(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-204619(P2015-204619A)
(43)【公開日】2015年11月16日
(54)【発明の名称】補聴レシーバ及びそのようなレシーバを備えた補聴器
(51)【国際特許分類】
H04R 25/02 20060101AFI20151020BHJP
H04R 25/00 20060101ALI20151020BHJP
【FI】
H04R25/02 C
H04R25/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-78710(P2015-78710)
(22)【出願日】2015年4月7日
(31)【優先権主張番号】PA2014 70200
(32)【優先日】2014年4月10日
(33)【優先権主張国】DK
(71)【出願人】
【識別番号】503021401
【氏名又は名称】ジーエヌ リザウンド エー/エス
【氏名又は名称原語表記】GN RESOUND A/S
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリク ニールセン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ヨハンセン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】補聴器に設けられるように構成されたレシーバと、このレシーバを備える補聴器を提供する。
【解決手段】レシーバは、音開口を有する第1の略平坦な側面を有するレシーバ筐体5と、耳垢フィルタなどのフィルタ11を有するフィルタ保持体6とを有する。フィルタ保持体6は、略平坦な底面と音通路10とを有する。音通路は、略平坦な底面に配置された第1の開口と、音通路にフィルタ保持体6のフィルタ11を着脱可能に取り付けられる構成された第2の開口との間を伸びる。フィルタ保持体6は、フィルタ保持体の略平坦な底板がレシーバ筐体5の略平坦な側面に隣接し、かつ、音通路が第1の開口と整列するようにレシーバ筐体5に固定される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
補聴器に設けられるように構成されたレシーバであって、
音開口を有する第1の略平坦な側面を備えるレシーバ筐体と、
耳垢フィルタなどのフィルタを有するフィルタ保持体とを備え、
前記フィルタ保持体は、略平坦な底面と音通路とを有し、
前記音通路は、前記略平坦な底面に配置された第1の開口と、前記音通路に前記フィルタ保持体の前記フィルタを着脱可能に取り付けられるように構成された第2の開口との間を伸び、
前記フィルタ保持体は、前記フィルタ保持体の前記略平坦な底板が前記レシーバ筐体の前記略平坦な側面に隣接し、かつ、前記音通路が前記第1の開口と整列するように前記レシーバ筐体に固定される、レシーバ。
【請求項2】
前記略平坦な底板は、前記レシーバ筐体の前記第1の略平坦な側面に固定される、請求項1に記載のレシーバ。
【請求項3】
前記フィルタ保持体は、接着、半田付け、又は溶接によって、前記レシーバ筐体に固定される、請求項2に記載のレシーバ。
【請求項4】
前記レシーバ筐体は、前記第1の略平坦な側面と平行な任意の平面で実質的に同一となる矩形断面内で伸び、
前記フィルタ保持体は、前記レシーバ筐体と一致するとともに外部開口を規定する外面を備え、
前記レシーバ筐体の前記実質的に同一の断面の対角線の寸法は、前記フィルタ保持体の前記外部開口より小さくなっている、請求項1に記載のレシーバ。
【請求項5】
前記フィルタ保持体は、フィルタ受け口からの前記フィルタの取り外し方向を規定し、前記レシーバは、前記略平坦な側面と垂直である音出口の主方向を規定し、前記取り外し方向は、前記音出口の前記主方向に対して斜めに配置される、請求項1から4のいずれか一項に記載のレシーバ。
【請求項6】
前記取り外し方向と音の前記主方向との間の角度が、5°から45°までの範囲内、好ましくは、10°から30°までの範囲にある、請求項5に記載のレシーバ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のレシーバを備えた補聴器筐体を備え、
前記補聴器筐体は、外面と、前記レシーバを収容するように適合された内部空洞とを有し、
前記補聴器筐体は、前記フィルタ保持体が着脱可能に取り付けられるフィルタ受け口を有し、
前記フィルタ保持体は、前記外面と前記レシーバ筐体との間で前記フィルタを通過して伸びる音通路を提供する、補聴器。
【請求項8】
前記フィルタ受け口と前記レシーバとは、前記フィルタが前記フィルタ受け口から取り除かれたときに、前記通路を通じた前記内部空洞への前記レシーバ筐体の挿入が可能となるように、相対的に大きさが定められる、請求項7に記載の補聴器。
【請求項9】
前記フィルタ保持体は、接着、半田付け、又は溶接によって、前記レシーバ筐体に取り外せないように固定されている、請求項7又は8に記載の補聴器。
【請求項10】
前記フィルタ保持体は、圧入、摩擦嵌合、又は、放熱接着剤によって、前記レシーバ筐体に取り外し可能に取り付けられる、請求項7又は8に記載の補聴器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補聴器に設けられるように構成されたレシーバ/ラウドスピーカであって、音開口を有する第1の略平坦な側面を有するレシーバ筐体と、耳垢フィルタなどのフィルタを有するフィルタ保持体とを備え、フィルタ保持体が略平坦な底面と音通路とを備え、音通路が、略平坦な底面に配置された第1の開口と、音通路にフィルタ保持体のフィルタを着脱可能に取り付けられるように構成された第2の開口との間を伸びるレシーバ/ラウドスピーカに関する。
【0002】
本発明は、このようなレシーバを備える補聴器にも関する。
【背景技術】
【0003】
前述の種類の補聴器は、多くの異なる実施態様で知られており、フィルタは、耳垢がレシーバ内に移動するのを回避するのを主たる目的とする垢防護体として主に使用されている。
【0004】
特にITE「挿耳型」補聴器に関して、一方では、最適な音質及び性能を備えたITE補聴器を提供するための研究開発が続いており、他方では、使用者の耳においてできるだけ目立たない補聴器を提供するための研究開発が続いている。これにより、例えばレシーバ、フィルタとその受け口、可聴信号を提供するために使用される電子部品といった補聴器の構成部品は、より小さな空間に配置される必要があり、それと同時に、良好な音質を提供することも必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、本発明の目的は、特にレシーバ及びフィルタ受け口が補聴器において必要とする体積を低減した補聴器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、次の補聴器によって得られる。この補聴器では、冒頭で言及された補聴器であって、フィルタ保持体の略平坦な底板がレシーバ筐体の略平坦な側面に接触し、かつ、音開口が第1の開口と整列するように、フィルタ保持体がレシーバ筐体に固定される。これによると、フィルタとレシーバとの間の音通路が非常に短くされ、その結果、補聴器に必要な長さが短くなる。
【0007】
好ましい実施形態では、略平坦な底板は、レシーバ筐体の第1の略平坦な側面に固定される。
【0008】
さらに、フィルタ保持体は、好ましくは、接着、半田付け、又は溶接によって、レシーバ筐体に固定されてもよい。
【0009】
好ましい実施形態では、レシーバ筐体は、第1の略平坦な側面と平行な任意の平面で実質的に同一となる矩形断面内で伸びる。フィルタ保持体は、外径を定める円筒形状の外面を有し、レシーバ筐体の実質的に同一の断面の対角線の寸法は、フィルタ保持体の外径より小さくなっている。
【0010】
さらに好ましい実施形態では、フィルタ保持体は、フィルタ受け口からのフィルタの取り外し方向を規定し、レシーバ/ラウドスピーカは、略平坦な側面に垂直である音出口の主方向を規定し、取り外し方向は、音出口の主方向に対して斜めに配置され、その結果、レシーバ/ラウドスピーカは、多くの異なる補聴器に組み込むことが容易となる。
【0011】
好ましい実施形態では、取り外し方向と音の主方向との間の角度は、5°から45°までの範囲内、好ましくは、10°から30°までの範囲にある。
【0012】
本発明による補聴器は、前述のようなレシーバを備えた補聴器筐体を備える。補聴器筐体は、外面と、レシーバを収容するように構成された内部空洞とを有する。補聴器筐体は、フィルタ保持体が着脱可能に取り付けられるフィルタ受け口を有する。これにより、フィルタ保持体は、外面とレシーバ筐体との間でフィルタを通過して伸びる音通路を提供する。
【0013】
本発明による補聴器の好ましい実施形態では、フィルタがフィルタ受け口から取り除かれたときに、通路を通じた内部空洞へのレシーバ筐体の挿入が可能となるように、フィルタ受け口とレシーバとは相対的に大きさが定められている。
【0014】
この点において、フィルタ保持体は、ある好ましい実施形態では、接着、半田付け、又は溶接によって、レシーバ筐体に取り外せないように固定されてもよい。
【0015】
他の実施形態では、フィルタ保持体が、圧入、摩擦嵌合、又は、放熱接着剤によって、レシーバ筐体に取り外し可能に取り付けられてもよい。
【0016】
以下では、添付の図面に示された実施形態を参照しつつ、本発明をより詳細に説明する。留意事項として、提示された実施形態は、例示の目的だけのために用いられるべきであり、本発明の範囲を限定するために用いられるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】本発明による補聴器の断面を示す原理図である。
【
図4】
図3に示したレシーバ組立体を示す図である。
【
図6】本発明による補聴器の別の実施形態の断面を示す原理図である。
【
図7】
図6に示したレシーバ組立体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1及び
図2は、本発明によるレシーバの一実施形態の斜視図と側面図とを示す。レシーバはレシーバ筐体5を備えており、レシーバ筐体5は、その側面12に固定されたフィルタ保持体6と一体となっている。
【0019】
図3及び
図6は、本発明の異なる実施形態による補聴器の断面を示す原理図である。これらの補聴器は、両者とも、使用者の耳内に完全に配置されるように構成されたITE(挿耳型)タイプであるが、本発明が、使用者の耳内に一部だけ配置されるような他の種類の補聴器にも適用可能であることは、当業者には明らかである。
【0020】
図3及び
図6に示した補聴器は、補聴器筐体1を有する。補聴器筐体1の一端は、フェースプレート2によって塞がれている。フェースプレート2は、通常、補聴器が使用者の耳に位置決めされたときに、補聴器の唯一の見える部分となる。これにより、補聴器筐体1とフェースプレート2とは、内部空洞8を包囲している。
【0021】
ITEタイプの補聴器では、補聴器の機能のために必要な電子装置3、電池(図示せず)、配線4、マイクロホン(図示せず)、レシーバ5、及び、耳垢フィルタ保持体6といった全ての機能装置を、補聴器筐体1の内部空洞8によってもたらされる狭い空間に配置しなければならない。そのため、補聴器筐体1の空間を最適に利用するために、各装置を最適な場所に配置することについて、高い自由度が存在することが重要となる。
【0022】
当業者にとって、ITE補聴器に必要とされる機能装置や、好ましいとされる機能装置は明らかである。よって、
図3及び
図6では、電子装置3、配線4、耳垢フィルタ保持体6、及びレシーバ筐体5だけが図示されている。なお、
図3は、フィルタ・ユニットが搭載されていないフィルタ保持体を示しており、一方、
図6は、フィルタ・ユニット11がフィルタ保持体6に搭載されたものを示している。
【0023】
通常、補聴器筐体1は、例えば、内部空洞8から補聴器筐体1の外面9へと延びる均圧通路7をさらに備える。均圧通路7は、補聴器の外側におけるフェースプレート2と補聴器を装着する使用者の耳内の閉塞空間との間の圧力差を解消することができるように設けられる必要がある。これにより、補聴器筐体1の内部空洞8では、機能装置を位置決めする自由度がさらに制約されてしまう。
【0024】
補聴器筐体1では、耳垢フィルタ受け口13が、使用者の耳の内部を向く補聴器筐体の一端に配置される。フィルタ保持体6は、フィルタ受け口13に搭載される。フィルタ保持体6とレシーバ5との間には、音通路10が伸びている。
【0025】
図1、
図2、
図3、
図4、
図5に示したフィルタ保持体6は、金属板を図示する形状へ深絞りすることによって製造され、その後、溶接、接着、又は半田付けによってレシーバ筐体5の平らな側面12に固定される。
図6、
図7、
図8に示す実施形態では、フィルタ保持体6は、代替として、例えば射出成型によってプラスチック材料によって形成され、その後、摩擦嵌合、スナップ・フィット、又は接着によって、レシーバ筐体5に取り付けられる。
【0026】
それにより、レシーバ筐体5とフィルタ保持体6とは、レシーバ筐体5をフィルタ保持体6のみによって保持させることができるしっかりとした接続を形成する。
【0027】
本発明の図示された実施形態によれば、フィルタ保持体6は、耳垢フィルタなどのフィルタ・ユニット11の挿入及び取り外しのために構成されており、かつ、
図4及び
図7で点線Aによって示すような取り外し方向において、フィルタ・ユニット11が挿入又は取り外しできるように構成されている。レシーバ筐体5は平らな側面12を有しており、その側面12は、音出口開口を備えている。音出口開口は、
図4及び
図7に点線Bで示すように、平らな側面12に垂直な、レシーバ筐体5からの音出口の主方向を規定する。
【0028】
フィルタ/レシーバ組立体を補聴器筐体1に配置する最良の選択肢を提供し、それよってレシーバ筐体5が内部空洞8においてできるだけ小さい空間しか必要としないようにするために、フィルタ保持体6、音通路10、及びレシーバ筐体5は、取り外しの方向Aが音出口の主方向Bに対して斜めに配置されるように設計されている。
【0029】
しかしながら、多くの用途においては、
図1及び
図2に示すレシーバの実施形態が、即ち、取り外しの主方向がレシーバ筐体5の側面12の音出口に垂直となるようにフィルタ保持体6が配置された形態が、最もコンパクトなものになることは当業者にとって明らかである。
【0030】
フィルタ/フィルタ保持体6は、補聴器筐体1においてフィルタ受け口13に取り付けられている。フィルタ受け口13は、補聴器筐体1の外側から内部空洞8への通路を提供する。本発明によれば、この経路は、通路を通じた内部空洞8へのレシーバの挿入を可能にするのに十分な大きさで形成される。
【0031】
さらに、本発明による補聴器の開示された実施形態は、レシーバ筐体5がフィルタ保持体6に取り付けられ、フィルタ保持体6がフィルタ受け口13に取り付けられることを示す。図に示されるように、これは、レシーバ5がフィルタ保持体6のみによって保持され、レシーバ5が補聴器筐体1のいずれの部分にも接しないという一例を提供するものである。
【0032】
本開示は、下記の項目に基づく多くの側面を含む。
[項目1]
補聴器に設けられるように構成されたレシーバであって、音開口を有する第1の略平坦な側面を備えるレシーバ筐体と、耳垢フィルタなどのフィルタを有するフィルタ保持体とを備え、前記フィルタ保持体は、略平坦な底面と音通路とを有し、前記音通路は、前記略平坦な底面に配置された第1の開口と、前記音通路に前記フィルタ保持体の前記フィルタを着脱可能に取り付けられるように構成された第2の開口との間を伸び、前記フィルタ保持体は、前記フィルタ保持体の前記略平坦な底板が前記レシーバ筐体の前記略平坦な側面に隣接し、かつ、前記音通路が前記第1の開口と整列するように前記レシーバ筐体に固定される、レシーバ。
[項目2]
前記略平坦な底板は、前記レシーバ筐体の前記第1の略平坦な側面に固定される、項目1に記載のレシーバ。
[項目3]
前記フィルタ保持体は、接着、半田付け、又は溶接によって、前記レシーバ筐体に固定される、項目2に記載のレシーバ。
[項目4]
前記レシーバ筐体は、前記第1の略平坦な側面と平行な任意の平面で実質的に同一となる矩形断面内で伸び、前記フィルタ保持体は、前記レシーバ筐体と一致するとともに外部開口を規定する外面を備え、前記レシーバ筐体の前記実質的に同一の断面の対角線の寸法は、前記フィルタ保持体の前記外部開口より小さくなっている、項目1に記載のレシーバ。
[項目5]
前記フィルタ保持体は、フィルタ受け口からの前記フィルタの取り外し方向を規定し、前記レシーバは、前記略平坦な側面と垂直である音出口の主方向を規定し、前記取り外し方向は、前記音出口の前記主方向に対して斜めに配置される、項目1から4のいずれか一項に記載のレシーバ。
[項目6]
前記取り外し方向と音の前記主方向との間の角度が、5°から45°までの範囲内、好ましくは、10°から30°までの範囲にある、項目5に記載のレシーバ。
[項目7]
項目1から6のいずれか一項に記載のレシーバを備えた補聴器筐体を備え、前記補聴器筐体は、外面と、前記レシーバを収容するように適合された内部空洞とを有し、前記補聴器筐体は、前記フィルタ保持体が着脱可能に取り付けられるフィルタ受け口を有し、前記フィルタ保持体は、前記外面と前記レシーバ筐体との間で前記フィルタを通過して伸びる音通路を提供する、補聴器。
[項目8]
前記フィルタ受け口と前記レシーバとは、前記フィルタが前記フィルタ受け口から取り除かれたときに、前記通路を通じた前記内部空洞への前記レシーバ筐体の挿入が可能となるように、相対的に大きさが定められる、項目7に記載の補聴器。
[項目9]
前記フィルタ保持体は、接着、半田付け、又は溶接によって、前記レシーバ筐体に取り外せないように固定されている、項目7又は8に記載の補聴器。
[項目10]
前記フィルタ保持体は、圧入、摩擦嵌合、又は、放熱接着剤によって、前記レシーバ筐体に取り外し可能に取り付けられる、項目7又は8に記載の補聴器。
【外国語明細書】