特開2015-205865(P2015-205865A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2015-205865腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物およびその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-205865(P2015-205865A)
(43)【公開日】2015年11月19日
(54)【発明の名称】腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/12 20060101AFI20151023BHJP
   A61K 9/72 20060101ALI20151023BHJP
   A61K 38/22 20060101ALI20151023BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20151023BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20151023BHJP
【FI】
   A61K9/12
   A61K9/72
   A61K37/24
   A61K47/02
   A61P13/12
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-61219(P2015-61219)
(22)【出願日】2015年3月24日
(31)【優先権主張番号】103114134
(32)【優先日】2014年4月18日
(33)【優先権主張国】TW
(71)【出願人】
【識別番号】514155164
【氏名又は名称】林信湧
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】林信湧
(57)【要約】      (修正有)
【課題】腎疾患の治療に使用される吸入型医薬組成物およびその調製方法の提供。
【解決手段】第1のガスと霧化薬剤とを含む、腎疾患用の吸入型医薬組成物およびその調製方法。第1のガスは水素を含む。吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は、2〜96%の間である。霧化薬剤は、コルチコステロイド、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、アンギオテンシンII受容体遮断薬、利尿薬、エリスロポエチン、リン酸塩結合剤、またはそれらの任意の組合せである。吸入型医薬組成物は、水素の使用を介して患者の体内の有害なラジカルを除去できるとともに、霧化薬剤を使用することにより患者にとっての薬剤の吸収効果も高め得る。同時に、少量の気化薬剤液を使用することで、使用者に対する副作用を間接的に軽減できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のガスと霧化薬剤とを含む腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物であって、前記第1のガスは水素を含み、前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は2〜96%の間であり、前記霧化薬剤はコルチコステロイド、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、アンギオテンシンII受容体遮断薬、利尿薬、エリスロポエチン、リン酸塩結合剤、またはそれらの任意の組合せであることを特徴とする、吸入型医薬組成物。
【請求項2】
前記第1のガスは酸素をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物。
【請求項3】
前記第1のガスは水を電解することから生成される水素と酸素のガス混合物であり、水素と酸素の体積比は約2:1であることを特徴とする、請求項2に記載の腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物。
【請求項4】
前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度を低減するための第2のガスをさらに含み、前記第2のガスは空気、水蒸気、不活性ガス、酸素またはそれらの任意の組合せを含む群から選択されるガスであることを特徴とする、請求項2に記載の腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物。
【請求項5】
前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は2〜66.66%の間であることを特徴とする、請求項1の腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物。
【請求項6】
前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は4.7〜66.66%の間であることを特徴とする、請求項1に記載の腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物。
【請求項7】
前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は60〜66.66%の間であることを特徴とする、請求項1に記載の腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物。
【請求項8】
前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は66.66%よりも高いことを特徴とする、請求項1に記載の腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物。
【請求項9】
前記霧化薬剤は薬剤液を霧化または気化させることにより生成されることを特徴とする、請求項1に記載の腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物。
【請求項10】
前記薬剤液はコルチコステロイド、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、アンギオテンシンII受容体遮断薬、利尿薬、エリスロポエチン、リン酸塩結合剤、またはそれらの任意の組合せであることを特徴とする、請求項9に記載の腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物。
【請求項11】
腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物の調製方法であって、下記工程:
(S1)水素を含むことを特徴とする第1のガスを調製する工程、
(S2)コルチコステロイド、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、アンギオテンシンII受容体遮断薬、利尿薬、エリスロポエチン、リン酸塩結合剤、またはそれらの任意の組合せであることを特徴とする霧化薬剤を生成するために薬剤液を霧化する工程、および
(S3)前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度が2〜96%の間であることを特徴とする前記吸入型医薬組成物を生成するために、前記第1のガスと前記霧化薬剤を混合する工程
を含む、方法。
【請求項12】
工程(S2)の後に下記工程:
(S23)第2のガスを調製する工程
をさらに含む、請求項11に記載の腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物の調製方法。
【請求項13】
工程(S3)において、前記吸入型医薬組成物は前記第1のガスと前記第2のガスと前記霧化薬剤を混合することから生成されることを特徴とする、請求項12に記載の腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物の調製方法。
【請求項14】
前記第2のガスは前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度を低減するために使用されることを特徴とする、請求項12に記載の腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物の調製方法。
【請求項15】
前記第2のガスは空気、水蒸気、不活性ガス、酸素またはそれらの任意の組合せを含む群から選択されるガスであることを特徴とする、請求項12に記載の腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物の調製方法。
【請求項16】
工程(S1)において、前記第1のガスは水を電解することにより生成され、前記第1のガスは水素と酸素のガス混合物を含み、水素と酸素の体積比は2:1であることを特徴とする、請求項11に記載の腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物の調製方法。
【請求項17】
前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は2〜66.66%の間であることを特徴とする、請求項11に記載の腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物の調製方法。
【請求項18】
前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は4.7〜66.66%の間であることを特徴とする、請求項11に記載の腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物の調製方法。
【請求項19】
前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は60〜66.66%の間であることを特徴とする、請求項11に記載の腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物の調製方法。
【請求項20】
前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は66.66%より高いことを特徴とする、請求項11に記載の腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
本発明は、吸入型医薬組成物およびその調製方法、より詳しくは、腎疾患の治療に使用される吸入型医薬組成物およびその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2.従来技術の説明
腎疾患には腎炎、腎臓病、腎不全などが含まれる。腎疾患の主な症状は、蛋白尿、浮腫、高血圧、血尿、および腎不全である。さらに、ほとんどの末期腎疾患患者は、生命を維持するために透析処置に頼る必要がある。しかしながら、長期の透析は費用がかかり、患者に多大な経済上および生活上の影響をもたらす。
【0003】
現在、腎疾患の臨床治療では、抗炎症作用および免疫系の抑制を備えたアドレノコルチコイドとしても知られ、ネフローゼ症候群および他の腎炎の治療に重要な薬剤であるコルチコステロイド;蛋白尿を軽減し、腎機能の損傷を遅らせるとともに腎疾患により引き起こされる血圧を降下させ得るアンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI);腎臓に対して保護効果を有するアンギオテンシンII受容体遮断薬(ARB);腎機能の低下のためにヒトの体内に蓄積した水および塩を排出して浮腫を排除し得る利尿薬;腎疾患患者の貧血症状の治療に使用可能なエリスロポエチン(EPO);および腎疾患を有する患者の体内でリン酸塩と結合して不溶性化合物を形成することによって機能し、その後排出されるリン酸塩結合剤などの薬剤が利用される。しかしながら、臨床適用における上述の薬剤はやはり重大な副作用を持つ。
【0004】
従って、腎疾患の現行治療には、腎疾患に対する治癒効果と患者に対する副作用の軽減を兼ね備えた薬剤は存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明は、第1のガスと霧化薬剤とを含む腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物を提供する。前記第1のガスは水素を含み、前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は2〜96%の間である。前記霧化薬剤は、コルチコステロイド、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、アンギオテンシンII受容体遮断薬、利尿薬、エリスロポエチン、リン酸塩結合剤、またはそれらの任意の組合せである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態により提供される腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物の調製方法によれば、前記第1のガスは、水を電解することから生成される水素と酸素のガス混合物であり、水素と酸素の体積比は2:1である。本実施形態では、前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は2〜66.66%の間である。さらに、本発明の吸入型医薬組成物は、第2のガスをさらに含む。前記第2のガスは、前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度を低減するために使用され、前記第2のガスは、空気、水蒸気、不活性ガス、酸素またはそれらの任意の組合せを含む群から選択されるガスである。本実施形態では、前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は4.7〜66.66%の間であり得るが、この範囲に限定されない。
【0007】
本発明の別の実施形態により提供される腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物によれば、前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は60〜66.66%の間である。さらに、本発明の別の実施形態により提供される腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物によれば、前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は66.66%より高い。
【0008】
また、本発明はさらに、腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物の調製方法を提供し、下記工程:
(S1)水素を含むことを特徴とする第1のガスを調製する工程、
(S2)コルチコステロイド、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、アンギオテンシンII受容体遮断薬、利尿薬、エリスロポエチン、リン酸塩結合剤、またはそれらの任意の組合せであることを特徴とする霧化薬剤を生成するために薬剤液を霧化する工程、および
(S3)前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度が2〜96%の間であることを特徴とする前記吸入型医薬組成物を生成するために、前記第1のガスと前記霧化薬剤を混合する工程
を含む。
【0009】
本発明の一実施形態により提供される腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物の調製方法によれば、第1のガスは本発明の工程(S1)において水を電解することにより生成される。前記第1のガスは水素と酸素のガス混合物を含み、水素と酸素の体積比は2:1である。
【0010】
本発明の別の実施形態により提供される腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物の調製方法によれば、本発明の方法は下記工程:
(S21)水素を含むことを特徴とする第1のガスを調製する工程、
(S22)コルチコステロイド、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、アンギオテンシンII受容体遮断薬、利尿薬、エリスロポエチン、リン酸塩結合剤、またはそれらの任意の組合せであることを特徴とする霧化薬剤を生成するために薬剤液を霧化する工程、
(S23)第2のガスを調製する工程、および
(S24)前記吸入型医薬組成物を生成するために前記第1のガスと前記第2のガスと前記霧化薬剤を混合する工程
をさらに含む。本実施形態では、腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は、第2のガスを添加することにより低減できる。
【0011】
さらに、本発明の別の実施形態により提供される腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物の調製方法によれば、前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は一般に60%〜66.61%の間である。本発明の別の実施形態により提供される腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物の調製方法によれば、前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は一般に66.66%より高い。
【0012】
従来技術に比べ、本発明は、腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物およびその調製方法を提供する。本発明の吸入型医薬組成物は、薬剤を摂取し、かつ、水素の使用を介して患者の体内の有害なラジカルを除去するという利便性を提供できるとともに、霧化薬剤を使用することにより患者にとっての薬剤の吸収効果も高め得る。従って、本発明は、薬剤を摂取するとともに使用者に対してより良好な治癒効果を有するという利便性を兼ね備えた腎疾患の治療を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態による腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物の調製方法を示す方法の流れ図である。
図2】本発明の別の実施形態による腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物の調製方法を示す方法の流れ図である。
図3】本発明の一実施形態による腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物の調製方法における工程(S1)を示す電解装置の概略図である。
図4】本発明の一実施形態による腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物の調製方法における工程(S2)および(S3)を示すガス混合系の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の利点、趣旨および特徴をより簡単かつ明瞭に理解可能とするために、以下に実施形態および添付図面について述べる。しかしながら、本発明は、これらの実施形態および添付図面に限定されない。
【0015】
本発明は、第1のガスと霧化薬剤とを含む腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物を提供する。前記第1のガスは水素を含む。前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は2〜96%の間である。前記霧化薬剤は、コルチコステロイド、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、アンギオテンシンII受容体遮断薬、利尿薬、エリスロポエチン、リン酸塩結合剤、またはそれらの任意の組合せである。
【0016】
本発明の一実施形態では、前記第1のガスは酸素をさらに含み、水を電解することから生成される水素と酸素のガス混合物であり、水素と酸素の体積比は約2:1である。実際の適用では、水素と酸素の体積比は基本的に2:1であるが、水素または酸素が若干の誤差を伴って電極から回収される場合があり、それもやはり約2:1である。前記霧化薬剤は薬剤液を霧化または気化させることにより生成され、前記薬剤液は、コルチコステロイド、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、アンギオテンシンII受容体遮断薬、利尿薬、エリスロポエチン、リン酸塩結合剤、またはそれらの任意の組合せである。腎疾患の治療用の上記薬剤は当業者に周知であるので、これ以上詳しく記載しない。本実施形態では、前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は2〜66.66%の間である。
【0017】
本発明の吸入型医薬組成物は、第2のガスをさらに含む。前記第2のガスは、前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度を低減するために使用され、前記第2のガスは、空気、水蒸気、不活性ガス、酸素またはそれらの任意の組合せを含む群から選択されるガスである。本実施形態では、前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は4.7〜66.66%の間であり得るが、この範囲に限定されない。
【0018】
本発明の別の実施形態では、前記吸入型医薬組成物は、第1のガスと40c.c.の薬剤液を霧化することにより生成された霧化薬剤とを混合することによって作製され、前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は60〜66.66%の間である。本発明の別の実施形態では、必要な水素は水素ボトルを使用することにより提供できる。その後、水素ボトルにより提供された水素が霧化薬剤と混合されるが、この時の前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は66.66%より高く、例えば67〜96%の間である。本発明の別の実施形態では、水素はまた、電解された水中で生成された水素から直接回収することも可能である。その後、水素は、水素と酸素のガス混合物ではなく、電解された水中で生成された水素から回収され、霧化薬剤と直接混合され、この時の前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度も66.66%より高い。
【0019】
図1を参照されたい。図1は、本発明の一実施形態による腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物の調製方法を示す方法の流れ図である。図1に示されるように、本発明の吸入型医薬組成物の調製方法は下記工程:
(S1)水素を含むことを特徴とする第1のガスを調製する工程、
(S2)コルチコステロイド、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、アンギオテンシンII受容体遮断薬、利尿薬、エリスロポエチン、リン酸塩結合剤、またはそれらの任意の組合せであることを特徴とする霧化薬剤を生成するために薬剤液を霧化する工程、および
(S3)前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度が2〜96%の間であることを特徴とする前記吸入型医薬組成物を生成するために、前記第1のガスと前記霧化薬剤を混合する工程
を含む。
【0020】
本発明の一実施形態により提供される腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物の調製方法によれば、前記第1のガスは、本発明の工程(S1)において水を電解することにより生成される。前記第1のガスは、水素と酸素のガス混合物を含み、水素と酸素の体積比は約2:1である。実際の適用では、水素と酸素の体積比は基本的に2:1であるが、水素または酸素が若干の誤差を伴って電極から回収される場合があり、それもやはり約2:1である。本実施形態では、前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は2〜66.66%の間であるが、この範囲に限定されない。
【0021】
図2を参照されたい。図2は、本発明の別の実施形態による腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物の調製方法を示す方法の流れ図である。図2に示されるように、本発明の吸入型医薬組成物の別の調製方法は下記工程:
(S21)水素を含むことを特徴とする第1のガスを調製する工程、
(S22)コルチコステロイド、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、アンギオテンシンII受容体遮断薬、利尿薬、エリスロポエチン、リン酸塩結合剤、またはそれらの任意の組合せであることを特徴とする霧化薬剤を生成するために薬剤液を霧化する工程、
(S23)第2のガスを調製する工程、および
(S24)前記吸入型医薬組成物を生成するために前記第1のガスと前記第2のガスと前記霧化薬剤を混合する工程
を含む。
【0022】
本発明の一実施形態により提供される腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物の調製方法によれば、前記第1のガスは、本発明の工程(S21)において水を電解することにより生成される。前記第1のガスは、水素と酸素のガス混合物を含み、水素と酸素の体積比は約2:1である。実際の適用では、水素と酸素の体積比は基本的に2:1であるが、水素または酸素が若干の誤差を伴って電極から回収される場合があり、それもやはり約2:1である。さらに、前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は、第2のガスを加えることにより低減できる。本実施形態では、前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は4.7〜66.66%の間であるが、この範囲に限定されない。
【0023】
本発明の別の実施形態では、この場合にも、必要な水素は水素ボトルを使用することにより提供できる。その後、水素ボトルにより提供された水素が霧化薬剤と混合されるが、この時の前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は66.66%より高く、例えば67〜96%の間である。使用者が水素のガス体積濃度がより高い(例えば、水素ガス体積濃度が96%より高い)ガスを吸入する場合、すなわち、使用者により吸入されるガスの酸素のガス体積濃度がより低い場合には、使用者の身体に酸素の欠乏が起こる。従って、本発明は、水素の体積濃度が96%より高くならないように、例えば、前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度が67〜90%の間となるように制御することを余儀なくされる。本発明の別の実施形態では、水素は、電解された水中で生成される水素から直接回収することも可能である。水素と酸素のガス混合物ではなく、電解された水中で生成される水素から回収される水素は、霧化薬剤と直接混合され、この時の前記吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度もまた66.66%より高くなる。
【0024】
図3を参照されたい。図3は、本発明の一実施形態による腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物の調製方法における工程(S1)を示す電解装置の概略図である。本実施形態では、水素と酸素のガス混合物を含む第1のガスは、水を電解することにより生成でき、電解装置100は、電解槽102、電解用水104、2本の電極106Aおよび106B、ならびに電源を含む。
【0025】
まず、電解槽102は電解用水104を収容するために使用され、電解用水104の主成分は純水であるが、それに限定されない。実際の適用では、必要に応じて電解された水104に水酸化ナトリウム、炭酸カルシウムおよび塩化ナトリウムなどの電解質を添加できる。その後、電解槽102は、2本の電極106Aおよび106Bを含み、これら2本の電極106Aおよび106Bはそれぞれ陰電極および陽電極を表す。これら2本の電極106Aおよび106Bは、水を電気分解するために必要な電力を供給するために電源(示されていない)に接続されている。本発明の一実施形態では、これら2本の電極106Aおよび106Bの極性は固定され、例えば、電極106Aは陰極であり、電極106Bは陽極である。本発明の別の実施形態では、これら2本の電極106Aおよび106Bの極性は交互に変えることが可能である。例えば、ある時点では、電極106Aは陰極であり、電極106Bは陽極であるが、所定の時間の後には、電極106Aは陽極に変わり、電極106Bは陰極に変わる。
【0026】
2本の電極106Aおよび106Bに通電された後、電解槽102内の電解用水104は電解されて水素と酸素を生成し始める。水素は陰極で生成され、酸素は陽極で生成され、水素と酸素は両方とも電解槽102の上部に放出されて第1のガス108を形成する。第1のガス108は電解槽102の第1のガス管110から排出されて使用されるが、これに限定されない。本発明の別の実施形態では、陰極からの水素と陽極からの酸素はガスパイプを通って電解槽102へ排出された後に混合されて第1のガス108を形成する。
【0027】
水素と酸素は電解用水104を電解することから生成され、水素と酸素の体積比は2:1である。本発明の一実施形態では、本発明はさらに吸入型医薬組成物に第2のガス112を加えて吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度を低減する。例えば、吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は4.7〜66.66%の間となるように制御できる。第2のガスは、空気、水蒸気、不活性ガス、酸素またはそれらの任意の組合せを含む群から選択されるガスである。
【0028】
図4を参照されたい。図4は、本発明の一実施形態による腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物の調製方法における工程(S2)および(S3)を示すガス混合系の概略図である。本調製方法の工程(S2)および(S3)では、薬剤液220はガス混合系200によって霧化でき、その後、霧化された薬剤液220は第1のガス108と混合されて吸入型医薬組成物214を形成できる。
【0029】
ガス混合系200は霧化/揮発ガス混合槽210を含む。霧化/揮発ガス混合槽210は、図3に示されるように、第1のガス管110により電解装置100に接続され、第1のガス108を受容して霧化薬剤212を混合し、吸入型医薬組成物214を生成するために使用される。霧化/揮発ガス発生装置210は、超音波発振器などの発振器216をさらに含む。発振器216は、霧化/揮発ガス発生装置210内で薬剤液220を霧化して霧化薬剤212を生成するように適合されている。薬剤液220は、コルチコステロイド、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、アンギオテンシンII受容体遮断薬、利尿薬、エリスロポエチン、リン酸塩結合剤、またはそれらの任意の組合せであり得る。腎疾患の治療用の上記薬剤は当業者に周知であるので、これ以上詳しく記載しない。
【0030】
本発明の別の実施形態では、霧化/揮発ガス発生装置210は、40c.c.〜100c.cの間の薬剤液に適合可能であり、本霧化/揮発ガス発生装置210を用いて60分以内に完全に霧化できる。従って、霧化薬剤のガス収量は約0.67cc/分〜約1.67cc/分の間であり得、電解槽102により制御されるガス収量は約2,000cc/分〜約3,000cc/分の間であり得、電解槽から生成されるガスは水素と酸素のガス混合物(水素と酸素の体積比は約2:1である)を含むだけであるので、吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は66.61〜66.65%の間となる。電解槽が電解を行っている際、電解槽から発熱する。その後、電解槽内の水は電解槽から生じた熱によって蒸発される。そして、電解槽から生成されたガスは水素と酸素のガス混合物を含むだけでなく少量の水蒸気も含むので、吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は66.61%より低くなり、例えば、吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は60〜66.61%の間となり得る。明らかに、この少量の水蒸気は冷却により減り得る。従って、腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物は、水素と酸素のガス混合物を霧化薬剤と混合することにより作製できる。吸入型医薬組成物中の水素のガス体積濃度は一般に60%〜66.61%の間である。
【0031】
本発明の別の実施形態では、吸入型医薬組成物中の第1のガスと霧化薬剤の組成比は、ガスの濃度パーセンテージによって算出され、それぞれ35.33〜99.99%と0.01〜64.67%であるが、それに限定されない。実際の適用では、第1のガスと霧化薬剤の組成比は患者の状態に応じて調整でき、1日に少なくとも1回〜3回の吸入によっても投与され、各回は30〜60分の範囲であり得る。
【0032】
本発明の別の実施形態では、吸入型医薬組成物中の第1のガスと霧化薬剤と第2のガスの組成比は、ガスの濃度パーセンテージによって算出され、それぞれ33〜97%と0.01〜64%と2〜66%であるが、それに限定されない。実際の適用では、第1のガスと霧化薬剤と第2のガスの組成比は患者の状態に応じて調整でき、1日に少なくとも1回〜3回の吸入によっても投与され、各回は30〜60分の範囲であり得る。
【0033】
本発明の上記実施形態によれば、本発明の吸入型医薬組成物は、使用者(示されていない)により吸入される吸入型医薬組成物を形成するために、水素と霧化薬剤を含む。研究によれば、ヒトの体内にはフリーラジカルとしても知られる不安定な酸素種(O+)が存在することが判明している。フリーラジカルは通常、疾病、食事、環境、生活習慣によって生み出され、これらのフリーラジカルは、吸入された水素と反応することによって水の形で排出させることが可能である。この方法を用いてヒト体内のフリーラジカルの量を低減でき、それにより、身体状態を酸性状態からアルカリ性状態に戻し、抗酸化、老化防止および美容効果を達成でき、慢性疾患をなくすことすら可能である。さらに、臨床試験によれば、霧化薬剤液は1〜5マイクロメートルであり、その非霧化画分よりもヒト身体に吸収されやすい。つまり、その非霧化画分に比べ、霧化薬剤ははるかに低用量で同じ治療効果を達成できる。さらに、投与される霧化薬剤が低用量であるためにその薬剤の副作用が軽減され得る。薬剤液は、水に溶かした経口薬である液体混合物であり得る。従って、水素と霧化薬剤を含む吸入型医薬組成物は優れた治療効果を提供し得る。
【0034】
従来技術に比べ、本発明は、腎疾患の治療用の吸入型医薬組成物およびその調製方法を提供する。本発明の吸入型医薬組成物は、薬剤を摂取し、かつ、水素の使用を介して患者の体内の有害なラジカルを除去するという利便性を提供できるとともに、霧化薬剤を使用することにより患者にとっての薬剤の吸収効果も高め得る。同時に、少量の気化薬剤液を使用することで、使用者に対する副作用を間接的に軽減できる。
【0035】
上述の例および説明によって、本発明の特徴および趣旨が十分に記載されていることを願う。より重要なこととして、本発明は本明細書に記載の実施形態に限定されない。当業者ならば、本発明の教示を保持しつつ本装置の多くの修正および変更をなし得ることを容易に見て取るであろう。よって、上記開示は、添付の特許請求の範囲の適合と範囲によってのみ限定されると解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】
2015205865000001.pdf