【解決手段】カメラから得た画像データ、及び、予め設定した検査条件を基に、PTPシートに係る検査を実行する。この検査にて不良判定がなされた場合には、当該不良判定されたPTPシートに係る画像データ及びその検査結果が画像・検査条件記憶装置に記憶される。また、検査の終了後には、不良判定されたPTPシートが作業者により目視検査等され、その良否確認結果が画像データ等に関連付けて画像・検査条件記憶装置に記憶される。そして、これらの情報を基に検査条件を変更し、当該変更された検査条件、及び、画像・検査条件記憶装置に記憶された画像データ等を基に、不良判定されたPTPシートに係る再検査を実行する。
搬送される帯状の容器フィルムに形成されたポケット部に内容物が収容され、当該ポケット部を塞ぐようにカバーフィルムが取着されるPTPシートの製造に際し用いられる検査装置であって、
前記内容物の収容された前記容器フィルムに対し所定の光を照射する照射手段と、
前記光の照射された前記内容物及び前記容器フィルムを撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段から得た画像データ、及び、予め設定した検査条件を基に、所定の検査対象に係る検査を実行し、当該検査対象の良否判定を行う検査手段と、
前記検査手段にて不良判定がなされた場合に、当該不良判定された検査対象に係る画像データ及びその関連情報と、前記検査手段による検査結果とを関連付けて記憶すると共に、前記検査手段による検査の終了後、これらに関連付けて、前記不良判定された検査対象についての作業者による良否確認結果を記憶可能な記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された情報に基づき前記検査条件を変更可能な変更手段と、
前記記憶手段に記憶された画像データ、及び、前記変更された検査条件を基に、前記検査対象に係る再検査を実行し、当該検査対象の良否判定を行う再検査手段とを備えたことを特徴とする検査装置。
前記記憶手段に記憶された情報を参酌して、前記変更手段により変更すべき任意の検査条件を算出する変更条件算出手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
前記再検査手段は、前記検査手段による検査の実行前に事前に前記記憶手段に記憶された所定の画像データについても前記再検査を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の検査装置。
搬送される帯状の容器フィルムに形成されたポケット部に内容物が収容され、当該ポケット部を塞ぐようにカバーフィルムが取着されるPTPシートの製造に際し用いられる検査装置であって、
前記内容物の収容された前記容器フィルムに対し所定の光を照射する照射手段と、
前記光の照射された前記内容物及び前記容器フィルムを撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段から得た画像データ、及び、予め設定した第1条件を基に、所定の検査対象に係る検査を実行し、当該検査対象の良否判定を行う検査手段と、
前記撮像手段から得た画像データの中から、前記第1条件よりも不良適合範囲の広い第2条件に適合する画像データを収集し記憶する画像収集手段とを備えたことを特徴とする検査装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記構成の下、任意の判定値等の妥当性について検証しようとした場合には、作業者は、任意の判定値等について、不良判定されたPTPシート(画像データ)を1枚1枚個別に検証していく必要がある。そのため、不良判定されたPTPシートが多い場合には膨大な作業時間を要する。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、検査条件の検証作業の容易化など、利便性の向上を図ることのできる検査装置及びPTP包装機を提供することを主たる目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0011】
手段1.搬送される帯状の容器フィルムに形成されたポケット部に内容物が収容され、当該ポケット部を塞ぐようにカバーフィルムが取着されるPTPシートの製造に際し用いられる検査装置であって、
前記内容物の収容された前記容器フィルムに対し所定の光を照射する照射手段と、
前記光の照射された前記内容物及び前記容器フィルムを撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段から得た画像データ、及び、予め設定した検査条件(判定値等)を基に、所定の検査対象に係る検査を実行し、当該検査対象の良否判定を行う検査手段と、
前記検査手段にて不良判定がなされた場合に、当該不良判定された検査対象に係る画像データ及びその関連情報(検査対象の位置情報等)と、前記検査手段による検査結果(不良検査項目や良否判定結果等)とを関連付けて記憶すると共に、前記検査手段による検査の終了後、これらに関連付けて、前記不良判定された検査対象についての作業者による良否確認結果(目視検査による良否判定結果等)を記憶可能な記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された情報(作業者による良否確認結果等)に基づき前記検査条件を変更可能な変更手段と、
前記記憶手段に記憶された画像データ、及び、前記変更された検査条件を基に、前記検査対象に係る再検査(検査のシミュレーション)を実行し、当該検査対象の良否判定を行う再検査手段とを備えたことを特徴とする検査装置。
【0012】
上記手段1によれば、検査にて不良判定がなされた場合には、当該不良判定された検査対象に係る画像データと、検査手段による検査結果とが記憶手段に記憶される。また、一連の検査の終了後には、不良判定された検査対象が作業者により目視検査等され、その良否確認結果が画像データ等に関連付けて記憶手段に記憶される。これにより、検査手段による検査結果と、作業者による良否確認結果とを比較しつつ、検査条件の見直し作業を行うことができる。
【0013】
具体的には、検査条件を変更し、当該変更された検査条件、及び、記憶手段に記憶された画像データを基に、再検査を実行する。そして、再検査手段による検査結果と、作業者による良否確認結果とを比較することで、変更した検査条件の適否を検証することができる。これにより、例えば再検査して不良判定された検査対象の中に、作業者の目視検査等により不良判定されたものが全て含まれていれば、変更後の検査条件が適切なものであると把握することができる。
【0014】
このように、作業者による良否確認結果を画像データ等に関連付けて記憶手段に記憶することで、不良判定された検査対象すべてについて変更後の検査条件の適否を検証しやすくなる。結果として、検査条件の検証作業の容易化等を図ることができる。
【0015】
ひいては、良品錯誤率(良品を誤って不良品と判定してしまう確率)を低下させられる適切な判定値等を見つけやすくなり、その後の検査における検査精度の向上をも図ることができる。
【0016】
また、本手段では、検査にて不良判定された検査対象に係る画像データのみを記憶し、良品判定されたものについては記憶しない構成となっている。このため、検査に用いられる画像データを全て記憶する構成と比べ、記憶手段に記憶される情報量を低減させることができ、記憶手段におけるデータ容量の増大を防止することができる。
【0017】
手段2.前記記憶手段に記憶された情報(作業者による良否確認結果等)を参酌して、前記変更手段により変更すべき任意の検査条件(判定値等)を算出する変更条件算出手段を備えていることを特徴とする手段1に記載の検査装置。
【0018】
上記手段2によれば、作業者による良否確認結果等に対応した適切な検査条件をより簡単に設定することができる。これにより、例えば作業者が人手により検査条件を新たに入力等することなく、ボタン操作ひとつで自動的に再検査を行うことも可能となる。結果として、検査条件の検証作業における作業性の向上等を図ることができる。
【0019】
手段3.前記再検査手段は、前記検査手段による検査の実行前に事前に前記記憶手段に記憶された所定の画像データ(バリデーション作業に用いられる画像データや、他のロットで行われた過去の検査にて記憶された画像データなど)についても前記再検査を実行することを特徴とする手段1又は2に記載の検査装置。
【0020】
上記手段3によれば、変更後の検査条件が所定ロットに係る検査のみならず、他のロットに係る検査等においても妥当なものであるか否か判断することができる。これにより、検査条件の妥当性について、さらなる検証を行うことができる。ひいては、その後の検査における検査精度のさらなる向上を図ることができる。
【0021】
手段4.搬送される帯状の容器フィルムに形成されたポケット部に内容物が収容され、当該ポケット部を塞ぐようにカバーフィルムが取着されるPTPシートの製造に際し用いられる検査装置であって、
前記内容物の収容された前記容器フィルムに対し所定の光を照射する照射手段と、
前記光の照射された前記内容物及び前記容器フィルムを撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段から得た画像データ、及び、予め設定した第1条件(第1判定値等)を基に、所定の検査対象に係る検査を実行し、当該検査対象の良否判定を行う検査手段と、
前記撮像手段から得た画像データの中から、前記第1条件よりも不良適合範囲の広い(不良判定される検査対象が多くなり得る)第2条件(第2判定値等)に適合する画像データを収集し記憶する画像収集手段とを備えたことを特徴とする検査装置。
【0022】
上記手段4によれば、検査対象の検査を行うための検査条件(第1条件)とは別に、それよりも不良適合範囲の広い条件(第2条件)を設定し、当該第2条件に適合する画像データを収集し記憶する。
【0023】
結果として、画像収集手段により収集した画像データを基に、例えば良品錯誤率を低下させられるような、検査条件の見直し作業を行うことができ、利便性の向上を図ることができる。
【0024】
手段5.手段1乃至4のいずれかに記載の検査装置を備えたことを特徴とするPTP包装機。
【0025】
上記手段5のように、上記検査装置をPTP包装機に備えることで、PTPシートの製造過程において不良品を効率的に除外できる等のメリットが生じる。
【0026】
一般に、PTP包装機は、帯状に搬送される容器フィルムに対しポケット部を形成するポケット形成手段と、前記ポケット部に対し内容物を充填する充填手段と、前記ポケット部を塞ぐようにして前記容器フィルムに対し帯状のカバーフィルムを取着する取着手段と、前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状のPTPフィルムをPTPシート単位に打ち抜くシート打抜手段とを備える。また、PTP包装機は、上記検査装置によって不良と判定されたPTPシートを排出する排出手段を備える。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず検査対象となるPTPシートについて詳しく説明する。
【0029】
図1(a)〜(c)に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。
【0030】
容器フィルム3は、例えば、PP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の比較的硬質で所定の剛性を有する透明又は半透明の熱可塑性樹脂材料によって構成されている。カバーフィルム4は、アルミニウムによって構成されている。
【0031】
PTPシート1は、平面視略矩形状に形成されており、シート長手方向に沿って配列された5個のポケット部2からなるポケット列が、シート短手方向に2列形成されている。つまり、計10個のポケット部2が形成されている。各ポケット部2には、錠剤5が1つずつ収容されている〔
図1(c)参照〕。
【0032】
PTPシート1は、帯状の容器フィルム3及びカバーフィルム4から形成された帯状のPTPフィルム6〔
図1(b)参照〕が打抜かれることで、シート状に製造される。
【0033】
次に、上記PTPシート1を製造するためのPTP包装機11の概略について
図2を参照して説明する。
【0034】
PTP包装機11の最上流側には、ロール状に巻回された容器フィルム3の原反が配置されている(図示略)。容器フィルム3は、ここから間欠的に搬送される。PTP包装機11には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、まず加熱装置14とポケット形成装置15とが順に配設されている。これら加熱装置14及びポケット形成装置15は、容器フィルム3に対しポケット部2を形成するためのものであり、本実施形態におけるポケット形成手段を構成する。
【0035】
また、PTP包装機11には、ポケット部2が形成された容器フィルム3の移送経路に沿って、錠剤投入装置16とフィルム受けロール17とが順に配設されている。錠剤投入装置16は、容器フィルム3の各ポケット部2に対し錠剤5を充填するためのものであり、本実施形態における充填手段を構成する。
【0036】
さらに、錠剤投入装置16とフィルム受けロール17との間には、第1検査装置21が設けられている。第1検査装置21は、錠剤5に関する異常や、容器フィルム3(シート部分)に関する異常を、ポケット部2の開口側から検査する透過式の検査装置である。第1検査装置21のより詳細な構成に関しては後述する。
【0037】
第1検査装置21により、例えば錠剤5が各ポケット部2に確実に充填されているか否かや、錠剤5の割れや欠け、錠剤5とは品種(形状等)の異なる異種錠の混入、異物の付着などを検出する検査が行われる。
【0038】
一方、ロール状に巻回されたカバーフィルム4の原反の引出し端は、前記フィルム受けロール17の方へと案内されている。フィルム受けロール17には、加熱ロール18が圧接可能となっており、両ロール17,18間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3にカバーフィルム4が貼着されるようになっている。これにより、錠剤5が各ポケット部2に充填されたPTPフィルム6が製造される。従って、フィルム受けロール17及び加熱ロール18により、本実施形態における取着手段が構成される。
【0039】
また、フィルム受けロール17の下流側におけるPTPフィルム6の移送経路には、PTPフィルム6の表側(ポケット部2の突出面側)に対応して第2検査装置22が設けられている。
【0040】
第2検査装置22は、錠剤5に関する異常や、PTPフィルム6(シート部分)に関する異常を、ポケット部2の突出部側から検査する反射式の検査装置である。従って、上記第1検査装置21による検査と相俟って、容器フィルム3(PTPフィルム6)の表裏両面側からの検査を実行可能となる。第2検査装置22のより詳細な構成に関しては後述する。
【0041】
上記第1検査装置21と同様、第2検査装置22では、例えば錠剤5が各ポケット部2に確実に充填されているか否かや、錠剤5の割れや欠け、錠剤5とは品種(色や形状等)の異なる異種錠の混入、異物の付着などを検出する検査が行われる。特に第2検査装置22では、異種錠の混入検査を行うに際し、錠剤5の色異常を検出する色識別検査が行われる。
【0042】
その後、PTPフィルム6は、図示しないシート打抜手段によってPTPシート単位に打抜かれる。本実施形態では、PTPフィルム6の幅方向にPTPシート1を2枚同時に打抜く構成となっている。これにより、PTPフィルム6の搬送方向をシート短手方向としたPTPシート1が製造される。
【0043】
尚、上記検査装置21,22によって不良判定された場合には、図示しない排出手段としての不良シート排出機構に不良品信号が送られる。これにより、その不良判定となったPTPシート1は、不良シート排出機構によって別途排出され、図示しない不良品ホッパに移送される。
【0044】
さて、PTP包装機11の概略は以上のとおりであるが、以下においては検査装置21,22のより具体的な構成について
図3を参照しつつ説明する。
【0045】
検査装置21,22は、それぞれ照射手段としての照明装置25、撮像手段としてのカメラ26、処理実行装置27、表示手段としての表示装置28、及び、入力手段としての入力装置29を備えている。
【0046】
照明装置25は、容器フィルム3やPTPフィルム6のポケット部2の突出部側に設けられており、赤外光を照射可能に構成されている。
【0047】
また、第1検査装置21において、カメラ26は、容器フィルム3を介して照明装置25とは反対側にあたる容器フィルム3のポケット部2の開口部側に設けられており、照明装置25から照射される光のうち、容器フィルム3を透過した光を二次元撮像する構成となっている。
【0048】
一方、第2検査装置22において、カメラ26は、照明装置25と同じ側にあたるPTPフィルム6のポケット部2の突出部側に設けられており、照明装置25から照射される光のうち、PTPフィルム6や錠剤5等に反射した光を二次元撮像する構成となっている。
【0049】
本実施形態では、カメラ26として、照明装置25から照射される赤外光の波長領域に感度を有するCCDカメラが採用されている。これに限らず、CMOSカメラを採用してもよい。
【0050】
そして、カメラ26によって撮像された画像データ(輝度画像データ)は、カメラ26内部においてデジタル信号に変換された上で、デジタル信号の形で処理実行装置27に入力される。
【0051】
表示装置28は、各種情報を表示するためのものであり、CRTや液晶を用いたディスプレイ装置である。本実施形態では、この表示装置28により、後述するような不良画像や検査条件などが表示される。
【0052】
入力装置29は、各種情報を入力するためのものであり、キーボード、ポインティングデバイスとしてのマウス、上記表示装置28と一体になったタッチパネルなどで構成されている。入力装置29は、本実施形態における変更手段を構成する。
【0053】
処理実行装置27は、いわゆるコンピュータシステムとして構成されており、画像処理等の各種処理を実行可能となっている。
【0054】
処理実行装置27は、画像メモリ31、検査結果及び統計データメモリ32、判定用メモリ33、画像・検査条件記憶装置34、カメラタイミング制御装置35、及び、CPU及び入出力インターフェース36を備えており、二値化処理や塊処理などの各種画像処理や、不良判定処理(検査処理)等を実施可能となっている。
【0055】
画像メモリ31は、カメラ26から出力される撮像画像の二次元イメージデータ(画像データ)を記憶する。この画像メモリ31に記憶された画像データに基づいて検査が実行される。勿論、検査の実行に際し、画像データに対し加工処理を施してもよい。例えばマスキング処理や、シェーディング補正などの処理を施すことが考えられる。シェーディング補正は、容器フィルム3の撮像範囲全体を照明装置25の赤外光で均一に照らすことは技術的に限界があることから、位置の相違により生じる赤外光の明度のばらつきを補正するためのものである。尚、検査時において画像データに対し二値化処理が行われた二値化画像データや、マスキング処理が行われたマスキング画像データなども、当該画像メモリ31に記憶されることとなる。
【0056】
検査結果及び統計データメモリ32は、イメージデータに関する座標等のデータ、外観検査結果データ、及び、該外観検査結果データを確率統計的に処理した統計データなどを記憶するものである。これらの外観検査結果データや統計データは、CPU及び入出力インターフェース36の制御に基づき、表示装置28に表示させることができる。また、これらの外観検査結果データや統計データに基づいてCPU及び入出力インターフェース36がPTP包装機11に制御信号を送出することもできる。
【0057】
判定用メモリ33は、検査に用いられる判定値(閾値等)を記憶するものである。判定値は、検査項目毎に設定される。なお、その中には、錠剤面積値を検査するための判定値など、過去の検査で良品と判定されたものについての検査計測結果を統計して決定される判定値もある。このような判定値は、検査途中において、検査計測結果に応じて変化していく。本実施形態でいう判定値は、このような検査結果に応じて変化していく判定値を含むものとする。
【0058】
画像・検査条件記憶装置34は、本実施形態における記憶手段を構成するものであり、ハードディスク装置により構成されている。画像・検査条件記憶装置34には、検査によって不良と判定された場合に、「欠錠」や「シート異物」等の検査項目、不良判定の日時、画像データ、検査に用いられた検査条件などが記憶される。
【0059】
カメラタイミング制御装置35は、カメラ26の撮像タイミングを制御するものである。かかるタイミングはPTP包装機11に設けられた図示しないエンコーダからの信号に基づいて制御され、容器フィルム3やPTPフィルム6を所定量送るごとにカメラ26による撮像が行われる。
【0060】
CPU及び入出力インターフェース36は、本実施形態における検査手段及び再検査手段を構成するものであり、検査装置21,22における各種制御を司る。例えば各種処理プログラムを実行すると共に、PTP包装機11に制御信号を送出し又はPTP包装機11から動作信号などの各種信号を受信する機能を有する。これによって、PTP包装機11の不良シート排出機構などを制御することが可能となる。また、CPU及び入出力インターフェース36は、表示装置28に表示データを送出する機能を有し、検査結果などを表示装置28に表示させることができる。さらに、CPU及び入出力インターフェース36は、入力装置29から情報を入力する機能を有し、検査条件等の変更設定を行うことができる。
【0061】
次に、本実施形態における検査処理について透過光式の第1検査装置21の場合を例に
図4のフローチャートに基づき説明する。この処理は、CPU及び入出力インターフェース36によって実行される。尚、説明は省略するが、第2検査装置22においても同様の処理が行われる。
【0062】
まずステップS100において、検査を実行する。より具体的には、画像メモリ31に記憶されている画像データに基づき、予め設定された判定値〔
図10(a)参照〕を用いてポケット部2に充填された錠剤5の異常などを検査する。
【0063】
尚、この検査は、PTPシート1の単位で良/不良を判定するために各ポケット部2についてなされる。したがって、各ポケット部2についての検査には、シート部ひいてはポケット部2を特定するためのシート位置追従量(シート部を特定するために、例えばシート検査枠の移動が許容される量)が用いられる。また、検査の結果は、検査結果及び統計データメモリ32に記憶される。
【0064】
続くステップS110では、不良判定されたか否かを判断する。ここで不良判定されたと判断された場合(ステップS110:YES)、ステップS120へ移行する。一方、不良判定されなかった場合(ステップS110:NO)、すなわち良品と判定された場合には、以下の処理を実行せず、本検査処理を終了する。
【0065】
不良判定された場合に移行するステップS120では、不良発生日時、不良項目を記憶する。続くステップS130では、不良判定されたときの画像データを記憶する。ここで、画像データは、不良発生日時、不良項目に関連付けて記憶される。
【0066】
次のステップS140では、不良とされた錠剤5に対応するポケット部2を特定するためのシート位置追従量を記憶し、ステップS150では、判定値を記憶する。なお、判定値は不良項目に対応するものだけを記憶してもよいし、各検査項目の判定値を全て記憶するようにしてもよい。
【0067】
そして、ステップS160では不良項目、不良発生時刻を表示装置28に表示し、その後、本検査処理を終了する。なお、不良発生日時、不良項目、画像データ、シート位置追従量、及び、判定値は、画像・検査条件記憶装置34に記憶される。
【0068】
ここで表示装置28の表示画面に表示される検査結果表示の一例について
図5を参照して説明する。
図5は、検査処理実行時における表示装置28の表示画面を例示した説明図である。
【0069】
画面の左側には、検査対象となっている部分の容器フィルム3の画像g1,g2が表示される。なお、これらの画像g1,g2においては、容器フィルム3の端部の図示を省略してある。そして、その画像g1,g2の右側には、検査結果が表示される。本実施形態におけるPTPシート1は、シート単位で10個のポケット部2を有するものである〔
図1(a)参照〕。したがって、シート単位の検査では、10個のポケット部2に充填された錠剤5が検査されることになる。
図5中、記号A,Bで示した枠線の内部にあるポケット部2が、容器フィルム3の中で現在、検査対象となっているものを示す。つまり、この枠線A,Bは、検査対象となる1枚のPTPシート1に対応するものである。ここに示される画像g1,g2は、検査対象が変わると更新されていく。なお、
図5において、画像g1,g2が「奥側」、「手前側」となっているのは、上述したように、容器フィルム3の幅方向において2枚のPTPシート1が打ち抜かれるためである〔
図1(b)参照〕。したがって、検査結果の表示も、奥側、手前側という具合に、上下に分けてなされる。
【0070】
検査結果の表示項目は、
図5に示すように、「全欠」、「欠錠」、「錠剤不良」、「処理不良」、「色不良」、「テープ継ぎ目」、「シート巨塊異物」、「シート異物(塊)」及び「シート異物(線)」という検査項目と、「良品数」、「不良数」、「不良率」、「合計良品数」、「合計不良数」及び「合計不良率」という統計データ、及び、不良発生情報からなる。
【0071】
最初に検査項目について説明する。「全欠」は、ポケット部2に錠剤5が全く充填されていないことを示す。「欠錠」は、いずれかのポケット部2に錠剤5が充填されていないことを示す。「錠剤不良」は、錠剤に欠け、割れ、形状の異常等があることを示す。
【0072】
「処理不良」は、検査処理の実行がPTPフィルム6の搬送速度に間に合わなくなったことを示し、例えば、膨大な数の異物が誤検出された場合や、画像の輝度が小さすぎた場合等に生じ得る。「色不良」は、RGB輝度のズレが大きくなったことを示す。但し、「色不良」については、第2検査装置22においてのみ検査される項目である。
【0073】
また、ロール状に巻回されたフィルムの原反がなくなると、フィルム終端と新たなフィルムの始端とをテープで継ぐため、この継ぎ目部分は、排出対象となる。「テープ継ぎ目」は、この継ぎ目部分を検出したことを示す。
【0074】
「シート異物」は、異物が混入したことを示す。このうち「シート巨塊異物」は、数mm(例えば5mm)以上という大きな異物を検出したこと示し、例えば工具などをフィルム上に誤って置き忘れた場合等に生じ得る。また、「シート異物(塊)」は、数mm(例えば5mm)未満の小さな異物を検出したこと示し、例えば錠剤粉などを検出した場合等に生じ得る。「シート異物(線)」は、毛髪などの線状の異物を検出したことを示す。
【0075】
統計データとしての「良品数」、「不良数」及び「不良率」は、奥側と手前側とでそれぞれ算出され、順に、良品の数の合計、不良品の数の合計、全体数に対する不良品の数の割合を示す。「合計良品数」、「合計不良数」及び「合計不良率」は、奥側と手前側との合計であり、順に、良品の数の合計、不良品の数の合計、全体数に対する不良品の数の割合を示す。
【0076】
不良発生情報は、不良発生時刻、及び、不良項目からなり、奥側と手前側とでそれぞれ表示される。本実施形態では、
図5に示すように、例えば「14:34:00 錠剤不良」(記号Cで示した)や「14:31:30 欠錠」(記号Dで示した)などの表示がなされる。この不良発生情報は、最新のものから所定件数(例えば9件)が表示され、それよりも過去のものは表示されないようになっている。この不良発生情報の表示は、
図4中のステップS160にてなされる。
【0077】
次に、本実施形態における情報表示処理を
図6のフローチャートに基づき説明する。この処理は、CPU及び入出力インターフェース36によって実行される。尚、上記検査処理と同様に本処理についても第1検査装置21を例に説明する。
【0078】
最初のステップS200において、表示中の不良発生情報における不良項目が選択されたか否かを判断する。不良項目の選択は、入力装置29を介してなされる。例えば、不良項目を特定する情報をキーボードから入力して選択したり、マウスを用いて不良項目を選択したり、あるいは、タッチパネルを用いて作業者が表示画面に触れて不良項目を選択したりすることが考えられる。なお、マウスやタッチパネルで選択する場合、不良項目自体を選択してもよいし、不良項目に対応して表示される不良発生時刻を指示して不良項目を選択するようにしてもよい。
【0079】
表示中の不良項目が選択された場合に移行するステップS210では、不良項目に関連付けて記憶された容器フィルム3の画像を表示する。そして、続くステップS220では、不良項目に関連付けて記憶されたシート位置追従量を表示し、次のステップS230では、不良項目に関連付けて記憶された判定値を表示し、その後、本処理を終了する。
【0080】
検査結果表示の一例を
図5に示したが、例えば記号Cで示す不良発生情報中の錠剤不良の項目が選択された場合の情報表示について
図7を参照して説明する。
図7は、不良発生情報の選択時における表示装置28の表示画面を例示した説明図である。
【0081】
図7中の記号Cで示す不良発生情報中の錠剤不良の項目が選択されると(
図6中のステップS200:YES)、例えばタッチパネルを介して作業者が画面上のこの項目に触れると、不良判定されたときの画像g3が、記号Eで示す枠線と共に表示される(ステップS210)。さらに、不良発生情報の欄の下方に、記号Fで示すように不良判定されたときのシート位置追従量が表示されると共に、記号Gで示すように判定値が表示される(ステップS220,ステップS230)。
【0082】
次に、本実施形態における再検査処理の手順について
図8のフローチャートを参照して説明する。尚、上記検査処理と同様に本処理についても第1検査装置21を例に説明する。
【0083】
まず最初のステップS300において、作業者は、上記検査処理により不良判定され排出されたPTPシート1や、上記情報表示処理により表示される不良画像を目視検査等で確認しつつ、その良否確認結果について入力する。
【0084】
例えば本実施形態では、上記情報表示処理において上記検査結果と共に、
図9に示すようなチェック画面W1を表示し、当該チェック画面W1の「良品画像」又は「不良画像」に対応したチェック欄に対し作業者がチェックを入れる。
【0085】
ここで入力された良否確認結果は、上記検査処理にて不良判定された画像データ等と関連付けて、画像・検査条件記憶装置34に記憶される。尚、かかる処理は、不良判定された全てのPTPシート1について行われる。
【0086】
次にステップS310において、作業者は、上記情報表示処理により表示される不良項目や判定値、上記良否確認結果(ステップS300)などを参酌して検査条件(判定値)の変更を行う。
【0087】
ここで本実施形態の検査において用いられる判定値(輝度閾値)について
図10(a),(b)を参照して説明する。
図10(a),(b)は、判定値入力画面の内容を例示した説明図である。
【0088】
例えば
図10(a)に示す例では、「錠剤検出」用に、下限「0」〜上限「70」の輝度範囲が設定されており、当該輝度値「0」〜「70」の範囲内にあるものが「錠剤」として検出される。尚、第1検査装置21により検出される輝度値の最下限(暗側)は「0」、最上限(明側)は「255」となっている。
【0089】
「シート異物(塊状)検出」用に、下限「0」〜上限「180」の輝度範囲が設定されており、当該輝度値「0」〜「180」の範囲内にあるものが「シート異物(塊状)」として検出される。
【0090】
「ポケット検出」用に、下限「70」〜上限「230」の輝度範囲が設定されており、当該輝度値「70」〜「230」の範囲内にあるものが「ポケット部」として検出される。
【0091】
「シート異物(線状)検出」用に、下限「0」〜上限「225」の輝度範囲が設定されており、当該輝度値「0」〜「225」の範囲内にあるものが「シート異物(線状)」として検出される。
【0092】
また、「シート異物(線状)微分検出」用に輝度値「60」が設定され、「シート異物(線状)微分候補検出」用に輝度値「75」が設定されている。
【0093】
そして、ステップS310の判定値変更処理においては、例えば
図10(b)に示すように各判定値を変更する。
【0094】
図10(b)の例では、「錠剤検出」用の上限を輝度値「70」から「80」に変更している。これにより、より多くの範囲を錠剤領域として検出することができる。
【0095】
また、「シート異物(塊状)検出」用の上限を輝度値「180」から「160」に、「シート異物(線状)検出」用の上限を輝度値「225」から「200」にそれぞれ変更すると共に、「シート異物(線状)微分検出」用の輝度値を「60」から「80」に、「シート異物(線状)微分候補検出」用の輝度値「75」から「95」にそれぞれ変更している。これにより、シート上の微細な傷等を異物として検出しなくなる。
【0096】
上記ステップS310の判定値変更処理の終了後、ステップS320において、再検査を実行する。
【0097】
より詳しくは、上記判定値変更処理にて変更された検査条件(判定値)に基づいて、画像・検査条件記憶装置34に記憶された画像データについて再検査を実行する。例えば表示装置28の表示画面(タッチパネル)に表示された自動再検査スイッチ(図示略)を押すことにより、自動的に、今回のロットにて不良判定された全てのPTPシート1について再検査が行われる。
【0098】
その後、ステップS330にて再検査結果を表示して、本処理を終了する。ここで表示装置28の表示画面に表示される再検査結果表示の一例について
図11を参照して説明する。
図11は、再検査処理実行時における表示装置28の表示画面を例示した説明図である。
【0099】
図11に示す例では、画面の左側に、画像・検査条件記憶装置34に記憶された不良検査結果(ステップS130)及び良否確認結果(ステップS300)、並びに、再検査結果(ステップS330)の対応関係を示す対応リストW2が表示される。また、リストW2の右側には、上記検査処理(ステップS100)に係る統計データW3と、上記再検査(ステップS330)に係る統計データW4とが表示される。
【0100】
そして、作業者は、対応リストW2や統計データW3,W4を比較参照することで、変更した検査条件の適否を検証することができる。ここで例えば再検査して不良判定されたPTPシート1の中に、作業者の目視検査等により不良判定されたものが全て含まれていれば、変更後の検査条件が適切なものであると把握することができる。
図11の例において、変更後の検査条件が適切なものである場合には、44枚の良品のPTPシート1が誤って不良品と判定され排出されていたこととなる。
【0101】
そして、検査条件を段階的に変更しながら上記処理(ステップS310〜S330)を繰り返し行うことにより、より適切な検査条件を見つけることができる。結果として、良品錯誤率を低下させ、その後の検査における検査精度の向上を図ることができる。
【0102】
以上詳述したように、本実施形態によれば、作業者による良否確認結果を画像データ等に関連付けて画像・検査条件記憶装置34に記憶することで、不良判定されたPTPシート1すべてについて変更後の検査条件の適否を検証しやすくなる。結果として、検査条件の検証作業の容易化等を図ることができる。
【0103】
ひいては、良品錯誤率を低下させられる適切な判定値等を見つけやすくなり、その後の検査における検査精度の向上をも図ることができる。
【0104】
また、本実施形態では、検査にて不良判定されたPTPシート1に係る画像データのみを記憶し、良品判定されたものについては記憶しない構成となっている。このため、検査に用いられる画像データを全て記憶する構成と比べ、画像・検査条件記憶装置34に記憶される情報量を低減させることができ、画像・検査条件記憶装置34におけるデータ容量の増大を防止することができる。
【0105】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0106】
(a)上記実施形態では、内容物が錠剤5である場合について具体化しているが、内容物の種別、形状等については特に限定されるものではなく、例えば食品や電子部品等が内容物として充填される構成であってもよい。
【0107】
勿論、これらの内容物に対応して形成されるポケット部2の形状や数、配列、大きさ等に関しても上記実施形態に限定されるものではない。
【0108】
(b)検査項目や検査条件の内容は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、検査条件(判定値)として「輝度」を用いて画像データの良否判定を行っているが、これに限らず、錠剤5の「周長(長さ)」や「欠けの割合(面積)」等を求め、これに基づき良否判定を行う構成としてもよい。
【0109】
(c)上記実施形態では特に言及していないが、再検査処理の判定値変更処理(ステップS310)を行うにあたり、画像・検査条件記憶装置34に記憶された情報を参酌して、変更条件算出手段としてのCPU及び入出力インターフェース36が、より適切な検査条件を算出する構成としてもよい。
【0110】
ひいては、判定値変更処理(ステップS310)において、CPU及び入出力インターフェース36が、自身の算出した検査条件を、予め設定された検査条件に代えて設定(変更)する構成としてもよい。かかる場合には、CPU及び入出力インターフェース36が変更手段を構成することとなる。
【0111】
かかる構成により、例えば作業者が人手により検査条件を新たに入力等することなく、ボタン操作ひとつで自動的に再検査を行うことも可能となる。結果として、検査条件の検証作業における作業性の向上等を図ることができる。
【0112】
勿論、CPU及び入出力インターフェース36が算出した検査条件を、作業者が入力装置29を介して手作業により入力する構成としてもよい。
【0113】
(d)上記実施形態では特に言及していないが、再検査処理を行うにあたり、検査処理の実行前に事前に画像・検査条件記憶装置34に記憶された所定の画像データ(バリデーション作業に用いられる画像データや、他のロットで行われた過去の検査にて記憶された画像データなど)についても再検査を実行する構成としてもよい。
【0114】
これにより、変更後の検査条件が所定ロットに係る検査のみならず、他のロットに係る検査等においても妥当なものであるか否か判断することができる。結果として、検査条件の妥当性について、さらなる検証を行うことができる。ひいては、その後の検査における検査精度のさらなる向上を図ることができる。
【0115】
(e)上記実施形態において、検査の実行に際し画像データに加工処理を施してもよいことは既に述べたが、不良判定された場合に、カメラ26から直接的に出力されるイメージデータそのものを画像データとして画像・検査条件記憶装置34に記憶した場合、例えば二値化基準データ(二値化の閾値)等の加工処理に関する条件情報については、画像データからは算出することができない。
【0116】
そこで、シート位置追従量、判定値に加え、このような加工処理に関する条件情報を、画像・検査条件記憶装置34に記憶する構成としてもよい。このようにすれば、検査の実行に際して画像データに加工処理を施すような構成にあっても、忠実に検査を再現できることになる。
【0117】
勿論、このような条件情報を記憶する代わりに、加工処理を施した後の画像データを画像・検査条件記憶装置34に記憶するようにしてもよい。
【0118】
(f)また、上記実施形態に代えて、検査を行うための検査条件(第1条件)とは別に、それよりも不良適合範囲の広い条件(第2条件)を設定し、カメラ26から得た画像データの中から前記第2条件に適合する画像データを収集し、画像収集手段としての画像・検査条件記憶装置34に記憶する構成としてもよい。
【0119】
かかる構成により、画像・検査条件記憶装置34に収集した画像データを基に、例えば良品錯誤率を低下させられるような、検査条件の見直し作業を行うことができ、利便性の向上を図ることができる。