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2015-200965情報処理システム、入力デバイス及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-200965(P2015-200965A)
(43)【公開日】2015年11月12日
(54)【発明の名称】情報処理システム、入力デバイス及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0488 20130101AFI20151016BHJP
【FI】
   G06F3/048 620
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-78048(P2014-78048)
(22)【出願日】2014年4月4日
(71)【出願人】
【識別番号】510270395
【氏名又は名称】株式会社エージーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(72)【発明者】
【氏名】飯野 健一
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA53
5E555BA03
5E555BA04
5E555BB03
5E555BB04
5E555BC04
5E555BD01
5E555CA12
5E555CA41
5E555CB13
5E555CC01
5E555DA02
5E555EA09
5E555EA11
5E555EA14
5E555FA14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】マルチタッチパッドに対する入力デバイスのタッチに応じて情報処理を行う情報処理システムを用いたサービスの信頼性を向上せる情報処理システム、入力デバイス及びその情報処理プログラムを提供する。
【解決手段】入力デバイス2は複数の接部と磁性体とを備える。複数の接部は、電子機器3のマルチタッチパッド31が検出可能となっている。磁性体は、電子機器3の磁気センサに干渉する。電子機器3は、磁気センサに基づいて、磁性体を有する入力デバイス2のマルチタッチパッド31へのタッチを判定する。入力デバイス2のタッチと判定すると、電子機器3は、接部の位置関係を解析し、接部の位置関係に応じた処理を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチタッチパッド及び磁気センサを有する電子機器と前記マルチタッチパッドを入力インターフェースとする入力デバイスを含む情報処理システムであって、
前記入力デバイスは、
ユーザに把持される本体と、
前記本体の一面に複数配置されて、前記マルチタッチパッドが検出可能な接部と、
前記磁気センサに干渉する磁性体と、
を備え、
前記電子機器は、
前記磁気センサに基づいて、前記磁性体を有する前記入力デバイスの前記マルチタッチパッドへのタッチを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記入力デバイスのタッチと判定されると、前記マルチタッチパッドが検出した前記接部の位置関係を解析するタッチデータ解析部と、
前記タッチデータ解析部が解析した前記接部の位置関係に応じた処理を実行する情報処理部と、
を備えること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記接部の位置関係と処理内容とを関連づけた処理内容データベースを備え、
前記情報処理部は、前記処理内容データベースの処理内容に従って処理を実行すること、
を特徴とする請求項1記載の情報処理システム。
【請求項3】
店舗のスタンプ数を示す店舗別スタンプ変数を記憶する記憶部を更に備え、
前記情報処理部は、
前記処理内容データベースを参照して、前記接部の位置関係に応じた店舗別スタンプ変数が示す値を増加させること、
を特徴とする請求項2記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記情報処理部は、前記接部の位置関係と前記磁力センサの出力する磁力信号の組み合わせに応じた処理を実行すること、
を特徴とする請求項1記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記接部の位置関係と前記磁気センサの出力する磁力信号との組み合わせに対して処理内容とを関連づけた処理内容データベースを備え、
前記情報処理部は、前記処理内容データベースの処理内容に従って処理を実行すること、
を特徴とする請求項4記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記処理内容データベースを有するネットワーク上のサーバを更に備えること、
を特徴とする請求項2、3又は5の何れかに記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記サーバは、前記情報処理部を備え、前記処理内容データベースの処理内容に従ってサーバ処理し、結果を前記電子機器に送信すること、
を特徴とする請求項6記載の情報処理システム。
【請求項8】
マルチタッチパッド及び磁気センサを有する電子機器の前記マルチタッチパッドを入力インターフェースとした入力デバイスであって、
ユーザに把持される本体と、
前記磁気センサに干渉し、前記電子機器にタッチした物体が真正であることを前記電子機器に対して認識させる磁性体と、
前記本体の一面に複数配置されて、前記マルチタッチパッドにタッチ位置を検出させ、前記電子機器が前記真正であると判定すると、前記タッチ位置の位置関係に応じて処理を実行させる接部と、
を備えること、
を特徴とする入力デバイス。
【請求項9】
一面に複数配置された接部と磁性体とを備える入力デバイスに対する入力インターフェースとしてマルチタッチパッドを有し、更に磁気センサを備えるコンピュータを、
前記磁気センサに基づいて、前記磁性体を有する前記入力デバイスの前記マルチタッチパッドへのタッチを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記入力デバイスのタッチと判定されると、前記マルチタッチパッドが検出した前記接部の位置関係を解析するタッチデータ解析部と、
前記タッチデータ解析部が解析した前記接部の位置関係に応じた処理を実行する情報処理部と、
して機能させること、
を特徴とする情報処理プログラム。
【請求項10】
前記コンピュータを、前記接部の位置関係と処理内容とを関連づけた処理内容データベースとして更に機能させ、
前記情報処理部は、前記処理内容データベースの処理内容に従って処理を実行すること、
を特徴とする請求項9記載の情報処理プログラム。
【請求項11】
前記コンピュータを、店舗のスタンプ数を示す店舗別スタンプ変数を記憶する記憶部として更に機能させ、
前記情報処理部は、
前記処理内容データベースを参照して、前記接部の位置関係に応じた店舗のスタンプ数を増加させて記憶すること、
を特徴とする請求項10記載の情報処理プログラム。
【請求項12】
前記情報処理部は、前記接部の位置関係と前記磁力センサの出力する磁力信号の組み合わせに応じた処理を実行すること、
を特徴とする請求項9記載の情報処理プログラム。
【請求項13】
前記接部の位置関係と前記磁気センサの出力する磁力信号との組み合わせに対して処理内容とを関連づけた処理内容データベースを備え、
前記情報処理部は、前記処理内容データベースの処理内容に従って処理を実行すること、
を特徴とする請求項12記載の情報処理プログラム。
【請求項14】
前記コンピュータは、サーバとクライアントに分かれ、
前記サーバを前記処理内容データベースとして機能させること、
を特徴とする請求項10、11又は13の何れかに記載の情報処理プログラム。
【請求項15】
前記サーバを前記情報処理部として機能させ、
前記処理内容データベースの処理内容に従ってサーバ処理された結果が前記クライアントに送信されること、
を特徴とする請求項14記載の情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチタッチパッドに対する入力デバイスのタッチに応じて情報処理を行う情報処理システム、その入力デバイス及びその情報処理を電子機器に行わせる情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルは、液晶や有機EL等のディスプレイと、ペンや指等の物体を押圧、接触、または近接させることにより、その位置を検出するマルチタッチパッドとを層状に重ねて配置した装置である。タッチパネルによれば、ユーザは表示されるボタンをタッチすることで、そのボタンに応じた処理をコンピュータに行わせたり、タッチした位置に線や図形を描画させたりでき、より自然な動作でコンピュータに対する入力操作を行うことができる。
【0003】
近年は、多点のタッチを検出可能なマルチタッチパッドが普及しつつある。マルチタッチパッドによれば、例えばパネル上に第1指と第2指を同時にタッチしたまま、それらの指を互いに開く方向に移動させる操作によりタッチされた位置に表示されている画像を拡大表示させたり、それらの指をパネル上で回転させるように移動させる操作によりタッチされた位置に表示されている画像を回転表示させたり、といった多彩な入力操作が可能となる。
【0004】
例えば、特許文献1には、マルチタッチパネルに対し、ペンを握った手の形でパネル上をスライドさせる操作など、ユーザが特定の操作を行った場合に、その特定の操作によりマルチタッチパネルに入力される多数点の位置関係やそれらの押圧力の大きさの関係等からユーザがどのような操作を行っているかを特定し、特定した操作に応じた処理を行う装置が提案されている。
【0005】
しかしながら、マルチタッチパッドは、基本的に平面であり、手掛かりがないため、現実の物体を操作している状態と比べると、操作感に乏しい。また、操作しているユーザの存在する現実空間とタッチパネルに表示される仮想空間とには次元の違い等の大きな隔絶が存在し、マルチタッチパッドによる操作は、現実の物体に対する操作と比べると遙かに現実感に乏しい。
【0006】
そこで、ブロック状の入力デバイスに複数の接部を突設し、マルチタッチパッドで接部の位置関係を検出させ、その位置関係に応じて情報処理を実行させるタッチツール技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。入力デバイスは、ユーザが実際に手を触れて操作する現実の物体である。この入力デバイスは、操作しているユーザの存在する現実空間とタッチパネルに表示される仮想空間とを媒介し、現実空間と仮想空間とを融和させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−242035号公報
【特許文献2】特開2012−099093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
タッチツール技術は、現実空間での各種活動を仮想空間に置き換えてもユーザに戸惑いを与えにくくなるため、現実空間の各種活動をコンピュータ上の仮想空間で遂げる様々な応用が期待できる。
【0009】
例えば、本発明者は、商品や役務の対価の支払いに対して店舗が客に与えるスタンプを電子機器で遂げることを想定している。電子機器内にスタンプカードのデータを記憶させておき、入力デバイスでマルチタッチパッドをタッチすると、その仮想のスタンプカードに押されるスタンプ数を増加させる。また、例えばスタンプラリーとしての利用形態も想定できる。
【0010】
また、入力デバイスで電子機器をタッチすると、電子マネーやキャラクタ等のデータが購入されるようにしてもよい。対戦型のカードゲームのカードを入力デバイスとしてもよい。入力デバイスをユーザの印鑑として本人認証に利用するようにすることもできる。
【0011】
しかしながら、入力デバイスでマルチタッチパッドをタッチすると、一定の価値が発生する場合がある。上記の各例では、電子マネーはもちろん、スタンプは一定数貯まるとサービスと交換が可能となるし、キャラクタ等のデータや対戦型のカードゲームのカードも商品価値が存在して有償売買の対象となる。また、入力デバイスをユーザの印鑑として用いた場合には、その入力デバイスで商品の購入や金銭の借用等が可能となり得る。
【0012】
そうすると、タッチツール技術を用いたサービスでは、入力デバイスの真正を担保できなければ、そのサービスの信頼性を失墜させてしまうことになりかねず、サービスが成り立たなくなる虞がある。例えば、手で接部の位置関係を偽装してマルチタッチパッドにタッチすることで、商品やサービスを購入していないのにスタンプ数を増加させることも可能となってしまう。
【0013】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたもので、マルチタッチパッドに対する入力デバイスのタッチに応じて情報処理を行う情報処理システムを用いたサービスの信頼性を向上せる情報処理システム、入力デバイス及びその情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するため、本発明に係る情報処理システムは、マルチタッチパッド及び磁気センサを有する電子機器と前記マルチタッチパッドを入力インターフェースとする入力デバイスによりなる情報処理システムであって、前記入力デバイスは、ユーザに把持される本体と、前記本体の一面に複数配置されて、前記マルチタッチパッドが検出可能な接部と、前記磁気センサに干渉する磁性体と、を備え、前記電子機器は、前記磁気センサに基づいて、前記磁性体を有する前記入力デバイスの前記マルチタッチパッドへのタッチを判定する判定手段と、前記判定手段により前記入力デバイスのタッチと判定されると、前記マルチタッチパッドが検出した前記接部の位置関係を解析するタッチデータ解析部と、前記タッチデータ解析部が解析した前記接部の位置関係に応じた処理を実行する情報処理部と、を備えること、を特徴とする。
【0015】
前記接部の位置関係と処理内容とを関連づけた処理内容データベースを備え、前記情報処理部は、前記処理内容データベースの処理内容に従って処理を実行するようにしてもよい。
【0016】
店舗のスタンプ数を示す店舗別スタンプ変数を記憶する記憶部を備え、前記情報処理部は、前記処理内容データベースを参照して、前記接部の位置関係に応じた店舗のスタンプ数を増加させるようにしてもよい。
【0017】
前記情報処理部は、前記接部の位置関係と前記磁力センサの出力する磁力信号の組み合わせに応じた処理を実行するようにしてもよい。
【0018】
前記接部の位置関係と前記磁気センサの出力する磁力信号との組み合わせに対して処理内容とを関連づけた処理内容データベースを備え、前記情報処理部は、前記処理内容データベースの処理内容に従って処理を実行するようにしてもよい。
【0019】
前記処理内容データベースを有するネットワーク上のサーバを更に備えるようにしてもよい。
【0020】
前記サーバは、前記情報処理部を備え、前記処理内容データベースの処理内容に従ってサーバ処理し、結果を前記電子機器に送信するようにしてもよい。
【0021】
また、上記の課題を解決するため、本発明に係る入力デバイスは、マルチタッチパッド及び磁気センサを有する電子機器の前記マルチタッチパッドを入力インターフェースとした入力デバイスであって、ユーザに把持される本体と、前記磁気センサに干渉し、前記電子機器にタッチした物体が真正であることを前記電子機器に対して認識させる磁性体と、前記本体の一面に複数配置されて、前記マルチタッチパッドにタッチ位置を検出させ、前記電子機器が前記真正であると判定すると、前記タッチ位置の位置関係に応じて処理を実行させる接部と、を備えること、を特徴とする。
【0022】
また、上記の課題を解決するため、本発明に係る情報処理プログラムは、一面に複数配置された接部と磁性体とを備える入力デバイスに対する入力インターフェースとしてマルチタッチパッドを有し、更に磁気センサを備えるコンピュータを、前記磁気センサに基づいて、前記磁性体を有する前記入力デバイスの前記マルチタッチパッドへのタッチを判定する判定手段と、前記判定手段により前記入力デバイスのタッチと判定されると、前記マルチタッチパッドが検出した前記接部の位置関係を解析するタッチデータ解析部と、前記タッチデータ解析部が解析した前記接部の位置関係に応じた処理を実行する情報処理部と、して機能させること、を特徴とする。
【0023】
前記コンピュータを、前記接部の位置関係と処理内容とを関連づけた処理内容データベースとして更に機能させ、前記情報処理部は、前記処理内容データベースの処理内容に従って処理を実行するようにしてもよい。
【0024】
前記コンピュータを、店舗のスタンプ数を示す店舗別スタンプ変数を記憶する記憶部として更に機能させ、前記情報処理部は、前記処理内容データベースを参照して、前記接部の位置関係に応じた店舗のスタンプ数を増加させるようにしてもよい。
【0025】
前記情報処理部は、前記接部の位置関係と前記磁力センサの出力する磁力信号の組み合わせに応じた処理を実行するようにしてもよい。
【0026】
前記接部の位置関係と前記磁気センサの出力する磁力信号との組み合わせに対して処理内容とを関連づけた処理内容データベースを備え、前記情報処理部は、前記処理内容データベースの処理内容に従って処理を実行するようにしてもよい。
【0027】
前記コンピュータは、サーバとクライアントに分かれ、前記サーバを前記処理内容データベースとして機能させるようにしてもよい。
【0028】
前記サーバを前記情報処理部として機能させ、前記処理内容データベースの処理内容に従ってサーバ処理された結果が前記クライアントに送信されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、手やその他の物体で入力デバイスを偽装してマルチタッチパッドをタッチしようとも、その偽装を電子機器側で見破る確率が高まり、不正を困難とし、情報処理システムを用いたサービスの信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】第1の実施形態に情報処理システムの構成図である。
図2】第1の実施形態に係る入力デバイスの構成図であり、(a)及び(b)は各入力デバイスの接部の位置関係を示す斜視図、(c)及び(d)は内部構成を示す一部破断図である。
図3】第1の実施形態に係る電子機器の構成図である。
図4】第1の実施形態に係る電子機器が有するコントローラの構成図である。
図5】磁気解析部による判定手法の一例を示すグラフであり、真正の入力デバイスにより磁力変化が閾値を超えた状態を示す。
図6】タッチデータ解析部による位置関係の解析手法の一例を示す模式図であり、(a)及び(b)はそれぞれ異なる入力デバイスを示す。
図7】処理内容データベースの構造を示す模式図である。
図8】店舗が所有する入力デバイスを示す模式図である。
図9】本実施形態に係る情報処理システムの動作を示すフローチャートである。
図10】手で入力デバイスを偽装した状態を示す模式図である。
図11】磁気解析部による判定手法の一例を示すグラフであり、手で偽装する等により磁力変化が閾値を超えない状態を示す。
図12】情報処理部による処理の結果、ストレージに更新して記憶される店舗別スタンプ変数の値を示す図である。
図13】3軸電子コンパスの磁気センサの構成図である。
図14】磁気解析部による判定手法の他の例を示すグラフである。
図15】3軸の磁力変化と各閾値との条件を示す模式図である。
図16】磁気解析部による判定手法の更なる他の例を示すグラフである。
図17】タッチデータ解析部による位置関係の解析手法の他の例を示す模式図である。
図18】第2の実施形態に係る電子機器が有するコントローラの構成図である。
図19】第2の実施形態に係る処理内容データベースの構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(第1の実施形態)
(構成)
本発明に係る情報処理システムの実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。図1に示すように、情報処理システム1は、入力デバイス2と電子機器3により構成される。電子機器3が有する入力デバイス2とのインターフェースは、マルチタッチパッド31である。電子機器3は、静電容量方式又は抵抗感圧式等の多点検出可能なマルチタッチパッド31を有する。以下、タッチとは、マルチタッチパッド31の種類に応じ、抵抗感圧式であれば押圧、静電容量方式であれば接触又は近接である。
【0032】
電子機器3は、物体がマルチタッチパッド31にタッチすると、物体の真正を判定する。すなわち、電子機器3は、マルチタッチパッド31にタッチした物体が情報処理システム1の入力デバイス2であるかを判定する。真正の判定材料として、入力デバイス2は電子機器3の計器に干渉する。電子機器3は、計器に適当な干渉を受けると、タッチした物体が情報処理システム1の入力デバイス2であると判定し、タッチした入力デバイス2ごとに固有の情報処理を実行する。
【0033】
図2に示すように、入力デバイス2は、全体として直方体等のブロック形状を有し、詳細形状は個々によって異なる。ブロック本体21の一面には複数の接部22が突設され、その複数の接部22は、図2の(a)及び(b)に示すように、入力デバイス2によって数や配置位置等の位置関係が個々に異なる。この入力デバイス2は、複数の接部22によりマルチタッチパッド31に対して固有の多点のタッチ位置を与える。電子機器3は、その多点のタッチ位置の位置関係から入力デバイス2を識別し、入力デバイス2に応じた情報処理を実行する。
【0034】
尚、電子機器3が有するマルチタッチパッド31が静電容量方式の場合、入力デバイス2の表面は導電性素材で形成されているとよい。導電性素材は、例えば金属やポリアセチレン等の導電性プラスチック、金属繊維を混合したプラスチック等である。
【0035】
また、図2の(c)及び(d)に示すように、入力デバイス2内には、磁性体23が埋設されている。磁性体23は、永久磁石又はフェライトコアや酸化鉄等の金属のように磁気センサに干渉する部材である。この磁性体23は、入力デバイス2が電子機器3に近づくと、電子機器3の計器の1つである磁気センサに干渉する。この干渉を受けて電子機器3は、物体の真正を判定する。磁性体23の埋設位置、向き及び磁力は、各入力デバイス2において共通でよい。但し、磁性体23の磁力は、少なくとも人体の磁力よりも大きくする。少なくとも電子機器3にタッチする物体が人体でないことを識別可能とするためである。
【0036】
次に、図3に示す電子機器3は、所謂コンピュータであり、情報処理プログラムを記憶し、この情報処理プログラムを適宜実行することで、実行結果を出力し、実行結果に応じて周辺機器を制御する。この情報処理プログラムには、物体の真正判定、入力デバイス2の識別、及び識別した入力デバイス2に関連連付けられた情報処理のコードが記述されている。
【0037】
この電子機器3は、マルチタッチパッド31の他、少なくともディスプレイ32と磁気センサ33とコントローラ34とストレージ35を有する。例えば、電子機器3は、スマートフォン、タブレット端末、PDA、ノートPC等である。電子機器3がスマートフォンである場合、マルチタッチパッド31とディスプレイ32とを重ねたタッチパネルを有し、また通話データや通信データを送受信する送受信部36a、通話音を出力するスピーカ36b、発話音を収音するマイク36c、電子機器3に対する回転検出センサ36d及び加速度センサ36eを備える。
【0038】
コントローラ34は、主にCPUで構成され、ストレージ35に記憶されている情報処理プログラムを適宜実行し、実行結果に応じてディスプレイ32や磁気センサ33等の周辺機器を制御する。ストレージ35は、不揮発性のメモリである。図4は、コントローラ34による情報処理プログラムの実行により実現するコントローラ34の機能構成を示している。図4に示すように、コントローラ34は、磁気解析部341とタッチデータ解析部342と情報処理部343と表示制御部344を備えている。
【0039】
磁気解析部341は、一定時間Tの間に、マルチタッチパッド31にタッチした物体が真正であるかを判定する判定手段である。磁気解析部341は、磁気センサ33から磁力の大きさを示す数値等の磁力信号が入力されて、入力デバイス2が有する磁性体23由来の磁力変化が生じたかを解析する。この磁気解析部341は、図5に示すように、磁力の時間変化の閾値Thを予め記憶しておく。そして、物体の電子機器3への近接前後で検出された磁力変化Var1を閾値Thと比較する。検出された磁力変化Var1が閾値Thを超えれば、マルチタッチパッド31にタッチした物体は情報処理システム1の入力デバイス2と判定できる。
【0040】
タッチデータ解析部342は、マルチタッチパッド31からタッチ位置を示すタッチ位置信号の入力を受けて、多点のタッチ位置の位置関係を解析する。タッチ位置信号は、マルチタッチパッド31上のタッチ位置を示す座標等のデータである。マルチタッチパッド31は、多点検出に対応し、順次、各タッチ位置のタッチ位置信号をタッチデータ解析部342に入力する。
【0041】
例えば、図6に示すように、入力デバイス2には総計3点の接部22が突設される。図6の(a)及び(b)に示すように、接部22は、その3点の接部22を1本の屈曲線Lで結ぶと、屈曲線Lの角度θ1、θ2が入力デバイス2ごとに相違するように配置される。このとき、多点のタッチ位置の位置関係とは屈曲線Lの曲がり角度θとすることができる。タッチデータ解析部342は、3点の接部22のタッチ位置から曲がり角度θを算出する。すなわち、入力デバイス2を識別するとは、接部22の位置関係を検出すると言い換えることもできる。
【0042】
情報処理部343は、入力デバイス2に応じた情報処理、換言すると多点のタッチ位置の位置関係に応じた情報処理を実行する。情報処理の実行は、磁気解析部341が真正と判定したことを前提とする。ストレージ35には、情報処理の内容が示された処理内容データベース351が記憶されている。情報処理部343は、この処理内容データベース351に示された処理内容に従って情報処理を実行する。尚、この処理内容データベース351は、情報処理プログラムのインストールの一環としてストレージに記憶される。
【0043】
図7は、処理内容データベース351を示す模式図である。処理内容データベース351には、多点のタッチ位置の位置関係を示す位置関係情報352と情報処理の内容を示す処理内容情報353とが関連づけられている。情報処理部343は、タッチデータ解析部342が解析した多点のタッチ位置の位置関係と一致する位置関係情報352を検索し、該当の位置関係情報352に関連づけられている処理内容情報353に従った処理を実行する。処理内容データベース351には、一致する位置関係情報352がない場合に、処理内容をエラー処理とする処理内容情報353も記憶されている。
【0044】
表示制御部344は、表示画面を生成して、その表示画面をディスプレイ32に表示させる。表示画面は、入力デバイス2のタッチを受け付けるスタンピング画面、タッチした物体が真正でないと判定した場合のエラー画面、及び情報処理部343による情報処理の結果を報知する結果報知画面に分類できる。
【0045】
(作用)
このような情報処理システム1の動作についてスタンプサービスへの適用を例に採って説明する。スタンプサービスは、店舗における商品や役務の対価の支払いに対して客にスタンプを付与し、一定数のスタンプと引き替えに商品や役務の割引等の特典を提供する制度である。一般的には店舗ごとにスタンプが存在する。
【0046】
図8に示すように、各店舗は、自店舗のスタンプを1個増加させるための入力デバイス2と、自店舗のスタンプを全消去するための入力デバイス2を所有している。自店舗のスタンプを全消去するための入力デバイス2は、自店舗のスタンプが一定数貯まって、特典との引き替え等の事情によりスタンプ数をリセットする場合に使用される。そのため、入力デバイス2は、店舗とスタンプを増加させるか全消去させるかの機能の違いに応じて固有の配置関係で複数の接部22を有する。
【0047】
商品や役務の提供を受ける客は、情報処理プログラムがインストールされた電子機器3を所有している。図7に示すように、その電子機器3の処理内容データベース351には、各店舗の所有する入力デバイス2の接部22と一致する位置関係情報352が記憶され、更にその位置関係情報352に処理内容情報353が関連づけられている。各処理内容情報353には、店舗のスタンプ数を示す店舗別スタンプ変数353aと、その店舗別スタンプ変数353aが示す値を1インクリメントする変更値353b又は店舗別スタンプ変数353aが示す値をゼロにする変更値353bが含まれている。
【0048】
図9は、情報処理システム1の動作を示すフローチャートである。客は、スタンプサービスの加入店舗で商品や役務に対する対価を支払い、次いでスタンプサービスを受ける場合、電子機器3のディスプレイに表示された起動アイコンを押下して、情報処理プログラムを起動させる(ステップS01)。この起動アイコンの押下により情報処理プログラムが実行される。情報処理プログラムの実行では、最初に磁気解析部341が磁気センサ33の監視を開始し(ステップS02)、表示制御部344がスタンピング画面をディスプレイ32に表示させる(ステップS03)。
【0049】
磁気解析部341は、スタンピング画面の表示前から一定時間Tが経過していなければ(ステップS04,No)、磁気センサ33が出力する磁力信号の変化の監視を続行する。尚、一定時間Tの始期は、スタンピング画面の表示前であれば特に限定はなく、例えば磁気センサ33の監視開始とすればよい。監視中、磁気解析部341は、時刻の異なる2点の磁力信号から磁力変化Var1を逐次算出し(ステップS05)、磁力変化Var1と閾値Thを比較する(ステップS06)。
【0050】
磁力変化Var1が閾値Thを超えずに(ステップS06,No)、一定時間Tが経過した場合には(ステップS04,Yes)、表示制御部344は、エラー画面をディスプレイ32に表示させる(ステップS07)。一定時間Tの間に、磁力変化Var1が閾値Thを超えると(ステップS06,Yes)、情報処理部343の処理に移行し、又は並行した情報処理部343の処理の確定に移る。すなわち、この場合、磁気解析部341による真正であるとの判定は、磁力変化Var1の閾値Thに対する大小判定と言い換えることができる。
【0051】
ここで、一定時間Tの間に店舗のスタッフが情報処理システム1の入力デバイス2を客の所有する電子機器3のマルチタッチパッドにタッチさせると、図5に示すように、入力デバイス2の磁性体23によって磁気解析部341が解析した磁気変化Var1は閾値Thを超える。一方、図10に示すように、手で入力デバイス2の接部22の位置関係を模してマルチタッチパッド31をタッチしても、図11に示すように、入力デバイス2の磁性体23が電子機器3に近づいたときに検出される磁力変化は表れない。そのため、情報処理システム1の入力デバイス2を手で模しても、エラー画面がディスプレイ32に表示される。つまり、手で入力デバイス2を偽装してスタンプ数を増加させることはできなくなる。
【0052】
磁気解析部341による解析の後又は解析と並行して、タッチデータ解析部342は、スタンピング画面の表示の後、一定時間Tが経過するまでの間、マルチタッチパッド31からのタッチ位置信号を受け付ける。タッチデータ解析部342は、タッチ位置信号が入力されると(ステップS08)、そのタッチ位置信号が示す多点のタッチ位置から接部22の位置関係を解析する(ステップS09)。例えば、3点の接部22を結ぶ屈曲線Lの曲がり角度θを座標計算によって算出する。
【0053】
情報処理部343は、磁気解析部341により磁力変化Var1が閾値Thを超えたと判定されると(ステップS06,Yes)、タッチデータ解析部342が解析した多点のタッチ位置の位置関係と一致する位置関係情報352を処理内容データベース351から検索し(ステップS10)、該当の位置関係情報352があると(ステップS11,Yes)、その位置関係情報352に関連づけられた処理内容情報353に従って処理を実行する(ステップS12)。一方、該当の位置関係情報352がなければ(ステップS11,No)、表示制御部344はエラー画面を表示する(ステップS07)。
【0054】
図12は、情報処理部343による処理の結果、ストレージ35に更新して記憶される店舗別スタンプ変数353aの値を示す図である。例えば、○○店舗が有するスタンプを増加させるための入力デバイス2が電子機器3にタッチされると、図12の(a)に示すように、情報処理部343は、○○店舗の店舗別スタンプ変数353aの値を1インクリメントすることとなる。また、図12の(b)に示すように、○○店舗が有するスタンプを全消去するための入力デバイス2が電子機器3にタッチされると、情報処理部は、○○店舗の店舗別スタンプ変数353aの値をゼロにする。
【0055】
また、××店舗が有するスタンプを増加させるための入力デバイス2が電子機器3にタッチされると、図12の(c)に示すように、情報処理部343は、××店舗の店舗別スタンプ変数353aの値を1インクリメントすることとなる。また、図12の(d)に示すように、××店舗が有するスタンプを全消去するための入力デバイス2が電子機器3にタッチされると、情報処理部343は、××店舗の店舗別スタンプ変数353aの値をゼロにする。
【0056】
そして、情報処理部343による処理が終了すると、表示制御部344は結果報知画面を表示する(ステップS13)。例えば、スタンプ数が増加する場合、スタンプがスタンプカードに押印された演出をディスプレイ31に表示させる。スタンプ数が一定数に達した場合には、くす玉が割れる演出とともに、スタンプと引き替えに受けられるサービス内容を表示することもできる。また、サービスとの引き替えのためにスタンプ数が全消去された場合には、新たなスタンプカードが出現する等の演出を表示することもできる。
【0057】
(変形例)
以上の情報処理システム1は、入力デバイス2に応じて情報処理を実行するが、その入力デバイス2の真正が要求される状況であれば、スタンプサービスに限らず適用可能である。例えば、入力デバイス2で電子機器3をタッチすると電子マネーやキャラクタ等のデータ購入されるようにしてもよい。また、対戦型のカードゲームのカードを入力デバイス2とし、対戦の公平性を担保するようにしてもよい。また、入力デバイス2をユーザの印鑑とし、本人認証に利用するようにしてもよい。
【0058】
つまり、入力デバイス2の接部22の位置関係に応じて電子マネーの種類及び金額を内容とする処理内容情報353を処理内容データベース351に記憶させておいてもよいし、入力デバイス2の接部22の位置関係に応じてキャラクタの種類を内容とする処理内容情報353を処理内容データベース351に記憶させておいてもよい。また、入力デバイス2が真正であると判断した場合にのみ、電子書類に押印を付与するようにしてもよい。更に、入力デバイス2が真正と判断した場合にのみ、入力デバイス2の接部22の位置関係をサーバに送信し、接部22の位置関係に基づいてログイン等の本人認証をするようにしてもよい。
【0059】
また、接部22は、スイッチの切り換えに応じてブロック本体21に対して進退可能としてもよい。スイッチの切り換えに応じてブロック本体21から突出させる接部22の組み合わせを2種類にする。これにより、スタンプ数を増加させるための入力デバイス2とスタンプをゼロにするための入力デバイス2を単一個体で賄うことができる。
【0060】
また、磁性体23は入力デバイス2に埋設するようにしたが、入力デバイス2のタッチと同時又は時間差を置かず前後して電子機器3の磁気センサ33に干渉すればよいのであって、ブロック本体21と磁性体23とを分離させることもでき、必ずしも入力デバイス2と磁性体23とは一体的である必要はない。例えば、磁性体23を正規の人物が身につける手袋や指輪や作業台等に仕込むこともできる。入力デバイス2を扱う者の真正が判定できれば、入力デバイス2は真正であるとみなすことができるためである。
【0061】
更に、情報処理システム1において、磁気解析部341が磁力変化を解析するのは、電子機器3の周囲の磁気環境の影響を排除するためである。そのため、電子機器3の周囲の磁気環境を無視できるほどの磁力を有する磁性体23を入力デバイス2に埋設する場合には、磁気解析部341は、磁力の閾値を予め記憶しておき、磁力信号が示す値と比較してもよい。
【0062】
また、真正であるかの判定は、要求される確証度合いに応じて厳密性を高めるようにすればよい。電子機器3の磁気センサ33は、図13に示すように、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸の磁気センサ33a、33b、33cを備える。この磁気センサ33は、マルチプレクサ33dを有し、信号をアンプ33eにより増幅し、A/D変換器33fでデジタル変換した後、シリアルデータインターフェース33gからコントローラ34へ出力する。
【0063】
この3軸電子コンパスの磁気センサ33を内蔵する電子機器3は、3軸の各軸に分けて磁力の大きさや磁力変化を検出可能である。そこで、X軸、Y軸及びZ軸の磁力変化が相違するように、入力デバイス2に対する磁性体23の埋設位置、向き及び磁力を一定に規定しておく。つまり、磁力線の向き及び大きさを規定しておく。
【0064】
一方、磁気解析部341は、図14に示すように、X軸、Y軸及びZ軸の各閾値ThX、ThY、ThZを予め記憶しておく。また、磁気解析部341は、図15に示すように、何れの軸の磁力変化が閾値を超え、且つ何れの軸の磁力変化が閾値を下回れば真正と判定するかの条件を記憶しておく。
【0065】
磁気解析部341は、X軸、Y軸及びZ軸の磁力変化VarX、VarY、VarZと各軸の閾値ThX、ThY、ThZとを比較し、条件を満たすかを判断する。その結果、条件を満たしていれば、磁気解析部341は、電子機器3にタッチした物体を情報処理システム1の入力デバイス2であると判定する。
【0066】
図16に示すように、磁気解析部341は上限閾値UpLと下限閾値LoLを記憶し、上限閾値UpLと下限閾値LoLとの間に入力デバイス2の磁性体23由来の磁力又は磁力変化が収まらない場合には、入力デバイス2を不真正とすることもできる。
【0067】
これらの真正の判定手法によれば、手による入力デバイス2の偽装の他、単に磁性体23を近づけたり、不真正な入力デバイス2をユーザが自作したとしても、入力デバイス2の偽装を見破る確度を高めることができる。
【0068】
また、本実施形態では3点の接部22を通る1本の屈曲線Lの曲がり角度θを位置関係として解析するようにしたが、入力デバイス2の識別、すなわち接部22の位置関係の解析に関しては当該手法に限られないことはいうまでもない。例えば、図17に示すように、入力デバイス2の接部22を突設させる面を複数の領域に区切り、各領域に対して接部22の有無を検出し、接部22のある領域又は無い領域の組み合わせで位置関係を認識するようにしてもよい。
【0069】
区切った領域の行列数によっては、入力デバイス2の向きに応じて認識される位置関係が変わることもある。この場合、入力デバイス2の向きを適正にするように促すメッセージを表示するようにすることもできる。又は、領域の行列のうちの3隅には必ず接部22を突設するようにし、3隅の接部22は入力デバイス2の向き判定に利用し、その他の接部22を多点のタッチ位置の位置関係として利用するようにしてもよい。
【0070】
また、3点の接部22を通る1本の屈曲線Lの曲がり角度θを位置関係として解析する場合、3点の接部22の結び方によって3種類の曲がり角度θが生ずる。入力デバイス2ごとに3種類の曲がり角度θを有するとしてもよいが、次のようにして曲がり角度θを1つに決定することもできる。
【0071】
すなわち、接部22を突設する面の3隅に別途3点の接部22を設ける。この別途設けられた3点の接部22によって入力デバイス2の向きを判定する。そして、入力デバイスの向きに対応して1種類の曲がり角度θを導く。例えば、入力デバイス2の上下方向の向きを検出する。そして、入力デバイス2の上下方向において真ん中に位置する接部22で屈曲するように屈曲線Lを描く。上下方向において高さが同じ接部22が存在する場合、より左側に位置する接部22で屈曲するように屈曲線Lを描く。
【0072】
(効果)
以上のように、この情報処理システム1では、入力デバイス2に複数の接部22と磁性体23とを備えるようにした。複数の接部22は、ユーザに把持されるブロック本体21の一面に配置されて、電子機器3のマルチタッチパッド31が検出可能となっている。磁性体23は、電子機器3の磁気センサ33に干渉する。一方、電子機器3は、磁気解析部341を備え、磁気センサ33に基づいて、磁性体23を有する入力デバイス2のマルチタッチパッド31へのタッチを判定するようにした。すなわち、マルチタッチパッド31にタッチした物体が情報処理システム1の入力デバイス2であるか判定するようにした。そして、磁気解析部341により入力デバイス2のタッチと判定されると、タッチデータ解析部342により、マルチタッチパッド31が検出した接部22の位置関係を解析し、情報処理部343により、タッチデータ解析部342が解析した接部22の位置関係に応じた処理を実行するようにした。
【0073】
情報処理部343が実行する処理としては、例えば、接部22の位置関係と処理内容とを関連づけた処理内容データベース351を備え、処理内容データベース351の処理内容情報353に従って処理を実行する。例えば、スタンプサービスを適用例とし、処理内容データベース351を参照して、接部22の位置関係に応じた店舗のスタンプ数を増加させて記憶する。
【0074】
これにより、入力デバイス2を手やその他の物体で偽装してマルチタッチパッド31をタッチしようとも、其の偽装を電子機器3側で其の偽装を見破る確率が高まり、不正を許さず、情報処理システム1の信頼性を向上させることができる。
【0075】
(第2の実施形態)
図18は、第2の実施形態に係る電子機器3が有するコントローラ34の構成図である。図18に示すように、この磁気センサ33から出力される磁気信号は、タッチされた物体の真正を判定する磁気解析部341のほか、情報処理部343にも入力される。情報処理部343は、多点のタッチ位置の位置関係に加えて、磁力信号の情報も処理内容情報353の検索に利用する。
【0076】
すなわち、図19に示すように、処理内容データベース351には、位置関係情報352と磁力情報354の組み合わせに応じて処理内容情報353が関連付けられている。磁力情報354は、X軸、Y軸又はZ軸の単軸に対する磁力の範囲、またはX軸、Y軸及びZ軸ごとの磁力の範囲、またはX軸、Y軸及びZ軸の合成に対する磁力の範囲を示す。
【0077】
情報処理部343は、多点のタッチ位置の位置関係と磁力信号の情報をアンド条件として、これらに一致する位置関係情報352と磁力情報354の組み合わせを検索し、該当の組み合わせに関連付けられた処理内容情報353に従った処理を実行する。
【0078】
電子機器3への入力が、多点のタッチ位置の位置関係と磁力信号の情報の組み合わせとなると、その入力パターンは飛躍的に高まる。膨大な入力パターンの一部に対してのみ処理内容情報353を関連付けるようにすれば、入力デバイス2のなりすまし成功率を更に低下させることが可能となる。或いは、より多様な処理内容情報353を関連付けることができ、情報処理システム1の機能が向上する。
【0079】
以上の実施形態は、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行い、この実施形態に限らずに、そのほかの様々な形態で実施されることが可能である。そして、本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0080】
例えば、処理内容データベース351は、電子機器3のストレージ35ではなく、ネットワーク上のサーバに記憶させるようにしてもよい。サーバに記憶させる場合、サーバ側で処理内容情報353に従って処理して処理結果をクライアントである電子機器3に送信してしてもよいし、処理内容情報353を電子機器3へ送信し、電子機器3の情報処理部343で処理するようにしてもよい。サーバを利用する場合、電子機器3は、ネットワークに接続可能に送受信部36aを備える。
【符号の説明】
【0081】
1 情報処理システム
2 入力デバイス
21 ブロック本体
22 接部
23 磁性体
3 電子機器
31 マルチタッチパッド
32 ディスプレイ
33 磁気センサ
33a X軸磁気センサ
33b Y軸磁気センサ
33c Z軸磁気センサ
33d マルチプレクサ
33e アンプ
33f A/D変換器
33g シリアルデータインターフェース
34 コントローラ
341 磁気解析部
Var1、Var2 磁力変化
Th、UpL、LoL 閾値
T 一定時間
342 タッチデータ解析部
L 屈曲線
θ1、θ2 曲がり角度
343 情報処理部
344 表示制御部
35 ストレージ
351 処理内容データベース
352 位置関係情報
353 処理内容情報
353a 店舗別スタンプ変数
353b 変更値
354 磁力情報
36a 送受信部
36b スピーカ
36c マイク
36d 回転検出センサ
36e 加速度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
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図19