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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-203295(P2015-203295A)
(43)【公開日】2015年11月16日
(54)【発明の名称】橋梁用点検通路
(51)【国際特許分類】
   E01D 22/00 20060101AFI20151020BHJP
【FI】
   E01D22/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-85043(P2014-85043)
(22)【出願日】2014年4月16日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 孝典
(72)【発明者】
【氏名】北川 雅浩
(72)【発明者】
【氏名】小島 浩
【テーマコード(参考)】
2D059
【Fターム(参考)】
2D059AA07
2D059AA14
2D059EE03
2D059EE05
2D059EE06
2D059EE07
2D059GG22
2D059GG39
(57)【要約】
【課題】橋梁点検車による交通規制を行う時間を十分短縮することができ、橋梁の下側全体に対して保守点検を行えると共に、移動させる際の操作が容易である橋梁用点検通路を提供すること。
【解決手段】橋梁用点検通路10は、重なり合う第1通路21と第2通路22と第3通路23とを有する。第1通路21と、重なり合う第2通路22及び第3通路23とは、互いに橋幅方向にスライド可能であり、第3通路23と、重なり合う第1通路21及び第2通路22とは、互いに橋軸方向にスライド可能である。各通路21,22,23には、上下方向及び橋幅方向に位置調節可能で橋桁を把持可能な把持装置が設けられている。第1通路21と、重なり合う第2通路22及び第3通路23との間に、橋幅方向に伸縮する電動シリンダ30が取付けられ、第3通路23と、重なり合う第1通路21及び第2通路22との間に、橋軸方向に伸縮する電動シリンダ40が取付けられている。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋梁点検車によって運搬することができ、前記橋梁点検車から延びる点検アームによって橋梁の下側に配置されて、橋梁の下側に対して保守点検を行う作業員を載せる点検通路を備えた橋梁用点検通路において、
前記点検通路は、重なり合う第1通路と第2通路と第3通路とを有し、
前記第1通路と重なり合う前記第2通路及び前記第3通路とは、互いに橋幅方向にスライド可能に組付けられていて、
前記第3通路と重なり合う前記第1通路及び前記第2通路とは、互いに橋軸方向にスライド可能に組付けられていて、
前記第1通路と前記第2通路と前記第3通路には、上下方向及び橋幅方向に位置調節可能で橋桁を把持可能な把持装置がそれぞれ設けられていて、
前記第1通路と重なり合う前記第2通路及び前記第3通路との間には、互いに橋幅方向に接近又は離間させる橋幅方向伸縮装置が取付けられ、
前記第3通路と重なり合う前記第1通路及び前記第2通路との間には、互いに橋軸方向に接近又は離間させる橋軸方向伸縮装置が取付けられていることを特徴とする橋梁用点検通路。
【請求項2】
請求項1に記載された橋梁用点検通路において、
前記第1通路と前記第2通路と前記第3通路は、アルミニウム又はアルミニウム合金材で構成されていることを特徴とする橋梁用点検通路。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された橋梁用点検通路において、
前記把持装置は、磁力によって前記橋桁に吸着可能なマグネットを有していることを特徴とする橋梁用点検通路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁の下側に配置されて保守点検を行う作業員を載せる点検通路を備えた橋梁用点検通路に関し、橋桁を把持しつつ自走することができる橋梁用点検通路に関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁の下側では、経年劣化による鋼材の錆び、塗装の剥がれ、床版のひび割れ等に対して保守点検及び補修工事等(以下、単に「保守点検」と呼ぶ)を行う必要がある。しかし、橋梁は高い所に設置されるものがあり、橋梁の下方に河川や供用道路等がある場合に、保守点検が困難になる。従来、このような保守点検は、以下の第1方法、第2方法、第3方法で行われていた。
【0003】
第1方法は、橋梁の下側に仮設足場を設置する方法である。具体的には、吊り足場、ゴンドラ等の機械駆動足場等を設置して、この仮設足場の上で作業員が保守点検を行う。しかし、第1方法の場合、高い所で仮設足場の組み立て及び解体を行うため、危険作業を伴う。また、仮設足場の材料を搬入及び搬出する際に、運搬車両によって交通規制が必要になる。
【0004】
第2方法は、橋梁点検車を使用する方法である。具体的には、図12に示すように、橋梁点検車101を橋梁103上の道路107に停車させて橋梁点検車101から点検アーム102を伸ばす。この点検アーム102は、先端部が道路107に対して橋幅方向外側へはみ出るように伸ばされた後に、下方へ伸ばされる。そして、点検アーム102の先端部が橋梁103の下側に向かって橋幅方向内側に伸ばされて、先端部に取付けられた作業足場105の上で作業員が保守点検を行う。しかし、第2方法の場合、橋梁点検車101を道路107に停車させながら作業を行うため、保守点検を行っている間に長時間の交通規制が必要になる。また、橋梁点検車101は点検アーム102を伸ばすことができる範囲が車種により異なり、橋梁点検車101の能力に応じて保守点検を行うことができる範囲が限定されることになる。
【0005】
第3方法は、橋梁付属物としての検査路を設置する方法である。具体的には、橋脚の上部で橋梁の下側に臨んだ位置に足場となる検査路を設置して、この検査路の上で作業員が保守点検を行う。しかし、第3方法の場合、検査路は橋脚の上部の周りで特定の箇所しか設置されないため、保守点検を行うことができる範囲が小さい。
【0006】
そこで、下記特許文献1には、上記した問題点を解決できるような橋梁メンテナンス装置が記載されている。この橋梁メンテナンス装置は、図13に示すように、橋梁103の下側において、橋桁104の下フランジ104bに取付けられて、独立して移動できるようになっている。詳細に説明すると、橋梁メンテナンス装置110は、2つの作業台120A,120Bと、各作業台120A,120Bの四隅で橋桁104の下フランジ104bを把持するクランプ手段130と、各作業台120A,120Bをピボットピン140を中心として回転させるための平行リンクアーム150及び油圧シリンダ等の駆動装置(図示省略)とを備えている。
【0007】
これにより、この橋梁メンテナンス装置110で保守点検を行う場合、一方の作業台120Aを固定側としてクランプ手段130で橋桁104の下フランジ104bを把持し、他方の作業台120Bを可動側とする。そして、駆動装置を駆動させて平行リンクアーム150をピボットピン140を中心として回転させることで、他方の作業台120Bを旋回させる。これにより、他方の作業台120Bの上に乗る作業員が保守点検を行い、他方の作業台120Bが移動し得る範囲で保守点検が終了した後、他方の作業台120Bでもクランプ手段130で橋桁104の下フランジ104bを把持する。その後、今まで固定されていた一方の作業台120Aにおいてクランプ手段130による把持を解除し、一方の作業台120Aを可動側とし他方の作業台120Bを固定側として、同様に作業員が保守点検を行う。
【0008】
こうして、順次交互に、作業台120A(120B)を橋桁104の下フランジ104bに固定し、固定されていない作業台120B(120A)を旋回させて、保守点検を進めていく。この結果、仮設足場や検査路を設置することなく、橋梁103の下側で広範囲に渡って保守点検を行うことができるようになっている。また、橋梁メンテナンス装置110はクランプ手段130で橋桁104に取付くことができるため、橋梁点検車101の点検アーム102(図12参照)から切り離すことができる。従って、保守点検を行っている間に橋梁点検車101を停車させる必要がなくて、交通規制を行う時間を十分短縮できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭61−137903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1に記載された橋梁メンテナンス装置110には、以下の問題点がある。即ち、この橋梁メンテナンス装置110では、独立して移動する際に、必ず平行リンクアーム150がピボットピン140を中心として回転し、作業台120A,120Bが旋回することになる。このため、旋回する作業台120A,120Bの上側では保守点検を行うことができるものの、ピボットピン140の付近では保守点検を行うことができない。従って、橋梁103の下側全体のうち保守点検ができない範囲が存在するという問題点がある。
【0011】
更に、作業台120A,120Bは直線状に移動するのではなく旋回するため、作業台120A,120Bの旋回位置に応じて、作業台120A,120Bのクランプ手段130が橋桁104の下フランジ104bを把持できないおそれがある。つまり、作業台120A,120Bを旋回させる際に、作業台120A,120Bのクランプ手段130が下フランジ104bを的確に把持できる位置を考慮しつつ、作業台120A,120Bを旋回させなければならず、極めて難しい操作になる。従って、橋梁メンテナンス装置110を移動させる際の操作が難しいという問題点もある。
【0012】
そこで、本発明は上記した課題を解決することができるものであり、橋梁点検車による交通規制を行う時間を十分短縮することができて、更に、橋梁の下側全体に対して保守点検を行うことができると共に、移動させる際の操作が容易である橋梁用点検通路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る橋梁用点検通路は、橋梁点検車によって運搬することができ、前記橋梁点検車から延びる点検アームによって橋梁の下側に配置されて、橋梁の下側に対して保守点検を行う作業員を載せる点検通路を備えたものであって、前記点検通路は、重なり合う第1通路と第2通路と第3通路とを有し、前記第1通路と重なり合う前記第2通路及び前記第3通路とは、互いに橋幅方向にスライド可能に組付けられていて、前記第3通路と重なり合う前記第1通路及び前記第2通路とは、互いに橋軸方向にスライド可能に組付けられていて、前記第1通路と前記第2通路と前記第3通路には、上下方向及び橋幅方向に位置調節可能で橋桁に把持可能な把持装置がそれぞれ設けられていて、前記第1通路と重なり合う前記第2通路及び前記第3通路との間には、互いに橋幅方向に接近又は離間させる橋幅方向伸縮装置が取付けられ、前記第3通路と重なり合う前記第1通路及び前記第2通路との間には、互いに橋軸方向に接近又は離間させる橋軸方向伸縮装置が取付けられていることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る橋梁用点検通路によれば、第1通路と第2通路と第3通路の各把持装置によって橋桁を把持できるため、橋梁点検車の点検アームから切り離すことができる。従って、橋梁点検車は道路で停車し続ける必要がなくなり、橋梁点検車による交通規制を行う時間を十分短縮することができる。そして、把持装置で橋桁を把持した状態で、橋幅方向伸縮装置を作動させると、第1通路と、重なり合う第2通路及び第3通路とを橋幅方向に接近又は離間させることができる。同様に、把持装置で橋桁を把持した状態で、橋軸方向伸縮装置を作動させると、第3通路と、重なり合う第1通路及び第2通路とを橋軸方向に接近又は離間させることができる。こうして、橋幅方向及び橋軸方向の相対移動を繰り返すことで、点検通路が橋梁の下側全体で自走することができ、橋梁の下側全体に対して保守点検を行うことができる。更に、把持装置は上下方向及び橋幅方向に位置調節して橋桁を把持できるため、把持装置が橋桁を的確に掴み易く、第1通路と第2通路と第3通路は直線状に移動するため、点検通路を移動させる際の操作が容易である。
【0015】
また、本発明に係る橋梁用点検通路において、前記第1通路と前記第2通路と前記第3通路は、アルミニウム又はアルミニウム合金材で構成されていると良い。
この場合には、点検通路が鋼材等で構成されている場合に比べて軽量になり、橋梁点検車で運搬し易いものになる。
【0016】
また、本発明に係る橋梁用点検通路において、前記把持装置は、電磁石で構成されていて通電によって発生する磁力で橋桁に吸着可能な把持具を有していても良い。
この場合には、把持具が磁力を利用して橋桁に吸着するため、把持装置が橋桁を把持する力をより強力にすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の橋梁用点検通路によれば、把持装置で橋桁を把持しつつ自走できるため、橋梁点検車を停車し続ける必要がなくて、交通規制を行う時間を十分短縮することができる。更に、点検通路が橋幅方向及び橋軸方向に移動できるため、橋梁の下側全体に対して保守点検を行うことができると共に、移動させる際の操作が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態の橋梁用点検通路が橋梁点検車に運搬されている状態を示した図である。
図2】橋梁点検車が点検アームを橋梁の下側に向かって伸ばしている状態を示した図である。
図3図2のX−X線に沿った断面図である
図4図2のY−Y線から見た図である。
図5】第1把持装置を示した正面図である。
図6】(A)橋梁用点検通路が橋幅方向の一方側に移動する際の電動シリンダを示した図である。(B)橋梁用点検通路が橋幅方向の一方側に移動する際の把持装置を示した図である。
図7】(A)橋梁用点検通路が橋幅方向の一方側に移動した後の電動シリンダを示した図である。(B)橋梁用点検通路が橋幅方向の一方側に移動した後の把持装置を示した図である。
図8】(A)橋梁用点検通路が橋軸方向の一方側に移動する際の電動シリンダを示した図である。(B)橋梁用点検通路が橋軸方向の一方側に移動する際の把持装置を示した図である。
図9】(A)橋梁用点検通路が橋軸方向の一方側に移動した後の電動シリンダを示した図である。(B)橋梁用点検通路が橋軸方向の一方側に移動した後の把持装置を示した図である。
図10】(A)橋梁用点検通路が橋幅方向の他方側に移動する際の電動シリンダを示した図である。(B)橋梁用点検通路が橋幅方向の他方側に移動する際の把持装置を示した図である。
図11】(A)橋梁用点検通路が橋幅方向の他方側に移動した後の電動シリンダを示した図である。(B)橋梁用点検通路が橋幅方向の他方側に移動した後の把持装置を示した図である。
図12】従来方法として橋梁点検車を用いて保守点検を行う状態を示した図である。
図13】特許文献に記載された橋梁メンテナンス装置を用いて保守点検を行う状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る橋梁用点検通路の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態の橋梁用点検通路10が橋梁点検車1に運搬されている状態を示した図である。図1に示すように、橋梁点検車1は、荷台1aの上側に橋梁用点検通路10を載置していて、既存の橋梁点検車と同様の構成である。この橋梁点検車1は、橋梁3の上側から下側へ向かって回り込むように伸ばすことができる点検アーム2(図2参照)を備え、この点検アーム2の先端部である第4アーム2Dに橋梁用点検通路10を取付けている。そして、橋梁点検車1は、保守点検及び補修作業等を行う対象である橋梁3まで、橋梁用点検通路10を運搬するようになっている。ここで、図2は、橋梁点検車1が点検アーム2を橋梁3の下側に向かって伸ばしている状態を示した図である。
【0020】
図2に示すように、橋梁3では、下側に橋軸方向(図2の紙面に直交する方向)に延びる4本の橋桁4が架け渡されていて、各橋桁4の上フランジ4aにはハンチ部5を介して床版6が載置されている。そして、床版6の上には、舗装された道路7が形成されていて、道路7の橋幅方向(図2の左右方向)の両端には、防護柵として高蘭8が起立した状態で取付けられている。このような橋梁3の下側では、経年劣化による鋼材の錆び、塗装の剥がれ、床版6のひび割れに対して保守点検及び補修工事等(以下、単に「保守点検」と呼ぶ)を行う必要がある。しかし、橋梁3の下側に河川や供用道路等があると、保守点検が困難になる。そこで、本実施形態では、既存の橋梁点検車1を用いて橋梁3の下側に橋梁用点検通路10を配置して、橋梁3の下側を保守点検するようになっている。
【0021】
橋梁3の下側の保守点検では、先ず、道路7に停車した橋梁点検車1から点検アーム2の第1アーム2Aを起立するように伸ばし、点検アーム2のうち第2アーム2Bの先端部と第3アーム2Cと第4アーム2Dが高蘭8より橋幅方向外側に位置するように配置する。このとき、橋梁用点検通路10は水平状態を保ったまま第4アーム2Dに取付けられている。そして、橋梁3の上側で高蘭8より橋幅方向外側の位置から第3アーム2Cが下方に向かって伸ばされた後に、第4アーム2Dが橋梁3の下側に向かって橋軸方向内側(図2の右側)に伸ばされる。
【0022】
こうして、第4アーム2Dに取付けられている橋梁用点検通路10は、橋梁3の下側に配置されて、後述する把持装置50によって橋桁4の下フランジ4bを把持する。これにより、橋梁用点検通路10を橋梁点検車1の点検アーム2(第4アーム2D)から切り離すことができる。その後、点検アーム2を元の収縮した状態に戻して、橋梁点検車1を停止状態から走行させることができる。従って、橋梁用点検通路10の上で作業員が保守点検を行っている間に橋梁点検車1を道路7に停車させる必要がなくて、交通規制を行う時間を十分短縮することができる。
【0023】
ところで、本実施形態の橋梁用点検通路10は、点検アーム2から切り離された後に、橋桁4を把持しつつ自走できることに特徴がある。特に、橋梁用点検通路10が、橋梁3の下側全体を移動できるように、橋幅方向及び橋軸方向の両方向に直線状に移動できることに特徴がある。そこで、以下では、橋梁用点検通路10の構成について詳しく説明する。図3は、図2のX−X線に沿った断面図である。
【0024】
橋梁用点検通路10は、作業員を載せる点検通路20を備え、図3に示すように、点検通路20は、重なり合う第1通路21と第2通路22と第3通路23とを有して構成されている。橋梁用点検通路10は、既存の橋梁点検車1が運搬できるように比較的小さいことが求められるが、第1通路21と第2通路22と第3通路23が互いに重なり合うことで、点検通路20としてコンパクトになり、運搬し易いものになっている。更に、第1通路21と第2通路22と第3通路23は、アルミニウム又はアルミニウム合金材で構成されている。このため、点検通路20は、例えば鋼材等で構成されている場合に比べて軽量になり、橋梁点検車1でより運搬し易いものになっている。
【0025】
第1通路21は、点検通路20のうち最も下側に配置されていて、図示しないレール機構によって、第2通路22を橋幅方向(図3の左右方向)にスライド可能に組付けている(図6(A)参照)。また、第2通路22は、第1通路21と第3通路23で上下に挟まれるように配置されていて、図示しないレール機構によって、第3通路23を橋軸方向(図3の上下方向)にスライド可能に組付けている(図8(A)参照)。こうして、第1通路21と、重なり合う第2通路22及び第3通路23とが、互いに橋幅方向にスライド可能に組付けられている。そして、第3通路23と、重なり合う第1通路21及び第2通路22とが、互いに橋軸方向にスライド可能に組付けられている。
【0026】
そして、第1通路21は、箱状に形成されていて、橋幅方向に長い水平状である底面部21aと、底面部21aの橋幅方向両端から起立している左側面部21b及び右側面部21cと、底面部21aの橋軸方向両端から起立している前面部21d及び後面部21eとを有している。右側面部21cは、第2通路22及び第3通路23が橋幅方向にスライドする際に遮らないように、上下方向(図3の紙面に直交する方向)に開閉可能になっている(図6(A)参照)。また、前面部21dも、第3通路23が橋軸方向にスライドする際に遮らないように、上下方向に開閉可能になっている(図8(A)参照)。
【0027】
第2通路22は、橋幅方向に長い水平状である底面部22aと、底面部22aの橋幅方向両端から起立している左側面部22b及び右側面部22cと、底面部22aの橋軸方向の後方端(図3の下端)から起立している後面部22dとを有している。第3通路23は、箱状に形成されていて、橋幅方向に長い水平状である底面部23aと、底面部23aの橋幅方向両端から起立している左側面部23b及び右側面部23cと、底面部23aの橋軸方向両端から起立している前面部23d及び後面部23eとを有している。
【0028】
そして、第1通路21の左側面部21bの後方端(図3の下端)に支持ブラケット24が取付けられ、第2通路22の後面部22dの右方端(図3の右端)に支持ブラケット25が取付けられていて、これら支持ブラケット24,25には橋幅方向に延びる電動シリンダ30が取付けられている。電動シリンダ30は、橋幅方向に伸縮することで、第1通路21と、重なり合う第2通路22及び第3通路23とを互いに橋幅方向に接近又は離間させることができる。この電動シリンダ30が、本発明の「橋幅方向伸縮装置」に相当する。
【0029】
電動シリンダ30は、基端部が支持ブラケット24に連結されたシリンダチューブ31と、先端部が支持ブラケット25に連結されたシリンダロッド32と、図示しないボールねじ機構と、作業員の操作で正逆回転する図示しない電動モータとを有している。このため、この電動モータが正回転すると、ボールねじ機構によって、シリンダロッド32がシリンダチューブ31の中から突出するように移動して、電動シリンダ30が橋幅方向に伸張する。一方、電動モータが逆回転すると、シリンダロッド32がシリンダチューブ31の中へ入り込むように移動して、電動シリンダ30が橋幅方向に収縮する。
【0030】
また、第2通路22の左側面部22bの後方端に支持ブラケット26が取付けられ、第3通路23の左側面部23bの前方端に支持ブラケット27が取付けられ、これら支持ブラケット26,27には橋軸方向に延びる電動シリンダ40が取付けられている。更に、第2通路22の右側面部22cの後方端に支持ブラケット28が取付けられ、第3通路23の右側面部23cの前方端に支持ブラケット29が取付けられ、これら支持ブラケット28,29にも橋軸方向に延びる電動シリンダ40が取付けられている。電動シリンダ40は、橋軸方向に伸縮することで、第3通路23と、重なり合う第1通路21及び第2通路22とを互いに橋軸方向に接近又は離間させることができる。これら電動シリンダ40が、本発明の「橋軸方向伸縮装置」に相当する。
【0031】
電動シリンダ40は、基端部が支持ブラケット26,28に連結されたシリンダチューブ41と、先端部が支持ブラケット27,29に連結されたシリンダロッド42と、図示しないボールねじ機構と、作業員の操作で正逆回転する図示しない電動モータとを有している。このため、この電動モータが正回転すると、ボールねじ機構によって、シリンダロッド42がシリンダチューブ41の中から突出するように移動して、電動シリンダ40が橋軸方向に伸張する。一方、電動モータが逆回転すると、シリンダロッド42がシリンダチューブ41の中へ入り込むように移動して、電動シリンダ40が橋軸方向に収縮する。
【0032】
次に、橋梁用点検通路10が橋桁4を把持する構成について説明する。図4は、図2のY−Y線から見た図である。なお、図4では、上述した電動シリンダ30,40及び支持ブラケット24〜29が省略して示されている。図4に示すように、橋梁用点検通路10には、複数の把持装置50が設けられている。各把持装置50は、橋桁4の下フランジ4bを把持するためのものであり、第1通路21と第2通路22と第3通路23にそれぞれ取付けられている。
【0033】
具体的に、第1通路21の前面部21d及び後面部21eに把持装置50が取付けられていて、これら把持装置50を「第1把持装置50A1,50A2」と呼ぶことにする。また、第2通路22の後面部22dに把持装置50が取付けられていて、この把持装置50を「第2把持装置50B」と呼ぶことにする。また、第3通路23の前面部23d及び後面部23eに把持装置50が取付けられていて、これら把持装置50を「第3把持装置50C1,50C2」と呼ぶことにする。第1把持装置50A1,50A2と第2把持装置50Bと第3把持装置50C1,50C2の構成はそれぞれ同様であるため、以下では第1把持装置50A1を代表して説明する。図5は、第1把持装置50A1を示した正面図である。
【0034】
第1把持装置50A1は、図5に示すように、中央に配置されるベース部材51に対して橋幅方向両端に伸縮機構52を有し、この伸縮機構52の上側に昇降機構53を有し、この昇降機構53の上端に把持具54を有している。ベース部材51は、第1通路21の前面部21dに固定されている。伸縮機構52は、把持具54の橋幅方向の位置調整を行うものであり、例えば油圧シリンダで構成されている。この伸縮機構52では、作業員の操作によって、シリンダロッド52aがベース部材51に対して橋幅方向に移動して、シリンダロッド52aの先端に取付けられた連結具52bの橋幅方向の位置を調整できるようになっている。
【0035】
昇降機構53は、把持具54の上下方向の位置調整を行うものであり、例えば油圧シリンダで構成されている。この昇降機構53では、作業員の操作によって、シリンダロッド53aが連結具52bに固定されたシリンダチューブ53bに対して上下方向に移動して、シリンダロッド53aの先端に取付けられた把持具54の上下方向の位置を調整できるようになっている。なお、昇降機構53及び伸縮機構52の構成は、油圧シリンダに限定されるものではなく、例えば空気圧シリンダであっても良く、適宜変更可能である。
【0036】
把持具54は、橋桁4の下フランジ4bを把持するものであり、コの字状に形成されている。そして、一対の把持具54が橋幅方向の両側から下フランジ4bを挟み込むことで、橋梁用点検通路10を橋桁4に対して吊り下げるように取付けることができる。本実施形態では、把持具54が電磁石で構成されていて、作業員の操作により電磁石に通電すると、電磁石が励磁して磁力を発生するようになっている。このため、把持具54が下フランジ4bを掴んだ後に、電磁石を通電すると、電磁石の磁力によって把持具54を鋼材である下フランジ4bに強固に吸着させることができる。こうして、把持装置50が橋桁4の下フランジ4bを把持する力をより強力にすることができる。なお、把持装置50による把持を解除する際には、作業員の操作により電磁石への通電を解除する。これにより、電磁石が消磁して磁力が無くなり、把持具54の下フランジ4bへの吸着を解除することができる。
【0037】
こうして、図2に示すように、橋梁用点検通路10は、点検アーム2によって橋梁3の下側に配置された後、例えば第1把持装置50A1,50A2の各把持具54の橋幅方向の位置及び上下方向の位置を調節して、各把持具54で下フランジ4bを把持する。このとき、第1把持装置50A1,50A2の合計4個の把持具54で下フランジ4bを掴むことで、橋梁用点検通路10が安定した姿勢で橋桁4に取付くことができる。その後、橋梁用点検通路10は、点検アーム2の第4アーム2Dから切り離されることになる。
【0038】
次に、橋桁4に取付けられた橋梁用点検通路10が、橋幅方向の一方側に移動する動作について説明する。橋梁用点検通路10が移動する前の状態として、第1通路21と第2通路22と第3通路23が重なり合っていて、第1把持装置50A1,50A2の各把持具54が下フランジ4bを掴んでいる状態とする。図6(A)は、橋梁用点検通路10が橋幅方向の一方側(図6の右側)に移動する際の電動シリンダ30を示した図であり、図6(B)は、橋梁用点検通路10が橋幅方向の一方側に移動する際の把持装置50を示した図である。図6(B)では、下フランジ4bを把持する把持装置50のみが示されている。
【0039】
図6(B)に示すように、橋幅方向の一方側に移動する際には、第1通路21が、第1把持装置50A1,50A2によって下フランジ4bに取付けられていて、第2通路22及び第3通路23が、第2把持装置50B及び第3把持装置50C1,50C2で下フランジ4bに取付けられていない。このため、第1通路21が固定側になり、第2通路22及び第3通路23が可動側になる。こうして、図6(A)に示すように、電動シリンダ30が伸張して、重なり合う第2通路22及び第3通路23が、第1通路21に対して橋幅方向の一方側へ離間するようにスライドする。なお、第2通路22及び第3通路23がスライドする際には、第1通路21の右側面部21cが、そのスライドを遮らないように下方(図6(A)の紙面を貫く方向)へ開いている。
【0040】
そして、第2通路22及び第3通路23がスライドした後に、例えば第2通路22が第2把持装置50Bの把持具54で下フランジ4bを把持すると共に、第3通路23が第3把持装置50C1の把持具54で下フランジ4bを把持する(図7(B)参照)。一方、第1通路21では、下フランジ4bに対する第1把持装置50A1,50A2の把持を解除する。これにより、第1通路21が可動側になり、第2通路22及び第3通路23が固定側になる。こうして、図6(A)に示した状態から図7(A)に示すように、電動シリンダ30を収縮させると、第1通路21が、重なり合う第2通路22及び第3通路23に対して橋軸方向の一方側へ接近するようにスライドする。この結果、橋梁用点検通路10が橋軸方向の一方側に移動した位置で、点検通路20に乗る作業員が保守点検を行うことができる。
【0041】
続いて、橋梁用点検通路10が、橋軸方向の一方側に移動する動作について説明する。橋梁用点検通路10が移動する前の状態として、図7(A)(B)に示した状態とする。図8(A)は、橋梁用点検通路10が橋軸方向の一方側(図8の上側)に移動する際の電動シリンダ40を示した図であり、図8(B)は、橋梁用点検通路10が橋軸方向の一方側に移動する際の把持装置50を示した図である。図8(B)では、下フランジ4bを把持する把持装置50のみが示されている。
【0042】
図8(B)に示すように、橋軸方向の一方側に移動する際には、第1通路21が第1把持装置50A2で下フランジ4bを把持すると共に、第2通路22が第2把持装置50Bで下フランジ4bを把持する。一方、第3通路23では、第3把持装置50C1,50C2で下フランジ4bを把持しない。このため、第3通路23が可動側になり、第1通路21及び第2通路22が固定側になる。こうして、図8(A)に示すように、電動シリンダ40が伸張して、第3通路23が、重なり合う第1通路21及び第2通路22に対して橋軸方向の一方側へ離間するようにスライドする。なお、第3通路23がスライドする際には、第1通路21の前面部21dが、そのスライドを遮らないように下方(図8(A)の紙面を貫く方向)へ開いている。
【0043】
そして、第3通路23がスライドした後に、第3通路23が第3把持装置50C1,50C2の把持具54で下フランジ4bを把持する(図9(B)参照)。一方、第1通路21では、下フランジ4bに対する第1把持装置50A2の把持を解除し、第2通路22では、下フランジ4bに対する第2把持装置50Bの把持を解除する。これにより、第1通路21及び第2通路22が可動側になり、第3通路23が固定側になる。こうして、図8(A)に示した状態から図9(A)に示すように、電動シリンダ40を収縮させると、重なり合う第1通路21及び第2通路22が、第3通路23に対して橋軸方向の一方側へ接近するようにスライドする。この結果、橋梁用点検通路10が橋軸方向の一方側に移動した位置で、点検通路20に乗る作業員が保守点検を行うことができる。
【0044】
また、橋梁用点検通路10が、橋幅方向の他方側に移動する動作についても説明しておく。橋梁用点検通路10が移動する前の状態として、図9(A)(B)に示した状態とする。図10(A)は、橋梁用点検通路10が橋幅方向の他方側(図10の左側)に移動する際の電動シリンダ30を示した図であり、図10(B)は、橋梁用点検通路10が橋幅方向の他方側に移動する際の把持装置50を示した図である。図10(B)では、下フランジ4bを把持する把持装置50のみが示されている。
【0045】
図10(B)に示すように、橋幅方向の他方側に移動する際には、例えば第2通路22が第2把持装置50Bで下フランジ4bを把持すると共に、第3通路23が第3把持装置50C1で下フランジ4bを把持する。一方、第1通路21では、第1把持装置50A1,50A2で下フランジ4bを把持しない。このため、第1通路21が可動側になり、第2通路22及び第3通路23が固定側になる。こうして、図10(A)に示すように、電動シリンダ30を伸張させると、第1通路21が、重なり合う第2通路22及び第3通路23に対して橋幅方向の他方側へ離間するようにスライドする。なお、第1通路21がスライドする際には、第1通路21の右側面部21cが、そのスライドを遮らないように下方(図10(B)の紙面を貫く方向)へ開いている。
【0046】
そして、第1通路21がスライドした後に、第1通路21が第1把持装置50A1,50A2で下フランジ4bを把持する(図11(B)参照)。一方、第2通路22では、下フランジ4bに対する第2把持装置50Bの把持を解除し、第3通路23では、下フランジ4bに対する第3把持装置50C1の把持を解除する。これにより、第2通路22及び第3通路23が可動側になり、第1通路21が固定側になる。こうして、図10(A)に示した状態から図11(A)に示すように、電動シリンダ30が収縮して、重なり合う第2通路22及び第3通路23が、第1通路21に対して橋幅方向の他方側へ接近するようにスライドする。この結果、橋梁用点検通路10が橋幅方向の他方側に移動した位置で、点検通路20に乗る作業員が保守点検を行うことができる。
【0047】
本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態の橋梁用点検通路10によれば、既存の橋梁点検車1で運搬することができるものであって、各把持装置50によって橋桁4の下フランジ4bを把持することができるため、橋梁点検車1の点検アーム2から切り離すことができる。従って、橋梁点検車1は、道路7で停車し続ける必要がなくなり、橋梁点検車1による交通規制を行う時間を十分短縮することができる。そして、図6及び図7図10及び図11に示したように、把持装置50で橋桁4の下フランジ4bを把持しつつ、電動シリンダ30を作動させると、第1通路21と、重なり合う第2通路22及び第3通路23とを橋幅方向に接近又は離間させることができる。
【0048】
同様に、図8及び図9に示したように、把持装置50で橋桁4の下フランジ4bを把持しつつ、電動シリンダ40を作動させると、第3通路23と、重なり合う第1通路21及び第2通路22とを橋軸方向に接近又は離間させることができる。こうして、橋幅方向及び橋軸方向の相対移動を繰り返すことで、点検通路20が橋梁3の下側全体で自走することができ、作業員が橋梁3の下側全体に対して保守点検を行うことができる。更に、把持装置50は上下方向及び橋幅方向に位置調整して橋桁4の下フランジ4bを把持できるため、把持装置50は下フランジ4bを的確に把持し易く、第1通路21と第2通路22と第3通路23は直線状に移動するため、点検通路20を移動させる際の操作が容易である。こうして、本実施形態の橋梁用点検通路10を用いれば、従来方法のように仮設足場や検査路を設置する必要がなく、保守点検で交通規制を最小限にすることができ、橋梁点検車1の能力に依存することなく保守点検を行う範囲を拡大できる。
【0049】
以上、本発明に係る橋梁用点検通路の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
本実施形態において、橋幅方向伸縮装置を電動シリンダ30で構成し、橋軸方向伸縮装置を電動シリンダ40で構成したが、橋幅方向伸縮装置及び橋軸方向伸縮装置の構成は、電動シリンダに限定されるものではない。例えば、橋幅方向伸縮装置及び橋軸方向伸縮装置を、油圧シリンダ、空気圧シリンダ、スライドジャッキ等で構成しても良い。
また、本実施形態では、点検通路20として第1通路21と第2通路22と第3通路23の三つの通路を有しているが、本発明に係る点検通路は、少なくとも三つの通路を有していれば良いという意味である。従って、点検通路として、第4通路や第5通路等を有していても良い。
また、本実施形態では、一例として、橋桁4が4本架け渡されている橋梁3に橋梁用点検通路10を適用したが、橋桁の本数が異なるその他の橋梁についても橋梁用点検通路10を適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 橋梁点検車
2 点検アーム
3 橋梁
4 橋桁
4a 下フランジ
10 橋梁用点検通路
20 点検通路
21 第1通路
22 第2通路
23 第3通路
30 電動シリンダ
40 電動シリンダ
50 把持装置
50A,50A2 第1把持装置
50B 第2把持装置
50C,50C2 第3把持装置
54 把持具
図1
図2
図3
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図5
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