【実施例1】
【0019】
図1は、実施例1に係る分波器を示す断面図である。
図1のように、実施例1の分波器100は、セラミック等の絶縁体からなる実装基板10の平坦上面に、送信フィルタチップ12と受信フィルタチップ14とがバンプ16によってフリップチップ実装されている。送信フィルタチップ12と受信フィルタチップ14とは、互いに隣り合ってフリップチップ実装され、その間隔Lは例えば50μm程度である。
【0020】
送信フィルタチップ12と受信フィルタチップ14とは、例えば弾性表面波デバイスチップからなり、圧電基板18と、圧電基板18の実装基板10に対向する面に設けられたIDT(Interdigital Transducer)20と、を含む。なお、以下において、送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14それぞれの複数の面のうち機能部であるIDT20が形成された面、即ち実装基板10に対向する面を機能面と称すこととする。また、機能面とは反対側の面、即ち実装基板10に対向する面とは反対側の面を裏面と称し、機能面及び裏面と交差する面を側面と称すこととする。
【0021】
送信フィルタチップ12にはIDT20によって送信フィルタが形成され、受信フィルタチップ14にはIDT20によって受信フィルタが形成されている。圧電基板18は、例えばタンタル酸リチウム(LT)又はニオブ酸リチウム(LN)等の圧電材からなる。IDT20は、例えば銅(Cu)又はアルミニウム(Al)等の金属からなる。バンプ16は、例えば金(Au)等の金属からなる。
【0022】
実装基板10の上面と送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14との間に空隙22が形成されている。IDT20は、振動が抑制されないように空隙22に露出している。バンプ16も空隙22に露出している。送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14それぞれの高さH1は例えば150μm程度である。空隙22の高さH2(即ち、実装基板10の上面と送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14の機能面との間隔)は例えば10μm程度である。
【0023】
実装基板10は、内部に内部配線24が設けられた多層配線基板である。内部配線24によって、実装基板10の上面に形成された接続パッド26と下面に形成されたフットパッド28とが電気的に接続されている。内部配線24、接続パッド26、及びフットパッド28は、例えば金(Au)等の金属からなる。
【0024】
図2は、実施例1に係る分波器における実装基板の上面図である。なお、送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14の外形を破線で示している。
図2のように、実装基板10の上面には、接続パッド26として、アンテナパッド26a、送信パッド26b、受信パッド26c、及びグランドパッド26dが設けられている。
【0025】
送信フィルタチップ12は、アンテナパッド26a、送信パッド26b、及びグランドパッド26dの上面にバンプ16が接合することで、実装基板10の上面にフリップチップ実装されている。送信フィルタチップ12の機能面に形成された入力用電極は送信パッド26bに接続され、出力用電極はアンテナパッド26aに接続され、グランド電極はグランドパッド26dに接続されている。
【0026】
受信フィルタチップ14は、アンテナパッド26a、受信パッド26c、及びグランドパッド26dの上面にバンプ16が接合することで、実装基板10の上面にフリップチップ実装されている。受信フィルタチップ14の機能面に形成された入力用電極はアンテナパッド26aに接続され、出力用電極は受信パッド26cに接続され、グランド電極はグランドパッド26dに接続されている。
【0027】
また、図示は省略するが、実装基板10の下面には、フットパッド28として、アンテナ端子、送信端子、受信端子、及びグランド端子が設けられている。アンテナ端子、送信端子、受信端子、及びグランド端子はそれぞれ、内部配線24を介して、アンテナパッド26a、送信パッド26b、受信パッド26c、及びグランドパッド26dにそれぞれ電気的に接続されている。したがって、送信フィルタチップ12に形成された送信フィルタは、送信端子とアンテナ端子との間に接続されている。受信フィルタチップ14に形成された受信フィルタは、受信端子とアンテナ端子との間に接続されている。送信フィルタは、送信端子から入力された信号のうち送信帯域の信号を送信信号としてアンテナ端子に通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。受信フィルタは、アンテナ端子から入力された信号のうち受信帯域の信号を受信信号として受信端子に通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。送信帯域の周波数と受信帯域の周波数とは異なっている。
【0028】
図1及び
図2のように、実装基板10の上面に、送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14それぞれを囲んで金属パターン30が設けられている。即ち、金属パターン30は、送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14の両方を囲んで設けられた外郭部分32と、送信フィルタチップ12と受信フィルタチップ14との間に位置して外郭部分32に接続して設けられた中継部分34と、を有する。金属パターン30の幅は、例えば50μm程度である。外郭部分32は、送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14の両方を囲む矩形形状をしていて、中継部分34は、1本の金属線が直線状に延在している場合が好ましい。
【0029】
送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14それぞれの全ての側面と裏面とに金属膜36が設けられている。金属膜36の厚さは例えば0.3μm程度である。金属パターン30及び金属膜36は、半田に対して濡れ性の良好な金属からなる場合が好ましい。例えば、金属パターン30はニッケル(Ni)層上に金(Au)層が設けられた積層からなる場合が好ましく、金属膜36はチタン(Ti)層上に金(Au)層が設けられた積層からなる場合が好ましい。このように、金属パターン30及び金属膜36は、半田に対して良好な濡れ性を得る点から、金(Au)を含む場合が好ましい。
【0030】
金属膜36の表面と金属パターン30の上面とに接合して半田38が設けられている。即ち、半田38は、送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14それぞれの全ての側面と裏面とに設けられて、送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14を囲んでいる。送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14上に、例えばコバール等の金属からなるリッド40が半田38に接合して設けられている。送信フィルタチップ12と受信フィルタチップ14とは、半田38とリッド40とからなる封止部42によって封止されている。封止部42を覆って、例えばニッケル(Ni)めっき等の金属膜からなる保護膜44が設けられている。
【0031】
金属パターン30は、内部配線24を介して、フットパッド28のグランド端子に接続されることが好ましい。これにより、封止部42をグランド電位とすることができ、電気特性の向上を図ることができる。
【0032】
次に、実施例1に係る分波器の製造方法について説明する。
図3(a)から
図4(d)は、実施例1に係る分波器の製造方法を示す断面図である。
図3(a)から
図4(d)では、多面取りプロセスによる製造方法を示している。
図3(a)のように、ウエハ状の圧電基板18の主面に、IDT20とこれに電気的に接続されるバンプ16との集合体を複数形成する。これにより、圧電基板18の主面に複数のフィルタが形成される。その後、圧電基板18の主面に、IDT20及びバンプ16を覆って、ダイシングテープ46を貼り付ける。
【0033】
図3(b)のように、圧電基板18を例えばレーザダイシング等によって切断して、複数のデバイスチップ48a〜48dとする。圧電基板18の主面に形成されたフィルタの種類によって、複数のデバイスチップ48a〜48dは、例えば送信フィルタチップ又は受信フィルタチップとなる。
【0034】
図3(c)のように、ダイシングテープ46をエキスパンドして、複数のデバイスチップ48a〜48dの互いの間隔を広げる。その後、複数のデバイスチップ48a〜48dに対して、IDT20が形成された機能面とは反対側の裏面側から、例えばスパッタ法を用いて、金属膜36を堆積する。これにより、金属膜36は、複数のデバイスチップ48a〜48dそれぞれに対して、全ての側面と裏面とに形成される。
【0035】
図3(d)のように、複数のデバイスチップ48a〜48dの裏面にテープ50を貼り付ける。テープ50を貼り付けた後、ダイシングテープ46を引き剥がす。その後、複数のデバイスチップ48a〜48dそれぞれに対してテープ50側から針を突き上げて、複数のデバイスチップ48a〜48dをテープ50からピックアップして個片化する。このように、複数のデバイスチップ48a〜48dをテープ50に貼り直すのは以下のためである。即ち、複数のデバイスチップ48a〜48dがダイシングテープ46に貼り付けられた
図3(c)の状態で、ダイシングテープ46側から針を突き上げると、IDT20やそれに接続する配線等を傷つけてしまう恐れがある。これに対し、
図3(d)の状態でテープ50側から針を突き上げて複数のデバイスチップ48a〜48dを個片化することで、IDT20や配線等が傷つくことを抑えることができる。
【0036】
図3(e)のように、
図3(a)から
図3(d)の工程を行うことによって、全ての側面及び裏面に金属膜36が形成された送信フィルタチップ12が複数形成される。また、圧電基板18の主面に形成するフィルタの種類を変更することで、全ての側面及び裏面に金属膜36が形成された受信フィルタチップ14が複数形成される。
【0037】
図4(a)のように、内部配線24、接続パッド26、フットパッド28、及び金属パターン30が形成された実装基板10を準備する。実装基板10の平坦上面に、複数の送信フィルタチップ12と複数の受信フィルタチップ14とをバンプ16によってフリップチップ実装する。この際、複数の送信フィルタチップ12及び複数の受信フィルタチップ14それぞれが金属パターン30で囲まれるようにフリップチップ実装する。また、1つの分波器を構成する送信フィルタチップ12と受信フィルタチップ14とが互いに隣り合うようにフリップチップ実装する。
【0038】
図4(b)のように、複数の送信フィルタチップ12及び複数の受信フィルタチップ14上に、半田38とリッド40との積層体を、半田38がデバイスチップ側となるように配置する。
【0039】
図4(c)のように、積層体を加熱して半田38が溶融した状態とし、この状態でリッド40を複数の送信フィルタチップ12及び複数の受信フィルタチップ14側に押圧する。複数の送信フィルタチップ12及び複数の受信フィルタチップ14それぞれの全ての側面及び裏面に金属膜36が形成されている。また、実装基板10の上面に複数の送信フィルタチップ12及び複数の受信フィルタチップ14それぞれを囲む金属パターン30が形成されている。金属膜36及び金属パターン30は、上述したように、半田に対して濡れ性が良好である。このため、半田38は、金属膜36及び金属パターン30を濡れ広がり、その後に固化して、金属膜36の表面と金属パターン30の上面とに接合する。これにより、半田38は、複数の送信フィルタチップ12及び複数の受信フィルタチップ14それぞれの全ての側面と裏面とに形成されて、送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14を囲む。また、リッド40は、複数の送信フィルタチップ12及び複数の受信フィルタチップ14上を延在して配置される。これにより、複数の送信フィルタチップ12及び複数の受信フィルタチップ14は、半田38とリッド40とからなる封止部42によって封止される。
【0040】
図4(d)のように、送信フィルタチップ12と受信フィルタチップ14とで構成される複数の分波器のそれぞれの間で、封止部42及び実装基板10を、ダイシングブレードを用いたダイシングによって切断する。これにより、送信フィルタチップ12と受信フィルタチップ14とで構成される複数の分波器が個片化される。その後、例えば電解めっき法を用いて、封止部42を覆う保護膜44を形成する。このような製造工程を含んで、実施例1の分波器100を形成することができる。
【0041】
ここで、実施例1の分波器の効果を説明するにあたり、比較例1の分波器について説明する。
図5は、比較例1に係る分波器を示す断面図である。
図6は、比較例1に係る分波器における実装基板の上面図である。
図5及び
図6のように、比較例1の分波器においては、実装基板10の平坦上面にフリップチップ実装された送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14の側面及び裏面に金属膜36は形成されていない。また、実装基板10の上面に形成された金属パターン30aは、送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14の両方を囲んで設けられた外郭部分32だけからなり、中継部分34は設けられていない。
【0042】
送信フィルタチップ12と受信フィルタチップ14とを封止する封止部42aに含まれる半田38aは、送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14の互いに対向する側面には設けられてない。また、送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14の互いに対向する側面以外の側面においては、半田38aは、機能面側に位置する部分には少なくとも設けられていない。その他の構成は、実施例1の
図1及び
図2と同じであるため説明を省略する。
【0043】
図7(a)から
図7(d)は、比較例1に係る分波器の製造方法を示す断面図である。
図7(a)のように、実装基板10の平坦上面に、複数の送信フィルタチップ12と複数の受信フィルタチップ14とをフリップチップ実装する。複数の送信フィルタチップ12と複数の受信フィルタチップ14とには、金属膜36が形成されていない。
【0044】
図7(b)のように、複数の送信フィルタチップ12及び複数の受信フィルタチップ14上に、半田38aとリッド40aとの積層体を、半田38aがデバイスチップ側となるように配置する。
【0045】
図7(c)のように、積層体を加熱して半田38aが溶融した状態とし、この状態でリッド40aを複数の送信フィルタチップ12及び複数の受信フィルタチップ14側に押圧する。送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14の側面等に金属膜36は形成されていない。圧電基板は半田に対して濡れ性がよくないことから、半田38aは、送信フィルタチップ12と受信フィルタチップ14との間に入り込まず、送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14の互いに対向する側面には形成されない。また、送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14の互いに対向する側面以外の側面においては、半田38aは、機能面側に位置する部分には少なくとも形成されない。半田38aとチップの側面との接触面積は半田38aの量に依存し、例えば半田38aの量が少ない場合には、半田38aが側面の大部分に形成されない場合も生じる。半田38aと半田38a上に位置するリッド40aとからなる封止部42aによって、複数の送信フィルタチップ12と複数の受信フィルタチップ14とは封止される。
【0046】
図7(d)のように、送信フィルタチップ12と受信フィルタチップ14とで構成される複数の分波器を個片化した後、封止部42aを覆う保護膜44を形成する。このような製造工程を含んで、比較例1の分波器を形成することができる。
【0047】
比較例1では、
図5のように、送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14の側面に金属膜36が設けられていないため、半田38aは送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14の互いに対向する側面に形成されない。このため、送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14の動作時における放熱経路が限られてしまい、放熱性が悪くなる。特に、送信フィルタチップ12は動作時における発熱量が大きいことから良好な放熱性が望まれるが、比較例1では放熱性が悪くなってしまう。
【0048】
一方、実施例1では、
図1のように、送信フィルタチップ12の側面のうち受信フィルタチップ14に対向する側面に少なくとも金属膜36が設けられている。また、実装基板10の上面に送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14それぞれを囲む金属パターン30が設けられている。これにより、半田38は、金属膜36の表面と金属パターン30の上面とに接して送信フィルタチップ12の受信フィルタチップ14に対向する側面に少なくとも設けられて送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14を囲む。これにより、送信フィルタチップ12の動作時における放熱経路が広がり、放熱性を改善させることができる。その結果、特性の劣化や耐電力寿命の低下等を抑制することができる。
【0049】
実施例1の分波器100は、
図3(a)から
図4(d)で説明したように、以下の製造工程を含んで形成することができる。送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14のうちの少なくとも送信フィルタチップ12の側面に金属膜36を形成する(
図3(c)から
図3(e))。その後、送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14を、それぞれが実装基板10の上面に形成された金属パターン30で囲まれ且つ送信フィルタチップ12の金属膜36が形成された側面が受信フィルタチップ14の側面と隣り合うように、実装基板10の上面にフリップチップ実装する(
図4(a))。フリップチップ実装された送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14上に半田38を配置した後、半田38を溶融状態で送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14側に押圧して、半田38を含む封止部42で送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14を封止する(
図4(b)及び
図4(c))。この製造方法によれば、送信フィルタチップ12の受信フィルタチップ14に対向する側面に半田38を形成することができ、放熱性を改善させることができる。
【0050】
比較例1では、
図5のように、圧電基板は半田に対して濡れ性がよくないため、半田38aの量によって、半田38aが送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14の互いに対向する側面以外の側面にも形成されないことが生じる。したがって、
図1のように、金属膜36は送信フィルタチップ12の全ての側面に設けられ、半田38は金属膜36の表面に接して送信フィルタチップ12の全ての側面に設けられている場合が好ましい。これにより、送信フィルタチップ12の動作時における放熱経路がより広がり、放熱性をより改善することができる。
【0051】
受信フィルタチップ14は送信フィルタチップ12に比べて動作時の発熱量は小さいが、受信フィルタチップ14の放熱性も改善されることが好ましい。したがって、
図1のように、金属膜36は送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14それぞれの互いに対向する側面に設けられ、半田38は金属膜36の表面に接して送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14それぞれの互いに対向する側面に設けられている場合が好ましい。これにより、送信フィルタチップ12だけでなく、受信フィルタチップ14の放熱性も改善させることができる。
【0052】
また、送信フィルタチップ12と受信フィルタチップ14の放熱性をより改善させるために、金属膜36は送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14それぞれの全ての側面に設けられ、半田38は金属膜36の表面に接して送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14それぞれの全ての側面に設けられている場合がより好ましい。また、比較例1では、半田38aと送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14の側面との接触面積は半田38aの量に依存することになる。よって、複数の分波器の間で半田38aと圧電基板18との接触によって生じる容量成分に個体差が生じ、その結果、特性のバラツキが生じてしまう。これに対し、
図1のように、金属膜36が送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14それぞれの全ての側面に設けられている場合は、金属膜36によって半田38が規定されるため、容量成分の個体差を小さくでき、特性のバラツキを抑えることができる。
【0053】
金属膜36は、送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14それぞれの互いに対向する側面において全面に設けられている場合が好ましく、対向する側面以外の側面においても全面に設けられている場合が好ましいが、側面の一部分に設けられていない場合であってもよい。例えば、金属膜36は、側面の裏面側における端部から機能面側の端部に向かって延在しているが、機能面側の端部に到達していない場合でもよい。
【0054】
比較例1では、
図5のように、送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14の裏面に直接接して半田38aが形成されている。圧電基板は半田に対して濡れ性がよくないため、圧電基板18に接する部分における半田38aにボイドが生じてしまう。半田38aにボイドが生じることで、分波器を基板搭載する際の衝撃が半田38aの一部分に集中してチップに割れ等が発生してしまう。したがって、
図1のように、金属膜36は送信フィルタチップ12の裏面に延在し、半田38は金属膜36の表面に接して送信フィルタチップ12の裏面に延在している場合が好ましい。また、金属膜36は送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14それぞれの裏面に延在し、半田38は金属膜36の表面に接して送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14それぞれの裏面に延在している場合がより好ましい。半田38は金属膜36を濡れ広がることから、半田38にボイドによる凹凸が生じることを抑制できる。よって、分波器を基板搭載する際の衝撃が半田38の一部分に集中することを抑制でき、分波器の機械的強度を向上させることができる。金属膜36は、送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14の裏面において全面に設けられている場合が好ましいが、裏面の一部分に設けられていない場合であってもよい。
【0055】
実施例1の
図3(c)では、送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14のIDT20(機能部)が形成された機能面とは反対側の裏面側からスパッタ法を用いて金属膜36を堆積している。この場合、送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14それぞれの全ての側面及び裏面に金属膜36を容易に形成することができる。なお、金属膜36は、スパッタ法を用いて形成する場合に限らず、送信フィルタチップ12及び受信フィルタチップ14の側面に形成することができれば、その他の方法を用いてもよい。