【解決手段】第1冷却段は、第1冷媒34を循環させるための第1流体回路を形成し、第1圧縮機50、凝縮器54、および第1流体回路に流体連通する第1膨張装置58を有する。第2冷却段は、第2冷媒36を循環させるための第2流体回路形成し、第2冷却段は、第2圧縮機70、第2膨張装置74、および第2流体回路に流体連通する蒸発器78を有する。熱交換器44は、第1および第2冷媒34,36の間の熱を交換するために、第1および第2流体回路に流体連通している。少なくとも1つの第1または第2圧縮機50,70は、可変速圧縮機である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の2カスケード冷却システムは、1つの固定速度をそれぞれ有し、かつ通常同じ最大容量を有する圧縮機を利用する。この点において、装置の運転は、2つの圧縮機それぞれを何度も単純に作動および停止する必要がある場合がある。しかし、装置自体の寿命により、冷却された空間を均一な温度に達成させるためのこのタイプの装置の能力は制限され、かつこのような装置の運転効率も制限される。さらに、一方または両方の圧縮機を最大容量で運転することは、有害な場合がある一方で、最大容量以下の容量での一方または両方の圧縮機の運転は、圧縮機が運用的に非効率となる。さらに、従来の2カスケード冷却システムは定常状態運転中に1つの所定の騒音レベルで運転することが知られている。
【0005】
したがって、従来の2段式カスケード冷却システムに関したこれらおよび他の問題に対処する冷却システムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、2段式カスケード冷却システムは、第1冷却段および第2冷却段を有して提供される。第1冷却段は、第1冷媒を循環させる第1流体回路を形成し、かつ第1圧縮機、凝縮器、および第1流体回路に流体連通する第1膨張装置を有する。第2冷却段は、第2冷媒を循環させる第2流体回路を形成し、第2冷却段は第2圧縮機、第2膨張装置、および第2流体回路に流体連通する蒸発器を有する。熱交換器は、第1および第2冷媒間の熱を交換するために、第1および第2流体回路に流体連通している。第1または第2圧縮機の少なくとも1つは、可変速圧縮機である。
【0007】
特定の実施形態において、各第1および第2圧縮機は、可変速圧縮機である。第1圧縮機は、第1の最大容量を有することができ、かつ第2圧縮機は、第2の最大容量を有することができ、ある実施形態においては、第2の最大容量は、第1の最大容量より小さく、他の実施形態においては、第1の最大容量と実質的に等しい。
【0008】
第2圧縮機が可変速圧縮機である実施形態において、装置は、圧縮機の運転を独立制御するための、第1および第2圧縮機に動作可能に連結された少なくとも1つのコントローラと、少なくとも1つのコントローラに動作可能に連結されたセンサと、を含むことができる。例えばセンサは、熱交換器の出口における第1冷媒の温度を検出する、第1または第2冷媒の吐出圧力を検出する、または第1冷媒の吐出温度または吸入温度を検出するよう構成され、かつ少なくとも1つのコントローラに検出した温度または圧力を示す信号を生成する構成されることができ、少なくとも1つのコントローラは、信号に応じて第2圧縮機の速度を変える働きをする。
【0009】
他の特定の実施形態において、各第1および第2圧縮機は、可変速圧縮機であり、かつ装置は、室内および室内へのアクセスを提供するドアを有するキャビネットと、運転を独立制御するために第1および第2圧縮機に動作可能に連結された少なくとも1つのコントローラとを含む。センサは、少なくとも1つのコントローラに動作可能に連結され、ドアの状態を検出し、かつ少なくとも1つのコントローラに検出された状態を示す信号を生成するよう構成され、少なくとも1つのコントローラは、信号に応じて少なくとも1つの第1または第2圧縮機の速度を変える働きをする。その代わりに、またはそれに加えて、装置は、凝縮器近くの周囲空気の温度を検出し、かつ少なくとも1つのコントローラに検出された温度を示す信号を生成するよう構成されたセンサを含むことができ、少なくとも1つのコントローラは、信号に応じて少なくとも1つの第1または第2圧縮機の速度を変える働きをする。
【0010】
特定の実施形態において、装置は、少なくとも1つのコントローラに動作可能に連結されたセンサを含み、センサは、熱交換器の出口における第1冷媒の温度を検出し、かつ少なくとも1つのコントローラに検出された温度を示す信号を生成するよう構成される。少なくとも1つのコントローラは、検出された温度を既定の閾値温度と比較するために使用することができ、閾値温度以上では少なくとも1つのコントローラによって第2圧縮機は作動されない。そのうえ装置は、凝縮器近くの周囲空気の温度を検出し、かつ少なくとも1つのコントローラに検出された温度を示す第2の信号を生成するよう構成されたセンサを含むことができる。少なくとも1つのコントローラは、第2の信号に応じて既定の閾値温度を変えるために使用することができ、閾値温度以上では、少なくとも1つのコントローラによって第2圧縮機は作動されない。
【0011】
システムは、室内を有するキャビネットと、少なくとも1つのコントローラに動作可能に連結されたセンサと、を含むことができ、センサは、キャビネットの室内の温度を検出し、かつ少なくとも1つのコントローラにキャビネット室内の温度を示す信号を生成するよう構成され、少なくとも1つのコントローラは、この信号に応じて第2圧縮機の作動を遅延させる働きをする。ある実施形態のコントローラは、例えば凝縮器近くの周囲空気の温度を検出するよう構成されたセンサから受信された信号に応じて、凝縮器を横切る空気を導く可変速度ファンの速度を変えることができる。
【0012】
システムは、少なくとも1つのコントローラに動作可能に連結された一対のセンサを含むことができ、一対のセンサは、第1および第2冷媒の吐出圧力をそれぞれ検出し、かつ少なくとも1つのコントローラに検出された吐出圧力を示すそれぞれの信号を生成するよう構成される。少なくとも1つのコントローラは、信号に応じて、少なくとも1つの第1または第2圧縮機の速度を変える働きをする。
【0013】
システムは、追加として、または代わりに、第1冷媒の1つまたは複数の吸入温度、液だめ温度、吐出温度、または吐出圧力を検出する第1の複数のセンサと、第2冷媒の1つまたは複数の吸入温度、排水温度、吐出温度または吐出圧力を検出する第2の複数のセンサと、を含むことができる。第1および第2の複数のセンサは、少なくとも1つのコントローラに検出された温度または圧力を示すそれぞれの信号を生成するよう構成されることができ、少なくとも1つのコントローラは、信号に応じて第1または第2圧縮機の少なくとも1つの速度を変える働きをする。
【0014】
システムはまた、冷却システムの運転の異なる既定の騒音レベルモードを選択するための、少なくとも1つのコントローラに動作可能に連結された制御インターフェースを含むことができる。コントローラは、第1および第2圧縮機の同時運転を含む定常状態運転モードを含むことができる。
【0015】
さらに他の実施形態において、冷却システムを運転する方法が提供される。方法は、冷却システムの第1段の第1圧縮機、凝縮器、および第1膨張装置を通じて第1冷媒を循環するステップを含む。第2冷媒は、冷却システムの第2段の第2圧縮機、第2膨張装置、および蒸発器を通り循環される。熱は、第1および第2冷媒の間で交換され、かつ少なくとも1つの第1または第2冷媒の流れを制御するために、少なくとも1つの第1または第2圧縮機の速度が選択的に変えられる。
【0016】
したがって、ここに開示されるシステムは、相対的に長寿命、効率的な方法による運転を達成すること、および冷却された空間における均一な温度分布を達成することが可能である。さらに、ここに開示されるシステムは、例えば冷却された空間内の相対的に温かい物の貯蔵による予期しない高負荷状態から素早く回復することが可能である。
【0017】
本明細書に組み込まれ、かつ一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を示し、上述の本発明の概要および下記の実施形態の詳細な説明と共に本発明の原理の説明する働きをする。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図を、より具体的には
図1を参照すると、超低温度フリーザー(ULT)10の形の冷却システムが示されている。本発明の1つの実施形態による例示的なフリーザー10の様々な態様は、本願の出願人による「REFRIGERATION SYSTEM MOUNTED WITHIN A DECK」と題する(代理人番号TFLED-227AUS)米国特許出願第12/570,480号に説明、かつ図示され、その開示内容は、参照としてその全体がここに明確に組み込まれている。
【0020】
図1のフリーザー10は、例えば約−80°Cまたはそれ以下の温度で冷却する必要のあるものを保管するためのキャビネット16を上に支持するデッキ14を含む。次にキャビネット16は、キャビネットハウジング16aと、キャビネット16の室内16cへのアクセスを提供するドア16bとを含む。デッキ14は、2段式カスケード冷却システム20(
図2)を共同で形成する1つまたは複数の構成要素を支持し、2段式カスケード冷却システムは、室内16cを冷却するためにキャビネット16と熱的に相互作用する。
【0021】
図2を参照すると、冷却システム20の概略図が示されている。システム20は、第1冷媒34および第2冷媒36を循環させるための第1および第2回路をそれぞれ形成する第1段24および第2段26で構成されている。第1段24は、エネルギー(すなわち熱)を第1冷媒34から周囲環境40へ移動させる一方、第2段26の第2冷媒36は、キャビネット室内16cからエネルギーを受けとる。熱は、冷却システム20の第1段および第2段24,26と流体連通する熱交換器44を通じて第2冷媒36から第1冷媒34へ伝達される。
【0022】
第1段24は、順に第1圧縮機50、凝縮器54、および第1膨張装置58を含む。ファン62は、フィルタ54aを通り凝縮器54を横切る周囲空気を導き、第1冷媒34から周囲環境40への熱の移動を促進させる。第2段26はまた順に、第2圧縮機70、第2膨張装置74および蒸発器78を含む。熱が室内16cから蒸発器78へ伝達し、それにより室内16cが冷却されるように、蒸発器78は、キャビネット16(
図1)の室内16cと熱的に連通している。熱交換器44は、第1膨張装置58および第1圧縮機50の間で第1段24と流体連通している。さらに、熱交換器44は、第2圧縮機70および第2膨張装置74の間で第2段26と流体連通している。
【0023】
運転の際には、第2冷媒36は、蒸発器78を通じて室内16cから熱を受けとり、導管90を通り蒸発器78から第2圧縮機70へ流れる。気体状の第2冷媒36を第2圧縮機70へ通すために、吸引/アキュムレータ装置92は、導管90に流体連通しており、過剰な量の液体状の冷媒をため、かつ制御された割合で第2圧縮機70に供給する。第2圧縮機70から、圧縮された第2冷媒36が導管96を通り、第1および第2段24,26に互いに熱的に連通している熱交換器44へ流れる。第2冷媒36は、気体状態で熱交換器44に入り、第2冷媒は凝縮しながら熱を第1冷媒34へ移動させる。この点において、例えば第1冷媒34の流れは、熱伝導率を最大にするように第2冷媒36に対して逆に流れることができる。1つの特定の、非限定的な例において、熱交換器44は、デッキ14(
図1)内に垂直に置かれたブレージングプレート式熱交換器の形であり、かつ熱交換器44内の第1および第2冷媒34,36の乱流量を最大化するよう設計され、それは凝縮第2冷媒36から気化第1冷媒34への熱伝導を最大化する。熱交換器の他のタイプまたは構成も可能である。
【0024】
第2冷媒36は、出口44aを通り液体状態で熱交換器44を出て、導管102を通り、フィルタ/乾燥装置103を通り、第2膨張装置74を通り流れ、第2段26の蒸発器78へ戻る。この例示的な実施形態の第2段26はまた、第2圧縮機70の潤滑のためのオイルループ104を含む。特に、オイルループ104は、導管96に流体連通するオイル分離器106と、オイルを第2圧縮機70に戻すよう導くためのオイル戻りライン108と、を含む。追加として、または代わりに、第2段26は、第2冷媒36の吐出流を冷却するために熱交換器44の上流の導管96に流体連通している過熱低減装置110を含むことができる。
【0025】
上述したように、第1冷媒34は、第1段24を通り流れる。特に、第1冷媒34は、熱交換器44を通って流れる第2冷媒36から熱を受けとり、出口44bを通って熱交換器44から気体状態で出て、一対の導管114,115を通り第1圧縮機50へ流れる。吸引/アキュムレータ装置116は、導管114および115の間に位置し、気体状態の第1冷媒34を第1圧縮機50へ通しながら、過剰な量の液体状態の冷媒をため、制御された割合で第1圧縮機50へ送る。第1圧縮機50から、圧縮された第1冷媒34は、導管118を通り凝縮器54へ流れる。凝縮器54の第1冷媒34は、熱を周囲環境40へ移動し、一対の導管122,123を通り、フィルタ/乾燥装置126を通り、第1冷媒34の圧力が低下する第1膨張装置58へ液体状態で流れる前に、第1冷媒は凝縮する。第1膨張装置58から、第1冷媒34は、導管127を通り熱交換器44へ戻り流れ、液体状態にて熱交換器へ入る。
【0026】
図2の参照を続けると、この実施形態の少なくとも1つの第1または第2圧縮機50,70は可変速圧縮機である。特定の実施形態において、第1および第2圧縮機50,70は、異なる最大容量を有することができる。例えば、非限定的に、第2圧縮機70は、第1圧縮機50の最大容量より小さい最大容量を有することができる。あるいは、第1および第2圧縮機50,70の最大容量は、互いに実質的に等しくすることができる。さらに、システム20の運転は、定常状態モードにおいて、一方または両方の圧縮機50,70が最大容量にて、または最大容量より小さい容量にて運転するよう設計されることができ、これは例えば圧縮機50,70の寿命を最大にするために望ましい。
【0027】
システム20は、各圧縮機50,70を独立制御するために、各第1および第2圧縮機50,70に動作可能に連結された例示的なコントローラ130を含む。この実施形態では、1つのコントローラ130を示しているが、システム20は代わりに任意の数のコントローラ有することができることを当業者は容易に理解するだろう。使用者がコントローラとの相互作用を可能にするために、例示的なインターフェース132がコントローラ130に動作可能に連結されている。このような相互作用は、例えば異なるシステム20の運転モードの選択を含むことができる。例えば、非限定的に、異なる運転モードは、OSHAによる騒音基準などの通常認められる定常状態運転中のシステム20の騒音レベルの異なる最大値、各段24,26の異なる温度範囲、および/または冷却された空間(例えばキャビネット室内16c)の異なる温度設定に関連させることができる。より具体的には、密閉された実験室における運転のために設計された同じフリーザーは、特定の騒音レベルを越えないように使用者によって設定されることができる(一方または両方の圧縮機は、最大速度の特定の割合に制限される結果となり、可変速ファンが使用される場合、その速度も同様である)。広い場所で運転される同じフリーザーは、騒音レベルが使用者にとって懸念事項である場合、最大速度の高い割合を許容するように設定またはリセットされることがある。しかし、他の追加的な、または代替の好ましいULTの運転特性は、システム20の運転パラメータを規定するために使用される。
【0028】
さらに詳細に後述するように、複数のセンサS
1〜S
18がコントローラ130にそれぞれ動作可能に連結され、第1および/または第2段24,26の一方または両方の冷媒34,36の異なる特性、システム20の周りの周囲空気の温度、またはキャビネット16の室内16cの温度、および/またはドア16bの状態(すなわち開/閉)(
図1)を検出する。これらのセンサは、コントローラ130に検出された特性または状態を示すそれぞれの信号を生成するよう構成され、今度はコントローラ130がシステム20の運転に影響を与えるそれぞれの命令を生成することができる。
【0029】
システム20が最初に始動される、または例えば修正された冷却要件ために再起動を必要とする場合、第1および第2段の多段式が効果的である。例示的な多段手順またはプロトコルは、引き続き
図2を参照し、およびさらに
図3のフローチャートを参照して説明される。ブロック150は、多段手順の開始を示し、特に第1圧縮機50の作動(すなわちスイッチをいれる)から第2圧縮機70の作動(すなわちスイッチをいれる)(ブロック160)で終わる。ブロック152においては、コントローラ130は、熱交換器44の出口44bにおける第1冷媒34の温度を検出するよう構成されたセンサS
1からの信号を受けとる。ブロック154においては、コントローラ130は、検出された第1冷媒34の温度と、所定の閾値温度T
thを比較する。検出された温度が、閾値温度T
th以下である場合(ブロック156)、コントローラ130は、第2圧縮機70を作動させる(ブロック160)ことにより第2段26を作動させる。本発明のある形において、作業者による騒音制御等の設定に応じて、コントローラ130は、第2圧縮機70を最初は低速度で運転し、その後より速い最大速度まで増加させることができる。
【0030】
図3に示した多段プロトコルに加え、多段プロトコルは、そのうえ他の機構を含むことができる。例えば、多段プロトコルは、ブロック152に、凝縮器54近くの周囲空気の温度を検出し、かつ検出した温度を示す信号をコントローラ130へ送るようするよう構成されたセンサS
2からの信号受け取るコントローラ130を含むことができる。ブロック166においては、コントローラ130は、入力信号としての検出された周囲空気の温度を採用した所定のアルゴリズム(ブロック167)により閾値温度T
thを調整する(すなわち増加させるまたは減少させる)。例えば、異常に高い周囲温度においては、第2圧縮機70の始動は、意図的に遅らせることができ、または第2圧縮機70の始動時の速度を減少させることができる(例えば全容量の約50%ではなく約40%に)。それに加え、または代わりに、ブロック152においては、コントローラ130は、キャビネット16の室内16cの温度を検出し、かつ検出した温度を示す信号をコントローラ130に送るよう構成されたセンサS
3からの信号を受け取ることができる。ブロック174においては、検出された温度が所定の値(ブロック175)よりも高い場合は、所定のレベルまで冷却するのに適当な時間を熱交換器44に与えるように、コントローラ130は、第2圧縮機70の作動を防ぐ。効果的に、第2圧縮機70の始動の遅延(ブロック174)は、熱交換器44の過負荷を防ぎ、これは、システム20の寿命を延ばすために望ましい。その代わりに、またはそれに加え、キャビネットの高い室温に応じて、第2圧縮機70は、低速度(例えば容量の50%ではなく容量の約30%〜40%)で始動されることができる。
【0031】
図4を参照すると、システム20の例示的な定常状態運転が図式的に示されている。図の例示的な実施形態において、システム20の定常状態運転モードは、ほとんどの時間、または常時、両方の圧縮機50,70を同時に運転することを含む。この目的を達成するために、システム20は、例えば第2段の負荷(キャビネットの室内16cから伝達される熱による)が負荷(すなわち熱)を除去する第1段24の最大能力を越えないように、第1および第2段24,26の間の釣り合いを保持する1つまたは複数のアルゴリズムによって運転される。以下の説明は、両方の圧縮機50,70が可変速タイプである場合に特に適用できるが、一方の圧縮機(例えば第2圧縮機70)のみが可変速であり、かつ他方の圧縮機(例えば第1圧縮機50)は、必要に応じてオンオフされるような実施形態にも適合することができる。両方の圧縮機50,70が可変速圧縮機である場合、両方の圧縮機50,70がオンになることが多く、所望の運転特性を達成するために一方または両方の圧縮機の運転が制御される。
【0032】
ブロック180においては、コントローラ130は、熱交換器44の出口44bにおける第1冷媒34の温度を検知するセンサS
1からの信号を受け取る。ブロック182においては、コントローラ130は、センサS
1からの信号に応じ、かつ所定の定常アルゴリズム(ブロック181)に従って、第1または第2圧縮機50,70の一方または両方の速度(例えば回転速度RPM)を変え、それにより例えば第2段26に伝わる負荷を制御する。この点において、センサS
4は、第2圧縮機70の速度の制御を可能にするために、第2圧縮機70の速度を監視し、かつ対応する信号をコントローラ130に生成するよう構成されることができる。
【0033】
ブロック184においては、コントローラ130は、例えば、キャビネット16の室内16cの温度がステップ変化する(例えば突然、比較的大きく増加する)場合に、システム20が高い負荷状態であるかを判定する。このような状態が検出される場合、ブロック186において、コントローラ130は、ブロック181および182によって表されるアルゴリズムを無効にし、さらに詳細に後述する高負荷アルゴリズムによるシステム20の運転に置き換える。
【0034】
図4の参照を続けると、コントローラ130は、追加として、またはセンサS
1からの信号を受けとる代わりに、第2冷媒36の吐出圧力を検出し、かつ検出された圧力を示す信号をコントローラ130に送るよう構成されたセンサS
5からの信号を受け取ることができる(ブロック180)。第2冷媒36の検出された吐出圧力は、例えば高負荷状態によって起こるシステム20の不均衡状態を示すことができる。所定の圧力がセンサS
5によって検出される場合、コントローラ130は、上述したように(ブロック186)ブロック181および182によって示されるアルゴリズムを無効にし、高負荷アルゴリズムによるシステム20の運転に置き換える(ブロック186)。
【0035】
追加として、またはセンサS
1および/またはS
5によって提供される検知の代わりに、1つまたは複数のセンサS
6,S
7,S
8がコントローラ130に動作可能に連結され、それぞれ第1冷媒34の吐出圧力、吐出温度、および/または吸入温度を検出するよう構成される。これらのセンサS
6,S
7,S
8のそれぞれは、第1冷媒34の検出された特性または状態を示す信号をコントローラ130(ブロック180)に生成するよう構成される。第1冷媒34の検出された特性または状態は、例えば高負荷状態によって起こるシステムの不均衡状態を示すことができる。所定の特性または特徴が1つまたは複数のセンサS
6,S
7,S
8によって検出される場合、コントローラ130は、上述のようにブロック181および182によって示されるアルゴリズムを無効に、高負荷アルゴリズムによるシステム20の運転に置き換える(ブロック186)。
【0036】
上述のように、ある状態において、コントローラ130は、システム20の定常状態運転中に使用されるアルゴリズム(ブロック181)を無効にし、かつ高負荷アルゴリズムに置換することができる。この点において、
図4および
図5を参照すると、コントローラ130は、ブロック180においてシステム20の様々なセンサからの1つまたは複数の信号を受け取ることができ、これらの信号は、高負荷状態を示す。より具体的には、例えば比較的温かいものがキャビネット16の室内16cに配置された場合に、高負荷状態となり得る。この目的を達成するために、コントローラ130は、キャビネット16の室内16cの温度の上昇を示すセンサS
3からの信号を受け取ることができる。特定の実施形態において、コントローラ130は、センサS
3からの信号に基づいて、時間と共に上昇する室内16cの温度に対応する勾配を計算し、かつ所定の閾値勾配と比較することができる(ブロック194)。受け取ったこの信号に応じて、より具体的には比較に応じて、コントローラは、ブロック186にてシステム20の運転を制御する定常状態のアルゴリズムを高負荷アルゴリズムに置換することができる。高負荷アルゴリズム下では、1つの特定の実施形態において、コントローラ130は、一方または両方の圧縮機50,70の速度を増加させる(ブロック202)。
【0037】
ほかの例において、コントローラ130は、例えばキャビネット16のドア16bの状態を検出するよう構成されたスイッチの形のセンサS
9からの信号を受け取ることができる(ブロック180)。例えばドア16bが開いているまたは閉じていることを示すセンサS
9からの信号に応じて、コントローラ130は、ブロック186においてシステム20の運転を制御する定常状態アルゴリズムを高負荷アルゴリズムに置換することができる(ブロック181)。上述のように、高負荷アルゴリズム下では、コントローラ130は、例えば一方または両方の圧縮機50,70の速度を増加させることができる(ブロック202)。
【0038】
コントローラ130によって受け取られるセンサS
9からの信号の上述の処理についての例示的ではあるが非限定的な変化形において、コントローラ130は、ドア16bが所定の状態(例えば開く)を保っている時間を計算し、かつこの計算された時間と閾値を比較する(ブロック194)ことができ、これに応じてコントローラは、ブロック186および202によって示される上述したプロトコルに従う。センサS
9は、代わりに所定の期間にわたってドア16bの状態を検出し、かつ所定の期間にわたりこの状態を示す信号をコントローラ130に生成するよう構成されることができ、この場合システム20は、そうでない場合にブロック194においてコントローラ130によって実行される閾値との比較を未然に防ぐことが考えられる。例えば、非限定的に、時間と共にドア16bの状態を検知することが可能である例示的なセンサS
9は、スイッチおよびタイマーの組み合わせの形をとることができる。
【0039】
さらに他の例において、コントローラ130は、凝縮器54近くの周囲空気の温度を検出し、かつ検出された温度を示す信号をコントローラ130に送るよう構成されたセンサS
2からの信号を受け取ることができる(ブロック180)。受信された信号が所定の閾値を越える温度を示す場合(ブロック194)、コントローラは、ブロック186および202によって示される上述のプロトコルに従う。
【0040】
上記に加え、または代わりに、検出された第1冷媒34の吐出圧力を示すセンサS
6からの信号および/または検出された第2冷媒36の吐出圧力を示すセンサS
5からの信号を受け取るコントローラ130(ブロック180)によって高負荷アルゴリズムを動作させることができる。この点において、検出された第1または第2冷媒34,36の吐出圧力は、高負荷状態を示すことができ、かつコントローラ130(ブロック194)によってそれぞれの閾値圧力と比較され、これを越えるとコントローラ130は、ブロック186および202によって示されるプロトコルに従う。
【0041】
特に
図5を参照すると、高負荷アルゴリズムは、特定の実施形態において、凝縮器54を横切る空気を導くファン62の速度を増加させるステップ(ブロック210)を含むことができる。この速度の増加は、可変速ファン62を使用することによって促進される。このファン62の速度の増加は、第1冷媒36から周囲環境40への熱伝導率を一時的に増加させ、その結果、システム20は定常運転モードへ速く回復する。通常、しかし常にではないが、ファン62の速度の増加は、第1圧縮機50の速度の増加を同時にもたらすが、周囲温度が高い状態においては、ファン62の速度は、第1圧縮機50の速度よりも比例して増加することができる。上記に示されるように、第1圧縮機50およびファン62の速度は、異常な状態が検出される場合以外は、騒音制御または他の要因に基づいて制限されることができる。
【0042】
再度
図2を参照すると、1つまたは複数の他のセンサS
10〜S
18が入力信号をコントローラ130に提供することができ、これは、センサS
10〜S
18の1つから受信された信号に応じてファン62の速度を変化させる、一方または両方の圧縮機50,70の速度を変化させる、または上述した任意の他のプロトコルに従うことが考えられる。例えば、非限定的に、センサS
10およびセンサS
11は、それぞれ第1冷媒34の液だめ温度および吸入温度を検出するように構成されることができ、一方、センサS
12およびセンサS
13は、それぞれ第2冷媒36の液だめ温度および吸入温度を検出するように構成されることができる。それに加えて、またはその代わりに、センサS
14は第2冷媒36の吐出温度を検出するように構成されることができ、センサS
15は熱交換器44の入口44cにおける第1冷媒34の温度を検出するように構成されることができ、一対のセンサS
16,S
17は、蒸発器78の入口78aおよび出口78bにおける第2冷媒36のそれぞれの温度を検出するように構成されることができ、および/またはセンサS
18は、第1圧縮機50の速度(例えば回転速度RPM)を検出するよう構成されることができる。これら追加的なセンサの位置および構成が、単に例示的なものであり、限定するものではないこと、および他のセンサをシステム20に追加的に、または上述したものの代わりに設置することが考えられることは当業者には容易に理解されるだろう。この点において、追加的なセンサは、システム20またはその周囲環境の状態または特性を検出するよう構成されることができ、これらはここでは明確に説明されていないが、なおも本開示の範囲内である。
【0043】
本発明は、様々な実施形態の説明によって示され、かつこれらの実施形態は、非常に詳細に説明されているが、出願人は、添付の特許請求項の範囲をこのような詳細な内容に限定、または制限することを意図しない。追加的な利点および改良が容易であることは、当業者には理解できるだろう。したがって、より広い態様の本発明は、特定の詳細な代表的な装置および方法、ならびに示され説明された実例に限定されない。適宜、出願人の概略の発明概念の精神または技術的範囲から逸脱することなく、このような詳細から離れることは可能である。