【解決手段】本明細書によって開示される雄雌共用端子30は、筒状をなして前後方向に延びる形態をなし、第1方向に対向する一対の第1壁部34、36、および第2方向に対向する一対の第2壁部35を備えて構成された本体部31と、一対の第1壁部34、36の前縁から第1方向に対向しつつ前側に延出して設けられ、正規接続状態で相手側の一対の第2壁部35Aに弾性的に接触して本体部31を挟持する一対の第1弾性片38、39と、一方の第2壁部35の前縁から他方の第2壁部35の前縁に向けて延出された第2弾性片40であって、正規接続状態で相手側第2弾性片40Aに弾性的に接触する第2弾性片40とを備えた構成とした。
同一形状をなす一対の雄雌共用端子が接続する方向を前後方向として互いに接続する側を前側とし、前記前後方向と直交する面内において互いに直交する方向を第1方向および第2方向としたときに、相手側の前記雄雌共用端子に正規に接続された正規接続状態で前記前側、前記第1方向両側、および前記第2方向両側のいずれにおいても移動が抑制される雄雌共用端子であって、
筒状をなして前記前後方向に延びる形態をなし、前記第1方向に対向する一対の第1壁部、および前記第2方向に対向する一対の第2壁部を備えて構成された本体部と、
一対の前記第1壁部の前縁から前記第1方向に対向しつつ前記前側に延出して設けられ、前記正規接続状態で相手側の前記一対の第2壁部に弾性的に接触して前記本体部を挟持する一対の第1弾性片と、
一方の前記第2壁部の前縁から他方の前記第2壁部の前縁に向けて延出された第2弾性片であって、前記正規接続状態で相手側の前記第2弾性片に弾性的に接触する第2弾性片とを備えた雄雌共用端子。
前記ハウジングは、前記第1弾性片の撓み空間を確保しつつその撓み空間側に設けられた係止片を有し、前記係止部は、前記係止片における前記第1弾性片とは反対側に設けられている請求項5に記載の雄雌共用コネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のオスメス共用端子では、一対のオスメス共用端子の接続方向に対して直交する方向への振動や摺動が抑制されているものの、接続方向については振動や摺動が可能とされているため、一方のタブの接触部とこの接触部に接触する他方のタブの被接触部とが摩耗し、接触抵抗の増加につながる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書によって開示される雄雌共用端子は、同一形状をなす一対の雄雌共用端子が接続する方向を前後方向として互いに接続する側を前側とし、前記前後方向と直交する面内において互いに直交する方向を第1方向および第2方向としたときに、相手側の前記雄雌共用端子に正規に接続された正規接続状態で前記前側、前記第1方向両側、および前記第2方向両側のいずれにおいても移動が抑制される雄雌共用端子であって、筒状をなして前記前後方向に延びる形態をなし、前記第1方向に対向する一対の第1壁部、および前記第2方向に対向する一対の第2壁部を備えて構成された本体部と、一対の前記第1壁部の前縁から前記第1方向に対向しつつ前記前側に延出して設けられ、前記正規接続状態で相手側の前記一対の第2壁部に弾性的に接触して前記本体部を挟持する一対の第1弾性片と、一方の前記第2壁部の前縁から他方の前記第2壁部の前縁に向けて延出された第2弾性片であって、前記正規接続状態で相手側の前記第2弾性片に弾性的に接触する第2弾性片とを備えた構成とした。
【0006】
このような構成によると、雄雌共用端子に対して相手側の雄雌共用端子を90°回転させた姿勢で接続させることにより、一対の雄雌共用端子を正規に接続させることができる。このとき、一対の第1弾性片は、相手側の一対の第2壁部に弾性的に接触し、相手側の一対の第1弾性片は、一対の第2壁部に弾性的に接触し、第2弾性片は、相手側の第2弾性片に弾性的に接触した状態となる。ここで仮に相手側の雄雌共用端子が固定されているとした場合、雄雌共用端子が第1方向両側に移動しようとすると、一対の第1弾性片が相手側の第2壁部に当接することでその移動が阻止される。また、雄雌共用端子が第2方向両側に移動しようとすると、第2壁部が相手側の第1弾性片に当接することでその移動が阻止される。さらに、雄雌共用端子が前側に移動しようとすると、第2弾性片が相手側の第2弾性片に当接することでその移動が阻止される。したがって、振動や摺動によって第1弾性片と相手側の第2壁部との接触部、第2弾性片同士の接触部が同時に摩耗することを回避でき、接触抵抗の増加を阻止できる。
【0007】
本明細書によって開示される雄雌共用端子として、以下の構成としてもよい。
前記第1弾性片は、前記正規接続状態で相手側の前記第2壁部に点接触もしくは線接触する第1接点部を有する構成としてもよい。
このような構成によると、雄雌共用端子がわずかに傾いた場合であっても、第1弾性片と相手側の第2壁部との接触面積が急激に変動することはなく、安定した接触抵抗を得ることができる。
【0008】
前記第2弾性片は、前記正規接続状態で相手側の前記第2弾性片に点接触もしくは線接触する第2接点部を有する構成としてもよい。
このような構成によると、第2弾性片と相手側の第2弾性片とが点接触もしくは線接触するため、面接触する場合よりも接圧を高めることができる。また、雄雌共用端子がわずかに傾いた場合であっても、第2弾性片と相手側の第2弾性片との接触面積が急激に変動することはなく、安定した接触抵抗を得ることができる。
【0009】
前記本体部は四角筒状をなし、前記一対の第1壁部と、前記一対の第2壁部とからなる構成としてもよい。
このような構成によると、本体部の構成を簡素化することができ、雄雌共用端子をプレス加工によって製造しやすくなる。
【0010】
また、本明細書によって開示される雄雌共用コネクタは、上記の雄雌共用端子と、同一形状をなす相手側のハウジングに嵌合可能とされ、前記雄雌共用端子を収容して保持するハウジングとを備え、前記ハウジングは、係止部と、前記相手側のハウジングに設けられた係止部と係止することで前記相手側のハウジングと正規に嵌合した正規嵌合状態に保持する被係止部とを有する構成としてもよい。
このような構成によると、係止部と相手側の被係止部とを係止させることで、ハウジングと相手側のハウジングとを正規嵌合状態に保持することができる。これに伴って、雄雌共用端子と相手側の雄雌共用端子とを正規接続状態に保持することができる。
【0011】
前記ハウジングは、前記第1弾性片の撓み空間を確保しつつその撓み空間側に設けられた係止片を有し、前記係止部は、前記係止片における前記第1弾性片とは反対側に設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、係止片によって第1弾性片を保護することができる。
【0012】
前記ハウジングは、前記正規嵌合状態で前記係止片を収容する凹部を有し、前記第2壁部は、前記凹部に臨んで配される構成としてもよい。
このような構成によると、係止片が凹部に収容されることで第2壁部が係止片によって保護される。
【発明の効果】
【0013】
本明細書によって開示される技術によれば、振動や摺動によって第1弾性片と第2壁部の接触部、第2弾性片同士の接触部が同時に摩耗することを回避でき、接触抵抗の増加を阻止できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
実施形態1を
図1から
図6の図面を参照しながら説明する。本実施形態の雄雌共用コネクタ(以下「コネクタ」という。)10は、
図1に示すように、同一形状をなす相手側の雄雌共用コネクタ(以下「相手側コネクタ」という。)10Aと嵌合可能とされている。コネクタ10と相手側コネクタ10Aは同一構成であるため、構成についてはコネクタ10を代表として説明し、相手側コネクタ10Aにおいてコネクタ10と同一部分については数字の後にAを付した符号を使用するものとする。なお、以下の説明において相手側の部材の符号として、数字の後にAを付した符号を使用する点については同様である。
【0016】
雄雌共用コネクタ10は、
図4に示すように、雄雌共用ハウジング(以下「ハウジング」という。)20と、雄雌共用端子(以下「端子」という。)30とを備えて構成されている。ハウジング20は、同一形状をなす相手側のハウジング(以下「相手側ハウジング」という。)20Aと嵌合可能とされている。また、端子30は、同一形状をなす相手側の端子(以下「相手側端子」という。)30Aと接続可能とされている。
【0017】
ハウジング20は合成樹脂製であって、端子30を収容するキャビティ21を有している。キャビティ21は、
図5に示すように、ハウジング20を前後方向に貫通する形態をなしている。なお、端子30と相手側端子30Aが接続する方向を前後方向として互いに接続する側(端子30にあっては
図5の図示右側、相手側端子30Aにあっては
図5の図示左側)を前側とする。また、前後方向と直交する面内において互いに直交する方向を上下方向(
図5の上下方向)および左右方向(
図5の紙面と直交する方向)とする。
【0018】
端子30は、
図1に示すように、四角筒状をなして前後方向に開口する本体部31と、この本体部31の後側に連設された電線接続部32と、本体部31の前側に連設された端子接続部33とを備えて構成されている。また、端子30は、
図3の展開図に示すように、導電性の良い金属板を所定の形状に打ち抜いた後、一点鎖線の位置で曲げ加工を行うとともに、鎖線で囲まれた部分41、42を叩き出す等によって形成されている。
【0019】
本体部31は、
図5に示すように、底壁部34と、この底壁部34の左右両側縁から上方に立ち上がる一対の側壁部35と、一対の側壁部35の上縁間に配された天井壁部36とを備えて構成されている。一対の側壁部35は左右方向に対向して平行に配され、底壁部34と天井壁部36は上下方向に対向して平行に配されている。底壁部34と側壁部35と天井壁部36とは、いずれも同じ長さとされている。このため、本体部31は、前方から見て正方形状をなしており、上下方向および左右方向に等しい寸法とされている。
【0020】
電線接続部32は、
図1に示すように、本体部31と共通の底壁部34を有し、この底壁部34の左右両側縁から上方に立ち上がる一対のバレル片37を有している。このバレル片37は、図示しない電線の芯線にかしめられて圧着されるようになっている。これにより、端子30と電線が導通可能に接続されるようになっている。
【0021】
端子接続部33は、底壁部34の前縁から前方に突出して形成された底壁側第1弾性片38と、天井壁部36の前縁から前方に突出して形成された天井壁側第1弾性片39と、一方の側壁部35の前縁から他方の側壁部35の前縁に延出された第2弾性片40とを備えて構成されている。なお、以下においては、底壁側第1弾性片38と天井壁側第1弾性片39を略して一対の第1弾性片38、39のようにいう場合がある。
【0022】
底壁側第1弾性片38は、底壁部34の前縁から斜め下方に延出した後、その延出端から前方に延出する形態をなしている。底壁側第1弾性片38の前端側には、左右方向に長いリブ状をなす底壁側接点部41が形成されている。同様に、天井壁側第1弾性片39は、天井壁部36の前縁から斜め上方に延出した後、その延出端から前方に延出する形態をなしている。天井壁側第1弾性片39の前端側には、左右方向に長いリブ状をなして内向きに突出する天井壁側接点部42が形成されている。
【0023】
第2弾性片40は、本体部31の前端開口とほぼ同じ大きさでかつ同じ形状とされている。このため、本体部31の前端開口は、常には第2弾性片40によって閉止された状態となっており、第2弾性片40が後方に向けて押し込まれると、この第2弾性片40が本体部31内に進入可能となっている。第2弾性片40の中央部には、点状をなして前方に突出する第2接点部43が形成されている。
【0024】
底壁側接点部41と天井壁側接点部42は、上下方向に対向する配置とされており、底壁側接点部41と天井壁側接点部42の間の寸法は、一方の側壁部35の外面から他方の側壁部35の外面までの寸法よりも短めとされている。したがって、
図2に示すように、底壁側接点部41と天井壁側接点部42の間に相手側本体部31Aを組み付けると、一対の第1弾性片38、39が弾性的に拡開変形し、底壁側接点部41と天井壁側接点部42が相手側の一対の側壁部35Aに弾性的に線接触して相手側本体部31Aを挟持する。
【0025】
また、
図1に示すように、第2弾性片40の第2接点部43は、本体部31の軸心を前後方向に通る軸線上に配されている。このため、軸線を中心として本体部31を回転させても第2接点部43の位置は不動である。また、底壁側第1弾性片38の底壁側接点部41と天井壁側第1弾性片39の天井壁側接点部42とは、本体部31の軸線に関して等距離で上下対称に配されている。したがって、
図2に示すように、底壁側接点部41と天井壁側接点部42の間に相手側本体部31Aを組み付けると、
図6に示すように、第2接点部43と相手側の第2接点部43Aとが弾性的に点接触し、第2弾性片40と相手側第2弾性片40Aとの双方が弾性的に変形する。
【0026】
本体部31の底壁部34には、底壁側保持孔44が形成され、本体部31の天井壁部36には、天井壁側保持孔45が形成されている。一方、ハウジング20のキャビティ21の底面には、底壁側保持孔44に嵌まり込んで係止することにより本体部31を前方に抜け止めされた状態に保持する底面側突起22が形成され、ハウジング20のキャビティ21の天井面には、天井壁側係止孔45に嵌まり込んで係止することにより本体部31を前方に抜け止めされた状態に保持する天井面側突起23が形成されている。
【0027】
また、ハウジング20のキャビティ21の天井面には、本体部31の天井壁部36の後端に後方から係止する係止壁部24が形成されている。この係止壁部24は、本体部31を後方に抜け止めされた状態に保持する。したがって、本体部31は、ハウジング20のキャビティ21に収容された状態において前後方向に移動することが抑制され、正規挿入状態に保持される。
【0028】
ハウジング20は、
図4に示すように、底壁側第1弾性片38の下面に沿って配された底面側係止片25と、天井壁側第1弾性片39の上面に沿って配された天井面側係止片26とを有している。底面側係止片25は、ハウジング20の前面下部から前方に張り出す形態をなし、その下面には、底面側係止部27が形成されている。天井面側係止片26は、ハウジング20の前面上部から前方に張り出す形態をなし、その上面には、天井面側係止部28が形成されている。
【0029】
底面側係止片25は、底壁側第1弾性片38の撓み空間を確保しつつその撓み空間側に設けられている。底面側係止部27は、底面側係止片25における底壁側第1弾性片38とは反対側の面に設けられている。また、天井面側係止片26は、天井壁側第1弾性片39の撓み空間を確保しつつその撓み空間側に設けられている。天井面側係止部28は、天井面側係止片26における天井壁側第1弾性片39とは反対側の面に設けられている。各係止片25、26は、
図4に示すように、各第1弾性片38、39よりも一回り大きく、これらの第1弾性片38、39を保護する役割を果たしている。
【0030】
ハウジング20におけるキャビティ21の左右両側には、一対の凹部29が形成されている。これらの凹部29には、底面側係止片25と天井面側係止片26がそれぞれ収容可能とされている。凹部29はキャビティ21と連通しており、キャビティ21に収容された端子30の本体部31の側壁部35が凹部29に臨むようになっている。そして、凹部29においてキャビティ21と反対側の壁部には、係止孔46が貫通して形成されている。したがって、ハウジング20と相手側ハウジング20Aとを嵌合させると、
図6に示すように、底面側係止片25と天井面側係止片26が一対の相手側凹部29Aに嵌合し、底面側係止部27と天井面側係止部28が相手側の各係止孔46Aに嵌まり込んで係止することにより、コネクタ10と相手側コネクタ10Aとが正規嵌合状態に保持される。これに伴って、端子30と相手側端子30Aとが正規接続状態に保持される。
【0031】
本実施形態は以上のような構成であって、続いてその作用を説明する。まず、端子30をハウジング20に組み付ける。端子30は、ハウジング20の前方からキャビティ21に挿入され、本体部31の後端が係止壁部24に当接することでキャビティ21への挿入動作が停止される。また、底面側突起22が底壁側保持孔44に嵌まり込み、天井面側突起23が天井壁側保持孔45に嵌まり込むことで端子30がキャビティ21に保持される。これにより、端子30が正規挿入状態に保持されてコネクタ10が構成される。以上の手順は相手側端子30Aについても同様に行い、相手側コネクタ10Aが構成される。
【0032】
次に、コネクタ10と相手側コネクタ10Aの嵌合を行う。相手側コネクタ10Aは、コネクタ10と前後方向に同軸に配置してから90°回転させた姿勢でコネクタ10との嵌合を行う。
【0033】
端子30と相手側端子30Aの嵌合について説明すると、
図2に示すように、端子30の一対の第1弾性片38、39の間に相手側本体部31Aが挟持され、一対の接点部41、42が相手側の側壁部35Aの外面に弾性的に線接触する。さらに、第2弾性片40の第2接点部43が相手側第2接点部43Aに弾性的に点接触する。この状態では、端子30は3箇所の接点部41、42、43で相手側端子30Aと導通がとられており、端子30と相手側端子30A間の接触抵抗を下げることができる。また、一対の第1弾性片38、39と相手側本体部31Aの間に発生する摩擦抵抗により、端子30と相手側端子30Aが正規接続状態に保持される。
【0034】
次に、ハウジング20と相手側ハウジング20Aの嵌合について説明すると、一対の係止片25、26が一対の相手側凹部29Aに嵌合し、一対の係止部27、28が一対の相手側係止孔46Aに嵌まり込んで係止する。これにより、コネクタ10と相手側コネクタ10Aが正規嵌合状態に保持される。
【0035】
ところで、正規嵌合状態で振動が発生した場合に、前後方向の振動に対しては一対の第2弾性片40、40Aが弾性的に接触することで第2接点部同士43、43Aの摺動摩耗が抑制され、上下方向の振動に対しては一対の第1弾性片38、39が相手側本体部31Aに弾性的に接触することで各接点部41、42と相手側本体部31Aとの摺動摩耗が抑制され、左右方向の振動に対しては一対の相手側第1弾性片38A、39Aが本体部31に弾性的に接触することで相手側の各接点部41A、42Aと本体部31との摺動摩耗が抑制される。このように、前後方向、上下方向、および左右方向のいずれの振動に対しても各接点部41、42、43、41A、42A、43Aが同時に摩耗することを回避できる。
【0036】
以上のように本実施形態によると、端子30に対して相手側端子30Aを90°回転させた姿勢で接続させることにより、一対の端子30、30Aを正規に接続させることができる。このとき、一対の第1弾性片38、39は、相手側の側壁部35Aに弾性的に接触し、相手側の一対の第1弾性片38A、39Aは、一対の側壁部35に弾性的に接触し、第2弾性片40は、相手側第2弾性片40Aに弾性的に接触した状態となる。ここで仮に相手側端子30Aが固定されているとした場合、端子30が上下方向両側に移動しようとすると、一対の第1弾性片38、39が相手側の側壁部35Aに当接することでその移動が阻止される。また、雄雌共用端子が第2方向両側に移動しようとすると、第2壁部が相手側の第1弾性片に当接することでその移動が阻止される。さらに、端子30が前側に移動しようとすると、第2弾性片40が相手側第2弾性片40Aに当接することでその移動が阻止される。したがって、振動や摺動によって第1弾性片38、39と相手側の側壁部35Aとの接触部、第2弾性片40、40A同士の接触部が同時に摩耗することを回避でき、接触抵抗の増加を阻止できる。
【0037】
底壁側第1弾性片38、および天井壁側第1弾性片39は、正規接続状態で相手側の側壁部35Aに線接触する底壁側接点部41、および天井壁側接点部42を有する構成としてもよい。
このような構成によると、端子30がわずかに傾いた場合であっても、第1弾性片38、39と相手側の側壁部35Aとの接触面積が急激に変動することはなく、安定した接触抵抗を得ることができる。また、第一弾性片38、39は本体部31と繋がるため、嵌合時に高温による接点接圧の低下が発生しにくい。
【0038】
第2弾性片40は、正規接続状態で相手側第2弾性片40Aに点接触する第2接点部43を有する構成としてもよい。
このような構成によると、第2弾性片40と相手側第2弾性片40Aとが点接触するため、面接触する場合よりも接圧を高めることができる。また、端子30がわずかに傾いた場合であっても、第2弾性片40と相手側第2弾性片40Aとの接触面積が急激に変動することはなく、安定した接触抵抗を得ることができる。
【0039】
本体部31は四角筒状をなし、底壁部34と、天井壁部36と、一対の側壁部35とからなる構成としてもよい。
このような構成によると、本体部31の構成を簡素化することができ、端子30をプレス加工によって製造しやすくなる。
【0040】
また、本明細書によって開示されるコネクタ10は、上記の端子30と、同一形状をなす相手側ハウジング20Aに嵌合可能とされ、端子30を収容して保持するハウジング20とを備え、ハウジング20は、係止部27、28と、相手側ハウジング20Aに設けられた係止部27A、28Aと係止することで相手側ハウジング20Aと正規に嵌合した正規嵌合状態に保持する係止孔46とを有する構成としてもよい。
このような構成によると、係止部27、28と相手側の係止孔46Aとを係止させることで、ハウジング20と相手側ハウジング20Aとを正規嵌合状態に保持することができる。これに伴って、端子30と相手側端子30Aとを正規接続状態に保持することができる。
【0041】
ハウジング20は、第1弾性片38の撓み空間を確保しつつその撓み空間側に設けられた係止片25、26を有し、係止部27、28は、係止片25、26における第1弾性片38とは反対側に設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、係止片25、26によって第1弾性片38を保護することができる。
【0042】
ハウジング20は、正規嵌合状態で相手側係止片25A、26Aを収容する凹部29を有し、側壁部35は、凹部29に臨んで配される構成としてもよい。
このような構成によると、相手側係止片25A、26Aが凹部29に収容されることで側壁部35が相手側係止片25A、26Aによって保護される。
【0043】
<実施形態2>
次に、実施形態2を
図7の図面を参照しながら説明する。実施形態2の雄雌共用端子(以下「端子」という。)50は、実施形態1の端子30の底壁側接点部41および天井壁側接点部42の構成を変更したものであって、その他の構成については同じものとされている。実施形態1と同じ構成については同一の符号を付すものとする。
【0044】
実施形態1の底壁側接点部41および天井壁側接点部42は、略半円形の断面形状を有していたが、本実施形態の底壁側接点部51および天井壁側接点部52は、略半円形の手前側に傾斜面を設ける断面形状を有している。このような構成によると、端子50を相手側端子50Aに正規に嵌合する際に、各接点部51、52が相手側本体部31Aの外縁を乗り上げやすくなるため、嵌合力が低減する。
【0045】
<実施形態3>
次に、実施形態3を
図8の図面を参照しながら説明する。実施形態3の雄雌共用端子(以下「端子」という。)60は、実施形態1の端子30の底壁側第1弾性片38および天井壁側第1弾性片39の構成を変更したものであって、その他の構成については同じものとされている。実施形態1と同じ構成については同一の符号を付すものとする。
【0046】
実施形態1の底壁側第1弾性片38および天井壁側第1弾性片39は、それぞれ単一の金属板で構成されていたが、実施形態3の底壁側第1弾性片61および天井壁側第1弾性片62は、それぞれ複数の金属板で構成されている。具体的には、底壁部34の前縁から左右一対の底壁側第1弾性片61が前方に延出され、天井壁部36の前縁から左右一対の天井壁側第1弾性片62が前方に延出されている。各弾性片61、62は独立して弾性変形可能とされ、各弾性片61、62にそれぞれ接点部63、64が形成されている。底壁側第1弾性片61の前端側に底壁側接点部63が形成され、天井壁側第1弾性片62の前端側に天井壁側接点部64が形成されている。このような構成によると、相手側端子60Aがわずかに回転した場合であっても、各弾性片61、62が相手側端子60Aに追従して独立して弾性変形するため、相手側端子60Aに対する接触状態が急激に変化することを回避できる。
【0047】
<実施形態4>
次に、実施形態4を
図9の図面を参照しながら説明する。実施形態4の雄雌共用端子(以下「端子」という。)70は、実施形態1の端子30の第2弾性片40の構成を変更したものであって、その他の構成については同じものとされている。実施形態1と同じ構成については同一の符号を付すものとする。
【0048】
実施形態1の第2弾性片40は、その中央部に一つの第2接点部43を備えて構成されていたが、実施形態4の第2弾性片71は、複数の第2接点部72を備えて構成されている。具体的には、第2弾性片71の中央部を中心として等しい間隔を空けて等角度間隔で4つの第2接点部72が形成されている。このような構成によると、4つの第2接点部72が相手側の第2接点部(図示せず)にそれぞれ接触するため、接点数を増やして接触抵抗を下げることができる。
【0049】
<実施形態5>
次に、実施形態5を
図10の図面を参照しながら説明する。実施形態5の雄雌共用端子(以下「端子」という。)80は、実施形態1の端子30の一対の第1弾性片38、39の構成を変更したものであって、その他の構成については同じものとされている。実施形態1と同じ構成については同一の符号を付すものとする。
【0050】
実施形態1の一対の第1弾性片38、39は、それぞれの中央部に一つの接点部41、42を備えて構成されていたが、実施形態5の一対の第1弾性片81、83は、それぞれ複数の接点部82、84を備えて構成されている。具体的には、底壁側接点部82は、底壁側第1弾性片81において対角方向に3つ並んで配されている。また、天井壁側接点部84も、天井壁側第1弾性片83において対角方向に3つ並んで配されている。このような構成によると、3つの底壁側接点部82および天井壁側接点部84が相手側の側壁部35Aの外縁を乗り上げるタイミングがずれるため、嵌合力を低減することができる。
【0051】
<実施形態6>
次に、実施形態6を
図11の図面を参照しながら説明する。実施形態6の雄雌共用端子(以下「端子」という。)90は、実施形態1の端子30の一対の第1弾性片38、39および第2弾性片40の構成を変更したものであって、その他の構成については同じものとされている。実施形態1と同じ構成については同一の符号を付すものとする。
【0052】
実施形態1の一対の第1弾性片38、39はそれぞれ接点部41、42を備えて構成され、第2弾性片40は第2接点部43を備えて構成されていたが、実施形態6の一対の第1弾性片91、93および第2弾性片92はいずれも接点部を備えていない。このような構成によると、接点部がない分だけ端子90の構成を簡素化することができる。また、正規接続状態で、一対の第1弾性片91、93および第2弾性片92は相手側との接触面積が増加するため、接触抵抗を低減できる。
【0053】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
(1)上記実施形態では四角筒状の本体部を例示しているものの、一対の第1壁部と一対の第2壁部とを備えた本体部であればよく、例えば八角筒状の本体部としてもよい。
(2)上記実施形態では点接触する第2接点部を例示しているものの、線接触する第2接点部としてもよい。