特開2015-20124(P2015-20124A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-20124(P2015-20124A)
(43)【公開日】2015年2月2日
(54)【発明の名称】果菜自動選別方法と果菜自動選別装置
(51)【国際特許分類】
   B07C 5/36 20060101AFI20150106BHJP
   B07C 5/10 20060101ALI20150106BHJP
   B65G 47/46 20060101ALI20150106BHJP
   B65G 47/68 20060101ALI20150106BHJP
【FI】
   B07C5/36
   B07C5/10
   B65G47/46 H
   B65G47/68 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-150852(P2013-150852)
(22)【出願日】2013年7月19日
(71)【出願人】
【識別番号】391017702
【氏名又は名称】日本協同企画株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(72)【発明者】
【氏名】宮田 和男
【テーマコード(参考)】
3F015
3F070
3F079
【Fターム(参考)】
3F015AA07
3F015FA02
3F015GA01
3F070AA11
3F070BA04
3F070BB02
3F070BC03
3F070BC07
3F070BD01
3F070EB02
3F070FA01
3F079AC21
3F079AC23
3F079CB01
3F079CB25
3F079CB29
3F079CC02
3F079CC05
3F079DA12
3F079EA09
(57)【要約】
【課題】 果菜キャリアに設けられた幅細ベルトを無駄なく有効活用でき、単位時間当たりの処理数を増やすことができ、搬送速度を遅くしても従前の選別と同等の処理ができ、搬送速度を遅くすることにより果菜載せ作業や判別作業をし易くすることができる果菜自動選別方法と果菜自動選別装置を提供する。
【解決手段】 果菜搬送体の多数の果菜キャリアのベルトのうち、一本又は二本以上のベルトを果菜載せ単位(一ユニット)として、果菜を載せるユニットベルトを指示し、指示されたユニットベルトが一本の場合はそのベルトに、二本以上の場合はそれらベルトに跨がせて果菜を載せて搬送し、前記搬送中に夫々のユニットベルトに載せた果菜を計測して等階級判別し、前記判別結果に応じてユニットベルトが果菜搬送体での果菜搬送方向側方に往回転して、前記果菜を送り出すようにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
果菜搬送体のベルトコンベア式の果菜キャリアに果菜を載せて搬送し、搬送中に果菜を計測器で自動計測して当該果菜の等階級を判別し、判別済み果菜を判別結果に基づいて等階級別に果菜搬送体の側方に送り出す果菜自動選別方法において、
果菜搬送体の多数の果菜キャリアのベルトのうち、一本又は二本以上のベルトを一ユニットとして、果菜を載せるユニットベルトを外部から目視認識できるように指示し、
指示されたユニットベルトが一本の場合はそのベルトに、二本以上の場合はそれらベルトに跨がせて果菜を載せて搬送し、
前記搬送中に夫々のユニットベルトに載せた果菜を計測して等階級判別し、
前記判別結果に応じてユニットベルトが果菜搬送体での果菜搬送方向側方に往回転して、前記果菜を送り出す、
ことを特徴とする果菜自動選別方法。
【請求項2】
請求項1記載の果菜自動選別方法において、
指示するユニットベルトの位置及び本数を変更し、変更されたユニットベルトを外部から目視認識できるように指示する、
ことを特徴とする果菜自動選別方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の果菜自動選別方法において、
ユニットベルトが二本以上の場合に、それらベルトを同時に果菜搬送方向側方に往回転させるか、又は、搬送方向先方のベルトから後方のベルトの順に時間差をもって果菜搬送方向側方に往回転させて、ユニットベルトに載せてあった果菜の向きを変えて送り出す、
ことを特徴とする果菜自動選別方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の果菜自動選別方法において、
果菜送り出し後に果菜搬送体の搬送が進んで果菜を送り出した果菜キャリアが少なくとも果菜搬送体の果菜載せエリアに戻るまでの間に、往回転したユニットベルトを復回転させて、ユニットベルトの果菜載せ部を一列に揃えるようにした、
ことを特徴とする果菜自動選別方法。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の果菜自動選別方法において、
果菜送り出し後に果菜搬送体の搬送が進んで果菜を送り出した果菜キャリアが少なくとも果菜搬送体の果菜載せエリアに戻るまでの間に、往回転したユニットベルトを更に同方向に回転させて、ユニットベルトに設けられた前記果菜載せ部又はユニットベルトに設けてある他の果菜載せ部を一列に揃えるようにした、
ことを特徴とする果菜自動選別方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の果菜自動選別方法において、
果菜をユニットベルトの果菜載せ部に載せる前に、果菜を載せる作業者が目視で果菜の等階級を判別(目視判別)し、
前記判別結果に応じて、ユニットベルトに対応して設けられたトラッキングスイッチを操作して目視判別結果(目視データ)を入力し、
前記目視データと、計測器での自動計測に基づく等階級判別結果(計測データ)とに基づいて、果菜の等階級を総合的に判別し、その総合判別結果に基づいてユニットベルトを往回転させて果菜を送り出す、
ことを特徴とする果菜自動選別方法。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の果菜自動選別方法において、
ベルトと別に設けられた多数のトラッキングスイッチのうち、ユニットベルトと対応するトラッキングスイッチを作業者が目視認識できるように指示し、指示されたトラッキングスイッチを操作して目視データを入力する、
ことを特徴とする果菜自動選別方法。
【請求項8】
多数の果菜キャリアが無端走行体に連結されて果菜搬送体が構成され、多数の果菜キャリアは無端走行体の走行に伴って同方向に移動し、移動中の果菜キャリアに果菜を載せると、果菜が果菜キャリアの移動に伴って搬送され、その搬送中に果菜を計測して当該果菜の等階級を判別し、判別済み果菜を判別結果に基づいて等階級別に果菜搬送体の側方に送り出す果菜自動選別装置において、
前記果菜搬送体は果菜を載せる果菜載せエリアと、果菜を計測して等階級を判別する計測判別エリアと、計測部での計測・判別結果に基づいて果菜を果菜搬送体の搬送方向側方に送り出す仕分けエリアを備え、
夫々の果菜キャリアは一本又は二本以上のベルトを有し、夫々のベルトが別々に往回転又は往復回転可能に設けられたベルトコンベア式であり、
前記果菜キャリアは無端走行体に、その走行方向に一列に並べて多数設けられ、

一本のベルト又は隣接する二本以上のベルトを果菜載せ単位(一ユニット)として指示するベルトユニット指示手段を備え、
当該ベルトユニット指示手段で指示された一ユニットのユニットベルトが一本の場合はそのベルトに、二本以上のベルトの場合はそれらベルトに跨がせて果菜を載せることができ、
ベルトユニット指示手段は果菜キャリアの移動と同期して同方向に移動して、果菜キャリアが移動してもユニットベルトと位置ずれしないようにした、
ことを特徴する果菜自動選別装置。
【請求項9】
請求項8記載の果菜自動選別装置において、
ベルトユニット指示手段が一ユニットとするベルトの位置や本数を変更し、変更したユニットベルトを目視認識できるように指示変更可能である、
ことを特徴する果菜自動選別装置。
【請求項10】
請求項8又は請求項9記載の果菜自動選別装置において、
ベルトユニット指示手段が電光表示式或いは機械表示式である、
ことを特徴する果菜自動選別装置。
【請求項11】
請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の果菜自動選別装置において、
ベルトユニット指示手段が、少なくとも果菜搬送体の果菜載せエリアであって、果菜搬送体の搬送方向側方に設けられた、
ことを特徴する果菜自動選別装置。
【請求項12】
請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の果菜自動選別装置において、
果菜搬送体の搬送方向側方に、果菜を載せる作業者の目視判断による目視判別結果を入力する多数のトラッキングスイッチと、スイッチユニット表示手段を備え、
多数のトラッキングスイッチは個々のベルトと対応して配置され、
スイッチユニット表示手段は多数のトラッキングスイッチのうちどのトラッキングスイッチがどのベルトと対応するかを指示するものであり、前記トラッキングスイッチはそれと対応するベルトの移動と同期して果菜キャリアの移動方向に移動し、スイッチユニット表示手段による指示がトラッキングスイッチの移動と共に移動して、移動するトラッキングスイッチを指示し続けることができるものでもある、
ことを特徴する果菜自動選別装置。
【請求項13】
請求項12記載の果菜自動選別装置において、
トラッキングスイッチは、少なくとも果菜載せエリアであって、果菜搬送体の搬送方向側方に、当該果菜搬送体と平行して設けられたスイッチ用無端走行体に多数のトラッキングスイッチを取り付けて構成された、
ことを特徴する果菜自動選別装置。
【請求項14】
請求項12又は請求項13記載の果菜自動選別装置において、
トラッキングスイッチは、個々のベルトに対応する位置関係で設けられている、
ことを特徴する果菜自動選別装置。
【請求項15】
請求項12から請求項14のいずれか1項に記載の果菜自動選別装置において、
スイッチユニット表示手段はトラッキングスイッチに設けることも、トラッキングスイッチとは別に設けることもでき、トラッキングスイッチに設ける場合はトラッキングスイッチの移動に伴って自動的に移動し、トラッキングスイッチと別に設けた場合はトラッキングスイッチの移動と同期して同方向に移動する、
ことを特徴する果菜自動選別装置。
【請求項16】
請求項12から請求項15のいずれか1項に記載の果菜自動選別装置において、
ベルトユニット指示手段が果菜搬送体の搬送方向一側方に設けられ、
トラッキングスイッチ及びスイッチユニット表示手段が果菜搬送体の搬送方向他側方に設けられた、
ことを特徴する果菜自動選別装置。
【請求項17】
請求項16記載の果菜自動選別装置において、
トラッキングスイッチ及びスイッチユニット表示手段が、果菜載せエリアの作業者側に設けられたことを特徴する果菜自動選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トマト、桃、梨、柿、メロン、小玉西瓜、茄子、胡瓜、ゴーヤといった各種果菜を搬送しながらサイズ別、形状別、色別、糖度別などの規格(等階級)別に判別し、判別された果菜を等階級別に仕分けるという作業を、連続的且つ自動的に行うことのできる果菜自動選別方法と果菜自動選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[果菜自動選別装置]
トマト、桃、梨、柿、メロン、小玉西瓜、茄子、胡瓜、ゴーヤといった果菜を、サイズ別、形状別、色別、糖度別などの規格(等階級)別に判別し、等階級別に仕分けるための装置として、本件発明者が先に開発したベルトコンベア式の果菜自動選別装置(例えば、特許文献1、2)がある。
【0003】
特許文献1、2に開示された果菜自動選別装置は、無端走行体(例えば、無端走行チェーン)にベルトコンベア式の果菜載せ体(果菜キャリア)を多数取り付けて果菜搬送ライン(果菜搬送体)としてある。この果菜搬送体は、作業員が果菜キャリアに果菜を載せる果菜供給部(果菜載せエリア)、果菜キャリアに載せた果菜の形状、大きさ(サイズ)等を計測して、予め定めてある等階級別に判別する計測・判別部(計測判別エリア)、等階級別に判別された果菜を等階級別に仕分けして、果菜搬送ラインの側方に設けられているプールコンベアに送り出す仕分けエリアを備えている。
【0004】
[果菜キャリア]
特許文献1、2の果菜自動選別装置は、果菜キャリアのベルトの果菜載せ部に載せてある果菜を、ベルトの往回転により果菜選別ラインの側方に送り出し、その後、果菜キャリアが果菜載せエリアに戻るまでの間にベルトが復回転(戻り回転)して前記果菜載せ部が一列又は略一列に揃うようにしてある。
【0005】
特許文献1、2記載の果菜キャリアは、果菜搬送中に、果菜キャリアのベルトを往回転させる(プールコンベア側に回転させる)ことによって、ベルトに載せてある果菜を、搬送方向側方のプールコンベア側に送り出すので、搬送方向に慣性のついている果菜が果菜の送出し時に転がったり、倒れたりして、傷付くことがあった。これら問題を解決するため、ベルトを搬送方向斜め後方に回転させて、ベルトの果菜載せ部の上の果菜を斜め後方に送り出す斜めバック式のものもある(特許文献3)。この果菜によれば、前記慣性が減殺されて、果菜の転がり、倒れ、傷付きを防止することができる。
【0006】
果菜搬送時の果菜の位置ずれ防止、側方への送出し時の果菜の転がり、倒れ、傷付き等を防止するため、ベルトの上方に支持体を突設したベルトコンベア式の果菜キャリアもある(特許文献2)。このベルトも、果菜送り出し後に、支持体及び果菜載せ部が元の位置に戻って、一列又は略一列に並ぶようにベルトを復回転可能としてある。
【0007】
前記果菜キャリアはいずれもベルトコンベア式である。この果菜キャリアのベルトは、果菜キャリアの下に突設されたガイドピンが、搬送ラインの搬送方向途中に設けられたガイド溝に案内されることによって移動し、その移動に伴って回転するようにしてある(特許文献1)。
【0008】
具体的には、特許文献1の図5(b)に示すように、果菜搬送ラインの仕分けエリアに、果菜キャリアのガイドピンを案内可能な直進ガイド溝及び側方(プールコンベア側)に向けて斜めの仕分けガイド溝を設けておき、果菜キャリアのガイドピンは通常は直進ガイド溝に沿って移動するが、仕分けする果菜が載っている果菜キャリアが移動して来ると、切替えレバ―が直進ガイド溝を閉じて仕分けガイド溝を開いて、果菜キャリアのガイドピンが仕分けガイド溝に案内されて側方(プールコンベア側)に移動するようにしてある。
【0009】
ガイドピンが仕分けガイド溝に沿って移動すると、そのガイドピンと連動する果菜キャリアのベルトがガイドピンの移動方向(搬送方向側方:プールコンベア側)に回転(往回転)して、当該果菜キャリアのベルトに載置されている果菜がプールコンベアに送り出されるようにしてある。切替えレバーはその下方に設けられているロータリーソレノイドによって切り替えられるようにしてあり、ロータリ―ソレノイドは、計測判別エリアでの判別信号を受けて動作するようにしてある。
【0010】
[トラッキングスイッチ]
前記果菜自動選別装置での果菜選別に際しては、計測判別エリアでの計測に先立って、果菜載せエリアで目視判別が行われる。この目視判別は、計測判別エリアで計測判別できない判別、例えば、果菜の裏側の傷、腐食、変形等の有無、程度等を、果菜キャリアに果菜を載せる作業者が、果菜を載せる際に、目視判別してトラッキングスイッチを押すことによって行われる。トラッキングスイッチは一台の果菜キャリアに数個(通常二個)設けられ(特許文献4:図7)、例えば、いずれのトラッキングスイッチも押さない場合はA級、作業者から見て右側のトラッキングスイッチのみを押す場合はB級、左側のトラッキングスイッチのみを押す場合はC級、双方のトラッキングスイッチを押す場合をD級といったように、スイッチ操作と等級との関係を予め定めておき、果菜キャリアの上に載せる果菜の底面状態が良好な場合はA級と目視判別していずれのトラッキングスイッチも押さず、底面状態がやや悪い場合はB級と目視判別して右側のトラッキングスイッチを押し、底面の変形が著しい場合はC級と目視判別して左側のトラッキングスイッチを押し、底面状態が悪い場合はD級と目視判別して両トラッキングスイッチを押すようにしている。
【0011】
夫々の等階級に目視判別された果菜は、果菜搬送体の計測判別エリアにおいて形状や大きさ等が計測器で計測され、計測結果に応じてA級のSサイズ(AS)、A級のMサイズ(AM)、C級のLサイズ(CL)、D級のLLサイズ(DLL)、といったように等階級判別される。
【0012】
特許文献4の図7に示すトラッキングスイッチは、果菜載せエリアで作業を行う作業者から離れた位置に設けられている。トラッキングスイッチをこの方向に設けると、作業員が果菜キャリア越しに腕を伸ばしてトラッキングスイッチを操作しなければならないため操作しにくい。操作し易くするために、トラッキングスイッチを作業者側に設けたものもある(特許文献4:図3)。
【0013】
特許文献4の図3に示すトラッキングスイッチは、果菜搬送体Sの側方作業者側であって果菜搬送体の果菜載せエリアから仕分けエリアの手前までの間に設けた無端走行チェーンに一定間隔で取り付けられ、数個(通常二個)のスイッチを一組とし、個々の組のスイッチを果菜搬送体の個々の果菜キャリアに対応する位置に配置し、各組のスイッチと個々の果菜キャリアを同期走行させて、走行中も前記位置関係が確保されるようにしてある。
【0014】
このトラッキングスイッチも特許文献4の図7に示すトラッキングスイッチと同様に目視判別に用いられる。特許文献4の図3において、無端走行チェーンを果菜載せエリアから仕分けエリアの手前までの間に配置して、その区間で循環走行するようにしているのは、仕分けエリアで、果菜キャリアの上の果菜を、果菜を載せる作業者側に設けたプールコンベアに送り出すのに邪魔にならないようにするためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2010−115654号公報
【特許文献2】特開2003−053275号公報
【特許文献3】特許第4469912号公報
【特許文献4】特開2011−037550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
特許文献1、2の果菜キャリアはベルトの横幅が12cm程度であるため、小さな果菜や細い果菜を載せるとベルトの横方向(果菜搬送方向)の空きスペースが広くなる。果菜搬送体は選果場に設置した後に、その長さ(一周長)を随時変更することはできないため、果菜キャリアの空きスペースが広くなると果菜搬送効率が悪くなる。果菜キャリアの横幅を狭くすれば空きスペースが狭くなり、搬送効率は向上するが、大きな果菜を載せることができなくなるため、小さな果菜から大きな果菜までを載せることができる幅(広め)に設定せざるを得ない。
【0017】
また、トラッキングスイッチは、通常二個のスイッチを一組とし、各組のトラッキングスイッチを果菜キャリアの横幅内に収まるように配置して、果菜キャリアごとに設けてあるため、ベルト幅を細くして、果菜キャリアを多くすると、その分だけ果菜キャリア及びトラッキングスイッチの数が増えてコスト高になる。また、果菜キャリアの横幅が狭くなるとトラッキングスイッチの横幅も狭くしなければならず操作し難くなる。
【0018】
特許文献3の果菜キャリアは、一つのフレームに幅細ベルト(横幅1〜2cm程度)を複数本回転自在に巻回し、果菜キャリアを斜め後方に向けて無端チェーンに一列に多数取付けてあるため、果菜を搬送方向斜め後方に送り出して、果菜の搬送方向への慣性を減殺し、果菜を転倒しにくくなり、果菜の傷付きを防止できるという利点がある。しかし、図11(a)に示すように、果菜の大きさが四本の幅細ベルトのうちの三本に収まるものである場合、果菜キャリアC1の一番端の幅細ベルト(図中の果菜キャリアC1の右端のベルト)は果菜Gが載らない余剰ベルトRとなる。このとき、図11(b)に示すように、果菜Gを果菜キャリアC1の余剰ベルトRと隣接する果菜キャリアC2の二本の幅細ベルトに跨がせて載せることも考えられるが、トラッキングレバーTは二つ一組(T1、T2)で一つの果菜キャリアに対応しているため、異なる果菜キャリアの幅細ベルトを跨いで果菜Gを載せると、トラッキングレバーT2がどちらの果菜Gの判別に用いられたのかを特定できなくなるという問題が生じる。
【0019】
余剰ベルトRの発生を回避するために、三本ベルトの果菜キャリアに二つ一組のトラッキングレバーを設けたものや、五本ベルトの果菜キャリアに二つ一組のトラッキングレバーを設けたものなどを用意しておくことも考えられるが、この方法では、選別対象(果菜)が変わるたびに果菜キャリアを取り換えなければならず、手間もコストもかかる。また、果菜搬送ライン(果菜搬送体)自体を複数条設けることも考えられるが、導入コストがかかるのみならず、スペースが限られた現場では設置すらできず、現実的な解決策とは言えない。
【0020】
このように、従来の果菜キャリアでは余剰ベルトRの発生を回避できず、余剰ベルトRの分だけ処理が遅くなる。余剰ベルトが一本でだけであれば大きな影響はないが、果菜自動選別装置に搭載する果菜キャリアの数は数百個以上となることもあるため、一つの果菜キャリアに一本分の無駄があるだけでも、トータルすると大きなロスとなる。
【0021】
本発明の目的は、果菜キャリアに設けられた幅細ベルトを無駄なく有効活用できて、単位時間当たりの処理数を増やすことができ、搬送速度を遅くしても従前の選別と同等の処理ができ、搬送速度を遅くすることにより果菜載せ作業や判別作業をし易くすることができる果菜自動選別方法と果菜自動選別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の果菜自動選別方法は、果菜搬送体のベルトコンベア式の果菜キャリアに果菜を載せて搬送し、搬送中に果菜を計測器で自動計測して当該果菜の等階級を判別し、判別済み果菜を判別結果に基づいて等階級別に果菜搬送体の側方(真横、斜め前方、斜め後方を含む:明細書及び特許請求の範囲において同じ)に送り出す果菜自動選別方法において、果菜搬送体の多数の果菜キャリアのベルトのうち、一本又は二本以上のベルトを果菜載せ単位(一ユニット)として、果菜を載せるユニットベルトを外部から目視確認できるように指示し、指示されたユニットベルトが一本の場合はそのベルトに、二本以上の場合はそれらベルトに跨がせて果菜を載せて搬送し、前記搬送中に夫々のユニットベルトに載せた果菜を計測して等階級判別し、前記判別結果に応じてユニットベルトが果菜搬送体での果菜搬送方向側方に往回転して、前記果菜を送り出す方法である。
【0023】
前記果菜自動選別方法では、指示するユニットベルトの位置及び本数を変更し、変更されたユニットベルトを外部から目視認識できるように指示することもできる。
【0024】
前記果菜自動選別方法では、ユニットベルトが二本以上の場合に、それらベルトを同時に果菜搬送方向側方に往回転させるか、又は、搬送方向先方のベルトから後方のベルトの順に時間差をもって往回転させて、搬送中に横向きに載せてあった果菜を縦向き或いは斜め縦向きに変えて送り出すか、これとは逆に、搬送中に縦向きに載せてあった果菜を横向き或いは斜め横向きに変えて送り出すことができる。
【0025】
前記果菜自動選別方法では、果菜送り出し後に果菜搬送体の搬送が進んで果菜を送り出した果菜キャリアが少なくとも果菜搬送体の果菜載せエリアに戻るまでの間に、往回転したユニットベルトを復回転させて、ユニットベルトの果菜載せ部を一列(略一列を含む:明細書及び特許請求の範囲において同じ)に揃えることができる。
【0026】
前記果菜自動選別方法では、果菜送り出し後に果菜搬送体の搬送が進んで果菜を送り出した果菜キャリアが少なくとも果菜搬送体の果菜載せエリアに戻るまでの間に、往回転したユニットベルトを更に同方向に回転させて、ユニットベルトに設けられた前記果菜載せ部又はユニットベルトに設けられた他の果菜載せ部を一列に揃えることもできる。
【0027】
前記果菜自動選別方法では、果菜をユニットベルトの果菜載せ部に載せる前に、果菜を載せる作業者が目視で果菜の等階級を判別(目視判別)し、その判別結果に応じて、ユニットベルトに対応して設けられたトラッキングスイッチを操作して目視判別結果(目視データ)を入力し、その目視データと、計測器での自動計測に基づく等階級判別結果(計測データ)とに基づいて、果菜の等階級を総合的に判別し、その総合判別結果に基づいてユニットベルトを往回転させて果菜を送り出すこともできる。
【0028】
前記果菜自動選別方法では、ベルトと別に設けられた多数のトラッキングスイッチのうち、ユニットベルトと対応するトラッキングスイッチを作業者が目視認識できるように指示し、指示されたトラッキングスイッチを操作して目視データを入力することもできる。
【0029】
本発明の果菜自動選別装置は、多数の果菜キャリアが無端走行体に連結されて果菜搬送体が構成され、多数の果菜キャリアは無端走行体の走行に伴って同方向に移動し、移動中の果菜キャリアに果菜を載せると、果菜が果菜キャリアの移動に伴って搬送され、その搬送中に果菜を計測して当該果菜の等階級を判別し、判別済み果菜を判別結果に基づいて等階級別に果菜搬送体の側方に送り出す果菜自動選別装置において、前記果菜搬送体は果菜を載せる果菜載せエリアと、果菜を計測して等階級を判別する計測判別エリアと、計測部での計測・判別結果に基づいて果菜を果菜搬送体の搬送方向側方に送り出す仕分けエリアを備え、夫々の果菜キャリアは一本又は二本以上のベルトを有し夫々のベルトが別々に往復回転可能又は往回転のみ可能なベルトコンベア式であり、前記果菜キャリアは無端走行体にその走行方向に一列に並べて多数設けられ、夫々の一本のベルト又は隣接する二本以上のベルトを一ユニットとして指示するベルトユニット指示手段を備え、当該ベルトユニット指示手段で指示された一ユニットのユニットベルトが一本の場合はそのベルトに、二本以上の場合はそれらベルトに跨がせて果菜を載せることができ、ベルトユニット指示手段は果菜キャリアの移動と同期して同方向に移動して、果菜キャリアが移動してもユニットベルトから位置ずれしないようにしてある。
【0030】
前記ベルトユニット指示手段は、ベルトユニット指示手段が一ユニットとするベルトの位置や本数を変更し、変更したユニットベルトを目視認識できるように指示変更可能なものとしてもよい。前記ベルトユニット指示手段は電光表示式でも機械表示式であってもよい。前記ベルトユニット指示手段は少なくとも前記果菜載せエリアであって、果菜搬送体の搬送方向側方に設けることができる。
【0031】
本発明の果菜自動選別装置は、前記果菜搬送体の搬送方向側方に、果菜を載せる作業者の目視判断による目視判別結果を入力する多数のトラッキングスイッチと、スイッチユニット表示手段を備え、多数のトラッキングスイッチは個々のベルトと対応して配置され、スイッチユニット表示手段は多数のトラッキングスイッチのうちどのトラッキングスイッチがどのベルトと対応するかを指示するものであり、前記トラッキングスイッチはそれと対応するベルトの移動と同期して果菜キャリアの移動方向に移動し、スイッチユニット表示手段による指示がトラッキングスイッチの移動と共に移動して、移動するトラッキングスイッチと位置ずれすることなく、ユニットスイッチを指示し続けることができるものでもある。
【0032】
前記トラッキングスイッチは少なくとも果菜載せエリアであって、果菜搬送体の搬送方向側方に、当該果菜搬送体と平行して設けられたスイッチ用無端走行体に取り付けられる。
【0033】
前記トラッキングスイッチは、個々のベルトに対応する位置関係で設けることができる。
【0034】
前記スイッチユニット表示手段はトラッキングスイッチに設けることもトラッキングスイッチとは別に設けることもできる。トラッキングスイッチに設ける場合はトラッキングスイッチの移動に伴って自動的に移動し、トラッキングスイッチと別に設けた場合はトラッキングスイッチの移動と同期して同方向に移動するようにする。
【0035】
本発明の果菜自動選別装置は、前記ベルトユニット指示手段を果菜搬送体の搬送方向の一側方に設け、前記トラッキングスイッチ及びスイッチユニット表示手段を果菜搬送体の搬送方向他側方に設けることができる。この場合、トラッキングスイッチ及びスイッチユニット表示手段を果菜載せエリアの作業者側に設けるのがトラッキングスイッチの操作性の面から望ましい。
【発明の効果】
【0036】
本発明の果菜自動選別方法は、次の効果を有する。
(1)一本又は二本以上のベルトを一ユニットとして、果菜を載せるユニットベルトを指示するので、そのユニットベルトに果菜を載せることにより、ベルトの無駄な空きスペースを削減でき、効率の良い果菜選別ができる。
(2)二本以上のベルトを一ユニットとすれば、果菜を二本以上のベルトに跨がせて載せることができるため、一本のベルトの横幅が狭くても、その横幅よりも長い果菜をユニットベルトに載せることができる。
(3)一ユニットのベルトの本数を変えることができるので、一台の果菜選別装置で、形状、長さ、大きさ等が異なる各種果菜を載せて搬送することができ、ベルトの横幅が異なる果菜選別装置を各種用意する必要がなく、設備導入コストを抑制でき、広い設置スペースを必要としない。
(4)ベルトの上の果菜を送り出すために往回転したユニットベルトを復回転させて元の位置に戻して、ユニットベルトの果菜載せ部を一列に揃えることができるので、果菜載せエリアにおいて、ユニットベルトの果菜載せ部に果菜を載せれば、果菜が一列に揃って搬送され、その状態で形状、大きさ、長さ等が計測されるため、計測精度が向上する。
(5)果菜を載せたベルトと対応するトラッキングスイッチを指示するので、操作するトラッキングスイッチを容易に認識でき、トラッキングスイッチの操作間違いがおきにくい。
【0037】
本発明の果菜自動選別装置は、次の効果を有する。
(1)一列に並んでいる多数本のベルトのうち、果菜を載せるベルトを、載せる果菜の形状、大きさ、長さ等に合わせて指定するので、一台で各種果菜を搬送することができる。
(2)ベルトの横幅方向に無駄な空きスペースが生じないようにベルトを使用できるので、果菜搬送効率が向上し、単位時間当たりの選別処理数が向上する。
(3)ベルトユニット指示手段が果菜キャリアの移動と同期して同方向に移動して、果菜キャリアが移動してもユニットのベルトを判別できるようにした場合は、指示されたユニットを見失うことがなく、指示されたユニットに果菜を確実に載せることができる。
(4)ベルトユニット指示手段を、一ユニットとするベルトの位置や本数を変更可能とした場合は、載せる果菜の形状、長さ、大きさに合わせて指示するユニットを変更できるので、一台で各種形状、大きさの果菜に対応できる。
(5)スイッチユニット表示手段を設けた場合は、トラッキングスイッチとベルトの対応関係が明確になるので、目視判別した果菜を載せたベルトに対応するトラッキングスイッチを、操作し間違いなく、確実に操作することができる。
(6)スイッチユニット表示手段による指示が、トラッキングスイッチの移動と共に移動して、移動するトラッキングスイッチを指示し続けることができるようにした場合は、トラッキングスイッチが移動中であっても、スイッチを操作し間違えることがない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の果菜自動選別装置の一例を示す平面図。
図2】本発明の果菜自動選別装置に用いる果菜キャリアの一例を示すものであって、(a)は平面側斜視図、(b)裏面側斜視図。
図3】本発明の果菜自動選別装置に用いる果菜キャリアへの果菜の載せ方を示す説明図であって、(a)は三本のベルトを一つのユニットした場合の一例を示す平面図、(b)は五本のベルトを一つのユニットした場合の一例を示す平面図。
図4】下走行部にピンを設けた果菜キャリアの一例を示すものであって、(a)は支持具が果菜送出し方向後方に待機した状態を示す側面図、(b)は支持具が果菜送出し方向中央に移動した状態を示す側面図、(c)は支持具が果菜送出し方向先方に移動した状態を示す側面図。
図5】ベルトユニット指示手段として電光掲示板を用いた場合の一例を示すものであって、(a)は三本のベルトを一つのユニットとした場合の平面図、(b)は五本のベルトを一つのユニットとした場合の平面図、(c)は七本のベルトを一つのユニットとした場合の平面図。
図6】ベルトユニット指示手段の設置位置の説明図であって、(a)はベルトユニット指示手段を支持具の上方に設けた場合の側面図、(b)はベルトユニット指示手段を果菜キャリアの果菜送出し方向後方に設けた場合の側面図。
図7】ベルトユニット指示手段と果菜搬送体とスイッチユニット表示手段の関係を示す平面図。
図8】スイッチユニット表示手段として電光掲示板を用いた場合の一例を示すものであって、(a)は七本のベルトを一つのユニットとし、電光掲示板に色及び等階級を表示した場合の平面図、(b)は(a)の等階級表示をひとまとめにした場合の平面図。
図9】スイッチユニット表示手段の設置位置の説明図であって、(a)はスイッチユニット表示手段を支持具の手前(果菜キャリアの果菜送出し方向先方)に設けた場合の側面図、(b)はスイッチユニット表示手段をトラッキングスイッチの上方に設けた場合の側面図。
図10】(a)〜(c)はベルトを時間差をもって回転させることによって、横向きの果菜を縦向きにして送り出す場合の一例を示す平面図。
図11】従来の果菜自動選別装置の説明図であって、(a)は果菜に余剰ベルトが生じた場合の一例を示す平面図、(b)はトラッキングスイッチが二つの果菜に跨る場合の問題を説明する平面図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(実施形態)
本発明の果菜自動選別方法及び果菜自動選別装置の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0040】
[果菜自動選別方法の概要]
本発明の果菜自動選別方法は、搬送中の果菜搬送体の果菜キャリアのベルトの上面の果菜載せ部に果菜を載せて搬送し、搬送中に果菜を計測器で計測して当該果菜の等階級を判別し、判別済み果菜を判別結果に基づいて等階級別に果菜搬送体の側方に送り出す果菜自動選別方法であり、更に、次のようにして選別する方法である。
【0041】
(1)果菜搬送体に一列に並べて取り付けられた多数の果菜キャリアのベルトのうち、一本又は二本以上のベルトを一ユニットとして、果菜を載せるユニットベルトを、作業者が目視認識できるように指示する。
(2)指示されたユニットベルトが一本の場合はそのベルトに、二本以上の場合はそれらベルトに跨がせて果菜を載せて搬送する。
(3)前記搬送中の果菜の形状、大きさ、長さ等を計測器で自動計測して、果菜の等階級を判別する。
(4)前記判別結果に応じて、ユニットベルトが果菜搬送体での果菜搬送方向側方に往回転して、前記果菜を送り出す。
【0042】
前記果菜自動選別方法において、ユニットベルトとして指示するベルトの位置、本数を変更し、変更されたユニットベルトに果菜を載せるようにすることもできる。
【0043】
前記果菜自動選別方法において、ユニットベルトが二本以上の場合は、それらベルトを同時に側方に往回転させることもできるが、搬送方向先方のベルトから後方のベルトの順に往回転させて、搬送中に横向きに載せてあった果菜を縦向き或いは斜め縦向きに変えて送り出すか、これとは逆に、搬送中に縦向きに載せてあった果菜を横向き或いは斜め横向きに変えて送り出すことができる。
【0044】
前記果菜自動選別方法において、果菜送り出し後に果菜搬送体の搬送が進んで果菜を送り出した果菜キャリアが少なくとも果菜搬送体の果菜載せエリアに戻るまでの間に、往回転したユニットベルトを復回転させて、ユニットベルトの果菜載せ部が一列に揃うようにすることができる。
【0045】
本発明の果菜自動選別方法では、果菜送り出し後に果菜搬送体の搬送が進んで果菜を送り出した果菜キャリアが少なくとも果菜搬送体の果菜載せエリアに戻るまでの間に、往回転したユニットベルトを更に同方向に回転させて、ユニットベルトに設けられた前記果菜載せ部又はユニットベルトに設けられた他の果菜載せ部が一列に揃うようにすることもできる。
【0046】
前記果菜自動選別方法では、果菜をユニットベルトの果菜載せ部に載せる前に、果菜を載せる作業者が目視で果菜の等階級を判別(目視判別)し、その判別結果に応じて、ユニットベルトに対応して設けられたトラッキングスイッチを操作して目視判別結果(目視データ)を入力し、その目視データと、計測器での自動計測に基づく等階級判別結果(計測データ)とに基づいて、果菜の等階級を総合的に判別し、その総合判別結果に基づいてユニットベルトを往回転させて果菜を送り出すこともできる。
【0047】
前記果菜自動選別方法では、ベルトと別に設けられた多数のトラッキングスイッチのうち、ユニットベルトと対応するトラッキングスイッチを作業者が目視認識できるように指示し、指示されたトラッキングスイッチを操作して目視データを入力することもできる。
【0048】
[果菜自動選別装置の概要]
本発明の果菜自動選別装置1の一例を、図面を参照して説明する。一例として図1に示す果菜自動選別装置1は、無端走行体2にベルトコンベア式の果菜キャリア3が多数取り付けられて果菜搬送体4が構成されている。この果菜搬送体4の果菜キャリア3は無端走行体2の走行に伴ってそれと同方向に走行して、果菜キャリア3のベルト5の果菜載せ部6の上に載せた果菜Gを搬送することができる。
【0049】
本発明では、前記搬送中に果菜Gの形状、大きさ、長さ等を計測器10で自動計測し、計測結果から果菜Gの等階級を判別し、それら果菜Gを、判別された等階級別に果菜搬送方向側方に送り出して、等階級別に仕分けすることができるようにしてある。更に、果菜搬送体4の搬送方向側方の一方にベルトユニット指示手段7と、トラッキングスイッチ8と、スイッチユニット表示手段9が設けられている。
【0050】
[果菜搬送体]
前記果菜搬送体4は、前記無端走行体2に多数の果菜キャリア3を取り付けて構成され、無端走行体2の走行に伴って果菜キャリア3が同方向に走行するようにしてある。この果菜搬送体4は、果菜Gを載せる果菜載せエリアXと、果菜キャリア3上の果菜Gを計測器10で自動計測して等階級を判別する計測判別エリアYと、計測器10での計測・判別結果に基づいて、果菜Gを果菜搬送体4の側方に配置されているプールコンベアPに送り出して等階級別に仕分けする仕分けエリアZを備えている。果菜搬送体4の長さは選果場の広さによっても異なるが、通常は数十〜百数十メートルである。
【0051】
[無端走行体]
前記無端走行体2には、チェーンベルト、タイミングベルト等を使用することができ、それらがモータMで回転する駆動ホイールH1、従動ホイールH2の外周に巻回されて、それらホイールH1、H2の回転に伴ってそれらの外周を回転できるようにしてある。この場合、無端走行体2は、一方のホイール(従動ホイールH2)の外側を上から下に廻り込んで方向転換して走行し、他方の歯車(駆動ホイールH1)の外側を下から上に廻り込んで方向転換して縦方向に循環回転するようにしてある。
【0052】
[果菜キャリア]
図1の果菜キャリア3の一例を図2(a)(b)に示す。この果菜キャリア3はベルトコンベア式であり、硬質樹脂製の一つのフレーム11の横幅方向に横幅の狭いベルト巻回部12が四列設けてあり、隣接するベルト巻回部12の前端部と後端部に段差を設けて前端部と後端部を斜めにしてある。夫々のベルト巻回部12の先端と後端に回転自在に設けられたローラ13に当該ベルト巻回部12の横幅と同程度の横幅のべルト5が回転自在に巻回されている。このべルト5は斜めに成型されているベルト巻回部12に沿って斜めになっている。夫々のベルト5の上走行部5x(図6(a)(b))の上方には支持具14が突設され、夫々のベルト5の上であって支持具14よりも果菜搬送方向先方に果菜載せ部6を設けてある。夫々のベルト5の下走行部5yよりも下方にピン(突起)15が突設されている。
【0053】
フレーム11の幅、ベルト5の本数、ベルト5の横幅等は適宜選定することができる。図示した果菜キャリア3は通常サイズの茄子を四本のベルト5に跨がせて横向きに載せることができる程度にしてある。夫々のベルト5の横幅及び長さは載せる果菜Gによっても異なるが、図1に示すベルト5の横幅はベルト巻回部12の横幅と同じ(略同じを含む)程度にしてあり、横幅38mm程度としてある。ベルト5の横幅はこれ以外であってもよく、10〜70mm程度、より好ましくは20〜40mm程度とすることができる。ベルト5の長さは150mm程度としてある。
【0054】
前記果菜キャリア3はその回転方向先端部(果菜送り出し方向先端部)を、果菜搬送体4の搬送方向斜め後方に向けて、前端部及び後端部を一列に揃えて、無端走行体2に多数取り付けてある。この果菜キャリア3の場合は、個々の果菜キャリア3の四本のベルト5を一ユニットとして、そのベルト5に跨がせて果菜Gを載せるようにしてある。
【0055】
果菜Gはフレーム11とは無関係に(同じフレーム11に設けられたベルト5であるか否かを問わずに)跨がせて載せることができる。例えば、無端走行体2に隣接して取り付けられた二つの果菜キャリア3の八本のベルト5に跨がせて果菜Gを載せることもできる。例えば、図3(a)に示すように、果菜Gが三本のベルト5に載せることのできるもの(例えば、トマトや桃など)である場合、果菜Gは一つの果菜キャリア3aの四本のベルト5のうち三本のベルト5a、5b、5cに載せ、次の果菜Gは果菜キャリア3aの残りのベルト5dと隣接する果菜キャリア3bの二本のベルト5e、5fに跨がせて載せることができる。
【0056】
図3(b)に示すように、果菜Gが五本のベルト5を必要とする長いもの(例えば、胡瓜や茄子、ゴーヤなど)である場合は、果菜Gは一つの果菜キャリア3aに設けられた四本のベルト5a〜5dと、その隣の果菜キャリア3bの四本のベルト5のうちベルト5dの隣の一本のベルト5eとに跨がせて載せることができる。次の果菜Gは、果菜キャリア3bの残りの三本のベルト5f〜5hと、果菜キャリア3bに隣接する果菜キャリア3cに設けられた四本のベルト5のうち果菜キャリア3b寄りの二本のベルト5i、5jに跨がせて載せることができる。
【0057】
図3(a)(b)は一例であり、どこからどこまでを一単位(ユニット)とするかは、選別する果菜Gのサイズに応じて設定することができる。ユニットとして特定された一群のベルト5上に果菜Gを載せると、計測判別エリアYにおいて当該一群のベルト5上に載せられた果菜Gの選別が行われ、仕分けエリアZにおいてこれら一群のベルト5が往回転して果菜GをプールコンベアPに送り出せるようにしてある。
【0058】
一つの果菜キャリア3の四本のベルト5のうちの二本のベルト5に果菜Gを跨がせて載せて、一つの果菜キャリア3に二つの果菜Gを載せることもできる。
【0059】
果菜キャリア3は横幅の細い一つのフレーム11に横幅の細いベルト5を任意数巻回したものとすることもできる。可能であれば幅の狭い一つのフレーム11に、幅の狭い一本のベルト5を巻回して一つの果菜キャリア3とし、この果菜キャリア3を無端走行体2に多数取り付けることもできる。この場合、果菜キャリア3は図1の場合と同様に、ベルト5の回転方向先端部(果菜送り出し方向先端部)を、果菜搬送体4の搬送方向斜め後方に向けて、前端部及び後端部を一列に揃えて、無端走行体2に多数取り付ける。このように取り付けた果菜キャリア3の場合は、数個の果菜キャリア3を一ユニットとして、それらユニットの数本のベルト5に跨がせて果菜Gを載せることができる
【0060】
果菜キャリア3は、可能であれば、フレーム11がなく、ベルト5のみで構成し、そのベルト5を無端走行体2に回転可能に取り付けることもできる。
【0061】
[支持具]
前記支持具14はベルト5とは別に樹脂成型されており、個々のベルト5の上走行部5x(図6(a)(b))の上に固定具(例えばネジ)で固定してある。この場合、上走行部5xの裏面にピン15を配置し、そのピン15を前記固定具で支持具14と一緒に上走行部5xに固定してある。ピン15はベルト5の横幅方向略中央部に、ベルト5の略全長に渡って設けたスリット16を貫通して、フレーム11の底面から下方まで突出している(図2(b))。ベルト5と支持具14とピン15をこの取付け構造とすることにより、夫々のピン15はベルト巻回部12の前後方向(ベルト5の巻回方向)に往復移動可能であり、その往復移動に伴ってベルト5とピン15が同方向に往復移動可能となる。
【0062】
支持具14は可能であればベルト5と同質材製にして接着剤でベルト5の上走行部5xの上面に接着固定することもできる。支持具14は果菜載せ部6に果菜Gを載せる際の位置決めの目安となり、ベルト5の上に載せた果菜Gを搬送中に支持して果菜Gの位置ずれや転倒等を防止することができ、ベルト5が回転して果菜Gを果菜搬送体4の側方のプールコンベアP(図1)に送り出すときに果菜Gを押し出すこともできる。
【0063】
図2(a)(b)に示す実施形態では、ピン15がベルト5の上走行部5x(図6(a)(b))に突設された果菜キャリア3を一例としているが、果菜キャリア3は図4(a)〜(c)のようにピン15がベルト5の下走行部5yに設けられたものとすることもできる。この場合はピン15とベルト5(5x)及び支持具14が逆方向に移動する。具体的には、支持具14が図4(a)のような初期位置にある場合、ピン15は果菜キャリア3の送り出し方向先方に位置する。この状態からピン15が図4(b)の状態までD1方向に移動すると、ベルト5(5x)及び支持具14が同図D2方向に移動し、ピン15が更に移動して図4(c)の状態まで達すると、ベルト5(5x)及び支持具14が同図D2方向に更に移動して、当該ベルト5(5x)上の果菜GがプールコンベアPに送り出される。
【0064】
図2(a)(b)及び図4(a)〜(c)に示す果菜キャリア3は一例であり、果菜キャリア3は、所期の目的を達成できれば、これら以外の構造とすることもできる。
【0065】
図1のベルト5の表面に設けた果菜載せ部6(図2(a))は、支持具14との関係で特定してあり、支持具14よりもベルト5の往回転方向先方直近に設けられている。果菜載せ部6には目印となるような表示を付したり、皿状の受け具を取り付けたりすることができるが、何も表示しなくても、何も取り付けなくてもよい。
【0066】
図2(a)(b)、図4(a)〜(c)に示す果菜キャリア3では、夫々のベルト5に果菜載せ部6が設けられているが、二本以上のベルト5を一ユニットとして使用する場合は、一ユニットとなる二本以上のベルト5の個々の果菜載せ部6が、全体で一つの果菜載せ部6となる。
【0067】
図示したベルト5はいずれも支持具14を備えている場合であるが、本発明のベルト5は支持具14がない場合もある。この場合は果菜載せ部6を支持具14との関係で特定することはできないので他の方法で特定する。例えば、果菜搬送体4の果菜載せエリアXのスタート位置で横一列に揃う各ベルト5の上走行部5xの中央部を果菜載せ部6と特定したり、ベルト5の上走行部5xの上面であって、下走行部5yの下方に突出しているピン15と反対側位置(箇所)を果菜載せ部6と特定したりすることができる。
【0068】
図2(a)(b)に示すように、ベルト5が往復回転式の場合は、果菜Gを搬送方向側方(例えば、プールコンベアP)に送り出してから果菜載せエリアXに戻るまでの間に、ベルト5が復回転して元の位置に復帰すると、無端走行体2に取り付けられている多数の果菜キャリア3の支持具14及び果菜載せ部6が一列に整列するようにしてある。このように整列することで、次に果菜載せ部6に果菜Gを載せる作業が容易になるとともに、果菜載せ部6に載せた果菜Gが一列に揃って搬送されて、計測器10の真下を通過して、計測精度が向上し、精度の高い選別、仕分けができる。
【0069】
[ベルトユニット指示手段]
図1の果菜選別装置1では、無端走行体2に取り付けてある多数の果菜キャリア3のベルト5の一本又は二本以上を、果菜Gを載せる一単位(一ユニット)として指定し、指定された一ユニットのベルト5が一本の場合はそのベルト5の上に、二本以上の場合はそれらベルト5の上に跨がせて果菜Gを載せることができるようにしてある。この場合、果菜キャリア3上に果菜Gを載せる作業者が、どこからどこまでが一つのユニットであるかを認識できるようにする必要がある。このため、本発明の果菜自動選別装置1では、果菜搬送体4の搬送方向側方にベルトユニット指示手段7(図1)を設けて、どこからどこまでが一つのユニットを構成するかを識別できるようにしてある。
【0070】
一ユニットとして指示するベルト5の本数は載せる果菜Gの大きさ、長さ等に応じて、果菜選別装置1を稼働する前に設定(指定)する。本発明では一ユニットに設定されたベルト5をベルトユニット指示手段7に指示(表示)して、果菜Gを載せる作業者が、どのベルト5が一ユニットであるかを認識できるようにしてある。
【0071】
図1のベルトユニット指示手段7は、果菜搬送体4の搬送方向側方であって、果菜載せエリアX内に果菜搬送体4と平行に設けてある。図1のベルトユニット指示手段7は電光表示式であり、ベルト5の横幅と同じ横幅の表示区域17を連続して設け、その表示区域17を点灯(照明)、消灯(非照明)できるようにしてある。表示区域17は、斜めに配列されているベルト5と一列になるように斜めに表示されるようにしてある。表示区域17はこれ以外の向き(例えば、果菜搬送方向に直交する向き)に表示されるようにすることもできる。
【0072】
図1に示すベルトユニット指示手段7は、三本のベルト5を一ユニットとする場合の例である。この場合は連続する表示区域17のうち一ユニットとする三本のベルト5と対応する位置にある表示区域17を三つずつ交互に点灯(斜線で表示)、消灯(斜線なしで表示)させて、一ユニットが三本ずつ交互に設定されていることを表示できるようにしてある。果菜Gを載せる作業者は、指定された一ユニットのベルト5(図1では三本のベルト)に跨がせて果菜Gを載せる。
【0073】
本発明の果菜自動選別装置1は、載せる果菜Gの大きさや長さ等に応じて、一ユニットのベルト5の数や位置を変更することができる。ベルト5の本数を変更する場合(例えば二本や四本とする場合)は、点灯、消灯する表示区域17の数を二つ或いは四つに変更する。
【0074】
ベルトユニット指示手段7は、果菜搬送体4の近傍(上方や果菜送出し方向後方)に果菜搬送体4と平行に配置され、電光掲示板に表示される識別情報(識別表示)が、果菜キャリア3の搬送方向への走行速度と同じ(略同じを含む。)速度で、果菜キャリア3の搬送方向と同方向に移動するようにしてある。
【0075】
本発明のベルトユニット指示手段7は、ユニットを色分けによって識別できるようにすることもできる。具体的には、n番目のユニットを青色、n+1番のユニットを黄色とし、その後、青色と黄色を交互に表示することで、どこからどこまでが一つのユニットであるかを識別できるようにすることができる。図5(a)は三本のベルト5を一ユニットとした場合の表示例、図5(b)は五本のベルト5を一ユニットとした場合の表示例、図5(c)は七本のベルト5を一ユニットとした場合の表示例である。
【0076】
前記ベルトユニット指示手段7は、図6(a)のように、果菜キャリア3の支持具14の上方に設けたり、図6(b)のように、果菜キャリア3のベルト5の果菜送り出し方向後方に設けたりすることができる。ベルトユニット指示手段7はこれら以外の場所に設けることもできるが、いずれの場合も、果菜Gを果菜キャリア3に載せる作業の邪魔にならない位置であって、果菜キャリア3と対応する位置関係が明確に識別できる位置に設けるのが好ましい。
【0077】
[トラッキングスイッチ]
前記計測器10による自動計測は、果菜Gの上方或いは側方から測定光を果菜Gに照射して行うのが一般的であるため、果菜Gの底面の傷や変形、色ムラ等は計測することができない。本発明では、計測器10で自動計測できない果菜底面側の傷、変形、色ムラ等を目視判別することができる。この判別は、ベルト5の果菜載せ部6上に果菜Gを載せる際に、果菜Gを載せる作業者が目視で果菜底面側の傷や変形、色ムラ等を確認することによって行う。目視判別した作業者は、果菜Gを果菜載せ部6に載せるとき或いは果菜載せ部6に載せる前に、判別結果に応じてトラッキングスイッチ8を操作して、その判別結果を入力できるようにしてある。
【0078】
図1では多数のトラッキングスイッチ8を、果菜搬送体4を挟んで前記ベルトユニット指示手段7と反対側であって、果菜搬載せエリアXから仕分けエリアZの手前までの区間に一列に配置し、個々のトラッキングスイッチ8を個々のベルト5に対応させてある。図示した例では、個々のトラッキングスイッチ8を、ベルトユニット指示手段7の個々の表示区域17及び個々のベルト5と一列となるように斜めに設けてあるが、トラッキングスイッチ8はこれ以外の向き(例えば、果菜搬送方向に直交する向き)に設けることもできる。
【0079】
図1に示すトラッキングスイッチ8は、無端回転チェーンや無端回転タイミングベルト等のスイッチ用無端走行体18を、果菜搬送体4の側方であって、果菜載せエリアXから仕分けエリアZの手前までの区間に設けてあり、当該区間を循環回転走行するようにしてある。スイッチ用無端走行体18を仕分けエリアZの手前で折り返し回転するようにしたのは、トラッキングスイッチ8が、ベルト5の上の果菜Gを果菜搬送方向側方へ送り出す際に邪魔にならないようにするためである。
【0080】
トラッキングスイッチ8は、果菜キャリア3のベルト5の間隔と等間隔で設けてあり、スイッチ用無端走行体18の走行速度を、果菜搬送体4の無端走行体2の走行速度と等速とすることによって、走行状態において、常に、トラッキングスイッチ8が果菜キャリア3のベルト5の一本一本に対応するようにしてある。
【0081】
図1では、前記多数のトラッキングスイッチ8のうち、前記ベルトユニット指示手段7で指示された一ユニットのベルト5(図1では三本)に対応する位置の三個のトラッキングスイッチ8を一組にしてあり、各組のトラッキングスイッチ8をスイッチユニット表示手段9で表示できるようにしてある。
【0082】
図1のスイッチユニット表示手段9も電光表示式であり、トラッキングスイッチ8の横幅と同じ横幅の表示部19を連続して設け、その表示部19を点灯、消灯できるようにしてある。図1は三個のトラッキングスイッチ8を一組とする場合である。この場合は連続する表示部19のうち一組とする三個のトラッキングスイッチ8と対応位置にある表示部19を三個ずつ交互に点灯(斜線で表示)、消灯(斜線なしで表示)させて、三個一組のトラッキングスイッチ8が交互に設けられていることを表示できるようにしてある。
【0083】
各組のトラッキングスイッチ8は、いずれのトラッキングスイッチ8も操作しない(押さない)場合は果菜GがA級、作業者から見て右側のトラッキングスイッチ8のみを押す場合はB級、中央のスイッチのみを押す場合はC級、左側のトラッキングスイッチ8のみを押す場合はD級、三個のスイッチを全て押す場合をE級といったように、トラッキングスイッチ8の操作と等級との関係を予め定めておく。
【0084】
この関係の下に、ベルト5の上に載せる果菜Gの底面状態が良好な場合はA級と目視判別していずれのトラッキングスイッチ8も押さず、底面状態がやや悪い場合はB級と目視判別して左側のトラッキングスイッチ8を押し、底面の変形が著しい場合はC級と目視判別して中央のトラッキングスイッチ8を押し、底面状態が悪い場合はD級と目視判別して右側のトラッキングスイッチ8を押し、底面の色付きが悪い場合はE級と目視判別して三個全てのトラッキングスイッチ8を押して、夫々の目視判別結果を入力するようにしてある。
【0085】
目視判別された果菜Gは、果菜搬送体4で搬送され、計測判別エリアYにおいて形状や大きさ等が計測器10で自動計測される。自動計測結果は前記のようにトラッキングスイッチ8から入力された目視判別結果と合わせて総合的に等階級が判別される。例えば、目視判別でA級と判断された果菜Gが自動計測でSサイズと判別された場合はA級のSサイズ(AS)、自動計測でMサイズと判別された場合はA級のMサイズ(AM)、自動計測でLサイズと判別された場合はA級のLサイズ(AL)、自動計測でLLサイズと判別された場合はA級のLLサイズ(ALL)といったように総合的に等階級判別される。
【0086】
[スイッチユニット表示手段]
トラッキングスイッチ8は作業者が目視判別結果を入力するためのものであるため、どのトラッキングスイッチ8がどの果菜Gに対応するものであるかを、作業者が明確に識別(目視)できるようにしておく必要がある。図1の実施形態では、どのトラッキングスイッチ8がどのユニットのベルト5に対応するかを目視認識できるようにするため、トラッキングスイッチ8の近傍にスイッチユニット表示手段9が設けられている。このスイッチユニット表示手段9はどのトラッキングスイッチ8からどのトラッキングスイッチ8までが一つのスイッチユニットを構成するかを識別できればどのようなものでもよいが、ここでは、スイッチユニット表示手段9が電光表示式である場合を一例として説明する。
【0087】
図1の電光表示式のスイッチユニット表示手段9は多数の表示部19が一列に配列されており、トラッキングスイッチ8の配列方向手前に、トラッキングスイッチ8と同じ高さで、トラッキングスイッチ8と平行に配置されている。図1のスイッチユニット表示手段9は一ユニットのベルト5(図1の場合は三本のベルト5)と対応する位置の表示部19(三個の表示部19)を一組としてあり、斜線で示す三個の表示部19を一組、斜線表示していない三個の表示部19を一組として交互に表示してある。この表示により、作業者は、果菜Gを載せた一ユニットのベルト5に対応する一組のトラッキングスイッチ8を認識して、そのトラッキングスイッチ8を操作することができるようにしてある。図示した例では、スイッチユニット表示手段9の表示部19が、ベルトユニット指示手段7の個々の表示区域17や個々のベルト5、個々のトラッキングスイッチ8と一列となるように斜めに表示されるようにしてあるが、トラッキングスイッチ8はこれ以外の向き(例えば、果菜搬送方向に直交する向き)に表示されるようにすることもできる。
【0088】
トラッキングスイッチ8はベルト5の移動と同期して移動してベルト5との対応位置関係がずれないようにしてあるため、スイッチユニット表示手段9も、表示部19の各組の表示がトラッキングスイッチ8の移動と同期してその移動方向に移動して(切り替わって)、移動するトラッキングスイッチ8との対応位置関係が確保される(ずれない)ようにしてある。
【0089】
スイッチユニット表示手段9はトラッキングスイッチ8の一ユニットを識別できれば、他の手段であってもよく、表示部19を色分けによって識別できるようにすることができる。具体的には、n番目の組の表示部19を青色、n+1番の組の表示部を黄色とし、その後、青色と黄色を交互に表示することで、各組のトラッキングスイッチ8を認識できるようにすることもできる。この場合も、各組の表示がトラッキングスイッチ8の移動と同期してその移動方向に移動して(切り替わって)、移動するトラッキングスイッチ8との対応位置関係が確保されるようにする必要がある。そのためには、その表示切り替えを機械式で行うようにすることもできる。
【0090】
前記電光表示式の場合も機械表示式の場合も、ベルトユニット指示手段7で用いる色と、スイッチユニット表示手段9で用いる色を対応させると、各ユニットのベルト5と各組のトラッキングスイッチ8の対応位置関係が明確になる。
【0091】
スイッチユニット表示手段9を電光表示式にする場合、色の表示に加えて或いは色の表示に代えて、「B」「C」「D」といった文字表示でも等級表示することもできる。例えば、三本のベルト5が一つのユニットとされている場合、図7に示すように、それらのベルト5に対応するトラッキングスイッチ8は三個存在する。このとき、図7のようにスイッチユニット表示手段9の表示部19をユニット別に電光表示(図7では斜線表示と斜線なし表示)して区分けすると共に、それら表示部19に等級B、C、Dであることを示す「B」「C」「D」といった文字も表示することができる。このようにすることによって、作業者が載せた果菜Gの目視判別結果がA級のときはいずれのトラッキングスイッチ8も操作せず、B級のときは「B」と表示された表示部19と対応する位置のトラッキングスイッチ8を操作し、C級のときは「C」と表示された表示部19と対応する位置のトラッキングスイッチ8を、D級のときは、「D」と表示された表示部19と対応する位置のトラッキングスイッチ8を操作することができ、操作間違いをし難くなる。
【0092】
例えば、七本のベルト5が一つのユニットと設定されている場合、図8(a)に示すように、それらのベルト5に対応するトラッキングスイッチ8は七個存在する。このときは図8(a)のように、スイッチユニット表示手段9の表示部19を七個一ユニットし、そのユニット別に電光表示(図8では斜線表示と斜線なし表示)して区分けすると共に、それら七個の表示部19に等級B、C、Dを示す「B」「C」「D」の文字を表示することもできる。
【0093】
文字の表示は、例えば図8(a)のように七個の表示部19のうち最初の表示部19から順に「B」「C」「D」の文字を繰り返し表示することができる。文字の表示は図8(a)の例に限らず他の表示とすることもできる。例えば図8(b)のように七個の表示部19のうち最初の三個の表示部19に「B」の文字を、次の二つの表示部19に「C」の文字を、次の二個の表示部19に「D」の文字を表示することもできる。
【0094】
図8(b)のように表示することにより、「B」の等級の表示部19が三個連続し、「C」「D」の表示部19が二個ずつ連続するため、それら表示に従って操作するトラッキングスイッチ8も同数ずつ連続する。このため、目視でA等級と判別された場合はいずれのトラッキングスイッチも操作せず、目視でB等級と判別された場合は「B」と表示された三個のいずれの表示部19に対応するトラッキングスイッチ8を操作してもよく、目視でC等級と判別された場合は「C」と表示され二個のいずれの表示部19に対応するトラッキングスイッチ8を操作してもよく、目視でD等級と判別された場合は「D」と表示され二個のいずれの表示部19に対応するトラッキングスイッチ8を操作してもよいため、作業者がスイッチ操作し易くなり、操作間違いし難くなる。
【0095】
スイッチユニット表示手段9は図9(a)のようにトラッキングスイッチ8の手前側(果菜送り出し方向先方側)に設けたり、図9(b)のようにトラッキングスイッチ8の上方に設けたりすることができる。スイッチユニット表示手段9はこれら以外の場所に設けることもできるが、いずれの場合も、果菜Gを果菜キャリア3に載せる作業の邪魔にならない位置であって、ベルト5との対応関係が明確に識別できる位置に設けるのが好ましい。
【0096】
なお、前記実施形態では、目視による等級判別を「B」「C」「D」のトラッキングスイッチ8の操作によって行っているが、目視による等級判別は「B」「C」のトラッキングスイッチ8の操作によって行うこともできる。この場合、目視でA等級と判別された場合はいずれのトラッキングスイッチも操作せず、B等級と判別された場合は「B」と表示されたトラッキングスイッチ8を操作し、C等級と判別された場合は「C」と表示されトラッキングスイッチ8を操作すればよい。
【0097】
(使用例)
本発明の果菜自動選別装置1の使用例を以下に説明する。この使用例は、前記した果菜自動選別装置1を使用して行う、本発明の果菜自動選別方法の一例でもある。この使用例では図7に示すように、三本のベルト5を一ユニット(ユニットベルト)とし、選別対象がトマトのような丸物果菜の場合である。
(1)選別作業に先立って、三本のベルト5を一ユニットとして設定し、ベルトユニット指示手段7の多数の表示区域17(電光表示式)のうち、前記ユニットベルトに対応する表示区域17、及び、スイッチユニット表示手段9の多数の表示部19(電光表示式)のうち前記ユニットベルトに対応する表示部19を、三本のユニットベルト分ずつ交互に色違いに表示(電光照明)して、どのベルト5が一つのユニットベルトであるかを、作業者が目視認識できるように指示する。
(2)前記(1)の指示が完了した状態で、果菜搬送体4及びスイッチ用無端走行体18を回転させる。果菜搬送体4及びスイッチ用無端走行体18を回転させると、ベルトユニット指示手段7及びスイッチユニット表示手段9の前記色違い表示が、当該果菜搬送体4及びスイッチ用無端走行体18の移動と同期移動して、ベルトユニット指示手段7の色違い表示が位置対応するユニットベルトと位置ずれすることなくユニットベルトを指示し続け、スイッチユニット表示手段9の前記色違い表示が位置対応するスイッチと位置ずれすることなくユニットスイッチを指示し続ける。
(3)前記(2)の状態で、作業者は果菜搬送体4の果菜載せエリアXにおいて、果菜Gを、前記ベルトユニット指示手段7で指示されたユニットベルトの果菜載せ部6の上に一個ずつ載せる。このとき、果菜Gが他のユニットベルトにはみ出すことがないように(果菜Gがユニットベルトに収まるように)、ベルトユニット指示手段7の表示を確認しながら果菜Gを果菜載せ部6に載せる。
(4)作業者は果菜Gを果菜載せ部6に載せるに前に、果菜Gの裏面側の傷、変形等を目視して、予め決めてある判別基準に従って、その果菜の等階級(例えば、A級、B級・・・)を判別し、トラッキングスイッチ8を操作して目視判別データを入力する。このとき、他のトラッキングスイッチ8を操作し間違えないようにするため、スイッチユニット表示手段9の色違い表示を確認しながらスイッチ操作を行う。
(5)前記(4)の作業が終了すると、果菜Gは果菜キャリア3の走行によって先方に搬送され、計測判別エリアYにある計測器10で自動的に計測され、計測された大きさ、長さ等が、予め決めてある判別基準に従って、SS、S、M、MM、L、LLといったサイズに判別され、先の目視判別データと総合的に判別されて、例えば、ASS、AS、AM、AMM、AL、ALL、BSS、BS、BM、BMM、BL、BLL、・・・・・)といったように判別される。
(6)前記(5)の等階級判別された果菜Gは、果菜搬送体4により仕分けエリアZに搬送され、この仕分けエリアZにおいて、前記判別結果に基づいて、ユニットベルトが往回転して、果菜搬送体4の側方に設けられたプールコンベアPに送り出される(等階級別に仕分けされる)。このとき、三本のユニットベルトが同時に往回転すれば、ユニットベルトの上の果菜Gはそのままの向きで側方に送り出されるが、図10(a)〜(c)のように、果菜Gが胡瓜のような長物である場合に、三本のユニットベルト5が搬送方向先方のベルト5から後方のベルト5の順に時間差をもって往回転すれば、ユニットベルトの上の果菜Gは向きが変えられて(例えば、横向きから縦向き、斜め縦向きに)送り出される。
(7)前記(6)によって、果菜GをプールコンベアPに送り出した果菜キャリア3はそのまま移動を続ける。このとき、果菜Gを送り出したユニットベルト及び支持具14は送り出した状態にあるが、果菜Gを送り出してから果菜キャリア3が果菜搬送体4の果菜載せエリアXに戻るまでの間に、ベルト5が復回転して果菜載せ部6及び支持具14が元の位置に戻って、果菜載せ部6及び支持具14が一列に揃うようにしてある。
【0098】
(他の使用例)
前記果菜自動選別装置1は、ユニットベルトの本数を、載せる果菜Gのサイズ、長さ等に合わせて、例えば、四本一ユニット、六本一ユニットといったように変え、その変更に合わせて、ベルトユニット指示手段7の指示、スイッチユニット表示手段9の表示を変えて使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明の果菜自動選別装置1は一ユニットのベルト5の数を変更可能であるため、トマト、桃、梨、メロン、小玉西瓜といった丸物果菜や、茄子や胡瓜、ゴーヤといった長物果菜など、各種形状、サイズの果菜の選別を一台で行うことができる。
【符号の説明】
【0100】
1 果菜自動選別装置
2 無端走行体
3、3a〜3d 果菜キャリア
4 果菜搬送体
5、5a〜5j ベルト
5x ベルトの上走行部
5y ベルトの下走行部
6 果菜載せ部
7 ベルトユニット指示手段
8 トラッキングスイッチ
9 スイッチユニット表示手段
10 計測器
11 フレーム
12 ベルト巻回部
13 ローラ
14 支持具
15 ピン(突起)
16 スリット
17 表示区域
18 スイッチ用無端走行体
19 表示部
G 果菜
H1 駆動ホイール
H2 従動ホイール
M モータ
P プールコンベア
X 果菜載せエリア
Y 計測判別エリア
Z 仕分けエリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11