(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-204054(P2015-204054A)
(43)【公開日】2015年11月16日
(54)【発明の名称】交通信号灯器用カバー及び交通信号灯器
(51)【国際特許分類】
G08G 1/095 20060101AFI20151020BHJP
E01F 9/016 20060101ALI20151020BHJP
【FI】
G08G1/095 D
E01F9/016
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-84246(P2014-84246)
(22)【出願日】2014年4月16日
(71)【出願人】
【識別番号】591068816
【氏名又は名称】信号電材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】興梠 政広
(72)【発明者】
【氏名】上妻 忠之
【テーマコード(参考)】
2D064
5H181
【Fターム(参考)】
2D064AA11
2D064AA22
2D064CA01
2D064DA14
2D064EA03
2D064EB01
2D064HA01
5H181GG13
5H181GG15
5H181HH13
(57)【要約】
【課題】本発明は、発光部への着雪を防止することを実現可能とする交通信号灯器用カバー及び、この交通信号灯器用カバーを備えた交通信号灯器を提供することを目的とするものである。
【解決手段】平面状とされた筺体11に赤色発光部13及び青色発光部14が設けられた歩行者信号灯器10の赤色発光部13及び青色発光部14の前方を一体的に覆うことが可能とされる透光性を有するカバー部2と、カバー部2の開口縁に沿って周設された歩行者信号灯器10の前面に着脱可能なフランジ部3とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通信号灯器に配置された複数の発光部を一体的に覆うことが可能とされる透光性を有するカバー部と、
該カバー部の開口縁に沿って周設され、前記複数の発光部が配置された前記交通信号灯器面に着脱可能なフランジ部とを備える
交通信号灯器用カバー。
【請求項2】
前記カバー部は、同カバー部の長手方向の略中央に沿って頂部が形成された蒲鉾形状である
請求項1に記載の交通信号灯器用カバー。
【請求項3】
前記カバー部の外表面は、光反射防止コートが形成された
請求項1または請求項2に記載の交通信号灯器用カバー。
【請求項4】
前記カバー部は、空気孔が形成された
請求項1、請求項2または請求項3に記載の交通信号灯器用カバー。
【請求項5】
前記フランジ部は、前記交通信号灯器のフード取付けネジ孔と同位置上に取付け用ネジ孔が形成された
請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載の交通信号灯器用カバー。
【請求項6】
前記交通信号灯器は、歩行者用である
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載の交通信号灯器用カバー。
【請求項7】
フードを取外した交通信号灯器に配置された複数の発光部を一体的に覆うことが可能とされる透光性を有するカバー部と、
該カバー部の開口縁に沿って周設され、前記複数の発光部が配置された前記交通信号灯器面に着脱可能なフランジ部とを備える
交通信号灯器用カバー。
【請求項8】
複数の発光部が設けられた交通信号灯器本体と、
交通信号灯器に配置された複数の発光部を一体的に覆うことが可能とされる透光性を有するカバー部と、該カバー部の開口縁に沿って周設され、前記複数の発光部が配置された前記交通信号灯器面に着脱可能なフランジ部とを有する交通信号灯器用カバーとを備える
交通信号灯器。
【請求項9】
前記カバー部は、同カバー部の長手方向の略中央に沿って頂部が形成された蒲鉾形状である
請求項8に記載の交通信号灯器。
【請求項10】
前記カバー部の外表面は、光反射防止コートが形成された
請求項8または請求項9に記載の交通信号灯器。
【請求項11】
前記交通信号灯器本体の上端は、前記カバー部に向けて下方向に傾斜面が形成された庇部を備える
請求項8、請求項9または請求項10に記載の交通信号灯器。
【請求項12】
前記カバー部は、空気孔が貫設されると共に、前記交通信号灯器本体の前面と同カバー部のフランジ部との間にパッキンを有する
請求項8、請求項9、請求項10または請求項11に記載の交通信号灯器。
【請求項13】
前記交通信号灯器本体は、歩行者用である
請求項8、請求項9、請求項10、請求項11または請求項12に記載の交通信号灯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通信号灯器用カバー及び交通信号灯器に関する。詳しくは着雪防止用としての交通信号灯器用カバー、及び交通信号灯器用カバーを取付けた交通信号灯器に係るものである。
【背景技術】
【0002】
降雪量の多い雪国に設置する歩行者用としての交通信号灯器などにおいては、発光部への着雪を防止する必要がある。
【0003】
そこで、この種の交通信号灯器として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。具体的には、
図8に示すように、フードの無い交通信号用灯器の信号灯ユニット101の発光ユニット102の前方を覆うカバー103が半球状ドームに形成されている。
更に、カバー103の内周、発光ユニット102寄りの位置に発光ユニット102から発せられた光を吸収して発熱する暗色部104を設けた構成とされている。
【0004】
このようにして、カバーの内面に暗色部を設けることで、発光部からの出射光を吸収して熱に換えて融雪を促すことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−108861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した特許文献1の発明では、それぞれの発光ユニットにカバーが取付けられるために、隣設するカバーとの間に隙間が形成されることになる。
【0007】
このような隙間に雪が吹き込むことでカバーの外表面に雪が付着し、更に隙間の間隔を狭くすることにより隙間が雪で埋まり、発光ユニットからの光の照射を阻害する恐れがある。
【0008】
また、雪国では数日風雪が続くことが多く、カバーの内面に暗色部を設けてもカバーに常に雪が吹き付けられる状況では融雪を促すことは非常に困難となり、隣設するカバーとの間に雪が溜まりやすくなる。
【0009】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであって、発光部への着雪を防止することを実現可能とする交通信号灯器用カバー及び、この交通信号灯器用カバーを備えた交通信号灯器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明に係る交通信号灯器用カバーは、交通信号灯器に配置された複数の発光部を一体的に覆うことが可能とされる透光性を有するカバー部と、該カバー部の開口縁に沿って周設され、前記複数の発光部が配置された前記交通信号灯器面に着脱可能なフランジ部とを備える。
【0011】
ここで、交通信号灯器に配置された複数の発光部を一体的に覆うことが可能とされるカバー部によって、発光部への着雪を防止することが可能となる。
更に、カバー部が透光性を有することによって、カバー部を通して発光部の点滅を確実に視認することが可能となる。
【0012】
また、カバー部の開口縁に沿って周設され、複数の発光部が配置された交通信号灯器面に着脱可能なフランジ部によって、複数の発光部を一体的に覆った状態でカバー部を交通信号灯器に取付けることが可能となる。
【0013】
また、本発明の交通信号灯器用カバーにおいて、カバー部が、カバー部の長手方向の略中央に沿って頂部が形成された蒲鉾形状である場合には、吹き付けられる雪がカバー部の頂部から左右方向に流れることでカバー部への着雪を防止することが可能となる。
更に、カバー部が曲面形状となるために外光が乱反射してカバー部の鏡面反射を抑制することが可能となる。
【0014】
また、本発明の交通信号灯器用カバーにおいて、カバー部の外表面に、光反射防止コートが形成された場合には、外光反射を著しく減少させることでカバー部を通して発光部の点滅を確実に視認することが可能となる。
【0015】
また、本発明の交通信号灯器用カバーにおいて、カバー部に、空気孔が形成された場合には、カバー部の内、外の温度差によるカバー部内面の結露の付着を防止することが可能となる。
【0016】
また、本発明の交通信号灯器用カバーにおいて、フランジ部が、交通信号灯器のフード取付けネジ孔と同位置上に取付け用ネジ孔が形成された場合には、交通信号灯器のフード取付けネジ孔にフランジ部を取付けネジで取付けることが可能となる。
【0017】
例えば、筺体にフードが取付けられた既設の交通信号灯器の場合では、フードを取外して、フードが取付けられるフード取付けネジ孔にフランジ部の取付け用ネジ孔を合わせて締結用ネジで取付けることで容易にカバー部の取付けを行うことが可能となる。
【0018】
また、本発明の交通信号灯器用カバーにおいて、交通信号灯器が、歩行者用である場合には、交通信号灯器の高さが歩行者の目線上であるためにカバー部を通しての発光部の点滅を明確に視認することが可能となる。
【0019】
また、交通信号灯器が、歩行者用である場合には、発光部が縦列であるために発光部が横列に比べてカバー部への着雪を最小限に抑制することが可能となる。
【0020】
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る交通信号灯器用カバーは、フードを取外した交通信号灯器に配置された複数の発光部を一体的に覆うことが可能とされる透光性を有するカバー部と、該カバー部の開口縁に沿って周設され、前記複数の発光部が配置された前記交通信号灯器面に着脱可能なフランジ部とを備える。
【0021】
ここで、フードを取外した交通信号灯器に配置された複数の発光部を一体的に覆うことが可能とされるカバー部によって、既設の交通信号灯器にカバー部を取付けることができると共に、発光部への着雪を防止することが可能となる。
更に、カバー部が透光性を有することによって、発光部の点滅を確実に視認することが可能となる。
【0022】
また、カバー部の開口縁に沿って周設され、複数の発光部が配置された交通信号灯器面に着脱可能なフランジ部によって、複数の発光部を一体的に覆った状態でカバー部を交通信号灯器に取付けることが可能となる。
【0023】
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る交通信号灯器は、複数の発光部が設けられた交通信号灯器本体と、交通信号灯器に配置された複数の発光部を一体的に覆うことが可能とされる透光性を有するカバー部と、該カバー部の開口縁に沿って周設され、前記複数の発光部が配置された前記交通信号灯器面に着脱可能なフランジ部とを有する交通信号灯器用カバーとを備える。
【0024】
ここで、交通信号灯器に配置された複数の発光部を一体的に覆うことが可能とされるカバー部によって、発光部への着雪を防止することが可能となる。
更に、カバー部が透光性を有することによって、カバーを通して発光部の点滅を確実に視認することが可能となる。
【0025】
また、カバー部の開口縁に沿って周設され、前記複数の発光部が配置された前記交通信号灯器面に着脱可能なフランジ部によって、複数の発光部を一体的に覆った状態でカバー部を交通信号灯器本体に取付けることが可能となる。
【0026】
また、本発明の交通信号灯器において、カバー部が、カバー部の長手方向の略中央に沿って頂部が形成された蒲鉾形状である場合には、吹き付けられる雪がカバー部の頂部から左右方向に流れることでカバー部への着雪を防止することが可能となる。
更に、カバー部が曲面形状となるために外光が乱反射してカバー部の鏡面反射を抑制することが可能となる。
【0027】
また、本発明の交通信号灯器において、カバー部の外表面に、光反射防止コートが形成された場合には、外光反射を著しく減少させることでカバー部を通して発光部の点滅を確実に視認することが可能となる。
【0028】
また、本発明の交通信号灯器において、交通信号灯器本体の上端が、カバー部に向けて下方向に傾斜面が形成された庇部を備える場合には、カバー部の上端への着雪を防止することが可能となる。
【0029】
また、本発明の交通信号灯器において、カバー部が、空気孔が貫設されると共に、交通信号灯器本体とカバー部のフランジ部との間にパッキンを有する場合には、カバー部内への水の侵入防止と共に、カバー部の内、外の温度差によるカバー部内面の結露の付着を防止することが可能となる。
【0030】
また、本発明の交通信号灯器において、交通信号灯器本体が、歩行者用である場合には、交通信号灯器の高さが歩行者の目線上であるためにカバー部を通しての発光部の点滅の視認を明確に視認することが可能となる。
【0031】
また、交通信号灯器が、歩行者用である場合には、発光部が縦列であるために発光部が横列に比べてカバー部への着雪を最小限に抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の交通信号灯器用カバー及び交通信号灯器によれば、発光部への着雪を防止すること可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明を適用した交通信号灯器用カバーの一例を説明するための斜視図である。
【
図2】本発明を適用した交通信号灯器用カバーの一例を説明するための断面模式図である。
【
図3】既設の歩行者信号灯器の一例を説明するための斜視図である。
【
図4】既設の歩行者信号灯器に本発明を適用した交通信号灯器用カバーの取付けた状態を説明するための模式図である。
【
図5】本発明を適用した交通信号灯器用カバーを歩行者信号灯器に取付けた状態を説明するためのカバー部の側面断面図(A)及び、本発明を適用した交通信号灯器用カバーを歩行者信号灯器に取付けた状態を説明するためのカバー部の平面断面図(B)である。
【
図6】本発明を適用した交通信号灯器の一例を説明するための斜視図である。
【
図7】本発明を適用した交通信号灯器の一例を説明するための側面断面図(A)及び、本発明を適用した交通信号灯器の一例を説明するための平面断面図(B)である。
【
図8】従来の防雪カバーを設けた交通信号用灯器の一例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を図面を参酌しながら詳述する。
<第1の実施の形態>
図1は本発明を適用した交通信号灯器用カバーの一例を説明するための斜視図、
図2は本発明を適用した交通信号灯器用カバーの一例を説明するための断面模式図である。
【0035】
ここで示す交通信号灯器用カバー1は、例えば、歩行者用としての交通信号灯器(図示せず。)の発光部として赤色発光部(図示せず。)及び青色発光部(図示せず。)を一体的に覆うことが可能なカバー部2と、このカバー部2の開口端に沿って周設されたフランジ部3とから構成されている。
【0036】
ここで、カバー部2は透光性を有するアクリル等の合成樹脂素材より形成されると共に、その長手方向の略中央に沿って頂部4が形成された蒲鉾形状とされている。
【0037】
また、カバー部2の開口端に一定幅のフランジ部3が周設されている。更に、フランジ部3にネジ孔5が穿孔されている。
【0038】
このネジ孔5は、既設の歩行者用として交通信号灯器に取り付けられるフード(図示せず。)のフード取付けネジ孔(図示せず。)と同位置上に配置されている。
【0039】
また、カバー部2の外表面に、光反射防止コート8が形成された構成とされている。この光反射防止コート8は、ガラスやアクリルなどの透明板に映りこむ外光反射を略10分の1に低減し、ガラスやアクリル板の向こうを見えやすくするものである。
【0040】
具体的には、無機の誘電体薄膜を多層コートしたフィルムをカバー部2の外表面に貼着して光反射防止コート8を形成するものである。
【0041】
また、カバー部2の下端面6には、空気孔7が貫通される。この空気孔7でカバー部2の外表面と内側面との温度差が解消され、カバー部2内側面に結露が付着することを防止することが可能となる。
【0042】
ここで、
図3に示すように、例えば、歩行者用としての既設の交通信号灯器(以下「歩行者信号灯器」と称する。)10では、縦長形状の筺体11の前方に備えられた開閉式の蓋部12に、赤色発光部13及び青色発光部14が設けられている。
【0043】
また、これらの赤色発光部13及び青色発光部14の3辺を取り囲むようにしてフード15がフード取付けネジ16により蓋部12面に取付けられている。
【0044】
このような既設の歩行者信号灯器10に、本発明の交通信号灯器用カバー1を取付ける場合には、
図4に示すように、既設の歩行者信号灯器10からフード(図示せず。)を取り外す。
【0045】
これにより、歩行者信号灯器10の蓋部12面にフード取付けネジ孔23が露出した状態となる。
【0046】
次に、カバー部2のフランジ部3に設けられるネジ孔5を蓋部12面のフード取付けネジ孔23の位置に合せると共に、フランジ部3と蓋部12面との間にパッキン9を介して取付けネジ17でカバー部2を蓋部12面に取付ける。
【0047】
このようにして、交通信号灯器用カバー1を歩行者信号灯器10の蓋部12面に取付けることで、
図5(A)(B)に示すように、歩行者信号灯器10の赤色発光部13及び青色発光部14がカバー部2により一体的に覆われた状態となる。
【0048】
本発明の交通信号灯器カバーでは、風雪はカバー部2の頂部4を中心として左右方向へ流れるためにカバー部2外表面の着雪を防止することが可能となる。
【0049】
また、カバー部2外表面に形成された光反射防止コート8で外光反射を略10分の1に低減し、カバー部2を通して赤色発光部13及び青色発光部14の点滅を見えやすくすることが可能となる。
【0050】
また、赤色発光部13及び青色発光部14をカバー部2で一体的に覆うことで風雪の場合でも歩行者は、赤色発光部13と青色発光部14の点滅を視認することができる。
【0051】
また、歩行者信号灯器10の高さ位置は略2.5mとされている。この高さは、歩行者信号灯器10と対面する歩行者の目線上となるために、カバー部2を通しての赤色発光部13及び青色発光部14の点滅を確実に視認することが可能となる。
【0052】
また、カバー部2を蒲鉾形状とすることで、カバー部2の外表面が曲面形状となるために外光が乱反射して鏡面反射を抑制し、その結果、歩行者の視認を妨げないこととなる。
【0053】
更に、歩行者信号灯器10では、赤色発光部13と青色発光部14が縦列とされるために、カバー部2の上端への積雪を最小限に抑制することが可能となる。
【0054】
<第2の実施の形態>
図6は本発明を適用した交通信号灯器の一例を説明するための斜視図、
図7は本発明を適用した交通信号灯器の一例を説明するための側面断面図(A)及び、本発明を適用した交通信号灯器の一例を説明するための平面断面図(B)である。
【0055】
ここで示す歩行者用としての交通信号灯器(以下「歩行者信号灯器」と称する。)10Aは、平面状とされた筺体11に赤色発光部13及び青色発光部14が設けられた歩行者信号灯器本体20と、赤色発光部13及び青色発光部14を一体的に覆うようにして筺体11に取付けられたカバー部2とから構成されている。
【0056】
ここで、赤色発光部13及び青色発光部14は多数のLED素子(図示せず。)と、これらのLED素子の前面に設けられた人型に切り抜かれた遮光部(25、25A)とから構成されている。
【0057】
具体的には、赤色発光部13には、止まれの形態の人型に切り抜かれた遮光部25が設けられ、青色発光部14には、進めの形態の人型に切り抜かれた遮光部25Aが設けられた構成とされている。
【0058】
次に、カバー部2は透光性を有するアクリル等の合成樹脂素材より形成されると共に、その長手方向の略中央に沿って頂部4が形成された蒲鉾形状とされている。
【0059】
また、カバー部2の開口端に一定幅のフランジ部3が周設されている。更に、フランジ部3にネジ孔5が穿孔されている。
【0060】
また、前記
図2において示すように、カバー部2外表面に、光反射防止コート8が形成された構成とされている。この光反射防止コート8は、ガラスやアクリルなどの透明板に映りこむ外光反射を略10分の1に低減し、ガラスやアクリル板の向こうを見えやすくするものである。
【0061】
具体的には、無機の誘電体薄膜を多層コートしたフィルムをカバー部2外表面に貼着して光反射防止コート8を形成するものである。
【0062】
また、カバー部2の下端面6には、空気孔7が貫通される。この空気孔7でカバー部2の外表面と内側面との温度差が解消され、カバー部2内側面に結露が付着することを防止することが可能となる。
【0063】
また、歩行者信号灯器本体20は、縦長形状の筺体11の前方に備えられた開閉式の蓋部12に、四角形状の赤色発光部13及び青色発光部14が設けられている。
【0064】
更に、これらの赤色発光部13及び青色発光部14を取り囲むようにして蓋部12面にフランジ部3のネジ孔5と同位置上となるようにカバー取付け用ネジ孔19が設けられている。
【0065】
ここで、カバー部2のフランジ部3に設けられるネジ孔5を蓋部12面のカバー取付け用ネジ孔19の位置に合せると共に、フランジ部3と蓋部12面との間にパッキン9を介して取付けネジ17でカバー部2を蓋部12面に取付ける。
【0066】
このようにして、カバー部2を歩行者信号灯器本体20の蓋部12面に取付けることで、歩行者信号灯器本体20の赤色発光部13及び青色発光部14がカバー部2により一体的に覆われた状態となる。
【0067】
また、歩行者信号灯器本体20の上端には、カバー部2の上端面26に向けて下方向に傾斜面21が形成された庇部18が設けられている。
【0068】
この庇部18は、歩行者信号灯器本体20の筺体11の上端に設けられる庇部取付け用ネジ孔(24、24)と庇部18に設けられたネジ挿通孔(22、22)とを合わせて取付けネジ(17A、17A)で締結された構成とされている。
【0069】
以上の構成よりなる本発明の歩行者用としての交通信号灯器では、赤色発光部13及び青色発光部14をカバー部2で一体的に覆うことで赤色発光部13と青色発光部14への着雪を防止することが可能となる。
【0070】
また、カバー部2に吹き付けられる風雪はカバー部2の頂部4を中心として左右方向へ流れるためにカバー部2外表面の着雪を防止することが可能となる。
【0071】
また、カバー部2外表面に形成された光反射防止コート8で外光反射を略10分の1に低減し、カバー部2を通して赤色発光部13及び青色発光部14の点滅を見えやすくすることが可能となる。
【0072】
また、庇部18の傾斜面21に沿って風雪が上方に流れることでカバー部2の上端面への着雪を防止することが可能となる。
【0073】
また、カバー部2の下端面6に空気孔7が貫通されることでカバー部2内側面への結露の付着を防止すると共に、フランジ部3と蓋部12面との間にパッキン9を介することによりカバー部2内への水の侵入を防ぐことが可能となる。
【0074】
また、カバー部2の上端面26を覆うようにして庇部18を設けることで、カバー部2の上端面26への着雪を防止することが可能となる。
これにより、カバー部2上端からの着雪の落下を防止することが可能となる。
【0075】
また、歩行者信号灯器10Aと対面する歩行者の目線上となるために、カバー部2を通しての赤色発光部13及び青色発光部14の点滅を確実に視認することが可能となる。
【0076】
更に、カバー部2を蒲鉾形状とすることで、カバー部2の外表面が曲面形状となるために外光が乱反射して鏡面反射を抑制し、その結果、歩行者の視認を妨げないこととなる。
【0077】
なお、<第1の実施の形態>及び<第2の実施の形態>では、カバー部は、カバー部の長手方向の略中央に沿って頂部が形成された蒲鉾形状とするものであるが、必ずしも蒲鉾形状とする必要性はない。
【0078】
例えば、長方体や三角柱形状等いかなる形状であっても構わないが雪が付着し難く、かつ赤色発光部及び青色発光部の点滅の視認が確実に行える形状であることが望ましい。
【0079】
また、<第1の実施の形態>及び<第2の実施の形態>では、カバー部外表面に、光反射防止コートを形成するものであるが、必ずしも光反射防止コートを形成する必要性はない。
【0080】
しかし、朝日や西日などの太陽光の反射により赤色発光部及び青色発光部の点滅の視認が不確実になるという点において、光反射防止コートを形成することが望ましい。
【0081】
また、<第1の実施の形態>及び<第2の実施の形態>では、カバー部に空気孔を設けるものであるが、必ずしも空気孔を設ける必要性はない。
【0082】
しかし、空気孔を設けることでカバー部内側面への結露の付着を防止するという点において、空気孔を設けることが望ましい。
【0083】
また、<第1の実施の形態>では、フランジ部に、歩行者信号灯器のフード取付けネジ孔と同位置上に取付け用ネジ孔を形成するものであるが、必ずしもフード取付けネジ孔と同位置上とする必要性はない。
【0084】
しかし、既設の歩行者信号灯器にカバー部を取付ける場合の作業性において、フード取付けネジ孔と同位置上とすることが望ましい。
【0085】
また、<第2の実施の形態>では、歩行者信号灯器の上端に、カバー部に向けて下方向に傾斜面が形成された庇部を設けるものであるが、必ずしも庇部を設ける必要性はない。
【0086】
しかし、カバー部の上端面への着雪を防止するという点において、庇部を設けることが望ましい。
【0087】
また、<第1の実施の形態>及び<第2の実施の形態>では、歩行者用としての交通信号灯器について詳述するものであるが、必ずしも歩行者用とする必要性はない。例えば、車両用信号灯器等あらゆる交通信号灯器であっても構わない。
【0088】
しかし、歩行者用の交通信号灯器では歩行者の目線上の高さであり、かつ発光部が縦列であるという点において歩行者用としての交通信号灯器であることが望ましい。
【符号の説明】
【0089】
1 交通信号灯器用カバー
2 カバー部
3 フランジ部
4 頂部
5 ネジ孔
6 下端面
7 空気孔
8 光反射防止コート
9 パッキン
10、10A 歩行者信号灯器
11 筺体
12 蓋部
13 赤色発光部
14 青色発光部
15 フード
16 フード取付けネジ
17、17A 取付けネジ
18 庇部
19 カバー取付け用ネジ孔
20 歩行者信号灯器本体
21 傾斜面
22 ネジ挿通孔
23 フード取付けネジ孔
24 庇部取付け用ネジ孔
25、25A 遮光部
26 上端面