【課題】木質化粧基材A1に対する樹脂の含浸性を向上させ、木質繊維の除去作用を可及的に抑制し、樹脂を含浸したときに得られる化粧板A3がより自然観に優れた外観意匠を有するものとなるようにする。
【解決手段】木質化粧基材A1の表面にウォータジェットWJを高速度で衝突させ、そのウォータジェットWJの衝突エネルギーにより木質化粧基材A1の表面に、木質繊維が少なくとも一部でミクロフィブリル化される程度に解繊状態になった解繊層1を形成する。その解繊層1を含む部分に樹脂を含浸させて固化しWPC処理された木質化粧板A3を得る。
ウォータジェットを木質化粧基材の表面に高速度で衝突させることにより、そのウォータジェットの衝突エネルギーにより該木質化粧基材の表面を解繊状態とする工程を有することを特徴とする木質化粧板の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、木材表面の空隙に樹脂を含浸させ、表面改質を行うWPC(Wood PlasticCombination:樹脂含浸)という技術がある。ショットブラスト処理では、表層の軟質部の木質繊維が完全に除去されてしまう。このような軟質部の木質繊維が除去された状態の木材表面に樹脂を含浸するとともに除去した部分を樹脂で充填し、面均一部にサンダー処理し得られるWPC化粧板は木材繊維が除去された軟質部に充填された樹脂部分によって人工的な外観を持つ化粧板となる。そのため、樹脂を含浸して得られるWPC化粧板は表面が自然感の乏しい意匠となるという課題があった。
【0006】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので、その目的は、木質化粧基材の表面に対して行うウォータジェット処理方法に工夫を加えることにより、その木質化粧基材に対する樹脂の含浸性を向上させ、かつ軟質部の木質繊維の除去作用を抑制し、樹脂を含浸したときに得られる化粧板が、より自然感に優れた外観意匠を有するものとなるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成すべく、この発明では、ウォータジェットにより木材の表面の繊維を起毛させて表面を毛羽立たせることで、その表面に解繊状態の層を形成し、その層に樹脂を含浸させるようにした。
【0008】
具体的には、第1の発明に係る木質化粧板の製造方法は、ウォータジェットを木質化粧基材の表面に高速度で衝突させることにより、そのウォータジェットの衝突エネルギーにより該木質化粧基材の表面を解繊状態とする工程を有することを特徴とする。
【0009】
この第1の発明では、ウォータジェットが木質化粧基材の表面に高速度で衝突し、そのウォータジェットが衝突するときの衝突エネルギーにより木質化粧基材の表面が解繊状態となる。すなわち、ウォータジェットによる処理では、木質繊維の除去が抑えられ、ショットブラスト処理のように凹部が形成されるのではなく、軟らかい部分も解繊状態のまま残るようになって木質繊維の除去が抑えられる。このことで、木質化粧基材の表面では、木質繊維を恰も耕したようになって、繊維の原形をより多く留めた状態となる。その結果、表面に樹脂を含浸してWPC処理をしたときに、解繊状態にある木質繊維の間に効率よく樹脂を含浸することができるとともに、繊維を留めたより自然観に優れた深みのある外観意匠を有するWPC木質化粧板が得られる。尚、本発明において、ウォータジェットとなる液体は、水に限らず、アルコールやアセトン、その他有機溶媒をも含むものとする。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、木質化粧基材表面の木質繊維の少なくとも一部がミクロフィブリル化される程度に解繊状態とすることを特徴とする。
【0011】
この第2の発明では、表面の木質繊維の解繊状態を、少なくとも一部がミクロフィブリル化される程度としたので、望ましい解繊状態が得られる。
【0012】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、ウォータジェットを木質化粧基材の表面に傾斜して当てることを特徴とする。
【0013】
この第3の発明では、ウォータジェットが木質化粧基材の表面に斜めに当たるので、ウォータジェットの処理面積が増大して、表面のより広範囲を均一に処理することができる。
【0014】
第4の発明は、第1〜第3の発明のいずれか1つにおいて、複数のウォータジェットを回転させながら木質化粧基材の表面に当てることを特徴とする。
【0015】
この第4の発明では、複数のウォータジェットが回転しながら木質化粧基材の表面に当たるので、木質化粧基材の表面のより広範囲を均等にウォータジェット処理することができる。
【0016】
第5の発明は、第1〜第4の発明のいずれか1つにおいて、木質化粧基材の表面を基準値よりも高い高含水率状態にしてウォータジェット処理することを特徴とする。
【0017】
この第5の発明では、木質化粧基材の表面が高い高含水率状態であるので、木材の成分であるヘミセルロースが軟化する。そのため、ウォータジェットで処理され易くなり、より高い効率でウォータジェット処理をすることができる。
【0018】
第6の発明は、第5の発明において、木質化粧基材の表面を高含水率状態かつ加温状態にしてウォータジェット処理することを特徴とする。
【0019】
この第6の発明では、木質化粧基材の表面が高含水率状態かつ加温状態であるので、ヘミセルロースがさらに軟化するだけでなく、木材の他の成分であるリグニンも軟化する。そのため、より高い効率でウォータジェット処理をすることができる。
【0020】
第7の発明は、第1〜第6の発明のいずれか1つにおいて、木質化粧基材の表面が受けるウォータジェットの圧力は1〜30MPaであることを特徴とする。
【0021】
この第7の発明では、木質化粧基材の表面に解繊層を形成するのに好ましいウォータジェットの衝突圧力が得られる。
【0022】
第8の発明は、第1〜第7の発明のいずれか1つにおいて、木質化粧基材の表面を解繊状態とした後に該木質化粧基材表面の木質繊維を乾燥させる工程と、この乾燥された木質化粧基材表面の木質繊維の解繊状態になっている部分を含む部分に樹脂を含浸させて固化する樹脂含浸工程と、この樹脂が含浸されて固化している表面に塗膜層を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0023】
この第8の発明では、表面が乾燥された木質化粧基材の木質繊維は解繊状態となっており、この解繊状態になった部分を含む部分に樹脂が含浸して固化しているので、その樹脂が解繊状態にある木質繊維の間に効率よく含浸する。この表面に塗膜層が形成されるので、繊維を留めたより自然観に優れた深みのある外観意匠を有するWPC木質化粧板が得られる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、第1の発明によると、木質化粧基材の表面にウォータジェットを高速度で衝突させ、その衝突エネルギーにより表面の木質繊維を解繊状態にしたことにより、その解繊状態では木質繊維の除去が抑えられ、木質繊維の原形をより多く留めた状態となり、WPC処理をしたときに、解繊状態にある木質繊維の間に効率よく樹脂を含浸することができるとともに、繊維を留めたより自然観に優れた深みのある外観意匠を有するWPC外観の木質化粧板が得られる。
【0025】
第2の発明によると、表面の木質繊維の少なくとも一部がミクロフィブリル化される程度に解繊状態としたことにより、望ましい解繊状態が得られる。
【0026】
第3の発明によると、ウォータジェットを木質化粧基材の表面に斜めに当てることにより、ウォータジェットの処理面積が増大して、表面のより広範囲を均一に処理することができる。
【0027】
第4の発明によると、複数のウォータジェットを回転させながら木質化粧基材の表面に当てることにより、木質化粧基材の表面のより広範囲を均等にウォータジェット処理することができる。
【0028】
第5の発明によると、木質化粧基材の表面を高い高含水率状態にしてウォータジェット処理することにより、木材の成分であるヘミセルロースが軟化させて、より高い効率でウォータジェット処理をすることができる。
【0029】
第6の発明によると、木質化粧基材の表面を高含水率状態かつ加温状態にしてウォータジェット処理することにより、ヘミセルロースがさらに軟化させるとともに、木材の他の成分であるリグニンも軟化させることができ、より高い効率でウォータジェット処理をすることができる。
【0030】
第7の発明によると、木質化粧基材の表面が受けるウォータジェットの圧力を1〜30MPaとしたことにより、木質化粧基材の表面に解繊層を形成するのに好ましいウォータジェットの衝突圧力が得られる。
【0031】
第8の発明によると、木質化粧基材の表面を解繊状態とした後に該木質化粧基材表面の木質繊維を乾燥させ、この乾燥された木質化粧基材表面の木質繊維の解繊状態になっている部分を含む部分に樹脂を含浸させて固化し、この樹脂が含浸されて固化している表面に塗膜層を形成することにより、樹脂が解繊状態にある木質繊維の間に効率よく含浸しているとともに、繊維を留めたより自然観に優れた深みのある外観意匠を有し、塗膜層により木質化粧板の表面が保護され、木質化粧板の外観意匠を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0034】
(木質化粧板中間材)
図1は木質化粧板中間材A2を示し、この木質化粧板中間材A2は、本発明の実施形態に係る製造方法により後述する木質化粧板A3(
図3参照)が木質化粧基材A1から製造される途中に形成される。木質化粧板中間材A2(木質化粧基材A1)は、例えば天然木質材や、これらの積層物をスライスした薄切り片等が用いられ、樹種は限定されない。例えばオーク、バーチ、ビーチやチェリー等の硬さの硬い樹種や、スギ、ツガ、ヒノキ、サワグルミ等の硬さの軟らかい樹種等が用いられる。天然木質材は、針葉樹、広葉樹、早生樹等、どのようなものでも使用することができる。また、天然木質材の積層物をスライスしたものとは、いわゆる人工突板といわれるものである。
【0035】
好適には、繊維長の長い針葉樹が用いられる。針葉樹は、軟質部と硬質部との表面硬度の方さの違いが大きく、本発明の実施形態の製造方法により、特にモース硬度が低く、繊維長の長い軟質部の解繊が選択的に行われる。
【0036】
木質化粧基材A1には、無垢材、無垢集成材、集成材、乾燥単板や生単板(濡れ単板)を使用することができる。木質化粧基材A1の厚みは、乾燥単板や生単板(濡れ単板)を使用する場合、0.15〜5.0mm程度が好ましく、より好ましくは1.0〜3.0mm程度がよい。これらを、所望の基材表面に貼着し又はそのまま使用してもよい。
【0037】
木質化粧基材A1の硬度は、モース硬度で2以下ないし3以下であることが好ましい。尚、杉等の針葉樹はモース硬度が2程度、サクラ等の柔らかい広葉樹はモース硬度が3程度、オーク等の硬い広葉樹はモース硬度が4〜5程度、アフリカ材はモース硬度が6程度である。
【0038】
上記木質化粧板中間材A2は、後述するように、木質化粧基材A1の表面に対しウォータジェット処理が行われて形成されたものであり(
図6参照)、その木質化粧基材A1表面にウォータジェットWJが高速度で衝突することで、そのウォータジェットWJの衝突エネルギーにより表面の木質繊維が解繊状態になっており、木質化粧板中間材A2の表面には、解繊状態になった木質繊維からなる解繊層1が形成されている。
【0039】
この解繊層1では、表面の木質繊維の少なくとも一部がミクロフィブリル化される程度に解繊状態になっていることが望ましい。このように木質繊維の解繊状態を、その少なくとも一部がミクロフィブリル化される程度とすることで、望ましい解繊状態が得られ、後述するように、この解繊層1を含む部分に樹脂が含浸されて固化したときに得られる木質化粧板A3は、樹脂が解繊状態にある木質繊維の間に効率よく含浸しているとともに、繊維を留めたより自然観に優れた深みのある外観意匠を有するWPC木質化粧板となる。
【0040】
図2(a)及び
図2(b)は、いずれも木質化粧板中間材A2表面に形成された解繊層1の表面を示す顕微鏡写真であり、この解繊層1では、表面の木質繊維が部分的にミクロフィブリル化される程度に解繊状態になっている。尚、
図2(a)は、木質化粧基材A1をアカマツとし、その表面にウォータジェットWJを直角に当てたものであり、
図2(b)は、木質化粧基材A1をスギとして、その表面にウォータジェットWJを斜め(45°)に当てたものである。木質化粧基材A1の表面に対するウォータジェットWJの角度については後述する。
【0041】
(木質化粧板)
図3は木質化粧板A3を示す。この木質化粧板A3は、上記木質化粧板中間材A2に対し、WPC処理により、その表面の解繊状態になった解繊層1を含む部分に樹脂が含浸して固化した樹脂含浸層2が形成されているものである。
【0042】
ここで、上記解繊層1を含む部分に含浸させる樹脂について詳細に説明する。この樹脂は、例えば含浸樹脂と充填樹脂の2つの樹脂を用いる。これらの含浸樹脂及び充填樹脂は、共に、活性エネルギー線硬化特性と湿気硬化特性とを兼ね備えている。このため、湿気硬化特性のみを有する樹脂と比べると、活性エネルギー線の照射により瞬時に樹脂を硬化させることができる。含浸樹脂と充填樹脂とは、どちらか片方だけを用いてもよいし、両方用いてもよい。
【0043】
両樹脂は、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート等のオリゴマーやポリマーを単独、又はこれらを複数混合させたものに、反応性モノマーを加えたものを主成分とする。さらに、両樹脂は、主成分に対して、ポリイソシアネートを1質量%以上でかつ15質量%以下添加されてなる。
【0044】
両樹脂に用いるオリゴマー、ポリマー及び反応性モノマーは、活性エネルギー線硬化特性を有する樹脂として一般的に用いられるものでよい。両樹脂に用いる反応性モノマーの例として以下のものが挙げられる。
【0045】
単官能モノマーの例としては、ラウリルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノアクリレート、ジシクロペンタジエンアクリレート、2−ヒドロキシルプロピルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、イソボロニルアクリレート、β−カルボキシエチルアクリレート、アクリロイルモルフォリン、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、ベンジルアクリレート等が挙げられる。
【0046】
2官能モノマーの例としては、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジメタアクリレート、ポリプロピレンジアクリレート、ポリプロピレンジメタアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジメタアクリレート等が挙げられる。
【0047】
3官能モノマーの例として、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリメタアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート等が挙げられる。
【0048】
4官能以上のモノマーの例としては、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポロポキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
【0049】
また、両樹脂には、イソシアネート系化合物が添加されることが好ましい。このイソシアネート系化合物は、空気中の湿気を吸収し、両樹脂の湿気硬化に寄与する。このため、両樹脂の木質化粧板中間材A2への密着性をより向上させることができる。
【0050】
イソシアネート系化合物の具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等のイソシアネートモノマー、並びにこれらのビウレット体、イソシアヌレート体、トリメチロールプロパンのアダクト体等のポリイソシアネート誘導体、並びにこれらイソシアネートモノマーまたはポリイソシアネート誘導体のブロック体等が挙げられる。さらには、イソシアネート系化合物は、無黄変型または難黄変型のものを用いることが好ましい。これらのイソシアネート系化合物を単独で、又はこれらを複数混合して用いる。
【0051】
両樹脂には、さらに、一般的に用いられる錫化合物や、亜鉛化合物、アミン化合物等の触媒を添加してもよい。
【0052】
この樹脂の充填方法については後述する。
【0053】
図4(a)及び
図4(b)は、いずれも表面の解繊層1に樹脂が含浸された木質化粧板A3の断面構造を示す顕微鏡写真であり、この解繊層1では、樹脂は表面の少なくとも一部がミクロフィブリル化される程度に解繊状態になっている木質繊維内に含浸している。
【0054】
上記木質化粧板A3においては、上記樹脂が含浸して固化している表面に塗膜層3が設けられている。この塗膜層3は、例えばアクリル系透明樹脂塗料やウレタン系透明樹脂塗料等からなる。
図5(a)及び
図5(b)は、いずれも表面に塗膜層が設けられた木質化粧板の断面構造を示す顕微鏡写真である。
【0055】
(木質化粧板の製造方法)
次に、上記木質化粧板A3を製造するための本発明の実施形態に係る製造方法について
図6に基づいて説明する。この
図6は製造方法の主な工程のみを示しており、ウォータジェット処理工程(解繊工程)、樹脂乾燥工程、樹脂含浸工程、及び表面塗膜層形成工程を有する。
【0056】
(1)ウォータジェット処理工程
まず、
図6(a)に示すように、木質化粧板A3(木質化粧板中間材A2)となる木質化粧基材A1の表面にウォータジェットWJを高速度で衝突させ、その衝突したウォータジェットWJの衝突エネルギーにより木質化粧基材A1の表面を解繊状態とすることで、
図6(b)に示すように、表面に解繊層1が形成された木質化粧板中間材A2を得る。
【0057】
上記木質化粧基材A1の表面を解繊状態とするとき、木質化粧基材A1表面の木質繊維の少なくとも一部がミクロフィブリル化される程度に解繊状態とすることが望ましい。
【0058】
図7〜
図9は、上記ウォータジェットWJを木質化粧基材A1の表面に高速度で衝突させる際に、高圧水を噴射してウォータジェットWJを生成するノズル10と、そのウォータジェットWJが当たる木質化粧基材A1の表面との関係を例示している(尚、これらの例以外に種々に設定することができる)。
【0059】
図7はウォータジェットWJを木質化粧基材A1の表面に直角に当てる例であり、この例においては、ノズル10は軸心O回りに回転する円柱状のもので、
図7(b)に示すように、その底面の周囲に、高圧水を軸心Oと平行に噴出する複数の噴出孔11,11,…が等角度間隔を空けて開口されている。
図7(a)に示すように、このノズル10を軸心O回りに回転させながら噴出孔11,11,…から高圧水を噴射して互いに平行な複数のウォータジェットWJ,WJ,…を生成する一方、木質化粧基材A1はノズル10の軸心Oと直角に相対移動させることで、それらのウォータジェットWJ,WJ,…を木質化粧基材A1の表面に直角に当てる。このようにノズル10を回転させることで、木質化粧基材A1の表面のより広範囲を均等にウォータジェット処理することができる。
【0060】
図8は、ウォータジェットWJを木質化粧基材A1の表面に所定の傾斜角度θ(例えばθ=45°)で斜めに当てる例であり、
図8(b)に示すように、ノズル10は軸心O回りに回転する円錐体状のもので、
図8(c)に示すように、その円形底面の周囲に、高圧水を軸心Oに対し傾斜して放射状に噴出する複数の噴出孔11,11,…が等角度間隔を空けて開口されている。
図8(a)に示すように、このノズル10を軸心O回りに回転させながら噴出孔11,11,…から高圧水を噴射して放射状の複数のウォータジェットWJ,WJ,…を生成する一方、木質化粧基材A1はノズル10の軸心Oと直角に相対移動させることで、それらのウォータジェットWJ,WJ,…を木質化粧基材A1の表面に斜めに当てる。
【0061】
このように、ウォータジェットWJを木質化粧基材A1の表面に斜めに当てることで、直角に当てる場合に比べ、ウォータジェットWJの処理面積が増大することとなり、表面のより広範囲を均一に処理することができる利点がある。
【0062】
尚、ノズル10は円柱状又は円錐体状以外のものを用いることができる。例えば、直方体または立方体とし、その底面に複数の噴出孔11,11,…が等間隔を空けて開口されているものでもよい。
【0063】
また、ウォータジェットWJを木質化粧基材A1の表面に斜めに当てるには、噴出孔11,11,…から高圧水を噴射して互いに平行な複数のウォータジェットWJ,WJ,…を生成するノズル10自体の軸心Oを傾斜させることで、それら平行な複数のウォータジェットWJ,WJ,…を木質化粧基材A1の表面に斜めに当てるようにしてもよい。
【0064】
例えば
図9は、ウォータジェットWJを木質化粧基材A1の表面に所定の傾斜角度(例えば45°)で斜めに当てる例であり、ノズル10は軸心O回りに回転する円柱状のもので、
図9に示すように、その底面の周囲に、高圧水を軸心Oと平行に噴出する複数の噴出孔11,11,…が等角度間隔を空けて開口されている。このノズル10の軸心Oを木質化粧基材A1に対し傾斜させた状態で、ノズル10を軸心O回りに回転させながら噴出孔11,11,…から高圧水を噴射して互いに平行な複数のウォータジェットWJ,WJ,…を生成する一方、木質化粧基材A1はノズル10の軸心Oと傾斜して例えばウォータジェットWJから離れるように相対移動させることで、それらのウォータジェットWJ,WJ,…を木質化粧基材A1の表面に斜めに当てる。
【0065】
この場合、好ましくは、基材A1の送り方向に対し15〜75°の仰角となるよう、好ましくは30〜60°の仰角となるように斜めに傾ける。さらに、斜めに傾けたウォータージェットWJの噴出方向を基材A1の送り方向と同じ方向とすることで、ウォータージェットWJの水圧がキャンセルされ、より好ましく処理することが可能となる。
【0066】
基材A1の送り方向と、斜めに傾けたウォータージェットのWJ噴出方向とを逆方向とすると、研削される作用効果が大きくなるため、処理された跡が残り易くなる。
【0067】
ノズル10と木質化粧基材A1表面との距離は10〜100cm程度が好ましい。
【0068】
また、ノズル10から高圧水が噴射されるときのウォータジェットWJの噴射圧力は、5〜100MPa程度が望ましく、その中で10〜50MPaが好ましい。木質化粧基材A1が針葉樹であれば10〜30MPaとし、広葉樹であれば20〜50MPaとするのがよい。
【0069】
この噴射圧力は高圧水を生成する装置側で設定される圧力であり、ノズル10から噴射されると圧力が下がる。ノズル10からの噴射距離(基材表面までの距離)が例えば20mmであると、圧力が20〜30%まで低下することから、その基材表面にウォータジェットWJが衝突するときのウォータジェット衝突圧力は、1(1.5)〜20(30)MPa程度が望ましく、その中で2(3)〜10(15)MPaが好ましい。
【0070】
木質化粧基材A1をノズル10に対して相対移動させる送り速度は、1m/分〜30m/分程度であり、木質化粧基材A1の樹種やウォータジェットWJ噴射圧力(ウォータジェット衝突圧力)に応じて調整すればよい。
【0071】
そのとき、上記ウォータジェット噴射圧力(ウォータジェット衝突圧力)が高いほど木質化粧基材A1表面に解繊層1を形成する処理能力が高くなり、その分、基材A1の相対送り速度を高くすることができるが、基材A1表面に一律状の解繊層1が形成されず、その中の特定部分に他の部分よりも深くなったスジの模様が生じる可能性が生じる。しかし、そのようなスジ等の模様も、後述する樹脂の含浸処理によって変化させたり、特徴のある外観意匠を得たりして活用することができる。
【0072】
また、木質化粧基材A1の表面をウォータジェットWJ処理する際、木質化粧基材A1の表面を予め高含水率状態にするのが好ましい。こうすることで、木材の成分であるヘミセルロースが軟化してウォータジェットWJで処理され易くなり、より高い効率でウォータジェット処理をすることができる。
【0073】
さらに、木質化粧基材A1の表面を高含水率状態にして例えば60℃〜80℃に加温(加熱)することもできる。このような加温によりヘミセルロースがさらに軟化するだけでなく、木材の他の成分であるリグニンも軟化する。このリグニンの軟化温度は樹種によって異なる。このヘミセルロース及びリグニンの軟化により高い効率でウォータジェット処理をすることができる。加熱条件としては、セルロース繊維にダメージを与えず、ヘミセルロース及びリグニンを軟化させる程度の温度が好ましく、含水状態においては、上記のとおり木材表面が40〜100℃、好ましくは木材表面が60〜80℃になるように加温するのが好ましい。
【0074】
木質化粧基材A1の表面を高含水率状態にするか或いはそれに加えて加温する場合、以下の方法が採用できる。
【0075】
(A)木質化粧基材A1の表面に対し直接ウォータジェット処理を行う。
【0076】
(B)木質化粧基材A1の表面に水を塗ってから所定時間放置して水養生し、その後にウォータジェット処理する。
【0077】
(C)木質化粧基材A1の表面に水を塗ってから加温した状態で所定時間放置して水養生し、その後にウォータジェット処理する。
【0078】
(D)木質化粧基材A1の表面に熱水を塗ってから所定時間放置して養生し、その後にウォータジェット処理する。
【0079】
(E)木質化粧基材A1の表面に蒸気を噴射し、その後にウォータジェット処理する。
【0080】
(F)木質化粧基材A1の表面を暖めた状態でウォータジェット処理する。
【0081】
(G)木質化粧基材A1の表面を暖めた状態で温水によるウォータジェット処理する。
【0082】
その他、充分な含水状態とした後に加熱ロールや高周波等により、加熱してもよい。この場合、表面温度が100〜200℃程度のロールを接触させ、セルロースにダメージを与えない範囲での加熱を行ってもよい。
【0083】
また、ウォータージェット設備について、噴出する液体は、水に限らず、アルコールやアセトン、その他有機溶媒を使用してもよい。
【0084】
(2)乾燥工程
このようにして、木質化粧板中間材A2の表面に解繊層1を形成した後、
図6(c)に示すように、その木質化粧板中間材A2を乾燥させる。この乾燥工程では、自然乾燥、ドライヤー、熱ロールや熱プレス、高周波等による乾燥を行う。
【0085】
乾燥前に、圧縮空気を噴射する等して、処理された基材A1表面及び周辺部の水を予め飛ばしておくのが好ましい。
【0086】
また、ウォータージェット設備について、噴出する液体として、アルコールやアセトン、その他有機溶媒を使用する場合は、木質基材A1に噴射した有機溶媒を揮発(乾燥)させるとともに、回収・再生する工程を備えるのが好ましい。
【0087】
(3)樹脂含浸工程
図6(c)に示すように、上記木質化粧板中間材A2表面の、解繊状態になっている解繊層1を含む部分に樹脂を含浸させて固化(WPC処理)し樹脂含浸層2を形成する。
【0088】
具体的には、上記した含浸樹脂と充填樹脂の両樹脂のうちのいずれかの一方の樹脂又は両樹脂を、上記ウォータジェットWJにより処理されて乾燥された木質化粧板中間材A2の表面全体に塗布する。例えば含浸樹脂は、スポンジロールコーターやナチュラルリバースコーター、フローコーター等を使用して塗布する。このとき、木材表面がスポンジ状態となっており、含浸樹脂中に空気が混じり易いため、含浸後加熱養生、減圧塗布等、含浸樹脂中の空気を抜くような処理を行うことが好ましい。
【0089】
このように、木質化粧板中間材A2の表面に解繊層1が形成され、その解繊層1では木質繊維の少なくとも一部がミクロフィブリル化される程度まで解繊状態になっているので、解繊層1に対する樹脂の含浸性が高くなり、木質化粧板中間材A2の内部にまで含浸樹脂を浸透させることができる。
【0090】
この場合、含浸樹脂は、低粘度でかつ含浸性の高い樹脂であることが好ましい。具体的には、含浸樹脂は、木質化粧板中間材A2の表面に塗布されたとき、その粘度が100Pa・s以下であることが好ましい。このように、含浸樹脂を低粘度のものとすることで、含浸性をより高めることができる。なお、含浸樹脂は、上述したモノマーにより希釈したり加熱したりすることで、上記の粘度となるように調整する。また、例えば、予め表面の温度が40°〜50°となるように木質化粧板中間材A2を加熱し、この表面の温度よりも10°〜20°低い温度にした含浸樹脂を塗布することで、この含浸樹脂の含浸性をより向上させることができる。
【0091】
含浸樹脂を硬化又は半硬化させるために、木質化粧板中間材A2の表面側から活性エネルギー線を照射する。活性エネルギー線には紫外線又は電子線が用いられる。
【0092】
活性エネルギー線が紫外線である場合、含浸樹脂に、光重合開始剤を添加する。光重合開始剤としては、一般的に用いられるラジカル反応型のアセトフェノン系、ベンゾフェノン系、ベンジル系、ベンゾイン系等のカルボニル化合物、テトラアルキルチウラムモノサルファイド、チオキサンソン等のイオウ化合物を単独、またはこれらを複数混合して用いてもよい。しかし、含浸樹脂の硬化を促進するためには、上記一般的な光重合開始剤よりも紫外線に対して反応性に優れたものが好ましい。
【0093】
具体的には、光重合開始剤として、含浸樹脂は、ビスアシルフォスフィンオキサイドを0.1質量%以上1.5質量%以下含むものか、モノアシルフォスフィンオキサイドを0.5質量%以上5.0質量%以下含むものであることが好ましい。ビスアシルフォスフィンオキサイドまたはモノアシルフォスフィンオキサイドは、紫外線の波長領域が350nm〜400nm近辺である長波長に吸収極大がある。したがって、紫外線を発光する光源として、350nm以上400nm以下の長波長領域に発光スペクトルを持つ発光方式を用いることにより、含浸樹脂をより効果的に硬化させることができる。具体的には、放電灯方式のメタルハライドランプ、無電極方式のDバルブ、Vバルブ、Qバルブ、Mバルブ、パルスUV方式等を使用する。
【0094】
また、活性エネルギー線が紫外線である場合、含浸樹脂には、増感剤や、光安定剤、紫外線吸収剤、貯蔵安定剤等の助剤を添加してもよい。また、含浸樹脂に染料、顔料等を加えて着色を行ってもよい。
【0095】
また、充填樹脂は、ウォータジェットWJにより処理された木質化粧基材A1表面の凹部を充填するための樹脂であり、当該充填性を高めるために、含浸樹脂よりも粘度が高い点が異なる。
【0096】
また、上記樹脂としては、生産性に配慮し、オンラインによる樹脂硬化が容易に行えるUV硬化型の樹脂を例に挙げているが、例えば、メラミン樹脂系樹脂やフェノール系樹脂等の熱硬化型樹脂を塗布・含浸させ、熱圧プレスにより硬化させてもよいし、イソシアネート系樹脂等の湿気硬化型樹脂を塗布・含浸させ、湿気存在化で養生硬化させてもよいし、シリコン系樹脂やエポキシ系樹脂等の2液型の架橋硬化型の樹脂を塗布・含浸させてもよい。
【0097】
また、他の実施形態としては、塗布・含浸する樹脂に、例えば水酸化アルミ粉末やホウ素系樹脂粉末等を添加し、含浸樹脂を難燃化することにより、化粧板A3の不燃性を向上させてもよい。解繊状態をとなった木質繊維間で含浸硬化され、化粧板A3表面に不燃樹脂層が形成されるので、好ましい実施例である。
【0098】
(4)表面塗膜層形成工程
その後、上記樹脂が含浸されて固化している表面に塗膜層3を形成する。以上で木質化粧板A3が製造される。
【0099】
したがって、上記実施形態では、以下の作用効果が得られる。木質化粧基材A1から得られる木質化粧板中間材A2は、その表面に、木質化粧基材A1表面に高速度で衝突したウォータジェットWJの衝突エネルギーにより木質繊維が解繊状態となった解繊層1が形成されている。このようなウォータジェット処理により、上記解繊層1では、木質繊維の除去が抑えられ、解繊されたような構造となる。
【0100】
すなわち、仮に木質化粧基材A1の表面に石やガラスビーズのような硬いブラスト用研磨材を用いるショットブラスト処理した場合には、得られる木質化粧板中間材の表面には、硬い部分が残り軟らかい部分が除去されて多数の凹部が形成され、この凹部に樹脂を含浸させて固化し樹脂層を形成するWPC処理をしても、表面の強化には有効であるものの、得られた木質化粧板は、柔らかい部分の凹部に含浸樹脂又は充填樹脂のみが存在する人工的なWPC外観となる。
【0101】
これに対し、本発明の実施形態では、上記ショットブラスト処理とは異なり、木質化粧板中間材A2表面の解繊層1は、繊維のうちの軟らかい部分の繊維も解繊された状態で残り、木質繊維を恰も「耕したようにスポンジ状」になって、木質繊維の原形をより多く留めた状態となる。そのため、この表面の解繊層1を含む部分に樹脂を含浸させて固化するWPC処理をしたとき、解繊層1の解繊状態にある木質繊維の間に樹脂が入り易くなって効率よく樹脂を含浸することができる。その結果、WPC処理された木質化粧板A3は、表面により多くの解繊された繊維が留まってより自然観に優れた深みのある外観意匠を有することとなる。
【0102】
また、木質化粧板中間材A2の解繊層1を含む部分に樹脂が含浸して固化している表面に塗膜層3が設けられているので、その木質化粧板A3の表面が塗膜層3により保護され、木質化粧板A3の外観意匠を高めることもできる。
【実施例】
【0103】
次に、具体的に実施した実施例について説明する。
【0104】
(例1)
木質化粧板基材をカバ(樺)とした。内径0.35mmの6つの噴出孔が周方向に等間隔を空けて開口されていて、噴出孔から噴射させる水により互いに平行な6つのウォータジェットが生成されるノズル(
図7参照)を用い、そのノズルの木質化粧板基材との距離を35mmとした。ノズルの噴出孔からの6つのウォータジェットを木質化粧板基材の表面に当ててその木質化粧基材の表面を解繊状態とした。噴射されるときのウォータジェット噴射圧力は50MPa、高圧水の流量は8.4L/分、ノズルと木質化粧基材とを相対移動させる送り速度は1.0m/分であった。
【0105】
(例2)
木質化粧板基材をスギ(杉)とし、内径0.35mmの6つの噴出孔が周方向に等間隔を空けて開口されているノズルを用い、そのノズルの木質化粧板基材との距離を20mmとした。ノズルの噴出孔からの互いに平行な6つのウォータジェットを木質化粧板基材の表面に当ててその木質化粧基材の表面を解繊状態とした。噴射されるときのウォータジェット噴射圧力は20MPa、高圧水の流量は5.4L/分、ノズルと木質化粧基材とを相対移動させる送り速度は1.0m/分であった。
【0106】
(例3)
木質化粧板基材をマツ(松)とし、内径0.35mmの6つの噴出孔が周方向に等間隔を空けて開口されているノズルを用い、そのノズルの木質化粧板基材との距離を20mmとした。ノズルの噴出孔からの互いに平行な6つのウォータジェットを木質化粧板基材の表面に当ててその木質化粧基材の表面を解繊状態とした。噴射されるときのウォータジェット噴射圧力は50MPa、高圧水の流量は8.4L/分、ノズルと木質化粧基材とを相対移動させる送り速度は2.0m/分であった。
【0107】
(例4)
木質化粧板基材をスギとし、内径0.35mmの6つの噴出孔が周方向に等間隔を空けて開口されていて、噴出孔から噴射させる水により軸心に対し15°傾いた放射状の6つのウォータジェットが生成されるノズル(
図8参照)を用い、そのノズルの木質化粧板基材との距離を90mmとした。ノズルの噴出孔からの傾斜した6つのウォータジェットを木質化粧板基材の表面に当ててその木質化粧基材の表面を解繊状態とした。このとき、ウォータジェットは木質化粧基材の表面に75°の傾斜角度で当たることとなる。噴射されるときのウォータジェット噴射圧力は40MPa、高圧水の流量は7.8L/分、ノズルと木質化粧基材とを相対移動させる送り速度は5.0m/分であった。
【0108】
例1〜例4のいずれでも、木質化粧基材の表面を解繊状態として、その表面に解繊層を形成することができた。そして、この表面の解繊層に樹脂を含浸してWPC処理をし、その表面に塗膜層を設けた木質化粧板は、繊維を留めたより自然観に優れた深みのある外観意匠を有するものになった。