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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-205468(P2015-205468A)
(43)【公開日】2015年11月19日
(54)【発明の名称】プレス成形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/20 20060101AFI20151023BHJP
   B29C 33/30 20060101ALI20151023BHJP
   B29C 43/02 20060101ALI20151023BHJP
   B29C 43/32 20060101ALI20151023BHJP
   B30B 7/02 20060101ALI20151023BHJP
   B30B 15/02 20060101ALI20151023BHJP
【FI】
   B29C33/20
   B29C33/30
   B29C43/02
   B29C43/32
   B30B7/02
   B30B15/02 G
   B30B15/02 L
   B30B15/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-87997(P2014-87997)
(22)【出願日】2014年4月22日
(71)【出願人】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西山 茂
【テーマコード(参考)】
4E090
4F202
4F204
【Fターム(参考)】
4E090AA01
4E090AB01
4E090AB06
4E090CA02
4E090EB02
4E090FB02
4E090HA07
4F202CA09
4F202CB01
4F202CL12
4F202CL50
4F202CR01
4F202CR04
4F204FA01
4F204FB01
4F204FN11
4F204FN15
4F204FQ01
4F204FQ11
(57)【要約】
【課題】単一の成形駆動源によって複数種の製品を効率よく成形することができるプレス成形装置を提供することである。
【解決手段】プレス成形装置1は、個々に成形型70〜73を有する複数の成形型ユニットU1,U2を順次送り込み、また送り出すことができ、かつ、送り込まれた成形型ユニットU1,U2の成形型70〜73を型締め状態に駆動させてワークをプレス加工する成形シリンダ22を有する成形ステージ20と、成形ステージ20に対して送り込み、また送り出す各成形型ユニットU1,U2をそれぞれ配置することができる複数の待機ステージ30とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
型締め・型開きの動作が可能な成形型を型締め状態に駆動させることで、該成形型にセットされたワークをプレス加工して所定の製品を成形するプレス成形装置であって、
個々に成形型を有する複数の成形型ユニットを順次送り込み、また送り出すことができ、かつ、送り込まれた成形型ユニットの成形型を型締め状態に駆動させてワークをプレス加工する成形駆動源を有する成形ステージと、成形ステージに対して送り込み、また送り出す成形型ユニットをそれぞれ配置することができる複数の待機ステージとを備えた構成のプレス成形装置。
【請求項2】
請求項1に記載のプレス成形装置であって、
各待機ステージにおいては、それぞれに配置される成形型ユニットの成形型を、該成形型に対してワークのセットおよび取り出しができる型開き状態とすることができるように構成されたプレス成形装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプレス成形装置であって、
成形ステージの成形駆動源は、型締め状態にある成形型ユニットの成形型を、型締め状態と型開き状態の間の状態である半開き状態に作動させるように設定され、
各待機ステージは、成形型ユニットの成形型を型締め・型開きの方向に作動させることができるサブ駆動源を備え、
サブ駆動源は、半開き状態にある成形型ユニットの成形型を型開き状態に作動させ、かつ、型開き状態にある成形型ユニットの成形型を半開き状態に作動させるように設定され、
各成形型ユニットは、成形型の半開き状態で各待機ステージから成形ステージに送り込まれ、また、その半開き状態で成形ステージから各待機ステージに送り出されるように構成されたプレス成形装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のプレス成形装置であって、
成形型ユニットは、個々に型締め・型開きの動作が可能な成形型を複数備え、
各成形型は、個々の型締め・型開きの方向と同じ方向に直列に連なった多段状に配置されているプレス成形装置。
【請求項5】
請求項4に記載のプレス成形装置であって、
成形型ユニットは、多段状に配置されてそのそれぞれの間に個々に成形型が設けられる複数のダイプレートと、ダイプレートをスライド自在に貫通して各成形型の型締め・型開きの動作を案内する第1ガイド軸および第2ガイド軸と、を備え、
複数のダイプレートのうち、最下段のダイプレートに第1ガイド軸が固定され、最上段のダイプレートに第2ガイド軸が固定され、
両ガイド軸は、成形型ユニットの各成形型の型開き状態で、最下段のダイプレートと最上段のダイプレートとの間に位置する同一のダイプレートを貫通する寸法であって、かつ、各成形型の型締め状態で、他方のガイド軸が固定されたダイプレートに接触しない寸法に設定されているプレス成形装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス成形装置に関する。詳しくは、型締め・型開きの動作が可能な成形型を型締め状態に駆動させることで、成形型にセットされたワークをプレス加工して所定の製品を成形するプレス成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば自動車産業においては、多種類の車両モデルを生産台数を限定して生産する場合も多く、これに応じて製品の多品種少量生産が望まれている。通常、複数種の製品をプレス加工によって成形する場合においては、各製品に対応する個々の成形型が、プレス加工に必要な容量の成形駆動源を個別に有する設備にそれぞれ設置されている。あるいは、成形駆動源を有する一つの設備において複数種の成形型が取替えられている。特許文献1には、同一設備にて成形型の取替えを行う際に、交換用の成形型を稼働中の成形型に対して隣接させるための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−156748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
個別に成形駆動源を有する複数の設備を利用して複数種の製品を成形する場合、個々の設備に対応する数だけ成形駆動源を用意する必要があり、設備のコストアップを招く。また、成形駆動源を有する一つの設備において成形型の取替えを行う場合には、例えば特許文献1の技術によって交換用の成形型を稼働中の成形型に対して隣接させたとしても、その取替え作業自体に時間がかかる。
【0005】
本発明は、このような課題を解決しようとするものであって、その目的は、単一の成形駆動源によって複数種の製品を効率よく成形することができるプレス成形装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述の目的を達成するためのもので、以下のように構成されている。
【0007】
本発明のプレス成形装置は、型締め・型開きの動作が可能な成形型を型締め状態に駆動させることで、該成形型にセットされたワークをプレス加工して所定の製品を成形するプレス成形装置である。プレス成形装置は、個々に成形型を有する複数の成形型ユニットを順次送り込み、また送り出すことができ、かつ、送り込まれた成形型ユニットの成形型を型締め状態に駆動させてワークをプレス加工する成形駆動源を有する成形ステージと、成形ステージに対して送り込み、また送り出す成形型ユニットをそれぞれ配置することができる複数の待機ステージとを備えている。
【0008】
さらに好ましくは、プレス成形装置をつぎのような構成とすることである。各待機ステージにおいては、それぞれに配置される成形型ユニットの成形型を、該成形型に対してワークのセットおよび取り出しができる型開き状態とすることができるように構成されている。
【0009】
さらに好ましくは、プレス成形装置をつぎのような構成とすることである。成形ステージの成形駆動源は、型締め状態にある成形型ユニットの成形型を、型締め状態と型開き状態の間の状態である半開き状態に作動させるように設定されている。各待機ステージは、成形型ユニットの成形型を型締め・型開きの方向に作動させることができるサブ駆動源を備え、サブ駆動源は、半開き状態にある成形型ユニットの成形型を型開き状態に作動させ、かつ、型開き状態にある成形型ユニットの成形型を半開き状態に作動させるように設定されている。そして、各成形型ユニットは、成形型の半開き状態で各待機ステージから成形ステージに送り込まれ、また、その半開き状態で成形ステージから各待機ステージに送り出されるように構成されている。
【0010】
さらに好ましくは、プレス成形装置をつぎのような構成とすることである。成形型ユニットは、個々に型締め・型開きの動作が可能な成形型を複数備え、各成形型は、個々の型締め・型開きの方向と同じ方向に直列に連なった多段状に配置されている。
【0011】
さらに好ましくは、プレス成形装置をつぎのような構成とすることである。成形型ユニットは、多段状に配置されてそのそれぞれの間に個々に成形型が設けられる複数のダイプレートと、ダイプレートをスライド自在に貫通して各成形型の型締め・型開きの動作を案内する第1ガイド軸および第2ガイド軸と、を備えている。複数のダイプレートのうち、最下段のダイプレートに第1ガイド軸が固定され、最上段のダイプレートに第2ガイド軸が固定されている。両ガイド軸は、成形型ユニットの各成形型の型開き状態で、最下段のダイプレートと最上段のダイプレートとの間に位置する同一のダイプレートを貫通する寸法であって、かつ、各成形型の型締め状態で、他方のガイド軸が固定されたダイプレートに接触しない寸法に設定されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、成形ステージに対して個々の成形型ユニットを送り込み、また送り出すための複数の待機ステージを備えている。これにより、各待機ステージに種類の異なる製品に対応した成形型ユニットを配置しておけば、ワークのプレス加工に必要な容量の成形駆動源をもつ成形ステージは一つであっても、多種類の製品を効率よく成形することができる。
【0013】
本発明では、各待機ステージにおいて、それぞれに配置される成形型ユニットの成形型を、該成形型に対してワークのセットおよび取り出しができる型開き状態とすることができる。このことから、成形ステージでワークをプレス加工するのと並行して待機ステージで成形型に対してワークの出し入れを行うことができ、製品を成形するためのサイクルタイムを短縮できる。
【0014】
本発明では、各成形型ユニットが成形型の半開き状態で各待機ステージから成形ステージに送り込まれ、また、その半開き状態で成形ステージから各待機ステージに送り出される。このことから、成形ステージにおいて各成形型ユニットの成形型が型締め・型開きの方向に動作する量が低減され、その分、各成形型ユニットが成形ステージに配置される時間を短縮できる。これによって、各成形型ユニットを成形ステージから各待機ステージへ早く送りだすことができ、これに応じて早いタイミングで各成形型ユニットを各待機ステージから成形ステージへ送り込むことができる。結果として、製品を成形するのためのサイクルタイムが短縮される。
【0015】
本発明では、成形型ユニットに複数の成形型が多段状に配置されている。このことから、例えば、異なるプレス加工に対応した成形型を各段に配置することで、一度に複数種のプレス加工を行うことができる。各成形型でプレス加工されたワークを順次成形型が連なる方向へ移しかえて異なる成形型にセットするようにすれば、完成までに複数のプレス加工を要する製品を単一の成形型ユニットで仕上げることも可能である。
【0016】
本発明では、最上段あるいは最下段から延びる2つのガイド軸が、各成形型の型締め状態で、他方のガイド軸が固定されたダイプレートに接触しない寸法に設定されている。このことから、成形型の型締め・型開きの動作に応じて、両ガイド軸が最上段のダイプレートより上方もしくは最下段のダイプレートよりも下方に突出して他の部材と干渉することがない。そのため、そのような干渉を避けるためのスペースを最上段のダイプレートの上方あるいは最下段のダイプレートの下方に予め確保することが不要となり、プレス成形装置を成形型の型締め・型開き方向にコンパクト化できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】プレス成形装置における動作状態を表した正面図。
図2】プレス成形装置における図1につづく動作状態を表した正面図。
図3】プレス成形装置における図2につづく動作状態を表した正面図。
図4】プレス成形装置における図3につづく動作状態を表した正面図。
図5】プレス成形装置における図4につづく動作状態を表した正面図。
図6】プレス成形装置における図5につづく動作状態を表した正面図。
図7】プレス成形装置における図6に対応する動作状態を図6の右側から視た側面図。
図8】プレス成形装置における図6に対応する動作状態を図6の右側から視た側面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を用いて説明する。まず、図1,6,7,8を用いてプレス成形装置1の構成を説明する。図1,6,7,8に示すように、プレス成形装置1は、基部フレーム2と上部フレーム4と固定軸6とによって構成されるフレームを骨格としている。基部フレーム2の上面においては、その前端および後端のそれぞれに4箇所ずつ計8箇所に、上方に延びる固定軸6が配置されている。各固定軸6の上部には、上部フレーム4が固定されている。
【0019】
プレス成形装置1の左右方向の中央は、後述の各成形型ユニットU1,U2を順次送り込み、また送り出すことができ、かつ、送り込まれた各成形型ユニットU1,U2のワークをプレス加工して所定の製品を成形するための成形ステージ20となっている。成形ステージ20の左右両側は、成形ステージ20に対して送り込み、また送り出す各成形型ユニットU1,U2をそれぞれ配置することができる待機ステージ30となっている。
【0020】
成形ステージ20において、上部フレーム4の上面には、プレス加工のための駆動源である成形シリンダ22が固定されている。成形シリンダ22は、ワークのプレス加工に必要な容量を有する。成形シリンダ22は、例えば油圧式である。成形シリンダ22のシリンダロッド24の先端には、成形シリンダプレート26が結合されている。成形シリンダプレート26は、成形シリンダ22の作動によって昇降駆動される。成形シリンダプレート26の4隅には、プレス成形装置1の左右方向の中央に位置する計4個の固定軸6がスライド自在に貫通しており、成形シリンダプレート26の昇降動作はこれらの固定軸6によって案内される。なお、成形シリンダ22が本発明の「成形駆動源」に相当する。
【0021】
各待機ステージ30において、上部フレーム4の上面には、成形シリンダ22よりも小径のサブシリンダ32が固定されている。サブシリンダ32は、例えば油圧式である。サブシリンダ32のシリンダロッド34の先端には、サブシリンダプレート36が結合されている。サブシリンダプレート36は、サブシリンダ32の作動によって昇降駆動される。サブシリンダ32は、サブシリンダプレート36を成形シリンダプレート26よりも高速で昇降動作させる。サブシリンダ32が本発明の「サブ駆動源」に相当する。なお、各待機ステージ30の前方には、図7に示すロボットハンド100が個々に配置されている。
【0022】
成形ステージ20および各待機ステージ30において、基部フレーム2の上面には、個々に支持ブロック40が配置されている。各支持ブロック40の内部は、前後方向に貫通されて、ロボットハンド100のアーム102が進入可能となっている。支持ブロック40の上面には、隣り合う2つの支持ブロック40を跨ぐ寸法のスライドプレート50が配置されている。スライドプレート50は、各支持ブロック40の上面を左右方向にスライド可能である。
【0023】
スライドプレート50の上面には、2個の成形型ユニットU1,U2が配置されている。図1,6,7,8に示す動作状態においては、第1成形型ユニットU1が左部の待機ステージ30に配置され、第2成形型ユニットU2が成形ステージ20に配置されている。なお、図7においては、図6に示す第2成形型ユニットU2、成形シリンダ22のシリンダロッド24、成形シリンダプレート26、図6の右側に位置するサブシリンダ32のシリンダロッド34、サブシリンダプレート36が省略されている。図8においては、図6に示す第1成形型ユニットU1および各サブシリンダ32のシリンダロッド34、サブシリンダプレート36が省略されている。
【0024】
両成形型ユニットU1,U2は、多段状に配置された5枚のダイプレート60〜64と、これらのダイプレート60〜64のそれぞれの間に個別に設けられた4個の成形型70〜73と、ガイド軸G1,G2とを含んで構成されている。各成形型70〜73は、個々の型締め・型開き方向である上下方向に沿って直列に連なった多段状に配置されている。各成形型70〜73は、所定のワークに対してそれぞれ個別のプレス加工(例えば、孔あけ加工、曲げ加工、外形抜き加工)を行うための金型であり、個々の上型70B〜73Bおよび下型70A〜73Aによってそれぞれ上下一対で構成される。各成形型70〜73は、個々のダイプレート60〜64に対して着脱可能に取付けられている。
【0025】
5枚のダイプレート60〜64のうち最下段に位置する固定ダイプレート60は、スライドプレート50の上面に固定されている。最上段に位置する駆動ダイプレート64は、その上面に設けられているスライドブロック66が対応するステージのシリンダプレート(成形シリンダプレート26あるいはサブシリンダプレート36)の下部に対して組み付けられている。駆動ダイプレート64は、これらのシリンダプレートの昇降動作に伴って昇降駆動される。スライドブロック66の詳細については、両成形型ユニットU1,U2のスライドとの関連において後で説明する。固定ダイプレート60と駆動ダイプレート64の間に位置する3枚の従動ダイプレート61〜63は、駆動ダイプレート64の昇降運動に追従して昇降動作する。
【0026】
各成形型70〜73は、駆動ダイプレート64および従動ダイプレート61〜63の昇降動作に伴って、型締め状態(図6,8の第2成形型ユニットU2参照)あるいは型開き状態(図6,7の第1成形型ユニットU1参照)、あるいは半開き状態(図1の両成形型ユニットU1,U2参照)に駆動される。各成形型70〜73の型締め状態においては、それぞれの成形型70〜73にセットされるワークがプレス加工される。各成形型70〜73の型開き状態においては、それぞれの成形型70〜73に対してワークのセットおよび取り出しができる。各成形型70〜73の半開き状態においては、各成形型70〜73の上型70B〜73Bと下型70A〜73Aとが、型開き位置と型締め位置との間の予め設定された所定位置に配置される。各成形型70〜73の型開き状態あるいは半開き状態における個々のダイプレート60〜64間の間隔は、図示しないストッパー手段の位置規制によって決定される。
【0027】
駆動ダイプレート64および各従動ダイプレート61〜63は、それらの昇降動作を第1ガイド軸G1および第2ガイド軸G2によって案内される。第1ガイド軸G1は、固定ダイプレート60の上面の四隅から上方へ延びている(図1,6,7,8参照)。各従動ダイプレート61〜63の四隅において、第1ガイド軸G1の軸線上となる位置には、差し込まれる第1ガイド軸G1をスライド自在に貫通させるための貫通孔(図示省略)が設けられている。
【0028】
第2ガイド軸G2は、駆動ダイプレート64の下面から下方へ延びている(図1,6,7,8参照)。第2ガイド軸G2は、駆動ダイプレート64の左右両端に2本づつ計4本設けられている。各第2ガイド軸は、第1ガイド軸G1の軸線と前後方向にずれた位置に配置されている。各従動ダイプレート61〜63において、各第2ガイド軸Gの軸線上となる位置には、差し込まれる第2ガイド軸G2をスライド自在に貫通させるための貫通孔(図示省略)が設けられている。
【0029】
第1ガイド軸G1および第2ガイド軸G2は、第1成形型ユニットU1あるいは第2成形型ユニットU2の各成形型70〜73が型開き状態にあるときに、中央の従動ダイプレート62を互いに貫通する寸法に設定されている(図7参照)。また、第1ガイド軸は、各成形型70〜73が型締め状態にあるときに、該第1ガイド軸G1の上端が駆動ダイプレート64の上面に接触しない寸法に設定されている(図8参照)。第2ガイド軸G2は、各成形型70〜73が型締め状態にあるときに、該第2ガイド軸の下端が固定ダイプレート60の上面に接触しない寸法に設定されている。
【0030】
つづいて、各シリンダ22,32による各シリンダプレート26,36の動作の設定と、各成形型ユニットU1,U2のスライドについて、図1,2,4,5,6を用いて説明する。成形シリンダ22は、成形シリンダプレート26をつぎのように作動させるように設定されている。成形シリンダプレート26は、成形ステージ20に配置される成形型ユニットの各成形型70〜73を半開き状態とする図1に示す所定位置から、それらの各成形型70〜73を型締め状態とする所定位置(図6の成形ステージ20参照)へ下降し、再び、それらの各成形型70〜73を半開き状態とする所定位置へ戻る。
【0031】
サブシリンダ32は、サブシリンダプレート36をつぎのように作動させるように設定されている。サブシリンダプレート36は、待機ステージ30に配置される成形型ユニットの各成形型70〜73を半開き状態とする図1に示す所定位置から、それらの各成形型70〜73を型開き状態とする所定位置(図6の左部の待機ステージ30参照)へ上昇し、再び、それらの各成形型70〜73を半開き状態とする所定位置に戻る。
【0032】
なお、成形シリンダプレート26およびサブシリンダプレート36は、図1に示す所定位置にもどったとき、それらの下部が上下方向の同位置に配置されるように設定されている。
【0033】
ところで、両成形型ユニットU1,U2のスライドブロック66は、成形シリンダプレート26あるいはサブシリンダプレート36の下部に沿って左右方向にスライド可能に組み付けられている。各スライドブロック66は、成形シリンダプレート26とサブシリンダプレート36とが図1に示す所定位置にあるとき、成形シリンダプレート26とサブシリンダプレート36との間をスライドできる(図1,2参照)。スライドブロック66は、成形シリンダプレート26の下部にスライドした際には該成形シリンダプレート26の昇降動作に伴って昇降駆動されるように成形シリンダプレート26に対して組み付き、サブシリンダプレート36の下部にスライドした際には該サブシリンダプレート36の昇降動作に伴って昇降駆動されるようにサブシリンダプレート36に対して組み付いた状態となる。
【0034】
両成形型ユニットU1,U2は、成形シリンダプレート26とサブシリンダプレート36とが図1に示す所定位置にあるとき、すなわち両成形型ユニットU1,U2の各成形型70〜73の半開き状態で、スライドプレート50のスライドによって同期して左右方向にスライドする。このスライドによって、待機ステージ30に配置される第1成形型ユニットU1を成形ステージ20に送り込むことができ、それと同時に、成形ステージ20に配置される第2成形型ユニットU2を待機ステージ30へ送り出すことができる(図1,2参照)。また、待機ステージ30に配置される第2成形型ユニットU2を成形ステージ20に送り込むことができ、それと同時に、成形ステージ20に配置される第2成形型ユニットU1を待機ステージ30へ送り出すことができる(図4,5参照)。
【0035】
つづいて、プレス成形装置1の動作について、図1乃至8を用いて説明する。なお、プレス成形装置1の後述の動作は、図示しない制御装置によって自動で行われるように設定されている。また、以下に説明する駆動ダイプレート64および各従動ダイプレート61〜63の昇降動作に関する位置規制は、前述のストッパー手段によって実現される。
【0036】
いま、第1成形型ユニットU1が待機ステージ30に配置され、第2成形型ユニットU2が成形ステージ20に配置されているものとする(図1参照)。両成形型ユニットU1,U2の各成形型70〜73は、半開き状態に保持されている。第1成形型ユニットU1は、後述のようにしてワークの出し入れが行われた後の状態にある。第2成形型ユニットU2は、後述のようにしてプレス加工が行われた後の状態にある。
【0037】
この後、スライドプレート50が右側にスライドして、第1成形型ユニットU1が成形ステージ20に送り込まれ、第2成形型ユニットU2が待機ステージ30に送り出される(図2参照)。
【0038】
第1成形型ユニットU1が成形ステージ20に配置されると、成形シリンダ22が作動を開始して、成形シリンダ22のシリンダロッド24を押し出す。これに伴い、成形シリンダプレート26が下降して、第1成形ユニットU1の駆動ダイプレート64が押し下げられるものの、各従動ダイプレート61〜63は移動しない。そのため、最上段の成形型73の上型73Bが下型73Aに接近し、やがて上型73Bが下型73Aにワークを挟んだ状態で接触する。
【0039】
この後、さらに駆動ダイプレート64が押し下げられると、この時点から上側の従動ダイプレート63が押し下げられるが、下2つの各従動ダイプレート61,62は移動しない。そのため、中央上段の成形型72の上型72Bが下型72Aに接近し、両者がワークを挟んだ状態で接触する。同じようにして、下2つの各従動ダイプレート61,62が上から順番に駆動ダイプレート64に追従することで、まず中央下段の成形型71の上型71Bが下型71Aにワークを挟んだ状態で接触し、次いで最下段の成形型70の上型70Bが下型70Aにワークを挟んだ状態で接触する。こうして、第1成形型ユニットU1の各成形型70〜73が型締め状態(図3参照)となる。各成形型70〜73においては、それぞれの成形型70〜73に応じたプレス加工がなされる。
【0040】
成形ステージ20では、プレス加工が終了すると、成形シリンダ22のシリンダロッド24が引き戻されて成形シリンダプレート26が上昇する。これに伴い、駆動ダイプレート64および各従動ダイプレート61〜63が互いの間隔が維持されたまま引き上げられる。最下段の成形型70が半開き状態となったところで、下側の従動ダイプレート61は上昇を停止する。この後、駆動ダイプレート64および、上2つの従動ダイプレート62,63は互いの間隔が維持されたまま成形シリンダプレート26によってさらに引き上げられる。そして、中央下段の成形型71が半開き状態となったところで、中央の従動ダイプレート62は上昇を停止する。この後、同様にして、下の段から順番に上2段の各成形型72,73が半開き状態(図4参照)となって、成形シリンダプレート26の上昇が停止される。
【0041】
さて、待機ステージ30においては、第2成形型ユニットU2が配置されると、サブシリンダ32が作動を開始する。前述のとおり、各成形型70〜73は半開き状態にある(図2参照)。サブシリンダ32のシリンダロッド34が引き戻されるとサブシリンダプレート36が上昇する。これに伴い、駆動ダイプレート64および各従動ダイプレート61〜63が引き上げられる。成形ステージ20において第1成形型ユニットU1の各成形型70〜73が型締め状態から半開き状態となる際の動作と同じようにして、第2成形型ユニットU2の各成形型70〜73は下の段から順番に型開き状態(図3参照)となる。最上段の成形型73が型開き状態となると、サブシリンダプレート36の上昇が停止される。
【0042】
第2成形型ユニットU2の各成形型70〜73が型開き状態(図3参照)になると、右側の待機ステージ30の前方に配置されているロボットハンド100(図7参照)が作動を開始する。ロボットハンド100は、その最下部のアーム102に加工前の素材を把持した後、上4つの各アーム102を各成形型70〜73の上型70B〜73Bと下型70A〜73Aとの間に進入させて、加工されたワークを把持する。ロボットハンド100の最下部のアーム102は、支持ブロック40の内部に入り込む。この後、ロボットハンド100は、各アーム102を各成形型70〜73から後退させて上昇する。そして、各アーム102に把持した個々のワークを、それぞれが加工された成形型よりも一つ上の段となる成形型にセットする。最下段の成形型70においては、前述の素材がセットされる。また、最上段の成形型73で加工されたワークは、製品として製品置き場(図示省略)に運ばれる。
【0043】
待機ステージ30では、各成形型70〜73に対するワークの出し入れが終了すると、サブシリンダ32が再び作動を開始する。サブシリンダ32のシリンダロッド34が押し出されるとサブシリンダプレート36が下降する。これに伴い、駆動ダイプレート64および各従動ダイプレート61〜63が互いの間隔を維持されたまま押し下げられる。最下段の成形型70が半開き状態となったところで、下側の従動ダイプレート61は下降を停止する。この後、同様にして駆動ダイプレート64に上2つの従動ダイプレート62,63が追従することで、下の段から順番に各成形型71〜73が半開き状態(図4参照)となる。そして、サブシリンダプレート36の下降が停止される。
【0044】
両成形型ユニットU1,U2の各成形型70〜73が半開き状態となると(図4参照)、スライドプレート50が左側にスライドして、第1成形型ユニットU1が待機ステージ30に送り出され、第2成形型ユニットU2が成形ステージ20に送り込まれる(図5参照)。両成形型ユニットU1,U2の各成形型70〜73は、半開き状態に保持されている。
【0045】
成形ステージ20においては、前述の第1成形型ユニットU1の各ダイプレート60〜64の動作と同様にして第2成形型ユニットU2の各ダイプレート60〜64が動作する。それによって、まず各成形型70〜73が型締め状態(図6,8参照)となり、各成形型70〜73でワークがプレス加工される。その後、第2成形型ユニットU2の各成形型70〜73は半開き状態に戻される(図1参照)。
【0046】
待機ステージ30においては、前述の第2成形型ユニットU2の各ダイプレート60〜64の動作と同様にして第1成形型ユニットU1の各ダイプレート60〜64が動作する。それによって、まず第1成形型ユニットU1の各成形型70〜73が型開き状態(図6参照)となる。そして、左側の待機ステージ30の前方に配置されているロボットハンド100(図7参照)によって各成形型70〜73に対してワークの出し入れがなされる。最下段の成形型70には、加工前の素材がセットされる。最上段の成形型73で加工されたワークは、製品として製品置き場に運ばれる。この後、第1成形型ユニットU1の各成形型70〜73は半開き状態に戻される(図1参照)。そして、スライドプレート50が左側にスライドする。これらの動作が繰り返されることによって、順次、ワークがプレス加工され、製品が順次成形される。
【0047】
本発明は以上のように構成される。プレス成形装置1は、成形ステージ20に対して個々の成形型ユニットU1,U2を送り込み、また送り出すための複数の待機ステージ30を備えている。そのため、各成形型ユニットU1,U2に種類の異なる製品に対応した成形型を設けて、それらを各待機ステージ30から成形ステージ20に順次送り込めば、ワークのプレス加工に必要な容量の成形シリンダ22をもつ成形ステージ20は一つであっても、多種類の製品を効率よく成形することができる。
【0048】
プレス成形装置1では、各待機ステージ30において、それぞれに配置される第1成形型ユニットU1あるいは第2成形型ユニットU2の各成形型70〜73を、該各成形型70〜73に対してワークのセットおよび取り出しができる型開き状態とすることができる。このことから、成形ステージ20で一方の成形型ユニットのワークをプレス加工するのと並行して待機ステージ30で他方の成形型ユニットの各成形型70〜73に対してワークの出し入れを行うことができ、製品を成形するためのサイクルタイムを短縮できる。
【0049】
プレス成形装置1では、各成形型ユニットU1,U2がこれらの各成形型70〜73の半開き状態で待機ステージ30から成形ステージ20に送り込まれ、また、その半開き状態で成形ステージ20から待機ステージ30に送り出される。このことから、成形ステージ20に送り込まれた成形型ユニットの各成形型70〜73が型締め・型開きの方向に動作する量が低減され、その分、その成形型ユニットが成形ステージ20に配置される時間を短縮できる。これによって、成形ステージ20に送りこまれた成形型ユニットを待機ステージ30へ早く送りだすことができ、これに応じて早いタイミングで他方の成形型ユニットを待機ステージ30から成形ステージ20へ送り込むことができる。結果として、製品を成形するのためのサイクルタイムが短縮される。
【0050】
プレス成形装置1では、各成形型ユニットU1,U2に複数の成形型70〜73が多段状に配置されている。このことから、異なるプレス加工に対応した成形型を各段に配置することで、一度に複数種のプレス加工を行うことができる。各成形型70〜73でプレス加工されたワークを順次成形型が連なる方向へ移しかえて異なる成形型にセットするようにすれば、完成までに複数のプレス加工を要する製品をそれぞれの成形型ユニットU1,U2で単独で仕上げることができる。
【0051】
プレス成形装置1では、各成形型ユニットU1,U2において、駆動ダイプレート64あるいは固定ダイプレート60から延びる2つのガイド軸G1,G2が、各成形型70〜73の型締め状態で他方のガイド軸が固定されたダイプレートに接触しない寸法に設定されている。このことから、各成形型70〜73の型締め・型開きの動作に応じて、両ガイド軸G1,G2が駆動ダイプレート64より上方もしくは固定ダイプレート60よりも下方に突出して他の部材と干渉することがない。そのため、そのような干渉を避けるためのスペースを駆動ダイプレート64の上方あるいは固定ダイプレート60の下方に予め確保することが不要となり、プレス成形装置1を上下方向にコンパクト化できる。
【0052】
各成形型ユニットU1,U2の各成形型70〜73は、個々のダイプレート60〜64に対して着脱可能に取付けられている。そのため、第1成形型ユニットU1あるいは第2成形型ユニットU2が待機ステージ30に送り出されたときに、待機ステージ30にてその各成形型70〜73を順次交換するようにすれば、成形シリンダ22をもつ成形ステージ20は一つであっても、交換される成形型に対応した多種類の製品を効率よく成形することができる。なお、成形ステージ20にて第1成形型ユニットU1あるいは第2成形型ユニットU2の各成形型70〜73が半開き状態となったときにその各成形型70〜73を交換してもよい。
【0053】
以上は本発明を実施するための最良の形態を図面に関連して説明したが、この実施の形態は本発明の趣旨から逸脱しない範囲で容易に変更または変形できるものである。図1乃至6の各成形型ユニットU1,U2には、計4個の成形型70〜73が配置されていた。しかしながら、各成形型ユニットU1,U2に多段状に配置される成形型の個数はいくつであってもよく、4個に限定されるものではない。もちろん、一つであってもよい。なお、各成形型ユニットU1,U2に成形型を複数個配置する場合、各成形型が同一のプレス加工に対応するものであっても、すべて異なるプレス加工に対応するものであっても、一部のみ異なるプレス加工に対応するものであってもよい。
【0054】
図1乃至6においては、成形ステージ20の左右に計2つの待機ステージ30が設けられていた。しかしながら、成形ステージ20に対して設けられる待機ステージ30の個数は2つ以上であってもよく、2つに限定されるものではない。例えば、成形ステージ20の左右前後に計4つの待機ステージ30を設けてもよい。
【0055】
図1乃至6においては、計2つの待機ステージ30に対応して計2個の成形型ユニットU1,U2が配置されていた。しかしながら、前述のようにして成形ステージ20に対する待機ステージ30の個数を増やす場合には、それに応じて成形型ユニットの個数を増やしてもよい。もちろん、成形型ユニットを一つのみとしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 プレス成形装置
20 成形ステージ
22 成形シリンダ(成形駆動源)
30 待機ステージ
32 サブシリンダ(サブ駆動源)
70〜73 成形型
U1 第1成形型ユニット
U2 第2成形型ユニット


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8