特開2015-201638(P2015-201638A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2015-201638ファンデルワールス力を用いてワークピースを搬送するアンチスリップエンドエフェクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-201638(P2015-201638A)
(43)【公開日】2015年11月12日
(54)【発明の名称】ファンデルワールス力を用いてワークピースを搬送するアンチスリップエンドエフェクタ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20151016BHJP
   B25J 15/00 20060101ALI20151016BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   B25J15/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-71933(P2015-71933)
(22)【出願日】2015年3月31日
(31)【優先権主張番号】14/244,689
(32)【優先日】2014年4月3日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】512144771
【氏名又は名称】エーエスエム アイピー ホールディング ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【弁理士】
【氏名又は名称】小野寺 隆
(72)【発明者】
【氏名】新井 泉
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707BS15
3C707BS26
3C707ES17
3C707FS00
3C707FT10
3C707NS13
5F131AA02
5F131BA04
5F131BB04
5F131CA15
5F131CA32
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA36
5F131DA42
5F131DB02
5F131DB05
5F131DB06
5F131DB24
5F131DB25
5F131DB32
5F131DB34
5F131DB52
5F131DB57
(57)【要約】
【課題】ワークピースを搬送するアンチスリップエンドエフェクタを提供する。
【解決手段】ロボットアームに取り付けられるように構成され、ワークピースを搬送するためのアンチスリップエンドエフェクタは、搬送のためにワークピースを配置するワークピース支持領域と、ワークピースの裏面を支持するためにワークピース支持領域に配置される少なくとも1つのアンチスリップ突出部と、を備え、アンチスリップ突出部は、ファンデルワールス力によりワークピースの裏面と接触及び接着可能であり、かつ旋回軸の周りを旋回可能な上面を有し、旋回軸は、上から見たときに上面の中心から離れて配置される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームに取り付けられるように構成され、ワークピースを搬送するためのアンチスリップエンドエフェクタであって、
搬送のために前記ワークピースを配置するワークピース支持領域と、
前記ワークピースの裏面を支持するために前記ワークピース支持領域に配置される少なくとも1つのアンチスリップ突出部と、を備え、
前記アンチスリップ突出部は、ファンデルワールス力により前記ワークピースの裏面と接触及び接着可能であり、かつ旋回軸の周りを旋回可能な上面を有し、前記旋回軸は、上から見たときに前記上面の中心から離れて配置される、アンチスリップエンドエフェクタ。
【請求項2】
前記アンチスリップ突出部の前記上面は、多数のカーボンナノチューブにより構成される請求項1に記載のアンチスリップエンドエフェクタ。
【請求項3】
少なくとも1つの前記アンチスリップ突出部は、前記アンチスリップエンドエフェクタの近位端から遠位端へ延びる前記アンチスリップエンドエフェクタの中心線に対して左右対称に配置される複数のアンチスリップ突出部により構成され、各アンチスリップ突出部の前記旋回軸は、上から見たときに前記ワークピース支持領域の中心を通る線分に垂直に配置される請求項1に記載のアンチスリップエンドエフェクタ。
【請求項4】
前記アンチスリップ突出部は、(i)前記旋回軸によって貫通されるベース部と、(ii)前記ベース部の上に直接的又は間接的に形成され、かつ前記ワークピース支持領域に略平行な一つの方向に延びる上部と、を有し、前記上部の上表面は、前記上面を構成する、請求項1に記載のアンチスリップエンドエフェクタ。
【請求項5】
前記ベース部は、ほぼ逆三角形の断面を有し、前記旋回軸は、前記逆三角形の断面の下端近傍の位置において前記ベース部を貫通する、請求項4に記載のアンチスリップエンドエフェクタ。
【請求項6】
前記ワークピース支持領域は、前記アンチスリップ突出部の前記ベース部が内部に配置される凹部を有し、前記アンチスリップ突出部の前記上部は、前記凹部上に配置される、請求項4に記載のアンチスリップエンドエフェクタ。
【請求項7】
前記アンチスリップ突出部の前記上部は、約0.5mmから約7.0mmの高さを有し、前記アンチスリップ突出部の前記ベース部は、約2.0mmから約28.0mmの高さを有する、請求項4に記載のアンチスリップエンドエフェクタ。
【請求項8】
前記アンチスリップ突出部の前記上部に形成される前記上面は、伸長した側の前記上部の端部に向かって湾曲される、請求項4に記載のアンチスリップエンドエフェクタ。
【請求項9】
前記上面は、前記アンチスリップ突出部の上面に取り付けられるカーボンナノチューブベースの人工ヤモリテープにより構成され、前記カーボンナノチューブベースの人工ヤモリテープは、セラミックス、シリコン、ガラス及び樹脂からなる群から選択された材料で製造される、請求項4に記載のアンチスリップエンドエフェクタ。
【請求項10】
前記上面は、シリコンから製造された前記アンチスリップ突出部の上面に直接配置されるカーボンナノチューブにより構成される、請求項4に記載のアンチスリップエンドエフェクタ。
【請求項11】
前記アンチスリップ突出部の前記上部の裏面は、原点位置における前記ワークピース支持領域の表面と接触され、前記アンチスリップ突出部は、前記アンチスリップ突出部の前記上部を、前記ワークピース支持領域の前記表面から離れて移動するように旋回可能である、請求項6に記載のアンチスリップエンドエフェクタ。
【請求項12】
前記アンチスリップ突出部は、前記アンチスリップ突出部の前記上部を前記ワークピース支持領域の前記表面から離れて移動するように旋回した後に、重力によって前記原点位置へ戻るように旋回される、請求項11に記載のアンチスリップエンドエフェクタ。
【請求項13】
前記アンチスリップ突出部の前記上部に形成される前記上面は、前記原点位置において前記ワークピースの前記裏面との接触をもたらす接触領域を有し、前記接触領域は、上から見たときに、前記旋回軸と、伸長した側の前記上部の端部との間に配置される、請求項11に記載のアンチスリップエンドエフェクタ。
【請求項14】
前記アンチスリップ突出部の前記上部に形成される前記上面は、前記接触領域と、前記伸長した側の前記上部の端部との間で湾曲される、請求項13に記載のアンチスリップエンドエフェクタ。
【請求項15】
前記アンチスリップ突出部の上部に形成される前記上面は、上から見たときに、前記旋回軸の方向よりも前記旋回軸に垂直な方向に長い長方形形状を有する請求項1に記載のアンチスリップエンドエフェクタ。
【請求項16】
少なくとも1つの前記アンチスリップ突出部の前記上面は、前記ワークピースが前記ワークピース支持領域に配置されるときに、前記ワークピースの裏面と接触する唯一の領域である、請求項1に記載のアンチスリップエンドエフェクタ。
【請求項17】
前記ワークピース支持領域の遠位端に配置され、前記ワークピースのエッジと係合する少なくとも1つの前方突出部と、前方ワークピース支持領域の近位端に配置され、前記ワークピースのエッジと係合する少なくとも1つの後方突出部と、をさらに備え、前記前方突出部は、前記ワークピース支持領域に配置される前記ワークピースが前記前方突出部を越えて移動することを制限し、前記後方突出部は、前記ワークピース支持領域に配置される前記ワークピースが前記後方突出部を越えて移動することを制限する、請求項1に記載のアンチスリップエンドエフェクタ。
【請求項18】
前記ワークピース支持領域は、セラミックス、炭素複合材及びアルミニウム合金により構成される、請求項1に記載のアンチスリップエンドエフェクタ。
【請求項19】
ワークピースを搬送するロボットアームであって、垂直、前方、後方及び側方に移動可能である少なくとも1つのアームと、各アームの遠位端に取り付けられる請求項1に記載のアンチスリップエンドエフェクタと、を備えるロボットアーム。
【請求項20】
請求項1に記載のアンチスリップエンドエフェクタを用いてワークピースを搬送する方法であって、
エンドエフェクタが取り付けられたロボットアームを提供するステップと、
前記エンドエフェクタのワークピース支持領域に前記ワークピースを搬入するステップであって、前記ワークピースの裏面が各アンチスリップ突出部の上面に接着される、ステップと、
前記エンドエフェクタの前記ワークピース支持領域に前記ワークピースを保持した状態で、前記ロボットアームを用いて1つのチャンバから別のチャンバへ前記ワークピースを搬送するステップと、
前記ワークピースを前記エンドエフェクタから相対的に移動することにより前記別のチャンバに前記ワークピースを搬出するステップと、を備え、
前記アンチスリップ突出部のそれぞれの前記上面は、前記旋回軸の周りを旋回し、かつ、前記ワークピースを前記エンドエフェクタから離れて移動しながら、前記ワークピースの前記裏面から徐々に引き離される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、搬送チャンバと、ワークピースを処理する処理チャンバとの間で半導体ウェーハのようなワークピースを搬送するエンドエフェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造の工程は、ロボットアームを用いて、半導体ウェーハを、搬送チャンバを通じてウェーハ格納カセットから処理チャンバへ搬送するステップ又はロボットアームを用いて、半導体ウェーハを、処理チャンバから別の処理チャンバへ搬送するステップを備える。ロボットアームには、ウェーハを搬入し、ウェーハをあるチャンバから別のチャンバへ運ぶエンドエフェクタが形成される。典型的には、エンドエフェクタは、ウェーハを把持するための機械的な把持機構を有さず、ウェーハの位置決め又はアライメント機構(例えば、米国特許公開第2012/0325148号公報及び米国特許第8,041,450号公報に開示され、各開示は、その全体が参照により本明細書に援用される)により、ウェーハは、搬送するためにエンドエフェクタに配置される。ウェーハは、重力によって生じるエンドエフェクタの表面に対する摩擦によって運ばれる間、エンドエフェクタ上に留まる。スループットが増大すると、ロボットアームによる搬送速度も速くなる。搬送速度が速いとき、ウェーハは摩擦によってエンドエフェクタ上に留まっているため、ウェーハは、時折、エンドエフェクタに対して移動し、不適切にスリップし、それにより、搬送エラーが発生し、搬送の安定性が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
また、パーティクルの発生を抑制するために、ウェーハが真空雰囲気で搬送されるとき、機械的なクランプの使用、又はウェーハの周縁部を受け取るために傾斜した周縁突出部を有するエンドエフェクタの使用は、困難である。すなわち、機械的なクランプを使用する際には、機械的なクランプがウェーハに接触するとき、機械的なクランプは、ウェーハのエッジ付近の膜にダメージを与えてしまい、パーティクルが発生する場合がある。また、傾斜した周縁突出部を有するエンドエフェクタを使用する際には、ウェーハが、ウェーハを位置決めする傾斜した周縁突出部に沿って下向きにスリップしたとき、ウェーハのエッジは、傾斜した周縁突出部に対して摩擦を生じ、パーティクルが発生する場合がある。さらに、静電チャックは、帯電及び放電時間が必要となる点、及びパーティクルを吸着する点に問題を有する。よって、半導体ウェーハを搬送する方法としては、エンドエフェクタの支持ピンに半導体ウェーハを配置し、半導体ウェーハを運ぶことが好ましい。しかし、上述したように、当該方法は、搬送速度を速くすることができないという欠点を有する。
【0004】
本発明の少なくとも1つの実施形態は、上記の課題の少なくとも1つを効果的に解決することができる。関連分野に関係する問題及び解決策の上記のいずれかの説明は、本発明についての関連性を提供する目的のためだけに本開示に含まれ、それらの説明のいずれか又は全ては本発明がなされた時点で知られていたことを認めるものと解釈されるべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一部の実施形態は、従来の方法を用いずにエンドエフェクタによってウェーハを搬送する方法を提供し、それにより、従来の方法の課題の少なくとも一つを解決する。一部の実施形態では、ファンデルワールス力を発生するパッドは、エンドエフェクタとウェーハとの接触部分に設けられ、ウェーハは、エンドエフェクタによって接着かつ保持され、それにより、ウェーハがエンドエフェクタから滑ることを防ぐことができる。吸着パッドは、例えば、ウェーハの裏側と接触する吸着パッドによって発生されるファンデルワールス力を用いることによりウェーハを保持する。また、吸着パッドは、ウェーハの裏側に対して吸着パッドを傾斜させることにより、ウェーハが吸着パッドの接触領域から徐々に離れることを可能にする構成を有する。したがって、吸着パッドは、ウェーハの傾斜部分又はエッジ部分と接触せずにウェーハを保持することができ、ウェーハは、搬送時の加速又は減速によって発生する力に耐えることができ、それにより、ウェーハが吸着パッドから滑ることを防ぎつつ、ウェーハの搬送速度を非常に速くすることができる。さらに、静電チャックとは異なり、吸着パッドは、帯電及び放電時間を必要としない。吸着パッドは、支持ピンのような、当該パッドがウェーハを支持する機能も有することを特徴としており、それにより、余分なピンを削減することができる。さらに、ウェーハに接触する吸着パッドの面は、従来の接着テープ等に類似しているが、従来の接着テープではなく、ウェーハは、吸着パッドから容易に引き離されることができる。
【0006】
本発明の態様及び関連分野に対して達成された利点を要約する目的のために、本発明の特定の目的及び利点が本開示に記載されている。もちろん、全てのこのような目的又は利点は本発明の任意の特定の実施形態に従って達成され得ることを必ずしも必要としないことは理解される。したがって、例えば、当業者は、本明細書に教示又は示唆され得るような他の目的又は利点を必ずしも達成しなくても、本明細書に教示されている一つの利点又は一群の利点を達成又は最適化するように本発明が具現化され得るか又は実施され得ることを認識するであろう。
【0007】
本発明のさらなる態様、特徴及び利点は以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明のこれら及び他の特徴を好ましい実施形態の図面を参照して記載するが、それらは本発明を例示するためであり、本発明を限定するものではない。図面は、説明の都合上、非常に簡略化されており、必ずしも縮尺通りではない。
【0009】
図1図1は、本発明の一部の実施形態において使用可能なデュアルチャンバモジュールを有する半導体処理装置の模式的な平面図である。
図2図2は、本発明の一部の実施形態において使用可能なデュアルウェーハハンドリングロボットの模式的な平面図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係るエンドエフェクタの模式的な平面図である。
図4図4は、図3に示されるエンドエフェクタの模式的な側面図である。
図5図5は、図3に示されるエンドエフェクタの模式的な平面図であり、ウェーハ支持領域を示す。
図6図6は、(a)本発明の一実施形態に係るアンチスリップ突出ボディの図、及び(b)本発明の一実施形態に係るエンドエフェクタにおいて、アンチスリップ突出が設置される構造の図からなる。
図7図7は、本発明の一実施形態に係るウェーハが持ち上げられたときの移動を示すエンドエフェクタの模式的な側面図である。
図8図8は、(a)本発明の一実施形態に係るアンチスリップ突出部を旋回するためのスプリングピンの模式的な前面図、(b)本発明の別の実施形態に係るアンチスリップ突出ボディを旋回するためのスプリングピンの模式的な前面図、及び(c)(b)に示されるスプリングピンの模式的な側面図からなる。
図9図9は、本発明の一実施形態に係る(a)原点位置におけるアンチスリップ突出ボディの側面図、及び(b)上位置におけるアンチスリップ突出ボディの側面図からなる。
図10図10は、本発明の実施形態に係る(a)及び(b)が付された原点位置及び(c)が付された離隔位置における様々な高さを有するエンドエフェクタを示す模式的な側面図である。
図11図11は、本発明の実施形態に係る(a)が付された原点位置から(d)が付された離隔位置へ回転する際のエンドエフェクタの動きを示す模式的な側面図である。
図12図12は、(a)本発明の一実施形態に係る仮想ワークピースを有するエンドエフェクタの模式的な斜視図、及び(a)で示されたエンドエフェクタに図示されるアンチスリップ突出ボディの模式的な斜視図からなる。
図13図13は、本発明の一実施形態に係るアンチスリップ突出ボディの模式的な断面図であり、アンチスリップ突出ボディの回転移動を示す。
図14図14は、本発明の一実施形態に係るアンチスリップ突出ボディの模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示では、「一つ」の物品は、一つの種類又は複数の種類を含む属性を指す。さらに、本開示において、任意の2つの数の変数は、その変数の実行可能な範囲を構成でき、実行可能な範囲は通常作業に基づいて決定でき、示された任意の範囲はエンドポイントを含んでいてもよく、又は除外していてもよい。開示された実施形態の全てにおいて、一実施形態において使用されている任意の要素は、意図される目的のために本明細書に明確、必然的又は本質的に開示されている要素を含む、要素と等価の任意の要素と置き換えられてもよい。さらに、示された変数の任意の値(それらが「約」と共に示されているか否かに関わらず)は、正確な値又はおおよその値を指し、同値を含んでもよく、一部の実施形態において、平均値、中央値、代表値、多数値などを指してもよい。「構成される」は、一部の実施形態において、「備える」、「実質的に〜からなる」又は「からなる」を指す。本開示において、任意の定義された意味は、一部の実施形態において、通常及び慣例の意味を必ずしも除外しているわけではない。
【0011】
条件及び/又は構造が特定されていない本開示において、当業者は、通常の実験として、本開示を考慮してそのような条件及び/又は構造を容易に得ることができる。
【0012】
一部の実施形態では、(連続的な層である)誘電体膜は、プラズマエンハンストCVD、熱CVD、サイクルCVD、プラズマエンハンストALD、熱ALD、ラジカルエンハンストALD又は他の薄膜堆積方法によってウェーハ又は半導体基板上に形成されることができる。典型的には、誘電体の厚さは、約5nmから約500nmの範囲である。
【0013】
実施形態は、好ましい実施形態に対して説明される。しかし、本発明は、好ましい実施形態に限定されない。
【0014】
実施形態は、ロボットアームに取り付けられるように構成され、ワークピースを搬送するためのアンチスリップエンドエフェクタを提供し、アンチスリップエンドエフェクタは、(i)搬送のために前記ワークピースを配置するワークピース支持領域と、(ii)前記ワークピースの裏面を支持するために前記ワークピース支持領域に配置される少なくとも1つのアンチスリップ突出部と、を備え、前記アンチスリップ突出部は、ファンデルワールス力により前記ワークピースの裏面と接触及び接着可能であり、かつ旋回軸の周りを旋回可能な上面を有し、前記旋回軸は、上から見たときに前記上面の中心から離れて配置される。一部の実施形態では、少なくとも1つのアンチスリップ突出部は、ワークピース支持領域の中央付近に配置される1つのアンチスリップ突出部からなる。一部の実施形態では、少なくとも1つのアンチスリップ突出部は、ワークピースの重さが各アンチスリップ突出部に均等に分配されるようにワークピース支持領域に割り当てられる複数のアンチスリップ突出部からなる。一部の実施形態では、複数のアンチスリップ突出部は、ワークピース支持領域の中心に対して、かつチャンバに向かってエンドエフェクタに配置されるワークピースの搬入方向に対して、左右対称かつ前後対称である位置においてワークピース支持領域に配置される。一部の実施形態では、アンチスリップ突出部の数は、1、2、3、4、5、6、7又は8である。
【0015】
上記では、アンチスリップ突出部の上面は、ワークピースがエンドエフェクタに搬入されたときに、ワークピースの裏面と接触する接触箇所によって構成される面である。一部の実施形態では、上面の大きさは、約4mmから約400mmであり、約25mmから約100mmであることが好ましく、上面の形状は、上から見たときに、矩形、円形、楕円、三角形、多角形、菱形等である。
【0016】
上面は、上から見たときに、上面の中心から離れて配置される旋回軸の周りを旋回可能である。旋回軸が上面の中心から離れて配置されるため、ワークピースが上面から相対的に離れて移動する(つまり、ワークピースがエンドエフェクタに対して上昇する、エンドエフェクタがワークピースに対して下降する、又はその両方である)とき、横方向の力が上面の中心に向かって生成され、それにより、上面を旋回軸の周りを旋回させる。上面の旋回運動は、ワークピースが上面から相対的に離れて移動するときに、上面がワークピースの裏面から離れることを容易にする。
【0017】
上面がファンデルワールス力によってワークピースの裏面に接着するために、ヤモリの足の裏の毛のような微細な毛は、典型的には、マイクロメートルオーダーの表面粗さを有するワークピースの裏面に対して効果的に使用することができる。一部の実施形態では、ワークピースの裏面は、鏡面仕上げが施されており、ワークピースの裏面は、4nm以下の表面粗さを有してもよい(典型的には、約1nm以下)。
【0018】
一部の実施形態では、アンチスリップ突出部の上面は、多数のカーボンナノチューブにより構成される。一部の実施形態では、カーボンナノチューブの長さは、約10nmから約2mmの範囲であってもよく、典型的には、約50nmから約1,000nmの範囲であり、カーボンナノチューブの直径は、約2nmから約100nmの範囲であってもよく、典型的には、約5nmから約50nmの範囲であり、カーボンナノチューブの密度は、約10から約1011/cmであってもよく、典型的には、約10から約1010/cmである。
【0019】
一部の実施形態では、少なくとも1つのアンチスリップ突出部は、エンドエフェクタの近位端から遠位端へ延びるエンドエフェクタの中心線に対して左右対称に配置される複数のアンチスリップ突出部によって構成され、各アンチスリップ突出部の旋回軸は、上から見たときに、ワークピース支持領域の中心を通過する線分に垂直に配置される。上記では、上面の全てがワークピース支持領域の中心を通過する線分に沿って移動するため、ワークピースがエンドエフェクタから相対的に移動するとき、上面は、互いに近づく又は離れて移動し、ワークピースが膨張又は収縮しないため、上面は、ワークピースが大きく又は実質的に側方変位することなく、ワークピースの裏面から引き離される。
【0020】
一部の実施形態では、アンチスリップ突出部は、(i)旋回軸によって貫通されるベース部と、(ii)ベース部に直接又は間接的に形成され、かつワークピース支持領域にほぼ平行な一つの方向に延びる上部と、を備え、上部の上表面は、上面を構成する。一部の実施形態では、ベース部は、ほぼ逆三角形の断面を有し、旋回軸は、逆三角形の断面の下端近傍の位置でベース部を貫通する。上記の実施形態では、ベース部は、旋回軸の周りを容易かつ安定に旋回することができる。一部の実施形態では、上部の高さは、約0.5mmから約7.0mmの範囲であってもよく、典型的には、約1.0mmから約3.0mmの範囲であり、ベース部の高さは、約2.0mmから約28.0mmの範囲であってもよく、典型的には、約2.0mmから約5.0mmの範囲であり、これらはエンドエフェクタの厚さに依存する。一部の実施形態では、ワークピース支持領域は、アンチスリップ突出部のベース部が内部に配置される凹部を有し、アンチスリップ突出部の上部は、凹部の上に配置される。凹部の大きさは、ベース部が凹部の旋回軸をロックすることができる程度に十分であるべきである。一部の実施形態では、アンチスリップ突出部の上部の裏面は、原点位置においてワークピース支持領域の表面と接触し、アンチスリップ突出部は、アンチスリップ突出部の上部をワークピース支持領域の表面から離れて移動するように旋回することができる。それに替えて、アンチスリップ突出部のベース部は、凹部を有さずに、ワークピース支持領域に設置されることができる。
【0021】
一部の実施形態では、アンチスリップ突出部の上部に形成される上面は、伸長された側の上部の端部に向かって湾曲される。湾曲部によるワークピースの裏面の離隔は、突然生じることはなく、徐々に生じる。これは、ワークピースがエンドエフェクタから相対的に離れて移動すると、ワークピースの裏面と接触する湾曲部の接触領域が湾曲部に沿って移動するためである。一部の実施形態では、湾曲部の曲率は、上面の伸長部の端部に向かって大きくなっており、伸長部の端部における上面は、ワークピース支持領域の平面に対して約90°に設定される。
【0022】
一部の実施形態では、上面は、アンチスリップ突出部の上表面に取り付けられたカーボンナノチューブベースの人工ヤモリテープによって構成され、セラミックス、シリコン、ガラス及び樹脂からなる群から選択された材料から製造される。ヤモリテープとしては、日本の日東電工株式会社から入手できる適切なヤモリテープを使用することができ、Liehui Geらによる“Carbon nanotubes−based synthetic gecko tapes”, PNAS, June 26, 2007, vol. 104, no. 26, pp. 10792−10795に説明されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。一部の実施形態では、上面は、シリコンからなるアンチスリップ突出部の上表面に、例えば、触媒化学気相成長(catalytic chemical vapor deposition (CCVD))を用いて直接堆積されたカーボンナノチューブによって構成され、ここで、カーボンナノチューブは、Si基板に形成されるFe/Al層上に約500μmから約700μmの高さに到達するように成長することができる。
【0023】
一部の実施形態では、ワークピース支持領域は、セラミックス、炭素複合材及びアルミニウム合金によって構成される。一部の実施形態では、旋回軸は、スルーホールがベース部に形成された下端近傍のベース部の一部を貫通する金属ピン(例えば、ステンレススチールピン)によって構成される。代替として、旋回軸は、スルーホールの代わりにベース部の側面の凹部を用いて形成されることができ、ベース部は、凹部と係合する短いピンによって回転可能に支持される。
【0024】
一部の実施形態では、アンチスリップ突出部は、アンチスリップ突出部の上部がワークピース支持領域の表面から離れて移動するように旋回した後、重力によって原点位置に戻るように旋回する。上記の実施形態では、ワークピースの裏面から離れた後に、アンチスリップ突出部が重力によって原点位置に戻るため、ワークピース搬送処理を繰り返すときに特別な戻り機構を必要としない。
【0025】
一部の実施形態では、アンチスリップ突出部の上部に形成される上面は、原点位置でワークピースの裏面との接触をもたらす接触領域を有し、接触領域は、上から見たときに、旋回軸と伸長した側の上部の端部との間に位置付けられる。上記の実施形態では、接触領域が旋回軸と伸長部の上部の端部との間に位置するため、ワークピースがエンドエフェクタから相対的に離れて移動するとき、上面は、角度モーメント又は回転トルクのモーメントによって旋回軸で容易に旋回し、ワークピースの裏面から上面を徐々に離隔することを実現する。一部の実施形態では、アンチスリップ突出部の上部に形成される上面は、接触領域と、伸長した側の上部の端部との間で湾曲される。
【0026】
一部の実施形態では、アンチスリップ突出部の上部に形成される上面は、上から見たときに、旋回軸に垂直な方向が旋回軸の方向よりも長い長方形形状を有し、安定した動作を実現することができる。
【0027】
一部の実施形態では、ワークピースがワークピース支持領域に配置されたとき、少なくとも1つのアンチスリップ突出部の上面は、ワークピースの裏面と接触する唯一の領域である。一部の実施形態では、エンドエフェクタは、さらに、ワークピース支持領域に配置されたワークピースが前方突出部を越えて移動することを制限するために、ワークピースのエッジに係合するワークピース支持領域の遠位端に配置された少なくとも1つの前方突出部と、ワークピース支持領域に配置されたワークピースが後方突出部を越えて移動することを制限するために、ワークピースのエッジに係合するワークピース支持領域の近位端に配置された少なくとも1つの後方突出部と、を備え、ワークピースの裏面は、エンドエフェクタに形成された前方突出部及び後方突出部とさらに接触し、ワークピースは、前方突出部と後方突出部との間に配置される。
【0028】
一部の実施形態では、ワークピースの裏面は、Si、SiO、SiN、SiC又はガリウム砒素(GaAs)によって構成される。典型的には、ワークピースは、Siウェーハであり、その裏面は、シリコンで構成されるが、ウェーハの裏面は、例えば、SiO、SiN、SiC又はガリウム砒素(GaAs)からなる膜で被覆されることができる。
【0029】
本発明の別の態様は、垂直、前後及び側方に移動可能な少なくとも1つのロボットアームと、各ロボットアームの遠位端に取り付けられた、本明細書で開示されるいずれかのアンチスリップエンドエフェクタと、を備えるワークピースを搬送するロボットアームを提供する。
【0030】
本発明のさらに別の態様は、本明細書で開示されるいずれかのアンチスリップエンドエフェクタを用いてワークピースを搬送する方法であって、(a)エンドエフェクタが取り付けられたロボットアームを提供するステップと、(b)エンドエフェクタのワークピース支持領域にワークピースを搬入するステップであって、ワークピースの裏面が各アンチスリップ突出部の上面に取り付けられる、ステップと、(c)エンドエフェクタのワークピース支持領域にワークピースを保持した状態で、ロボットアームを用いて1つのチャンバから別のチャンバへワークピースを搬送するステップと、(d)ワークピースをエンドエフェクタから相対的に移動することにより別のチャンバにワークピースを搬出するステップと、を備え、アンチスリップ突出部のそれぞれの上面は、旋回軸の周りを旋回し、かつ、ワークピースをエンドエフェクタから離れて移動しながら、ワークピースの裏面から徐々に引き離される、方法を提供する。
【0031】
本発明は、図面を参照して説明されるが、これは、単なる例示であり、本発明を限定するものではない。
【0032】
図3は、本発明の一実施形態に係るエンドエフェクタの模式的な平面図である。エンドエフェクタは、パドル45と、パドル45から延びる左ブレード44b及び右ブレード44aと、ロボットアームに取り付けられるように構成される結合部48と、によって構成される。パドル45は、エンドエフェクタをロボットアームに固定するための穴(図示せず)を有する。ブレード44b,44aの遠位端には、前方突出部43b,43aがそれぞれ設けられ、ウェーハがスリップした際に、ウェーハがエンドエフェクタから落ちることを防ぐ。前方突出部は、エンドエフェクタ上でウェーハを位置決めするためにも使用されうる。パドル45の近位端は、ウェーハの移動を制限する後方突出部47b,47aも有している。遠位端の近傍において、右ブレード44aは、凹部42aを有し、パッド(アンチスリップ突出部)41aは、旋回軸としてのスプリングピン49aを用いて凹部42aに回転可能に設置される。旋回軸は、上から見たときに、ワークピース支持領域62(図5参照)の中心46cを通過する線分46aに垂直に配置される。
【0033】
遠位端の近傍においてパッド41bは、スプリングピン49bを有する凹部42bに回転可能に設置され、左ブレード44bは、右ブレードと同様の構造を有する。スプリングピン49bによって構成される旋回軸は、上から見たときに、ワークピース支持領域62(図5参照)の中心46cを通過する線分46bに垂直に配置される。パドル45は、各側の周縁に近い近位端近傍において、凹部42c,42bにそれぞれ回転可能に設置されるパッド41c,41dも有している。それぞれスプリングピン49c,49dで構成される旋回軸は、中心46cを通過する線分46b,46aのそれぞれに垂直に配置される。複数のアンチスリップ突出部41a〜41dは、エンドエフェクタの近位端(後方端)から遠位端(前方端)へ延びるエンドエフェクタの中心線及び中心46cを通過する中心線に垂直な線分に対して、左右対称に配置され、また、前後対称に配置される。
【0034】
図4は、図3に示されるエンドエフェクタの模式的な側面図である。スプリングピン49b,49dは、側面にボアホールを有するエンドエフェクタの側面から挿入され、スプリングピン49b,49dは、パッド41b,41dのそれぞれのスルーホールを通り、凹部42c,42bのそれぞれの他方側に到達する。スプリングピン49a,49bは、スプリングピン49b,49dと同様に、エンドエフェクタの他方側から挿入される。
【0035】
図8は、(a)本発明の一実施形態に係るアンチスリップ突出部を旋回するためのスプリングピン49の模式的な前面図、(b)本発明の別の実施形態に係るスプリングピン49の模式的な前面図、及び(c) (b)に示されるスプリングピン49の模式的な側面図を示す。一部の実施形態では、スプリングピンの長さ(L)は、約5mmから約30mmであり、スプリングピンの直径(D)は、約1mmから約3mmである。(a)のスプリングピンは、長さ方向に沿って溝を有するが、(b)のスプリングピンは、(c)に示されるように長さ方向に沿って形成される開口部を有する中空状である。ピンは、このタイプである必要はなく、任意の適切なピンを使用することができる。
【0036】
ワークピース支持領域は、前方突出部43b,43a及び後方突出部41c,41dによって定義される。図5は、図3に示されるエンドエフェクタの模式的な平面図であり、ウェーハ支持領域を示し、ここで、配置されるべきウェーハは、破線で示される。一部の実施形態では、ワークピース支持領域を含むエンドエフェクタは、Alで構成され、例えば、約300mmの長さを有する。エンドエフェクタの上面からの前方突出部43a,43bの高さは、約2.3mmであり、例えば、上面からのアンチスリップ突出部41a,41b,41c,41dの高さは、約1.5mm(典型的だが、前方及び後方突出部よりも常に短い)であり、例えば、上面から後方突出部47a,47bの高さは、約2.5mmである。上記の変数は、一部の実施形態では、±50%変更されうる。
【0037】
図6は、(a)本発明の一実施形態に係るアンチスリップ突出ボディ(パッド)41の図、及び(b)本発明の一実施形態に係るエンドエフェクタにおいて、アンチスリップ突出部が設置される構造の図からなる。アンチスリップ突出部は、(i)旋回軸によって貫通されるスルーホール55を有するベース部51bと、(ii)ベース部51bの上に形成され、ワークピース支持領域62に略平行な一方向に延びる上部51aと、を備え、ここで、上部の上表面は、上面52を構成する。上部51aは、底面がワークピース支持領域62の表面と接触する伸長部53を有し、上面52は、伸長部53において湾曲領域54を有する。アンチスリップ突出ボディ41は、エンドエフェクタ57に形成される凹部56に回転可能に設置される。上面は、ファンデルワールス力によるアンチスリップ特性を有する。凹部56は、底部を有する必要はなく、ボトム−レス(つまり、スルーホール)であることができる。
【0038】
図7は、本発明の一実施形態に係るウェーハがエンドエフェクタから相対的に離れて移動するときの動きを示すエンドエフェクタの模式的な側面図である。アンチスリップ突出ボディ41は、旋回軸49の周りを旋回するように、エンドエフェクタ57に形成される凹部56に回転可能に設置される。アンチスリップ突出ボディ41が、伸長部の底部がワークピース支持領域の表面と接触する原点位置にあるとき、破線で示されるウェーハ61aの裏面は、上面の上側表面と接触し、アンチスリップ突出ボディ41の上面のアンチスリップ特性により、アンチスリップ突出ボディ41に接着している間、ウェーハ61aは、別の位置へ安定かつ安全に搬送される。ウェーハ61bがエンドエフェクタ57から相対的に離れて移動するとき、ウェーハ61bの裏面は、アンチスリップ突出ボディ41が旋回軸49の周りを旋回している間、アンチスリップ突出ボディ41から離れ始める。上面が伸長部において湾曲領域54を有するため、上面からのウェーハの離隔は、突然生じるのではなく、徐々に生じる。これは、ウェーハがエンドエフェクタから相対的に離れて移動するときに、ウェーハの裏面と上面との間の接触領域が突然ゼロにならず、ウェーハの裏面と上面との間の接触領域が徐々に減少するためである。アンチスリップ突出ボディの回転により、ウェーハの側方変位がわずかに生じるが、これは、アンチスリップ突出ボディ全体が、図3に示される実施形態のワークピース支持領域の中央に向かって移動するため、重要ではない。
【0039】
図9は、本発明の一実施形態に係る、(a)原点位置におけるアンチスリップ突出ボディの側面図、及び(b)上位置におけるアンチスリップ突出ボディの側面図からなる。アンチスリップ突出部の上部51aに形成される上面は、原点位置におけるワークピースの裏面と接触をもたらす接触領域52aを有し、(a)に示される接触領域52aの実質的な部分又は全ては、上から見たときに、ベース部51bに形成される旋回軸49と伸長部53の先端との間に位置付けられる(線分63は、上から見たときに、旋回軸49の一部を示す)。ベース部51bは、エンドエフェクタ57の凹部56の内部にあり、原点位置において、伸長部53の裏面は、(a)に示されるように、エンドエフェクタ57の表面57aに接触している。上面は、接触領域52aを有するだけでなく、伸長部53において湾曲領域54も有しており、(b)に示すように上部においてウェーハがエンドエフェクタから相対的に離れて移動するとき、湾曲領域54は、ウェーハの裏面と接触し、ワークピースの裏面から接触領域52aが突然離れることを効果的に防ぐことができる。ワークピースがエンドエフェクタから相対的に離れて移動すると、アンチスリップ突出ボディは旋回し、伸長部53の裏面は、上表面57aから離れて移動し、ベース部51bの前側は、凹部56の前方壁56bから離れて移動する。ベース部51bの後側が後方壁56a接触すると、ベース部51bの旋回移動は、(b)に示すように上位置において停止される。上位置において、ワークピースの裏面と接触される湾曲領域54は、ワークピースがエンドエフェクタから連続的かつ相対的に離れて移動すると、ワークピースの裏面から離れ始める。上から見たときに重心(center of gravity(CG))が旋回軸49と伸長部53の先端との間に位置付けられるため、湾曲領域54がワークピースの裏面から離れるとき、アンチスリップ突出ボディは、特別な機構を用いることなく、重力によって原点位置へ戻る。アンチスリップ突出ボディの戻る動きを促すために、凹部56の後方壁56aの角度(これは、水平方向に対する凹部56の前方壁56aの角度よりも大きい)及び伸長部53の伸長長さは調整されることができ、アンチスリップ突出ボディの重心は、上から見たときに、伸長部53の先端に近い位置において旋回軸49と伸長部53の先端との間に位置付けられる。
【0040】
図10は、本発明の実施形態に係る、(a)及び(b)が付された原点位置及び(c)が付された離隔位置において様々な高さを有するエンドエフェクタを示す模式的な側面図である。一部の実施形態では、アンチスリップ突出ボディ71の上部の最小高さは、(a)に示されるように約0.5mmであり、アンチスリップ突出ボディ72の上部の最大高さは、(b)に示されるように約7.0mmである。ワークピースがエンドエフェクタから相対的に離れて移動すると、アンチスリップ突出ボディ71,72が図において時計回りに旋回軸49の周りを回転するとき、接触領域の湾曲領域は、ワークピースの裏面と接触し、その後、最大高さ(つまり、上位置)においてそこから引き離される。一部の実施形態では、最大高さは、(c)に示されるように約10mmである。一部の実施形態では、アンチスリップ突出ボディは、約5°から約30°、典型的には約8°から約20°の角度(A)において原点位置から上位置へ旋回軸49の周りを回転又は旋回してもよい。
【0041】
図11は、本発明の実施形態に係る、(a)が付された原点位置から(d)が付された離隔位置へ回転する際のエンドエフェクタの動きを示す模式的な側面図である。アンチスリップ突出ボディ71の上面52は、(a)に示される原点位置においてワークピース61の裏面と接触する最大面積又は最大の接触度合いを有する。ワークピース61がエンドエフェクタ57から離れ始めるとき(又はエンドエフェクタ57がワークピース61から離れ始めるとき)、(b)に示されるようにアンチスリップ突出ボディ71が、エンドエフェクタ57の上表面から離れて旋回軸49の周りを旋回すると、上面52とワークピースの裏面との間の接触面積又は接触の度合いは、減少する。ワークピース61が連続的に上昇する(又はエンドエフェクタが連続的に下降する)とき、アンチスリップ突出ボディは、上位置に到達しようとしており、アンチスリップ突出ボディの上部分は、エンドエフェクタに対して最も高い位置に到達しようとしており、湾曲領域54のほとんどの部分は、ワークピース61の裏面と接触しているため、上面52とワークピースの裏面との接触面積又は接触の度合いは、(c)に示されるものよりも小さくなる。アンチスリップ突出ボディが上位置に到達したとき、アンチスリップ突出ボディの上部は、エンドエフェクタに対して最も高い位置に到達し(アンチスリップ突出ボディが回転を停止する)、湾曲領域54のみがワークピース61の裏面と接触し、よって、上面52とワークピースの裏面との接触面積又は接触の度合いは、最小になり、ワークピース61の裏面及び湾曲領域54は、(d)に示されるように、ワークピース及びエンドエフェクタが互いに離れて移動しつつ、別々になる。この図に示されるように、ワークピース及びエンドエフェクタが互いに徐々に離れて移動するとき、ワークピースの裏面とアンチスリップ突出ボディの接触領域との接触面積又は接触の度合いは、徐々に小さくなり、それにより、ワークピースの突然の跳ね上がり又は不意の移動を効果的に防ぐことができる。
【0042】
図12は、(a)本発明の一実施形態に係る仮想ワークピース81を有するエンドエフェクタ82の模式的な斜視図、及び(b)(a)で示されたエンドエフェクタ82に図示されるアンチスリップ突出ボディ83の模式的な斜視図からなる。アンチスリップ突出ボディ83は、図3と同様に、エンドエフェクタ82に設置され、ここで、各アンチスリップ突出ボディ83の水平軸は、ワークピース支持領域の中心に向けられ、各アンチスリップ突出ボディ83は、その上面がワークピース支持領域の垂直軸に向かって移動するように回転可能である。アンチスリップ突出ボディ83は、(b)に示されるように、集積されたユニットによって構成され、集積されたユニットは、非可動部及び可動部で構成され、さらに、非交換可能部及び交換可能部で構成される。非可動部は、例えば、ねじ90によってエンドエフェクタに固定される支持部88で構成される。可動部は、ベース部86により構成され、ベース部86は、支持部88の周りを旋回し、かつ旋回軸87の周りを旋回可能であり、上部84bは、コネクタ85を介してベース部86に取り付けられ、例えば、コネクタ85は、ねじ89によってベース部86に固定される。上部84bには、上面84aが形成される。よって、コネクタ85を有し、上面84aを含む上部84bは、上面84aが下がったとき、例えば、支持部88及びベース部86を交換せずに、交換可能である。上面84aは、ファンデルワールス力によってワークピースの裏面に接触及び接着可能である。例えば、ヤモリテープがパッド84bに取り付けられる又はカーボンナノチューブが上部84bに堆積されて、上面84aを構成する。
【0043】
図13は、本発明の一実施形態に係るアンチスリップ突出ボディの模式的な断面図であり、アンチスリップ突出部ボディの回転移動を示す。この図は、アンチスリップ突出ボディ及びその回転運動を示すために、図12よりも簡素化されている。エンドエフェクタ82は、前方が凹んだステップ93及び後方が凹んだステップ94を有するスルーホール92を有し、前方が凹んだステップ93は、スルーホール92の前方に配置され、後方が凹んだステップ94は、スルーホール92の後方に配置される。支持部88は、後方が凹んだステップ94に固定される。上部84b、コネクタ85及びベース部86は、集積され、かつ旋回軸87の周りを共に回転し、旋回軸87は、支持部88及びベース部86を貫通する。コネクタ85は、原点位置において前方が凹んだステップ93にあり、上面84aは、エンドエフェクタ82の上表面91よりも高い位置にあり、そのため、上面84aは、裏面がエンドエフェクタの他の部分と接触しないワークピースの裏面に接触及び接着する(ワークピースの周辺は、位置決めのためにエンドエフェクタの上表面に設けられた突出部に接触してもよいが、一部の実施形態は、上記のワークピースの周辺の接触を回避することができる)。ワークピースがエンドエフェクタ82から相対的に離れて移動すると、上面84aがファンデルワールス力によってワークピースの裏面に接着しているため、上部84b、コネクタ85及びベース部86は、旋回軸87の周りを回転し、コネクタ85及びベース部86は、図13に示されるように、前方が凹んだステップ93から離れて移動する。この構成では、アンチスリップ突出ボディの重心は、上から見たときに、旋回軸87と上部84bの遠位端との間に明確に配置される。よって、アンチスリップ突出ボディは、上面84aがワークピースの裏面から離れた後に、重力によって原点位置に確実に戻ることができる。さらに、構成が簡素なため、アンチスリップ突出ボディは、エンドエフェクタに容易かつ安価に設置することができる。さらに、ベース部を交換せずに、上部を交換することができ、費用を削減することができる。一部の実施形態では、上部84bは、アルミニウムからなり、これには、その表面に取り付けられたカーボンナノチューブベースのテープ(「ヤモリテープ(Gecko tape)ともいわれる」)が形成され、コネクタ85は、アルミニウムからなり、ベース部86は、アルミニウムからなり、支持部88は、アルミニウムからなり、旋回軸87は、ねじからなり、エンドエフェクタ82は、セラミック又はSiCからなる。
【0044】
図14は、本発明の一実施形態に係るアンチスリップ突出ボディの模式的な斜視図である。アンチスリップ突出ボディの構成及びその設置方法は、上部84dに形成される上面84cが湾曲していることを除いて、図12及び13に示されるアンチスリップ突出ボディと同様であり、上面からワークピースの裏面の突然の離隔を効果的に防ぐことができる。湾曲部分の曲率は、中央よりも小さく、上面の遠位端に向かって徐々に大きくなっていてもよい。
【0045】
エンドエフェクタは、図2に示されるように、ロボットアームに取り付けられるように構成される。図2は、本発明の一部の実施形態で使用可能なデュアルアームウェーハハンドリングロボットの模式的な平面図である。一部の実施形態では、このタイプのデュアルアームウェーハハンドリングロボットは、図1に示される装置で好ましく使用されることができる。しかし、処理ウェーハの数が4以下であるときには、例えば、単一のウェーハハンドリングロボット(典型的には、多軸ロボット)を使用することができる。図2に示されるように、ロボットアームは、フォーク形状部22aと、中央部22bと、底部22cとで構成される。フォーク形状部22aは、ウェーハを支持するエンドエフェクタ21R及び21Lを備える。フォーク形状部22aと中央部22bとは、結合部23aを介して接続され、中央部22bと底部22cとは、結合部23bを介して接続され、底部22cは、結合部23cを介してアクチュエータに接続される。一部の実施形態では、米国特許第5,855,681号で開示されるような適切なウェーハハンドリングロボットを使用することができ、その開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。一部の実施形態では、ロボットアームは、フォーク形状部に代えて、一度に3つのウェーハを搬送する三股部を有する。フォーク形状部22aの遠位端には、結合部31L,31Rが設けられ、エンドエフェクタの結合部48が取り付けられる。このロボットアームは、X軸に沿うエンドエフェクタの側方移動、Y軸に沿うエンドエフェクタの前方及び後方移動、Z軸に沿うエンドエフェクタの垂直移動及びZ軸の周りのエンドエフェクタの回転移動を制御することができる。
【0046】
図1は、本発明の一部の実施形態において図2に示されるロボットアームを用いるデュアルチャンバモジュールを有するウェーハ処理装置の模式的な平面図である。ウェーハ処理装置は、4つの処理モジュール1a,1b,1c,1d(それぞれに2つのリアクタが設けられる)、ウェーハ イン/アウトチャンバ5及びバックエンドロボット3に設けられるウェーハハンドリングチャンバ4を、以下に説明するシーケンスを実行するようにプログラムされた制御装置と共に組み合わせることが好ましく、これは、本発明の一部の実施形態で使用されることができる。この実施形態では、ウェーハ処理装置は、(i)同一平面上でウェーハを処理する8つのチャンバ(それぞれが右チャンバ(R)及び左チャンバ(L)を有する)を備え、4つの別々の処理モジュール(ユニット)1a,1b,1c,1dを構成し、各モジュール1は、前方が一列に並んで配置される2つのリアクタ2を有し、(ii)2つのバックエンドロボット3(ウェーハハンドリングロボット)を含むウェーハハンドリングチャンバ4を備え、それぞれが、各ユニットの2つのリアクタへ同時にアクセス可能な少なくとも2つのエンドエフェクタを有し、ウェーハハンドリングチャンバ4は、それぞれ4つの処理モジュール1a,1b,1c,1dに対応し、かつ取り付けられる4つの側及びウェーハ イン/アウトチャンバ5(ロードロックチャンバ)のための1つの別の側を有し、全ての側が同一平面上に配置される多角形状を有し、(iii)2つのウェーハを同時に搬入又は搬出するウェーハ イン/アウトチャンバ5を備え、ウェーハ イン/アウトチャンバ5は、ウェーハハンドリングチャンバの1つの別の側に取り付けられ、各バックエンドロボット3は、ウェーハ イン/アウトチャンバ5へアクセス可能である。各リアクタ2の内部及びウェーハ イン/アウトチャンバ5の内部は、ゲートバルブ9によってウェーハハンドリングチャンバ4の内部と隔てられうる。一部の実施形態では、コントローラ(図示せず)は、例えば、ウェーハ搬送のシーケンスを実行するようにプログラムされたソフトウェアを記憶する。コントローラは、また、図1に示されるように、各プロセスチャンバの状態をチェックし、センシングシステムを用いて各プロセスチャンバ内のウェーハを位置決めし、各モジュールのガスボックス及び電気ボックスを制御し、ローディングポート(LP)8及びロードロックチャンバ(LLC)5に格納されたウェーハの分布状態に基づいてエクイップメントフロントエンドモジュール(EFEM)6においてフロントエンドロボット(FERB)7を制御し、バックエンドロボット(BERB)3を制御し、ゲートバルブ(GV)9を制御する。ウェーハ処理装置は、本明細書の他の箇所に記載された堆積及びリアクタ洗浄処理を行わせるようにプログラム又は制御された一又はそれ以上のコントローラを含むことを当業者は理解するであろう。コントローラは、各種電源、加熱システム、ポンプ、ロボット及びガスフローコントローラ又はリアクタのバルブと接続されることも当業者によって理解されるであろう。
【0047】
一部の実施形態では、ウェーハ処理装置は、1以上(例えば、2、3、4、5、6又は7)の処理チャンバを有する。図1では、ウェーハ処理装置は、8つの処理チャンバを有しているが、10以上の処理チャンバを有することができる。典型的には、ウェーハ処理装置は、一又はそれ以上のデュアルチャンバモジュールを有する。一部の実施形態では、モジュールのリアクタは、プラズマエンハンストCVDリアクタ、熱CVDリアクタのようなCVDリアクタ、プラズマエンハンストALDリアクタ、熱ALDリアクタのようなALDリアクタ、エッチングリアクタ、及びUV硬化リアクタを含むウェーハを処理する又は扱う適切なリアクタであることができる。典型的には、処理チャンバは、ウェーハ上の薄膜又は層を堆積するためのプラズマリアクタである。一部の実施形態では、全てのモジュールは、ウェーハを処理するための同一の性能を有する同一のタイプのものであり、搬出/搬入は、連続的かつ定期的にタイミングを合わせることができ、生産性又はスループットを向上させることができる。一部の実施形態では、モジュールは、異なる性能(例えば、異なる処理)を有するが、ハンドリング時間は、ほぼ同一である。
【0048】
米国特許公開番号第2012/0305196号で開示される装置を一部の実施形態で使用することができ、当該特許公開公報の開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。一部の実施形態では、米国特許公開番号第2012/0325148号、米国特許第7,963,736号及び米国特許第8,041,450号で開示されるような適切なウェーハ位置決めシステムを採用することができ、その開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0049】
多数かつ様々な変更が本発明の趣旨から逸脱しない範囲でなされることが当業者によって理解されるであろう。よって、本発明の形態は、例示的なものであり、本発明の範囲を制限することを意図するものではないことが明確に理解されるべきである。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14