(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-205655(P2015-205655A)
(43)【公開日】2015年11月19日
(54)【発明の名称】自動車用燃料タンクのバッフル
(51)【国際特許分類】
B60K 15/077 20060101AFI20151023BHJP
B60K 15/03 20060101ALI20151023BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20151023BHJP
【FI】
B60K15/077 C
B60K15/03 B
F02M37/00 301C
F02M37/00 301J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-88888(P2014-88888)
(22)【出願日】2014年4月23日
(71)【出願人】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】田上 広志
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038CA03
3D038CA04
3D038CB01
3D038CC10
3D038CC20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】自動車用燃料タンクの内部に形成されるバッフルにおいて、容易に形成することができるバッフルを提供する。
【解決手段】熱可塑性合成樹脂で形成された外壁を有する自動車用燃料タンクの内部にバッフル8を形成する自動車用燃料タンクのバッフル8において、バッフル8は、燃料タンクのタンク外壁7から燃料タンクの内部に突出するように形成し、内部にバッフル芯材10と、バッフル芯材10を覆うバッフル外面部9を有する。バッフル芯材10は、燃料タンクのタンク外壁7の外面に取付けられるバッフル芯材取付部11と、バッフル芯材取付部11から板状に延設されるバッフル芯材本体部13を有する。バッフル外面部9は、燃料タンクのタンク外壁7から連続して一体的に形成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性合成樹脂で形成された外壁を有する自動車用燃料タンクの内部に形成された自動車用燃料タンクのバッフルにおいて、
上記バッフルは、上記燃料タンクのタンク外壁から上記燃料タンクの内部に突出するように形成されるとともには、内部にバッフル芯材と、該バッフル芯材を覆うバッフル外面部を有し、
上記バッフル芯材は、上記燃料タンクのタンク外壁の外面に取付けられるバッフル芯材取付部と、該バッフル芯材取付部から板状に延設されるバッフル芯材本体部を有し、
上記バッフル外面部は、上記燃料タンクのタンク外壁から連続して一体的に形成されたことを特徴とする自動車用燃料タンクのバッフル。
【請求項2】
上記バッフル芯材は、上記バッフル芯材取付部と上記バッフル芯材本体部が断面略T字形に形成され、上記バッフル芯材取付部の上記燃料タンクのタンク外壁の外面と接触する部分にバッフル芯材取付凸部が形成され、該バッフル芯材取付凸部が上記燃料タンクのタンク外壁の外面と融着した請求項1に記載の自動車用燃料タンクのバッフル。
【請求項3】
上記バッフル芯材本体部は、複数のバッフル芯材本体貫通孔が形成され、該バッフル芯材本体貫通孔には、上記バッフル外面部の構成材料が進入している請求項1又は請求項2に記載の自動車用燃料タンクのバッフル。
【請求項4】
上記バッフル芯材本体部のバッフル芯材本体先端部は、面取りされている請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の自動車用燃料タンクのバッフル。
【請求項5】
上記バッフル芯材本体部の板状の側端は、先端に行くにつれて若干横方向の幅が狭くなるように形成された請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の自動車用燃料タンクのバッフル。
【請求項6】
上記バッフル芯材は、合成樹脂で形成され、上記バッフル芯材取付部の上記バッフル芯材取付凸部を上記タンク外壁に融着して、上記タンク外壁に固着された請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の自動車用燃料タンクのバッフル。
【請求項7】
上記バッフルの先端は、上記燃料タンクの底壁の内面に近接した位置まで延設された請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の自動車用燃料タンクのバッフル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性合成樹脂で形成された外壁を有する自動車用燃料タンクの内部に燃料の波うちを制御するバッフルを形成する自動車用燃料タンクのバッフルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用等の燃料タンクの構造としては、金属製のものが用いられていたが、近年、車両の軽量化や、錆が発生しないこと、所望の形状に成形しやすいことなどによって熱可塑性合成樹脂製のものが用いられるようになってきた。
熱可塑性合成樹脂製の自動車用燃料タンクの製造は、中空体を成形することの容易性からブロー成形方法が多く用いられてきた。ブロー成形方法では、溶融した熱可塑性合成樹脂部材のパリソンを円筒状にして上から押出して、そのパリソンを金型で挟みパリソン中に空気を吹き込み、自動車用燃料タンクを製造していた。
【0003】
燃料タンク101において、停車時に燃料タンク内部の燃料の流動音が生じるため、その抑制が求められている。
この場合に、
図8に示すように、燃料タンク101の上側シェル101aと下側シェル101bをそれぞれ射出成形で形成し、上側シェル101aにリブ102を形成し、下側シェル101bにサブタンク103を形成して燃料の波立ちを防止するものがある。
しかしながら、この燃料タンク101は射出成形で形成されるため、ブロー成形で形成される燃料タンク101には、リブ102やサブタンク103を別部材で形成し、取付ける必要があった。
【0004】
また、
図9に示すように、金属製の燃料タンク201の内部にサブタンク203を取付け、燃料の波立ちを防止するものがある。(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、この場合には、燃料タンク201の上側シェル201aと下側シェル201bをそれぞれ金属製の板金で形成し、サブタンク203を溶接した後に、上側シェル201aと下側シェル201bの2枚のフランジ部分を溶接しており、製造工程が複雑であり、コストも高くなる。
【0005】
更に、
図10に示すように、ブロー成形で形成される燃料タンク301の外壁307の上面と下面に外壁307を凹ませて、外壁凹部307aを設け、この外壁凹部307aで燃料の流動を減少させることも考えられている(例えば、特許文献3参照。)。この場合に、燃料タンク301の剛性や、外壁凹部307aの強度や成形性を考慮すると、外壁凹部307aの横幅(
図10におけるXの部分)をある程度確保する必要がある。このため、複数の外壁凹部307aを設けると、燃料タンク301の容量が減少するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4021284号公報
【特許文献2】特開2012−66739号公報
【特許文献3】特開2012−224113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そのため、本発明は、熱可塑性合成樹脂で形成された外壁を有する自動車用燃料タンクの内部に形成されるバッフルにおいて、剛性が高く、容易に形成することができるバッフルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1の本発明は、熱可塑性合成樹脂で形成された外壁を有する自動車用燃料タンクの内部に形成された自動車用燃料タンクのバッフルにおいて、
バッフルは、燃料タンクのタンク外壁から燃料タンクの内部に突出するように形成するとともに、内部にバッフル芯材と、バッフル芯材を覆うバッフル外面部を有し、
バッフル芯材は、燃料タンクのタンク外壁の外面に取付けられるバッフル芯材取付部と、バッフル芯材取付部から板状に延設されるバッフル芯材本体部を有し、
バッフル外面部は、燃料タンクのタンク外壁から連続して一体的に形成されたことを特徴とする自動車用燃料タンクのバッフルである。
【0009】
請求項1の本発明では、熱可塑性合成樹脂で形成された外壁を有する自動車用燃料タンクの内部に形成された自動車用燃料タンクのバッフルにおいて、バッフルは、燃料タンクのタンク外壁から燃料タンクの内部に突出するように形成されている。このため、ブロー成形で燃料タンクの成形と、タンク外壁と一体的に形成されるバッフルの成形を同時に行うことができ、製造が容易である。
【0010】
バッフルは、内部にバッフル芯材と、バッフル芯材を覆うバッフル外面部を有するため、バッフル芯材により、バッフルの剛性を上げることができ、バッフルの体積を小さくして、燃料タンク内のバッフルの占める体積を少なくして、燃料タンクの容量が減少することを防止できる。バッフル芯材を覆うバッフル外面部により、バッフル芯材を強固に保持することができ、バッフル全体の強度を向上させることができる。
【0011】
バッフル芯材は、燃料タンクのタンク外壁の外面に取付けられるバッフル芯材取付部と、バッフル芯材取付部から板状に延設されるバッフル芯材本体部を有する。このため、バッフル芯材取付部を燃料タンクのタンク外壁に取付けることにより、バッフル芯材本体部を燃料タンク内部に延設することができ、バッフルを燃料タンク内部の所定の位置に形成することができる。
【0012】
バッフル外面部は、燃料タンクのタンク外壁から連続して一体的に形成されたため、燃料タンクを成形するときにバッフルを同時に成形できるとともに、バッフルが燃料タンクのタンク外壁に強固に保持されて、バッフルと燃料タンクのタンク外壁との間に隙間等を生じさせることがなく、燃料タンクの気密性を確保することができる。
【0013】
請求項2の本発明は、バッフル芯材は、バッフル芯材取付部とバッフル芯材本体部が断面略T字形に形成され、バッフル芯材取付部の燃料タンクのタンク外壁の外面と接触する部分にバッフル芯材取付凸部が形成され、バッフル芯材取付凸部が燃料タンクのタンク外壁の外面と融着した自動車用燃料タンクのバッフルである。
【0014】
請求項2の本発明では、バッフル芯材は、バッフル芯材取付部とバッフル芯材本体部が断面略T字形に形成されたため、バッフル芯材取付部を燃料タンクのタンク外壁の外面に取付けると、バッフル芯材本体部が燃料タンクの内部に垂直に延設されて、バッフルを燃料タンク内の燃料の液面に対して垂直に形成して、燃料の波立ちや異音の発生を防止することができる。
【0015】
バッフル芯材取付部の燃料タンクのタンク外壁の外面と接触する部分に、バッフル芯材取付凸部が形成され、バッフル芯材取付凸部が燃料タンクのタンク外壁の外面と融着している。このため、バッフル芯材取付凸部を燃料タンクのタンク外壁の外面に融着して、バッフル芯材取付部を燃料タンクのタンク外壁の外面に強固に固定することができる。
【0016】
請求項3の本発明は、バッフル芯材本体部は、複数のバッフル芯材本体貫通孔が形成され、バッフル芯材本体貫通孔には、バッフル外面部の構成材料が進入している自動車用燃料タンクのバッフルである。
【0017】
請求項3の本発明では、バッフル芯材本体部は、複数のバッフル芯材本体貫通孔が形成され、バッフル芯材本体貫通孔には、バッフル外面部の構成材料が進入している。このため、バッフル芯材本体部と燃料タンクのタンク外壁から連続して形成されたバッフル外面部を強固に固定させることができ、バッフル芯材を燃料タンクのタンク外壁に強固に固定させることができる。
【0018】
請求項4の本発明は、バッフル芯材本体部のバッフル芯材本体先端部は、面取りされている自動車用燃料タンクのバッフルである。
【0019】
請求項4の本発明では、バッフル芯材本体部のバッフル芯材本体先端部は、面取りされているため、燃料タンクをブロー成形して、バッフル芯材の周囲に燃料タンクのタンク外壁の材料を取付けるときに、バッフル芯材本体先端部が面取りされて、燃料タンクのタンク外壁の溶融した材料がバッフル芯材本体先端部で流動しやすくなり、バッフル芯材本体先端部の全体に亘り確実に燃料タンクのタンク外壁の材料で包まれることができる。
【0020】
請求項5の本発明は、バッフル芯材本体部の板状の側端は、先端に行くにつれて若干横方向の幅が狭くなるように形成された自動車用燃料タンクのバッフルである。
【0021】
請求項5の本発明では、バッフル芯材本体部の板状の側端は、先端に行くにつれて若干横方向の幅が狭くなるように形成されたため、バッフル芯材の周囲に燃料タンクのタンク外壁の材料を取付けるときに、バッフル芯材本体の側端部分では、燃料タンクのタンク外壁の溶融した材料が流動しやすくなり、バッフル芯材本体部の周囲に回り込みやすくなり、成形性が向上する。
【0022】
請求項6の本発明は、バッフル芯材は、合成樹脂で形成され、バッフル芯材取付部のバッフル芯材取付凸部をタンク外壁に溶着して、バッフル芯材本体部と燃料タンクのタンク外壁とが融着することができ、タンク外壁に固着された自動車用燃料タンクのバッフルである。
【0023】
請求項6の本発明では、バッフルは、合成樹脂で形成され、バッフル芯材取付部のバッフル芯材取付凸部をタンク外壁に溶着して、タンク外壁に固着されたため、バッフル芯材取付凸部と燃料タンクのタンク外壁が相互に融着して、バッフル芯材がタンク外壁に強固に固定されることができる。
【0024】
請求項7の本発明は、バッフルの先端は、燃料タンクの底壁の内面に近接した位置まで延設された自動車用燃料タンクのバッフルである。
【0025】
請求項7の本発明では、バッフルの先端は、燃料タンクの底壁の内面に近接した位置まで延設されたため、燃料タンク内の燃料の移動を防止して、燃料の波立ちや異音の発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0026】
バッフルは、内部にバッフル芯材と、バッフル芯材を覆うバッフル外面部を有するため、バッフル芯材により、バッフルの剛性を上げることができ、バッフルの体積を小さくして、燃料タンク内のバッフルの占める体積を少なくして、燃料タンクの容量が減少することを防止できる。バッフル芯材は、バッフル芯材取付部とバッフル芯材本体部を有するため、バッフル芯材取付部を燃料タンクのタンク外壁に取付けることにより、バッフル芯材本体部を燃料タンク内部に延設することができ、バッフルを燃料タンク内部の所定の位置に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施の形態である燃料タンク斜視図である。
【
図2】本発明の燃料タンクのタンク外壁にバッフル芯材を取付けた平面図である。
【
図3】本発明の燃料タンクのタンク外壁にバッフル芯材を取付けた部分の断面図であり、
図2におけるA−A線に沿った断面図である。
【
図4】本発明に使用するバッフル芯材の斜め下方から見た斜視図である。
【
図5】本発明に使用するバッフル芯材の正面図である。
【
図6】本発明に使用するバッフル芯材の断面図である。
【
図7】本発明の金型にバッフル芯材を取付けて、燃料タンクのタンク外壁を成形する金型の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施の形態である自動車用の燃料タンク1のバッフル8について、
図1〜
図6に基づき説明し、その製造方法について、
図7に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態の燃料タンク1の斜視図である。熱可塑性合成樹脂製の燃料タンク1のタンク外壁7は単層又は多層構造の構成を有することができる。
【0029】
燃料タンク1は、特に、単層の場合は全体を、多層の場合は、内層や外層をポリアセタール、高密度ポリエチレン(HDPE)等の耐燃料油性の熱可塑性合成樹脂で形成することができる。これにより燃料タンク1の強度を向上させることができるとともに、燃料油による膨潤等で剛性が低下することがない。
【0030】
本発明の実施の形態で製造される燃料タンク1は、
図1に示すように、その燃料タンク1に燃料ポンプ(図示せず)等を出し入れするためにポンプユニット取付孔4が上面に形成されている。また、燃料タンク1の側面又は上面には、インレットパイプ(図示せず)から燃料を注入する燃料注入孔5が形成されている。
【0031】
また、例えば、燃料タンク1の周囲には外周リブ2が全周に亘り形成されており、外周リブ2のコーナー部等の所定箇所には、数箇所に亘り取付用孔3が形成され、取付用孔3と車体をボルト締めすることにより、燃料タンク1を車体に取付けている。
さらに、燃料タンク1の上面には、内部の燃料蒸気を回収するホース等を接続する各所の取付孔6が形成されている。
【0032】
まず、
図3に基づき、燃料タンク1のタンク外壁7に一体的に内部に延設して、形成されたバッフル8について説明し、その後、
図4〜
図6に基づきバッフル芯材10について説明する。さらに、その後、燃料タンク1へバッフル芯材10を取付ける方法について説明する。
【0033】
図3に示すように、燃料タンク1の内部には、タンク外壁7から内部に突出するように延設されるバッフル8が形成されている。
バッフル8は、タンク外壁7の外面に取付けられる後述するバッフル芯材10と、熱可塑性合成樹脂で形成されたタンク外壁7から一体的に延設されてバッフル芯材10のバッフル芯材本体部13を包むバッフル外面部9から形成されている。
このため、ブロー成形で燃料タンク1の成形とバッフル8の成形を同時に行うことができ、製造が容易である。
【0034】
バッフル8は、内部にバッフル芯材10と、バッフル芯材10を覆うバッフル外面部9を有するため、バッフル芯材10により、バッフル8の剛性を上げることができ、バッフル8の体積を小さくして、燃料タンク1内のバッフル8の占める体積を少なくして、燃料タンク1の容量が減少することを防止できる。バッフル芯材10を覆うバッフル外面部9により、バッフル芯材10を強固に保持することができ、バッフル8全体の強度を向上させることができる。
【0035】
バッフル8の先端は、燃料タンク1の底壁の内面に近接した位置まで延設されることが好ましい。この場合には、バッフル8が燃料タンク1内の燃料の移動を確実に防止して、燃料の波立ちや異音の発生を防止することができる。
また、バッフル8は、複数個形成することも、燃料タンク1の底壁から上壁方向に形成することもできる。
【0036】
そして、
図2に示すように、燃料タンク1のタンク外壁7の上面には、後述するバッフル芯材10のバッフル芯材取付部11が取付けられている。
バッフル芯材10は、合成樹脂で形成されている。例えば、ポリアセタール、高密度ポリエチレン(HDPE)等の耐燃料油性の熱可塑性合成樹脂を使用することができる。また、他の耐燃料油性の合成樹脂も使用することができる。燃料タンク1のタンク外壁7を形成する合成樹脂と同種類の合成樹脂を使用すると、バッフル8とタンク外壁7が強固の融着することができ好ましい。また、燃料タンク1と同じ耐燃料油性を有することができる。
【0037】
バッフル芯材10は、燃料タンク1のタンク外壁7の外面に取付けられるバッフル芯材取付部11と、バッフル芯材取付部11から板状に延設されるバッフル芯材本体部13を有する。バッフル芯材取付部11とバッフル芯材本体部13は、合成樹脂で一体的に形成される。
【0038】
バッフル芯材取付部11の下面からバッフル芯材本体部13が断面略T字形に延設して形成されている。このため、後述するように、バッフル芯材取付部11を燃料タンク1のタンク外壁7の外面に取付けると、バッフル芯材本体部13が燃料タンク1の内部に垂直に延設されて、バッフル8を燃料タンク1内の燃料の液面に対して垂直に形成して、燃料の波立ちや異音の発生を防止することができる。
【0039】
図5に示すように、バッフル芯材取付部11の下面の燃料タンク1のタンク外壁7の外面と接触する部分、即ち、バッフル芯材取付部11の下面のバッフル芯材本体部13の根元を囲む周囲に、バッフル芯材取付凸部12が形成されている。後述するように、バッフル芯材取付凸部12はパリソンの熱で溶融しやすいため、バッフル芯材取付凸部12が燃料タンク1のタンク外壁7の外面と容易に融着している。このため、バッフル芯材取付部11を燃料タンク1のタンク外壁7の外面に強固に固定することができる。
【0040】
本実施の形態では、バッフル芯材本体部13は、略長方形に形成されるとともに、複数のバッフル芯材本体貫通孔14が形成されている。バッフル芯材本体貫通孔14には、後述するバッフル外面部9の構成材料が進入している。このため、
図3に示すように、バッフル芯材本体部13をバッフル外面部9で挟持して、バッフル芯材本体部13と燃料タンク1のタンク外壁7から連続して形成されたバッフル外面部9を強固に固定させることができ、バッフル8を燃料タンク1のタンク外壁7に強固に固定させることができる。
【0041】
図6に示すように、バッフル芯材本体部13の先端に形成されたバッフル芯材本体先端部15は、面取りされている。面取りとは、バッフル芯材本体先端部15のコーナー15aが直角な角部を有するのではなく、コーナー15aの角部を丸く削り、滑らかな曲面を形成することをいう。
【0042】
バッフル芯材本体先端部15は、面取りされているため、後述するように、燃料タンク1をブロー成形するときに、バッフル芯材10を金型に取付けるが、バッフル芯材10の周囲に燃料タンク1のタンク外壁7を形成する溶融したパリソンが流動して、バッフル芯材10を覆うようになる。このときに、バッフル芯材本体先端部15のコーナー15aが面取りされているため、タンク外壁7を形成するパリソンがバッフル芯材本体先端部15で流動しやすくなり、バッフル芯材本体先端部15の全体を、確実にタンク外壁7を形成するパリソンで包むことができる。
【0043】
板状に形成されたバッフル芯材本体部13の側端は、バッフル芯材本体側面16を形成する。バッフル芯材本体側面16は、バッフル芯材本体先端部15の方向に行くにつれて徐々に若干横方向の幅が狭くなるように形成されている。このため、バッフル芯材10の周囲に燃料タンク1のタンク外壁7を形成するパリソンを取付けるときに、バッフル芯材本体側面16の部分では、タンク外壁7を形成する溶融したパリソンが流動しやすくなり、成形性が向上し、確実にタンク外壁7を形成するパリソンでバッフル芯材本体部13が包まれることができる。
【0044】
次に、
図7に基づき、バッフル8を形成する方法について説明する。
燃料タンク1を形成するには、まずブロー成形金型20の燃料タンク1の上壁を形成する上型21にバッフル芯材10を取付ける。
その後、ブロー成形金型20の上型21と下型22を開いて、パリソンを上型21と下型22の間に導入し、金型を閉じて、ブロー成形を行う。そうすると、
図3に示すように、バッフル芯材10の周囲を燃料タンク1のタンク外壁7を形成するパリソンが包むように形成される。このとき、バッフル芯材取付凸部12は、パリソンの熱で溶融して、パリソンで形成される燃料タンク1のタンク外壁7とバッフル芯材取付部11は強固に融着することができる。
【0045】
図7に示すように、ブロー成形が終わると、ブロー成形金型20の上型21と下型22を開いて、内部の燃料タンク1を取り出す。そうするとバッフル芯材10は、燃料タンク1のタンク外壁7に取付けられる。即ち、バッフル芯材10のバッフル芯材取付部11はタンク外壁7の外面に融着され、バッフル芯材本体部13は、バッフル外面部9に一体的に包まれて形成される。
【符号の説明】
【0046】
1 燃料タンク
7 タンク外壁
10 バッフル
11 バッフル取付部
12 バッフル芯材取付凸部
13 バッフル芯材本体部
14 バッフル芯材本体貫通孔
15 バッフル芯材本体先端部
16 バッフル芯材本体側面