【解決手段】パンツ型吸収性物品1であって、トップシート21と、バックシート22と、トップシート21とバックシート22の間に吸収体23とを備える内装体20と、内装体20の非肌当接面側に位置し、腹側部11、股下部13及び背側部12に区分される外装体10と、を備え、腹側部11及び背側部12は、複数の不織布14と、不織布14の間に伸縮性フィルム15とを熱融着又は超音波接着により一体化された複合シートで構成され、複合シートは、伸縮方向に120%伸長したときに、0.8N/50mm以上2.0N/50mm以下の伸長荷重を有し、かつ、伸縮方向に150%伸長したときに、2.0N/50mm以上3.5N/50mm以下の伸長荷重を有する。
前記複合シートは、前記伸縮方向と交差する方向に3.0N/50mmの荷重を施したときに、30%以下の伸び率を有することを特徴とする請求項1に記載のパンツ型吸収性物品。
【背景技術】
【0002】
トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートの間に吸収体とを備える内装体と、この内装体の非肌当接面側に位置する外装体とを備えたパンツ型吸収性物品は、通常、フィットしやすいよう、使用者の腹回りの部位や脚周りの部位等に、ギャザーが付設されることが多い。これらのギャザーは、例えば、
図6に示すように、弾性部材の糸ゴム110を、伸長状態でパンツ型吸収性物品100を構成する不織布間に接着することや、不織布間に糸ゴム110を接着した部材を準備し、パンツ型吸収性物品100に接着させることにより、形成することができる。これにより、パンツ型吸収性物品100の伸縮性能が向上し、着用時のフィット感を高め、さらには、尿や血液等の体液が外部に漏れ出ることも防止することとなる。
【0003】
パンツ型吸収性物品として、例えば、特許文献1には、ウエスト開口部及び一対の該レッグ開口部それぞれの周縁部に、各周縁部の略全周にわたって連続したギャザーを形成する弾性部材を備え、ウエスト開口部の周縁部及びレッグ開口部の周縁部における、腹側部の側縁部と背側部の側縁部との溶着接合部は、溶着接合部の長さ1cm以上が、溶着接合部の幅方向における略中央部に非溶着部を有する間歇接合部とし、良好な装着感や風合いを保持しながら良好なフィット性を目指したものが開示されている。
【0004】
しかしながら、着用時のフィット性のさらなる向上を目的とした場合、糸ゴムの本数を増やしたギャザーを使用することが多く、その場合、糸ゴムを増やすために不織布と接着する為の接着剤も多量に必要となり、結果として、質感が硬く、肌触りの悪いものとなってしまっていた。また、着用時のフィット性を維持しつつ、脱着し易くするためには、パンツ型吸収性物品は、適応するウエストサイズ以上に伸縮可能であることが重要である。従来のパンツ型吸収性物品では、腹回りの部位を200%程度伸張させると、その素材が破れてしまい、これ以上に伸縮率を大きくするためには、より多くの糸ゴムが必要となり、やはり、肌触りの悪化を引き起こしてしまっていた。さらに、積層した不織布は、糸ゴムの配設方向に伸張するだけでなく、糸ゴムの配設方向以外の方向にもわずかではあるが伸張するため、指先が腹回りの部位に纏わりついて、着脱しにくいことがあった。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1ないし
図5を参照して、本発明の実施形態に係るパンツ型吸収性物品およびその製造方法について詳細に説明する。なお、実施形態の説明は、全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。本明細書の説明において、パンツ型吸収性物品1の長手方向は、パンツ型吸収性物品1が着用されたときに着用者の前後にわたる方向であり、パンツ型吸収性物品1の短手方向は、長手方向に対して横又は直交する方向を意味する。また、本明細書の説明において、体液とは、尿、血液や軟便中の水分などの体内から体外に排出された液体をいう。さらに、パンツ型吸収性物品1の着用時とは、パンツ型吸収性物品1の装着時および着用後の少なくとも一方をいう。また、パンツ型吸収性物品1として、例えば紙おむつを例として説明するが、生理用ナプキン、失禁用使い捨ておむつ等の他のパンツ型吸収性物品であってもよい。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係るパンツ型吸収性物品を示す概略図であり、
図2は、本発明の実施形態に係るパンツ型吸収性物品の展開図であり、
図3は、
図2のX−X’線における断面図である。本発明におけるパンツ型吸収性物品1の一実施形態について、
図1ないし
図3にて説明する。
図1ないし
図3に示すように、パンツ型吸収性物品1は、トップシート21と、バックシート22と、トップシート21とバックシート22の間に吸収体23とを備える内装体20と、内装体20の非肌当接面側に位置し、腹側部11、股下部13及び背側部12に区分される外装体10と、を備えている。
【0015】
(内装体)
本実施形態の内装体20は、肌当接面側に配置され、液透過性のトップシート21と、トップシート21に対向して配置された液不透過性のバックシート22と、トップシート21とバックシート22との間に配置された吸収体23と、立体ギャザー24とを含む内装体20とを備えている。これにより、吸収体23は、トップシート21とバックシート22の間に挟まれた構造となっている。内装体20は、外装体10の腹側部から背側部の内側にかけて配置されており、ホットメルト等の接着剤、熱融着、あるいは超音波接着等により、外装体10と接着している。
【0016】
本実施形態のトップシート21の基材は、体液が吸収体23へと移動するような液透過性を備えていればよく、例えば、サーマルボンド不織布等の不織布、サーマルボンド/スパンボンドを積層した複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム、あるいは、これらを積層した複合シートといった材料から形成される。また、トップシート21は、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施すことが好ましい。その加工方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。また、肌への刺激を低減させるために、トップシート21に、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させることも好ましい。さらに、強度および加工性の点から、トップシート21の坪量は、14g/m
2以上40g/m
2以下であることが好ましい。トップシート21の形状としては、特に制限はないが、尿等の液体を吸収体23に誘導するため、吸収体23を覆う形状であればよい。
【0017】
なお、トップシート21の肌当接面側には、体液の漏れを防止する立体ギャザー24を長手方向両側縁部、すなわち、長手方向前方部Aから長手方向後方部Bにかけて設けることが好ましい。立体ギャザー24の幅方向外側の部分は、バックシート22に固定され、幅方向内側の部分は、トップシート21に固定されず、長手方向に沿って糸ゴム等の立体ギャザー用弾性部材24aと不織布等のシート24bによって形成されることで、起立性を有し、使用者の体型に合わせて伸縮自在に変形可能になっている。
【0018】
本実施形態のバックシート22の基材は、吸収体23が保持している体液が漏れないような液不透過性を備えたものであればよく、不織布、樹脂フィルム、あるいはこれらを積層した複合シートといった材料から形成される。不織布は、製法が特に限定されることはなく、例えば、スパンボンドやメルトブロー不織布、あるいは、スパンボンド/メルトブロー、スパンボンド/メルトブロー/スパンボンドを積層した複合不織布、及びこれらの複合材料が考えられる。また、樹脂フィルムとして、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等がある。また、装着時の蒸れを防止するために、バックシート22は、透湿性を持たせることが好ましい。透湿性を備えさせるために、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合することや、バックシート22に穿孔のためのエンボス加工を施すことがあげられる。
【0019】
本実施形態の吸収体23の基材は、一般に生理用ナプキンやおむつ、尿パッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer;以下、「SAP」と記す。)、親水性シートといった材料から形成される。フラッフパルプとして、例えば、木材パルプ及び合成繊維、ポリマー繊維等の非木材パルプを綿状に解繊したものがある。また、高吸水性樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、親水性シートとしては、ティシュ、吸収紙、親水性不織布があげられる。
【0020】
吸収体23は、上記の基材を用いて、単層あるいは複層のシート状で構成される。これらの中でも、木材パルプフラッフのような、フラッフパルプのウェブの親水性繊維マトリックスをSAP粒子と混合して形成したものが好ましい。また、SAP粒子の漏洩防止や吸収体23の形状を安定させるために、吸収体23をティシュのような親水性シート(図示せず)に包むことが好ましい。さらに、吸収体23の表面にエンボス加工を施すと、体液の拡散をコントロールすると共に、使用者の体型に応じて吸収体23が容易に変形するので好ましい。
【0021】
(外装体)
パンツ型吸収性物品1は、上述した内装体20の非肌当接面側に位置し、着用者の腹側(
図2ではA側)に位置する腹側部11、背側(
図2ではB側)に位置する背側部12及びその間に位置する股下部13に区分される外装体10を備えている。
【0022】
腹側部11及び背側部12は、複数の不織布14と、不織布14の間に伸縮性フィルム15とを熱融着又は超音波接着により一体化された複合シートで構成される。股下部13は、腹側部11及び背側部12と同様の複合シートで構成してもよく、上述した不織布と同様の素材を用いて、その加工方法も同様の方法によるものを使用することもできる。
【0023】
本実施形態の複合シートを構成する不織布14は、上述した不織布と同様の素材を用いて、その加工方法も同様の方法によるものを使用することができる。また、伸縮性フィルム15は、伸縮性を備えたものであればよく、例えば、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂等から形成されたフィルムがあげられる。なかでも、コスト及び伸縮性能の観点から、ポリウレタン系樹脂フィルムが好ましい。
【0024】
複合シートは、非伸縮状態において、20cm
3/cm
2・秒以上のJIS L 1096−A(フラジール法):1990に基づいて測定される通気度を有する。通気度が20cm
3/cm
2・秒未満であると、着用時に蒸れ易くなる。通気度は、複合シートを構成する不織布の繊維や糸の太さ、織り密度、単位面積当たりの重さや、伸縮性シートに備えた開口部の開口面積率等により、自由に変えることができる。
【0025】
また、複合シートは、伸縮方向に150%伸長したときに、50cm
3/cm
2・秒以上のJIS L 1096−A(フラジール法):1990に基づいて測定される通気度を有する。ここで、伸縮方向に150%伸長したとは、非伸縮状態の自然長に対する、伸長されて増加した分の長さの割合である。すなわち、非伸縮状態の自然長10cmの複合シートを伸長方向に対して15cm伸長させた場合、15/10×100=150%伸長したとなる。通気度が50cm
3/cm
2・秒未満であると、伸長された状態で使用する部位、例えば、おしり周りの部位に対して、着用時に蒸れ易くなる。
【0026】
パンツ型吸収性物品1は、腹側部11から股下部13を経て背側部12に渡って、左右一対のレッグギャザー16を設けることができる。レッグギャザー16は、弾性部材16a、例えば、糸ゴムと不織布等のシート16bによって形成される。レッグギャザー16を設けることにより、伸縮方向(着用した際の左右方向)のみならず、伸縮方向と交差する方向(着用した際の上下方向)にも伸縮可能となり、股下周りの部位におけるフィット感が向上する。
【0027】
図4は、本発明の伸縮性フィルム15を拡大した平面図である。
図4(a)に示すように、伸縮性フィルム15は、平面視において千鳥状に配置される複数の開口部を備えている。開口部は、一般的な公知の製法で成形され、伸縮方向に対して0.1mm以上0.3mm以下の短辺Aと伸縮方向と交差する方向に対して0.3mm以上0.7mm以下の長辺Bであって、隣接する開口部どうしは、伸縮方向に0.5mm以上1.0mm以下の距離Dと、伸縮方向と交差する方向に0.3mm以上0.7mm以下の距離Cであることが好ましい。この開口部を所定の大きさ、間隔で成形することによって、パンツ型吸収性物品1の外装体10における通気性が向上し、かつ、伸縮性フィルム15の開口による耐久性の低下が緩和される。また、収縮力と通気性を両立する観点から、隣接する開口部どうしの伸縮方向の距離Dは、伸縮方向と交差する方向の距離Cよりも大きいことが好ましい。なお、本説明では、開口部を長方形の形状としたが、上記設定した範囲内であればその形状は特に限定されず、例えば、楕円形、ひし形等であってもよい。
【0028】
図4(b)に示すように、伸縮性フィルム15は、開口部よりも小さい面積を有する副開口部をさらに備えてもよい。副開口部は、伸縮方向に対して、0.01mm以上0.2mm以下の短辺Eと伸縮方向と交差する方向に対して0.01mm以上0.2mm以下の長辺Fであって、隣接する副開口部どうしは、伸縮方向に0.6mm以上1.3mm以下の距離Gと、伸縮方向と交差する方向に0.6mm以上1.4mm以下の距離Hであることが好ましい。また、隣接する副開口部どうしの伸縮方向の距離Gも、開口部と同様、伸縮方向と交差する方向の距離Hよりも大きいことが好ましい。この副開口部を設けることによって、伸縮性フィルム15の通気性が増加する。このため、副開口部を設けていないものと比較して、パンツ型吸収性物品1の着用時によりムレ難くなる。なお、本説明では、副開口部を円形の形状としたが、上記設定した範囲内であればその形状は特に限定されず、例えば、正方形、ひし形等であってもよい。
【0029】
複合シートは、開口部と副開口部を併せた開口面積率が7%以上14%以下であることが好ましい。ここで、開口面積率とは、単位面積当たりの開口部の面積の比であり、例えば、
図4(a)を用いて説明すると、開口面積率(%)=(A×B)/((B+C)×(A+D))となる。開口面積率が7%未満であると、通気性が劣るものとなる。一方、開口面積率が14%を超えると、強度が低くなり好ましくない。
【0030】
次に、
図5を参照して、本発明の実施形態に係るパンツ型吸収性物品に使用される複合シートの製造方法を説明する。ここでは、複合シートの構成部材の連続体を長手方向に搬送しながら、複合シートを製造する方法を説明する。
【0031】
図5(a)に示すように、第1工程として、伸縮性フィルム15を回転ローラ51から給送し、伸縮性フィルム15に所定の張力をかけて上下に伸張する。所定の張力とは、伸縮性フィルム15を200%以上、より好ましくは250±30%伸張した状態をいう。そして、第2工程では、回転ローラ52から供給された不織布14を伸張した状態の伸縮性フィルム15の上下に積層する。次に、第3工程では、積層された伸縮性フィルム15と不織布14を伸縮方向と直行する縦方向に実質的に連続したシール線を、伸縮方向に対して0.5mm以上2.0mm以下の間隔で全領域にわたって熱融着又は超音波接着することによって形成し、伸縮性フィルム15と不織布14と接着することで、複合シートを形成する。具体的に、
図5(b)に示すように、積層された伸縮性フィルム15と不織布14を接合ローラ53と他方の接合ローラ54で狭圧し、接合ローラ53の先端の端部55と、他方の接合ローラ54の側面56との接点を熱融着又は超音波接着によって、シール線を形成する。このように、シール線を所定の間隔に形成し、不織布14と伸縮性フィルム15を一体化することによって、外装体10の表面のシワが緩和され、滑らかな肌触りとなる。
【0032】
複合シートは、腹側部11の少なくとも非肌当接面側において、600μm以上、1200μm以下の算術平均粗さRaと、60μm以上、250μm以下の粗さ曲線の最大断面高さRtと、600μm以上、8500μm以下の粗さ曲線要素の平均長さRSmと、を有する。また、複合シートは、伸縮方向に150%伸長したときに、400μm以上、1000μm以下の算術平均粗さRaと、50μm以上、200μm以下の粗さ曲線の最大断面高さRtと、を有する。算術平均粗さRaは、JIS B 0601(2001)に準拠されるものであり、上記範囲にすることにより、平坦になりすぎず、表面が滑らかで、意匠性が良好となる。また、粗さ曲線の最大断面高さRtは、JIS B 0601(2001)に準拠されるものであり、上記範囲にすることにより、適度な摩擦力を有する表面となる。さらに、粗さ曲線要素の平均長さRSmは、JIS B 0601(2001)に準拠されるものであり、上記範囲にすることにより、高級感のある触感を得ることができる。よって、パンツ型吸収性物品1の表面は、下着により近い外観を得ることができる。また、伸縮方向に150%伸長したときに、算術平均粗さRaと粗さ曲線の最大断面高さRtを上記範囲とすることで、パンツ型吸収性物品1を脱着する際に、指触りの良さを与えることができる。算術平均粗さRa、粗さ曲線の最大断面高さRt及び粗さ曲線要素の平均長さRSmは、例えば、(株)KEYENCE社製のワンショット3D測定マクロスコープ(商品名:VR−3100)を用いて測定することができる。
【0033】
複合シートは、伸縮方向に120%伸長したときに、0.8N/50mm以上2.0N/50mm以下の伸長荷重を有し、かつ、伸縮方向に150%伸長したときに、2.0N/50mm以上3.5N/50mm以下の伸長荷重を有する。なお、着用者の体型によって、伸長率が変化するため、120%及び150%の伸張荷重を規定した。このようにすることで、体型によってフィット感の差異が生じない。また、複合シートは、伸縮方向と交差する方向に3.0N/50mmの荷重を施したときに、30%以下の伸び率を有することが好ましい。このようにすることで、配設方向以外の方向には伸張しないため、パンツ型吸収性物品1の着脱がし易くなる。また、複合シートは、200%以上270%以下の伸縮方向の伸び率を有する。このため、従来と比較して200%以上の伸張が可能となったため、着用者にとって、はき易く、かつ脱ぎ易いパンツ型吸収性物品1が提供できる。ここで、伸縮方向の伸び率とは、伸縮方向に120%伸長したときと同様、非伸縮状態の自然長に対する、伸長されて増加した分の長さの割合である。伸長荷重は、例えば、島津製作所製のオートグラフを用いて測定することができる。
【0034】
また、複合シートは、伸縮方向に210%以上280%以下の破断伸度を有することが好ましい。ここで、破断伸度とは、非伸縮状態の自然長にある複合シートの元の長さをL1とし、伸長したときの長さをL2としたとき、特定の方向(伸縮方向)に複合シートを伸長して破断させたときの伸長率(L2/L1×100)をいう。この範囲に破断伸度を有することにより、着脱の際にパンツを大きく広げても突っ張ったり破れたりしにくくなるという効果が生じる。破断伸度は、例えば、島津製作所製のオートグラフを用いて測定することができる。
【実施例】
【0035】
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
【0036】
(実施例1)
パンツ型吸収性物品として、使い捨ておむつを用いた。トップシートとして30g/m
2のエアスルー不織布、バックシートとして32g/m
2の通気性ポリエチレンフィルムを使用し、トップシートとバックシートの間に、フラッフパルプ12g、ポリアクリル酸系樹脂からなる吸水性ポリマー11gの混合物からなる吸収体を配置して内装体とした。内装体の短辺側両側に長手方向に延びる940デシテックスのウレタン系糸ゴムを200%に伸長したものをそれぞれ2本ずつ配置し、足回りギャザーとした。2層の20g/m
2ポリプロピレンスパンボンド不織布の間に開口率14%で開口を設けた厚み20μmのウレタンフィルムを250%伸長状態で積層し、伸縮方向と直行する方向に線状に延びるパターンで全領域にわたって超音波接着することで伸縮性及び通気性を持つ積層体(複合シート)を形成して外装体とした。外装体の腰回り端部に17g/m
2ポリプロピレンスパンボンドに1240デシテックスのウレタン系糸ゴムを200%伸長したもの6本を配した複合体を配置し、腰回りギャザーとした。
【0037】
(実施例2、3)
実施例2では開口率を11%とし、実施例3では開口率を9%とした他は、実施例1と同様の構成とした。
【0038】
(比較例1、2)
比較例1では、実施例1のウレタンフィルムの代わりに640デシテックスのウレタン系糸ゴムを240%伸長したものを腹側部及び背側部にそれぞれ12本ずつ配置して外装体とした。比較例2では実施例1のウレタンフィルムの代わりに、厚み30μmのウレタンフィルムを用いた。
【0039】
[評価方法]
1.伸長荷重
伸長荷重は、5×9cmにカットした複合シートの試験片をつかみ間隔5cmに固定し、引張速度100±2cm/分で試験片を120%、150%まで伸ばした際の荷重(N)を島津製作所製のオートグラフを用いて、それぞれ三回測定し、その平均値を求めた。その結果を表1に示す。
【0040】
2.破断伸度
破断伸度は、5×9cmにカットした複合シートの試験片をつかみ間隔5cmに固定し、引張速度100±2cm/分で試験片を材料破壊が発生するまで伸ばし、破壊されたときの試験片の長さを島津製作所製のオートグラフを用いて、それぞれ三回測定し、その平均値から求めた。その結果を表1に示す。
【0041】
3.伸縮方向と交差する方向の伸び率
伸縮方向と交差する方向の伸び率は、5×5cmにカットした複合シートの試験片を伸縮方向と交差する方向につかみ間隔2cmに固定し、引張荷重3.0N/50mm幅で試験片を引っ張った際の試験片の長さを島津製作所製のオートグラフを用いて、それぞれ三回測定し、その平均値から求めた。その結果を表1に示す。
【0042】
4.官能評価
ウエスト65cm以下の女性15名及びウエスト85cm以上の女性15名のパネラーに対して、パンツ型吸収性物品のフィット感及びについて官能評価を実施した。この評価では、実施例1〜3及び比較例1〜2のパンツ型吸収性物品について、(i)フィット感(痩せた人(ウエスト65cm以下の女性))、(ii)フィット感(太目の人(ウエスト85cm以上の女性))、(iii)脱着し易さ、の3項目について、(a)良い、(b)あまり良くない、(c)悪い、のいずれかの評価を選択する官能試験を行った。(a)の評価が11〜15人のときを「○」、(a)の評価が6〜10人のときを「△」、(a)の評価が0〜5人のときを「×」とした。その結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
この結果、表1に示すように、本実施例に係るパンツ型吸収性物品1に関して、複合シートは、伸縮方向に120%伸長したときに、0.8N/50mm以上2.0N/50mm以下の伸長荷重を有し、かつ、伸縮方向に150%伸長したときに、2.0N/50mm以上3.5N/50mm以下の伸長荷重が好適であり、体型によってフィット感の差異が生じないことが分かった。また、伸縮方向と交差する方向に3.0N/50mmの荷重を施したときに、30%以下の伸び率が好適であり、パンツ型吸収性物品1の着脱がし易くなることが分かった。また、複合シートは、伸縮方向に210%以上280%以下の破断伸度を有することが好適であり、着脱しやすくなることが分かった。
【0045】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態および実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることは当業者に明らかである。また、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。