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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-201586(P2015-201586A)
(43)【公開日】2015年11月12日
(54)【発明の名称】回路基板の製造方法及び回路基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/12 20060101AFI20151016BHJP
【FI】
   H05K3/12 630Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-80790(P2014-80790)
(22)【出願日】2014年4月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鳥井 純一
(72)【発明者】
【氏名】中崎 滋
【テーマコード(参考)】
5E343
【Fターム(参考)】
5E343AA02
5E343AA03
5E343AA16
5E343AA26
5E343AA34
5E343BB16
5E343BB17
5E343BB25
5E343BB58
5E343BB72
5E343DD02
5E343ER33
5E343ER35
5E343FF02
5E343FF04
5E343GG11
(57)【要約】
【課題】形成する回路の位置合わせ精度の向上を図ることができる回路基板の製造方法を提供する。
【解決手段】基板2に回路が形成された回路基板21を、凹版4を用いた印刷法を用いて製造する回路基板の製造方法であり、凹版4に第1のインク31を充填する第1の工程と、第1のインク31が充填された凹版4に、第2のインク32をさらに充填する第2の工程と、凹版4に充填された第1のインク31及び第2のインク32を同時に基板2に転写する第3の工程と、を少なくとも有する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に回路が形成された回路基板を、凹版を用いた印刷法を用いて製造する回路基板の製造方法であって、
前記凹版に前記第1のインクを充填する第1の工程と、
前記第1のインクが充填された前記凹版に、第2のインクをさらに充填する第2の工程と、
前記凹版に充填された前記第1のインク及び前記第2のインクを同時に前記基板に転写する第3の工程と、を少なくとも有することを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の回路基板の製造方法であって、
前記第1の工程において前記凹版に充填される前記第1のインクの充填量は、前記第2の工程において前記凹版に充填される前記第2のインクの充填量よりも多いことを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の回路基板の製造方法であって、
前記第3の工程は、
前記凹版に充填された前記第1のインク及び前記第2のインクをブランケットに受理する受理工程と、
前記ブランケットが受理した前記第1のインク及び前記第2のインクを前記基板に転写する転写工程と、を含むことを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の回路形成方法であって、
前記転写工程における前記第2のインクの粘度は、前記転写工程における前記第1のインクの粘度よりも大きいことを特徴とする回路形成方法。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の回路形成方法であって、
前記第1の工程では、前記凹版への前記第1のインクの充填時に第1のドクターブレードを用い、
前記第2の工程では、前記凹版への前記第2のインクの充填時に前記第1のドクターブレードとは異なる第2のドクターブレードを用いることを特徴とする回路形成方法。
【請求項6】
基板と
前記基板上に形成された第1の層、及び、前記第1の層を覆う第2の層を少なくとも有する回路と、を備え、
前記第1の層は、
前記基板から離反する方向に突出する肉厚部と、
前記肉厚部よりも相対的に低い高さを有し、前記肉厚部から外側に向かって連続的に広がる裾部と、を有することを特徴とする回路基板。
【請求項7】
請求項6に記載の回路基板であって、
前記第2の層の厚さは、前記第1の層の厚さよりも大きいことを特徴とする回路基板。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の回路基板であって、
前記第1の層は、ポリエステル樹脂を含むバインダ樹脂を含有することを特徴とする回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板の製造方法及び回路基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット法により透明基板上に金属配線部を形成した後、インクジェット法によって当該金属配線部上に低反射層をさらに形成する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−235315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の技術では、金属配線部の形成と低反射層の形成とがそれぞれ独立して印刷されるため、低反射層を金属配線部上に形成する際の位置合わせ精度が劣る場合があるという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、形成する回路の位置合わせ精度の向上を図ることができる回路基板の製造方法及び回路基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明に係る回路基板の製造方法は、基板に回路が形成された回路基板を、凹版を用いた印刷法を用いて製造する回路基板の製造方法であって、前記凹版に前記第1のインクを充填する第1の工程と、前記第1のインクが充填された前記凹版に、第2のインクをさらに充填する第2の工程と、前記凹版に充填された前記第1のインク及び前記第2のインクを同時に前記基板に転写する第3の工程と、を少なくとも有することを特徴とする。
【0007】
[2]上記発明において、前記第1の工程において前記凹版に充填される前記第1のインクの充填量は、前記第2の工程において前記凹版に充填される前記第2のインクの充填量よりも多くてもよい。
【0008】
[3]上記発明において、前記第3の工程は、前記凹版に充填された前記第1のインク及び前記第2のインクをブランケットに受理する受理工程と、前記ブランケットが受理した前記第1のインク及び前記第2のインクを前記基板に転写する転写工程と、を含んでもよい。
【0009】
[4]上記発明において、前記転写工程における前記第2のインクの粘度は、前記転写工程における前記第1のインクの粘度よりも大きくてもよい。
【0010】
[5]上記発明において、前記第1の工程では、前記凹版への前記第1のインクの充填時に第1のドクターブレードを用い、前記第2の工程では、前記凹版への前記第2のインクの充填時に前記第1のドクターブレードとは異なる第2のドクターブレードを用いてもよい。
【0011】
[6]本発明に係る回路基板は、基板と前記基板上に形成された第1の層、及び、前記第1の層を覆う第2の層を少なくとも有する回路と、を備え、前記第1の層は、前記基板から離反する方向に突出する肉厚部と、前記肉厚部よりも相対的に低い高さを有し、前記肉厚部から外側に向かって連続的に広がる裾部と、を有することを特徴とする。
【0012】
[7]上記発明において、前記第2の層の厚さは、前記第1の層の厚さよりも大きくてもよい。
【0013】
[8]上記発明において、前記第1の層は、ポリエステル樹脂を含むバインダ樹脂を含有してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、凹版に対して第1のインクを充填した後に続けて第2のインクの充填を行い、第1及び第2のインクを同時に転写する。このため、第1のインクと第2のインクとを含む回路を形成する際の位置合わせ精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の第1実施形態における回路基板を示す平面図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿った切断面の断面図である。
図3図3は、本発明の第1実施形態における回路基板の製造装置を示す断面図である。
図4図4(A)〜図4(H)は、本発明の第1実施形態における回路基板の製造装置の動作を示す断面図である。
図5図5は、図4(D)のV部の拡大図である。
図6図6(A)及び図6(B)は、本発明の第1実施形態の変形例における回路基板の製造装置の動作を示す断面図である。
図7図7は、本発明の第2実施形態における回路基板の製造装置を示す断面図である。
図8図8(A)〜図8(D)は、本発明の第2実施形態における回路基板の製造装置の動作を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<<第1実施形態>>
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明で用いる図は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0017】
図1は本実施形態における回路基板を示す平面図であり、図2図1のII-II線に沿った断面図である。
【0018】
本実施形態における回路基板21は、例えば、自動預け払い機や携帯電話等の入力手段として用いられる静電容量方式等のタッチパネルに用いられる電極パネルである。こういったタッチパネルは、ディスプレイ上に配置され、当該ディスプレイに表示された選択画面上の選択肢を操作者が直接指で触れたり、専用のペンを用いて触れたりすることにより、当該選択肢の選択を可能とする。
【0019】
本実施形態における回路基板21は、図1に示すように、矩形状の基板2と、電極22と、を備えている。電極22は、特に図示しない引き出し配線によって駆動回路(不図示)に接続され、所定電圧が印加された電極22における端子電圧の変化を当該駆動回路が検出することにより、入力者が図1及び図2の+Z軸方向からタッチパネルに入力した位置を検出する。なお、本発明の回路基板の製造装置によって製造される回路基板の用途や態様については特にこれに限定されない。
【0020】
本実施形態における基板2は、ガラス等の透明基板から構成されている。なお、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等を用いて基板2を構成してもよい。
【0021】
電極22は、図1に示すように、細線23から構成されるメッシュ状の電極であり、基板2上には略等間隔に並んだ5つの電極22が配置されている。なお、基板2上に配置される電極22の数は特に限定されない。また、電極22を構成するメッシュの形状は矩形状であるが、例えば、菱形状や、三角形状、ハニカム形状等のメッシュ形状であってもよい。本実施形態における電極22が本発明の回路の一例に相当する。
【0022】
この電極22を構成する細線23は、図2に示すように、第1の層301と第2の層302とから構成されている。なお、この図2は、細線23の延在方向に対して垂直方向の断面図である。第1の層301は、第2の層202よりも可視光の反射率が低い低反射層であり、本実施形態ではカーボン(C)を含有する材料から構成されている。この第1の層301の略中央部には、基板2から離反する方向に突出する肉厚部311が形成されている。また、当該肉厚部311の両側部には、肉厚部311よりも相対的に低い高さを有すると共に当該肉厚部311から外側に向かって連続的に広がる平坦な裾部312が形成されている。
【0023】
第2の層302は、第1の層301の肉厚部311及び裾部312を覆うと共に、当該第2の層302の外面が基板2から離反する方向に凸状に盛り上がるように第1の層301上に形成されている。本実施形態において、第2の層302の厚さ(断面における厚さの平均値)は、第1の層301の厚さ(断面における厚さの平均値)よりも大きくなっている。なお、第2の層302の厚さとしては、例えば1μm以上2μm以下であり、第1の層301の厚さとしては、例えば0.5μm以上1μm未満である。
【0024】
本実施形態における回路基板21は、グラビアオフセット印刷法によって基板2上に電極22を印刷して形成することにより製造される。図3は、本実施形態における回路基板の製造装置を示す断面図である。
【0025】
本実施形態における回路基板の製造装置1は、基板2上に第1のインク31及び第2のインク32を印刷して硬化することにより回路基板21を製造する装置であり、図3に示すように、凹版4と、ドクターブレード5と、転写ローラ6と、基板支持台7と、を備えている。
【0026】
本実施形態における第1のインク31は、回路基板21の第1の層301を形成するためのインクであり、ポリエステル樹脂を含むバインダ樹脂を含有するカーボン(C)ペーストから構成されている。本実施形態における第2のインク32は、回路基板21の第2の層302を形成するためのインクであり、銀(Ag)を含有した導電性ペーストから構成されている。なお、第1のインク31は、カーボン等の黒色顔料を含有していてもよく、第1のインク31に導電性を付与する必要が無い場合には、黒色のガラス及びバインダ樹脂を当該第1のインク31が含有していてもよい。また、第2のインク32がバインダを含有していてもよい。
【0027】
凹版4の表面には、基板2に形成する電極22の形状に対応した凹パターン41が形成されている。この凹パターン41の側部の上方には、特に図示しないインク吐出機構が設けられており、当該インク吐出機構によって、所定量の第1のインク31が凹版4上に吐出される。また、同様に、不図示のインク吐出機構によって所定量の第2のインク32が凹版4上に吐出される。
【0028】
この凹版4の周囲には、当該凹版4上を先端が摺接するようにドクターブレード5が設けられている。このドクターブレード5が不図示の駆動機構によって図3中の右方向に動くことにより、凹版4の凹パターン41内に第1のインク31が充填されつつ、余分なインク31が凹版4上から掻き取られるようになっている。また、第1のインク31が凹パターン41に充填されてドクターブレード5が元の位置に戻った後に、再度当該ドクターブレード5が駆動することにより第2のインク32が凹パターン41に充填されると共に、余分なインク32が凹版4から掻き取られる。
【0029】
転写ローラ6は、ブランケット胴61と、ブランケット62と、を有している。ブランケット胴61は円筒形状を有しており、ブランケット62は当該ブランケット胴61の周囲に巻回されて固定されている。ブランケット胴61とブランケット62とを固定する方法は特に限定されないが、例えば、ブランケット胴の周囲に両面に表面粘着性を有する樹脂フィルムや金属シート等からなる粘着材を設け、当該粘着材を介してブランケット62をブランケット胴62の周囲に固定することとしてもよい。この転写ローラ6は、不図示の駆動機構によって、ブランケット62が凹版4に接触した状態で図3中の左右に回転しながら移動することが可能となっていると共に、ブランケット62が基板2の表面に接触した状態で回転しながら図3中の左右方向に動くことが可能となっている。
【0030】
ブランケット62は、凹版4から第1及び第2のインク31、32を受理し、基板2へ転写する機能を有している。このブランケット62としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フロロシリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、フッ素ゴム、アクリルゴム、またはクロロプレンゴム等の材料を用いているが、インクの離型性に優れているという観点から、シリコーンゴムを用いることが好ましい。
【0031】
基板支持台7は、基板2を支持する台座であり、図3に示すように、凹版4の横に並ぶように配置されている。この基板支持台7の上面には、特に図示しない吸引機構と繋がる吸引孔が設けられており、当該吸引機構による吸引力によって基板2を基板支持台7上の所定位置に固定する。なお、基板支持台7上に基板2を固定する方法は特に限定されない。
【0032】
次に、本実施形態における回路基板の製造装置1が回路基板21を製造する際の動作について説明する。図4(A)〜図4(H)は、回路基板の製造装置の動作を説明するための段面図である。
【0033】
まず、図4(A)に示すように、インク吐出機構によって凹版4の側部(図4(A)中の左側部)に第1のインク31が吐出される。次いで、ドクターブレード5が図4(A)中の左側から右側に向かって摺動する。これにより、図4(B)に示すように、第1のインク31は、凹版4の凹パターン41内に充填される(第1の工程)。
【0034】
第1のインク31の充填の後は、ドクターブレード5は摺動前の元の位置に戻る。次いで、インク吐出機構によって、凹版4の側部(図4(C)中の左側部)に第2のインク32が吐出される。そして、ドクターブレード5が図4(C)中の左側から右側に向かって摺動する。これにより、図4(D)に示すように、第2のインク32は、第1のインク31が充填された凹版4の凹パターン41に充填される(第2の工程)。
【0035】
なお、この場合において、凹版4の凹パターン41内に充填される第1のインク31の量は、図5に示すように、凹パターン41内に充填される第2のインク32の量よりも多いことが好ましい。これは、以下のような理由による。即ち、第1のインク31は、第1の工程において凹パターン41の奥部まで充填されるため、充填された全ての第1のインク31を受理工程(後述)において完全にブランケット62に受理することは難しく、第1のインク31の一部は凹パターン41内に残存することとなる。このため、凹パターン41内に充填される第1のインク31が第2のインク32の充填量よりも少ない場合には、転写工程(後述)において第1のインク31が殆ど基板2上に転写されない場合が生じる。この点、凹パターン41内に充填される第1のインク31の量が第2のインク32の量よりも多い場合には、転写時において第1のインク31を確実に基板2に転写することが可能となる。
【0036】
凹パターン41に対して第2のインク32を充填した後は、ドクターブレード5が摺動前の元の位置に戻ると共に、転写ローラ6が凹版4の上を回転しながら図4(E)中の左方向に向かって進む。この際、転写ローラ6のブランケット62は、所望の押圧力で凹版4に対して押し付けられながら回転する。これにより、図4(F)に示すように、凹版4の凹パターン41に充填された第1及び第2のインク31、32は、転写ローラ6のブランケット62の表面に受理される(受理工程)。
【0037】
その後、第1及び第2のインク31、32を受理した転写ローラ6が基板支持台7上に移動し、当該基板支持台7上に固定された基板2の上面を回転しながら図4(G)中の左方向に向かって移動する。この際、転写ローラ6のブランケット62は、所望の押圧力で基板2に押し付けられながら移動する。これにより、図4(H)に示すように、転写ローラ6のブランケット62に受理されていた第1及び第2のインク31、32は、基板2上に転写される(転写工程)。このように、上記受理工程及び転写工程により、凹版4に充填された第1及び第2のインク31、32は、同時に基板2に転写される(第3の工程)。
【0038】
なお、上述したように、第1の工程において凹パターン41の奥部まで充填された全ての第1のインク31を受理工程で完全に受理することは難しいため、基板2に転写される第1のインク31の量は、基板2に転写される第2のインク32の量に比べて相対的に少なくなる。
【0039】
第1及び第2のインク31、32が転写ローラ6のブランケット62に受理された際は、第2のインク32が直接ブランケット62に接触する。このとき、当該第2のインク32に含まれる溶剤等がブランケットに吸収されるため、転写の際の第2のインク32の粘度は第1の粘度に比べて大きくなっている(例えば、200dPa・s以上600dPa・s以下)。このため、第1及び第2のインク31、32が基板2に転写された際は、第1のインク31は基板2と第2のインク32との間で挟まれて押圧される。
【0040】
第1及び第2のインク31、32の転写された基板2は、特に図示しない乾燥炉で乾燥されることにより、当該インク31、32は基板2上で硬化される。これにより、基板2上に電極22が形成される。なお、転写後のインク31、32を乾燥するための乾燥炉としては、例えば、赤外線乾燥炉や熱風乾燥炉等を使用することができる。
【0041】
なお、本実施形態では、凹版4及び基板支持台7の上方を転写ローラ6が移動する構成として説明したが、凹版4及び基板支持台7に対して転写ローラ6が相対移動可能であれば、特にこれに限定されない。
【0042】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0043】
本実施形態における回路基板21の電極22は、図2に示すように、基板2と第2の層302(銀)との間に第1の層301(カーボン)が介在する。このため、電極22間におけるマイグレーションの発生を抑制することができる。
【0044】
また、基板2と第2の層302(銀)との間に低反射層である第1の層301(カーボン)が介在することにより、回路基板21を搭載したタッチパネルを操作する際の第2の層302(銀)による光の反射を抑制できるため、当該タッチパネルの視認性を向上することができる。なお、図2中の上側から(−Z方向から)画面を見て操作するタッチパネルに回路基板21を用いる場合には、第1の層301及び第2の層302の構成材料を相互に変更して第2の層302を低反射層とすることにより、同様の効果を奏することができる。
【0045】
また、基板2に対する第1の層301(カーボン)の密着性は、基板2に対する第2の層302(銀)の密着性よりも高いため、電極22の耐久性を向上することができる。この効果は、本実施形態のように、第1の層301がバインダ樹脂としてポリエステル樹脂を含有している場合においてより向上する。
【0046】
さらに、本実施形態の回路基板21における電極22を構成する第2の層302の厚さは、第1の層301の厚さよりも大きくなっている。これにより、当該電極22の電気的抵抗値の上昇を抑制し、回路基板21を搭載したタッチパネルの検出感度の向上を図ることができる。
【0047】
また、本実施形態における回路基板21の製造時は、凹版4の凹パターン41に第1のインク31を充填した後、続けて第2のインク32を当該凹パターン41に充填する(図4(A)〜図4(D))。このため、基板2に形成する電極22が細線化し、狭ピッチ化した場合においても、確実に第1のインク31と第2のインク32を同一位置に印刷することができるため、形成する回路の位置合わせ精度を向上することができる。また、回路基板21を製造するために要する作業工程を大幅に短縮することができる。
【0048】
なお、本実施形態では、1つのドクターブレード5を用いて第1のインクを凹版4の凹パターン41に充填すると共に、第2のインクを凹版4の凹パターン41に充填したが、特にこれに限定されない。例えば、図6(A)及び図6(B)に示すように、2つのドクターブレード5A、5Bを用いて第1及び第2のインク31、32を凹パターン41に充填してもよい。
【0049】
この場合には、図6(A)に示すように、まず第1のインク31がドクターブレード5Aによる摺動によって凹パターン41に充填される。その後、図6(B)に示すように、第2のインク32がドクターブレード5Bによる摺動によって凹パターン42に充填される。この場合には、2つのインク31、32を凹パターン41に充填する際の作業効率が向上し、回路基板21の製造に要する作業工程をより短縮化することができる。
【0050】
<<第2実施形態>>
図7は本実施形態における回路基板の製造装置を示す断面図であり、図8(A)〜図8(D)は本実施形態の回路基板の製造装置の動作を示す断面図である。ここで、第2実施形態における回路基板の製造装置1Bが、凹版4に代えて凹版ローラ42を備えていると共に、第1のドクターブレード51及び第2のドクターブレード52を備えていること以外は、上述した第1実施形態と同様であるので、第1実施形態と相違する部分についてのみ説明し、第1実施形態と同一である部分については、第1実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0051】
凹版ローラ42は、図7に示すように、版胴421と、凹版422と、を備えている。版胴421は、円筒形状を有すると共に、特に図示しないモータ等によってその軸心を中心として回転駆動する。凹版422は、この版胴421の外周に巻回されており、凹版422の表面には基板2に印刷する印刷パターンに対応した凹パターン41が形成されている。この凹版ローラ42は、当該凹版ローラ42の中心と転写ローラ6の中心との間の距離を所定の値に設定することにより、転写ローラ6に接触すると共に、所定の押圧力で転写ローラ6のブランケット62に押さえ付けられている。これにより、凹パターン41に充填された第1及び第2のインク31、32は転写ローラ6に転写される。
【0052】
凹版ローラ42の周囲には、凹版422上を先端が摺接するように第1のドクターブレード51が設けられている。また、第1のインク31は、特に図示しないインク吐出機構によって、第1のドクターブレード51の後方(凹版ローラ42の回転方向後方)に吐出されるようになっている。この凹版ローラ42は、第1のドクターブレード51の後方に第1のインク31が吐出された状態で、図7中の反時計回り方向に回転する。これにより、第1のドクターブレード51によって、凹版422の凹パターン41内に第1のインク31が充填されつつ、余分なインク31が凹版422上から掻き取られる。
【0053】
また、凹版ローラ42の周囲において、第1のドクターブレード51の前方(凹版ローラ42の回転方向前方)には、凹版422上を先端が摺接するように第2のドクターブレード52が設けられている。また、第2のインク32は、特に図示しないインク吐出機構によって、第2のドクターブレード52の後方(凹版ローラ42の回転方向後方)に吐出されるようになっている。第1のドクターブレード51と同様に、この第2のドクターブレード52によって、凹版422の凹パターン41内に第2のインク32が充填されつつ、余分なインク32が凹版422上から掻き取られる。
【0054】
本実施形態における転写ローラ6は、図7に示すように、凹版ローラ42と、基板支持台7上に載置された基板2と、の間に配置されており、凹版ローラ42の回転に対応して図中時計回りに回転すると共に、当該回転に伴って当該転写ローラ6のブランケット62の下部が所定押圧力で接触した状態で図7中の右方向に移動する。これにより、凹版ローラ42から受理した第1及び第2のインク31、32を、基板2に転写する。なお、本実施形態における転写ローラ6、凹版ローラ42及び第1及び第2のドクターブレード51、52は、特に図示しない支持部材に支持されている。基板支持台7は、不図示の駆動機構により転写ローラ6の回転に沿って図7中の左方向に移動する。
【0055】
次に、本実施形態における回路基板の製造装置1Bの動作について説明する。
【0056】
まず、図8(A)に示すように、凹版ローラ42と転写ローラ6とが所定の押圧力で接触した状態で回転させる。この状態で、不図示のインク吐出機構によって、第1のドクターブレード51の後方(凹版ローラ42の回転方向後方)に所定量の第1のインク31が吐出すると共に、第2のドクターブレード52の後方(凹版ローラ42の回転方向後方)に所定量の第2のインク32が吐出する。
【0057】
第1及び第2のドクターブレード51、52が凹版ローラ42の表面に接触した状態で当該凹版ローラ42は図中反時計回りに回転し、これにより、まず凹版ローラ42の凹パターン41に第1のインク31が充填される。そして、その後続いて当該凹パターン41に第2のインク32が充填される(図8(B)参照)。この際、凹パターン41には、例えば第1実施形態で説明した図5のような状態で第1及び第2のインク31、32が充填されている。
【0058】
次いで、凹版ローラ42の回転によって、第1及び第2のインク31、32が充填された凹パターン41が転写ローラ6と対向し、この際に凹版ローラ42が所定の押圧力で転写ローラ6に押さえ付けられることにより、当該第1及び第2のインク31、32は転写ローラ6に受理される(図8(C)参照)。
【0059】
続いて、図8(D)に示すように、転写ローラ6が所定押圧力で基板2に接触して回転しつつ基板2が図中の左方向に移動することにより、転写ローラ6に受理された第1及び第2のインク31、32は基板2に転写される。
【0060】
第1及び第2のインク31、32の転写された基板2は、特に図示しない乾燥炉で乾燥されることにより、当該インク31、32は基板2上で硬化される。これにより、基板2上に電極22が形成される。なお、転写後のインク31、32を乾燥するための乾燥炉としては、例えば、赤外線乾燥炉や熱風乾燥炉等を使用することができる。
【0061】
なお、本実施形態における回路基板の製造装置1Bは、基板2を1枚ずつ処理する枚葉式であるが、長尺の基材を連続して搬送するロール・ツー・ロール方式であってもよい。
【0062】
本実施形態における回路基板の製造装置1Bにおいても、凹版ローラ42の凹パターン41に第1のインク31を充填した後、続けて第2のインク32を当該凹パターン41に充填する(図8(B)参照)。このため、基板2に形成する電極22が細線化し、狭ピッチ化した場合においても、確実に第1のインク31と第2のインク32を同一位置に印刷することができるため、形成する回路の位置合わせ精度の向上を図ることができると共に、回路基板の製造に要する作業工程の大幅な短縮化を図ることができる。
【0063】
また、本実施形態では、2つのドクターブレード51、52を用いて第1及び第2のインク31、32を凹パターン41に充填する。このため、回路基板の製造に要する作業工程をさらに短縮化することができる。
【0064】
さらに、本実施形態の回帰基板の製造装置1Bを用いて製造した回路基板も、第1実施形態で説明した回路基板21における効果と同様の効果を奏することができる。
【0065】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0066】
例えば、上述の実施形態では、グラビアオフセット印刷法により回路基板を製造する装置及び方法について説明したが、特にこれに限定されない。例えば、凹版印刷法に本発明を応用し、凹版の凹パターンに充填された第1及び第2のインクを基板2に直接転写することにより回路基板を製造してもよい。
【0067】
また、例えば、上述の実施形態で説明した回路基板21の電極22は、2つの層(第1及び第2の層301、302)から構成されているが、3つ以上の層から電極を構成してもよい。この場合には、当該電極を構成する材料となる3つ以上のインクを凹パターン41に充填した後、それらのインクを同時に基板2に転写することにより当該電極を有する回路基板を製造することができる。
【符号の説明】
【0068】
1、1B・・・回路基板の製造装置
2・・・基板
21・・・回路基板
22・・・電極
301・・・第1の層
302・・・第2の層
311・・・肉厚部
312・・・裾部
31・・・第1のインク
32・・・第2のインク
4・・・凹版
42・・・凹版ローラ
41・・・凹パターン
5、5A、5B・・・ドクターブレード
51・・・第1のドクターブレード
52・・・第2のドクターブレード
6・・・転写ローラ
61・・・ブランケット胴
62・・・ブランケット
7・・・基板支持台
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8