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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-201105(P2015-201105A)
(43)【公開日】2015年11月12日
(54)【発明の名称】光学情報読み取り装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/00 20060101AFI20151016BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20151016BHJP
   G06K 9/22 20060101ALI20151016BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20151016BHJP
【FI】
   G06K7/00 D
   G06K7/00 K
   G06K7/10 R
   G06K9/22
   G06T1/00 420P
   G06K7/10 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-80569(P2014-80569)
(22)【出願日】2014年4月9日
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】丸山 健太郎
【テーマコード(参考)】
5B029
5B047
5B072
【Fターム(参考)】
5B029AA03
5B029BB04
5B029BB05
5B029BB06
5B029BB15
5B029BB16
5B047AA01
5B047BA03
5B047BB04
5B047BC11
5B047BC16
5B072AA02
5B072CC24
5B072JJ11
5B072KK03
5B072LL11
(57)【要約】
【課題】照明光源を備えていながらも、白とび現象を抑制する携帯型の光学情報読み取り装置を提供する。
【解決手段】情報コード8が示されたコード表示面90を撮像する撮像素子2と、撮像素子2が撮像するコード表示面90を照明する照明光源3と、撮像素子2が撮像した撮像画像から読み取り範囲の画像を解析することで、コード表示面90に表示されている情報コード8を読み取る携帯型の光学情報読み取り装置1であって、読み取り範囲の目印となるマーカ図形9をコード表示面90に照射するマーカ照射部6を備える。マーカ図形9は、照明光源3が撮像画像に映り込んでいないときの光学情報読み取り装置1の角度において、縦横比が1:1となる形状とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報コード(8)が示されたコード表示面(90)を撮像する撮像部(2)と、
前記撮像部が撮像する前記コード表示面を照明する照明光源(3)と、
前記撮像部が撮像した撮像画像から所定の読み取り範囲の画像を解析することで、前記コード表示面に表示されている情報コードを読み取る携帯型の光学情報読み取り装置であって、
前記読み取り範囲の目印となるマーカ図形(9、9a)を前記コード表示面に照射するマーカ照射部(6)を備え、
前記マーカ図形は、前記照明光源が前記撮像画像に映り込んでいないときの前記光学情報読み取り装置の角度において、縦横比が1:1となる形状であることを特徴とする光学情報読み取り装置(1)。
【請求項2】
請求項1において、
前記コード表示面に対して前記撮像部が平行になる前記光学情報読み取り装置の角度である正対角度で、前記照明光源が前記撮像画像に映り込むことを特徴とする光学情報読み取り装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記マーカ図形は、前記照明光源が前記撮像画像に映り込んでいるときの前記光学情報読み取り装置の角度において、縦方向長さが、横方向長さよりも短いことを特徴とする光学情報読み取り装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記撮像部が撮像する撮像画像は、縦方向長さよりも横方向長さのほうが長いことを特徴とする光学情報読み取り装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項において
前記マーカ図形は、前記照明光源が前記撮像画像に映り込んでいないときの前記光学情報読み取り装置の角度において、正円となることを特徴とする光学情報読み取り装置。
【請求項6】
請求項2〜4のいずれか1項において、
前記マーカ図形は、前記照明光源が前記撮像画像に映り込んでいないときの前記光学情報読み取り装置の角度において、縦方向長さと横方向長さが等しい十字形であることを特徴とする光学情報読み取り装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項において、
前記マーカ図形は、読み取り範囲の中心またはその付近を示す目印であることを特徴とする光学情報読み取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーカ照射部を備える携帯型の光学情報読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光学情報読み取り装置は、情報コードの読み取りにかける時間や手間を低減する工夫がされている。例えば、光学情報読み取り装置の撮像素子がどこを撮像しており、読み取り範囲がどこであるかが分かりにくいと、読み取りに時間や手間がかる。そこで、携帯型の光学情報読み取り装置にマーカ光を照射するマーカ照射部を備え、マーカ光を読み取り範囲の中心付近に照射することで、マーカ光を読み取り位置を示す目印とする工夫が知られている。
【0003】
このマーカ光を見ることで、使用者は、読み取り位置が把握できる。このように、マーカ光によって読み取り位置が把握できるようになると、素早く読み取りを行うことが可能となる。
【0004】
一方で、特許文献1には、照明部を備えた光学情報読み取り装置が開示されている。照明部からの照明光で、情報コードが示されているコード表示面を照らすことで、暗い場所でも読み取り操作が行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−1119970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のように照明部を備えると、コード表示面での照明光の反射により、照明光源が撮像画像に映り込んでしまうことがある。照明光源が撮像画像に映り込んでしまうと、明るさが強すぎて白とび現象が生じている画像になる。この白とび現象が起きると、情報コードが読み取れないことも多くなる。
【0007】
また、マーカ光が、コード表示面に示された情報コードに照射されているとしても、光学情報読み取り装置の角度によっては、照明光源が撮像画像に映り込んでしまうことがある。
【0008】
しかし、従来、コード表示面に照射されたマーカ光からは、照明光源が撮像画像に映り込んでいるかを使用者が把握することは困難であった。そのため、使用者は、照明光源の映り込みにより読み取りが困難になっていることに気付かずに、マーカ光を情報コード上に照射しているのだから、読み取りができるはずだと思い込み、何度も、読み取り操作を行うことがあった。その結果、情報コードの読み取りに時間がかかってしまうことがあった。
【0009】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、照明光源を備えていながらも、白とび現象を抑制する携帯型の光学情報読み取り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
その目的を達成するための請求項1記載の発明は、情報コード(8)が示されたコード表示面(90)を撮像する撮像部(2)と、撮像部が撮像するコード表示面を照明する照明光源(3)と、撮像部が撮像した撮像画像から所定の読み取り範囲の画像を解析することで、コード表示面に表示されている情報コードを読み取る携帯型の光学情報読み取り装置であって、読み取り範囲の目印となるマーカ図形(9、9a)をコード表示面に照射するマーカ照射部(6)を備え、マーカ図形は、照明光源が撮像画像に映り込んでいないときの光学情報読み取り装置の角度において、縦横比が1:1となる形状であることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、マーカ照射部が照射するマーカ図形は、照明光源が撮像画像に映り込んでいないときの光学情報読み取り装置の角度において、縦横比が1:1となる。一方、マーカ図形の縦横比は、光学情報読み取り装置の角度に応じて変化する。そこで、使用者は、マーカ図形の縦横比が1:1に近づくように、光学情報読み取り装置の角度を調整することで、照明光源が撮像画像に映り込んでしまうことを抑制できるので、白とび現象を抑制することができる。
【0012】
請求項2記載の発明は、コード表示面に対して撮像部が平行になる光学情報読み取り装置の角度である正対角度で、照明光源が撮像画像に映り込むことを特徴とする。
【0013】
このように、正対角度で、照明光源が撮像画像に映り込む場合、光学情報読み取り装置自体の角度から、撮像画像に照明光源が映り込んでいないことの判断が、特に困難である。よって、マーカ図形を、照明光源が撮像画像に映り込んでいないときの光学情報読み取り装置の角度において、縦横比が1:1となる形状とする意義が大きい。
【0014】
請求項3記載の発明は、マーカ図形は、照明光源が撮像画像に映り込んでいるときの光学情報読み取り装置の角度において、縦方向長さが、横方向長さよりも短いことを特徴とする。
【0015】
このようにすれば、光学情報読み取り装置の前後方向の傾きを変化させると、コード表示面に表示されているマーカ図形の縦横比が変化する。光学情報読み取り装置を前後方向に傾けて情報コードの読み取りを行うこと、たとえば、光学情報読み取り装置を、コード表示面に正対している状態から少し下向きにして読み取りを行うことは、光学情報読み取り装置を情報コードに対して斜め横向きにして読み取りを行う場合に比較して、読み取り操作の違和感が少ない。よって、この請求項のようにすれば、白とび現象を抑制するための光学情報読み取り装置の操作の違和感を少なくすることができる。
【0016】
請求項4記載の発明は、撮像部が撮像する撮像画像は、縦方向長さよりも横方向長さのほうが長いことを特徴とする。
【0017】
このようにすれば、照明光源が撮像画像に映り込まないようにするために、光学情報読み取り装置を前後方向に傾ける角度が少なくなる。よって、白とび現象を抑制するために光学情報読み取り装置の角度を調整する際の作業性が向上する。
【0018】
請求項5記載の発明は、マーカ図形は、照明光源が撮像画像に映り込んでいないときの光学情報読み取り装置の角度において、正円となることを特徴とする。この請求項によれば、マーカ図形の形状が楕円から正円に近づくように、光学情報読み取り装置の角度を調整すればよいことになる。
【0019】
請求項6記載の発明は、マーカ図形は、照明光源が撮像画像に映り込んでいないときの光学情報読み取り装置の角度において、縦方向長さと横方向長さが等しい十字形であることを特徴とする。この請求項によれば、マーカ図形の形状が正十字形になるように、光学情報読み取り装置の角度を調整すればよいことになる。
【0020】
請求項7記載の発明は、マーカ図形は、読み取り範囲の中心またはその付近を示す目印であることを特徴とする。この請求項によれば、マーカ図形の位置から、読み取り範囲を把握することも容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】光学情報読み取り装置1の縦断面図である。
図2図1のII−II線で切断して光学情報読み取り装置1の一部を示す部分断面図である。
図3図1の部分拡大図である。
図4図2のIV−IV線で切断した断面の概略図である。
図5】光学情報読み取り装置1を傾けて、マーカ光7をコード表示面90に照射した図である。
図6】正対角度になっている光学情報読み取り装置1から、コード表示面90にマーカ図形9を投影したときの図である。
図7】光学情報読み取り装置1をコード表示面90に対して前後方向に傾斜させて、マーカ図形9をほぼ正円とした状態である。
図8】比較例において、照明光源3が撮像画像に映り込まない角度まで光学情報読み取り装置を傾けたときのマーカ図形Mを例示する図である。
図9】第2実施形態において、正対角度になっている光学情報読み取り装置から、コード表示面90にマーカ図形9aを投影したときの図である。
図10】第2実施形態において、光学情報読み取り装置1をコード表示面90に対して前後方向に傾斜させて、マーカ図形9aをほぼ正十字とした状態である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る光学情報読み取り装置1の縦断面図である。この光学情報読み取り装置1は携帯型であり、使用者は把持部70を持って、この光学情報読み取り装置1の角度を変更することができる。
【0023】
図1に示すように、光学情報読み取り装置1は、内部に撮像素子2と照明光源3を備える。照明光源3は、たとえば白色LEDであり、暗い場所でも情報コードの読み取りを可能にするために備えられている。照明光源3が発光して生じた照明光は、透明の読み取り窓80を通して、光学情報読み取り装置1の外部へ照射される。照明光源3は、撮像素子2が情報コードを撮像する際に発光し、情報コードが表示されたコード表示面90を照らす。
【0024】
請求項の撮像部に相当する撮像素子2は、CCD、CMOSなどのイメージセンサであり、読み取り窓80を通して入射する入射光を受光することで、撮像範囲の画像を撮像する。撮像素子2は、本実施形態では、縦横比が9:16の横長の画像を撮像する。
【0025】
図1には図示していないが、光学情報読み取り装置1は、撮像素子2や照明光源3を制御し、また、撮像素子2が撮像した撮像画像を解析することで、情報コードを読み取る制御部も備える。撮像素子2が撮像した撮像画像は制御部に送られ、情報コードを読み取る読み取り処理が行われる。
【0026】
図2は、図1のII−II線で切断して光学情報読み取り装置1の一部を示す部分断面図である。図2に示すように、光学情報読み取り装置1はマーカ照射部6も備えている。なお、図2は、マーカ照射部6からマーカ光7が照射されている状態を示している。
【0027】
マーカ照射部6は、LED6a、平凸レンズ6b、絞り6cを備えている。LED6aは、たとえば赤色の光を発光する。LED6aが発光した光は、LED6aと平凸レンズ6bとの間に配置された絞り6cを通過する。
【0028】
絞り6cは、コード表示面90に照射したマーカ光7が投影するマーカ図形9(図6など参照)の形状を定めるものであり、そのマーカ図形9の形状をした通路を有する。
【0029】
絞り6cを通過したマーカ光7は平凸レンズ6bを通過することでほぼ平行光に変えられて、コード表示面90に照射される。ほぼ平行光であるため、マーカ光7をコード表示面90に対して垂直に照射した場合、コード表示面90までの距離にかかわらず、ほぼ同じ大きさのマーカ図形9をコード表示面90に映し出すことができる。
【0030】
マーカ照射部6は、コード表示面90において、撮像素子2の撮像範囲の中心付近にマーカ図形9が照射できるように、LED6a、平凸レンズ6b、絞り6cの相対位置が決定されている。
【0031】
光学情報読み取り装置1の読み取り範囲が、コード表示面90においてどこからどこまでであるかは、使用者の目には直接は見えない。そこで、読み取り位置の目印としてマーカ図形9をコード表示面90に照射するのである。なお、読み取り範囲は、撮像素子2の撮像範囲の全部とすることもでき、また、撮像範囲の一部とすることもできる。
【0032】
使用者は、マーカ図形9を目印にして読み取り範囲の位置を把握し、光学情報読み取り装置1の位置や角度を変える操作をすることで、読み取り範囲に情報コードが含まれるようにすることができる。
【0033】
しかし、情報コードが読み取り範囲に入っているとしても、撮像画像に、発光しているLED6aすなわち照明光源3が映り込んでいると、白とび現象が生じて、情報コードの読み取りが困難になる。
【0034】
照明光源3が撮像範囲に映り込んでしまうことになるのは、反射の法則から、次の場合である。図1の部分拡大図である図3には、コード表示面90における読み取り範囲Rを例示している。この読み取り範囲Rの端と撮像素子2とを結んだ平面をP1、P2(断面図である図3では線)とする。これら平面P1、P2を進行する反射光となるのは、反射の法則から、平面P3、P4の角度でコード表示面90へ光が入射した場合である。したがって、光学情報読み取り装置1がコード表示面90に垂直である場合、図3に示すように、映り込み範囲Gに照明光源3があると、撮像画像に照明光源3が映り込んでしまう。
【0035】
光学情報読み取り装置1の前後方向の傾きを変えると、平面P1、P2のコード表示面90に対する角度が変化する。これにより、平面P3、P4のコード表示面90に対する角度も変化する。平面P3、P4の角度が変化すれば、映り込み範囲Gに照明光源3が入らないようにすることもできる。したがって、光学情報読み取り装置1の前後方向の傾きを調整すれば、映り込み範囲Gに照明光源3が入ってしまう映り込み状態を回避することができる。
【0036】
ここで、本実施形態の光学情報読み取り装置1は、前述したように、マーカ図形9を投影するマーカ照射部6を備える。マーカ図形9の形状は、コード表示面90に対する光学情報読み取り装置1の角度により変化する。そこで、このマーカ図形9の形状により、映り込み状態であるか否かを使用者が判断できるようにしている。
【0037】
マーカ図形9の形状がコード表示面90に対する光学情報読み取り装置1の角度により変化する理由を図4、5を用いて説明する。
【0038】
図4は、光学情報読み取り装置1が図3の角度、すなわち映り込み状態となる角度で、図2のIV−IV線で切断した断面の概略図である。この図4では、光学情報読み取り装置1は、ほぼコード表示面90に正対している。なお、正対している角度(以下、正対角度)とは、詳しくは、撮像素子2の撮像面が、コード表示面90に対して平行になる光学情報読み取り装置1の角度である。この図4に対して、図5は、光学情報読み取り装置1を傾けて、マーカ光7をコード表示面90に照射した図である。
【0039】
図4図5において、マーカ光7がコード表示面90に投影される面積を比較すると、図4のほうが図5よりも投影面積が小さい。図4は、マーカ光7がコード表示面90にほぼ垂直に入射しているのに対して、図5は、マーカ光7がコード表示面90に対して傾斜して入射しているからである。
【0040】
図4図5の比較から、光学情報読み取り装置1が正対角度に対して前後に傾くほど、マーカ光7によりコード表示面90に投影されるマーカ図形9の縦方向の長さが長くなることが分かる。
【0041】
図6は、正対角度になっている光学情報読み取り装置1から、情報コード8が示されているコード表示面90にマーカ光7を照射し、コード表示面90にマーカ図形9を投影したときの図である。図6に示すように、第1実施形態では、正対角度でコード表示面90に投影したマーカ図形9は、横長の楕円形状である。
【0042】
光学情報読み取り装置1の角度を、図5に例示したように、正対角度に対して上端および下端が前後方向に相対移動するように傾斜させると、マーカ図形9は縦方向長さのみが伸長する。
【0043】
図7は、光学情報読み取り装置1をコード表示面90に対して前後方向に傾斜させて、マーカ図形9をほぼ正円とした状態である。第1実施形態では、マーカ形状が正円となるときに、映り込み範囲Gに撮像素子2が含まれないように、正対角度におけるマーカ図形9の形状の縦横比を設定している。
【0044】
たとえば、マーカ図形9の形状が図7に示したように正円となるときの光学情報読み取り装置1の角度が図5の角度であるとすると、光学情報読み取り装置1から離れる方向に映り込み範囲Gは延びている。このように、第1実施形態の光学情報読み取り装置1は、コード表示面90に投影されたマーカ図形9が正円となるように傾けると、映り込み状態とならない角度になる。
【0045】
(比較例)
ここで比較例を説明する。比較例の光学情報読み取り装置は、正対状態、すなわち、映り込み状態で、マーカ図形が正円になる。この場合、照明光源3が撮像画像に映り込まない角度まで光学情報読み取り装置を傾けた状態では、コード表示面90に表示されるマーカ図形Mは、図8に示すように、縦長の楕円になる。
【0046】
この比較例では、正円となる角度から光学情報読み取り装置を少しでも前後方向に傾けると、コード表示面90に表示されるマーカ図形Mは縦長の楕円になる。しかし、正円となる角度から光学情報読み取り装置を少し傾けただけでは、映り込み状態のままである。したがって、比較例の場合、マーカ図形Mの形状で映り込み状態であるか否かを判断しようとすると、楕円の縦長の程度を判断しなければならない。よって、マーカ図形Mの形状で映り込み状態であるか否かを判断することは困難である。
【0047】
(第1実施形態の効果)
これに対して、第1実施形態では、照明光源3が撮像画像に映り込まないときの光学情報読み取り装置1の角度で、縦横比が1:1となる円すなわち正円となるようにマーカ図形9の形状を設定している。
【0048】
楕円の縦長の程度を区別することに比べて、正円か楕円かを区別することは容易である。したがって、第1実施形態の光学情報読み取り装置1は、マーカ図形9の形状から、映り込み状態であるか否かを判断することが容易である。使用者は、マーカ図形9の縦横比が正円に近づくように、光学情報読み取り装置1の角度を調整することで、照明光源3が撮像画像に映り込んでしまうことを抑制できるので、白とび現象を抑制することができる。
【0049】
(変形例1)
なお、第1実施形態では、マーカ照射部6は、LED6a、平凸レンズ6b、絞り6cによって構成されていたが、発光体であればLED6a以外の発光体でもよい。また、平凸レンズ6bによって発光体の放つ光をほぼ平行光へ導いていたが、特にレンズの種類や素材に制限は無く、マーカ照射部6がほぼ平行光である光を発する構成であればよい。
【0050】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を説明する。この第2実施形態以下の説明において、それまでに使用した符号と同一番号の符号を有する要素は、特に言及する場合を除き、それ以前の実施形態における同一符号の要素と同一である。また、構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分については先に説明した実施形態を適用できる。
【0051】
第2実施形態の光学情報読み取り装置は、マーカ照射部6が照射するマーカ図形9aが、図9、10に示すように十字形状である点が、第1実施形態と相違する。
【0052】
図9は、正対角度になっている光学情報読み取り装置から、情報コード8が示されているコード表示面90にマーカ光7を照射し、コード表示面90にマーカ図形9aを投影したときの図である。図9に示すように、第2実施形態では、正対角度でコード表示面90に投影したマーカ図形9aは、縦線が横線よりも短い十字形状である。
【0053】
光学情報読み取り装置の角度を、正対角度に対して上端および下端が前後方向に相対移動するように傾斜させると、マーカ図形9aは縦方向長さのみが伸長する。
【0054】
図10は、光学情報読み取り装置をコード表示面90に対して前後方向に傾斜させて、マーカ図形9aをほぼ正十字とした状態である。第2実施形態では、マーカ形状が正十字となるときに、映り込み範囲Gに撮像素子2が含まれないように、正対角度におけるマーカ図形9aの形状の縦横比を設定している。
【0055】
したがって、第2実施形態では、使用者は、マーカ図形9aの縦横比が正十字に近づくように、光学情報読み取り装置1の角度を調整することで、照明光源3が撮像画像に映り込んでしまうことを抑制できるので、白とび現象を抑制することができる。
【符号の説明】
【0056】
1:光学情報読み取り装置 2:撮像素子 3:照明光源 6:マーカ照射部 6a:LED 6b:平凸レンズ 6c:絞り 7:マーカ光 8:情報コード 9:マーカ図形 9a:マーカ図形
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2014年5月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
【特許文献1】特開2002−111970号公報