(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-201319(P2015-201319A)
(43)【公開日】2015年11月12日
(54)【発明の名称】LED照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20060101AFI20151016BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20151016BHJP
G02B 6/00 20060101ALI20151016BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20151016BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20151016BHJP
F21Y 101/02 20060101ALN20151016BHJP
【FI】
F21S2/00 433
F21V8/00
G02B6/00 331
G02B6/42
H01L33/00 L
F21Y101:02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-79058(P2014-79058)
(22)【出願日】2014年4月8日
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズンホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126583
【弁理士】
【氏名又は名称】宮島 明
(72)【発明者】
【氏名】萱沼 安昭
(72)【発明者】
【氏名】山田 達郎
(72)【発明者】
【氏名】秋山 貴
【テーマコード(参考)】
2H038
2H137
3K244
5F142
【Fターム(参考)】
2H038AA54
2H038BA01
2H038BA44
2H137AB06
2H137AB15
2H137AC01
2H137BA08
2H137BA12
2H137BA14
2H137BA21
2H137BB02
2H137BB23
2H137BC61
2H137CA12F
2H137CA28A
2H137CA33
2H137CC05
2H137EA06
2H137FA06
2H137HA00
3K244AA05
3K244BA08
3K244BA14
3K244BA48
3K244CA03
3K244CA08
3K244DA01
3K244EA01
3K244EA06
3K244EA08
3K244EA12
3K244EA19
3K244EC02
3K244EC08
3K244EC13
3K244EC27
3K244EC28
5F142AA13
5F142CC04
5F142DB34
5F142DB38
(57)【要約】
【課題】細長い棒状の導光体の一端にLED光源を取り付けたときに、この導光体がバランスよく発光するLED照明装置を提供する。
【解決手段】
細長い棒状の導光体11と、その後端に配置されたLED光源14とを備えたLED照明装置10において、導光体11は円環状の溝からなる複数のプリズム30を備えている。このプリズム30は導光体11の光軸41に対し傾斜するプリズム第1面31と、光軸41に対し略垂直なプリズム第2面32を備えており、中間部22ではさらにプリズム30間に導光面33を有している。この結果、導光体11の中間部22は、プリズム第1面31から出射し、プリズム第2面から導光体内に再び入射し、他のプリズム第1面で反射し導光面33から出射する光により発光する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の導光体と、前記導光体の後端に配置されたLED光源とを備えたLED照明装置において、
前記導光体は円環状の溝からなる複数のプリズムを備え、
前記プリズムは前記導光体の光軸に対し傾斜するプリズム第1面と、前記光軸に対し略垂直なプリズム第2面を備え、
一のプリズムと前記一のプリズムに隣接する他のプリズムとの間に前記光軸と略平行な導光面を有している
ことを特徴とするLED照明装置。
【請求項2】
前記導光面は前記光軸方向の長さが前記導光体の先端に向かって短くなくなることを特徴とする請求項1に記載のLED照明装置。
【請求項3】
前記先端に近づくほど前記プリズムの谷の直径が細くなることを特徴とする請求項1又は2に記載のLED照明装置。
【請求項4】
前記導光体は先端部と中間部と後端部を備え、前記導光面が前記導光体の前記中間部にのみ存在することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のLED照明装置。
【請求項5】
前記後端部には前記プリズムが存在しないことを特徴とする請求項4に記載のLED照明装置。
【請求項6】
前記導光体の前記端部に台座部を備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のLED照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は棒状の導光体の一端にLED光源を取り付け、この導光体の側面から光を放射させるLED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
棒状の導光体の一端に光源を取り付け、この導光体の側面から光を放射させる照明装置は古くから知られている。とくに最近では光源をLEDとするものが現れてきた。例えば特許文献1の
図1には棒状の導光部材(導光体)の第1端部に光源を配置した照明装置が示されている。そこで特許文献1の
図1を
図5に再掲示し、その照明装置の構造と作用を説明する。
【0003】
図5は、従来の照明装置1の全体構成図であり、
図5(a)が概略図、
図5(b)が光源モジュール2および導光部材3の断面図である。
図5に示すように、照明装置1は、発光素子2a(LED光源)を備えた光源モジュール2と、光源モジュール2の出射光を伝搬するための導光部材3と、外部電源へ接続する口金4とを備えている。発光素子2a上に存在する導光部材3は、第1端部3aが発光素子2aと対向し、第2端部3bが光機能面6を備え、さらに側面3cが光取り出し構造5を備えている。
【0004】
発光素子2aを発し第1端部3aに入射し上方へ向かう光は、導光部材3の内部を伝搬し、光機能面6で一部の光が透過し、残りの光が反射する。この反射して側面3cに達する光、及び第1端部3aから入射し直接的に側面3cに達する光は、光取り出し構造5により導光部材3の外部側方に出射する。以上のようにして照明装置1では白熱電球を模した広い配光分が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−146450号公報 (
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フィラメントを備えた電球のなかには、グローブ内にフィラメントを引き回し、フィラメントの発光を装飾的に演出したものがある。この電球を模すため
図5に示された照明装置1の導光部材3を長く伸ばすと、発光素子2aを発し導光部材3に入射した光のほとんどは発光素子2a近傍の光取り出し構造5に当たってしまう。このため導光部材3の外部に出射してしまい、導光部材3の先端部が暗くなってしまう。すなわち
図5に示された照明装置1は、一般的な白熱電球の配光を模すことができるとしても、フィラメントを装飾的に発光させる電球を模すことができない。
【0007】
そこで本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、細長い棒状の導光体の一端にLED光源を取り付けても、この導光体が所望の位置から先端部までバランスよく発光できるLED照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明のLED照明装置は、棒状の導光体と、前記導光体の後端に配置されたLED光源とを備えたLED照明装置において、
前記導光体は円環状の溝からなる複数のプリズムを備え、
前記プリズムは前記導光体の光軸に対し傾斜するプリズム第1面と、前記光軸に対し略
垂直なプリズム第2面を備え、
一のプリズムと前記一のプリズムに隣接する他のプリズムとの間に前記光軸と略平行な導光面を有している
ことを特徴とする。
【0009】
導光体のLED光源に近い部分では、導光体を導光されながらプリズム第1面から出射する光のうちの多くの成分が、プリズム第2面から導光体内に再び入射する。この光は他のプリズム第1面で反射し導光体の外部に出射しやすく、導光体の光軸に対し垂直に近い角度で広がる。導光体の先端部に達した光は内部反射を繰り返した後プリズム第2面から出射する成分が現れる。このようにして細長い棒状の導光体において、LED光源に近い部分から先端部にかけてバランスよく発光する。
【0010】
前記導光面は前記光軸方向の長さが前記導光体の先端に向かって短くなっても良い。
【0011】
導光体の先端に近づくほど導光体内を伝搬する光は減少する。そこで複数の導光面について光軸方向の長さをだんだんと短くし、単位長さあたりのプリズム密度を高めることにより導光体の側面から光が出射しやすくなるので、導光体からよりいっそうバランスよく光を出射させることができる。
【0012】
前記先端に近づくほど前記プリズムの谷の直径が細くなっても良い。
【0013】
前述のように先端に近づくほど導光体内を伝搬してくる光が減少する中で、プリズムの谷の直径を細くすると、導光体内を伝搬してきた光がプリズムに当たりやすくなり、その部分の発光量が増加する。
【0014】
前記導光体が先端部と中間部と後端部を有し、前記導光面が前記導光体の前記中間部にのみ存在しても良い。
【0015】
前述のように導光体の先端に近づくほど導光体内を伝搬する光は減少する。このなかで導光体の中間部にのみ導光面を存在させ、先端部には導光面を存在させないようにすれば、中間部では単位長さあたりのプリズム数が少なく、先端部では単位長さあたりのプリズム数が多くなる。このため、中間部における導光体の発光を抑えながら、先端部における導光体の発光を増加させることが可能となる。
【0016】
前記後端部には前記導光体に前記プリズムが存在しなくても良い。
【0017】
前記導光体の前記端部に台座部を備えていても良い。
【発明の効果】
【0018】
以上のように本発明のLED照明装置は、棒状の導光体の側面に形成された管状の溝からなるプリズムにより、導光体のLED光源に近い部分から先端部にかけてバランス良く発光させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態として示すLED照明装置の斜視図である。
【
図3】
図1に示すLED照明装置に含まれる導光体の要部断面図である。
【
図4】
図1に示すLED照明装置に含まれる導光体の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付
図1〜4を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また説明のため部材の縮尺は適宜変更している。
【0021】
まず
図1により本発明の実施形態として示すLED照明装置10の外観について説明する。
図1はLED照明装置10の斜視図である。棒状の導光体11の下端には台座部12があり、台座部12からリードフレーム13が突出している。
【0022】
次に
図2によりさらに詳しくLED照明装置10の構造について説明する。
図2はLED照明装置10の中心軸{光軸41(
図4参照)}を通るようして描いたLED照明装置10の断面図である。導光体11の先端部21は、先端に向かってだんだん細くなっており、プリズム30{
図3(c)参照}が細かいピッチで配列したプリズム群24が形成されている。導光体11の中間部22は太さが一定で、小型のプリズム30が粗いピッチで配列したプリズム群25が形成されている。なお中間部22では導光体11の先端に向うにしたがってプリズム30のサイズが大きくなる一方でプリズム30のピッチが小さくなる。
【0023】
導光体11の後端部23は先端に向かって太くなっており、プリズムは存在しない。台座部12の底部(図では右側端部)は空洞が穿たれ、そこにLED光源14が配置されている。リードフレーム13は一部が台座部12に埋め込まれ、残りが突出している。この台座部12は導光体11と一体的に成型したものであり、台座部12に配置されたリードフレーム13は成型時にインサート成型されたものである。リードフレーム13は半田付けにより導光体11を基板(図示せず)に固定するものである。
【0024】
次に
図3により導光体11内を伝搬する光について説明する。
図3は導光体11の要部断面図であり、
図3(a)は導光体11の後端部23、
図3(b)は中間部22、
図3(c)は先端部21を示している。
【0025】
図3(a)に示すように、後端部23において導光体11の側面はプリズムがなく導光面33のみになっている。このため図の下から伝搬してきた光線L1は、導光体11の側面から出射せず、全反射しながら導光体11の中を進む。なお後端部23では全反射が起きやすいように図の上方に向って径が大きくなっている。
【0026】
図3(b)に示すように、中間部22において導光体11の側面にプリズム30が形成されるようになる。プリズム30は、円環状の溝からなり、導光体11の光軸41(
図4参照)に対し傾斜するプリズム第1面31と、光軸41に対し略垂直なプリズム第2面32を備えている。また中間部22は、一のプリズム30とこれに隣接する他のプリズム30との間に、光軸41と平行な導光面33を有している。なお中間部22では前述したように導光体11の先端に近づくほどプリズム30のサイズが大きくなる一方で、プリズム30のピッチ(又は導光面33の長さ)が小さくなるが、
図3(b)ではこれらの変化を表していない。
【0027】
中間部22では光の進行が
図3(a)に示した後端部23よりも複雑になる。例えば光線L2は、導光面33で全反射した後、プリズム第1面31からいったん外部に出射し、その直後にプリズム第2面32から導光体11の内部に再び入射し、さらに他のプリズム第1面31で反射し他の導光面33から外部に出射する。光線L3も同様にプリズム第1面31からいったん外部に出射し、その直後にプリズム第2面32から導光体11の内部に再び入射し、最後に他のプリズム第1面31で反射し他の導光面33から外部に出射する。
【0028】
以上のように中間部22ではプリズム第1面31から出射した光が、屈折してプリズム第2面32から再入射し、次のプリズム第1面31で全反射してから、光軸41に対して約90°の方向に出射するようになる。またLED光源14近傍の導光面33の角度を光軸41(
図4参照)に対し−10〜0°の範囲にしても良く、この角度を負にすることによってLED光源14から出射した光を光軸41に平行な角度に近づけ、より先端まで光を到達しやすくし、発光に係る均一性を改善することが可能となる。
【0029】
図3(c)に示すように、導光体11の先端部21ではプリズム30が細かいピッチで配列するようになる。先端部21でもプリズム30は、中間部22と同様に円環状の溝からなり、導光体11の光軸41(
図4参照)に対し傾斜するプリズム第1面31と、光軸41に対し略垂直なプリズム第2面32を備えている。しかしながら先端部21では一のプリズム30とこれに隣接する他のプリズム30との間に導光面33{(b)参照}はない。なお先端部21でも導光体11の先端に近づくほどプリズム30のサイズが大きくなるが、
図3(c)ではこれらの変化を明示していない。また導光体11の先端に近づくほどプリズム30の谷の直径が細くなっている。
【0030】
先端部21でも光の進行が
図3(a)に示した後端部23よりも複雑になる。例えば光線L4は、プリズム第1面31で反射してから他のプリズム第1面31で反射し、最後にプリズム第2面32から外部に出射する。光線L5は、プリズム第1面31からいったん外部に出射し、その直後にプリズム第2面32から導光体11の内部に再び入射し、続いて他のプリズム第1面31で反射し、さらに他のプリズム第1面31で反射し、最後にプリズム第2面32から外部に出射する。
【0031】
以上のように先端部21ではプリズム第1面31で全反射した光が、逆側のプリズム第1面31でさらに全反射し、プリズム第2面32から屈折して、光軸41(
図4参照)とは逆方向に出射するようになる。また前述のように導光体11は先端部21においてLED光源14から離れるにつれてプリズム30の谷の直径が細くなっていた。つまり導光体11が細くなるにしたがってプリズム30に光が当たりやすくするなるため、先端部において発光量が増加し配光分布がよりしっそう均一化する。
【0032】
なお
図3において光線L1〜5以外に棒状の導光体11からは漏れ出す光があるが主要な成分でないため図示していない。
【0033】
最後に
図4によりプリズムの詳細な条件を説明する。
図4はLED照明装置10(
図1、2参照)に含まれる導光体11の説明図であり、
図4(a)は導光体11の先端部21、(b)は中間部22の断面を示している。なお中間部22については光軸41に対し片側のみを示している。ここで光軸41とはLED光源14(
図2参照)の発光部の中心に対し垂直な軸であり、LED照明装置10では導光体11の対称軸となっている。
【0034】
図4(a)で示すように、先端部21のプリズム第1面31{
図3(c)参照}は光軸41に対する角度θ1を53.66°としている。同様に先端部21のプリズム第2面32{
図3(c)参照}は光軸41に対する角度θ2を90°としている。これに対し
図4(b)で示すように中間部22ではプリズム第1面31{
図3(b)参照}の光軸41に対する角度θ3を45°、プリズム第2面32{
図3(b)参照}の光軸41に対する角度θ4を90°としている。
【0035】
LED照明装置10ではプリズム30のプリズム第1面31及びプリズム第2面32を先端部21と中間部22で固定した値に設定していた。また中間部22における導光面33は光軸に41に平行であった。しかしなら本発明に係るLED照明装置ではプリズム第
1面及びプリズム第2面、導光面の角度は一定の範囲で位置により任意に変えても良い。所望の特性にあわせ、プリズム第1面の角度は40〜70°、プリズム第2面の角度は90〜100、導光面の角度は−10〜10°の範囲で設定すれば良い。
【0036】
LED照明装置10では導光体11は直線的な棒であった。しかしながら本発明に係るLED照明装置に含まれる棒状の導光体は、直線的であることに限られず、先端に進むにつれ導光体の中心軸(光軸)がカーブしていても良い。このようにすることによりデザイン性の向上を図たり、所望の指向性を得たりすることができる。
【符号の説明】
【0037】
10…LED照明装置、
11…導光体、
12…台座部、
13…リードフレーム、
14…LED光源、
21…先端部、
22…中間部、
23…後端部、
24、25…プリズム群、
30…プリズム、
31…プリズム第1面
32…プリズム第2面、
33…導光面、
41…光軸、
L1〜5…光線、
θ1〜4…角度。