【解決手段】複数の検査装置T1,T2,D,A,E,S,Hのうち、所定の検査装置における少なくとも1つの検査項目について所定の検査対象に対し不良判定がなされた場合には、前記所定の検査装置にて検査された前記所定の検査対象に係る画像データ及び検査関連情報のみならず、他の検査装置にて検査された前記所定の検査対象に係る画像データ及び検査関連情報に関しても、その良否判定結果に拘わらず、画像・検査条件記憶装置にすべて記憶されるように構成されている。
搬送される帯状の容器フィルムに形成されたポケット部に所定の内容物が充填され、当該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対し帯状のカバーフィルムが取着されてなるPTPシートの製造過程において、少なくとも1つの検査項目について検査を行う複数の検査装置を備えた検査システムであって、
前記複数の検査装置は、
前記内容物の収容された前記容器フィルムに対し所定の光を照射する照射手段と、
前記光の照射された前記内容物及び前記容器フィルムを撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段から得た画像データ、及び、予め設定した検査条件を基に、所定の検査対象に係る検査を実行し、当該検査対象の良否判定を行う検査手段とをそれぞれ備え、
前記複数の検査装置のうち、所定の検査装置における少なくとも1つの検査項目について所定の検査対象に対し不良判定がなされた場合には、
前記所定の検査装置にて検査された前記所定の検査対象に係る画像データ及び検査関連情報を所定の記憶手段に記憶すると共に、
前記所定の検査装置とは異なる他の検査装置にて検査された前記所定の検査対象に係る画像データ及び検査関連情報を所定の記憶手段に記憶するようにしたことを特徴とする検査システム。
搬送される帯状の容器フィルムに形成されたポケット部に所定の内容物が充填され、当該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対し帯状のカバーフィルムが取着されてなるPTPシートの製造過程において、少なくとも1つの検査項目について検査を行う複数の検査装置を備えた検査システムであって、
前記複数の検査装置は、
前記内容物の収容された前記容器フィルムに対し所定の光を照射する照射手段と、
前記光の照射された前記内容物及び前記容器フィルムを撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段から得た画像データ、及び、予め設定した検査条件を基に、所定の検査対象に係る検査を実行し、当該検査対象の良否判定を行う検査手段とをそれぞれ備え、
前記複数の検査装置のうち、所定の検査装置における少なくとも1つの検査項目について所定の検査対象に対し不良判定がなされた場合には、
前記所定の検査装置にて検査された前記所定の検査対象に係る画像データ及び検査関連情報を所定の記憶手段に記憶すると共に、
前記所定の検査装置よりも下流側に設けられた他の検査装置にて検査された前記所定の検査対象に係る画像データ及び検査関連情報を所定の記憶手段に記憶するようにしたことを特徴とする検査システム。
搬送される帯状の容器フィルムに形成されたポケット部に所定の内容物が充填され、当該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対し帯状のカバーフィルムが取着されてなるPTPシートの製造過程において、少なくとも1つの検査項目について検査を行う複数の検査装置を備えた検査システムであって、
前記複数の検査装置とそれぞれ電気的に接続された管理手段を備え、
前記複数の検査装置は、
前記内容物の収容された前記容器フィルムに対し所定の光を照射する照射手段と、
前記光の照射された前記内容物及び前記容器フィルムを撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段から得た画像データ、及び、予め設定した検査条件を基に、所定の検査対象に係る検査を実行し、当該検査対象の良否判定を行う検査手段と、
前記検査手段により検査された検査対象に係る画像データ及び検査関連情報を一時記憶可能な一時記憶手段と、
少なくとも前記検査対象を特定可能な特定情報及び当該検査対象に係る良否判定結果を含む検査結果情報を前記管理手段へ出力可能な情報出力手段と、
自身とは異なる他の検査装置から前記管理手段へ出力された前記検査結果情報に基づく情報を前記管理手段から入力可能な情報入力手段とをそれぞれ備え、
前記管理手段は、
前記複数の検査装置のすべてから所定の検査対象に係る前記検査結果情報を入力した場合において、
当該所定の検査対象について全ての検査装置において良品判定されている場合には、良品情報を前記複数の検査装置のすべてに対し出力し、
当該所定の検査対象について、少なくとも1つの検査装置において不良判定されている場合には、不良情報を前記複数の検査装置のすべてに対し出力し、
前記管理手段から前記良品情報を入力した前記検査装置は、前記所定の検査対象に係る画像データ及び検査関連情報を前記一時記憶手段から消去し、
前記管理手段から前記不良情報を入力した前記検査装置は、前記所定の検査対象に係る画像データ及び検査関連情報を前記一時記憶手段から消去すると共に、所定の長期記憶手段に記憶するようにしたことを特徴とする検査システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
通常、PTPシートの製造過程においては、カバーフィルム取着前(シール前)や取着後(シール後)などに対応して複数の検査装置が設けられており、各検査装置においてそれぞれ所定の検査項目について検査が行われている。
【0008】
しかしながら、上記のように複数の検査装置を備えた構成においては、例えば錠剤の形状や大きさに係る検査のように、同じ検査項目について複数の検査装置で重複して検査を実施している場合もある。そのため、所定の検査項目について、所定の検査装置では不良判定とされたが、他の検査装置では良品判定されるなど、複数の検査装置間で検査結果に齟齬が生じる場合がある。
【0009】
また、カバーフィルム取着前におけるシート上の錠剤粉や異物に関する検査と、カバーフィルム取着後におけるシール不良に関する検査のように、検査装置及び検査項目が異なっていても因果関係が密接に関連した検査等も存在する。
【0010】
従って、所定の検査装置において所定のPTPシートが不良判定された場合に、その画像データや検査結果等を記憶しておく従来の構成だけでは、当該PTPシートについて良品判定がなされた他の検査装置における画像データや検査結果等が記憶されないこととなる。
【0011】
結果として、複数の検査装置に係る検査結果等を対比して、検査条件や製造条件の見直し、排出した製品の良否判定の見直しなどを適切に行うことが難しかった。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、検査条件の検証作業の容易化など、利便性の向上を図ることのできる検査システム及びPTP包装機を提供することを主たる目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0014】
手段1.搬送される帯状の容器フィルムに形成されたポケット部に所定の内容物が充填され、当該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対し帯状のカバーフィルムが取着されてなるPTPシートの製造過程において、少なくとも1つの検査項目について検査を行う複数の検査装置を備えた検査システムであって、
前記複数の検査装置は、
前記内容物の収容された前記容器フィルムに対し所定の光を照射する照射手段と、
前記光の照射された前記内容物及び前記容器フィルムを撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段から得た画像データ、及び、予め設定した検査条件(判定値等)を基に、所定の検査対象に係る検査を実行し、当該検査対象の良否判定を行う検査手段とをそれぞれ備え、
前記複数の検査装置のうち、所定の検査装置における少なくとも1つの検査項目について所定の検査対象に対し不良判定がなされた場合には、
前記所定の検査装置にて検査された前記所定の検査対象に係る画像データ及び検査関連情報(検査条件、検査結果、検査対象の位置情報等)を所定の記憶手段に記憶すると共に、
前記所定の検査装置とは異なる他の検査装置にて検査された前記所定の検査対象に係る画像データ及び検査関連情報を所定の記憶手段に記憶するようにしたことを特徴とする検査システム。
【0015】
上記手段1によれば、複数の検査装置のうち、所定の検査装置における少なくとも1つの検査項目について所定の検査対象に対し不良判定がなされた場合には、前記所定の検査装置にて検査された前記所定の検査対象に係る画像データ及び検査関連情報のみならず、他の検査装置にて検査された前記所定の検査対象に係る画像データ及び検査関連情報に関しても、その良否判定結果に拘わらず、所定の記憶手段にすべて記憶されるように構成されている。
【0016】
結果として、少なくとも1つの検査装置において不良判定された検査対象については、他の検査装置における同一検査項目の結果や、他の検査装置における関連検査項目の結果などと合せて確認することができるため、検査条件や製造条件(製造環境)の見直し、排出した製品の良否判定の見直しなどをより適切に行うことができ、利便性の向上を図ることができる。
【0017】
手段2.搬送される帯状の容器フィルムに形成されたポケット部に所定の内容物が充填され、当該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対し帯状のカバーフィルムが取着されてなるPTPシートの製造過程において、少なくとも1つの検査項目について検査を行う複数の検査装置を備えた検査システムであって、
前記複数の検査装置は、
前記内容物の収容された前記容器フィルムに対し所定の光を照射する照射手段と、
前記光の照射された前記内容物及び前記容器フィルムを撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段から得た画像データ、及び、予め設定した検査条件(判定値等)を基に、所定の検査対象に係る検査を実行し、当該検査対象の良否判定を行う検査手段とをそれぞれ備え、
前記複数の検査装置のうち、所定の検査装置における少なくとも1つの検査項目について所定の検査対象に対し不良判定がなされた場合には、
前記所定の検査装置にて検査された前記所定の検査対象に係る画像データ及び検査関連情報(検査条件、検査結果、検査対象の位置情報等)を所定の記憶手段に記憶すると共に、
前記所定の検査装置よりも下流側に設けられた他の検査装置にて検査された前記所定の検査対象に係る画像データ及び検査関連情報を所定の記憶手段に記憶するようにしたことを特徴とする検査システム。
【0018】
上記手段2によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏される。尚、不良判定を行った検査装置よりも上流側の検査装置において良品判定された画像データ等まで記憶保存しようとした場合には、所定の検査対象に係る全ての検査装置における検査終了後まで画像データ等を一時的にメモリ等に保存しておかなくてはならず、メモリ容量の増大等が懸念される。一方、PTPシートの製造過程における検査装置の分野においては、検査対象の数が膨大であり、かつ、検査対象が不良判定される割合は極めて少ない。そのため、上記手段2によれば、記憶されるデータ容量の増大を抑制しつつ、効率よく検査条件や製造条件の見直し作業等を行うことができる。
【0019】
手段3.搬送される帯状の容器フィルムに形成されたポケット部に所定の内容物が充填され、当該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対し帯状のカバーフィルムが取着されてなるPTPシートの製造過程において、少なくとも1つの検査項目について検査を行う複数の検査装置を備えた検査システムであって、
前記複数の検査装置とそれぞれ電気的に接続された管理手段を備え、
前記複数の検査装置は、
前記内容物の収容された前記容器フィルムに対し所定の光を照射する照射手段と、
前記光の照射された前記内容物及び前記容器フィルムを撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段から得た画像データ、及び、予め設定した検査条件(判定値等)を基に、所定の検査対象に係る検査を実行し、当該検査対象の良否判定を行う検査手段と、
前記検査手段により検査された検査対象に係る画像データ及び検査関連情報(検査条件、検査結果、検査対象の位置情報等)を一時記憶可能な一時記憶手段と、
少なくとも前記検査対象を特定可能な特定情報(通し番号等)及び当該検査対象に係る良否判定結果を含む検査結果情報を前記管理手段へ出力可能な情報出力手段と、
自身とは異なる他の検査装置から前記管理手段へ出力された前記検査結果情報に基づく情報を前記管理手段から入力可能な情報入力手段とをそれぞれ備え、
前記管理手段は、
前記複数の検査装置のすべて(前記複数の検査装置のうち、最も下流側に設けられた検査装置)から所定の検査対象に係る前記検査結果情報を入力した場合において、
当該所定の検査対象について全ての検査装置において良品判定されている場合には、良品情報(前記検査結果情報に基づく情報)を前記複数の検査装置のすべてに対し出力し、
当該所定の検査対象について、少なくとも1つの検査装置において不良判定されている場合には、不良情報(前記検査結果情報に基づく情報)を前記複数の検査装置のすべてに対し出力し、
前記管理手段から前記良品情報を入力した前記検査装置は、前記所定の検査対象に係る画像データ及び検査関連情報を前記一時記憶手段から消去し、
前記管理手段から前記不良情報を入力した前記検査装置は、前記所定の検査対象に係る画像データ及び検査関連情報を前記一時記憶手段から消去すると共に、所定の長期記憶手段(自身のハードディスク、管理手段のハードディスク、外部サーバなど)に記憶するようにしたことを特徴とする検査システム。
【0020】
上記手段3によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏される。さらに、本手段によれば、管理手段を介して各種情報を集中管理できるため、システム構成や制御の簡素化を図ることができる。
【0021】
手段4.手段1乃至3のいずれかに記載の検査システムを備えたことを特徴とするPTP包装機。
【0022】
上記手段4のように、上記検査システムをPTP包装機に備えることで、PTPシートの製造過程において不良品を効率的に除外できる等のメリットが生じる。
【0023】
一般に、PTP包装機は、帯状に搬送される容器フィルムに対しポケット部を形成するポケット形成手段と、前記ポケット部に対し内容物を充填する充填手段と、前記ポケット部を塞ぐようにして前記容器フィルムに対し帯状のカバーフィルムを取着する取着手段と、前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状のPTPフィルムをPTPシート単位に打ち抜くシート打抜手段とを備える。また、PTP包装機は、上記検査システムによって不良と判定されたPTPシートを排出する排出手段を備える。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず検査対象となるPTPシートについて詳しく説明する。
【0026】
図1(a)〜(c)に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。
【0027】
容器フィルム3は、例えば、PP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の比較的硬質で所定の剛性を有する透明又は半透明の熱可塑性樹脂材料によって構成されている。カバーフィルム4は、アルミニウムによって構成されている。
【0028】
PTPシート1は、平面視略矩形状に形成されており、シート長手方向に沿って配列された5個のポケット部2からなるポケット列が、シート短手方向に2列形成されている。つまり、計10個のポケット部2が形成されている。各ポケット部2には、錠剤5が1つずつ収容されている〔
図1(c)参照〕。
【0029】
PTPシート1は、帯状の容器フィルム3及びカバーフィルム4から形成された帯状のPTPフィルム6〔
図1(b)参照〕が打抜かれることで、シート状に製造される。
【0030】
次に、上記PTPシート1を製造するためのPTP包装機11の概略について
図2を参照して説明する。
【0031】
PTP包装機11の最上流側には、ロール状に巻回された容器フィルム3の原反が配置されている(図示略)。容器フィルム3は、ここから間欠的に搬送される。PTP包装機11には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、まず加熱装置14とポケット形成装置15とが順に配設されている。これら加熱装置14及びポケット形成装置15は、容器フィルム3に対しポケット部2を形成するためのものであり、本実施形態におけるポケット形成手段を構成する。
【0032】
また、PTP包装機11には、ポケット部2が形成された容器フィルム3の移送経路に沿って、錠剤投入装置16とフィルム受けロール17とが順に配設されている。錠剤投入装置16は、容器フィルム3の各ポケット部2に対し錠剤5を充填するためのものであり、本実施形態における充填手段を構成する。
【0033】
さらに、錠剤投入装置16とフィルム受けロール17との間には、シール前検査部21が設けられている。シール前検査部21には、上流側より順に、第1検査装置T1,第2検査装置T2,第3検査装置D,第4検査装置Aが設けられている。これら各検査装置T1,T2,D,Aにより、錠剤5に関する異常や、容器フィルム3(シート部分)に関する異常が検査される。各検査装置T1,T2,D,Aのより詳細な構成に関しては後述する。
【0034】
一方、ロール状に巻回されたカバーフィルム4の原反の引出し端は、前記フィルム受けロール17の方へと案内されている。フィルム受けロール17には、加熱ロール18が圧接可能となっており、両ロール17,18間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3にカバーフィルム4が貼着(シール)されるようになっている。これにより、錠剤5が各ポケット部2に充填されたPTPフィルム6が製造される。従って、フィルム受けロール17及び加熱ロール18により、本実施形態における取着手段が構成される。
【0035】
また、フィルム受けロール17の下流側におけるPTPフィルム6の移送経路には、シール後検査部22が設けられている。シール後検査部22には、上流側より順に、第5検査装置E,第6検査装置S,第7検査装置Hが設けられている。これら各検査装置E,S,Hにより、錠剤5に関する異常や、PTPフィルム6(シート部分)に関する異常が検査される。各検査装置E,S,Hのより詳細な構成に関しては後述する。
【0036】
その後、PTPフィルム6は、図示しないシート打抜手段によってPTPシート単位に打抜かれる。本実施形態では、PTPフィルム6の幅方向にPTPシート1を2枚同時に打抜く構成となっている。これにより、PTPフィルム6の搬送方向をシート短手方向としたPTPシート1が製造される。
【0037】
尚、上記検査装置T1,T2,D,A,E,S,Hのいずれかによって不良判定された場合には、図示しない排出手段としての不良シート排出機構に不良品信号が送られる。これにより、その不良判定となったPTPシート1は、不良シート排出機構によって別途排出され、図示しない不良品ホッパに移送される。
【0038】
また、PTP包装機11は、上記各種装置のほか、主制御装置60や表示装置61、画像・検査条件記憶装置62などを備えている。
【0039】
主制御装置60は、演算手段としてのCPUや、各種プログラムを記憶するROM、演算データや入出力データなどの各種データを一時的に記憶するRAMなどを備えた、いわゆるコンピュータシステムとして構成されている。
【0040】
主制御装置60は、例えば上記加熱装置14、ポケット形成装置15、錠剤投入装置16などの各種装置の駆動制御や、フィルム受けロール17などの各種ローラの駆動制御などを司る。
【0041】
これらの駆動制御は、主制御装置60のRAM等に事前に設定された設定データ(各種機構の駆動量のデータなど)に基づき、主制御装置60がPTP包装機11内の各種装置に対し制御信号を出力することにより行われる。
【0042】
また、主制御装置60は、シール前検査部21(各検査装置T1,T2,D,A)、シール後検査部22(各検査装置E,S,H)とそれぞれ電気的に接続されており、これらに記憶された各種情報(画像データや検査条件など)を送受信可能に構成されている。主制御装置60により本実施形態における管理手段が構成され、主制御装置60、シール前検査部21(各検査装置T1,T2,D,A)、及び、シール後検査部22(各検査装置E,S,H)により本実施形態における検査システムが構成される。
【0043】
表示装置61は、主制御装置60やシール前検査部21(各検査装置T1,T2,D,A)、シール後検査部22(各検査装置E,S,H)とそれぞれ電気的に接続されており、これらに記憶された各種情報(画像データや検査条件など)を表示可能に構成されている。
【0044】
表示装置61の表示部は、表示手段及び入力手段として機能するタッチパネルにより構成されており、ここから主制御装置60やシール前検査部21(各検査装置T1,T2,D,A)、シール後検査部22(各検査装置E,S,H)に対し、各種情報を入力可能に構成されている。勿論、これに代えて又は加えて、入力手段としてキーボードやマウス等を備えた構成としてもよい。
【0045】
画像・検査条件記憶装置62は、本実施形態における記憶手段(長期記憶手段)を構成するものであり、ハードディスク装置により構成されている。後述するように、画像・検査条件記憶装置62には、検査によって不良と判定されたPTPシート1に関する「欠錠」や「シート上異物」等の検査項目、不良判定の日時、画像データ、検査に用いられた検査条件などが長期記憶される。
【0046】
さて、PTP包装機11の概略は以上のとおりであるが、以下においては各検査装置T1,T2,D,A,E,S,Hのより具体的な構成について
図3を参照しつつ説明する。
【0047】
各検査装置T1,T2,D,A,E,S,Hは、それぞれ照射手段としての照明装置25、撮像手段としてのカメラ26、処理実行装置27などを備えている。
【0048】
照明装置25は、ポケット部2の開口部側又は突出部側から容器フィルム3又はPTPフィルム6に対し所定の光(例えば近赤外光や可視光)を照射可能に構成されている。
【0049】
本実施形態では、カメラ26として、照明装置25から照射される光の波長領域に感度を有するCCDカメラが採用されている。これに限らず、CMOSカメラを採用してもよい。尚、第4検査装置Aなど一部の検査装置のカメラ26には、色識別可能なようにカラーCCDカメラが採用されている。
【0050】
そして、カメラ26によって撮像された画像データ(輝度画像データ又はカラー画像データ)は、カメラ26内部においてデジタル信号に変換された上で、デジタル信号の形で処理実行装置27に入力される。
【0051】
処理実行装置27は、上記主制御装置60と同様、いわゆるコンピュータシステムとして構成されており、画像処理等の各種処理を実行可能となっている。
【0052】
処理実行装置27は、画像メモリ31、検査結果及び統計データメモリ32、判定用メモリ33、画像・検査条件記憶装置34、カメラタイミング制御装置35、及び、CPU及び入出力インターフェース36を備えており、二値化処理や塊処理などの各種画像処理や、不良判定処理(検査処理)等を実施可能となっている。尚、画像メモリ31、検査結果及び統計データメモリ32、判定用メモリ33などにより、本実施形態における一時記憶手段が構成される。
【0053】
画像メモリ31は、カメラ26から出力される撮像画像の二次元イメージデータ(画像データ)を記憶する。この画像メモリ31に記憶された画像データに基づいて検査が実行される。勿論、検査の実行に際し、画像データに対し加工処理を施してもよい。例えばマスキング処理や、シェーディング補正などの処理を施すことが考えられる。シェーディング補正は、容器フィルム3等の撮像範囲全体を照明装置25の光で均一に照らすことは技術的に限界があることから、位置の相違により生じる光の明度のばらつきを補正するためのものである。尚、検査時において画像データに対し二値化処理が行われた二値化画像データや、マスキング処理が行われたマスキング画像データなども、当該画像メモリ31に記憶されることとなる。
【0054】
検査結果及び統計データメモリ32は、イメージデータに関する座標等のデータ、外観検査結果データ、及び、該外観検査結果データを確率統計的に処理した統計データなどを記憶するものである。これらの外観検査結果データや統計データは、CPU及び入出力インターフェース36の制御に基づき、表示装置61に表示させることができる。また、これらの外観検査結果データや統計データに基づいてCPU及び入出力インターフェース36が主制御装置60に制御信号を送出することもできる。
【0055】
判定用メモリ33は、検査に用いられる判定値(閾値等)を記憶するものである。判定値は、検査項目毎に設定される。検査に用いられる判定値には、例えばPTPシート1やポケット部2、錠剤5などの寸法、各種検査領域を画定するための各種ウインドウ枠の形状や寸法、二値化処理に係る閾値、面積判定に係る判定値、色識別検査に係る色基準値などが含まれる。
【0056】
また、判定値の中には、錠剤面積値を検査するための判定値など、過去の検査で良品と判定されたものについての検査計測結果を統計して決定される判定値もある。このような判定値は、検査途中において、検査計測結果に応じて変化していく。本実施形態でいう判定値は、このような検査結果に応じて変化していく判定値を含むものとする。
【0057】
画像・検査条件記憶装置34は、本実施形態における記憶手段(長期記憶手段)を構成するものであり、ハードディスク装置により構成されている。画像・検査条件記憶装置34には、検査によって不良と判定されたPTPシート1に関する「欠錠」や「シート上異物」等の検査項目、不良判定の日時、画像データ、検査に用いられた検査条件などが長期記憶される。
【0058】
カメラタイミング制御装置35は、カメラ26の撮像タイミングを制御するものである。かかるタイミングはPTP包装機11に設けられた図示しないエンコーダからの信号に基づいて制御され、容器フィルム3又はPTPフィルム6を所定量送るごとにカメラ26による撮像が行われる。
【0059】
CPU及び入出力インターフェース36は、本実施形態における検査手段を構成するものであり、各検査装置T1,T2,D,A,E,S,Hにおける各種制御を司る。例えば各種処理プログラムを実行すると共に、PTP包装機11の主制御装置60に制御信号を送出し又はPTP包装機11の主制御装置60から動作信号などの各種信号を受信する機能を有する。これによって、PTP包装機11の主制御装置60が不良シート排出機構などを制御することが可能となる。また、CPU及び入出力インターフェース36は、表示装置61に表示データを送出する機能を有し、画像データや検査結果などを表示装置61に表示させることができる。
【0060】
次に各検査装置T1,T2,D,A,E,S,Hの構成についてより詳しく説明する。
【0061】
第1検査装置T1は、シール前に容器フィルム3のポケット部2突出部側(錠剤5の表面側)から検査を行う透過光式の検査装置である。第1検査装置T1では、照明装置25が容器フィルム3のポケット部2開口部側に配置され、カメラ26が容器フィルム3のポケット部2突出部側に設けられている。そして、照明装置25から照射される光(近赤外光)のうち、容器フィルム3を透過した光を二次元撮像する構成となっている。
【0062】
第2検査装置T2は、シール前に容器フィルム3のポケット部2開口部側(錠剤5の裏面側)から検査を行う透過光式の検査装置である。第2検査装置T2では、照明装置25が容器フィルム3のポケット部2突出部側に配置され、カメラ26が容器フィルム3のポケット部2開口部側に設けられている。そして、照明装置25から照射される光(近赤外光)のうち、容器フィルム3を透過した光を二次元撮像する構成となっている。
【0063】
第1検査装置T1及び第2検査装置T2では、錠剤5の表裏両面側から、それぞれ後述する「錠剤割れ」、「錠剤破片混入」、「欠錠」、「錠剤形状・大きさ違い」、「錠剤欠け」及び「錠剤表面剥離」の検査項目について検査が行われる(
図6参照)。尚、
図6は、各検査装置T1,T2,D,A,E,S,Hと、これらにより行われる検査項目との対応関係を示した図である。
【0064】
第3検査装置Dは、シール前に容器フィルム3のポケット部2開口部側(錠剤5の裏面側)から検査を行う反射光式の検査装置である。第3検査装置Dでは、照明装置25及びカメラ26が容器フィルム3のポケット部2開口部側に配置されている。そして、照明装置25から照射される光(近赤外線)のうち、錠剤5に反射した光を二次元撮像する構成となっている。
【0065】
第3検査装置Dでは、錠剤5の裏面側から、「錠剤上毛髪」、「錠剤上異物」、「錠剤割れ」、「錠剤破片混入」、「欠錠」、「錠剤形状・大きさ違い」及び「錠剤欠け」の検査項目について検査が行われる。
【0066】
第4検査装置Aは、シール前に容器フィルム3のポケット部2突出部側及び開口部側(錠剤5の表裏面側)から検査を行う透過光式及び反射光式の両機能を備えた検査装置である。第4検査装置Aでは、照明装置25が容器フィルム3のポケット部2突出部側及び開口部側の両側に1つずつ配置され、2つのカメラ26が容器フィルム3のポケット部2開口部側に設けられている。そして、ポケット部2突出部側の照明装置25から照射される光(可視光)のうち、容器フィルム3を透過した光が一方のカメラ26により二次元撮像され、ポケット部2開口部側の照明装置25から照射される光(可視光)のうち、錠剤5に反射した光を他方のカメラ26(カラーCCDカメラ)により二次元撮像する構成となっている。
【0067】
第4検査装置Aでは、「シート上錠剤粉」、「錠剤割れ」、「錠剤破片混入」、「シート上毛髪」、「シート上異物」、「欠錠」、「錠剤形状・大きさ違い」、「錠剤欠け」及び「錠剤色」の検査項目について検査が行われる。
【0068】
第5検査装置E,第6検査装置S及び第7検査装置Hは、シール後に容器フィルム3(PTPフィルム6)のポケット部2突出部側(錠剤5の表面側)から検査を行う反射光式の検査装置である。第5検査装置E,第6検査装置S及び第7検査装置Hでは、それぞれ照明装置25及びカメラ26が容器フィルム3(PTPフィルム6)のポケット部2突出部側に配置されている。
【0069】
そして、第5検査装置E及び第6検査装置Sでは、それぞれ照明装置25から照射される光(近赤外線)のうち、錠剤5に反射した光を二次元撮像する構成となっており、第7検査装置Hでは、照明装置25から照射される光(可視光)のうち、錠剤5に反射した光をカメラ26(カラーCCDカメラ)により二次元撮像する構成となっている。
【0070】
第5検査装置Eでは、「シート上錠剤粉」、「錠剤上毛髪」、「錠剤上異物」、「錠剤割れ」、「錠剤破片混入」、「シート上毛髪」、「シート上異物」、「欠錠」、「錠剤形状・大きさ違い」及び「錠剤欠け」の検査項目について検査が行われる。
【0071】
第6検査装置Sでは、「ノンシール・しわ」の検査項目について検査が行われる。また、第7検査装置Hでは、「コーティング剥離」及び「錠剤色」の検査項目について検査が行われる。
【0072】
ここで上記各検査項目について説明する。「シート上錠剤粉」は、容器フィルム3又はPTPフィルム6上に、錠剤粉など大きさが数mm(例えば5mm)未満の小さな異物が存在するか否かを検査するための項目である。
【0073】
「コーティング剥離」は、糖衣錠等の錠剤5において、コーティングが剥離しているか否かを検査するための項目である。
【0074】
「錠剤上毛髪」は、錠剤5上に、毛髪などの線状異物が存在するか否かを検査するための項目である。
【0075】
「錠剤上異物」は、錠剤5上に、大きさが数mm(例えば5mm)以上という大きな異物が存在するか否かを検査するための項目である。
【0076】
「錠剤割れ」は、錠剤5に割れが発生しているか否かを検査するための項目である。
【0077】
「錠剤破片混入」は、ポケット2内に、錠剤5の破片など、錠剤5以外の異物が存在するか否かを検査するための項目である。
【0078】
「シート上毛髪」は、容器フィルム3又はPTPフィルム6上に、毛髪などの線状異物が存在するか否かを検査するための項目である。
【0079】
「シート上異物」は、容器フィルム3又はPTPフィルム6上に、大きさが数mm(例えば5mm)以上という大きな異物が存在するか否かを検査するための項目である。
【0080】
「欠錠」は、ポケット部2内に、錠剤5が充填されているか否かを検査するための項目である。
【0081】
「錠剤形状・大きさ違い」は、錠剤5の形状や大きさが、製造品種と適合しているか否かを検査するための項目である。
【0082】
「錠剤欠け」は、錠剤5に欠けが発生しているか否かを検査するための項目である。
【0083】
「錠剤色」は、錠剤5の色が、製造品種と適合しているか否かを検査するための項目である。
【0084】
「錠剤表面剥離」は、錠剤5の表面層が剥離しているか否かを検査するための項目である。
【0085】
「ノンシール・しわ」は、カバーフィルム4が適正に取着されているか否かを検査する項目である。
【0086】
次に、各検査装置T1,T2,D,A,E,S,Hにおいて行われる検査処理について
図4のフローチャートに基づき説明する。この処理は、CPU及び入出力インターフェース36によって実行される。
【0087】
まずステップS100において、所定の検査対象(所定のPTPシート1に対応する部位)に対し検査を実行する。より具体的には、画像メモリ31に記憶されている画像データに基づき、予め設定された判定値を用いてポケット部2に充填された錠剤5の異常などを検査する。
【0088】
尚、この検査は、PTPシート1の単位で良/不良を判定するために各ポケット部2についてなされる。したがって、各ポケット部2についての検査には、シート部ひいてはポケット部2を特定するためのシート位置追従量(シート部を特定するために、例えばシート検査枠の移動が許容される量)が用いられる。
【0089】
また、検査の結果は、検査対象を特定するための特定情報である通し番号(
図8参照)と共に、検査結果及び統計データメモリ32に一時記憶される。
【0090】
続くステップS110では、不良判定されたか否かを判断する。ここで不良判定されたと判断された場合(ステップS110:YES)、ステップS120へ移行する。一方、不良判定されなかった場合(ステップS110:NO)、すなわち良品と判定された場合には、ステップS180へ移行する。
【0091】
不良判定された場合に移行するステップS120では、不良発生日時、不良項目を検査対象に係る通し番号と共に画像・検査条件記憶装置34に記憶する。続くステップS130では、不良判定されたときの画像データを、検査対象に係る通し番号と共に画像・検査条件記憶装置34に記憶する。ここで、画像データは、不良発生日時、不良項目に関連付けて記憶される。
【0092】
次のステップS140では、不良とされた錠剤5に対応するポケット部2を特定するためのシート位置追従量を、検査対象に係る通し番号と共に画像・検査条件記憶装置34に記憶し、ステップS150では、判定値を、検査対象に係る通し番号と共に画像・検査条件記憶装置34に記憶する。なお、判定値は不良項目に対応するものだけを記憶してもよいし、各検査項目の判定値を全て記憶するようにしてもよい。
【0093】
そして、ステップS160では不良項目、不良発生時刻を表示装置61に表示する。続いて、ステップS170では、上記画像・検査条件記憶装置34に記憶した検査結果情報(検査対象に係る通し番号、良否判定結果、不良発生日時、不良項目、画像データ、シート位置追従量、及び、判定値など)をPTP包装機11の主制御装置60へ出力する。ここで、出力した各種データを削除するようにしてもよい。その後、本検査処理を終了する。主制御装置60へ各種情報を出力する機能が本実施形態における情報出力手段を構成する。
【0094】
一方、上記検査結果情報を受信したPTP包装機11の主制御装置60は、当該検査結果情報を画像・検査条件記憶装置62に記憶すると共に、当該検査結果情報を出力した検査装置(例えば第3検査装置D)よりも下流側の全ての検査装置(検査装置A,E,S,H)に対し、上記通し番号により特定される所定の検査対象に対し上流側の検査装置において不良判定がなされた旨の情報(不良情報)を出力する。
【0095】
さて、上記ステップS110にて良品判定されて移行するステップS180では、自身が検査を行っている検査対象に対し主制御装置60から上記不良情報の入力があったか否かを判定する。主制御装置60から各種情報を入力する機能が本実施形態における情報入力手段を構成する。
【0096】
ここで、不良情報の入力がない場合には、ステップS190へ移行し、検査結果及び統計データメモリ32に一時記憶されている検査結果や、画像メモリ31に記憶されている画像データ等を消去し、本検査処理を終了する。
【0097】
一方、ステップS180において、不良情報の入力があったと判定した場合には、上記ステップS120へ移行する。つまり、自身が不良判定した場合と同様に、S120〜S170の処理を実行する。尚、これら一連の処理が行われることにより、PTP包装機11の主制御装置60は、所定の検査対象(通し番号)に係るデータを複数の検査装置から受信する場合があるが、所定の通し番号に係る不良情報の出力は最初の1回のみで、複数回出力しないように構成されている。
【0098】
上記構成により、所定の検査対象に対し所定の検査装置において不良判定がなされた場合には、当該検査装置よりも下流側の全ての検査装置において得られた上記検査結果情報(通し番号、良否判定結果、画像データなど)が各検査装置の画像・検査条件記憶装置34及びPTP包装機11の画像・検査条件記憶装置62に記憶されることとなる。
【0099】
例えば
図7に示す例において、通し番号LB1の付された検査対象については、第4検査装置Aにおいて不良判定(
図7中の「×」印)がなされたため、これよりも下流側の全ての検査装置E,S,Hにて得られた検査結果情報が良品判定(
図7中の「○」印)であるにも拘わらず記憶されることとなる。同様に、通し番号LB19の付された検査対象については、第1検査装置T1において不良判定がなされたため、これよりも下流側の全ての検査装置T2,D,A,E,S,Hにて得られた検査結果情報が良品判定か不良判定かに拘わらず記憶されることとなる。
【0100】
次に表示装置61の表示画面に表示される検査結果表示の一例について
図5を参照して説明する。
図5は、第4検査装置Aの検査処理実行時における表示装置61の表示画面を例示した説明図である。
【0101】
画面の左側には、検査対象となっている部分の容器フィルム3の画像g1,g2が表示される。なお、これらの画像g1,g2においては、容器フィルム3の端部の図示を省略してある。そして、その画像g1,g2の右側には、検査結果が表示される。本実施形態におけるPTPシート1は、シート単位で10個のポケット部2を有するものである〔
図1(a)参照〕。したがって、シート単位の検査では、10個のポケット部2に充填された錠剤5が検査されることになる。
図5中、記号α,βで示した枠線の内部にあるポケット部2が、容器フィルム3の中で現在、検査対象となっているものを示す。つまり、この枠線α,βは、検査対象となる1枚のPTPシート1に対応するものである。ここに示される画像g1,g2は、検査対象が変わると更新されていく。なお、
図5において、画像g1,g2が「奥側」、「手前側」となっているのは、上述したように、容器フィルム3の幅方向において2枚のPTPシート1が打ち抜かれるためである〔
図1(b)参照〕。したがって、検査結果の表示も、奥側、手前側という具合に、上下に分けてなされる。
【0102】
第4検査装置Aに係る検査結果の表示項目は、
図5に示すように、「全欠」、「欠錠」、「錠剤不良」、「処理不良」、「色不良」、「シート巨塊異物」、「シート異物(塊)」及び「シート異物(線)」という項目と、「良品数」、「不良数」、「不良率」、「合計良品数」、「合計不良数」及び「合計不良率」という統計データ、及び、不良発生表示からなる。
【0103】
ここで「全欠」は、すべてのポケット部2に錠剤5が全く充填されていないことを示す。「錠剤不良」は、上記「錠剤割れ」、「錠剤破片混入」、「錠剤欠け」、「錠剤形状・大きさ違い」の検査項目に対応するものであり、錠剤5に欠け、割れ、形状の異常等があることを示す。「色不良」は、上記「錠剤色」の検査項目に対応するものであり、色異常があったことを示す。
【0104】
「シート巨塊異物」は、上記「シート上異物」の検査項目に対応するものであり、容器フィルム3上に大きな異物が検出されたことを示す。「シート異物(塊)」は、上記「シート上錠剤粉」の検査項目に対応するものであり、容器フィルム3上に小さな異物が検出されたことを示す。「シート異物(線)」は、上記「シート上毛髪」の検査項目に対応するものであり、容器フィルム3上に、毛髪などの線状異物が検出されたことを示す。
【0105】
統計データとしての「良品数」、「不良数」及び「不良率」は、奥側と手前側とでそれぞれ算出され、順に、良品の数の合計、不良品の数の合計、全体数に対する不良品の数の割合を示す。「合計良品数」、「合計不良数」及び「合計不良率」は、奥側と手前側との合計であり、順に、良品の数の合計、不良品の数の合計、全体数に対する不良品の数の割合を示す。
【0106】
不良発生表示は、不良発生時刻、及び、不良項目からなり、奥側と手前側とでそれぞれ表示される。本実施形態では、
図5に示すように、例えば「14:34:00 錠剤不良」や「14:31:30 欠錠」などの表示がなされる。この不良発生表示は、最新のものから所定件数(例えば9件)が表示され、それよりも過去のものは表示されないようになっている。
【0107】
また、本実施形態では、各検査装置T1,T2,D,A,E,S,Hの画像・検査条件記憶装置34、又は、画像・検査条件記憶装置62に記憶された各種データに基づき、表示装置61にて、上記検査処理実行時と同様の表示態様で検査結果の再現表示を行うことができる。
【0108】
これにより、複数の検査装置T1,T2,D,A,E,S,Hのデータを利用して、所定の検査対象に係る検査条件や製造条件の見直し、排出した製品の良否判定の見直しなどを行うことができる。以下、その具体例を示す。
【0109】
例えば、第4検査装置Aによるシール前透過検査(「欠錠」検査)において、錠剤5が存在すると判定(良品判定)されたにも拘わらず、第5検査装置Eによるシール後反射検査(「欠錠」検査)において、錠剤5が存在しないと判定(不良判定)される場合がある。この場合、例えば錠剤5がシール前にポケット部2から飛び出してしまった可能性が考えられ、錠剤5がPTP包装機11のどこかに残留しているおそれがあるため、これを探す必要がある。
【0110】
また、シール前の第4検査装置Aにおいて、シート異物が存在すると判定(不良判定)されたにも拘わらず、シール後の第5検査装置Eにおいて良品判定される場合がある。この場合、カバーフィルム4を取着する際、異物が加熱ロール18のシール目により潰されてしまい、シール後の検査では検出できなくなった可能性が考えられる。
【0111】
通常、検査に際しては、画像の明るさ256階調で一番暗い部分「0」から所定の輝度閾値(例えば輝度値「100」)までを二値化により異物として認識するように設定されている。そのため、前記輝度閾値の設定が適切でない場合、例えば線状異物の一部が画像データ上で薄く写ってしまうと、二値化では全体を検出できず、1つの線状異物が2片に分断された状態で抽出されることとなる。かかる場合、各片が所定の長さ閾値を超える異物として検出されないおそれがある。これに対し、例えば輝度閾値の再調整を行い、より適切な値(例えば輝度値「180」)に変更することで線上異物を適切に検出することができる。
【0112】
また、第5検査装置Eにて「シート上異物」ありと判定され、第6検査装置Sで「しわ」ありと判定された場合には、異物部分を「しわ」と誤認しているおそれがある。一方、第5検査装置Eにて「シート上異物」なしと判定されているにも拘わらず、第6検査装置Sで「しわ」ありと判定されている場合には、真の「しわ」不良であるため、上記加熱ロール18等のシール機構の清掃、点検等を行う必要がある。
【0113】
また、第4検査装置Aによるシール前透過検査(「錠剤割れ」検査)において、錠剤5が割れていないと判定(良品判定)されたにも拘わらず、第5検査装置Eによるシール後反射検査(「錠剤割れ」検査)において、錠剤5が割れていると判定(不良判定)される場合がある。この場合、例えば製造過程において錠剤5を傷つける要因が存在するおそれがあるため、これを探し排除する必要がある。
【0114】
また、第3検査装置Dによる「錠剤形状・大きさ違い」検査において、錠剤5の形状や大きさが適切ではないと判定(不良判定)されたにも拘わらず、第4検査装置Aによる「錠剤形状・大きさ違い」検査において、錠剤5の形状や大きさが適切であると判定(良品判定)される場合がある。この場合、例えば錠剤投入装置16等に何らかの不具合があり、ポケット部2への錠剤5の投入直後に、当該錠剤5の姿勢が適正な状態となっていないことが考えられる。
【0115】
以上詳述したように、本実施形態によれば、複数の検査装置T1,T2,D,A,E,S,Hのうち、所定の検査装置における少なくとも1つの検査項目について所定の検査対象に対し不良判定がなされた場合には、前記所定の検査装置にて検査された前記所定の検査対象に係る画像データ及び検査関連情報のみならず、他の検査装置にて検査された前記所定の検査対象に係る画像データ及び検査関連情報に関しても、その良否判定結果に拘わらず、各検査装置の画像・検査条件記憶装置34及びPTP包装機11の画像・検査条件記憶装置62にすべて記憶されるように構成されている。
【0116】
結果として、少なくとも1つの検査装置において不良判定された検査対象については、他の検査装置における同一検査項目の結果や、他の検査装置における関連検査項目の結果などと合せて確認することができるため、検査条件や製造条件(製造環境)の見直し、排出した製品の良否判定の見直しなどをより適切に行うことができ、利便性の向上を図ることができる。
【0117】
尚、複数の検査装置T1,T2,D,A,E,S,Hのうち、不良判定を行った検査装置よりも上流側の検査装置において良品判定された画像データ等まで記憶保存しようとした場合には、所定の検査対象に係る全ての検査装置における検査終了後まで画像データ等を一時的にメモリ等に保存しておかなくてはならず、メモリ容量の増大等が懸念される。一方、PTPシート1の製造過程における検査装置の分野においては、検査対象の数が膨大であり、かつ、検査対象が不良判定される割合は極めて少ない。
【0118】
この点、本実施形態では、所定の検査対象に対し所定の検査装置において不良判定がなされた場合に、当該検査装置よりも下流側の全ての検査装置において得られた上記検査結果情報が、その判定結果に拘わらず、各検査装置の画像・検査条件記憶装置34及びPTP包装機11の画像・検査条件記憶装置62に記憶される構成となっている。これにより、記憶されるデータ容量の増大を抑制しつつ、効率よく検査条件や製造条件の見直し作業等を行うことができる。
【0119】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0120】
(a)上記実施形態では、内容物が錠剤5である場合について具体化しているが、内容物の種別、形状等については特に限定されるものではなく、例えば食品や電子部品等が内容物として充填される構成であってもよい。
【0121】
勿論、これらの内容物に対応して形成されるポケット部2の形状や数、配列、大きさ等に関しても上記実施形態に限定されるものではない。
【0122】
(b)上記実施形態では、容器フィルム3がPP等の透明の熱可塑性樹脂材料により形成され、カバーフィルム4がアルミニウムにより形成されている。各フィルム3,4の材料は、これらに限定されるものではなく、他の材質のものを採用してもよい。
【0123】
例えば容器フィルム3が、アルミラミネートフィルムなど、アルミニウムを主材料とした金属材料により形成された構成としてもよい。
【0124】
(c)シール前検査部21やシール後検査部22の構成、各検査装置T1,T2,D,A,E,S,Hの構成は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、シール前検査部21やシール後検査部22を1つの装置として一体に設けた構成としてもよい。
【0125】
また、各検査装置T1,T2,D,A,E,S,Hによる検査項目や検査条件、検査方法に関しても、上記実施形態に限定されるものではない。
【0126】
(d)上記実施形態では、所定の検査対象に対し所定の検査装置において不良判定がなされた場合に、当該検査装置よりも下流側の全ての検査装置において得られた検査結果情報が、その判定結果に拘わらず、各検査装置の画像・検査条件記憶装置34及びPTP包装機11の画像・検査条件記憶装置62に記憶される構成となっている。
【0127】
これに限らず、所定の検査対象に対し所定の検査装置において不良判定がなされた場合には、当該検査装置よりも上流側を含め、全ての検査装置T1,T2,D,A,E,S,Hにおいて得られた検査結果情報が、その判定結果に拘わらず、各検査装置の画像・検査条件記憶装置34やPTP包装機11の画像・検査条件記憶装置62に記憶される構成としてもよい。以下に具体例を示す。
【0128】
例えば検査装置T1,T2,D,A,E,S,Hでは、所定の検査対象に係る検査を行う度に、当該検査対象に係る画像データ及び検査関連情報(検査条件や良否判定結果等)を、当該検査対象の通し番号と共に、一時記憶手段としての画像・検査条件記憶装置34(又は、画像メモリ31、検査結果及び統計データメモリ32、判定用メモリ33などにより構成される一時記憶手段)に記憶する。
【0129】
これと同時に、各検査装置T1,T2,D,A,E,S,Hは、検査対象の通し番号とその良否判定結果を含む検査結果情報を、管理手段としての主制御装置60へ出力する。かかる機能により情報出力手段が構成される。
【0130】
一方、検査結果情報を入力した主制御装置60は、これらの情報を検査対象(通し番号)毎に記憶する。
【0131】
そして、最下流に位置する第7検査装置Hから主制御装置60へ所定の検査対象に係る検査結果情報が入力されると、主制御装置60は、当該所定の検査対象に関して、全ての検査装置T1,T2,D,A,E,S,Hにおいて良品判定されているか否かを判定する。ここで、良品判定されている場合には、主制御装置60は、当該検査対象に係る良品情報を全ての検査装置T1,T2,D,A,E,S,Hに対し出力する。
【0132】
当該良品情報を入力した各検査装置T1,T2,D,A,E,S,Hは、当該良品情報に係る検査対象に関する画像データ及び検査関連情報等を画像・検査条件記憶装置34から消去する。尚、主制御装置60から情報を入力可能な各検査装置T1,T2,D,A,E,S,Hの機能により情報入力手段が構成される。
【0133】
一方、主制御装置60は、所定の検査対象について、少なくとも1つの検査装置において不良判定されていると判定した場合には、当該検査対象に係る不良情報を全ての検査装置T1,T2,D,A,E,S,Hに対し出力する。
【0134】
当該不良情報を入力した各検査装置T1,T2,D,A,E,S,Hは、主制御装置60を介して、当該検査対象に係る画像データ及び検査関連情報を、当該検査対象の通し番号と共に、長期記憶手段としてのPTP包装機11の画像・検査条件記憶装置62に対し出力し記憶させる。
【0135】
(e)上記実施形態では、不良判定された所定の検査対象に係る画像データ及び検査関連情報を、各検査装置T1,T2,D,A,E,S,Hの画像・検査条件記憶装置34にて、それぞれ個別に記憶すると共に、PTP包装機11の画像・検査条件記憶装置62においても、まとめて記憶する構成となっている。
【0136】
これに限らず、例えばPTP包装機11の画像・検査条件記憶装置62を省略し、不良判定された所定の検査対象に係る画像データ及び検査関連情報を、各検査装置T1,T2,D,A,E,S,Hの画像・検査条件記憶装置34にて、それぞれ個別に記憶するだけの構成としてもよい。かかる場合には、各検査装置T1,T2,D,A,E,S,Hの画像・検査条件記憶装置34に記憶された画像データ及び検査関連情報を、適宜、主制御装置60を介して読み出し、表示装置61に表示可能に構成されていればよい。