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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-205739(P2015-205739A)
(43)【公開日】2015年11月19日
(54)【発明の名称】シート綴じ装置、後処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 37/04 20060101AFI20151023BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20151023BHJP
【FI】
   B65H37/04 A
   G03G15/00 534
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-85381(P2014-85381)
(22)【出願日】2014年4月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(72)【発明者】
【氏名】笹原 克也
(72)【発明者】
【氏名】土橋 宏行
【テーマコード(参考)】
2H072
3F108
【Fターム(参考)】
2H072AA17
2H072GA09
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA12
(57)【要約】
【課題】接着材を用いてシートを束ねる装置において、押さえ部がシートを押さえ終えた後に上方移動する際、シートの連れ上りを抑制する。
【解決手段】実施形態のシート綴じ装置は、支持部と、押さえ部とを有する。支持部は、各シートの表面の所定位置に接着材が塗布されるシート束を支持する。押さえ部は、支持部材の一つの面であり、シート面と対向している第1面に対し、当接および離間する方向に移動し、第1面に当接する方向に移動すると、第1面とで挟むことで、シートの所定位置を加圧し、加圧状態から第1面と離間する方向に移動するときに、移動方向を回転軸方向として回転する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各シートの表面の所定位置に接着材が塗布されるシートを所定の第1面で支持する支持部と、
前記支持部の第1面に対し、当接および離間する方向に移動し、前記第1面に当接する方向に移動すると、前記第1面とで挟むことで、前記シートの所定位置を加圧し、加圧状態から前記第1面と離間する方向に移動するときに、該移動方向を回転軸方向として回転する押さえ部と、
を有するシート綴じ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシート綴じ装置において、
前記押さえ部は、前記シートの所定位置を加圧するときに、該所定位置に接着材を塗布する
シート綴じ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシート綴じ装置において、
前記押さえ部は、
前記第1面に対向した面を有する第1部材と、
前記第1面に対向した面に貫通孔を有し、前記貫通孔に前記第1部材が嵌入しており、前記第1部材の前記面よりも前記貫通孔を有する面の方が前記第1面に突出している筒部と、
前記シートの所定位置を加圧するときに、前記第1部材を前記第1面の方向に付勢する第1弾性体と、
前記シートの所定位置を加圧するときに、前記筒部を前記第1面の方向に付勢する第2弾性体と、
を有するシート綴じ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のシート綴じ装置において、
加圧状態から前記第1面と離間する方向に移動する際、前記第1部材がシートから離間した後に、前記筒部がシートから離間する
シート綴じ装置。
【請求項5】
画像形成装置から排出されるシートに後処理を施す後処理装置であって、
各シートの表面の所定位置に接着材が塗布されるシート束を支持する支持部と、
前記支持部材の一つの面であり、シート面と対向している第1面に対し、当接および離間する方向に移動し、前記第1面に当接する方向に移動すると、前記第1面とで挟むことで、前記シートの所定位置を加圧し、加圧状態から前記第1面と離間する方向に移動するときに、該移動方向を回転軸方向として回転する押さえ部と、
を有する後処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書に記載の実施形態は、複数枚のシートを綴じる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置において画像形成されたシートに対して、各種後処理を施す後処理装置が知られる。後処理装置の中には、複数枚のシートからなるシート束をステイプルにより綴じる機能を有するものもある。
【0003】
また、ステイプル以外の手法により、シートを互いに接着させて束ねる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−219849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ステイプルによって綴じられたシート束はそのままではシュレッダにかけることができない。また、ステイプルされたシート束から針を取り外し、画像形成装置にて用紙として再利用したい場合にも、ステイプルによって開けられた孔が画像形成装置内でのシート搬送に悪影響を及ぼし、シート詰まりの原因となってしまうおそれがある。
【0006】
また、トナー材を塗布して接着させる構成においては、シート同士を接着させるために後処理装置内でシートを上方より押さえて加圧し、また加熱する。この場合、押さえ部がシートを押さえ終えた後に上方移動する際、シートと押さえ部とが離間せずにシートが連れ上がる可能性がある。
【0007】
実施形態は、複数枚のシートを糊付けやトナーを用いて束ね、またシートとシートを押さえる部材とが容易に離間する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態のシート綴じ装置は、支持部と、押さえ部とを有する。支持部は、各シートの表面の所定位置に接着材が塗布されるシートを所定の第1面で支持する。押さえ部は、支持部の第1面に対し、当接および離間する方向に移動し、第1面に当接する方向に移動すると、第1面とで挟むことで、シートの所定位置を加圧し、加圧状態から第1面と離間する方向に移動するときに、移動方向を回転軸方向として回転する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の画像形成装置の構成例を示す図である。
図2】実施形態の後処理装置の構成例を示す図である。
図3】第1実施形態の接着機構の構成例を示す図である。
図4】第1実施形態の接着機構の動作例を示す図である。
図5】第2実施形態の接着機構の構成例を示す図である。
図6】第2実施形態の接着機構の動作例を示す図である。
図7】第2実施形態の接着機構の動作例を示す図である。
図8】第2実施形態のシート押さえ部材の形状例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、画像形成装置及び後処理装置(いわゆるフィニッシャ)を示す図である。
【0012】
画像形成装置7は、画像情報を、出力画像として出力するための画像形成部2を有する。また、画像形成部2に対して画像出力に用いられる任意サイズの用紙(ここでは用紙Pとする)を供給可能な用紙供給部3を有する。さらに、画像形成部2において画像形成される対象である画像情報を、原稿から画像データとして取り込む画像読取部4を有する。
【0013】
画像読取部4は、透過性の原稿載置台8、キャリッジ9、露光ランプ10、反射ミラー11、反射光を収束する結像レンズ12、反射光の取り込み光による画像情報をアナログ信号に変換するCCD(Charge Coupled Device)13を備える。
【0014】
画像形成部2は、転写体としての中間転写ベルト14と、中間転写ベルト14に沿って並んで配置されるイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーに対応する4つのプロセスユニット15Y、15M、15C、15Kを備える。
【0015】
各プロセスユニットは、同様の構成であり、同様の動作をするため、ブラック(K)のプロセスユニット15Kを例にとり、説明する。
【0016】
プロセスユニット15Kは、像担持体としての感光体16K、感光体16K上に静電潜像を形成するレーザーユニット17K、感光体16Kの周囲に順次に配置された帯電装置18K、現像装置19K、中間転写ベルト14を挟んで感光体16Kと対向する一次転写装置21K、クリーナ22K、除電ランプ23Kを備える。
【0017】
原稿載置台8に置かれた原稿、もしくは自動原稿送り装置30によって送られてくる原稿にキャリッジ9とキャリッジ9に設けられた露光ランプ10とを有する露光手段によって原稿載置台8の下方から光が当てられると、原稿からの反射光は、反射ミラー11によって誘導され、結像レンズで収束され、反射光像がCCD13に投影される。CCD13に取り込まれた画像情報はアナログ信号で出力された後、デジタル信号に変換され、画像処理が施された後、レーザーユニット17Kへ送信される。
【0018】
画像形成部2において、画像形成が始まると、帯電装置18Kは回転する感光体16Kの外周面に電荷を供給する。帯電装置18Kによって均一の電位に帯電された感光体16Kの外周面にCCD13から送信されてきた画像情報に従ってレーザーユニットからレーザービームを照射する。レーザービームの照射により感光体16Kの外周面に画像情報に対応した静電潜像が形成・保持されると、現像装置19Kによって感光体16Kの外周面に現像剤が提供され、静電潜像はトナー像に変換される。
【0019】
この現像装置19Kは、回転自在に設けられた現像ローラを備えており、この現像ローラが感光体16Kに対向配置されて回転することにより、感光体16Kへトナーが供給される。感光体16Kの外周面にトナー画像が形成されると、一次転写装置21Kによってトナー像が静電的に中間転写ベルト14へ転写される。また、転写されずに残った感光体16K上のトナーは、一次転写装置21Kよりも感光体16Kの回転方向の下流に位置するクリーナ22Kによって除去され、さらに、感光体16Kの外周面の残留電荷が、除電ランプ23Kによって除去される。カラー画像を形成する場合には、以上のプロセスユニット16Y、16M、16Cにおいても同様に行われる。
【0020】
中間転写ベルト14に転写されたトナー像は、二次転写装置25によって搬送路を通って給紙装置より搬送されてきた用紙上に静電的に転写される。その後、トナー像が転写された用紙Pは定着装置26へ搬送され、用紙上に転写されたトナー像は定着装置26によって用紙上に定着される。また、トナー像が定着され、画像形成が完了した用紙は、搬送ローラ27へ向かって搬送される。
【0021】
画像形成が完了した用紙は、搬送ローラ27により画像形成装置7から排出されて後処理装置1へ送られる。
【0022】
次に、第1実施形態による後処理装置1について説明する。図2は、実施形態による後処理装置1の概略縦断面図である。後処理装置1は、例えば、後処理装置1と通信可能に接続される画像形成装置7から排出されるシートを受け取り、当該シートに対して綴じ処理、折り処理、孔あけ処理などの後処理を施す。
【0023】
後処理装置1は、大まかに、処理機能として例えば綴じ処理部T、折り処理部B、ステイプラW,孔あけ部109などを備えている。
【0024】
画像形成装置7にて画像を形成されたシートは、まず孔あけ部109を通過する。シートに対する孔あけを行う場合には、この時点で孔あけ部109によるシートへの孔あけを行う。
【0025】
孔あけ部109を通過したシートは、フラッパ117により、その搬送先を搬送路110および搬送路108のいずれかに切り替えられる。
【0026】
シートに対して孔あけ処理のみを行いたい場合や、孔あけ部109を通過したシートをそのまま装置外に排出したい場合には、シートはフラッパ117によって搬送路108へと導かれ、さらにフラッパ107によって搬送路119へと導かれて第1排出トレイ106上に排出される。
【0027】
一方、シートに対して綴じ処理部Tによる綴じ処理を施したい場合、搬送路108まで導いたシートをさらにフラッパ107によって搬送路120へと導き、バッファトレイ104上へと排出する。
【0028】
バッファトレイ104上に排出されたシートはその後、図2の紙面上で反時計回りに回転するパドル103によって叩かれながら処理トレイ102上に積載される。
【0029】
綴じ処理部Tは、処理トレイ102上に積載されるシートの上面に糊付けを行う接着機構101(シート綴じ装置)を備えている。綴じ処理部Tは、処理トレイ102上にシートが積載されるたびに、当該シートの上面に接着機構101による糊付けを行う。ただし、例えば10枚のシート束を綴じたい場合には、10枚目のシートの上面には糊付けは行なわない。綴じ処理の対象となる複数枚のシートすべてに対して処理トレイ102上での糊付けが完了したら、複数枚のシートが重なった状態で押さえ部101aによって押圧する。押圧後、処理トレイ102上のシート束は第2排出トレイ105上に排出される。
【0030】
一方、孔あけ部109を通過したシートに対して折り処理やステイプル処理を行いたい場合には、フラッパ117によってシートを搬送路110へと導き、スタッカ111上へと排出したシートに対してステイプラWによるステイプル処理や、折り処理部Bによる折り処理を施す。具体的に、折り処理部Bは、例えばステイプラWによるステイプル処理を施されたシート束を折りブレード112と折りローラ113とによって折り曲げ、折り増しローラ114により折り目をさらに挟み込んだ後、排出ローラ115によって第3排出トレイ116上に折り曲げられたシート束を排出する。
【0031】
図3は、第1実施形態の接着機構101の構成例を示す図である。接着機構101は、押さえ部101a(押さえ部)、支持部材101b(支持部)を有し、支持部材101bの面SB(第1面)に対し押さえ部101aをZ軸方向上下に移動させるキャリッジ300を有する。キャリッジ300は、押さえ部101aを支持しており、支持部材101bの面SBに対し、押さえ部101aをZ軸方向上下に移動させる。これにより、押さえ部101aは、支持部材101bの面SBに対し当接、離間する。
【0032】
押さえ部材101aは、その内部に循環ベルト311を有し、糊供給部313から供給される糊を下方向(Z軸のマイナス方向)の下面Btまで搬送する。下面Btのベルト面全てが糊面を有する状態で、キャリッジ300が下方向に移動することで、シートSの面上(シートSの例えば余白位置や角部)に糊401が付着する。シートSに糊付けした後、キャリッジ300は上方(Z軸のプラス方向)に移動する。また循環ベルト311は、下面Btに新たな糊付け面が形成されるまで図3の紙面上の反時計まわりに進行する。
【0033】
シャッタ312は、押さえ部101aに支持されており、糊の渇きを抑制するためにX軸方向にスライド移動して下面Btを覆う。図3の例では、シャッタ312が開状態であり下面Btが露出した状態となっているが、未使用時は下面Btを覆う閉状態となっている。シートSに糊付けを行う場合、シャッタ312は閉状態から開状態となって下面Btを露出させて糊付けを行う。糊付け後、シャッタ312は開状態から閉状態となって糊の渇きを抑制する。また最後のシートについては、シャッタ312は閉状態とし、この状態で押さえ部材101aが下方向に移動してシート束を押圧する。これにより、最後のシートの糊付けを抑止することができる。
【0034】
このように下面BtがシートSに接触して糊401が形成されるが、糊づけ後に押さえ部101aが上方に移動する際、糊401の粘着力によりシートSも連なって上方に移動する可能性がある。本実施形態では、このシートSの連動を抑制するため、上方移動の際に押さえ部101aを回転させる。この回転を実現するための構成を、以下に示す。
【0035】
接着機構101は、さらに、モータ301、動力伝達機構302を有する。モータ301は、ステッピングモータであり、Z軸を軸とした回転の動力源となる。この回転動力は動力伝達機構302を介して押さえ部101aまで伝達する。動力伝達機構302は、モータ301に直結した第1シャフトおよび押さえ部101aに直結した第2シャフトを有し、第1シャフトの回転を第2シャフトに伝達する複数のギアを有する。押さえ部101aは、第2シャフトの回転に連動して、Z軸を回転軸方向として回転する。またシャッタ312が開状態である場合、押さえ部101aは、シャッタ312が支持部材101bの側壁SWと接触しない程度に回転するのが望ましく、回転した後は基準の位置に戻る。
【0036】
図4は、接着機構101の糊付け時の動作例を示す図である。尚、図4では図3に示した構成の一部を省略している。まず図4(A)に示すように、シートSの端部が支持部材101bの側壁SWおよびシートを支持する面SBまで到達すると、シートSは側壁SWにより端部が揃えられて整合する。この状態でキャリッジ300が下方向に移動し、連動して押さえ部101aも移動して糊付けされた下面BtがシートSの面に接触し、加圧する(図4(B))。これにより、糊がシートS面上の所定位置(例えば余白部や角部)に付着する。また加圧されるために各シート間の糊の接着性も向上する。
【0037】
この状態でキャリッジ300が上方移動し、連動して押さえ部101aも上方移動すると、シートSも連なって上方に移動する可能性がある。よって本実施形態では、上方移動の際に、モータ301の動作制御に基づき、押さえ部101aがZ軸(押さえ部101aの移動方向)を回転軸方向として回転する(図4(C)参照)。これにより、シートSが押さえ部101aから剥離する。尚、シートSと糊401との間の粘着力の方が、循環ベルト311と糊401との間の粘着力よりも上回っているものとし、糊401の大部分はシートSに残る。
【0038】
この押さえ部101aからシートSを剥離させることができる技術的理由は以下の通りである。シートSは側壁SWによって回転せずに固定されているため、押さえ部101aを回転させることによって、接着部材である糊ではねじりせん断力が発生する。糊の粘性や伸縮力、循環ベルト311と糊との間の接着力を超える角度まで押さえ部101aを回転させてねじることで、ねじりせん断力によってシートと押さえ部101aが剥離する。
【0039】
第1実施形態では、接着材を糊としているが、トナーでもよい。この場合、糊をシート面に塗布する機構(糊供給部313や循環ベルト311など)は不要となり、押さえ部101aが発熱してトナーを加熱し、押圧することでシート同士を接着させる。また接着材をトナーとする場合、接着用トナーをシートの所定位置(例えば余白位置や角部)に形成するためのユニットを設ける。尚、画像形成装置7の画像形成部を接着用トナー形成ユニットとして流用してもよい。
【0040】
第1実施形態のようにシートSと押さえ部101aとの間でねじりせん断力を発生させることで、シートSが押さえ部101aに連動して移動するのを抑制することができる。
【0041】
(第2実施形態)
第2実施形態では、スプリングの弾性力を利用してシートと押さえ部とを剥離しやすくする実装例について説明する。また第2実施形態では、トナーをシート余白部などの所定位置に付着させて、シート同士を接着させるものとする。また第1実施形態と同等もしくは同程度の部位については、第1実施形態と同じ符号を付すものとする。
【0042】
図5は、第2実施形態の接着機構101の構成を示す図である。第2実施形態の接着機構101は、支持部材101b(支持部)、トナー接着ユニット200(押さえ部)、キャリッジ300を有する。トナー接着ユニット200は、キャリッジ300のZ軸方向の移動にともない、支持部材101bの面SBに対して上下(Z軸方向)に移動する。
【0043】
トナー接着ユニット200は、加圧熱源ユニット101c(第1部材)、シート押さえ部材351(筒部)を有し、加圧熱源ユニット101cとシート押え部材351それぞれを、Z軸下向きに付勢して加圧する弾性体を有する。シート押え部材351の付勢の源となる押えスプリング353(第2弾性体)は、加圧熱源ユニット101cの付勢の源となる加圧スプリング352(第1弾性体)に比べ弱く設定されているが、剥離には十分な耐性を持っている。
【0044】
加圧熱源ユニット101cは、支持部材101bの面SBに対向した面を有している。シート押さえ部材351も、面SBに対向した面を有しているが、この面には貫通孔が形成されている。この貫通孔に加圧熱源ユニット101cが嵌入している。また、加圧熱源ユニット101cの面SBの対向面よりも、シート押さえ部材351の貫通孔を有する面の方が、面SBに近く、突出している。
【0045】
搬送されるシートSは、支持部材101bの側壁SWにより互いに整合される。シートSの表面にはトナー451が塗布され、シートSの裏面にトナー452が塗布されている。尚、シート束の最初の1枚には、裏面のトナー452は塗布されず、最後の1枚には、表面のトナー451は塗布されない。トナー接着は対向するシート面上のトナー451、452をトナー接着ユニット200が加熱加圧することで行われる。トナー接着ユニット200は、キャリッジ300が上下移動することで一枚ずつもしくは数枚ずつ加熱圧着を繰り返し、全枚数がそろったところでシート束は排紙トレイへ排出される。
【0046】
接着トナー451、452は、対向するシート面双方の所定位置に塗布されているが、どちらか一方は塗布面積が大きくなっている。これは、印刷精度、シートの整合精度の公差によるばらつきを考慮し、小さい範囲のトナー塗布側が大きい範囲のトナー塗布側の内側へ確実に入るよう設定されている。本例では、裏面のトナー452の方が、表面のトナー451よりも塗布面積が大きくなるように設定される。また小さいトナー451の方の塗布面積で、接着強度を保てるように設定されている。シート押え部材351は、大きいトナー塗布範囲を押圧し、小さいトナー塗布範囲を押さないことで、小さいトナー塗布範囲を押圧せずにくるむように作用する。
【0047】
第2実施形態の動作について、図6図7を参照しつつ説明する。まず、キャリッジ300の移動に従い、加圧熱源ユニット101cが暖められた状態で、トナー接着ユニット200が下降し始める(図6(A))。トナー接着ユニット200が下方向に進行することで、シート押え部材351がシートSの表面に到達し(図6(B))、さらに進行することで、シートS同士の浮きが無くなる(図6(C))。
【0048】
キャリッジ300が下方向に移動することで、押さえスプリング353が収縮し、加圧熱源ユニット101cがシートSの表面に到達する(図6(D))。キャリッジ300がさらに下方向に移動することで、加圧スプリング352を収縮させ加圧する(図7(A))。加圧熱源ユニット101cは、シートSに対し十分に加圧、加熱して接着処理する。その後、キャリッジ300が上方向に移動する。これにより加圧スプリング352は収縮を解除して伸長し、加圧熱源ユニット101cからの圧力は減圧する。一方、押さえスプリング353は収縮状態のままであるため、シート押え部材351の加圧は維持されている(図7(B))。シートSの表面にトナーが付着している場合や、シートSの裏面からトナーが染み出た場合、加圧熱源ユニット101cにシート貼り付きが生じるが、押さえ部材351でシートを押さえているため、これを引きはがすことができる。
【0049】
キャリッジ300がさらに上方移動することで、加圧熱源ユニット101cはシートSから離間し、押さえスプリング353の収縮も解除され、シート押え部材351の圧力も徐々に減圧する(図7(C))。その後、キャリッジ300はさらに上昇して元の位置に戻る(図7(D))。
【0050】
図7に示すようにこのように、加圧熱源ユニット101cがシートから離間した後に、シート押え部材351がシートから離間する。この構成により、加圧熱源ユニット101cの離間の際にシート押え部材351がシートを押さえるため、加圧熱源ユニット101cからシートを引きはがすことができる。
【0051】
シート押え部材351の素材を熱抵抗の高いものにすれば断熱性が高まり、接着に要する熱を効率的に保持することができる。さらに図8に示すように、四方を囲ったシート押え部材351aを採用することで、さらに断熱性が高まる。図8の例では、四角形状としているが、これに限定されず、円筒形状などであってもよい。
【0052】
第2実施形態においても、押さえ部に貼り付くことなくシートを束ねることができる。また、トナーによる接着に替えて第1実施形態で説明した糊付けによる接着処理であってもよい。
【0053】
また第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせてもよい。すなわち、加圧熱源ユニット101cがシートから離間する際、ねじりながら上方へ離間してもよく、シート押え部材351がシートから離間する際、ねじりながら上方へ離間することも可能である。また加圧熱源ユニット101c、シート押え部材351のいずれか一方のみ、ねじる動作を加えてもよい。第1実施形態で説明した押さえ部101aと、第2実施形態で説明したシート押え部材351とを組み合わせてもよい。図3に記載の押さえ部101aが図5に記載のシート押え部材351に囲われている状態でシートに当接し、シート抑え部材351がシートに当接された状態で、押さえ部101aが回転動作をしてZ軸上方に移動してもよい。またこの組み合わせの場合、押さえ部101a、シート抑え部材351の2つとも、Z軸上方に移動してシートから離間する際に、回転動作をしてもよい。さらには、押さえ部101aがシート押え部材351に囲われている状態において、押さえ部101aは回転することなくそのままZ軸上方に移動し、シート押え部材351が上方移動する際に回転してもよい。
【0054】
以上に詳説したように、実施形態では、押さえ部がシートを押さえ終えた後に上方移動する際、シートの連れ上りを抑制することができる。
【0055】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、すべて本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0056】
1 後処理装置、7 画像形成装置、101 接着機構、101a 押さえ部、
101b 支持部材、101c 加圧熱源ユニット、102 処理トレイ、
103 パドル、104 バッファトレイ、105 第2排出トレイ、
106 第1排出トレイ、108 搬送路、109 孔あけ部、110 搬送路、
111 スタッカ、112 折りブレード、113 折りローラ、
114 折り増しローラ、115 排出ローラ、116 第3排出トレイ、
117 フラッパ、119 搬送路、120 搬送路、200 トナー接着ユニット、
300 キャリッジ、301 モータ、302 動力伝達機構、312 シャッタ、
313 糊供給部、351 シート押さえ部材、351a シート押え部材、
352 加圧スプリング、353 押さえスプリング、451、452 接着トナー、
401 糊、T 綴じ処理部、B 折り処理部、W ステイプラ。
図1
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