特開2015-205790(P2015-205790A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2015205790-畜糞の発酵攪拌装置及び攪拌方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-205790(P2015-205790A)
(43)【公開日】2015年11月19日
(54)【発明の名称】畜糞の発酵攪拌装置及び攪拌方法
(51)【国際特許分類】
   C05F 3/06 20060101AFI20151023BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20151023BHJP
   B01F 13/00 20060101ALI20151023BHJP
【FI】
   C05F3/06 CZAB
   B09B3/00 A
   B01F13/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-86680(P2014-86680)
(22)【出願日】2014年4月18日
(71)【出願人】
【識別番号】599174339
【氏名又は名称】株式会社天神製作所
(74)【代理人】
【識別番号】240000039
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人 衞藤法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】天神 一利
【テーマコード(参考)】
4D004
4G036
4H061
【Fターム(参考)】
4D004AA02
4D004AC04
4D004CA15
4D004CA19
4D004CB04
4D004CB24
4D004DA03
4D004DA20
4G036AC53
4G036AC54
4H061AA02
4H061AA03
4H061CC36
4H061EE66
4H061GG43
4H061GG48
4H061GG68
4H061GG69
4H061LL05
4H061LL09
4H061LL10
(57)【要約】
【課題】ランニングコストを低減して経済的に稼働することができる畜糞の発酵攪拌装置及び攪拌方法を提供する。
【解決手段】発酵攪拌装置Aを、堆肥化槽10の上端に取付けられたH鋼製の走行レール4上を左右に往復移動可能にされる一対の架台5aと、架台5aのラックレール5に搭載された台車3と、台車3から垂下して設けられると共に、ラックレール5上を前後に往復移動可能にされた4軸のスクリュー攪拌体1とから構成し、スクリュー攪拌体1を、堆肥化槽10の長手方向沿って往復動させながら堆肥化槽10の短手方向に輪番移動させる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
畜糞を貯留する堆肥化槽の上部に水平移動可能に据え付けられた台車を有する架台と、該台車に垂下して畜糞を攪拌する少なくとも4軸のスクリュー式攪拌体を設けたことを特徴とする畜糞の発酵攪拌装置。
【請求項2】
攪拌進行方向に対して5度〜10度程度、好ましくは8度に傾斜可能にされていることを特徴とする請求項1記載の畜糞の発酵攪拌装置。
【請求項3】
スクリュー式攪拌体を、堆肥化槽の長手方向沿って往復動させながら堆肥化槽の短手方向に輪番移動させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の畜糞の発酵攪拌装置を用いた攪拌方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畜産排泄物を発酵させて堆肥化するために使用される畜糞の発酵攪拌装置及び攪拌方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生ゴミ等の有機性廃棄物の処理では、廃棄物に微生物を加えて発酵処理して堆肥化する方法が多く採用されている。この微生物による発酵処理方法では、有機物を微生物で発酵分解して、均一な低分子化合物を主成分とする有機肥料に変成処理する。例えば、比較的広大な面積の堆肥化施設内に貯留された畜糞に微生物を投入して、畜糞を大規模なコンベア式攪拌機により攪拌するものがある。
【0003】
また、搬入された糞尿を一時的に貯留する貯留槽から逐次ガス抜き槽に送り込まれた糞尿を攪拌してガスを抜きし、加熱蒸発室でガス抜き槽内の糞尿を加熱板に吹き付ける吹き付け装置によって水分を蒸発させ、その加熱蒸発室で蒸発した水分を、加熱蒸発室内の天井を覆うように配置されたガス抜き穴を有する冷却板と、その冷却板の下に配置された受け樋とで構成された液化装置によって液化し、一方、ガス抜き槽と加熱蒸発室とで発生したガス成分を加熱蒸発室の加熱用補助燃料として確保し、加熱蒸発室内に残された固形成分を随時取り出して肥料にする糞尿処理プラント(例えば、特許文献1参照。)や発酵槽内に処理媒体を収納して発酵処理用床を構成しておき、これにし尿または家畜の糞尿を混入したうえ、発酵条件調整手段を作動させて、発酵処理用床内に自然界の土壌菌や酵素等の微生物と湿度と空気とを供給し水分を調整して、し尿又は家畜の糞尿を発酵させて堆肥化する処理施設(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。
【0004】
また、従来は堆肥化施設に設置される攪拌装置等が大型であるため、堆肥化施設自体も大規模にならざるを得ない。このため、小規模の堆肥化舎屋では大型の攪拌装置は過剰設備となるので採用しがたく、通常、シャベル等の重機を作業員が操作して攪拌作業等を行っているのが実情であった。そこで、本発明者は、畜糞の発酵攪拌装置を、畜糞を貯留する堆肥化槽の上面開放部に据え付けられ、前後に往復移動可能にされた架台と、架台から垂下して設けられると共に、架台上を左右に往復移動可能にされたスクリュー攪拌体をから構成した発酵攪拌装置を提案している(特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−320399号公報
【特許文献2】特開平7−69765号公報
【特許文献3】実用新案登録第3103392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来提案しているスクリュー式攪拌装置は2軸式であるため、攪拌単位面積が狭く、比較的多くの往復走行回数を要するものであった。そこで、本発明者は、スクリュー式攪拌装置に無駄のない動きをさせることで、さらに攪拌効率を向上させることを着想した。
本発明は、上記のような問題に鑑み、ランニングコストを低減して経済的に稼働することができる畜糞の発酵攪拌装置及び攪拌方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的達成のため、本発明の畜糞の発酵攪拌装置は、畜糞を貯留する堆肥化槽の上部に水平移動可能に据え付けられた台車を有する架台と、該台車に垂下して畜糞を攪拌する少なくとも4軸のスクリュー式攪拌体を設けたことを第1の特徴とする。また、攪拌進行方向に対して5度〜10度程度、好ましくは8度に傾斜可能にされていることを第2の特徴とする。さらにスクリュー式攪拌体を、堆肥化槽の長手方向沿って往復動させながら堆肥化槽の短手方向に輪番移動させることを第3の特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スクリュー式攪拌装置の堆肥槽の単位面積における移動回数を削減することができるので、ランニングコストを低減して経済的に稼働することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。本実施例において、畜糞の攪拌装置は一対のスクリュー式攪拌体を2組、合計4軸のスクリュー攪拌体を垂下させ、垂直軸方向に対して所定角度傾斜可能にされている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る畜糞の発酵攪拌装置を示す正面図である。
図2図1の左側面図である。
図3図1の平面図である。
図4】本発明に係る4軸式スクリュー攪拌体の移動軌跡を示す説明図である。
図5】従来の2軸式スクリュー攪拌体の移動軌跡を示す説明図である。
【実施例】
【0011】
図1乃至図3において、10は、牛や豚等の畜糞を発酵処理して堆肥化するためのコンクリート製の堆肥化槽で、上面及び前面が開放されると共に三方をコンクリート壁で区画して形成されている。発酵攪拌装置Aは、堆肥化槽Pの上面に据付けられるものであり、堆肥化槽10の上端に取付けられたH鋼製のレール4上を左右に往復移動可能にされる一対の架台5aと、この架台5aから垂下して設けられると共に、一対の架台5aの間に架橋された一対のラックレール5上を前後に往復移動可能にされた台車3に搭載された4軸のスクリュー攪拌体1とから構成されている。
【0012】
架台5は、その前後左右の端部に設けられた4個の車輪8を前後進用モーター2により堆肥化槽Pの左右の壁の上端部に、その長手方向に沿って取り付けられた移動レール4上を前進・後退できるようにされている。また、架台5aの前後には、上記したように一対のラックレール5が平行に設けられ、このラックレール5上を、台車3が走行するようにされている。
【0013】
台車3には、モーター6を有する4本のスクリュー攪拌体1が垂下して取付けられている。このモーター6は1台で合計4軸のスクリュー攪拌体1を各々逆方向に回転させるため、ギアボックス(図示せず)を介して設置された攪拌用モーターである。また、台車3上のモーター7は、台車3をラックレール5上で前後に往復移動させるための車輪9を駆動させる往復移動用モーターである。
【0014】
さらに、スクリュー攪拌体1は、その全体が進行方向に向かって傾斜するようにされている。この傾斜角度はスクリュー攪拌体軸に対し所定の角度で傾斜し、この角度は5度〜10度程度、好ましくは略8度に設定されている。これにより、上記したスクリュー攪拌体1の攪拌作用と相俟って畜糞を確実に攪拌することができ、攪拌効果が増幅される。
【0015】
架台5aが堆肥化槽10上を前後に往復移動しながら、スクリュー攪拌体1が架台5aのラックレール5上を左右に往復移動する。したがって、スクリュー攪拌体1は、図5に示すように、堆肥化槽10内を櫛形状の移動軌跡に沿って移動し、貯留された畜糞を万遍なく攪拌することができる。
【0016】
ここで、本実施例では、図4に示すように、スクリュー式攪拌体1を、堆肥化槽10の長手方向L1沿って攪拌幅W1で往復動させながら堆肥化槽10の短手方向L2に輪番移動させる動作を連続して行うようにしている。図5に示す従来の2軸式攪拌装置の動作を比較例とした走行回数及び要稼働時間の実験データを下記する。
【0017】
[本実施例]
[堆肥舎のサイズ]深さ×往復幅長(L2)×左右長(L1)=3m×15m×100m
攪拌幅(W1):2.6m/回;13m÷2.6m=5回(走行回数)
横行速度:1.2m/分;2.6m÷1.2m/分≒(横行時間)2.2分/回×5回=11分
走行速度1.0m/分;100m÷1.0m/分=100分/回
1回所要時間:100分×5回+2.2分×5回+11分(横行戻り時間11分)=522分≒8.7時間
【0018】
[比較例]
[堆肥舎のサイズ]深さ×往復幅長(L2)×左右長(L1)=3m×15m×100m
攪拌幅(W1):0.8m/回;100m÷0.8m=125回(走行回数)
横行速度:1.2m/分;横行時間13≒10.8分/125回=1350分=22.5時間
走行速度:0.8m/分;100m÷0.8m/分=125分÷60=2時間
1回所要時間:22.5時間+2時間=24.5時間
【0019】
上記実験データから明らかなように、本実施例によれば、従来の2軸式攪拌方法と比較して、単位稼働時間を約3分の1に削減することができる。したがって、そのランニイングコスト(使用電力料)も大幅に削減できる。本発明者らのコスト計算によれば、攪拌動作以外に係る使用電力を積算しても従来の約2分の1程度の使用電力料で済むことが分かった。
【符号の説明】
【0020】
1 スクリュー攪拌体
2 架台走行用モーター
3 台車
4 走行レール
5 ラックレール
5a 架台
6 攪拌用モーター
7 台車移動用モーター
8 車輪
9 車輪
10 堆肥化槽
A 醗酵攪拌装置
図1
図2
図3
図4
図5