特開2015-204188(P2015-204188A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-204188(P2015-204188A)
(43)【公開日】2015年11月16日
(54)【発明の名称】電池スタック用基板
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20151020BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20151020BHJP
   H05K 1/11 20060101ALI20151020BHJP
【FI】
   H01M10/48 P
   H01M2/10 M
   H01M2/10 J
   H05K1/11 B
   H05K1/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-82572(P2014-82572)
(22)【出願日】2014年4月14日
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095669
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 登
(72)【発明者】
【氏名】松本 敏寿
(72)【発明者】
【氏名】松本 真
【テーマコード(参考)】
5E317
5H030
5H040
【Fターム(参考)】
5E317AA02
5E317AA11
5E317CC03
5E317CD34
5E317GG20
5H030AA09
5H030AS08
5H030FF43
5H030FF44
5H040AA03
5H040AA22
5H040AA40
5H040AS07
5H040AT02
5H040AY06
5H040DD03
5H040DD10
5H040DD26
5H040GG04
5H040NN03
5H040NN05
(57)【要約】
【課題】電池スタックにおける最低電位および最高電位の端子に接続される配線部材の数を減らすことができる、セル電圧測定手段を備えた電池スタック用の基板を提供すること。
【解決手段】複数の電池セル71から構成される電池スタック70における各電池セル71の電圧を測定するために、当該各電池セル71の端子が電気的に接続される複数の端子接続部20と、複数の端子接続部20のうち、最低電位の端子が接続される端子接続部20に電気的に接続された最低電位用接続部30と、最高電位の端子が接続される端子接続部20に電気的に接続された最高電位用接続部40と、を備える電池スタック用基板とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルから構成される電池スタックにおける各電池セルの電圧を測定するために、当該各電池セルの端子が電気的に接続される複数の端子接続部と、
前記複数の端子接続部のうち、最低電位の端子が電気的に接続される端子接続部に電気的に接続された最低電位用接続部と、
前記複数の端子接続部のうち、最高電位の端子が電気的に接続される端子接続部に電気的に接続された最高電位用接続部と、
を備えることを特徴とする電池スタック用基板。
【請求項2】
前記基板には、幅方向両側に沿って複数の端子接続部が設けられており、
前記最低電位用接続部および前記最高電位用接続部の少なくともいずれか一方は、前記電池スタックにおいて最低電位または最高電位の端子が幅方向一方側に位置しているときに使用される第一接続部、および最低電位または最高電位の端子が幅方向他方側に位置しているときに使用される第二接続部を含むことを特徴とする請求項1に記載の電池スタック用基板。
【請求項3】
前記複数の端子接続部のうち、どの端子接続部を前記最低電位用接続部または前記最高電位用接続部と電気的に接続するかを選択可能とする選択手段が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電池スタック用基板。
【請求項4】
前記選択手段は、
前記複数の端子接続部の少なくとも一部の各々から延ばされた配線と、前記最低電位用接続部または前記最高電位用接続部から延ばされた配線との間に設けられた、両配線を繋ぐジャンパ部品が実装可能な実装領域であることを特徴とする請求項3に記載の電池スタック用基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池セルの電圧(セル電圧)を測定する手段を備えた電池スタック用の基板に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、電池スタック(組電池)を構成する各電池セル(単電池)の電圧(以下セル電圧と称する)を測定する手段と、電池スタック全体の電圧(以下総電圧と称する)を測定する手段が設けられた装置が記載されている。このように、電池スタックにおいては、セル電圧の測定だけでなく、総電圧の測定が要求されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−42071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
セル電圧を測定する手段と総電圧を測定する手段が別々に設けられる場合、各電池セルの端子にはセル電圧を測定するための配線部材(電線やそれに接続された端子)が接続され、電池スタックにおける最低電位および最高電位の端子には総電圧を測定するための配線部材が接続される。つまり、電池スタックにおける最低電位および最高電位の端子には、複数の配線部材が接続されることとなる。このように、ある端子に対し複数の配線部材が接続される構造とすると、接続強度の低下、接触抵抗の増加、といった問題を招く。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、電池スタックにおける最低電位および最高電位の端子に接続される配線部材の数を減らすことができる、セル電圧測定手段を備えた電池スタック用の基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明にかかる電池スタック用基板は、複数の電池セルから構成される電池スタックにおける各電池セルの電圧を測定するために、当該各電池セルの端子が電気的に接続される複数の端子接続部と、前記複数の端子接続部のうち、最低電位の端子が電気的に接続される端子接続部に電気的に接続された最低電位用接続部と、前記複数の端子接続部のうち、最高電位の端子が電気的に接続される端子接続部に電気的に接続された最高電位用接続部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
前記基板には、幅方向両側に沿って複数の端子接続部が設けられており、前記最低電位用接続部および前記最高電位用接続部の少なくともいずれか一方は、前記電池スタックにおいて最低電位または最高電位の端子が幅方向一方側に位置しているときに使用される第一接続部、および最低電位または最高電位の端子が幅方向他方側に位置しているときに使用される第二接続部を含むとよい。
【0008】
前記複数の端子接続部のうち、どの端子接続部を前記最低電位用接続部または前記最高電位用接続部と電気的に接続するかを選択可能とする選択手段が設けられているとよい。
【0009】
前記選択手段は、前記複数の端子接続部の少なくとも一部の各々から延ばされた配線と、前記最低電位用接続部または前記最高電位用接続部から延ばされた配線との間に設けられた、両配線を繋ぐジャンパ部品が実装可能な実装領域であるとよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる電池スタック用基板は、最低電位の端子が接続される端子接続部に電気的に接続された最低電位用接続部と、最高電位の端子が接続される端子接続部に電気的に接続された最高電位用接続部を備えるものである。したがって、最低電位用接続部と最高電位用接続部に配線部材を接続することによって総電圧を測定することができる。つまり、総電圧を測定するために、最低電位および最高電位の端子に配線部材を接続する必要がないから、当該端子に接続される配線部材の数を減らすことができる。
【0011】
電池スタックを構成する電池セル数が変化することにより(セル数が奇数であるか偶数であるかにより)、最低電位の端子または最高電位の端子の位置(幅方向一方側に位置するか他方側に位置するか)が変化する。最低電位用接続部および最高電位用接続部の少なくともいずれか一方が、電池スタックにおいて最低電位または最高電位の端子が幅方向一方側に位置しているときに使用される第一接続部、および最低電位または最高電位の端子が幅方向他方側に位置しているときに使用される第二接続部を含む構成とすれば、このような端子位置の変化(電池セル数の変化)にも対応可能な電池スタック用基板とすることができる。
【0012】
複数の端子接続部のうち、最低電位用接続部または最高電位用接続部と電気的に接続される端子接続部が予め決まっていると、最低電位の端子や最高電位の端子は必ず当該端子接続部に接続されなければならない。したがって、どの端子接続部を最低電位用接続部または最高電位用接続部と電気的に接続するかを選択可能とする選択手段が設けられていれば、最低電位の端子や最高電位の端子が接続される端子接続部を任意に選択することができる。当該選択を可能にする構造としては、複数の端子接続部の少なくとも一部の各々から延ばされた配線と、最低電位用接続部または最高電位用接続部から延ばされた配線との間に、ジャンパ部品が実装可能な実装領域を設けておくことが例示できる。かかる構造とした場合、最低電位の端子や最高電位の端子を接続したい端子接続部と、最低電位用接続部や最高電位用接続部をジャンパ部品によって接続すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第一実施形態にかかる電池スタック用基板(電池スタック用基板を備える電池ユニット)を模式的に示した図である。
図2】隣接する端子に橋渡しするように接続されたバスバーおよび同電位の端子の一方に接続された接続端子を示した図である。
図3】本発明の第二実施形態にかかる電池スタック用基板(電池セル数が偶数である、電池スタック用基板を備える電池ユニット)を模式的に示した図である。
図4】本発明の第二実施形態にかかる電池スタック用基板(電池セル数が奇数である、電池スタック用基板を備える電池ユニット)を模式的に示した図である。
図5】本発明の第三実施形態にかかる電池スタック用基板(電池スタック用基板を備える電池ユニット)を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態にかかる電池スタック用基板1a、1b、1cについて図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明における幅方向とは、図1図3図5における左右方向をいい、並列方向とは電池セル71が並べられた方向をいい、上下方向とは左右方向および並列方向に直交する方向をいうものとする。なお、これらの方向は、電池ユニット1x、1y−1、1y−2、1zや電池スタック用基板1a、1b、1cの設置方向を限定するものではない。
【0015】
以下、第一実施形態にかかる電池スタック用基板1aと電池スタック70を備える電池ユニット1xについて説明する。図1に示す電池ユニット1xは、車両に搭載される電池ユニットである。電池スタック70(組電池)は、複数の電池セル71(単電池)が並べられて構成される。ここでいう電池セル71は、一つにパッケージングされた電池をいい、一の電池セル71の定格電圧や容量といった特性は特定の値に限定されない。各電池セル71の定格値(設計値)が同じであればよく、複数の電池が接続されてなるものが一つにパッケージングされたものを一の電池セル71としてもよい。
【0016】
各電池セル71は、その上面から上方に突出したプラス端子711およびマイナス端子712を有する。プラス端子711は各電池セル71の幅方向一方側に、マイナス端子712は電池セル71の幅方向他方側に位置する。各電池セル71は、幅方向に長い平板状となっており、この平板を積み重ねるようにして並べられたものが電池スタック70となる。このように複数の電池セル71が並べられた電池スタック70が構成されると、電池スタック70の幅方向一方側および他方側において端子が直線状に並ぶ。具体的には、電池スタック70の幅方向一方側および他方側において、プラス端子711とマイナス端子712が交互に並ぶように電池セル71が並べられる。そして、一の電池セル71のプラス端子711とその一方側に隣接する電池セル71のマイナス端子712、および一の電池セル71のマイナス端子712とその他方側に隣接する電池セル71のプラス端子711が、導電性材料で形成されたバスバー72で接続される。つまり、電池スタック70を構成する複数の電池セル71は直列に接続されている。電池スタック70における最低電位の端子713および最高電位の端子714には、バスバー72が接続されない。
【0017】
本実施形態にかかる電池スタック用基板1aは、セル電圧測定手段10、複数の端子接続部20、最低電位用接続部30および最高電位用接続部40を備える。セル電圧測定手段10は、各電池セル71の端子間電圧を測定することができる所定の電圧測定回路である。セル電圧測定手段10(電圧測定回路)はどのような構造であってもよいため説明を省略する。
【0018】
端子接続部20は、セル電圧測定用配線部材80が接続される部分である。本実施形態における各端子接続部20は、基板に形成されたランドである。電池セル71の各端子は、電池スタック70の幅方向両側に沿って並ぶものであるから、それに合わせて端子接続部20も幅方向両側に沿って並ぶ。セル電圧測定用配線部材80の一端(本実施形態では電線の一端に固定された接続端子81)は、電池セル71の端子に接続され、他端は端子接続部20に接続される。つまり、端子接続部20は、電池セル71の端子と電気的に接続される。本実施形態では、一の電池セル71のプラス端子711とその一方側に隣接する電池セル71のマイナス端子712、および一の電池セル71のマイナス端子712とその他方側に隣接する電池セル71のプラス端子711がバスバー72で接続されており、当該バスバー72で接続された端子は同電位であるから、いずれか一方の端子にセル電圧測定用配線部材80の一端が接続される。図2に示すように、同電位の端子の一方には、バスバー72と接続端子81が接続され、他方にはバスバー72のみが接続されることとなる。幅方向一方側に位置する端子は基板の幅方向一方側に位置する端子接続部20に接続され、幅方向他方側に位置する端子は基板の幅方向他方側に位置する端子接続部20に接続される。
【0019】
各端子接続部20は、導電パターン(図示せず)によってセル電圧測定手段10と電気的に接続されている。これにより、セル電圧測定手段10によって各電池セル71のセル電圧(端子間電圧)が測定される。
【0020】
最低電位用接続部30は、最低電位の端子713が接続される端子接続部20(以下第一端子接続部21と称することもある)に電気的に接続された部分である。第一端子接続部21は、並列方向の一方側に位置する。本実施形態における最低電位用接続部30は、基板に形成されたランドである。最低電位用接続部30と第一端子接続部21は、基板に形成された導電パターンである最低電位側延長配線51によって電気的に接続されている。
【0021】
最高電位用接続部40は、最高電位の端子714が接続される端子接続部20(以下第二端子接続部22と称することもある)に電気的に接続された部分である。第二端子接続部22は、並列方向の他方側に位置する。本実施形態における最高電位用接続部40は、基板に形成されたランドである。最高電位用接続部40と第二端子接続部22は、基板に形成された導電パターンである最高電位側延長配線52によって電気的に接続されている。
【0022】
このように構成される電池ユニット1xにおいて、電池スタック70の総電圧の測定は、基板に設けられた最低電位用接続部30および最高電位用接続部40を用いる。つまり、一の総電圧測定用配線部材91の一端を総電圧測定手段90に接続し、他端を最低電位用接続部30に接続するとともに、別の総電圧測定用配線部材91の一端を総電圧測定手段90に接続し、他端を最高電位用接続部40に接続する。これにより、電池スタック70の最低電位の端子713と最高電位の端子714が総電圧測定手段90に接続され、当該総電圧測定手段90によって総電圧が測定される。
【0023】
このように、本実施形態にかかる電池スタック用基板1aは、最低電位の端子713が接続される端子接続部20に電気的に接続された最低電位用接続部30と、最高電位の端子714が接続される端子接続部20に電気的に接続された最高電位用接続部40を備える。したがって、最低電位用接続部30と最高電位用接続部40に総電圧測定用配線部材91を接続することによって総電圧を測定することができる。つまり、総電圧を測定するために、最低電位の端子713および最高電位の端子714に配線部材を直接接続する必要がない(電池スタック用基板1aに形成された配線パターンを介して測定することができる)から、当該端子に接続される配線部材の数を減らすことができる。つまり、最低電位の端子713および最高電位の端子714に複数の配線部材が接続されることがないため、当該部分における接続強度の低下や、接触抵抗の増加を抑制することができる。
【0024】
本発明の第二実施形態にかかる電池スタック用基板1bについて、上記第一実施形態にかかる電池スタック用基板1aと異なる点を中心に説明する。図3および図4に示す本実施形態にかかる電池スタック用基板1bは、最低電位用接続部30および最高電位用接続部40の少なくともいずれか一方が、第一接続部41および第二接続部42という二つの接続部を含むものである。本実施形態では、最高電位用接続部40が、第一接続部41および第二接続部42を含む。
【0025】
上述したように、電池スタック70において、電池セル71の端子は電池スタック70の幅方向両側に沿って並ぶ。最高電位の端子714が幅方向一方側に位置するか他方側に位置するかは、電池セル71数に応じて変化する。具体的には、電池セル71数が偶数であれば幅方向一方側に最高電位の端子714が位置し(図3参照)、電池セル71数が奇数であれば幅方向他方側に最高電位の端子714が位置する(図4参照)。
【0026】
本実施形態にかかる電池スタック用基板1bでは、第一接続部41は幅方向一方側に位置し、第二接続部42は幅方向他方側に位置する。なお、最低電位用接続部30は、幅方向一方側に位置する。第一接続部41は、幅方向一方側に位置する複数の端子接続部20のうち、並列方向の一方側(最も端)に位置する端子接続部20(第二端子接続部22の一方である。以下一方側最端端子接続部221と称する)と電気的に接続されている。第二接続部42は、幅方向他方側に位置する複数の端子接続部20のうち、並列方向の一方側(最も端)に位置する端子接続部20(第二端子接続部22の他方である。以下他方側最端端子接続部222と称する)と電気的に接続されている。
【0027】
図3に示すように、電池セル71数が偶数である場合、最高電位の端子714は幅方向一方側に位置する(最低電位の端子713と同じ側に位置する)のであるから、当該端子と一方側最端端子接続部221を容易に接続することができる。つまり、最高電位の端子714と第一接続部41とが電気的に接続された状態とすることができる。したがって、総電圧測定用配線部材91の一端を第一接続部41に接続し、他端を総電圧測定手段90に接続することで、最高電位の端子714と総電圧測定手段90とを電気的に接続することができる。このようにして、電池セル71数が偶数である電池ユニット1y−1が得られる。
【0028】
図4に示すように、電池セル71数が奇数である場合、最高電位の端子714は幅方向他方側に位置する(最低電位の端子713の逆側に位置する)のであるから、当該端子と他方側最端端子接続部222を容易に接続することができる。つまり、最高電位の端子714と第二接続部42とが電気的に接続された状態とすることができる。したがって、総電圧測定用配線部材91の一端を第二接続部42に接続し、他端を総電圧測定手段90に接続することで、最高電位の端子714と総電圧測定手段90とを電気的に接続することができる。このようにして、電池セル71数が奇数である電池ユニット1y−2が得られる。
【0029】
このように、本実施形態にかかる電池スタック用基板1bは、電池スタック70を構成する電池セル71数が変化することによって、最高電位の端子714の位置が変化してしまうことを踏まえ、予め最高電位用接続部40が幅方向一方側に位置する第一接続部41と他方側に位置する第二接続部42とを含む構造としたものである。別の見方をすれば、本実施形態にかかる電池スタック用基板1bが用いられる電池スタック70が、幅方向両側縁に沿ってプラス端子711とマイナス端子712が交互に並ぶ構成であることを踏まえた構造であるといえる。これにより、最高電位の端子714の位置の変化(電池セル71数の変化)にも対応可能な電池スタック用基板1bとすることができる。
【0030】
なお、上記実施形態では、最低電位用接続部30が第一接続部41と同じ側に設けられていることを説明したが、第二接続部42と同じ側であってもよい。その場合には、電池セル71数が偶数の場合には第二接続部42を用い、電池セル71数が奇数の場合には第一接続部41を用いることとなる。また、最低電位用接続部30が二つの接続部を含む構成としてもよい。つまり、配線の基準(始点)を最低電位側とする場合には最高電位用接続部40が二つの接続部を含む構成とし、配線の基準(始点)を最高電位側とする場合には最低電位用接続部30が二つの接続部を含む構成とすればよい。
【0031】
第三実施形態にかかる電池スタック用基板1cについて、上記第一実施形態にかかる電池スタック用基板1aや第二実施形態にかかる電池スタック用基板1bと異なる点を中心に説明する。図5に示す本実施形態にかかる電池スタック用基板1cは、複数の端子接続部20のうち、どの端子接続部20を最低電位用接続部30または最高電位用接続部40と電気的に接続するかを選択可能とする選択手段が設けられたものである。本実施形態における選択手段は、どの端子接続部20を最高電位用接続部40と電気的に接続するかを選択可能とする。
【0032】
本実施形態における電池スタック用基板1cには、複数の端子接続部20の少なくとも一部の各々から延ばされた第一配線61と、最高電位用接続部40から延ばされた第二配線62が設けられている。本実施形態における第一配線61は、幅方向一方側に並ぶ端子接続部20のうち、並列方向における最も端に位置する端子接続部20(第一端子接続部21)を除いた端子接続部20から延ばされている。第二配線62は、最高電位用接続部40から最も端(高電位側)に位置する端子接続部20(第二端子接続部22)を通って、各第一配線61の端部に向かい合うよう分岐して形成されている。
【0033】
第一配線61と第二配線62は分離している。両配線の間は、両配線を繋ぐジャンパ部品631が実装可能なジャンパ部品実装領域63となっている。当該領域にジャンパ部品631が実装されると、ある一の端子接続部20が最高電位用接続部40に電気的に接続されることになる。つまり、本実施形態にかかる電池スタック用基板1cは、最高電位用接続部40に接続されることとなる端子接続部20を事後的に選択できるということである。
【0034】
このような構成とすることによる作用は以下の通りである。電池スタック70を構成する電池セル71数が少なくなり、使用する必要のない端子接続部20が生じる場合、最高電位用接続部40に接続された端子接続部20が予め決まっている構成であると、この端子接続部20に最高電位の端子714を接続しなければならない。例えば、最高電位用接続部40に接続された端子接続部20が最も端に位置するものであると、一部の端子接続部20を飛ばして接続する必要がある(図4では、端子接続部20jが飛ばされている)。
【0035】
これに対し、本実施形態のような選択手段(複数のジャンパ部品実装領域63)が設けられていれば、最高電位用接続部40に繋ぐ端子接続部20を選択することができる。つまり、最高電位の端子714を最も端に位置する端子接続部20に接続しなければならないわけではない。したがって、(一部の端子接続部20を飛ばさずに)各端子と端子接続部20を順に接続することができる。つまり、図5に示すような、各端子と端子接続部20が順に接続された電池ユニット1zが得られる。
【0036】
上記選択手段(複数のジャンパ部品実装領域63)は、複数の端子接続部20のうち、どの端子接続部20を最高電位用接続部40と電気的に接続するかを選択可能とするものであることを説明したが、複数の端子接続部20のうち、どの端子接続部20を最低電位用接続部30と電気的に接続するかを選択可能とするものであってもよい。
【0037】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0038】
例えば、上記各実施形態では、セル電圧測定用配線部材80や総電圧測定用配線部材91が電池スタック用基板1a、1b、1cに直接接続される構成であることを説明したが、コネクタ等を用いて各配線と基板を接続する構造にも、同様の技術思想が適用可能である。
【0039】
また、上記実施形態では、同電位の端子の一方にセル電圧測定用配線部材80(接続端子81)が接続されることを説明したが、接続端子81がバスバー72を兼ねる構造としてもよい。つまり、セル電圧測定用配線部材80の一端に、二つの端子に接続することができる接続端子が固定された構造としてもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、電池スタック用基板1a、1b、1cにセル電圧測定手段10が設けられていることを説明したが、セル電圧測定手段10が基板とは別に設けられていてもよい。つまり、各端子接続部20が、各電池セル71の電圧を測定するために設けられた部分であれば、セル電圧測定手段10が基板に設けられていなくてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1a、1b、1c 電池スタック用基板
1x、1y−1、1y−2、1z 電池ユニット
10 セル電圧測定手段
20 端子接続部
21 第一端子接続部
22 第二端子接続部
221 一方側最端端子接続部
222 他方側最端端子接続部
30 最低電位用接続部
40 最高電位用接続部
41 第一接続部
42 第二接続部
51 最低電位側延長配線
52 最高電位側延長配線
61 第一配線
62 第二配線
63 ジャンパ部品実装領域
631 ジャンパ部品
70 電池スタック
71 電池セル
711 プラス端子
712 マイナス端子
713 最低電位の端子
714 最高電位の端子
72 バスバー
80 セル電圧測定用配線部材
81 接続端子
90 総電圧測定手段
91 総電圧測定用配線部材
図1
図2
図3
図4
図5