特開2015-202941(P2015-202941A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-202941(P2015-202941A)
(43)【公開日】2015年11月16日
(54)【発明の名称】エレベータシステム
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20151020BHJP
   B66B 5/00 20060101ALI20151020BHJP
【FI】
   B66B3/00 L
   B66B3/00 F
   B66B5/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-83597(P2014-83597)
(22)【出願日】2014年4月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000232944
【氏名又は名称】日立水戸エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】倉金 健文
(72)【発明者】
【氏名】加島 悠平
【テーマコード(参考)】
3F303
3F304
【Fターム(参考)】
3F303BA06
3F303CA14
3F303CB24
3F303CB31
3F303CB33
3F303CB46
3F303DB02
3F303DB13
3F303DB27
3F303DC25
3F304CA16
3F304EA12
3F304EA35
3F304ED01
3F304ED13
(57)【要約】
【課題】利用者が個人認証用携行品の携帯を忘れた場合に、その利用者に対して個人認証用携行品の携帯忘れを通知するエレベータシステムを提供する。
【解決手段】エレベータシステムにおいて、荷重検出装置9その他の検出装置で利用者が乗り込んだことを示す信号が検出され、かつ、当該利用者の個人認証用携行品に記録された個人認証キーデータを受信部(個人認証用受信機5)で検出していないことが判定された場合には、当該利用者が個人認証用携行品を携帯していないという判定がされ、かご内表示器7及び音声案内装置6は、当該利用者に個人認証用携行品の不携帯を知らせる表示又は音声の案内をする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアを有する乗りかごと、
前記乗りかごを制御する号機制御装置と、
かご内表示器と、
音声案内装置と、
前記乗りかご内に利用者が乗り込んだことを検出する検出装置と、
個人認証のための受信部と、
を備えたエレベータシステムにおいて、
前記検出装置で利用者が乗り込んだことを示す信号が検出され、かつ、当該利用者の個人認証用携行品に記録された個人認証キーデータを前記受信部で検出していないことが判定された場合には、当該利用者が前記個人認証用携行品を携帯していないという判定がされ、
前記かご内表示器及び前記音声案内装置は、当該利用者に前記個人認証用携行品の不携帯を知らせる表示又は音声の案内をする、
ことを特徴とするエレベータシステム。
【請求項2】
前記検出装置は、乗り込んだ利用者の荷重を検出する荷重検出装置である、請求項1記載のエレベータシステム。
【請求項3】
さらに、
前記乗りかごに設置されたかご端末と、
前記受信部からの信号を受ける個人認証サーバーと、を備え、
前記利用者が前記個人認証用携行品を携帯していないという前記判定、及び、前記利用者に前記個人認証用携行品の不携帯を知らせる表示又は音声の前記案内は、
前記検出装置から前記利用者が乗り込んだことを示す信号を検出した際に、前記利用者の個人認証用携行品に記録された個人認証キーデータを前記受信部で検出していないことを前記個人認証サーバーで判定した場合には、前記個人認証サーバーが、前記号機制御装置に対して、前記利用者が前記個人認証用携行品を携帯していないという不携帯データを送信し、
前記号機制御装置は、前記不携帯データを受信した場合は、前記かご端末に対して前記データを受信したことを通知するための情報データを送信し、
前記かご端末は、前記情報データを受信した場合には、前記かご内表示器及び前記音声案内装置に対して、前記個人認証用携行品の不携帯を前記利用者に知らせるための信号を出力し、
前記かご内表示器及び前記音声案内装置は、前記利用者に前記個人認証用携行品の不携帯を知らせる表示又は音声を発することにより行う、請求項1又は2に記載のエレベータシステム。
【請求項4】
さらに、
前記ドアの開閉を制御するドア制御部と、
前記乗りかご内に設置され、行き先階ボタン、ドア開ボタン及びドア閉ボタンを有する運転盤と、を備え、
前記ドア制御部は、前記ドアが開状態である場合には、前記ドアを開いておく時間を延長する指令を出力し、前記ドアが閉状態である場合には、前記ドア開ボタンを有効とする指令を出力する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエレベータシステム。
【請求項5】
前記利用者が前記個人認証用携行品を携帯していないという前記判定がされた場合には、前記利用者が乗り込んだ階で停止している間は前記ドア開ボタンを点滅させる、請求項4記載のエレベータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータのセキュリティの向上に関する従来技術の例としては、次のようなものがある。
【0003】
特許文献1には、不審者の侵入を防止することを目的として、かごをロビー階にて戸閉め待機させ、信号入力手段からの信号をあらかじめ登録した信号とエレベーター制御盤にて照合し、一致した場合にはドアを開けるエレベーター装置が開示されている。この文献の段落(0017)には、居住者が外出より住居に戻る時は、共同玄関の集合機(子機)にて住戸鍵を使いオートロックの解除操作を行うこと、居住者が非接触キーをキーリーダーヘッドに近づけること、キーリーダーヘッドの信号はキーリーダー制御盤を介し、エレベーター制御盤へ出力されエレベーター制御盤にて予め登録された信号と照合されること等が記載されている。
【0004】
特許文献2には、高いセキュリティ性を確保する観点から、前記乗場に設けられた登録用個人認証装置と、前記乗場の外部側の前記乗場入場ドアの近傍に設けられたドア解錠用個人認証装置と、を備えたエレベーターのセキュリティシステムが開示されている。この文献の段落(0017)には、個人認証の方式としては、利用者の指紋や虹彩等を用いた生体認証、IDカードやRFID(Radio Frequency Identification)タグ等を用いた認証、テンキー入力等による暗証番号やパスワードを用いた認証等の各種の認証方式を用いることができることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−348053号公報
【特許文献2】特開2011−168347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のエレベータシステムにおいては、居住階からエレベータに乗り込み、建屋外に外出する際には、個人認証によるエレベータの利用制限をしていないため、個人認証用のICカード、携帯電話、スマートフォン等(以下、「個人認証用携行品」という。)を携帯し忘れた場合には、帰宅時に乗りかご内に乗っても個人認証用携行品を携帯していないため、個人認証が不可能となり、居住階への行き先階ボタンを操作できない問題点があった。
【0007】
本発明の目的は、利用者が個人認証用携行品の携帯を忘れた場合に、その利用者に対して個人認証用携行品の携帯忘れを通知するエレベータシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のエレベータシステムは、検出装置で利用者が乗り込んだことを示す信号が検出され、かつ、当該利用者の個人認証用携行品に記録された個人認証キーデータを受信部で検出していないことが判定された場合には、当該利用者が個人認証用携行品を携帯していないという判定がされ、かご内表示器及び音声案内装置は、当該利用者に個人認証用携行品の不携帯を知らせる表示又は音声の案内をすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、利用者が個人認証用携行品の携帯を忘れた場合に、その利用者に対して個人認証用携行品の携帯忘れを通知することができるため、帰宅時にエレベータの利用ができなくなるという問題を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例のエレベータ制御システムを示す概略構成図である。
図2】エレベータの利用者が個人認証用のICカード等を携帯しているかを判別して制御する工程を示すフローチャートである。
図3】エレベータの制御工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係るエレベータシステムについて説明する。
【0012】
前記エレベータシステムは、ドアを有する乗りかごと、乗りかごを制御する号機制御装置と、かご内表示器と、音声案内装置と、乗りかご内に利用者が乗り込んだことを検出する検出装置と、個人認証のための受信部と、を備え、検出装置で利用者が乗り込んだことを示す信号が検出され、かつ、当該利用者の個人認証用携行品に記録された個人認証キーデータを受信部で検出していないことが判定された場合には、当該利用者が個人認証用携行品を携帯していないという判定がされ、かご内表示器及び音声案内装置は、当該利用者に個人認証用携行品の不携帯を知らせる表示又は音声の案内をすることを特徴とする。
【0013】
ここで、号機制御装置は、超小型演算装置(MPU:Micro−Processing Unit)を内蔵する。
【0014】
上記の検出装置は、乗り込んだ利用者の荷重を検出する荷重検出装置であってもよい。
【0015】
前記エレベータシステムは、さらに、乗りかごに設置されたかご端末と、受信部からの信号を受ける個人認証サーバーと、を備え、利用者が個人認証用携行品を携帯していないという判定、及び、利用者に個人認証用携行品の不携帯を知らせる表示又は音声の案内は、検出装置から利用者が乗り込んだことを示す信号を検出した際に、利用者の個人認証用携行品に記録された個人認証キーデータを受信部で検出していないことを個人認証サーバーで判定した場合には、個人認証サーバーが、号機制御装置に対して、利用者が個人認証用携行品を携帯していないという不携帯データを送信し、号機制御装置は、不携帯データを受信した場合は、かご端末に対してデータを受信したことを通知するための情報データを送信し、かご端末は、情報データを受信した場合には、かご内表示器及び音声案内装置に対して、個人認証用携行品の不携帯を利用者に知らせるための信号を出力し、かご内表示器及び音声案内装置は、利用者に個人認証用携行品の不携帯を知らせる表示又は音声を発することにより行うことが望ましい。
【0016】
ここで、かご端末は、乗りかごに付設されたMPUであってもよい。また、個人認証サーバーは、例えば、管理人室に設置してもよい。
【0017】
前記エレベータシステムは、さらに、ドアの開閉を制御するドア制御部と、乗りかご内に設置され、行き先階ボタン、ドア開ボタン及びドア閉ボタンを有する運転盤と、を備え、ドア制御部は、ドアが開状態である場合には、ドアを開いておく時間を延長する指令を出力し、ドアが閉状態である場合には、ドア開ボタンを有効とする指令を出力することが望ましい。
【0018】
前記エレベータシステムは、利用者が個人認証用携行品を携帯していないという判定がされた場合には、利用者が乗り込んだ階で停止している間はドア開ボタンを点滅させることが望ましい。
【0019】
検出装置から利用者が乗り込んだことを検出したという信号を検出した時点で、乗りかごのいずれかの場所に設置される上記の受信部が、利用者の個人認証用携行品との通信ができなければ、利用者が個人認証用携行品を持たずに外出しようとしていると判定し、表示器や音声案内装置を用いて利用者に個人認証用携行品を携帯し忘れていることを報知する。これにより、ドア開ボタンを有効とし、又はドアを開いておく時間を延長し、利用者が居室まで個人認証用携行品を取りに戻ることを促すことができる。
【0020】
以下、図面を用いて実施例について説明する。
【実施例】
【0021】
図1は、実施例のエレベータシステムの全体構成を示したものである。ここで、エレベータシステムは、エレベータの乗りかごの移動を制御する装置も含むものである。
【0022】
本図において、エレベータシステムは、号機制御装置1と、個人認証サーバー2(データ記録装置)と、乗りかご3と、かご端末4(かご内演算処理部)と、個人認証用受信機5(受信部)と、音声案内装置6(スピーカ)と、かご内表示器7と、運転盤8と、荷重検出装置9と、を含む。号機制御装置1は、乗りかご3を制御する。
【0023】
号機制御装置1は、内部に号機制御マイコン10を有する。号機制御マイコン10は、多重伝送路12を介して乗りかご3に設置されているかご端末4を制御する。かご端末4には、行き先階釦を有する運転盤8と、かご内表示器7と、音声案内装置6と、荷重検出装置9と、が接続されている。号機制御マイコン10は、多重伝送路11を介して個人認証サーバー2に接続されている。個人認証サーバー2は、多重伝送路13を介して個人認証用受信機5に接続されている。個人認証用受信機5は、乗りかご3の天井部に設置されている。まとめると、号機制御装置1は、かご端末4を介して乗りかご3を制御する。
【0024】
つぎに、データの流れを説明する。
【0025】
個人認証用受信機5は、乗りかご3内に個人認証用の個人認証用携行品を携帯した利用者が乗り込むと、個人認証用携行品を検出する。当該個人認証用携行品のキーデータは、多重伝送路13を介して個人認証サーバー2に送られる。個人認証サーバー2は、受信したキーデータを個人認証キーデータとして部屋(階床)番号に変換し、多重伝送路11を介して号機制御装置1へ送信する。
【0026】
利用者が乗りかご3内に乗り込むと、荷重検出装置9からの荷重データがかご端末4へ伝達される。かご端末4と号機制御装置1とは、多重伝送路12を介して一定周期(本実施例では100ms周期)でのポーリング伝送を行うようになっている。かご端末4は、荷重検出装置9から得られた荷重データを、号機制御装置1に対して一定周期で伝達している。また、号機制御装置1からは、かご端末4を介して音声案内装置6と、かご内表示器7へそれぞれ音声案内データ及び表示用データを一定周期で伝達している。
【0027】
本図においては、利用者が乗り込んだことを検出する検出装置として、荷重検出装置9を例示したが、検出装置は、これに限定されるものではなく、エレベータホール又は乗りかごに設置したカメラであってもよい。カメラから得られた画像を解析することにより、利用者の人数を把握するものであってもよい。
【0028】
図2は、エレベータの利用者が個人認証用のICカード等を携帯しているかを判別し、ドアを制御し、音声案内データ及び表示用データを生成する工程を示すフローチャートである。
【0029】
本図を用いて本発明における動作の概略を説明する。
【0030】
S100では、乗りかごに設置された荷重検出装置からの荷重検出信号が入力されたかを判定する。その結果、荷重検出された場合は、S200で個人認証用受信機(個人認証装置)から個人認証結果のデータが受信されているかを判定する。一方、荷重検出信号が検出されない場合は、制御動作を終了する。
【0031】
個人認証結果のデータが受信されていない場合は、S300でドア開閉状態を判定する。一方、個人認証結果のデータが受信されている場合は、制御動作を終了する。
【0032】
ドアが開いている状態であれば、S400でドア開の時限を延長する。一方、ドアが開いていない状態であれば、S500でドア開き釦を有効とする。
【0033】
その後、S600で、音声案内装置及びかご内表示器に個人認証用のICカード等を携帯し忘れていることについて報知する。例えば「カードを忘れていませんか?」などの出力データのセットを行う。これにより、利用者が個人認証用のICカード等を携帯することを忘れていることを知らせることが出来る。
【0034】
図3は、エレベータの制御工程を示すフローチャートである。
【0035】
本図において、S1000では、各種入力信号を取り込み加工する処理を行う。S1100では、入力した信号データを基に運転制御として走行、停止などを行う。S1200では、ドアの開閉制御を行う。S1300では、個人認証用のICカード等を携帯していない場合の処理(図2で説明)を行う。S1400では、各種インジケーターや表示器の表示点灯処理を行う。この処理では、S1300でセットされた表示出力データに基づき表示制御を行う。S1500では、スピーカに対して音声出力処理を行う。この処理では、S1300でセットされた音声出力データに基づき音声案内制御を行う。
【0036】
以上の処理は、定期的に号機制御装置(OS)からコールして実施する。
【0037】
また、上記の実施例においては、特定の装置が特定の制御を行うとして説明してきたが、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、それぞれの制御をいずれの演算装置で行ってもよい。
【符号の説明】
【0038】
1:号機制御装置、2:個人認証サーバー、3:乗りかご、4:かご端末、5:個人認証用受信機、6:音声案内装置、7:かご内表示器、8:運転盤、9:荷重検出装置、10:号機制御マイコン、11、12、13:多重伝送路。
図1
図2
図3