【解決手段】 コイル状の配線10は、プリント基板の2つの層に形成された配線パターン12、13と基板の2つの層を貫通するスルーホール11とによって構成される。また、電力伝送用導体66がプリント基板に隣接するように配置された場合に、コイル状の配線10の軸方向が電力伝送用導体66の軸方向に垂直になるように、且つ、スルーホール11の軸方向が電力伝送用導体66の軸方向に垂直になるように、コイル状の配線10を電流・電圧検出用プリント基板に配置する。これにより、空間的な制約が従来よりも多い箇所においても電流を検出することができる。
交流電力の伝送経路として用いる電力伝送用導体を流れる交流電流を検出するためのカレントトランスとして機能するコイル状の配線及び前記電力伝送用導体に生じる交流電圧を検出するためのコンデンサの電極として機能する電極部を有する電流・電圧検出用プリント基板であって、
前記電極部が、前記コイル状の配線よりも前記電力伝送用導体に近い位置に配置されているとともに、
前記コイル状の配線が、プリント基板の2つの層に形成された導体の部材と前記基板の2つの層を貫通する導体の部材とによって構成され、且つ、前記電力伝送用導体がプリント基板に隣接するように配置された場合に、前記コイル状の配線の軸方向が前記電力伝送用導体の軸方向に垂直になるように、且つ、前記基板の2つの層を貫通する導体の部材の軸方向が前記電力伝送用導体の軸方向に垂直になるように、前記コイル状の配線がプリント基板に配置された電流・電圧検出用プリント基板。
前記電極部は、前記電力伝送用導体から前記コイル状の配線の方を見たときに、前記コイル状の配線が隠れる大きさを有する請求項1又は2に記載の電流・電圧検出用プリント基板。
前記電流・電圧検出用プリント基板の2つの層に形成された導体が配線パターンであり、前記基板の2つの層を貫通する導体がスルーホールである請求項1〜6のいずれかに記載の電流・電圧検出用プリント基板。
【背景技術】
【0002】
例えば、インピーダンス整合装置や高周波電源装置のように、交流電力の電流と電圧とを検出し、検出した電流と電圧とを用いて制御等を行うものがある。その一例として、インピーダンス整合装置について説明する。
【0003】
図8は、インピーダンス整合装置が用いられる高周波電力供給システムの一例のブロック図である。
【0004】
この高周波電力供給システムは、半導体ウエハや液晶基板等の被加工物に、例えばプラズマエッチング、プラズマCVDといった加工処理を行うためのシステムであり、高周波電源装置61、伝送線路62、インピーダンス整合装置63、負荷接続部64及び負荷65(プラズマ処理装置65)で構成されている。
【0005】
高周波電源装置61は、高周波電力を出力して、負荷となるプラズマ処理装置65に供給するための装置である。なお、高周波電源装置61から出力された高周波電力は、同軸ケーブルからなる伝送線路62及びインピーダンス整合装置63及び遮蔽された銅板からなる負荷接続部64を介してプラズマ処理装置65に供給される。また、一般にこの種の高周波電源装置61では、無線周波数帯域の周波数を有する高周波電力を出力している。なお、無線周波数帯域の周波数は、厳密には定まっていないが、数百kHz〜数GHz(例えば2.45GHz程度)までが一般的である。
【0006】
プラズマ処理装置65は、ウエハ、液晶基板等を加工(エッチング、CVD等)するための装置である。
【0007】
インピーダンス整合装置63は、内部に図示しない可変インピーダンス素子(例えば、可変コンデンサ、可変インダクタ等)等で構成された整合回路を備えていて、高周波電源装置61と負荷65との間がインピーダンス整合するように、整合回路内の可変インピーダンス素子のインピーダンスを変化させる制御機能を有する。
【0008】
このような制御を行うために、インピーダンス整合装置63の入力端63aから整合回路までの間に、高周波電源装置61から出力された高周波の電流を検出する電流検出器および高周波の電圧を検出する電圧検出器を設け、これらの検出器で検出した電流と電圧とを用いて、進行波電力や反射波電力等の情報を求めている。そして、求めた情報を用いて、インピーダンス整合するように可変インピーダンス素子のインピーダンスを制御している。
【0009】
図9は、インピーダンス整合装置63の入力端から整合回路67までの間に設けられる電流検出器80および電圧検出器90の概略の回路図である。
図9に示すように、入力端63aから整合回路67までは、電力の伝送経路となる電力伝送用導体66(例えば棒状の銅)が設けられている。そして、電力伝送用導体66の途中に、電流検出器80と電圧検出器90とが設けられている。
【0010】
電流検出器80は、カレントトランス部81、カレントトランス部81の出力配線82,83、電流用変換回路84、および電流用変換回路84の出力配線85によって構成されている。この電流検出器80では、電力伝送用導体66に流れる交流電流に応じた電流がカレントトランス部81に流れる。この電流は、出力配線82,83を介して電流用変換回路84に入力され、所定の電圧レベルに変換されて電流用変換回路84の出力配線85から出力されるようになっている。
【0011】
また、電圧検出器90は、コンデンサ部91、コンデンサ部91の出力配線92、電圧用変換回路93、および電圧用変換回路93の出力配線94によって構成されている。この電圧検出器90では、電力伝送用導体66に生じる交流電圧に応じた電圧がコンデンサ部91に生じる。なお、コンデンサ部91は、電力伝送用導体66の周囲に導体91bを設けたものである。この導体91bは、電力伝送用導体66の対向する部分91aと対となってコンデンサの電極として機能するので、コンデンサ部91には、電力伝送用導体66に生じている電圧に応じた電圧が生じる。この電圧は、出力配線92を介して電圧用変換回路93に入力され、所定の電圧レベルに変換されて電圧用変換回路93の出力配線94から出力されるようになっている。なお、導体91bは、上記のようにコンデンサの電極として機能するので、以下ではコンデンサ部の電極91bと表現する。
【0012】
そして、電流検出器80および電圧検出器90によって検出した電流と電圧とを用いて、上述したように、進行波電力や反射波電力等の情報を求めている。
【0013】
図10は、電流検出用プリント基板6の一例を示す図である。
図10において、同図(a)は、電流検出用プリント基板6の平面図(基板の上から見た図)であり、同図(b)は、同図(a)の一部(点線で囲んだA部分)を拡大した概略図であり、同図(c)は、同図(b)の図示を簡略化するために、直線的に展開した図であり、同図(d)は、同図(c)を側面から見た場合の電流検出用プリント基板6の配線を図示したものである。なお、同図(d)に図示した配線は、説明のために、通常は見えない部分を透過させて図示している。
【0014】
図10(a)〜(d)に示すように、電流検出用プリント基板6は、基板を貫通する貫通穴101が設けられており、その周囲にコイル状に形成された配線10’(以下、コイル状の配線10’という)が設けられている。このコイル状の配線10’は、基板を貫通しながら、基板の表面121に形成される配線パターン12と裏面122に形成される配線パターン13とを交互に接続することによって両端部10a,10bを有するコイル状に形成されたものである。この配線の内、基板を貫通する部分は、スルーホール(Through Hole)11によって形成され、基板の表面および裏面の配線は、配線パターン12,13によって形成されている。
【0015】
なお、
図10(b)〜(c)において、点線で示した部分は、基板の裏面の配線パターンを示すが、透過したものであるため、点線で示している。また、コイル状の配線10’の両端部10a,10bには、それぞれ出力配線21,22が接続されている。この出力配線がそれぞれ出力端子23,24に接続されている。
【0016】
また、この例の場合は、両面構造の基板(以下、両面基板という)であるために、1つの絶縁体部110の表面層および裏面層に配線パターンが形成されることになる。
【0017】
図10に示したような電流検出用プリント基板6にすると、交流電流が流れる電力伝送用導体66が、貫通穴101の内側を通るように配置された場合に、電磁誘導によって、コイル状の配線10’に電流が流れる。すなわち、プリント基板にカレントトランス機能を持たすことができる。換言すれば、電流検出用プリント基板6に、カレントトランスを形成することができる。
したがって、コイル状の配線10’の部分は、
図9に示した回路図のカレントトランス部81に相当する。
【0018】
図11は、電流検出用プリント基板6の他の一例を示す図である。
図11において、同図(a)は、電流検出用プリント基板6の平面図であり、同図(b)は、同図(a)の一部(点線で囲んだB部分)を拡大した概略図であり、同図(c)は、同図(b)の図示を簡略化するために、直線的に展開した図であり、同図(d)は、同図(c)を側面から見た場合の電流検出用プリント基板6の配線を図示したものであり、同図(e)は、電流検出用プリント基板6の配線を、出力配線21等の部分を中心に、側面から図示したものである。なお、
図11に図示した配線は、説明のために、通常は見えない部分を透過させて図示している。また、便宜上、電流検出用プリント基板6、スルーホール11、配線パターン12,13等は、
図10と同符号を用いている。
【0019】
図11に示す電流検出用プリント基板6は、基本的には、
図10に示した電流検出用プリント基板6と同様であるが、基板が多層構造になっていて、コイル状の配線10’が内部の層間に形成されている。
【0020】
なお、本明細書では、多層構造の基板(以下、多層基板という)を構成する絶縁体部を、図面の上部から見て順に、第1絶縁体部、第2絶縁体部、第3絶縁体部、・・・という具合に呼ぶ。また、基板の各絶縁体部の間に形成される導体層を、図面の上部から見て順に、第1導体層、第2導体層、第3導体層、・・・という具合に呼ぶ。また、基板の各絶縁体部の間に形成される導体層を総称して中間層と呼ぶ。また、基板の表面に形成される導体層を表面層、基板の裏面に形成される導体層を裏面層と呼ぶ。
【0021】
なお、両面基板も表面層および裏面層の2つの層があるので、多層基板と言えるが、絶縁体部が1つしかないので、基板の各絶縁体部の間に形成される導体層がない形態である。
【0022】
図11の例では、基板の絶縁体部が、第1絶縁体部111、第2絶縁体部112、および第3絶縁体部113の3つの絶縁体部で構成されているために、第1絶縁体部111と第2絶縁体部112との間に第1導体層131が形成され、第2絶縁体部112と第3絶縁体部113との間に第2導体層132が形成されている。また、基板の表面121(第1絶縁体部の上の面)には表面層が形成可能である。また、基板の裏面122(第3絶縁体部の下の面)には裏面層が形成可能であるが、
図11の例では、基板の裏面層を設けていない。
【0023】
そのために、
図11の場合、コイル状の配線10’は、第1導体層131と第2導体層132との層間に形成されていることになる。したがって、コイル状の配線10’が、基板の外側からは見ることができない構造にすることもできる。また、このような場合も、コイル状の配線10’の部分は、
図9に示した回路図のカレントトランス部81に相当する。
【0024】
また、
図11(e)に示すように、コイル状の配線10’の出力配線21は、第1導体層131に形成されたコイル状の配線10’の一端10aに接続された配線パターン21aと、スルーホール21bと、基板の表面に形成された配線パターン21cによって形成されて、出力端子23に接続される。コイル状の配線10’の出力配線22については、同様であるために説明を省略する。
【0025】
また、一般的に、スルーホールとは、基板の層間に貫通穴を開け、その内側に導体層(例えば銅)を設けることによって、基板の層間の導通をさせるものである。なお、基板の層間とは、基板の表裏間にある全ての層間の場合もあるし、一部分の層間の場合もある。
【0026】
このようなスルーホールは、リード線を挿入するタイプのものもあるが、層間の導通のみを目的としたスルーホールは、特にバイアホール(Via Hole)と呼ばれる。そして、バイアホールには、基板の表面から裏面に亘って貫通穴を開ける貫通型のバイアホール(Via Hole)と、特定の層間だけで貫通穴を開けるインターステシャルバイアホール(Interstitial Via Hole)とがある。また、インターステシャルバイアホールには、基板の片面から穴が見えるブラインドバイア(Blind Via)と、基板の両面から穴が見えないベリードバイア(Buried Via)とがある。
【0027】
図12は、電圧検出用プリント基板7の一例を示す図である。
図12において、同図(a)は、電圧検出用プリント基板7の平面図であり、同図(b)は、同図(a)の一部(点線で囲んだC部分)を拡大した概略図であり、同図(c)は、同図(b)の図示を簡略化するために、直線的に展開した図であり、同図(d)は、同図(c)を側面から見た場合の電流検出用プリント基板6の配線を図示したものである。なお、同図(d)に図示した配線は、説明のために、通常は見えない部分を透過させて図示している。
【0028】
図12(a)〜(d)に示すように、電圧検出用プリント基板7は、基板を貫通する貫通穴201が設けられており、その周囲にリング状の配線30が設けられている。このリング状の配線30は、貫通穴201の周囲に、基板を貫通するスルーホール31を複数設け、且つ基板の表面および裏面にスルーホール部を繋げるように配線パターン32,33を設けることによって形成されたものである。そのために、基板の表面および裏面にある配線パターン32,33の間にスルーホールが設けられているので、基板の厚みと略同じ厚みを有するように形成されて、あたかも、リング状の配線30となる。
【0029】
なお、
図12(b)〜(c)では、基板の表面および裏面にある配線パターン32、33が重なっている。また、リング状の配線30には、出力配線35が接続されている。この出力配線が出力端子36に接続されている。
【0030】
また、この例の場合は、両面構造の基板(以下、両面基板という)であるために、1つの絶縁体部210の表面層および裏面層に配線パターンが形成されることになる。
【0031】
図12に示したような電圧検出用プリント基板7にすると、交流電圧が生じている電力伝送用導体66が、貫通穴201の内側を通るように配置された場合に、リング状の配線30が、前記電力伝送用導体66の内、リング状の配線30と対向する箇所と対となるコンデンサの電極として機能する。すなわち、プリント基板にコンデンサの電極としての機能を持たすことができる。したがって、リング状の配線30の部分は、
図9に示した回路図のコンデンサ部の電極91bに相当する。
【0032】
図13は、従来の電流・電圧検出器70の概略の外観図である。
図13において、同図(a)は、電流・電圧検出器70を立体的に示した概略の外観図であり、同図(b)は、導体製の筐体71の側面から見た概略の外観図であり、同図(c)は、同図(b)の筐体71を取り除いた場合の図である。なお、
図13(b)及び(c)においては、電力伝送用導体66の部分を点線で表している。
【0033】
この
図13(a)に示すように、電流・電圧検出器70は、電力伝送用導体66が筐体71を貫通できる構造となっている。なお、電力伝送用導体66およびその周囲にある絶縁体69は、電流・電圧検出器70の構成には含まれないが、説明に必要であるので、図示している。絶縁体69は、電力伝送用導体66と電流・電圧検出器70との絶縁を行うためのものである。筐体71は、アルミニウム等の導体で作られている。
【0034】
また、
図13(c)に示すように、筐体71内に、電流検出用プリント基板6と電圧検出用プリント基板7とが収容された構造となっている。そのために、筐体71内を通過する電力伝送用導体66に流れる電流を電流検出用プリント基板6によって検出し、電力伝送用導体66に生じている電圧を電圧検出用プリント基板7によって検出することが出来る構造になっている。
【0035】
すなわち、
図13(b)に示した例で説明すると、電流・電圧検出器70の左側の部分が
図9に示した電圧検出器80に相当し、右側の部分が、
図9に示した電圧検出器80に相当することになる。
【0036】
なお、
図13(b)及び
図14に示すように、電流検出用プリント基板6の貫通穴の内側には、電力伝送用導体66と電流検出用プリント基板6との間に円筒形状の遮蔽部72が設けられており、電力伝送用導体66から電流検出用プリント基板6に向かう電界を遮蔽するようになっている。この理由は、電流検出に対する電界の悪影響を低減させるためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0038】
上述したように従来の電流検出用プリント基板6には貫通穴101が設けられ、その貫通穴101に垂直に電力伝送用導体66を貫通させたときの電流を、貫通穴101の周囲に形成したコイル状の配線10’及を用いて検出していた。
【0039】
図15は、電流検出用プリント基板6の厚みL1等を示す図である。
この
図15に示すように、コイル状の配線10’の幅L2[mm]は、電流検出用プリント基板6の厚みL1[mm]よりも大きい。また、出力配線21,22及び出力端子23,24も含めた幅L3[mm]は電流検出用プリント基板6の厚みL1[mm]に比べてかなり大きなものとなる。
【0040】
また、コイル状の配線10’は、貫通穴101の周囲の全周に渡って形成されているので、電流検出用プリント基板6の貫通穴101に垂直に電力伝送用導体66を貫通させたときの電力伝送用導体66における電力伝送用導体66から電流検出用プリント基板6の端までの距離の最小値は、L2+α[mm]となる。そのため、電流検出用プリント基板6を配置する場所には、
図13(c)に示すように、電力伝送用導体66の径方向に対して、電力伝送用導体66から少なくともL2+α[mm]の空間的な余裕が必要となる。
【0041】
電力伝送用導体66の径方向に対して空間的な制約がない場合は、従来の電流検出用プリント基板6でも問題ない。しかし、電力伝送用導体66の径方向に対して空間的な制約があり、電力伝送用導体66から少なくともL2+α[mm]の空間的な余裕がない場合には、従来の電流検出用プリント基板6を用いることができない。
【0042】
本発明は、上記事情のもとで考え出されたものであって、電力伝送用導体66の径方向(360度の全てではなく一方向)に対する空間的な制約が従来よりも多い箇所においても使用できるカレントトランス機能を有するプリント基板を提供することを目的としている。また、このプリント基板を用いた電流・電圧検出器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0043】
第1の発明によって提供される電流・電圧検出用プリント基板は、
交流電力の伝送経路として用いる電力伝送用導体を流れる交流電流を検出するためのカレントトランスとして機能するコイル状の配線及び前記電力伝送用導体に生じる交流電圧を検出するためのコンデンサの電極として機能する電極部を有する電流・電圧検出用プリント基板であって、
前記電極部が、前記コイル状の配線よりも前記電力伝送用導体に近い位置に配置されているとともに、
前記コイル状の配線が、プリント基板の2つの層に形成された導体の部材と前記基板の2つの層を貫通する導体の部材とによって構成され、且つ、前記電力伝送用導体がプリント基板に隣接するように配置された場合に、前記コイル状の配線の軸方向が前記電力伝送用導体の軸方向に垂直になるように、且つ、前記基板の2つの層を貫通する導体の部材の軸方向が前記電力伝送用導体の軸方向に垂直になるように、前記コイル状の配線がプリント基板に配置されることを特徴としている。
【0044】
第2の発明によって提供される電流・電圧検出用プリント基板は、
前記コイル状の配線の軸方向が前記電力伝送用導体の周りに生じる磁界の方向と平行であることを特徴としている。
【0045】
第3の発明によって提供される電流・電圧検出用プリント基板は、
前記電極部が、前記電力伝送用導体から前記コイル状の配線の方を見たときに、前記コイル状の配線が隠れる大きさを有することを特徴としている。
【0046】
第4の発明によって提供される電流・電圧検出用プリント基板は、
前記電極部と前記コイル状の配線とが、同一のプリント基板に形成されることを特徴としている。
【0047】
第5の発明によって提供される電流・電圧検出用プリント基板は、
前記電極部と前記コイル状の配線とが、別のプリント基板に形成されることを特徴としている。
【0048】
第6の発明によって提供される電流・電圧検出用プリント基板は、
前記電極部が、導体パターンによって形成されることを特徴としている。
【0049】
第7の発明によって提供される電流・電圧検出用プリント基板は、
前記電流・電圧検出用プリント基板の2つの層に形成された導体が配線パターンであり、前記基板の2つの層を貫通する導体がスルーホールであることを特徴としている。
【0050】
第8の発明によって提供される電流・電圧検出用プリント基板は、
前記交流電力が、無線周波数帯域の周波数を有する交流電力であることを特徴としている。
【0051】
第9の発明によって提供される電圧・電流検出器は、
交流電力の伝送経路として用いる電力伝送用導体に生じる交流電圧及び前記電力伝送用導体を流れる交流電流を検出する電圧・電流検出器において、
前記第1〜8の発明のいずれかに記載した電流・電圧検出用プリント基板と、
前記電流・電圧検出用プリント基板を内部に固定するように構成された導体製の筐体と、を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0052】
本発明によれば、電流・電圧検出用プリント基板を電力伝送用導体66に沿わせるように配置しても、電流・電圧検出用プリント基板に形成したコイル状の配線をカレントトランスとして機能させることができる。そのため、電力伝送用導体の径方向(360度の全てではなく一方向)に対する空間的な制約が従来よりも多い箇所においても電流を検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、従来と同一又は同様の構成には、同一符号を付している。
【0055】
[第1実施形態]
図1は、電流・電圧検出用プリント基板1の一例を示す図である。
図1において、同図(a)は、電流・電圧検出用プリント基板1の平面図(基板の上から見た図)であり、同図(b)は、同図(a)の右側面から見た図である。なお、
図1(b)は、電力伝送用導体66及び絶縁体69も図示している。
【0056】
電流・電圧検出用プリント基板1は、電力伝送用導体66を流れる交流電流を検出するためのカレントトランスとして機能するコイル状の配線10と、電力伝送用導体に生じる交流電圧を検出するためのコンデンサの電極として機能する電極部40とを備えている。そのため、機能的には、電流・電圧検出用プリント基板1において、コイル状の配線10の部分が、
図9に示した回路図のカレントトランス部81に相当し、電極部40の部分が、
図9に示した回路図のコンデンサ部の電極91bに相当する。
【0057】
<電流検出用のカレントトランス>
コイル状の配線10は、形状は異なるが
図10及び
図11に示したコイル状の配線10’と同様に電力伝送用導体66を流れる交流電流を検出するためのカレントトランスとして機能する配線である。そのため、電力伝送用導体66に流れる交流電流に応じた電流がコイル状の配線10に流れる。
【0058】
このコイル状の配線10は、基板の2つの層に形成された導体の部材と基板の2つの層を貫通する導体の部材とによって構成されている。基板の2つの層に形成された導体の部材は、例えば配線パターン12、13であり、基板の2つの層を貫通する導体の部材は、例えばスルーホール11であるが、配線パターンやスルーホールに限定されない。例えば、スルーホールや配線パターンの代わりに銅線を用いてもよい。
【0059】
上記のように、基板の2つの層に形成された導体の部材及び基板の2つの層を貫通する導体の部材は、スルーホール及び配線パターンに限定されないが、以下では、それぞれが配線パターン及びスルーホールであるとして説明する。
【0060】
図1の場合、電流・電圧検出用プリント基板1は多層基板であり、この多層基板にコイル状の配線10が形成されている。
すなわち、コイル状の配線10は、スルーホール11が基板の層間を貫通しながら、基板の表面層121に形成される配線パターン12と中間層130に形成される配線パターン13とを交互に接続することによってコイル状に形成されたものである。また、コイル状の配線10の両端を端部10a,10bとすると、両端部10a,10bは、それぞれ出力配線21,22を介して出力端子23,24に接続されている。出力端子24は基板の表面層121に設けられているので、スルーホールを用いて中間層130に形成された出力配線22と導通させている。
【0061】
なお、
図1では、配線パターン12を基板の表面層121に形成し、配線パターン13を基板の中間層130に形成した例を示したが、配線パターン12及び配線パターン13の両方を基板の中間層130に形成してもよい。
【0062】
また、
図1では、図面を簡略化するため、通常では見えない部分を透過させて図示している。具体的には、スルーホール11、配線パターン13、端部10b、出力配線22及び後述する電極部40を透過させている。また、配線パターン13、端部10b及び出力配線22は基板の中間層130に形成されているが、
図1では実線で表している。
【0063】
また、電力伝送用導体66が電流・電圧検出用プリント基板1に隣接するように配置された場合に、コイル状の配線10の軸方向(
図1参照)が電力伝送用導体66の軸方向(
図1参照)に垂直になるように、且つ、電流・電圧検出用プリント基板1の2つの層を貫通するスルーホール11の軸方向(
図1参照)が電力伝送用導体66の軸方向に垂直になるように、コイル状の配線10が電流・電圧検出用プリント基板に配置されている。もちろん、後述する電流・電圧検出器5の内部に電流・電圧検出用プリント基板1を組み込む場合も同様である。
【0064】
上記のようにすると、従来とは異なり、薄板形状の電流・電圧検出用プリント基板1を電力伝送用導体66に沿うように配置できる、電力伝送用導体の径方向(360度の全てではなく一方向)に対する空間的な制約が従来よりも多い箇所においても電流を検出することができるようになる。
より具体的には、電力伝送用導体66の径方向における電力伝送用導体66から電流・電圧検出用プリント基板1の端までの距離の最小値を、従来のL2+α[mm]よりも小さくできるので、従来では電流を検出することができなかった箇所においても電流を検出することが出来るようになる。
【0065】
また、電流・電圧検出用プリント基板1は、電力伝送用導体66に一部面していればよいため、従来のように貫通穴を要しない。そのため、従来に比べて基板の大きさを小さくすることができる。
【0066】
<電圧検出用の電極部>
電極部40は、形状は異なるが
図12に示したリング状の配線30と同様に電力伝送用導体に生じる交流電圧を検出するためのコンデンサの電極として機能する。そのため、電力伝送用導体66に生じる交流電圧に応じた電圧が電極部40に生じる。
【0067】
図1の場合は、電極部40が、基板の裏面層122に形成した導体パターンによって構成されている。また電極部40は、電力伝送用導体66の軸方向に平行な面形状になっているので、
図12に示したリング状の配線30とは形状が異なる。なお、
図1の場合は、電極部40を導体パターンによって構成しているが、導体パターンに限定されるわけではない。例えば、電極部40を銅板によって構成し、電流・電圧検出用プリント基板1の裏面層122側に固定してもよい。
【0068】
上記のように、電極部40の部材は、導体パターンに限定されないが、以下では、電極部40の部材が導体パターンであるとして説明する。
【0069】
図1の場合、電極部40は、上述したように基板の裏面層122に形成した導体パターンによって構成されている。そして、導体パターンの一部が出力端子41に接続されている。出力端子41は基板の表面層121に設けられているので、スルーホールを用いて基板の裏面層122に形成された電極部40と導通させている。もちろん、出力端子41を基板の裏面層122に設けてもよい。
【0070】
また後述するように、電極部40は遮蔽部の役割を果たすので、電極部40を導体パターンによって形成すると、従来のような遮蔽部を用いる場合に比べて、遮蔽部を薄くすることができる。そのため、従来のような遮蔽部を用いる場合に比べて、コイル状の配線10を電力伝送用導体66に近い位置に配置することができる。
【0071】
なお、電流・電圧検出用プリント基板1の四隅に設けた取り付け穴150は、電流・電圧検出用プリント基板1を電流・電圧検出器5に固定するためのものであり、ボルト等を用いて電流・電圧検出器5に固定される。
【0072】
<磁界、電界>
交流電力の伝送経路として用いる電力伝送用導体66における電力(電流、電圧)の進行方向が、
図1(b)において、紙面の上から下の向きであるとする。このとき、
図1(b)に示すように、電力伝送用導体66の周りに生じる磁界Iの向きは、時計回りの向きとなる。また、電力伝送用導体66で生じる電界Eは、電力伝送用導体66から径方向に生じるので、電力伝送用導体66から電流・電圧検出用プリント基板1へ向かう方向にも電界Eが生じる。
【0073】
電流を検出する際には、コイル状の配線10に対する電界Eの影響をできるだけ排除した方が好ましい。そこで、
図1(b)に示すように、電極部40をコイル状の配線10よりも電力伝送用導体66に近い位置に配置することによって、電界Eの一部がコイル状の配線10に到達する前に電極部40に遮蔽される。すなわち、電極部40は遮蔽部の役割を果たす。このような事情があるため、電極部40は、電力伝送用導体66からコイル状の配線10の方を見たときに、コイル状の配線10が隠れる大きさを有することが好ましい。
【0074】
一方、磁界Iは、電極部40があっても完全に遮蔽されるわけではないので、磁界Iがコイル状の配線10に作用して、電流を検出することができる。
【0075】
また、電極部40は、コイル状の配線10よりも電力伝送用導体66に近い位置に配置されていればよい。そのため、基板の裏面層122ではなく、コイル状の配線10よりも電力伝送用導体66に近い中間層に配置してもよい。
【0076】
<電流・電圧検出器>
図2は、電流・電圧検出器5の概略の外観図である。
図2において、同図(a)は、電流・電圧検出器5を立体的に示した概略の外観図であり、同図(b)は、導体製の筐体51の側面から見た概略の外観図であり、同図(c)は、同図(b)の筐体51を取り除いた場合の図である。なお、筐体51は、アルミニウム等の導体で作られている。
【0077】
図2(a)及び
図2(b)に示すように、電力伝送用導体66が電流・電圧検出器5の筐体51を貫通している。また、
図2(c)に示すように、筐体51内に電流・電圧検出用プリント基板1が収容された構造となっている。そして、電流・電圧検出器5の内部では、薄板形状の電流・電圧検出用プリント基板1が電力伝送用導体66に沿うように配置されている。
そのために、筐体51内を通過する電力伝送用導体66に流れる電流は、コイル状の配線10を用いて検出できる。また電力伝送用導体66に生じている電圧は、電極部40を用いて検出できる。
【0078】
なお、電力伝送用導体66およびその周囲にある絶縁体69は、電流・電圧検出器5の構成には含まれないが、説明に必要であるので、図示している。また、絶縁体69は、電力伝送用導体66と電流・電圧検出器5との絶縁を行うためのものである。
【0079】
また、コイル状の配線10に流れる電流を所定の電圧レベルに変換するためには、
図9に示すような電流用変換回路が必要なので、電流・電圧検出用プリント基板1の出力端子23,24と電流用変換回路とを接続する。また、電極部40に生じる電圧を所定の電圧レベルに変換するためには、
図9に示すような電圧用変換回路が必要なので、電流・電圧検出用プリント基板1の出力端子41と電圧用変換回路とを接続する。電流用変換回路や電圧用変換回路は、電流・電圧検出器5の内部又は外部に設けられるが、これらについては、配線等も含めて図示を省略している。
【0080】
上記のように構成することにより、電流・電圧検出用プリント基板1を電力伝送用導体66に沿うように配置しても、電流・電圧検出用プリント基板1に形成したコイル状の配線10をカレントトランスとして機能させることができる。そのため、電力伝送用導体66の径方向(360度の全てではなく一方向)に対する空間的な制約が従来よりも多い箇所においても電流を検出することができるようになる。
【0081】
なお、
図2では、電力伝送用導体66が電流・電圧検出器5の筐体51を貫通するようにしたが、必ずしも電流・電圧検出器5の筐体51を貫通する必要はない。
【0082】
図3は、電力伝送用導体66が電流・電圧検出器5の筐体51を貫通しない場合の一例を示す図である。
図3において、同図(a)は、電流・電圧検出器5を立体的に示した概略の外観図であり、同図(b)は、導体製の筐体51の側面から見た概略の外観図であり、同図(c)は、同図(b)の筐体51を取り除いた場合の図である。
【0083】
この
図3に示すように、電流・電圧検出器5の筐体51を薄型にし、電流・電圧検出器5を電力伝送用導体66に隣接するように配置してもよい。この場合、コイル状の配線10に対して磁界Iが作用し、電極部40に対して電界Eが作用するように電流・電圧検出器5の筐体51の電力伝送用導体66と対向する側に開口部を設ければよい。この
図3に示すようにすると、電流・電圧検出器5を薄型にできる。その他は、
図2と同様であるので説明を省略する。
【0084】
[第2実施形態]
図4は、電流・電圧検出用プリント基板1の他の一例を示す図である。
図4において、同図(a)は、電流検出用プリント基板2の平面図(基板の上から見た図)であり、同図(b)は、電圧検出用プリント基板3の平面図(基板の上から見た図)であり、同図(c)は、同図(a)及び(b)の右側面から見た図である。なお、
図4(c)は、電力伝送用導体66及び絶縁体69も図示している。
【0085】
この
図4に示した電流・電圧検出用プリント基板は、
図1に示した電流・電圧検出用プリント基板1と異なり、カレントトランスとして機能するコイル状の配線10とコンデンサの電極として機能する電極部40とが別のプリント基板に形成されている。すなわち、コイル状の配線10は、電流検出用プリント基板2に形成され、電極部40は電圧検出用プリント基板3に形成されている。その他は、
図1に示した電流・電圧検出用プリント基板1と同様である。
もちろん、
図2又は
図3に示した電流・電圧検出器5と同様に、電流検出用プリント基板2及び電圧検出用プリント基板3を筐体51に収容して電流・電圧検出器とすることができる。
【0086】
なお、電極部40をコイル状の配線10よりも電力伝送用導体66に近い位置に配置する必要があるので、電流検出用プリント基板2よりも電圧検出用プリント基板3の方が電力伝送用導体66に近い位置に配置されている。
【0087】
また、電流検出用プリント基板2と電圧検出用プリント基板3を併せたものが、電流・電圧検出用プリント基板に相当する。また、コイル状の配線10及び電極部40に関する符号は、説明を簡略化するために、
図1と類似するものは
図1と同符号にしている。
【0088】
<電流検出用のカレントトランス>
電流検出用プリント基板2に形成されるコイル状の配線10は、基板の表面層121に形成される配線パターン12と基板の裏面層122に形成される配線パターン13とを交互に接続することによってコイル状に形成されたものである。また、コイル状の配線10の両端を端部10a,10bとすると、両端部10a,10bは、それぞれ出力配線21,22を介して出力端子23,24に接続されている。出力端子24は基板の表面層121に設けられているので、スルーホールを用いて裏面層122に形成された出力配線22と導通させている。
【0089】
すなわち、
図1に示したコイル状の配線10の配線パターン13が中間層130に形成されているのに対して、
図4に示したコイル状の配線10の配線パターン13は、基板の裏面層122に形成されている点が異なる。その他は第1実施形態のコイル状の配線10と同様である。
【0090】
なお、
図4の例では、配線パターン12が基板の表面層121に形成され、配線パターン13が基板の裏面層122に形成されるので、中間層130が無い多層基板(両面基板)を用いてもよい。また、
図1に示したコイル状の配線10の配線パターン13と同様に、配線パターン13を中間層130に形成してもよい。また、
図4では、配線パターン12を基板の表面層121に形成し、配線パターン13を基板の裏面層122に形成した例を示したが、配線パターン12及び配線パターン13の両方を基板の中間層130に形成してもよい。
【0091】
<電圧検出用の電極部>
電圧検出用プリント基板3に形成される電極部40は、基板の裏面層222に形成した導体パターンによって構成されている。この電極部40は、
図1に示した電極部40と同様に、電力伝送用導体66の軸方向に平行な面形状になっている。
【0092】
図4の場合、導体パターンの一部が出力端子41に接続されている。出力端子41は基板の表面層221に設けられているので、スルーホールを用いて基板の裏面層222に形成された電極部40と導通させている。もちろん、出力端子41を基板の裏面層222に設けてもよい。
【0093】
なお、
図4では、電極部40を導体パターンによって構成しているが、導体パターンに限定されるわけではない。例えば、第1実施形態での例示と同様に、電極部40を銅板で構成し、電圧検出用プリント基板3の裏面層222側に固定してもよい。
【0094】
[第3実施形態]
図5は、電流・電圧検出用プリント基板1の他の一例を示す図である。
この
図5に示した電流・電圧検出用プリント基板1は、
図1に示した電流・電圧検出用プリント基板1と異なり、カレントトランスとして機能するコイル状の配線10のコイルの巻き数が異なる。その他は、
図1に示した電流・電圧検出用プリント基板1と同様である。もちろん、
図2又は
図3に示した電流・電圧検出器5と同様に、電流・電圧検出用プリント基板1を筐体51に収容して電流・電圧検出器とすることができる。なお、コイル状の配線10及び電極部40に関する符号は、説明を簡略化するために
図1と類似するものは
図1と同符号にしている。
【0095】
図5(a)は、コイル状の配線10が電力伝送用導体66の軸方向に並んで配置された2つのコイル状の配線10−1,10−2によって構成され、且つ、2つのコイル状の配線10−1,10−2が直列接続された例を示している。なお、接続配線14によってコイル状の配線10−1とコイル状の配線10−2とが接続されており、出力配線22によってコイル状の配線10−2の端部10bと出力端子24とが接続されている。その他は、
図1に示したイル状の配線10と同様である。
【0096】
図5(a)の場合、2つのコイル状の配線10−1,10−2のぞれぞれの巻き数は、
図1に示したものと同じであるので、巻き数を2倍にすることができる。
【0097】
図5(b)は、
図5(a)と同様に、2つのコイル状の配線10−3,10−4を直列接続しているが、コイル状の配線10−3,10−4のそれぞれの巻き数が、
図5(a)に示した2つのコイル状の配線10−1,10−2の巻き数とは異なる。
【0098】
このようにコイル状の配線10の巻き数は任意に変更可能である。また、必要に応じて電力伝送用導体66の軸方向に並んで配置させればよい。このようにすれば、必要な感度に応じたカレントトランスを作成することができる。
【0099】
なお、
図5では、2つのコイル状の配線を直列接続する例を示したが、直列接続する数は2つに限定されず、3つ以上のコイル状の配線を直列接続することができる。また、図示はしていないが、並列接続するように構成することも可能である。また直列接続と並列接続とを組み合わせた構成にすることも可能である。
【0100】
[第4実施形態]
図6は、電流・電圧検出用プリント基板1の他の一例を示す図である。
この
図6に示した電流・電圧検出用プリント基板1は、
図1に示した電流・電圧検出用プリント基板1と形状が異なり、
図6(b)に示すように、電流・電圧検出用プリント基板1の断面(コイル状の配線10の軸方向の断面)が丸みを有する形状(円弧形状)となっている。その結果、コイル状の配線10の軸方向が電力伝送用導体66の周りに生じる磁界Iの方向と平行となっている。その他は、
図1に示した電流・電圧検出用プリント基板1と同様である。また、便宜上、
図6の電流・電圧検出用プリント基板1も
図1と同符号を用いている。
【0101】
電流・電圧検出用プリント基板1の形状を
図6に示すようにすると、コイル状の配線10の軸方向が電力伝送用導体66の周りに生じる磁界Iの方向と平行になるので、
図1に示した電流・電圧検出用プリント基板1よりもコイル状の配線10に対して結合する磁束が増加する。そのため、電流の検出感度を高めることができる。
【0102】
[第5実施形態]
図7は、電流・電圧検出用プリント基板1の他の一例を示す図である。
この
図7に示した電流・電圧検出用プリント基板1は、
図4に示した電流検出用プリント基板2及び電圧検出用プリント基板3と形状が異なり、
図7(b)に示すように、電流検出用プリント基板2及び電圧検出用プリント基板3の断面(コイル状の配線10の軸方向の断面)が丸みを有する形状(円弧形状)となっている。その結果、コイル状の配線10の軸方向が電力伝送用導体66の周りに生じる磁界Iの方向と平行となっている。その他は、
図4に示した電流・電圧検出用プリント基板1と同様である。また、便宜上、
図7の電流・電圧検出用プリント基板1も
図4と同符号を用いている。
【0103】
電流・電圧検出用プリント基板1(電流検出用プリント基板2及び電圧検出用プリント基板3)の形状を
図7に示すようにすると、コイル状の配線10の軸方向が電力伝送用導体66の周りに生じる磁界Iの方向と平行になるので、
図4に示した電流検出用プリント基板2よりもコイル状の配線10に対して結合する磁束が増加する。そのため、電流の検出感度を高めることができる。
【0104】
また、これまでの説明では、例えば
図9に示すように、インピーダンス整合装置63の入力端から整合回路67までの間に設けられる電力伝送用導体を流れる交流電流を検出するためのカレントトランスとして機能するコイル状の配線10及び電力伝送用導体66に生じる交流電圧を検出するためのコンデンサの電極として機能する電極部40を有する電流・電圧検出用プリント基板として説明した。
しかし、電流・電圧検出用プリント基板が用いられる箇所は、これに限定されない。例えば、電流・電圧検出用プリント基板をインピーダンス整合装置内の整合回路と出力端との間に設けてもよい。また、負荷65の入力端や高周波電源装置61の出力端に設けてもよい。また、インピーダンス整合装置を用いない高周波電力供給システムで用いてもよい。また、高周波電力供給システムは、プラズマエッチング、プラズマCVDといった加工処理を行うものに限定されない。
【0105】
また、これまでの説明では、電力伝送用導体66が、例えば、円筒形状の銅製の棒、すなわち、断面が円形のものとして説明してきたが、これに限定されるものではない。例えば、断面が楕円形や長方形のものであってもよい。