【解決手段】電磁シールド部材1は、筒状の金属部材である。電磁シールド部材1は、蛇腹部2と非蛇腹部3とを備える。蛇腹部2は、周方向に沿った凸状の山部21及び周方向に沿った凹状の谷部22が長手方向において交互に連なった蛇腹構造を有する。蛇腹部2は、山部21及び谷部22が周方向に沿って曲がりつつ連続する部分を含む。非蛇腹部3は、蛇腹部2に長手方向において隣接する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
以下、添付の図面を参照しながら、実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具現化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。はじめに、
図1〜8を参照しつつ、第1実施形態に係る電磁シールド部材1及びその製造方法について説明する。電磁シールド部材1は、シールド対象の電線9を囲む状態で使用される。なお、
図1,2において、電線9は、仮想線(二点鎖線)で描かれている。
【0025】
電線9は、例えば、銅又はアルミニウムなどを主成分とする導体と、その導体の周囲を覆う絶縁被覆と、を有する絶縁電線である。
【0026】
図1,2に示される例において、3本の電線9の周囲を電磁シールド部材1が囲んでいる。なお、電磁シールド部材1が1本の電線9を囲む場合、2本の電線9を囲む場合又は4本以上の電線9を囲む場合も考えられる。電線9及びその周囲を囲む電磁シールド部材1を含むシールド電線は、例えば、自動車等の車両に搭載される。
【0027】
<電磁シールド部材>
電磁シールド部材1は、筒状の金属部材である。電磁シールド部材1を構成する金属部材としては、例えば、アルミニウムなどの軽量で柔らかい金属が採用される。
【0028】
本実施形態は、電磁シールド部材1が、板状の金属部材が曲げられることによって筒状に形成された部材である場合の事例である。
図1,2に示される例では、電磁シールド部材1は、円筒状に曲げられている。なお、電磁シールド部材1が、筒体を成す金属部材であることも考えられる。
【0029】
電磁シールド部材1は、断面が円形状の中空部18を有する。この中空部18には、シールド対象の電線9が配線される。なお、電磁シールド部材1の内周面の輪郭が楕円状又は真円状である場合の他、電磁シールド部材1の内周面の輪郭が長円形状(角丸長方形状)である場合なども考えられる。
【0030】
電磁シールド部材1は、蛇腹部2と非蛇腹部3とを備える。本実施形態においては、さらに、電磁シールド部材1の長手方向の一端側から他端側へ向かう方向に沿うスリット4も電磁シールド部材1に形成されている。なお、筒状の電磁シールド部材1(筒体)の長手方向は、筒状の電磁シールド部材1の軸心方向でもあり、また、筒状の電磁シールド部材1の周方向に直交する方向でもある。
【0031】
本実施形態は、電磁シールド部材1が、1箇所の蛇腹部2とこの蛇腹部2に隣接する2箇所の非蛇腹部3とを備える場合の事例である。しかしながら、電磁シールド部材1が、2箇所以上の蛇腹部2を有する場合も考えられる。例えば、電磁シールド部材1が、長手方向において交互に並んで形成された複数の蛇腹部2及び非蛇腹部3を備える場合も考えられる。また、
図1では、蛇腹部2の両側に非蛇腹部3が形成されているが、この配置が逆の場合、即ち、非蛇腹部3の両側に蛇腹部2が形成されている場合も考えられる。
【0032】
<電磁シールド部材:蛇腹部>
電磁シールド部材1において、蛇腹部2は、電磁シールド部材1の周方向に沿った凸状の山部21及び電磁シールド部材1の周方向に沿った凹状の谷部22が長手方向において交互に連なった蛇腹構造を有する。
【0033】
本実施形態において、山部21及び谷部22は、電磁シールド部材1の周方向に沿ってスリットが形成されている部分を除き、一連に形成されている。
【0034】
本実施形態では、山部21は、電磁シールド部材1の外周面側において、湾曲しつつ凸状を成す部分である。例えば、山部21が、電磁シールド部材1の外周面側において、少なくとも半周程度の隙間のない部分(連続している部分)を含み湾曲しつつ凸状を成す部分であることが考えられる。
【0035】
図1,2に示される例において、電磁シールド部材1の長手方向における山部21の寸法は、電磁シールド部材1の外周面側ほど小さくなっている。また、山部21を電磁シールド部材1の内周面側から見たとき、山部21は、開口が電磁シールド部材1の中空部18側を向いた溝を形成している。
【0036】
また、本実施形態では、谷部22は、電磁シールド部材1の外周面側において、湾曲しつつ凹状を成す部分である。例えば、谷部22が、電磁シールド部材1の外周面側において、少なくとも半周程度の隙間のない部分(連続している部分)を含み湾曲しつつ凹状を成す部分であることが考えられる。
【0037】
図1,2に示される例において、電磁シールド部材1の長手方向における谷部22の寸法は、電磁シールド部材1の内周面側ほど小さくなっている。また、谷部22を電磁シールド部材1の外周面側から見たとき、谷部22は、開口が電磁シールド部材1の外周面側を向いた溝を形成している。
【0038】
本実施形態では、便宜上、電磁シールド部材1の径方向において、山部21における最も外周面側に突き出した部分を頂点部211と称し、谷部22における最も内周面側に突き出した部分を谷底部221と称する。本明細書では、頂点部211と谷底部221とをつなぐ部分の中央位置よりも頂点部211側の部分を山部21と称する。また、頂点部211と谷底部221とをつなぐ部分の中央位置よりも谷底部221側の部分を谷部22と称する。
【0039】
本実施形態において、蛇腹部2は、曲げ方向の内側で、谷部22をはさんで隣り合う山部21間の距離が小さくなるように変形する。また、蛇腹部2は、曲げ方向の外側で、谷部22をはさんで隣り合う山部21間の距離が大きくなるように変形する。これにより、電磁シールド部材1は、曲がった形状を有することが可能となる。
【0040】
<電磁シールド部材:非蛇腹部>
非蛇腹部3は、蛇腹部2に電磁シールド部材1の長手方向において隣接して形成された筒状の部分である。本実施形態において、非蛇腹部3は、電磁シールド部材1の長手方向において同径の部分が連なっている部分である。
【0041】
また、非蛇腹部3は、蛇腹部2と異なり、電磁シールド部材1が曲がった形状である場合でも、変形しない部分である。本実施形態では、非蛇腹部3は、径の大きい部分と径の小さい部分とが交互に連続した一般的に蛇腹構造と称される構造を有していない部分である。
【0042】
図2に示されるように、非蛇腹部3には、例えば、シールドシェル部材6における筒状のシールド接続部61が接続される。シールドシェル部材6は、シールド対象となる電線9の接続相手である電装機器を収容する筐体に接続される金属部材である。
図2において、シールドシェル部材6は、仮想線(二点鎖線)で描かれている。
【0043】
例えば、電磁シールド部材1の非蛇腹部3の内周面にシールド接続部61が接した状態で、かしめリング又はかしめバンド等のかしめ部材8が、電磁シールド部材1の非蛇腹部3の外周面側からかしめられる。これにより、電磁シールド部材1とシールドシェル部材6との導通を図ることができる。なお、
図2において、かしめ部材8は、仮想線(二点鎖線)で描かれている。
【0044】
<電磁シールド部材:スリット>
一筋のスリット4は、電磁シールド部材1の全長に亘って形成されている。
図1,2が示す例において、スリット4は、蛇腹部2と非蛇腹部3とに形成されている。
【0045】
スリット4は、電磁シールド部材1における一筋のスリット4をはさんで対向する一対の縁部を、縁部同士が対向した状態で、離隔させることを可能にする分離線である。
【0046】
<電磁シールド部材製造方法>
次に、
図3〜8を参照しつつ、本実施形態に係る電磁シールド部材製造方法について説明する。本実施形態に係る電磁シールド部材製造方法は、電磁シールド部材1の製造方法の一例である。本実施形態に係る電磁シールド部材製造方法では、金属板部材11を曲げることによって筒状に形成され、曲げ変形を可能にする蛇腹部2を有する電磁シールド部材1を得ることができる。
【0047】
本実施形態に係る電磁シールド部材製造方法は、回転可能な第一回転体51及び第二回転体52を含む回転成形部材5を用いて行われる第一工程と金属板部材11を筒状に曲げる第二工程とを含む。
【0048】
図3は、本実施形態に係る電磁シールド部材製造方法の一部の工程を示す図であり、金属板部材11及び回転成形部材5の側面図である。
図3には、金属板部材11が回転成形部材5の第一回転体51と第二回転体52との間に通される方向が矢印Uで示されている。
【0049】
図4は、本実施形態に係る電磁シールド部材製造方法の一部の工程を示す図であり、金属板部材11及び回転成形部材5の平面図である。
【0050】
図5は、金属板部材11が通される方向(矢印Uの方向)から見た第一回転体51及び第二回転体52の図である。
【0051】
図6は、本実施形態に係る電磁シールド部材製造方法の一部の工程を示す図であり、回転成形部材5及びこれを通過中の金属板部材11を示した側面図である。
【0052】
図7は、本実施形態に係る電磁シールド部材製造方法の一部の工程を示す図であり、金属板部材11及び回転成形部材5の平面図である。
【0053】
図8は、本実施形態に係る電磁シールド部材製造方法の一部の工程を示す図であり、金属板部材11の斜視図である。
【0054】
<電磁シールド部材:金属板部材>
はじめに、金属板部材11について説明する。本実施形態において、金属板部材11は、シート状の金属の部材である。金属板部材11としては、例えば、アルミニウムなどの軽量で柔らかい金属が採用される。
【0055】
図3に示されるように、本実施形態においては、扁平状の金属板部材11が採用されている。しかしながら、金属板部材11が、予め、湾曲した形状を有している場合も考えられる。詳しくは、後述する。
【0056】
<電磁シールド部材製造方法:回転成形部材>
次に、第一回転体51及び第二回転体52を含む回転成形部材5について説明する。本実施形態において、第一回転体51及び第二回転体52は、回転可能に支持されており、金属板部材11に波形状を付すための金型の一例である。例えば、
図3〜7に示されるように、第一回転体51及び第二回転体52は、ローラー状の金型である。
【0057】
図3,5に示されるように、第一回転体51の回転方向における外周面は、第一回転体51の軸心方向において、第一凸面511と第一凹面512とが交互に並ぶ第一凹凸面510を含んでいる。本実施形態は、
図5に示されるように、第一回転体51に、3つの第一凸面511及び2つの第一凹面512が形成されている場合の事例である。なお、本実施形態において、第一回転体51の回転方向とは、第一回転体51の周方向を意味する。また、第一回転体51の軸心方向とは、第一回転体51の回転の中心を通り、第一回転体51の回転方向に直交する方向である。
【0058】
第一回転体51における第一凸面511は、第一回転体51の外周面側において、湾曲しつつ凸状を成している。本実施形態において、第一回転体51における第一凸面511は、第一回転体51の軸心方向における第一凸面511の寸法が外周面側に向かうほど小さくなるように形成された凸状の面である。
【0059】
また、第一回転体51における第一凹面512は、第一回転体51の外周面側において、湾曲しつつ凹状を成している。本実施形態において、第一回転体51における第一凹面512は、第一回転体51の軸心方向における第一凹面512の寸法が外周面側に向かうほど大きくなるように形成された凹状の面である。従って、本実施形態では、第一回転体51の軸心方向に沿う断面において、第一凹凸面510が波形状を有している。
【0060】
また、第二回転体52の回転方向における外周面は、第二回転体52の軸心方向において、第二凸面521と第二凹面522とが交互に並ぶ第二凹凸面520を含んでいる。本実施形態は、
図5に示されるように、第二回転体52に、2つの第二凸面521及び3つの第二凹面522が形成されている場合の事例である。なお、本実施形態において、第二回転体52の回転方向とは、第二回転体52の周方向を意味する。また、第二回転体52の軸心方向とは、第二回転体52の回転の中心を通り、第二回転体52の回転方向に直交する方向である。
【0061】
第二回転体52における第二凸面521は、第二回転体52の外周面側において、湾曲しつつ凸状を成している。本実施形態において、第二回転体52における第二凸面521は、第二回転体52の軸心方向における第二凸面521の寸法が外周面側に向かうほど小さくなるように形成された凸状の面である。
【0062】
また、第二回転体52における第二凹面522は、第二回転体52の外周面側において、湾曲しつつ凹状を成している。本実施形態において、第二回転体52における第二凹面522は、第二回転体52の軸心方向における第二凹面522の寸法が外周面側に向かうほど大きくなるように形成された凹状の面である。従って、本実施形態では、第二回転体52の軸心方向に沿う断面において、第二凹凸面520は波形状有する。
【0063】
第一回転体51及び第二回転体52は、第二回転体52における第二凸面521が第一回転体51における第一凹面512に対向する状態で、かつ、第二回転体52における第二凹面522が第一回転体51における第一凸面511に対向する状態で配置されている。これにより、第一回転体51の第一凹凸面510及び第二回転体52の第二凹凸面520が成す成形空間50が形成される。
【0064】
本実施形態において、第一回転体51の外周面と第二回転体52の外周面とが対向するように配置されたときに、第一回転体51の第一凹凸面510と第二回転体52の第二凹凸面520とが成す成形空間50は、金属板部材11が通される方向(矢印Uの方向)から見て、波形状の空間である。
【0065】
<電磁シールド部材製造方法:第一工程及び第二工程>
電磁シールド部材製造方法における第一工程は、第一回転体51及び第二回転体52を回転させつつ成形空間50に、金属板部材11を通すことにより、金属板部材11の加工対象部分110を成形空間50に応じた形状にする工程である。また、電磁シールド部材製造方法における第二工程は、金属板部材11を筒状に曲げる工程である。本実施形態は、第二工程の少なくとも一部が第一工程の途中で行われている場合の事例である。以下、各工程について説明する。
【0066】
金属板部材11の加工対象部分110は、回転成形部材5により、成形空間50に応じた形状に加工される部分である。本実施形態において、加工対象部分110は、金属板部材11を横断して形成された帯状の部分であり、金属板部材11に1箇所形成されている。しかしながら、加工対象部分110が、金属板部材11の複数箇所に形成されている場合も考えられる。なお、
図3,4,7において、加工対象部分110には、網点が付されている。
【0067】
本実施形態では、第一工程において、金属板部材11が、矢印Uに沿って、回転成形部材5の成形空間50に通される。このとき、回転成形部材5における第一回転体51及び第二回転体52は、それぞれ回転している。そして、金属板部材11が成形空間50を通過する際、金属板部材11は塑性変形し、成形空間50の形状に応じた形状、本実施形態においては波形状、に成形される。
【0068】
なお、第一工程において、金属板部材11の加工対象部分110における同じ箇所が、矢印Uに沿って、回転成形部材5の成形空間50に複数回通されることも考えられる。また、例えば、金属板部材11が回転成形部材5に通される回数を重ねるごとに第一回転体51の第一凹凸面510と第二回転体52の第二凹凸面520との間隔を狭くすることも考えられる。この場合、金属板部材11における加工対象部分110は、成形空間50に通される回数を重ねるごとに徐々に電磁シールド部材1の蛇腹部2の形状、本実施形態においては波形状、に成形される。
【0069】
なお、本実施形態に係る電磁シールド部材製造方法では、上記の第一工程が、金属板部材11の加工対象部分110に対して複数回行われる。本実施形態では、第一工程は、金属板部材11の加工対象部分110の縦方向における一部に対して行われる。なお、縦方向は、金属板部材11の面方向であり、且つ、矢印Uの方向に直交する方向を意味する。
【0070】
例えば、
図3,4に示されるように、金属板部材11の加工対象部分110の一部が、回転成形部材5の成形空間50に通される。そして、回転成形部材5の成形空間50を金属板部材11が通過することにより、金属板部材11の加工対象部分110の一部が波形状に成形される。
図5〜7に示される例において、金属板部材11の加工対象部分110の一部は、少なくとも3つの山(谷)を有する波形状に成形される。
【0071】
その後、金属板部材11又は回転成形部材5を縦方向に移動させて、金属板部材11の加工対象部分110における既に成形空間50に応じた形状に成形された部分に縦方向において隣接する部分に対して、上記の第一工程をさらに一回若しくは複数回行う。本実施形態においては、この作業を繰り返し行うことにより、金属板部材11の加工対象部分110全体が、波形状に成形される。
【0072】
また、本実施形態では、回転する第一回転体51及び第二回転体52を含む回転成形部材5の成形空間50を金属板部材11が通過することにより、金属板部材11が扁平状から湾曲した形状に変形する。即ち、第一工程の途中で第二工程の一部が行われている。
【0073】
例えば、第一回転体51の回転速度と第二回転体52の回転速度との差を利用して、金属板部材11を扁平状から湾曲した形状に変形させることが考えられる。この場合、成形空間50を通過した金属板部材11は、第一回転体51及び第二回転体52における回転速度の速い方の外周面沿って湾曲する。他にも、それぞれ径の異なる第一回転体51と第二回転体52とを含む回転成形部材5を用いることが考えられる。この場合、成形空間50を通過した金属板部材11は、第一回転体51及び第二回転体52における径の小さい方の外周面に沿って湾曲する。
【0074】
本実施形態において、第一工程を複数回経た金属板部材11における加工対象部分110は波形状に成形される。また、
図8に示されるように、本実施形態では、第一工程の途中で第二工程の一部が行われることにより、扁平状の金属板部材11が少し湾曲した形状に変形している。本実施形態においては、この少し湾曲した形状の金属板部材11に対して残りの第二工程が行われる。
【0075】
例えば、金属板部材11に対して、加工対象部分110が横断する方向の一対の縁部111同士が近づく方向に力が加えられる。これにより、金属板部材11が筒状に曲げられ、電磁シールド部材1が得られる。なお、本実施形態は、筒状の電磁シールド部材1において、金属板部材11における一対の縁部111の間の隙間が、スリット4を成す場合の事例である。
【0076】
本実施形態においては、第二工程の一部が第一工程の途中で行われ、残りの第二工程が、第一工程の後に行われている。しかしながら、第二工程の一部が第一工程の途中で行われ、それ以外の第二工程が、第一工程の前及び後に行われている場合も考えられる。このことについては、後述する。
【0077】
<効果>
本実施形態において、電磁シールド部材1は、蛇腹部2が変形することによって曲げ可能である。従って、水等の液体及び飛び石等の外部からの異物が電磁シールド部材1の中空部18に浸入する可能性を低減することが可能となる。
【0078】
また、本実施形態では、蛇腹部2が変形する場合であっても、非蛇腹部3はその円筒状の形状を維持する。この電磁シールド部材1は、シールド対象の電線9が自動車の床下に配線される場合等、直線部分と曲線部分とが混在している経路に電線9が配線される場合に有効である。
【0079】
また、本実施形態においては、スリット4を利用してシールド対象の電線9に対して後付けすることができる。この場合、電線9及び電磁シールド部材1を含むシールド電線の製造時の作業性が向上する。なお、車両搭載時、電磁シールド部材1におけるスリット4は閉じた状態である。そのため、このスリット4から水等の液体及び飛び石等の外部からの異物が電磁シールド部材1の中空部18に浸入する可能性は、従来よりも低い。
【0080】
ところで、蛇腹構造を有する筒状の金属部材の成形方法として、例えば、真空成形が考えられる。しかしながら、筒状の金属部材の肉厚が薄い場合、真空成形で所望の蛇腹構造を有する金属部材を作ることが困難である。真空成形において、筒状の金属部材の肉厚が薄いと、所望の形状以上に変形してしまう、或いは破断してしまうといった不都合が生じやすいためである。
【0081】
本実施形態においては、例えば、一対の回転成形部5材間の間隔等を変更する簡易な作業により、金属板部材11が変形し過ぎてしまうこと或いは破断してしまうことを防ぐことができる。この場合、従来よりも容易に、蛇腹構造を有し、かつ、肉厚の薄い電磁シールド部材1を作ることができる。
【0082】
また、本実施形態においては、第一工程の途中で第二工程の一部が行われる。即ち、金属板部材11が回転成形部材5の成形空間50を通過することにより、金属板部材11が少し湾曲した形状に曲げられる。そして、残りの第二工程がこの金属板部材11に対して行われる。この場合、金属板部材11が筒状に曲げられることによって得られる電磁シールド部材1を簡易に作ることが可能である。
【0083】
また、本実施形態において、第一工程が、金属板部材11の加工対象部分110に対して複数回行われることによって、金属板部材11の加工対象部分110は波形状に成形される。この場合、1回の成形工程(第一工程)において、金属板部材11全体にかかる応力を低減することができる。
【0084】
また、本実施形態においては、電磁シールド部材1の端部には、非蛇腹部3が形成されている。この場合、シールドシェル部材6のシールド接続部61と電磁シールド部材1の端部の内周面との接触面積を大きくすることができる。これにより、電磁シールド部材1とシールドシェル部材6とをより良好に導通させることができる。
【0085】
<第1実施形態の応用例>
次に、
図9を参照しつつ、第1実施形態に係る電磁シールド部材製造方法の応用例について説明する。本応用例に係る電磁シールド部材製造方法は、第1実施形態と比較して、第一工程の開始前にも第二工程の一部が行われている点が異なっている。第二工程の一部が第一工程の開始前に行われることにより、第一工程は、少し湾曲した形状の金属板部材11Aに対して行われる。
【0086】
図9は、本応用例に係る電磁シールド部材製造方法における一部の工程を示した図であり、金属板部材11A及び回転成形部材5の側面図である。なお、
図9において、
図1〜8に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、本応用例における第1実施形態と異なる点について説明する。
【0087】
本応用例において、金属板部材11Aは、第一工程の開始時に、既に湾曲した形状を有する。第二工程の一部が、第一工程の開始前に行われているためである。
【0088】
残りの第二工程は、金属板部材11Aが回転成形部材5の成形空間50を通過する途中で行われることが考えられる。また、残りの第二工程が、金属板部材11Aが回転成形部材5の成形空間50を通過する途中で行われ、さらに回転成形部材5の成形空間50を通過した後にも行われることも考えられる。いずれの場合も筒状の電磁シールド部材1を得ることが可能である。
【0089】
<第2実施形態>
次に、
図10を参照しつつ、第2実施形態に係る電磁シールド部材1Bについて説明する。電磁シールド部材1Bは、さらに、蛇腹部2及び非蛇腹部3の内周面の少なくとも一部又は蛇腹部2及び非蛇腹部3の外周面の少なくとも一部に重なる導電性樹脂を含むシート材19を備える。
【0090】
図10は、本実施形態に係る電磁シールド部材1Bの側方斜視図である。なお、
図10において、
図1〜9に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、電磁シールド部材1Bにおける電磁シールド部材1と異なる点について説明する。
【0091】
電磁シールド部材1Bにおいて、導電性樹脂を含むシート材19としては、例えば、導電性ゴムが考えられる。導電性樹脂を含むシート材19が導電性ゴムの場合、このシート材19は、材料として、銀粉末を含むことが考えられる。
【0092】
図10に示される例は、電磁シールド部材1Bが、蛇腹部2と非蛇腹部3の一部とを覆うシート材19を備えている場合の事例である。この場合、シート材19は、筒状に形成され、電磁シールド部材1Bの外周面の全周に亘って形成されている。
【0093】
例えば、シート材19が、接着剤により電磁シールド部材1Bの外周面に接着されている場合が考えられる。この場合、接着剤として導電性の接着剤が採用される場合も考えられる。
【0094】
また、シート材19の一部が接着剤を介さずに電磁シールド部材1Bに接触している場合も考えられる。この場合、電磁シールド部材1Bが接地されることにより、シート材19の接地も行われる。なお、電磁シールド部材1B及びシート材19がそれぞれ個別に接地されている場合も考えられる。
【0095】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態においては、さらに電磁シールド部材1Bのシールド性能を向上させることができる。
【0096】
<第2実施形態の応用例>
シート材19が、電磁シールド部材1Bの内周面に接着されている場合も考えられる。また、シート材19が、電磁シールド部材1Bの内周面及び外周面の両方の面に接着されている場合も考えられる。また、シート材19が接着剤ではなく粘着テープ等により電磁シールド部材1Bの外周面、内周面或いは外周面と内周面との両方の面に貼り付けられている場合も考えられる。
【0097】
また、シート材19が、電磁シールド部材1Bの全長に亘る範囲に形成されている場合も考えられる。また、シート材19が、電磁シールド部材1Bにおける蛇腹部2のみに形成されている場合或いは電磁シールド部材1Bにおける非蛇腹部3のみに形成されている場合も考えられる。
【0098】
また、シート材19が筒状に形成されていない場合も考えられる。例えば、シート材19が、電磁シールド部材1Bの周方向における一部の範囲のみに形成されている場合が考えられる。
【0099】
また、電磁シールド部材1Bの製造において、シート材19が接着された又は貼り付けられた状態の金属板部材11が筒状に曲げられることによって電磁シールド部材1Bが得られる場合も考えられる。
【0100】
<第3実施形態>
次に、
図11,12を参照しつつ、第3実施形態に係る電磁シールド部材1Cについて説明する。本実施形態に係る電磁シールド部材1Cは、電磁シールド部材1における蛇腹部2と異なる構造の蛇腹部2Cを備える。
図11は、電磁シールド部材1Cの縦断面図である。
図12は、この電磁シールド部材1Cの製造に用いられる回転成形部材5Cを金属板部材11が通される方向から見た図である。なお、
図11,12において、
図1〜10に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、電磁シールド部材1Cにおける電磁シールド部材1と異なる点について説明する。
【0101】
本実施形態では、電磁シールド部材1Cの蛇腹部2Cの山部21Cにおける最大径の部分、即ち、頂点部211Cが、電磁シールド部材1Cの長手方向において幅を有している。また、蛇腹部2Cの谷部22Cにおける最小径の部分、即ち、谷底部221Cも、電磁シールド部材1Cの長手方向において幅を有している。この場合、電磁シールド部材1Cの長手方向に沿う断面において、頂点部211C及び谷底部221Cの外周面は、平坦である。
【0102】
図12に示される回転成形部材5Cは、電磁シールド部材1Cの製造に用いられる金型の一例である。回転成形部材5Cは、第一回転体51Cと第二回転体52Cとを含む。
【0103】
本実施形態において、第一回転体51Cにおける第一凸面511Cは、第一回転体51Cの外周面側において、凸状を成し、その先端に平坦な面が形成されている。また、第一回転体51Cにおける第一凹面512Cは、第一回転体51Cの外周面側において、凹状を成し、その最深部に平坦な面が形成されている。
【0104】
従って、本実施形態は、第一回転体51Cの軸心方向に沿う断面において、第一凹凸面510Cの形状が矩形波状である場合の事例である。
【0105】
本実施形態において、第二回転体52Cにおける第二凸面521Cは、第二回転体52Cの外周面側において、凸状を成し、その先端に平坦な面が形成されている。第二回転体52Cにおける第二凹面522Cは、第二回転体52Cの外周面側において、凹状を成し、その最深部に平坦な面が形成されている。従って、本実施形態は、第二回転体52Cの軸心方向に沿う断面において、第二凹凸面520Cの形状が矩形波状である場合の事例である。
【0106】
本実施形態において、第一回転体51Cの第一凹凸面510Cと第二回転体52Cの第二凹凸面520Cとが成す成形空間50Cは、金属板部材11が通される方向(矢印Uの方向)から見て、矩形波状の空間である。この回転成形部材5Cを用いて行われる第一工程及び第二工程を経て、電磁シールド部材1Cを得ることができる。
【0107】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0108】
<第3実施形態の第1応用例>
次に、
図13〜15を参照しつつ、第3実施形態の第1応用例に係る電磁シールド部材1Dについて説明する。電磁シールド部材1Dは、電磁シールド部材1Cに比べ、さらに切れ目4Dが形成されている点が異なっている。
【0109】
図13は、電磁シールド部材1Dの内周面側から見た蛇腹部2Cの一部を拡大した図である。
図13では、便宜上、蛇腹部2Cの周方向における一部のみが描かれている。
【0110】
図14は、第一態様における電磁シールド部材1Dの断面図である。
図14には、電磁シールド部材1Dにおける一筋のスリット4をはさんで対向する縁部同士が接した状態の電磁シールド部材1Dが描かれている。
【0111】
図15は、第二態様における電磁シールド部材1Dの断面図である。
図15には、電磁シールド部材1Dにおける一筋のスリット4をはさんで対向する縁部同士が離隔した状態の電磁シールド部材1Dが描かれている。
【0112】
なお、
図13〜15において、
図1〜12に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。
【0113】
図13に示されるように、複数の切れ目4Dは、電磁シールド部材1Dの周方向において同じ位置にそれぞれ形成されている。これらの切れ目4Dは、電磁シールド部材1Dの周方向においてスリット4と異なる位置に形成されている。
【0114】
本実施形態において、複数の切れ目4Dは、それぞれ蛇腹部2Cにおける最大径の部分(頂点部211C)を残して電磁シールド部材1Dの長手方向において断続的に形成されている。言い換えると、
図13に示される例では、切れ目4Dは、山部21Cにおける頂点部211以外の部分及び谷部22Cに形成されている。
【0115】
電磁シールド部材1Dにおいては、蛇腹部2Cの山部21Cにおける頂点部211Cが、内周面側に折れ曲がりやすくなる。これにより、電磁シールド部材1Dの開き作業をより容易に行うことが可能となる。
【0116】
なお、頂点部211Cに、さらに、電磁シールド部材1Dの周方向において切れ目4Dと同じ位置に形成され、電磁シールド部材1Dの長手方向に沿う折り目が形成されている場合も考えられる。この場合、頂点部211Cは、内周面側により折れ曲がりやすくなる。
【0117】
<第3実施形態の第2応用例>
次に、
図16〜18を参照しつつ、第3実施形態の第2応用例に係る電磁シールド部材1Eについて説明する。電磁シールド部材1Eは、電磁シールド部材1Cに比べ、さらに切れ目4Eが形成されている点が異なっている。
【0118】
図16は、電磁シールド部材1Eの内周面側から見た蛇腹部2Cの一部を拡大した斜視図である。
図16では、便宜上、蛇腹部2Cの周方向における一部のみが描かれている。
【0119】
図17は、第一態様における電磁シールド部材1Eの断面図である。
図17には、電磁シールド部材1Eにおける一筋のスリット4をはさんで対向する縁部同士が接した状態の電磁シールド部材1Eが描かれている。
【0120】
図18は、第二態様における電磁シールド部材1Eの断面図である。
図18には、電磁シールド部材1Eにおける一筋のスリット4をはさんで対向する縁部同士が離隔した状態の電磁シールド部材1Eが描かれている。
【0121】
なお、
図16〜18において、
図1〜15に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、電磁シールド部材1Eにおける電磁シールド部材1Cと異なる点について説明する。
【0122】
図15に示されるように、複数の切れ目4Eは、電磁シールド部材1Eの周方向において同じ位置にそれぞれ形成されている。これらの切れ目4Eは、電磁シールド部材1Eの周方向においてスリット4と異なる位置に形成されている。
【0123】
本実施形態において、複数の切れ目4Eは、それぞれ蛇腹部2Cにおける最小径の部分(谷底部221C)を残して電磁シールド部材1Eの長手方向において断続的に形成されている。言い換えると、
図15に示される例では、切れ目4Eは、山部21C及び谷部22Cにおける谷底部221C以外の部分に形成されている。
【0124】
電磁シールド部材1Eにおいては、蛇腹部2Cの谷部22Cにおける谷底部221Cが、内周面側に折れ曲がりやすくなる。これにより、電磁シールド部材1Eの開き作業をより容易に行うことが可能となる。
【0125】
なお、谷底部221Cに、さらに、電磁シールド部材1Eの周方向において切れ目4Eと同じ位置に形成され電磁シールド部材1Eの長手方向に沿う折り目が形成されている場合も考えられる。この場合、谷底部221Cは、内周面側により折れ曲がりやすくなる。
【0126】
<第3実施形態の第3応用例>
次に、
図19〜21を参照しつつ、第3実施形態の第3応用例に係る電磁シールド部材1Fについて説明する。電磁シールド部材1Fは、電磁シールド部材1Cに比べ、さらに、電磁シールド部材1Fの内周面側において凹状を成す第一凹み部7Fが形成されている点が異なっている。
【0127】
図19は、電磁シールド部材1Fの内周面側から見た蛇腹部2Cの一部を拡大した図である。
図19では、便宜上、蛇腹部2Cの周方向における一部のみが描かれている。
【0128】
図20は、第一態様における電磁シールド部材1Fの断面図である。
図20には、電磁シールド部材1Fにおける一筋のスリット4をはさんで対向する縁部同士が接した状態の電磁シールド部材1Fが描かれている。
【0129】
図21は、第二態様における電磁シールド部材1Fの断面図である。
図21には、電磁シールド部材1Fにおける一筋のスリット4をはさんで対向する縁部同士が離隔した状態の電磁シールド部材1Fが描かれている。
【0130】
なお、
図19〜21において、
図1〜18に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、電磁シールド部材1Fにおける電磁シールド部材1Cと異なる点について説明する。
【0131】
図19に示されるように、複数の第一凹み部7Fは、電磁シールド部材1Fの周方向において同じ位置にそれぞれ形成されている。これらの第一凹み部7Fは、電磁シールド部材1Fの周方向においてスリット4と異なる位置に形成されている。
【0132】
本実施形態において、複数の第一凹み部7Fは、それぞれ蛇腹部2Cにおける複数の谷部22Cに長手方向において断続的に形成されている。また、本実施形態において、第一凹み部7Fは、電磁シールド部材1Fの長手方向に沿う凹みであり、一つの谷部22Cの電磁シールド部材1Fの長手方向における全長に亘って形成されている。
【0133】
なお、第一凹み部7Fが、電磁シールド部材1Fの非蛇腹部3にも形成されていることも考えられる。しかしながら、第一凹み部7Fが、電磁シールド部材1Fの蛇腹部2Cのみに形成されていることも考えられる。
【0134】
電磁シールド部材1Fは、第一凹み部7Fが形成された部分で谷部22Cの高さが変わることにより、蛇腹部2Cの谷部22Cにおける第一凹み部7Fをはさんで対向する部分間の距離が小さくなる方向に変形しやすくなる。即ち、電磁シールド部材1Fにおいて、蛇腹部2Cの谷部22Cにおける第一凹み部7Fが形成された部分が、内周面側に折れ曲がりやすくなる。これにより、電磁シールド部材1Fの開き作業をより容易に行うことが可能となる。
【0135】
なお、第一凹み部7Fに、さらに、電磁シールド部材1Fの長手方向に沿う折り目が形成されている場合も考えられる。例えば、電磁シールド部材1Fの内周面において凹状を成す折り目が第一凹み部7Fに形成されている場合が考えられる。この場合、第一凹み部7Fは、内周面側により折れ曲がりやすくなる。
【0136】
<第3実施形態の第4応用例>
次に、
図22〜24を参照しつつ、第3実施形態の第4応用例に係る電磁シールド部材1Gについて説明する。電磁シールド部材1Gは、電磁シールド部材1Cに比べ、さらに、電磁シールド部材1Gの内周面側において凹状を成す第二凹み部7Gが形成されている点が異なっている。
【0137】
図22は、電磁シールド部材1Gの内周面側から見た蛇腹部2Cの一部を拡大した図である。
図22では、便宜上、蛇腹部2Cの周方向における一部のみが描かれている。
【0138】
図23は、第一態様における電磁シールド部材1Gの断面図である。
図23には、電磁シールド部材1Gにおける一筋のスリット4をはさんで対向する縁部同士が接した状態の電磁シールド部材1Gが描かれている。
【0139】
図24は、第二態様における電磁シールド部材1Gの断面図である。
図24には、電磁シールド部材1Gにおける一筋のスリット4をはさんで対向する縁部同士が離隔した状態の電磁シールド部材1Gが描かれている。
【0140】
なお、
図22〜24において、
図1〜21に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、電磁シールド部材1Gにおける電磁シールド部材1Cと異なる点について説明する。
【0141】
図22に示されるように、複数の第二凹み部7Gは、電磁シールド部材1Gの周方向において同じ位置にそれぞれ形成されている。これらの第二凹み部7Gは、電磁シールド部材1Gの周方向においてスリット4と異なる位置に形成されている。
【0142】
本実施形態において、複数の第二凹み部7Gは、それぞれ蛇腹部2Cにおける複数の山部21Cに長手方向において断続的に形成されている。また、本実施形態において、第二凹み部7Gは、電磁シールド部材1Gの長手方向に沿う凹みであり、一つの山部21Cの電磁シールド部材1Fの長手方向における全長に亘って形成されている。
【0143】
なお、第二凹み部7Gが、電磁シールド部材1Gの非蛇腹部3にも形成されていることも考えられる。しかしながら、第二凹み部7Gが、電磁シールド部材1Gの蛇腹部2Cのみに形成されていることも考えられる。
【0144】
電磁シールド部材1Gも、蛇腹部2Cの山部21Cにおける第二凹み部7Gをはさんで対向する部分間の距離が小さくなる方向に変形しやすくなる。即ち、電磁シールド部材1Gにおいて、蛇腹部2Cの山部21Cにおける第二凹み部7Gが形成された部分は、内周面側に折れ曲がりやすくなる。これにより、電磁シールド部材1Gの開き作業をより容易に行うことが可能となる。
【0145】
なお、第二凹み部7Gに、さらに、電磁シールド部材1Gの長手方向に沿う折り目が形成されている場合も考えられる。例えば、電磁シールド部材1Gの外周面において凹状を成す折り目が第二凹み部7Gに形成されている場合が考えられる。この場合、第二凹み部7Gは、内周面側により折れ曲がりやすくなる。
【0146】
<その他の応用例>
切れ目4D,4Eが、第1実施形態に係る電磁シールド部材1に適用されている場合も考えられる。また、第一凹み部7F又は第二凹み部7Gが、第1実施形態に係る電磁シールド部材1に適用されている場合も考えられる。
【0147】
なお、本発明に係る電磁シールド部材及び電磁シールド部材製造方法は、各請求項に記載された発明の範囲において、以上に示された各実施形態、各実施形態の応用例及びその他の応用例を自由に組み合わせること、或いは各実施形態、各実施形態の応用例及びその他の応用例を適宜、変形する又は一部を省略することによって構成されることも可能である。