって管の外側を移動するため、処理管の内側には被処理物の乾燥に供されない乾燥エアの流れが生じてしまう。すなわち、処理管内には、被処理物の搬送や乾燥には供されず、その傍らを通過して行くだけ気流が存在しており、処理効率向上には、この通過気流の活用が求められていた。また、被処理物が粉砕・粉化を避けるようにしたことで、後工程で整粒が必要となる粗大顆粒が発生する可能性があり、その発生を抑制するための清浄性に優れコスト的にも良好な手段が求められていた。
【0008】
本発明の目的は、水平方向に横置きした環状の処理管を有する乾燥装置において、効率の良い乾燥処理が行えるよう被処理物を管内に広く分散可能な被処理物分散機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の被処理物分散機構は、被処理物が投入され熱風が供給される被処理物投入部と、前記熱風によって前記被処理物を乾燥させる乾燥処理部と、を有してなる気流式の乾燥装置に設置される前記被処理物の分散機構であって、該分散機構は、前記被処理物投入部と前記乾燥処理部との間に配置され、前記被処理物投入部及び前記乾燥処理部よりも小断面積に形成された小断面積部を有することを特徴とする。
【0010】
本発明にあっては、被処理物投入部に投入された被処理物は、熱風と共に分散機構を通って乾燥処理部に供給される。分散機構に至った被処理物は、小断面積部にて増速され、その後、拡散されて管内に広がり乾燥処理部に供給される。被処理物は、管路内に広く分散した状態で乾燥処理が為され、効率の良い乾燥処理が可能となる。また、壊れやすい粗大顆粒が適度な大きさに破砕される整粒効果も得られる。
【0011】
前記被処理物分散機構において、前記被処理物投入部に接続された導入部と、前記乾燥処理部に接続された送出部とを設け、前記小断面積部を、前記導入部と前記送出部との間に配置するようにしても良い。この場合、前記導入部は、前記被処理物投入部に対し徐々に縮径して前記小断面積部に連通し、前記送出部は、前記小断面積部に対し徐々に拡径して前記乾燥処理部に連通するようにしても良い。また、前記被処理物は、前記被処理物投入部から前記導入部にて増速されつつ前記小断面積部内に導入され、前記小断面積部から前記送出部にて径方向に拡散されつつ前記乾燥処理部内に送出されるようにしても良い。
【0012】
前記被処理物分散機構において、前記乾燥処理部は、環状に形成され水平方向に沿って横置きに設置された処理管を備え、前記乾燥装置は、該処理管内に被処理物として水分を含んだ造粒物を熱風と共に導入し、該熱風によって前記造粒物を乾燥させるようにしても良い。
【0013】
一方、本発明の乾燥装置は、環状に形成され水平方向に沿って横置きに設置された処理管を備え、該処理管内に被処理物として水分を含んだ造粒物を熱風と共に導入し、該熱風によって前記造粒物を乾燥させる気流式の乾燥装置あって、前記乾燥装置は、前記造粒物が投入される造粒物投入口と、前記熱風が供給される熱風吹き込み口と、を備える造粒物投入部と、前記造粒物投入部の後段に該造粒物投入部と連通して設けられ、前記処理管を備え、前記造粒物が前記熱風と共に流通する乾燥処理部と、前記造粒物投入部と前記乾燥処理部との間に配置され、前記造粒物投入部及び前記乾燥処理部よりも小断面積に形成された小断面積部とを備える被処理物分散機構と、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明にあっては、被処理物投入部に投入された被処理物は、熱風と共に分散機構を通って乾燥処理部に供給される。分散機構に至った被処理物は、小断面積部にて増速され、その後、拡散されて管内に広がり乾燥処理部に供給される。被処理物は、管路内に広く分散した状態で乾燥処理が為され、効率の良い乾燥処理が可能となる。また、壊れやすい粗大顆粒が適度な大きさに破砕される整粒効果も得られる。
【0015】
前記乾燥装置において、前記被処理物分散機構に、前記被処理物投入部に接続された導入部と、前記乾燥処理部に接続された送出部とを設け、前記小断面積部を、前記導入部と前記送出部との間に配置するようにしても良い。また、前記導入部は、前記造粒物投入部に対し徐々に縮径して前記小断面積部に連通し、前記送出部は、前記小断面積部に対し徐々に拡径して前記乾燥処理部に連通するようにしても良い。さらに、前記造粒物は、前記造粒物投入部から前記導入部にて増速されつつ前記小断面積部内に導入され、前記小断面積部から前記送出部にて径方向に拡散されつつ前記乾燥処理部内に送出されるようにしても良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明の被処理物分散機構によれば、気流式の乾燥装置の被処理物投入部と乾燥処理部との間に、被処理物投入部及び乾燥処理部よりも断面積が小さく形成された小断面積部を有する分散機構を設けたので、被処理物を乾燥処理部の管路内に広く分散させることができ、効率の良い乾燥処理を行うことが可能となる。
【0017】
本発明の乾燥装置によれば、被処理物投入部と乾燥処理部との間に、被処理物投入部及び乾燥処理部よりも断面積が小さく形成された小断面積部を有する分散機構を設けたので、被処理物を乾燥処理部の管路内に広く分散させることができ、効率の良い乾燥処理を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施の形態である被処理物の分散機構を組み込んだ連続顆粒製造システムの全体構成を示す説明図である。
図2図1に示した連続顆粒製造システムに使用される乾燥装置の構成を示す説明図である。
図3】本発明の一実施の形態である分散機構の構成を示す説明図である。
図4】ループ管の構成を示す説明図である。
図5】分散機構の変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施の形態である被処理物の分散機構10を組み込んだ連続顆粒製造システムの全体構成を示す説明図である。図1の連続顆粒製造システムは湿式造粒工程と乾燥工程とから構成されており、乾燥工程には、ループ管25を水平方向に横置きした乾燥装置1が使用される。本発明による分散機構10は、湿式造粒工程から供給された造粒物(被処理物)を効率良くループ管25に分散供給すべく、乾燥装置1の初期段階に配置される。当該システムにて製造された顆粒物は、顆粒剤として製品化されたり、打錠機にて錠剤化されコーティング機にて適宜コーティングされたりした上で、錠剤として製品化される。
【0020】
湿式造粒工程は、公知の各種湿式造粒機が使用でき、例えば、高速撹拌造粒機2と押出造粒機3とから構成されており、湿式造粒工程にて作られた造粒物は、湿式造粒物連続供給装置4によって定量的に乾燥装置1に供給される。高速撹拌造粒機2は、粉体混合装置と粉体練合装置を兼ねた仕様となっており、原材料を容器内に投入し、アジテータ、チョッパーを高速で回転させることにより、原材料を撹拌・練合する。押出造粒機3は、スクリュー軸(例えば、2軸並列構成)を備えた湿式造粒装置であり、スクリューにて原料を圧縮・混練し、適宜水分を加えることにより、原材料を柱状の湿式造粒物とする。
【0021】
前述の高速撹拌造粒機2や押出造粒機3、などの構成はあくまでも一例であり、これらの装置は、撹拌、造粒、整粒の各機能を有する装置であれば、前記以外の装置であっても、その構成や動作形態を問わず広く適用可能である。さらに、造粒物の状態や製品の仕様に応じて整粒機(図示せず)を加えたり、湿式造粒物連続供給装置4を省いたりすることも可能である。
【0022】
図2は、図1に示した乾燥装置1の構成を示す説明図である。図1に示すように、乾燥装置1は、大きく分けて、造粒物投入部(被処理物投入部)11と、乾燥処理部12及び製品排出部13とから構成されている。乾燥装置1は、気流式の連続乾燥装置であり、従来、垂直方向に沿って縦置きされていたループ管を、水平方向に沿う形で横置きした構成となっている(図1では、乾燥装置1の乾燥処理部12が上方から見た状態にて示されている)。そして、これにより、従来のループ型気流式乾燥機の高い乾燥能力を生かしつつ、顆粒製造にとっては大きな問題であった造粒物の粉砕能力を抑え、大掛かりな装置を用いることなく、湿式造粒物の連続的な乾燥処理を実現している。
【0023】
造粒物投入部11は、外径50mm・肉厚2〜3mm程度のステンレス鋼管21にて形成されている。ステンレス鋼管21には、乾燥装置1の被処理物である湿式造粒物が投入される造粒物投入口22と、風速10〜20m/sの熱風(処理気体)が供給される熱風吹き込み口23が設けられている。造粒物投入口22には、ホッパ24が取り付けられており、前述の湿式造粒物連続供給装置4から湿式造粒物が供給される。熱風吹き込み口23は、造粒物投入口22の前段に配されており、熱風供給装置14と接続されている。
【0024】
乾燥処理部12は、造粒物投入部11の後段に配されており、金属製(例えば、ステンレス鋼製)のループ管(処理管)25を螺旋状に配置した構造となっている。ループ管25は、断面が円形となった外径75mm・肉厚2〜3mm程度の管状部材である。ループ管25の一端側は、直管パーツ35aを介してステンレス鋼管21に接続されている。ループ管25の他端側には直管パーツ35bが接続されており、直管パーツ35bは、接続管27を介して製品排出部13と接続されている。ループ管25の径は、造粒物投入部11のステンレス鋼管21よりも大きくなっている。
【0025】
造粒物投入部11と乾燥処理部12の間には、分散機構10が組み込まれている。図3は、分散機構10の構成を示す説明図である。分散機構10は、造粒物投入部11のステンレス鋼管21と乾燥処理部12の直管パーツ35aの間に配されている。分散機構10には、管の径が一度狭くなりその後広がる通称レジューサが使用される。レジューサは、ステンレス鋼管21に接続される導入部41と、直管パーツ35aに接続される送出部42、導入部41と送出部42に間に配された小断面積部43とから構成されている。導入部41は、ステンレス鋼管21から徐々に縮径する円錐台状のテーパ管となっている。送出部42もまた、小断面積部43から徐々に拡径する円錐台状のテーパ管となっている。小断面積部43は、内径がステンレス鋼管21よりも小径(約2/3:例えば、30mm)、長さが100mm程度に形成されている。
【0026】
分散機構10には、造粒物投入部11側から造粒物が熱風と共に供給される。分散機構10に供給された造粒物は、導入部41から小断面積部43を通り、送出部42に至り、直管パーツ35aへと送られる。その際、導入部41と小断面積部43の断面積(内径)の違いから、造粒物は熱風と共に増速されて小断面積部43内を通過し、送出部42に至る。送出部42は、導入部41とは逆に拡径構造のため、熱風と共に搬送されてきた造粒物は管内一杯に拡散し、直管パーツ35a内に送出される。これにより、造粒物は熱風と一体となって管内に拡散し、ループ管25に供給される。ループ管25内の造粒物は、遠心力によって管の外側に寄り気味とはなるものの、ループ管25の入口では管内一杯に拡散した状態となっているため、管の外側に張り付くような状態とはなりにくい。このため、造粒物の搬送や乾燥には供されない通過気流が処理管の内側に生じにくく、乾燥効率の向上が図られる。
【0027】
乾燥処理部12のループ管25は、水平方向に沿って巻回されており、巻回径R(ループ管中心Oを通る円の直径)は700mm程度となっている。乾燥装置1では、ループ管25は2段(2巻き)を横置き(横倒し)した形で配置されている。ループ管25の1段目25a(以下、ループ管上段25a)は、ループ管25の2段目25b(以下、ループ管下段25b)と連通しつつ、コイルスプリングを巻くように上下に重ねて配置される。ループ管下段25bは、サポート脚41によって筐体42上に支持され、ループ管上段25aは、ジョイント部40(嵌合ジョイント43,ガイドジョイント44)によってループ管下段25bの上に載置される。なお、ループ管25を複数段重ねて配置する場合、ループ管25内には必ず勾配が生じるが、本発明におけるループ管25の「水平配置」は、このようなループ管内の勾配を排除するものではない。
【0028】
製品排出部13は、乾燥処理部12の後段に配されており、サイクロン捕集機(粉粒体捕集装置)26を備えている。サイクロン捕集機26は、接続管27を介して、ループ管25末端と接続されている。乾燥処理部12にて乾燥された造粒物は、サイクロン捕集機26の製品捕集管にて回収される。サイクロン捕集機26の後段には、ふるい・整粒工程を行う図示しない整粒装置を接続することも可能である。
【0029】
図4は、ループ管25の構成を示す説明図である。図4(a)に示すように、ループ管25は、各段ごとに2分割構造となっており、ループ管ユニット(処理管ユニット)31(31a,31b)とから構成されている。両ユニット31a,31bの接続部には、ステンレス鋼製のコネクタ32a,32bが取り付けられている。コネクタ32a,32bには、図4(b)にように、インロー結合部33a,33bが形成されており、両ユニット31a,31bは、パッキン34を介してインロー結合やヘルール継手にて気密状態で接合される。
【0030】
ループ管25は、コネクタ32a,32bを接合させた状態で、中心軸Oを中心として回動可能となっている。すなわち、コネクタ32a,32bは、周方向に沿って互いに回動可能な状態で接合されている。そこで、例えば、ループ管25を図2のように設ける場合は、まず、直管パーツ35aに、コネクタ32aを介して、ループ管ユニット31bの一端側(31b1)を接続する。次に、ループ管ユニット31bの他端側(31b2)に、コネクタ32b,32aを介して、ループ管ユニット31aの一端側(31a1)を接続する。その際、ループ管ユニット31bの他端側(31b2)が一端側(31b1)に対して下方に来るように、ループ管ユニット31bをコネクタ32a,32bの部分で所定角度回動させる。
【0031】
ループ管ユニット31bを所定角度回動させた後、その他端側(31b2)にループ管ユニット31aの一端側(31a1)を接続し、ループ管25の1段目25aを形成する。このとき、ループ管ユニット31aの他端側(31a2)、すなわち、ループ管25の1段目25aの末端部が、直管パーツ35aの下方に来るように、ループ管ユニット31b,31aの接合部(コネクタ32b,33a)を適宜回動させる。このようにして、ループ管25の1段目25aを形成した後、コネクタ32a,32bの接合部を適宜ひねりながら、次のループ管ユニット31b,31aを接続し、ループ管25の2段目25bを形成する。そして、2段目25bの末端に、コネクタ32bを介して、直管パーツ35bを接続し、2段構成のループ管25を形成する。
【0032】
このように、本発明の乾燥装置1では、コネクタ32a,32bの接合部を回動させながら次のループ管ユニット31を接続することできる。このため、ループ管ユニット31の本体部36をねじることなく、容易にループ管25を複数段積み上げることができる。従って、ここでは、2段構成のループ管25を形成する場合について説明したが、同様の手法により、さらに3段以上のループ管25も容易に形成することができる。
【0033】
また、ループ管25をこのような分割構造とすることにより、ループ管内の洗浄・目視確認が容易となる。さらに、各段ごとに分割された構造となっているため、ループ管25の段積み数を任意に設定することができ、造粒物の仕様に応じて、ループ管25の構成を容易に変更することが可能となっている。なお、ループ管25の分割数は2には限定されず、例えば4分割の構造も可能であり、分割数を増やすことにより、洗浄や目視確認がさらに容易となる。
【0034】
製品排出部13は、乾燥処理部12の後段に配されており、サイクロン捕集機(粉粒体捕集装置)26を備えている。サイクロン捕集機26は、接続管27を介して、ループ管25末端と接続されている。乾燥処理部12にて乾燥された造粒物は、サイクロン捕集機26の製品捕集管にて回収される。サイクロン捕集機26の後段には、ふるい・整粒工程を行う図示しない整粒装置を接続することも可能である。
【0035】
このような乾燥装置1では、次のようにして造粒物の乾燥処理が行われる。当該乾燥装置1ではまず、整粒機4から造粒物投入口22に湿式造粒物が供給される。その際、造粒物投入部11のステンレス鋼管21内は、サイクロン捕集機26の吸引力によって負圧となっており、整粒機4からホッパ24内に投入された造粒物は、吹き上がることなく、造粒物投入口22内に導入される。一方、熱風吹き込み口23には、熱風供給装置14から熱風(例えば、90°C・10〜20m/s)が供給されており、ステンレス鋼管21内に供給された造粒物は、この熱風によって乾燥処理部12側に搬送される。
【0036】
前述のように、ループ管25とステンレス鋼管21の間には、小断面積部43を有する分散機構10が配されている。熱風吹き込み口23から供給された熱風は、分散機構10にて一旦増速された後、ループ管25内に拡散する。分散機構10にて管内一杯に拡散された造粒物は乾燥処理部12側に搬送され、ループ管25内を熱風に乗って流通し、乾燥される。当該乾燥装置1では、造粒物は1〜2秒程度でループ管25を通過する。そして、乾燥された造粒物は、熱風に乗ってループ管25から排出され、接続管27を介して、サイクロン捕集機26にて捕集される。
【0037】
ここで、乾燥装置1に供給される造粒物はある程度整粒された状態のため、乾燥装置1内にて粉砕されることは好ましくない。前述のように、従来のループ型気流式乾燥機では、ループ管が縦置きされているため、造粒物を重力に逆らって持ち上げる必要があり、処理には大風量が必要であった。また、乾燥されて軽くなったものを装置外へ排出し、未乾燥のものは重力で落とす構成のため、造粒物は、大風量の下、ループ管内にて何回も循環して上昇・落下を繰り返し、造粒物が破砕される傾向があった。これは、そもそも従来のループ型気流式乾燥機が、汚泥やトナー粒子など、乾燥時の破砕が容認あるいは要求される造粒物を対象としていることに起因しており、乾燥時の破砕を回避したい顆粒物への適用は想定外であった。一方で供給される造粒物に粗大顆粒が全くないわけではなく、乾燥中の適度な整粒効果も求められていた。
【0038】
これに対し、本発明の乾燥装置1では、ループ管25内を流れる造粒物は、遠心力を受けつつ熱風にて乾燥されるが、ループ管25に供給される風量は、造粒物が管内に滞留しない下限ギリギリまで抑えられている。その際、ループ管25の前段に分散機構10が設けられており、造粒物が熱風中に分散した状態でループ管25に供給されるため、造粒物の滞留も生じにくく、熱風の風量を極限まで下げることが可能となる。このため、従来の縦型のループ管とは異なり、造粒物には大風量や重力落下による大きな衝撃は加わらず、湿式造粒物は粉砕・粉化されることなく、顆粒状のまま乾燥される。すなわち、乾燥装置1では、必要以上の風量を供給することなく乾燥処理を行うことができ、造粒物の粉化を抑えつつ、造粒物を効率の良く乾燥させることが可能となる。一方、不要な粗大顆粒は整粒されるため、後工程で整粒作業を省くことが可能となる。発明者らの実験によれば、処理後に回収された造粒物にはほとんど微粉は含まれておらず、破砕能力が有効に低減されていることが確認できた。
【0039】
このように、本発明の乾燥装置1によれば、ループ型乾燥機による高い乾燥能力を維持しつつ、その破砕能力を抑制することが可能となる。従って、高速で効率の良い乾燥処理を実現しつつ、粒子径分布や得率などに関し、質の高い乾燥顆粒を得ることが可能となる。また、乾燥装置1は、ループ管25を巻回した構成となっているため、スペース効率が高く、コンパクトで高効率な乾燥装置を提供できる。発明者らの実験によれば、ループ管25を直線状に伸ばし、同風量にて乾燥処理を行ったところ、管内に造粒物の滞留が見られ、広いスペースが必要であるにもかかわらず、処理効率が良くないことが分かった。
【0040】
加えて、当該乾燥装置1と連続造粒装置や打錠機、コーティング機などを組み合わせることにより、図1に示したような、乾燥工程を含む連続顆粒製造システムを構築することも可能となる。なお、前述のように、湿式造粒工程も含め、ふるい・整粒工程における整粒機や打錠機、コーティング機など、乾燥装置1と組み合わされる装置は、粉粒体の処理形態に応じて適宜選択・変更可能であり、本発明による連続顆粒製造システムは、前記装置の組み合わせには限定されない。
【0041】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、前述の実施形態におけるループ管25の直径や巻回径、段数などはあくまでも例示であり、各種寸法・仕様は適宜変更可能であり、本発明は前記寸法・仕様には限定されない。また、ループ管25の分割数も2には限定されず、例えば4分割の構造も可能であり、分割数を増やすことにより、洗浄や目視確認がさらに容易となる。さらに、前述の実施形態では、嵌合ジョイント43を1個、ガイドジョイント44を2個設けた構成を示したが、ジョイントの個数は任意であり、上記の個数には限定されない。また、凸ジョイント43aと凹ジョイント43bは何れを上又は下に配しても良く、それらの設置位置は前述の形態には限定されない。
【0042】
一方、分散機構10の構成も、レジューサのみならず種々の態様が可能である。図5は、分散機構の変形例を示す説明図である。図5(a)は小断面積部43が偏芯した構成、同(b)は小断面積部43を邪魔板リング51にて形成した構成、同(c)は螺旋状の邪魔板52を管内に配して小断面積部43を形成した構成を示している。また、図5(d)は、半円状の邪魔板53を管内上下に配して小断面積部43を形成した構成を示している。さらに、図5(e)は、管内にパンチングプレートからなる多孔板54を配して小断面積部43を形成した構成を示している。
【0043】
また、分散機構10は、必要に応じて複数取り付けることも可能であり、分散機構10の個数と風量の双方を調整することにより、乾燥後の造粒物の粒度を制御することも可能である。分散機構10の設置位置も、被処理物投入部と乾燥処理部との間に加えて、ループ管の途中や乾燥処理部と回収部との間に設けても良い。さらに、前述の実施形態では、ループ管25とステンレス鋼管21が同径となっているが、ループ管25の径をステンレス鋼管21よりも大きくしても良い。この場合、造粒物投入口22近傍における風速は、ループ管25内のそれよりも高くなる。従って、造粒物投入部11では、造粒物投入口22から供給された造粒物は、造粒物投入口22の付近に滞留することなく、ステンレス鋼管21からよりスムーズにループ管25側に送出される。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、医薬品に使用される湿式造粒物の乾燥処理以外にも、食品や肥料などの原料となる含水造粒物の乾燥処理にも適用可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 乾燥装置
2 高速撹拌造粒機
3 押出造粒機
4 湿式造粒物連続供給装置
10 分散機構
11 造粒物投入部(被処理物投入部)
12 乾燥処理部
13 製品排出部
14 熱風供給装置
21 ステンレス鋼管
22 造粒物投入口
23 熱風吹き込み口
24 ホッパ
25 ループ管(処理管)
25a ループ管上段(1段目)
25b ループ管下段(2段目)
26 サイクロン捕集機(粉粒体捕集装置)
27 接続管
31 ループ管ユニット(処理管ユニット)
31p 下段前半のループ管ユニット
31q 下段後半のループ管ユニット
31r 上段前半のループ管ユニット
31s 上段後半のループ管ユニット
32a,32b コネクタ
33a,33b インロー結合部
34a,34b パッキン
35a,35b 直管パーツ
36 本体部
41 導入部
42 送出部
43 小断面積部
51 邪魔板リング
52 螺旋状邪魔板
53 半円状邪魔板
54 多孔板
O ループ管中心
R 巻回径
図1
図2
図3
図4
図5