【解決手段】噴射口を備えたスプレーガン本体の先端に装着されるスプレーガン用チップであって、上記スプレーガン用チップは、上記スプレーガン本体の噴射口から噴射させた流体を通過させる筒状部材と、上記筒状部材を通過した流体を吐出させる吐出口とを備え、上記筒状部材は、上記スプレーガン本体の噴射口側から流体が流入する噴射口側開口と上記吐出口側へ流体を流出させる吐出口側開口とを備えた、流体の流路となっており、上記吐出口と上記筒状部材の上記吐出口側開口とは一体化しており、上記吐出口には、上記吐出口を形成する内壁を起点として、上記吐出口の内側に向かって突出する突出部が形成されており、上記吐出口の開口率は45〜75%であることを特徴とする。
前記スプレーガン用チップを前記吐出口に向かって正面視した正面図において、前記吐出口の形状は円形であり、その直径が4.0〜6.0mmである請求項1〜5のいずれかに記載のスプレーガン用チップ。
前記スプレーガン用チップを前記吐出口に向かって正面視した正面図において、前記突出部の形状はY字状であり、前記突出部の幅は0.6〜1.2mmである請求項7に記載のスプレーガン用チップ。
前記スプレーガン用チップを前記吐出口に向かって正面視した正面図において、前記突出部の形状は格子状であり、前記突出部の幅は0.4〜1.2mmである請求項7に記載のスプレーガン用チップ。
スプレーガン本体の噴射口から噴射された流体を、筒状部材を通過させ、前記スプレーガン本体の先端に装着されたスプレーガン用チップの吐出口から吐出するためのスプレーガンであって、
前記筒状部材は、前記スプレーガン本体の前記噴射口側から流体が流入する噴射口側開口と前記スプレーガン用チップの前記吐出口側へ流体を流出させる吐出口側開口とを備えた、流体の流路となっており、
前記スプレーガン用チップの前記吐出口には、前記吐出口を形成する内壁を起点として、前記吐出口の内側に向かって突出する突出部が形成されており、
前記吐出口の開口率は45〜75%であることを特徴とするスプレーガン。
前記スプレーガン用チップの前記吐出口と前記筒状部材の前記吐出口側開口とが一体化することにより、前記筒状部材が前記スプレーガン用チップと一体化している請求項10に記載のスプレーガン。
前記筒状部材は、前記スプレーガン本体の前記噴射口と一体化した第1の噴射口側開口を備えて前記スプレーガン本体と一体化している第1筒状部材と、前記スプレーガン用チップの前記吐出口と一体化した第2の吐出口側開口を備えて前記スプレーガン用チップと一体化している第2筒状部材とからなり、
前記第1筒状部材において前記第1の噴射口側開口と反対側に位置する開口である第1の吐出口側開口と、前記第2筒状部材において前記第2の吐出口側開口と反対側に位置する開口である第2の噴射口側開口とが接触又は接近することにより、前記第1筒状部材と前記第2筒状部材とが連続した流体の流路を形成している請求項10に記載のスプレーガン。
前記スプレーガン本体を前記吐出口に向かって正面視した正面図において、前記吐出口の形状は円形であり、その直径が4.0〜6.0mmである請求項10〜15のいずれかに記載のスプレーガン。
前記スプレーガンを前記吐出口に向かって正面視した正面図において、前記突出部の形状はY字状であり、前記突出部の幅は0.6〜1.2mmである請求項17に記載のスプレーガン。
前記スプレーガンを前記吐出口に向かって正面視した正面図において、前記突出部の形状は格子状であり、前記突出部の幅は0.4〜1.2mmである請求項17に記載のスプレーガン。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたスプレーガンでは、高粘度の洗浄剤組成物を吐出した場合に、洗浄剤組成物が泡にならず飛び散り、対象物に効率的に吐出できないという問題点があった。また、洗浄剤組成物を吐出させた後、スプレーガンの先端から洗浄剤組成物の液滴が垂れて作業者の手等に付着し、作業者の安全性や作業性の低下を招くこともあった。
【0007】
本発明は、これらの問題を解決するためになされたものであり、流体を良好な泡状に吐出することのできるスプレーガンに用いられるスプレーガン用チップ、スプレーガン、及び、洗浄剤組成物の吐出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のスプレーガン用チップは、噴射口を備えたスプレーガン本体の先端に装着されるスプレーガン用チップであって、上記スプレーガン用チップは、上記スプレーガン本体の噴射口から噴射させた流体を通過させる筒状部材と、上記筒状部材を通過した流体を吐出させる吐出口とを備え、上記筒状部材は、上記スプレーガン本体の噴射口側から流体が流入する噴射口側開口と上記吐出口側へ流体を流出させる吐出口側開口とを備えた、流体の流路となっており、上記吐出口と上記筒状部材の上記吐出口側開口とは一体化しており、上記吐出口には、上記吐出口を形成する内壁を起点として、上記吐出口の内側に向かって突出する突出部が形成されており、上記吐出口の開口率は45〜75%であることを特徴とする。
【0009】
本発明のスプレーガン用チップは、噴射口を備えたスプレーガン本体の先端に装着されるスプレーガン用チップであって、上記スプレーガン用チップは、上記スプレーガン本体の噴射口から噴射させた流体を通過させる筒状部材と、上記筒状部材を通過した流体を吐出させる吐出口とを備えた流体の流路となっている。そのため、上記スプレーガン本体の噴射口から噴射された流体は、筒状部材の噴射口側開口から筒状部材内に流入し、吐出口側開口において筒状部材から流出する。スプレーガン本体の噴射口から噴射された流体は、筒状部材を通過する際に上記筒状部材を構成する内壁と衝突し、粗い泡状となる。
さらに、筒状部材の吐出口側開口は吐出口と一体化しており、上記吐出口には上記吐出口を形成する内壁を起点として、上記吐出口の内側に向かって突出する突出部が形成されている。
そして、筒状部材を通過して粗い泡状となった流体は、上記吐出口に突出する突出部と衝突することによって、細かい泡状となる。
このようにして細かい泡が形成されるが、この際に吐出口の開口率が45〜75%であると、スプレーガン本体から噴射された流体を良好な泡状に吐出することができる。
【0010】
本発明のスプレーガン用チップにおいては、上記スプレーガン用チップを上記スプレーガン本体の先端に装着した際に、上記筒状部材の長手方向の長さが、上記吐出口から上記スプレーガン本体の噴射口までの距離に対して、上記吐出口側開口を起点として60〜100%となることが望ましい。
上記構成であると、上記スプレーガン本体の噴射口から噴射された流体の大部分が上記筒状部材内部を通過することができるため、流体が粗い泡状となりやすい。このように粗い泡状となった流体が、上記吐出口に形成された上記突出部と衝突することにより、細かい泡が形成される。そのため、スプレーガン本体から噴射された流体をより良好な泡状にして吐出しやすくなる。
なお、本明細書において、筒状部材の長手方向とは、スプレーガン本体から噴射された流体が上記筒状部材を通過する方向に平行な方向を示している。
【0011】
本発明のスプレーガン用チップの別の態様は、スプレーガン本体の噴射口と一体化した筒状部材を備えた上記スプレーガン本体の先端に装着されるスプレーガン用チップであって、上記スプレーガン用チップは、上記スプレーガン本体の噴射口から噴射され、上記筒状部材を通過した流体を吐出させる吐出口を備え、上記吐出口には、上記吐出口を形成する内壁を起点として、上記吐出口の内側に向かって突出する突出部が形成されており、上記吐出口の開口率は45〜75%であることを特徴とする。
【0012】
上記スプレーガン用チップは、スプレーガン本体の噴射口と一体化した筒状部材を備えた上記スプレーガン本体の先端に装着される。そのため、上記スプレーガン本体の噴射口から噴射された流体は、上記スプレーガン本体の噴射口と一体化した筒状部材を通過する際に、上記筒状部材を構成する内壁と衝突して粗い泡状となる。
筒状部材を通過することにより粗い泡状となった流体は、上記スプレーガン用チップの吐出口に突出した突出部と衝突することで細かい泡状となる。
このようにして細かい泡が形成されるが、この際に吐出口の開口率が45〜75%であると、スプレーガン本体から噴射された流体を良好な泡状に吐出することができる。
【0013】
本発明のスプレーガン用チップの別の態様として、上記吐出口と一体化した第2筒状部材をさらに備えていてもよく、上記第2筒状部材は、上記スプレーガン本体の噴射口と一体化した筒状部材側から流体が流入する第2の噴射口側開口と吐出口側へ流体を流出させる第2の吐出口側開口とを備えた、流体の流路となっており、上記吐出口と上記第2の吐出口側開口とは一体化しており、上記第2筒状部材の第2の噴射口側開口と上記スプレーガン本体の噴射口と一体化した筒状部材の吐出口側開口とが接触又は接近することにより、連続した流体の流路が形成されていてもよい。
【0014】
上記構成であると、上記第2筒状部材の第2の噴射口側開口と上記スプレーガン本体の噴射口と一体化した筒状部材の上記吐出口側開口とが接触又は接近することにより、連続した流体の流路が形成される。
そのため、上記スプレーガン本体から噴射された流体は、上記スプレーガン本体の噴射口と一体化した筒状部材と第2筒状部材からなる連続した流体の流路を通過する際に粗い泡状となる。さらに、第2の吐出口側開口は吐出口と一体化しているため、第2筒状部材を通過した粗い泡状の流体が吐出口に突出した突出部と衝突することによって細かい泡状とすることができる。
【0015】
本発明のスプレーガン用チップでは、上記吐出口の開口率が50〜70%であることが望ましい。上記吐出口の開口率が50〜70%であると、吐出口から吐出される流体をより良好な泡状にすることができる。
【0016】
本発明のスプレーガン用チップでは、上記スプレーガン用チップを上記吐出口に向かって正面視した正面図において、上記吐出口の形状は円形であり、その直径が4.0〜6.0mmであることが望ましい。
上記スプレーガン用チップを上記吐出口に向かって正面視した正面図において、上記吐出口の形状が円形であって、その直径が4.0〜6.0mmであると、流体の飛び散りが防止され、また、狙った対象物への噴射を良好に行うことができる。
【0017】
本発明のスプレーガン用チップにおいて、上記突出部は、上記吐出口を複数の領域に区画していることが望ましい。
上記突出部により上記吐出口が複数の領域に区画されていると、上記突出部の強度が向上する。
【0018】
本発明のスプレーガン用チップにおいて、上記チップを上記吐出口に向かって正面視した正面図において、上記突出部の形状はY字状であり、上記突出部の幅は0.6〜1.2mmであることが望ましい。
上記チップを上記吐出口に向かって正面視した正面図において、上記突出部の形状がY字状であり、上記突出部の幅が0.6〜1.2mmであると、上記吐出口から上記流体を吐出する際に、より良好な泡状に吐出しやすくなる。
【0019】
本発明のスプレーガン用チップにおいて、上記チップを上記吐出口に向かって正面視した正面図において、上記突出部の形状は格子状であり、上記突出部の幅は0.4〜1.2mmであることが望ましい。
上記チップを上記吐出口に向かって正面視した正面図において、上記突出部の形状が格子状であり、上記突出部の幅が0.4〜1.2mmであると、上記吐出口から上記流体を吐出する際に、より良好な泡状に吐出しやすくなる。
【0020】
また、本発明のスプレーガンは、スプレーガン本体の噴射口から噴射された流体を、筒状部材を通過させ、上記スプレーガン本体の先端に装着されたスプレーガン用チップの吐出口から吐出するためのスプレーガンであって、上記筒状部材は、上記スプレーガン本体の上記噴射口側から流体が流入する噴射口側開口と上記スプレーガン用チップの上記吐出口側へ流体を流出させる吐出口側開口とを備えた、流体の流路となっており、上記スプレーガン用チップの上記吐出口には、上記吐出口を形成する内壁を起点として、上記吐出口の内側に向かって突出する突出部が形成されており、上記吐出口の開口率は45〜75%であることを特徴とする。
【0021】
本発明のスプレーガンでは、スプレーガン本体の噴射口から噴射された流体は、筒状部材を通過する際に筒状部材を構成する内壁と衝突し、粗い泡状となる。そして、筒状部材を通過して粗い泡状となった流体は、上記吐出口に突出する突出部に衝突することによって、細かい泡状となる。
このようにして細かい泡が形成されるが、この際に吐出口の開口率が45〜75%であると、スプレーガン本体から噴射された流体を良好な泡状に吐出することができる。
【0022】
本発明のスプレーガンにおいては、上記スプレーガン用チップの上記吐出口と上記筒状部材の上記吐出口側開口とが一体化することにより、上記筒状部材が上記スプレーガン用チップと一体化していることが望ましい。
このような構成であると、筒状部材を通過した流体を確実に上記筒状部材の内壁に衝突させることができる。そのため、スプレーガン本体から噴射された流体をより良好な泡状にして吐出しやすくなる。
【0023】
本発明のスプレーガンにおいては、上記筒状部材の長手方向の長さは、上記吐出口から上記噴射口までの距離に対して、上記吐出口側開口を起点として60〜100%であることが望ましい。
上記構成であると、上記スプレーガン本体の噴射口から噴射された流体の大部分が上記筒状部材を通過することができるため、流体が粗い泡状となりやすい。このように粗い泡状となった流体が、上記吐出口に形成された上記突出部と衝突することにより、より細かい泡が形成される。そのため、スプレーガン本体から噴射された流体をより良好な泡状にして吐出しやすくなる。
【0024】
本発明のスプレーガンにおいては、上記スプレーガン本体の上記噴射口と上記筒状部材の上記噴射口側開口とが一体化することにより、上記筒状部材が上記スプレーガン本体と一体化しており、上記筒状部材の上記吐出口側開口が上記スプレーガン用チップの上記吐出口と接触又は接近するように構成されていることが望ましい。
上記構成であると、上記スプレーガン本体の噴射口から噴射された流体は、上記スプレーガン本体の噴射口と一体化した筒状部材を通過する際に、上記筒状部材を構成する内壁と衝突して粗い泡状となる。筒状部材を通過することにより粗い泡状となった流体は、上記スプレーガン用チップの吐出口に突出した突出部と衝突することで細かい泡状となる。
そのため、スプレーガン本体から噴射された流体を良好な泡状にして吐出しやすくなる。
【0025】
本発明のスプレーガンにおいて、上記筒状部材は、上記スプレーガン本体の上記噴射口と一体化した第1の噴射口側開口を備えて上記スプレーガン本体と一体化している第1筒状部材と、上記スプレーガン用チップの上記吐出口と一体化した第2の吐出口側開口を備えて上記スプレーガン用チップと一体化している第2筒状部材とからなり、上記第1筒状部材において上記第1の噴射口側開口と反対側に位置する開口である第1の吐出口側開口と、上記第2筒状部材において上記第2の吐出口側開口と反対側に位置する開口である第2の噴射口側開口とが接触又は接近することにより、上記第1筒状部材と上記第2筒状部材とが連続した流体の流路を形成していることが望ましい。
スプレーガン本体と一体化している第1筒状部材と、スプレーガン用チップの吐出口と一体化している第2筒状部材とが第1の吐出口側開口と第2の噴射口側開口とが接触又は接近することにより連続した流体の流路が形成される。
そのため、上記スプレーガン本体から噴射された流体は、第1筒状部材及び第2筒状部材からなる連続した流体の流路を通過する際に粗い泡状となる。さらに、第2筒状部材の第2の吐出口側開口はスプレーガン用チップの吐出口と一体化しているため、連続した流体の流路を通過することで粗い泡状となった流体が吐出口に突出した突出部と衝突することで細かい泡状となる。そのため、スプレーガン本体から噴射された流体を良好な泡状にして吐出しやすくなる。
【0026】
本発明のスプレーガンにおいては、上記吐出口の開口率が50〜70%であることが望ましい。
上記吐出口の開口率が50〜70%であると、吐出口から吐出される流体をより良好な泡状にすることができる。
【0027】
本発明のスプレーガンにおいては、上記スプレーガン本体を上記吐出口に向かって正面視した正面図において、上記吐出口の形状は円形であり、その直径が4.0〜6.0mmであることが望ましい。上記吐出口の形状が円形であって、その直径が4.0〜6.0mmであると、流体の飛び散りが防止され、また、狙った対象物への噴射を良好に行うことができる。
【0028】
本発明のスプレーガンにおいては、上記突出部は、上記吐出口を複数の領域に区画していることが望ましい。上記突出部により上記吐出口が複数の領域に区画されていると、上記突出部の強度が向上する。
【0029】
本発明のスプレーガンにおいては、上記スプレーガンを上記吐出口に向かって正面視した正面図において、上記突出部の形状はY字状であり、上記突出部の幅は0.6〜1.2mmであることが望ましい。
上記スプレーガンを上記吐出口に向かって正面視した正面図において、上記突出部の形状がY字状であり、上記突出部の幅が0.6〜1.2mmであると、上記吐出口から上記流体を吐出する際に、より良好な泡状に吐出しやすくなる。
【0030】
本発明のスプレーガンにおいては、上記スプレーガンを上記吐出口に向かって正面視した正面図において、上記突出部の形状は格子状であり、上記突出部の幅は0.4〜1.2mmであることが望ましい。
上記スプレーガンを上記吐出口に向かって正面視した正面図において、上記突出部の形状が格子状であり、上記突出部の幅が0.4〜1.2mmであると、上記吐出口から上記流体を吐出する際に、より良好な泡状に吐出しやすくなる。
【0031】
本発明の洗浄剤組成物の吐出方法は、本発明のスプレーガンを使用して洗浄剤組成物を吐出口から吐出させることを特徴とする。
本発明のスプレーガンを使用して洗浄剤組成物を吐出口から吐出させることで、洗浄剤組成物を良好な泡状に吐出することができ、対象物以外に洗浄剤組成物が飛び散ることがない。
【0032】
本発明の洗浄剤組成物の吐出方法としては、上記洗浄剤組成物のE型粘度計により測定した粘度が、回転数20rpm、20℃において0〜300mPa・sであることが望ましい。本発明のスプレーガンを用いると、回転数20rpm、20℃において測定した粘度が0〜300mPa・sである洗浄剤組成物を良好な泡状に吐出して対象物に付着させることができる。そのため、このような粘度を有する洗浄剤組成物は、本発明の洗浄剤組成物の吐出方法においては、このような粘度を有する洗浄剤組成物を用いることがに特に適している。
【発明の効果】
【0033】
本発明のスプレーガン用チップ及びスプレーガンによれば、流体を良好な泡状に吐出することができる。また、本発明のスプレーガンを用いた洗浄剤組成物の吐出方法によれば、洗浄剤組成物を良好な泡状に吐出することができ、特に、E型粘度計により測定した粘度が、回転数20rpm、20℃において粘度が300mPa・sを超えない程度の高粘度の洗浄剤組成物を良好な泡状に吐出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明のスプレーガン用チップ、スプレーガン及び洗浄剤組成物の吐出方法について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0036】
本発明のスプレーガンは、スプレーガン本体の噴射口から噴射された流体を、筒状部材を通過させ、上記スプレーガンの先端に装着されたスプレーガン用チップの吐出口から吐出するためのスプレーガンであって、上記筒状部材は、上記スプレーガン本体の上記噴射口側から流体が流入する噴射口側開口と上記スプレーガン用チップの上記吐出口側へ流体を流出させる吐出口側開口とを備えた、流体の流路となっており、上記スプレーガン用チップの上記吐出口には、上記吐出口を形成する内壁を起点として、上記吐出口の内側に向かって突出する突出部が形成されており、上記吐出口の開口率は45〜75%であることを特徴とする。
【0037】
このような本発明のスプレーガンを用いると、流体を良好な泡状に吐出することができる。以下、本発明のスプレーガンの実施形態と、本発明のスプレーガンに好適に用いられる本発明のスプレーガン用チップの実施形態をそれぞれ説明する。
あわせて、本発明のスプレーガンを用いた洗浄剤組成物の吐出方法の実施形態についても随時説明する。
【0038】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態に係るスプレーガン用チップは、噴射口を備えたスプレーガン本体の先端に装着されるスプレーガン用チップであって、上記スプレーガン用チップは、上記スプレーガン本体の噴射口から噴射させた流体を通過させる筒状部材と、上記筒状部材を通過した流体を吐出させる吐出口とを備え、上記筒状部材は、上記スプレーガン本体の噴射口側から流体が流入する噴射口側開口と上記吐出口側へ流体を流出させる吐出口側開口とを備えた、流体の流路となっており、上記吐出口と上記筒状部材の上記吐出口側開口とは一体化しており、上記吐出口には、上記吐出口を形成する内壁を起点として、上記吐出口の内側に向かって突出する突出部が形成されており、上記吐出口の開口率は45〜75%であることを特徴とする。
【0039】
図1(a)は、本発明の第一実施形態に係るスプレーガン用チップの一例を模式的に示した斜視図であり、
図1(b)は
図1(a)の矢印X方向から正面視した場合の正面図であり、
図1(c)は
図1(b)のA−A線断面図である。
【0040】
図1(a)に示すスプレーガン用チップ100は、吐出口101と、吐出口101を形成する内壁103を起点として、吐出口101の内側に向かって突出する突出部102を備えている。また、スプレーガン本体に装着した際にスプレーガン用チップ100が容易に外れないようにするための固定部材104と、スプレーガン用チップ100が回転しないようにするための回転防止部材105を備えている。
【0041】
図1(b)に示すように、スプレーガン用チップ100を吐出口101に向かって正面視した正面図において、吐出口101を形成する内壁103の形状は円形である。この内壁の形状をもって、吐出口101自体の形状は円形と定められる。
吐出口の直径は特に限定されるものではないが、4.0〜6.0mmであることが望ましく、4.5〜5.5mmであることがより望ましく、4.8〜5.2mmであることがさらに望ましい。
突出部102は内壁103を起点として吐出口101の内側に向かって突出しており、
図1(b)に示す形態では3本の突出部102が吐出口101の中央で重なったY字状を形成している。そして、Y字状の突出部102により吐出口101が複数の領域(3つの領域)に区画されている。
突出部102の幅は、
図1(b)においてWで表される幅であり、特に限定されるものではないが、0.4〜1.2mmであることが望ましく、0.6〜1.2mmであることがより望ましい。
【0042】
吐出口101の開口率は、
図1(b)のようにスプレーガン用チップ100を吐出口101に向かって正面視した正面図において、吐出口101の全面積のうち、突出部102によって塞がれていない部分、すなわち、流体が通過できる部分の面積の割合を指す。吐出口101の形状は円形であるので、吐出口の全面積は吐出口を形成する円の面積とすればよい。
本発明のスプレーガン用チップでは、上記のように定められる開口率が45〜75%である。開口率は50〜70%であることがより望ましく、55〜60%であることがさらに望ましい。
【0043】
図1(c)に示す断面図には、スプレーガン用チップ100が備える筒状部材106を示している。
図1(c)に示す筒状部材106は円筒形状であり、スプレーガン用チップ100をスプレーガン本体に装着した際にスプレーガン本体の噴射口から流体が流入する噴射口側開口108と、吐出口101側に流体を流出させる吐出口側開口109を備えている。
そして、噴射口側開口108から吐出口側開口109が流体の流路となっている。
吐出口側開口109は吐出口101と一体化している。吐出口側開口109を構成する平面が吐出口101の噴射口側を構成する平面と一体化しているということもできる。
筒状部材106を通過する流体は、筒状部材の内壁107に衝突することにより粗い泡状となり、吐出口側開口109から流出する際に吐出口101に設けられた突出部102と衝突することによって、細かい泡状となる。そのため、スプレーガン本体の噴射口から噴射された流体は、良好な泡状となって、吐出口101からスプレーガン用チップ100の外に吐出されることとなる。
筒状部材の内径形状は特に限定されるものではないが、吐出口の形状と同じとすることが望ましく、吐出口が円形であれば筒状部材は円筒状とし、吐出口の直径と同じ内径を有する形状とすることが望ましい。
【0044】
筒状部材106の長手方向の長さは、スプレーガン用チップ100をスプレーガン本体の先端に装着した際に、吐出口101からスプレーガン本体の噴射口までの距離に対して、吐出口側開口109を起点として60〜100%であることが望ましい。
【0045】
筒状部材106の長手方向の長さは、筒状部材106の噴射口側開口108から吐出口側開口109までの距離(
図1(c)において両矢印Kで示す距離)である。
【0046】
吐出口101からスプレーガン本体の噴射口までの距離は、スプレーガン本体にスプレーガン用チップ100を装着することにより定まるので、スプレーガン本体にスプレーガン用チップ100を装着した状態で吐出口101からスプレーガン本体の噴射口までの距離を測ることにより定めることができる。
なお、吐出口101からスプレーガン本体の噴射口までの距離を定める際の吐出口の位置は、筒状部材106の吐出口側開口109の位置と同じ位置にすればよい。
【0047】
また、
図1(c)では、回転防止部材105のスプレーガン本体側の端部105aが、筒状部材106の噴射口側開口108よりもスプレーガン本体側(噴射口が位置する側)に位置している。そのため、
図1(c)に示すスプレーガン用チップ100をスプレーガン本体に装着した場合には、スプレーガン本体には回転防止部材105のスプレーガン本体側の端部105aが接触することになる。そして、後述する本実施形態のスプレーガンでは、回転防止部材105のスプレーガン本体側の端部105aがスプレーガン本体と接触する位置がスプレーガン本体の噴射口の位置と同じ位置になる。そのため、吐出口101からスプレーガン本体の噴射口までの距離は、筒状部材106の長手方向における、回転防止部材105のスプレーガン本体側の端部105aと吐出口101の間の距離となる。これは、
図1(c)において両矢印Lで示す距離である。
つまり、吐出口101からスプレーガン本体の噴射口までの距離は、筒状部材106の長手方向における、スプレーガン用チップ100がスプレーガン本体と接触する位置と吐出口101の間の距離(この距離も
図1(c)中、両矢印Lで示す距離である)と言い換えることもできる。
【0048】
なお、スプレーガン用チップをスプレーガン本体に装着した際に、回転防止部材が必ずしもスプレーガン本体と接触する必要はなく、例えば固定部材や筒状部材がスプレーガン本体と接触するように構成されていてもよい。
固定部材がスプレーガン本体と接触するよう構成されている場合、吐出口からスプレーガン本体の噴射口までの距離は、筒状部材の長手方向における、固定部材がスプレーガン本体と接触する位置と吐出口の間の距離となる。
筒状部材がスプレーガン本体と接触するよう構成されている場合、吐出口からスプレーガン本体の噴射口までの距離は、筒状部材の長手方向における、筒状部材がスプレーガン本体と接触する位置と吐出口の間の距離となるが、この距離は筒状部材の噴射口側開口から吐出口側開口までの距離となる。そのため、筒状部材の長手方向の長さは、吐出口からスプレーガン本体の噴射口までの距離に対して、吐出口側開口を起点として100%となる。
【0049】
本実施形態のスプレーガン用チップにおいて、スプレーガン用チップを吐出口に向かって正面視した正面図における吐出口の形状は特に限定されないが円形の他に、楕円形、及び、正六角形、正八角形等の正多角形等が望ましい。また、これらの多角形の頂点が面取りされた形状等であってもよい。
【0050】
本実施形態のスプレーガン用チップにおいて、上記正面図における突出部の形状はY字状に特に限定されるものではなく、Y字状以外の放射状、格子状等であってもよい。
Y字状以外の放射状としては、上記吐出口の外周から上記吐出口の中心部に向かって突出部が突出しているもの等が挙げられる。
放射状としては、例えば、丁字状、十字状、五叉状等の多叉形状が挙げられる。また、上記多叉形状の中央部に突出部が存在しないものも放射状として望ましい形状の一つである。
【0051】
図2は、本発明の第一実施形態に係るスプレーガン用チップの別の一例を模式的に示した正面図である。
図2に示すスプレーガン用チップ200では、上記正面図における吐出口201の内壁203を起点として吐出口201の内側に向かって突出部202が突出しており、さらに、吐出口201の中央で突出部202が重なっていない。すなわち、突出部202の形状は、吐出口201の中央に突出部202が存在しないY字状となっている。
図2に示すスプレーガン用チップ200では、吐出口201が突出部202によって複数の領域に区画されていない。スプレーガン用チップ200について、突出部202の形状以外のその他の構成の望ましい形態は、
図1に示すスプレーガン用チップ100と同様とすることができる。
【0052】
図3は、本発明の第一実施形態に係るスプレーガン用チップの別の一例を模式的に示した正面図である。
図3に示すスプレーガン用チップ300では、上記正面図における吐出口301の内壁303を起点として吐出口301の内側に向かって突出部302が突出しており、突出部302が垂直に交差して格子状を形成している。
突出部の形状が格子状である場合、突出部の幅は、0.4〜1.2mmであることが望ましく、0.4〜0.8mmであることがより望ましい。
スプレーガン用チップ300について、突出部302の形状以外のその他の構成の望ましい形態は、
図1に示すスプレーガン用チップ100と同様とすることができる。
【0053】
本実施形態に係るスプレーガン用チップを構成する材料は特に限定されず、金属製であってもよく、樹脂製であってもよいが、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリル・スチレン(AS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルペンテン(PMP)等からなる樹脂製のものが望ましく、ポリエチレン(PE)がより望ましく、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が特に望ましい。
【0054】
本実施形態に係るスプレーガン用チップを成形する方法は特に限定されず、従来公知の方法を用いることができ、例えば、切削加工、射出成形等による成形が挙げられる。
また、本実施形態に係るスプレーガン用チップは、複数の部品が接着又は嵌合等の手段により組み合わされることで成形されていてもよく、一体的に成形されていてもよい。
【0055】
続いて、本発明の第一実施形態に係るスプレーガンについて説明する。
本発明の第一実施形態に係るスプレーガンでは、スプレーガン用チップの上記吐出口と上記筒状部材の上記吐出口側開口とが一体化することにより、上記筒状部材が上記スプレーガン用チップと一体化している。つまり、本発明の第一実施形態に係るスプレーガンでは、筒状部材はスプレーガン用チップ側に存在しているといえる。
このような構成を達成するための例としては、本発明の第一実施形態に係るスプレーガン用チップを装着したスプレーガンとすることが望ましい。以下、本発明の第一実施形態に係るスプレーガン用チップを装着したスプレーガンについて説明する。
【0056】
図4(a)は、本発明の第一実施形態に係るスプレーガン用チップを装着するスプレーガン本体の一例を模式的に示した斜視図である。
図4(a)に示すように、スプレーガン本体10には、流体を噴射する噴射口11が設けられている。
【0057】
図4(b)は、本発明の第一実施形態に係るスプレーガン用チップをスプレーガン本体に装着してなる、本発明の第一実施形態に係るスプレーガンの一例を模式的に示す斜視図である。
図4(b)に示す本発明の第一実施形態に係るスプレーガン1では、本発明の第一実施形態に係るスプレーガン用チップ100がスプレーガン本体10の先端に装着されている。
【0058】
図4(c)は
図4(b)においてスプレーガン用チップがスプレーガン本体に装着された部位を拡大して示した部分断面図である。
スプレーガン本体10には、スプレーガン用チップ100の固定部材104と嵌合するように形成された凹部12が設けられており、固定部材104と凹部12が嵌合されてスプレーガン用チップ100がスプレーガン本体10に装着されている。
また、スプレーガン本体10は流体を噴射するための噴射口11を備えている。
本実施形態のスプレーガン1では、スプレーガン用チップ100の吐出口101と筒状部材106の吐出口側開口109とが一体化することにより、筒状部材106がスプレーガン用チップ100と一体化している。
【0059】
以下、
図4(c)を用いて、本発明の第一実施形態に係るスプレーガンから流体を吐出させる場合の流体の流れについて説明する。
スプレーガン本体10の噴射口11から噴射された流体は、スプレーガン用チップ100を構成する筒状部材106を通過する。この際、流体は、筒状部材106の噴射口側開口108から筒状部材106に流入し、吐出口側開口109から流出することにより筒状部材106を通過する。流体が筒状部材106を通過する際に筒状部材の内壁107に衝突することにより粗い泡状となり、さらに吐出口側開口109から流出する際に吐出口101に設けられた突出部102と衝突することによって、細かい泡状となり、吐出口101からスプレーガン1の外に吐出されることとなる。
従って、本発明の第一実施形態に係るスプレーガン用チップを用いた、本発明の第一実施形態に係るスプレーガンでは、スプレーガン本体から噴射される流体を良好な泡状として吐出することができる。
【0060】
本実施形態のスプレーガンにおいて、吐出口101からスプレーガン本体10の噴射口11までの距離は、
図4(c)において両矢印Lで表される長さである。この長さLは、回転防止部材105のスプレーガン本体側の端部105aがスプレーガン本体10と接触する位置と吐出口101の間の距離と同じである。
また、筒状部材106の長手方向の長さは、筒状部材106の噴射口側開口108から吐出口側開口109までの距離(
図4(c)において両矢印Kで示す長さ)である。
【0061】
なお、スプレーガン用チップをスプレーガン本体に装着する方法は特に限定されず、例えば、スプレーガン本体に設けた凹部と、スプレーガン用チップに設けた凸部とが嵌合するように形成されていてもよく、その他の装着方法によってもよい。
【0062】
(第二実施形態)
本発明の第二実施形態に係るスプレーガン用チップは、スプレーガン本体の噴射口と一体化した筒状部材を備えた上記スプレーガン本体の先端に装着されるスプレーガン用チップであって、上記スプレーガン用チップは、上記スプレーガン本体の噴射口から噴射され、上記筒状部材を通過した流体を吐出させる吐出口を備え、上記吐出口には、上記吐出口を形成する内壁を起点として、上記吐出口の内側に向かって突出する突出部が形成されており、上記吐出口の開口率は45〜75%であることを特徴とする。
【0063】
図5(a)は、本発明の第二実施形態に係るスプレーガン用チップの一例を模式的に示した斜視図であり、
図5(b)は
図5(a)の矢印Y方向から正面視した場合の正面図であり、
図5(c)は
図5(b)のB−B線断面図である。
【0064】
図5(a)に示すスプレーガン用チップ400は、
図1(a)に示すスプレーガン用チップ100と同様に、吐出口401と、吐出口401を形成する内壁403を起点として吐出口401の内側に向かって突出する突出部402とを備えている。また、固定部材404及び回転防止部材405を備えている。
【0065】
図5(b)に示す、スプレーガン用チップ400を正面視した形状は、
図1(b)に示すスプレーガン用チップ100を正面視した形状と同様である。吐出口401を形成する内壁403の望ましい形状、吐出口401の望ましい直径、突出部402の望ましい形状及び幅、吐出口401の望ましい開口率も
図1(b)に示すスプレーガン用チップ100において対応する形態と同様であるのでその詳細な説明は省略する。
また、スプレーガン用チップを構成する材料やその成形方法は本発明の第一実施形態に係るスプレーガン用チップと同様にすることができ、吐出口の形状は
図2又は
図3に示された形状であってもよい。
【0066】
図5(c)に示すように、スプレーガン用チップ400は、筒状部材を有さない点で、
図1(a)〜(c)に示すスプレーガン用チップ100と異なる。
本実施形態のスプレーガン用チップは、スプレーガン本体の噴射口と一体化した筒状部材を備えたスプレーガン本体の先端に装着されるスプレーガン用チップであり、スプレーガン本体に設けられた筒状部材を通過した流体がスプレーガン用チップの吐出口に設けられた突出部に衝突するようになっている。
【0067】
続いて、本発明の第二実施形態に係るスプレーガンについて説明する。
本発明の第二実施形態に係るスプレーガンでは、上記スプレーガン本体の上記噴射口と上記筒状部材の上記噴射口側開口とが一体化することにより、上記筒状部材が上記スプレーガン本体と一体化しており、上記筒状部材の上記吐出口側開口が上記スプレーガン用チップの上記吐出口と接触又は接近するように構成されている。つまり、本発明の第二実施形態に係るスプレーガンでは、筒状部材はスプレーガン本体側に存在しているといえる。
なお、本明細書において、「接近」とは、筒状部材と筒状部材、又は、筒状部材と吐出口とが連続した流体の流路を形成する程度に近接している状態を指しており、具体的には開口又は吐出口を形成する2つの平面間の距離が0.1〜2.0mmであることが望ましく、0.1〜1.0mmであることがより望ましく、0.1〜0.5mmであることがさらに望ましい。
すなわち、「上記吐出口側開口が上記スプレーガン用チップの上記吐出口と接近するように構成されている」とは、上記吐出口側開口と上記吐出口とが、連続した流体の流路を形成する程度に近接していることを示している。
このような構成を達成するための例としては、本発明の第二実施形態に係るスプレーガン用チップを装着したスプレーガンとすることが望ましい。以下、本発明の第二実施形態に係るスプレーガン用チップを装着したスプレーガンについて説明する。
【0068】
図6(a)は、本発明の第二実施形態に係るスプレーガン用チップを装着するスプレーガン本体の一例を模式的に示した斜視図である。
図6(a)に示すように、スプレーガン本体40には、筒状部材46が設けられており、筒状部材46はスプレーガン用チップが装着される方向に伸びている。
【0069】
図6(b)は、本発明の第二実施形態に係るスプレーガン用チップをスプレーガン本体に装着してなる、本発明の第二実施形態に係るスプレーガンの一例を模式的に示す斜視図である。
図6(b)に示す本発明の第二実施形態に係るスプレーガン4では、本発明の第二実施形態に係るスプレーガン用チップ400がスプレーガン本体40の先端に装着されている。
【0070】
図6(c)は
図6(b)においてスプレーガン用チップがスプレーガン本体に装着された部位を拡大して示した部分断面図である。
スプレーガン本体40の凹部42とスプレーガン用チップ400の固定部材404とが嵌合することによりスプレーガン用チップ400がスプレーガン本体40に装着される形態は本発明の第一実施形態に係るスプレーガンと同様である。
スプレーガン本体40は流体を噴射するための噴射口41を備えており、さらに筒状部材46を備えている。筒状部材46は噴射口側開口43及び吐出口側開口44を有しており、噴射口41と噴射口側開口43とが一体化することにより、筒状部材46がスプレーガン本体40と一体化している。
【0071】
以下、
図6(c)を用いて、本発明の第二実施形態に係るスプレーガンから流体を吐出させる場合の流体の流れについて説明する。
スプレーガン本体40の噴射口41から噴射された流体は、スプレーガン本体40と一体化した筒状部材46を通過する。この際、流体は、筒状部材46の噴射口側開口43から筒状部材46に流入し、吐出口側開口44から流出することにより筒状部材46を通過する。流体が筒状部材46を通過する際に筒状部材の内壁45に衝突することにより粗い泡状となり、さらに吐出口側開口44から流出する際に吐出口401に設けられた突出部402と衝突することによって、細かい泡状となり、吐出口401からスプレーガン4の外に吐出されることとなる。
従って、本発明の第二実施形態に係るスプレーガン用チップを用いた、本発明の第二実施形態に係るスプレーガンでは、スプレーガン本体から噴射される流体を良好な泡状として吐出することができる。
【0072】
(第三実施形態)
本発明の第三実施形態に係るスプレーガン用チップは、本発明の第二実施形態に係るスプレーガン用チップと同様に、スプレーガン本体の噴射口と一体化した筒状部材を備えたスプレーガン本体の先端に装着されるスプレーガン用チップであり、本発明の第二実施形態に係るスプレーガン用チップの変形例といえる。
本発明の第三実施形態に係るスプレーガン用チップは、本発明の第二実施形態に係るスプレーガン用チップにおいて、上記吐出口と一体化した第2筒状部材をさらに備えたスプレーガン用チップである。上記第2筒状部材は、上記スプレーガン本体の噴射口と一体化した筒状部材側から流体が流入する第2の噴射口側開口と吐出口側へ流体を流出させる第2の吐出口側開口とを備えた、流体の流路となっており、上記吐出口と上記第2の吐出口側開口とは一体化しており、上記第2筒状部材の第2の噴射口側開口と上記スプレーガン本体の噴射口と一体化した筒状部材の吐出口側開口とが接触又は接近することにより、連続した流体の流路が形成されていることを特徴とする。
【0073】
図7(a)は、本発明の第三実施形態に係るスプレーガン用チップの一例を模式的に示した斜視図であり、
図7(b)は、
図7(a)の矢印Z方向から正面視した場合の正面図であり、
図7(c)は
図7(b)のC−C線断面図である。
【0074】
図7(a)及び
図7(b)に示すスプレーガン用チップ500の吐出口501、突出部502、固定部材504及び回転防止部材505の望ましい形態は、
図5(a)及び(b)に示すスプレーガン用チップ400において対応する形態と同様である。そのため、その詳細な説明は省略する。
【0075】
図7(c)に示すように、スプレーガン用チップ500は、第2筒状部材506を有している点で、
図5(a)〜(c)に示すスプレーガン用チップ400と異なる。
第2筒状部材506は、第2の噴射口側開口508と、第2の吐出口側開口509を有しており、第2の吐出口側開口509は吐出口501と一体化している。
【0076】
スプレーガン用チップ500では、第2筒状部材506の長手方向の長さは、装着するスプレーガン本体の噴射口と接触しないように定められており、第2筒状部材506は、スプレーガン本体の噴射口と一体化した筒状部材と接触又は接近することにより連続した流体の流路となるように構成されている。
本実施形態のスプレーガン用チップは、スプレーガン本体の噴射口と一体化した筒状部材を通過した流体が第2筒状部材に流入し、第2筒状部材を通過した流体がスプレーガン用チップの吐出口に設けられた突出部に衝突するようになっている。
【0077】
続いて、本発明の第三実施形態に係るスプレーガンについて説明する。
本発明の第三実施形態に係るスプレーガンでは、筒状部材は、上記スプレーガン本体の上記噴射口と一体化した第1の噴射口側開口を備えて上記スプレーガン本体と一体化している第1筒状部材と、上記スプレーガン用チップの上記吐出口と一体化した第2の吐出口側開口を備えて上記スプレーガン用チップと一体化している第2筒状部材とからなり、上記第1筒状部材において上記第1の噴射口側開口と反対側に位置する開口である第1の吐出口側開口と、上記第2筒状部材において上記第2の吐出口側開口と反対側に位置する開口である第2の噴射口側開口とが接触又は接近することにより、上記第1筒状部材と上記第2筒状部材とが連続した流体の流路を形成している。
つまり、本発明の第三実施形態に係るスプレーガンでは、筒状部材はスプレーガン本体側とスプレーガン用チップ側の両方に存在しているといえる。
このような構成を達成するための例としては、本発明の第三実施形態に係るスプレーガン用チップを装着したスプレーガンとすることが望ましい。以下、本発明の第三実施形態に係るスプレーガン用チップを装着したスプレーガンについて説明する。
【0078】
図8(a)は、本発明の第三実施形態に係るスプレーガン用チップを装着するスプレーガン本体の一例を模式的に示した斜視図である。
図8(a)に示すように、スプレーガン本体50には、第1筒状部材56が設けられており、第1筒状部材56はスプレーガン用チップが装着される方向に伸びている。
【0079】
図8(b)は、本発明の第三実施形態に係るスプレーガン用チップをスプレーガン本体に装着してなる、本発明の第三実施形態に係るスプレーガンの一例を模式的に示す斜視図である。
図8(b)に示す本発明の第三実施形態に係るスプレーガン5では、本発明の第三実施形態に係るスプレーガン用チップ500がスプレーガン本体50の先端に装着されている。
【0080】
図8(c)は
図8(b)においてスプレーガン用チップがスプレーガン本体に装着された部位を拡大して示した部分断面図である。
スプレーガン本体50の凹部52とスプレーガン用チップ500の固定部材504とが嵌合することによりスプレーガン用チップ500がスプレーガン本体50に装着される形態は本発明の第二実施形態に係るスプレーガンと同様である。
スプレーガン本体50は流体を噴射するための噴射口51を備えており、さらに第1筒状部材56を備えている。第1筒状部材56は第1の噴射口側開口53及び第1の吐出口側開口54を有しており、噴射口51と第1の噴射口側開口53とが一体化することにより、第1筒状部材56がスプレーガン本体50と一体化している。
【0081】
スプレーガン用チップ500の第2筒状部材506は、第1筒状部材56と接触又は接近することにより連続した流体の流路となるように構成されている。第2筒状部材506の第2の噴射口側開口508と第1筒状部材56の第1の吐出口側開口54とが接触又は接近することによって、第1筒状部材56と第2筒状部材506が連続した流体の流路が形成する。
上記説明における、「接近」とは、第1筒状部材56と第2筒状部材506とによって連続した流体の流路が形成される程度に二つの平面が近接している状態であることを意味している。
【0082】
以下、
図8(c)を用いて、本発明の第三実施形態に係るスプレーガンから流体を吐出させる場合の流体の流れについて説明する。
スプレーガン本体50の噴射口51から噴射された流体は、スプレーガン本体50と一体化した第1筒状部材56を通過し、さらにスプレーガン用チップ500と一体化した第2筒状部材506を通過する。流体が第1筒状部材56及び第2筒状部材506を通過する際に第1筒状部材56の内壁55及び第2筒状部材506の内壁507に衝突することにより粗い泡状となり、さらに第2の吐出口側開口509から流出する際に吐出口501に設けられた突出部502と衝突することによって、細かい泡状となり、吐出口501からスプレーガン5の外に吐出されることとなる。
従って、本発明の第三実施形態に係るスプレーガン用チップを用いた、本発明の第三実施形態に係るスプレーガンでは、スプレーガン本体から噴射される流体を良好な泡状として吐出することができる。
【0083】
次に、本発明の洗浄剤組成物の吐出方法について説明する。
本発明の洗浄剤組成物の吐出方法は、本発明のスプレーガンを使用して、洗浄剤組成物を吐出口から吐出させることを特徴とする。
本発明のスプレーガンを使用することで、洗浄剤組成物を良好な泡状に吐出することができる。
【0084】
上記洗浄剤組成物の吐出方法では、上記洗浄剤組成物のE型粘度計により測定した粘度が、回転数20rpm、20℃において0〜300mPa・sであることが望ましい。
本発明の洗浄剤組成物の吐出方法に用いる洗浄剤組成物のより望ましい粘度は0〜200mPa・sである。洗浄剤組成物の粘度がこのような範囲の洗浄剤組成物は、従来のスプレーガンでは良好な泡状に吐出することが難しかったが、本発明のスプレーガンを用いることにより、良好な泡状に吐出することができる。
洗浄剤組成物の具体的な組成は、特に限定されるものではないが、例えば、苛性ソーダを3重量部、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムを4重量部、キシレンスルホン酸ナトリウムを5重量部、キサンタンガムを0.5重量部含む洗浄剤組成物が挙げられる。
【実施例】
【0085】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0086】
(製造例1)
図1(a)〜(c)に示す形状のスプレーガン用チップを直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)製で作製した。
吐出口の形状は直径5.0mmの円形とし、突出部の形状は幅が1.0mmのY字状とした。このスプレーガン用チップを(A−1)とした。
吐出口の開口率は59.2%であり、筒状部材の長さは、吐出口からスプレーガン本体の噴射口までの距離に対して、吐出口側開口を起点として77.9%となるように定めた。
筒状部材の内径は吐出口と同じとなるように定めた。
【0087】
(製造例2〜10)
表1に記載された仕様に従って、(A−2)〜(A−10)のスプレーガン用チップを作製した。表1に、(A−1)〜(A−10)のスプレーガン用チップの仕様を示す。
製造例2では、突出部の形状を、
図3に示すように縦2本、横2本の突出部が直交して格子状を形成した形状とした。
【0088】
【表1】
【0089】
(吐出試験)
スプレーガン用チップ(A−1)〜(A−10)を市販のスプレーガン本体(キャニヨン社製、型番:T−95C7S、噴射口径0.6mm、1ストロークでの噴射量0.7±0.1cc)に装着して、表2に記載の粘度を有する洗浄剤組成物を用いて吐出試験を行った。
吐出試験の手順を以下に示す。
まず、机上に置いたポリプロピレン製の平板に対して、上方に30cm離れた地点から下方45度の角度でスプレーガンを噴射した。次に、吐出された泡の状態及びスプレーガンの状態を目視で確認し、泡の状態、吐出した液体の飛び散り、スプレーの狙い(狙った箇所に吐出されているか)、吐出口からの液垂れについて以下の基準で判定した。
吐出試験の結果を表2に示す。
【0090】
【表2】
[泡状態の評価]
◎:きわめて良好な泡となっている。
○:良好な泡となっている。
△:良好な泡となっていない。
×:泡となっていない。
[吐出した液体の飛び散り]
○:飛び散りがほとんど認められない。
×:飛び散りが認められる。
[スプレーの狙い]
○:狙った箇所に吐出される。
×:狙った箇所から大幅にずれて吐出される。
[吐出口からの液垂れ]
○:吐出口からの液垂れが認められない。
△:吐出口からの液垂れが少し認められる。
×:吐出口からの液垂れが認められる。
【0091】
本発明のスプレーガン用チップを用いた、本発明のスプレーガンを用いて吐出した泡の泡状態の評価はいずれも◎か○であり、良好な泡となっていることが確認できた。
特に、100mPa・sという高粘度の液体洗浄剤組成物を用いても良好な泡を吐出することができ、2mPa・sという低粘度の液体洗浄剤組成物を用いても良好な泡を吐出することができた。
また、吐出口の開口率をより好ましい範囲に調整し、筒状部材の長さを好適な範囲とすることにより、吐出した液体の飛び散りを防止することができ、さらに狙った箇所に確実に吐出させることも可能であった。さらに、吐出口からの液垂れを防止することもできた。
ハンドスプレーガン本体の噴射口から噴射された流体を、筒状部材を通過させ、前記ハンドスプレーガン本体の先端に装着されたハンドスプレーガン用チップの吐出口から吐出するためのハンドスプレーガンであって、
前記筒状部材は、前記ハンドスプレーガン本体の前記噴射口側から流体が流入する噴射口側開口と前記ハンドスプレーガン用チップの前記吐出口側へ流体を流出させる吐出口側開口とを備えた、流体の流路となっており、
前記ハンドスプレーガン用チップの前記吐出口には、前記吐出口を形成する内壁を起点として、前記吐出口の内側に向かって突出する突出部が形成されており、
前記吐出口の開口率は56.5〜63.2%であり、
前記突出部は、前記吐出口を複数の領域に区画しており、
前記ハンドスプレーガンを前記吐出口に向かって正面視した正面図において、前記突出部の形状はY字状であり、前記突出部の幅は0.6〜1.2mmであり、
前記流体のE型粘度計により測定した粘度が、回転数20rpm、20℃において100mPa・s以下であることを特徴とするハンドスプレーガン。
前記ハンドスプレーガン用チップの前記吐出口と前記筒状部材の前記吐出口側開口とが一体化することにより、前記筒状部材が前記ハンドスプレーガン用チップと一体化している請求項1又は2に記載のハンドスプレーガン。
前記筒状部材は、前記ハンドスプレーガン本体の前記噴射口と一体化した第1の噴射口側開口を備えて前記ハンドスプレーガン本体と一体化している第1筒状部材と、前記ハンドスプレーガン用チップの前記吐出口と一体化した第2の吐出口側開口を備えて前記ハンドスプレーガン用チップと一体化している第2筒状部材とからなり、
前記第1筒状部材において前記第1の噴射口側開口と反対側に位置する開口である第1の吐出口側開口と、前記第2筒状部材において前記第2の吐出口側開口と反対側に位置する開口である第2の噴射口側開口とが接触又は接近することにより、前記第1筒状部材と前記第2筒状部材とが連続した流体の流路を形成している請求項1又は2に記載のハンドスプレーガン。
前記ハンドスプレーガン本体を前記吐出口に向かって正面視した正面図において、前記吐出口の形状は円形であり、その直径が4.0〜6.0mmである請求項1〜6のいずれかに記載のハンドスプレーガン。