【実施例】
【0026】
本発明のカーテンの製造方法を実施できるカーテンのひだ加工装置に係る実施例を以下に図面を用いて説明する。
【0027】
《第一実施例》
(1)ひだ加工装置
第一実施例であるカーテンのひだ加工装置1について、
図1および
図2を参照して説明する。ひだ加工装置1は、
図1に示すように、主に第一伝熱管列10と、第二伝熱管列20と、伝熱管列移動手段30と、加熱媒体流入手段40と、冷却媒体流入手段50とで構成される。
【0028】
第一伝熱管列10は、軸線を鉛直方向とする第一伝熱管11(以下、単に「伝熱管11」と称する。)が所定の間隙を保持しつつ配設されている。便宜上、
図1には伝熱管11を5本配置した場合を描いたが、カーテンの幅に応じて本数は適宜調整される。各伝熱管11は、パイプからなり、その中空内部を蒸気や冷水などの気体または液体が流通する。各伝熱管11への気体または液体の供給は、各伝熱管11に接続された配管12、13の分岐管を通じてなされる。なお、伝熱管11の上下両端部は遮蔽されている。
【0029】
具体的にいうと、各伝熱管11の下端側には配管12が接続され、それらの上端側には配管13が接続されている。なお、配管12、13は、それぞれ図示していない第一本体フレームに固定されている。また第一伝熱管列10も、配管12、13を介し、その第一本体フレームに固定されている。但し、第一伝熱管列10を第一本体フレームで直接支持して、第一伝熱管列10と配管12、13の分岐管との接続をフレキシブルチューブで行うことにより、各伝熱管11の隣接間隙の調整を容易に行えるようになる。
【0030】
第二伝熱管列20は、第一伝熱管列10とほぼ同様であり、第一伝熱管11と同構成の第二伝熱管11(以下、単に「伝熱管11」と称する。なお、第一伝熱管11と第二伝熱管11は、同様の構成である。)が所定の間隙で配設されてなる。但し、第一伝熱管列10と第二伝熱管列20は、1/2ピッチ(隣接間隔)分だけシフトして各伝熱管11が互い違いに対向して配置されている。これにより、これは、後述するように、カーテンを挟み込む際に対向する各伝熱管11が相互に間隙部分に侵入して、第一伝熱管列10と第二伝熱管列20とにより、カーテンが挟み込まれて、ひだ形成がなされる。第二伝熱管列20を構成する各伝熱管11にも、上述した配管12、13が接続されている。また、第二伝熱管列20および配管12、13は、第二本体フレーム14(
図1には第二本体フレームの一部のみを示した。)に固定されており、レール(図略)に沿って第二伝熱管列20は、第一伝熱管列10の方向に移動できるようになっている。
【0031】
伝熱管列移動手段30は、第二本体フレーム14に連結された電動式または油圧式のリニアアクチュエータからなる。これにより、
図2に示すようにカーテンWを挟み込むように、第一伝熱管列10に第二伝熱管列20を接近させることができる。なお、伝熱管列移動手段30は、他のアクチュエータでもよく、また、第一伝熱管列10を第二伝熱管列20に接近させるか、またはそれら両方を移動させる構成としてもよい。
【0032】
加熱媒体流入手段40は、加圧された過熱蒸気(加熱媒体)を、配管12を通じて第一伝熱管列10および第二伝熱管列20の各伝熱管11の内部へ流入させるボイラーからなる。本実施例では、高温の過熱蒸気を各伝熱管11内で効率的に流通させるため、その下方にある配管12より供給して、その上方にある配管13から排出させたが、過熱蒸気の流通方向は逆でもよい。
【0033】
冷却媒体流入手段50は、タンク(図略)に貯留した冷水(冷却媒体)を、配管12を通じて第一伝熱管列10および第二伝熱管列20の各伝熱管11の内部へ流入させるポンプからなる。本実施例では、低温の冷水を各伝熱管11内で効率的に流通させるため、その上方にある配管13より供給して、その下方にある配管12から排出させてもよい。なお、十分な水圧の水道水等を各伝熱管11に供給する場合は、ポンプを省略できる。この場合の冷却媒体流入手段50は水道等となる。
【0034】
加熱媒体流入手段40または冷却媒体流入手段50と配管12または伝熱管11との間には、3方弁からなる流路切替機15が設置されている。流路切替機15により、過熱蒸気の配管12への供給、冷水の配管12への供給または配管12への流通遮断のいずれかを行うことができる。流路切替機15は、電磁バルブ等からなり、自動または作業者により制御可能なものであると好ましい。
【0035】
伝熱管11は、長尺で両端が閉じた管状部材で、内部の熱を外表面に伝えることができるようになっている。
図2に示すように、伝熱管11の断面外形は、全体的に楕円形状となっている。各伝熱管11は、楕円の短辺部を相互に対向させるように配列させて、第一伝熱管列10または第二伝熱管列20を構成している(
図2(a)参照)。このように各伝熱管11を配列することにより、楕円の長辺部に相当する伝熱管11の周側面とカーテンWとがより広い面積で接触するようになる。なお、伝熱管11は、熱伝導率の高い銅製としてもよいし、内部を流通する過熱蒸気や水に対する防錆性の高いステンレス製としてもよい。
【0036】
(2)ひだ加工
ひだ加工装置1を用いてカーテンWにひだ加工(プリーツ加工、加熱成形工程)をする様子を説明する。
【0037】
先ず、
図2(a)に示すように、レールに吊下されたカーテンWを第一伝熱管列10と第二伝熱管列20との間に誘導する。
【0038】
次に、
図2(b)に示すように、第二伝熱管列20を第一伝熱管列10の方向に移動させて、各伝熱管11でカーテンWを挟持する。第二伝熱管列20の移動量により、カーテンWに形成するひだ幅の調整が可能となる。なお、カーテンWの丈が不揃いであれば、裾を下を引っ張ったり、上に押し上げたりして調整する。この状態で、カーテンWを加熱および冷却してひだ加工すると、その丈も修正されて、全体的に均一的な丈となる。
【0039】
第一伝熱管列10と第二伝熱管列20により挟持されたカーテンWの加熱または冷却は、流路切替機15を操作して行える。すなわち、流路切替機15を操作して過熱蒸気を各伝熱管11に流入させて、カーテンWが十分に加熱されたところで、流路切替機15を切替えて、冷水を伝熱管11に流入させる。カーテンWが冷えたら、第二伝熱管列20を元の位置まで復帰させて、カーテンWを次の工程へ送る。こうしてカーテンWのひだ加工が完了する。
【0040】
本実施例のひだ加工装置1によれば、従来のように過熱蒸気を噴射して加熱する方式でないため、カーテンWを乾燥させる必要もなく、次の清浄化工程や梱包工程へ移ることができる。また、本実施例のひだ加工は、カーテンWを加熱してなされるため、害虫の駆除や滅菌、殺菌、除菌等の効果も有する。また、そのひだ加工前に、カーテンWに薬剤等を噴霧しておくと、ひだ加工時の加熱(加熱成形工程)によりカーテンWの乾燥(加熱工程)を併せて行える。従って、カーテンWに薬剤を噴霧等する場合でも、乾燥工程を特別に行うまでもなく、カーテンWを直ぐに梱包等することも可能となる。
【0041】
《第二実施例》
第二実施例であるカーテンのひだ加工装置2の構成について、
図3を参照して説明する。ひだ加工装置2は、ひだ加工装置1の構成に加え、薬剤噴霧手段80と、塵埃除去手段70と、密閉包装手段60とを備える。なお、第一実施例と同じ部材等には、同符号を付して、その説明を省略する。
【0042】
薬剤噴霧手段80は、酸化タングステン等からなる光触媒、各種の抗菌剤または防虫剤等を含む液体(分散液または溶液)を、吊下したカーテンWの表裏両面に噴霧する噴霧ガンからなる。噴霧ガンも、カーテンWの上方から下方へ移動させて行うと好ましい。この薬剤噴霧手段80により、本発明に係る薬剤噴霧工程を行うことができる。
【0043】
塵埃除去手段70は、エアコンプレッサーとエアガンにより圧縮空気をカーテンWに対して噴出するエアシャワー等からなる。エアガンは、カーテンWの表裏両面に圧縮空気を噴射しながら上方から下方へ移動させると好ましい。この他、塵埃除去手段70は、例えば、塵埃を振動等により払い落す方式でもよいし、紫外線照射をそれらと併せて行うとより好ましい。この塵埃除去手段70により、本発明に係る清浄化工程を行うことができる。
【0044】
密閉包装手段60は、薬剤噴霧工程、加熱成形工程(ひだ加工工程)、清浄化工程等を経たカーテンWを入れた合成樹脂袋の開口を閉塞する熱シーラー等からなる。密閉包装手段60は、袋内の空気を排気して密閉する真空パック装置でもよいし、袋内に窒素等の不活性ガスを充填するパック装置でもよい。真空パック装置を用いると、カーテンWをひだ加工された状態で維持し易い。密閉包装手段60により本発明に係る梱包工程を行うことができる。