(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-205767(P2015-205767A)
(43)【公開日】2015年11月19日
(54)【発明の名称】エレベータ装置
(51)【国際特許分類】
B66B 5/00 20060101AFI20151023BHJP
B66B 11/02 20060101ALI20151023BHJP
【FI】
B66B5/00 B
B66B11/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-88689(P2014-88689)
(22)【出願日】2014年4月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000232944
【氏名又は名称】日立水戸エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】阿部 知彦
(72)【発明者】
【氏名】小松 敏郎
【テーマコード(参考)】
3F304
3F306
【Fターム(参考)】
3F304DA13
3F306CB15
(57)【要約】
【課題】
天井照明の光むらの原因となる光源の過疎化を防ぎ、非常救出作業が妨げられないエレベータかご天井構造を実現する。
【解決手段】
昇降路19内を昇降する乗りかご14のかご天井1に乗客を救出するための天井救出口4が設けられ、天井救出口4に天井救出口4を塞ぐ救出口カバー6が備えられたエレベーター装置において、救出口カバー6には、天井救出口4の開口部の長辺の長さを超える長尺の照明器具5が締結され、照明器具5は、救出口カバー6と照明器具5との締結を緩めることにより、救出口カバー6との間隔を広げることができ、間隔を広げた状態で救出口カバー6をスライドさせて、照明器具5を救出口カバー6から取り外すことなくかご天井1上に引き抜くことが可能なことを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内を昇降する乗りかごのかご天井に乗客を救出するための天井救出口が設けられ、前記天井救出口に前記天井救出口を塞ぐ救出口カバーが備えられたエレベーター装置において、
前記救出口カバーには、前記天井救出口の開口部の長辺の長さを超える長尺の照明器具が締結され、
前記照明器具は、前記救出口カバーと前記照明器具との締結を緩めることにより、前記救出口カバーとの間隔を広げることができ、前記間隔を広げた状態で前記救出口カバーをスライドさせて、前記照明器具を前記救出口カバーから取り外すことなくかご天井上に引き抜くことが可能なことを特徴とするエレベータ装置。
【請求項2】
前記救出口カバーと照明器具は、前記間隔を狭めて前記救出口カバーに前記照明器具を締結することで、前記救出口カバーと前記照明器具の間に前記天井を挟持して前記天井救出口を塞いだ状態で固定されることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ装置。
【請求項3】
前記救出口カバーと前記照明器具は、前記救出口カバーと前記照明器具の両者に挿通されたボルトと、前記ボルトと螺合する蝶ナットと、スペーサとを備え、
前記蝶ナットによる締結を緩めることで前記スペーサを外すことが可能となっており、前記スペーサを外すこと前記救出口カバーとの間隔を広げることが可能なことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータのかご天井に救出口を有するエレベーター装置の天井構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの天井救出口は、故障等によりかご内に閉じ込められた乗客を天井上に救出するための非常用出口である。救出口を塞いでいるカバーを外して乗客を救出するまでの一連の作業は全てかご天井上から行う必要がある。
【0003】
従来技術として、照明板を移動させて保守点検や非常救出を行いやすくしたものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−273540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の照明器具配置では直管型蛍光灯照明器具や長尺のLED照明器具など、天井救出口開口部のサイズを越える照明器具は、非常救出の妨げになるために開口部を塞ぐ形には配置できず、また、開口部を避けて配置すれば、照明器具同士の間隔が離れて光源が過疎化するために光むらが生じ、意匠が悪化してしまう。
【0006】
本発明の目的は、照明の光むらの原因となる光源の過疎化を防ぎ、非常救出作業が妨げられないエレベータかご天井を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するために、本発明にかかるエレベータ装置は、昇降路内を昇降する乗りかごの天井に乗客を救出するための天井救出口が設けられ、前記天井救出口に前記天井救出口を塞ぐ救出口カバーが備えられたエレベーター装置において、前記救出口カバーには、前記天井救出口の開口部の長辺の長さを超える長尺の照明器具が締結され、前記照明器具は、前記救出口カバーと前記照明器具との締結を緩めることにより、前記救出口カバーとの間隔を広げることができ、前記間隔を広げた状態で前記救出口カバーをスライドさせて、前記照明器具を前記救出口カバーから取り外すことなくかご天井上に引き抜くことが可能なことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
照明の光むらの原因となる光源の過疎化を防ぎ、非常救出作業が妨げられないエレベータかご天井を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態を示す図で、エレベータかごの天井をかご内から見上げた図である。
【
図5】動作状態を示す図で
図3に相当する図である。
【
図6】動作状態を示す図で
図3に相当する図である。
【
図7】動作状態を示す図で
図3に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図8は、本発明の一実施の形態を示す図で、エレベータの概要を示す側面図である。乗りかご14は主ロープ15により吊り下げられており、鋼車16と反らせ車17を介して結ばれた釣り合いおもり18と対をなして昇降路19内を上下に運転する。
【0012】
図1は、かご天井1をかご内から見上げた図である。従来構造のかごと同じく第2天井として透過性パネルの照明板2と照明板2を保持するための目地枠3を有し、照明板2は従来構造と同じく、天井救出口から手を伸ばして位置をずらすことができるため、照明板2により非常救出作業が阻害されることは無い。
【0013】
図2に示すように、かご天井には天井救出口4の開口部長辺よりも長尺の照明器具5が配置されている。本実施の形態では、中央の照明器具5が従来構造では長尺の照明器具を配置することが難しかった天井救出口4を塞ぐ形で配置されているため、隣接する照明器具5との間隔を等しく保つことが可能である。これにより光源の過疎化を防いでいるため、かご内の乗客は照明板2を介して光むらの無い良好な意匠を享受することができる。
【0014】
天井救出口4を塞ぐ形で配置された照明器具5は、
図3に示すようにボルト8と蝶ナット9により救出口カバー6に締結されているのみで、かご天井1には直接締結されていないため、救出口カバー6を動かせば照明器具5も動かすことができるようになっている。また、通常時は、救出口カバー6と蝶ナット9の間にスペーサ7が挟み込まれている。ボルト8は照明器具5に固定されていて、天井上からの作業のみで蝶ナット9を緩めることができる。12は、蝶ナット9を緩め過ぎて外れてしまうことを抑止する外れ止めキャップである。
【0015】
図4に示すように、スペーサ7にはボルト8を通すための切込み13が設けられており、蝶ナット9を緩めれば、スペーサ7は取り除くことができるようになっている。
【0016】
図5に示すように、スペーサ7が取り除かれれば照明器具5がスペーサ7の高さ分だけ下がり、かご天井1と照明器具5の間に隙間が生じる。この隙間を使って、
図6に示すように照明器具5を救出口カバー6ごとずらして傾けることができるようになる。照明器具5に電源を供給するための配線10をコネクタ11により接続遮断すれば、照明器具5及び救出口カバー6はかご天井1より完全にフリーになり、
図7に示すように照明器具5を後端部から救出カバー6ごとかご天井上に引き抜くことができる。
【0017】
このような救出口カバー6と照明器具5の締結構造を採ることによって、救出作業時には少し蝶ナット9を緩めればスペーサ7を取り除くことができ、それにより、照明器具をスライドし、天井救出口4を開放するための救出口カバー6を取り外すことができるので、迅速な開放が行いうる。また逆の手順で天井救出口4を塞ぐことも可能であるため、エレベーター装置が復旧した際には迅速な戻し作業も行うことができる。
【0018】
また、照明器具5は配線10をコネクタ11により着脱が可能であるため、天井救出口4開放時に救助に邪魔ないならない位置に対比させておくことが可能となるとともに、長い配線等を配置したりする必要もないため、救出活動時に配線が足に絡んだりすることや通常使用時に長い配線を収納するスペースを設けたり、照明板2に影を落としたりしないように収納する方法を考慮したりする手間もかけずに済む。
【0019】
また、救出口カバー6と照明器具5は、天井救出口4を塞ぐように救出口カバー6を配置すると、照明状態が均一になるように照明器具5がかご天井1のかご内面に配置され、蝶ナット9を締めることで救出口カバー6と照明器具5の間隔を狭めて救出口カバー6に照明器具5を締結する。すると、救出口カバー6と照明器具5の間にかご天井1が挟持され、天井救出口4を塞いだ状態で救出口カバー6及び照明器具5が固定される。
【0020】
以上説明したように、非常救出時には、蝶ナット9を緩めてスペーサ7を取り除くことにより、
図5〜7の工程で、天井救出口4を塞いでいる照明器具5を救出口カバー6ごと取り除いて、非常救出用の開口面積を確保でき、非常救出作業が妨げられないエレベータかご天井構造が実現できる。
【0021】
前記実施の形態では、市販されている直管形蛍光灯用の照明器具または直管蛍光灯型LED用の照明器具の図を用いているが、例えばLED基板をプレートに取り付けた専用の照明器具を使用することも可能である。
【符号の説明】
【0022】
1 かご天井
2 照明板
3 目地枠
4 天井救出口
5 照明器具
6 救出口カバー
7 スペーサ
8 ボルト
9 蝶ナット
10 配線
11 コネクタ
12 外れ止めキャップ
13 切込み
14 乗りかご
15 主ロープ
16 鋼車
17 反らせ車
18 釣り合いおもり
19 昇降路