特開2015-205895(P2015-205895A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2015-205895HPVタンパクに対する新規なモノクローナル抗体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-205895(P2015-205895A)
(43)【公開日】2015年11月19日
(54)【発明の名称】HPVタンパクに対する新規なモノクローナル抗体
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/08 20060101AFI20151023BHJP
   C12P 21/08 20060101ALN20151023BHJP
【FI】
   C07K16/08
   C12P21/08
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2015-112378(P2015-112378)
(22)【出願日】2015年6月2日
(62)【分割の表示】特願2011-513505(P2011-513505)の分割
【原出願日】2009年6月12日
(31)【優先権主張番号】12/456,054
(32)【優先日】2009年6月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/131,991
(32)【優先日】2008年6月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/456,053
(32)【優先日】2009年6月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/192,912
(32)【優先日】2008年9月22日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】515149281
【氏名又は名称】オンコヘルス コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】OncoHealth Corp
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100173657
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬沼 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】チェン シュリン
【テーマコード(参考)】
4B064
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA20
4B064CC24
4B064CE12
4B064DA15
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA53
4H045FA71
4H045FA72
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ヒトパピローマウイルス(HPV)感染、及び様々なHPV遺伝子型、初期及び/或いは後期段階の、HPV関連又はHPV特異性の癌による感染を含むHPVに関連する癌の診断を検出する方法、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、分析ならびにキットの提供。
【解決手段】特異的なHPVタンパク質又はHPV型に特異的なエピトープ、様々なHPVタンパク質又はHPV型の共通のエピトープを認識する様々なモノクローナル抗体。
【効果】モノクローナル抗体は、HPV感染の初期の臨床的検出およびHPVに関連する疾患の一般的な検出、侵襲的子宮頸癌の特異的な検出、他のHPVに関連する癌初期段階の前癌病変ならびに後期段階の癌進行の検出において有効な手段である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2個以上のヒトパピローマウイルス性タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗
体の生成方法であって、
2個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質で抗体生成ハイブリドーマ
細胞をスクリーニングする工程を含み、このスクリーニング工程は、2個以上の精製組み
換え型パピローマウイルス性タンパク質に陽性反応で、非HPVタンパク質に陰性反応で
抗体生成ハイブリドーマ細胞を選択する工程を含み、抗体生成ハイブリドーマ細胞が、2
個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質に特異的に結合するモノクロー
ナル抗体を生成する方法。
【請求項2】
2個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質は、HPV16 E6タン
パク質、HPV16 E7タンパク質、HPV16 L1タンパク質、HPV18 E6
タンパク質、HPV18 E7タンパク質、HPV18 L1タンパク質、およびそれら
の組み合わせからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
異なるHPV型から2個以上のHPVウイルス性タンパク質に結合でき、2個以上の精
製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質で抗体生成ハイブリドーマ細胞をスクリー
ニングすることによって得られるモノクローナル抗体であって、前記スクリーニング工程
は、2個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質に陽性反応で、非HPV
タンパク質に陰性反応で抗体生成ハイブリドーマ細胞を選択する工程を含み、抗体生成ハ
イブリドーマ細胞が、2個以上のHPVウイルス性タンパク質に特異的に結合するモノク
ローナル抗体を生成するモノクローナル抗体。
【請求項4】
モノクローナル抗体はHPV16 E7およびHPV18 E7タンパク質に結合でき
る請求項3に記載のモノクローナル抗体。
【請求項5】
モノクローナル抗体はHPV16 E6およびHPV18 E6タンパク質に結合でき
る請求項3に記載のモノクローナル抗体。
【請求項6】
モノクローナル抗体はHPV16 L1およびHPV18 L1タンパク質に結合でき
る請求項3に記載のモノクローナル抗体。
【請求項7】
モノクローナル抗体は、初期HPVウイルス性タンパク質および後期HPVウイルス性
タンパク質に異なるHPV型から結合でき、1個のHPV型からの精製組み換え型パピロ
ーマウイルス性初期タンパク質、および他のHPV型からの精製組み換え型パピローマウ
イルス性後期タンパク質をスクリーニングすることによって得られ、精製組み換え型パピ
ローマウイルス性初期タンパク質および精製組み換え型パピローマウイルス性後期タンパ
ク質に陽性反応で、非HPVタンパク質に陰性反応で抗体生成ハイブリドーマ細胞を選択
する請求項3に記載のモノクローナル抗体。
【請求項8】
モノクローナル抗体は、HPV16 E6、HPV16 E7、HPV16 L1、H
PV18 E6およびHPV18 E7のタンパク質の全てに結合できる請求項7に記載
のモノクローナル抗体。
【請求項9】
モノクローナル抗体は、HPV16 E6、HPV16 E7、HPV16 L1、H
PV18 E6、HPV18 E7およびHPV18 L1タンパク質の全てに結合でき
る請求項7に記載のモノクローナル抗体。
【請求項10】
モノクローナル抗体は、ELISA(抗原捕捉免疫測定法)、パピローマウイルス性タ
ンパク質の抗原分析、パピローマウイルス性タンパク質に対する抗体の抗体分析、パピロ
ーマウイルス性免疫複合体に関する分析、タンパク質チップ分析、放射免疫沈降分析、迅
速膜放射免疫沈降分析、迅速スティック免疫クロマトグラフィー、組織および/または子
宮頸部細胞に関する免疫組織化学、フローサイトメトリによる免疫化学分析およびそれら
の組み合わせからなる群から選択される1個以上の免疫学的分析で用いる請求項3に記載
の方法。
【請求項11】
同じHPV型から2個以上のHPVウイルス性タンパク質に結合できるモノクローナル
抗体。
【請求項12】
モノクローナル抗体は、2個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質で
抗体生成ハイブリドーマ細胞をスクリーニングすることによって得られ、前記スクリーニ
ング工程は、2個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質に陽性反応で、
非HPVタンパク質に陰性反応で抗体生成ハイブリドーマ細胞を選択する工程を含み、抗
体生成ハイブリドーマ細胞が、2個以上のHPVウイルス性タンパク質に特異的に結合で
きるモノクローナル抗体を生成する請求項11に記載のモノクローナル抗体。
【請求項13】
2個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質は同じHPV型からである
請求項12に記載のモノクローナル抗体。
【請求項14】
2個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質は異なるHPV型からであ
る請求項12に記載のモノクローナル抗体。
【請求項15】
2個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質は、HPV16 E6タン
パク質、HPV16 E7タンパク質、HPV16 L1タンパク質、HPV18 E6
タンパク質、HPV18 E7タンパク質、HPV18 L1タンパク質、およびそれら
の組み合わせからなる群から選択する請求項12に記載のモノクローナル抗体。
【請求項16】
2個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質の各々は、2個以上の精製
組み換え型パピローマウイルス性初期タンパク質であり、モノクローナル抗体が2個以上
の精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質に対応する、2個以上の精製組み換え
型HPV初期タンパク質に結合できる請求項12に記載のモノクローナル抗体。
【請求項17】
2個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質は、精製組み換え型パピロ
ーマウイルス性初期タンパク質および精製組み換え型パピローマウイルス性後期タンパク
質であり、モノクローナル抗体が精製組み換え型パピローマウイルス性初期タンパク質お
よび精製組み換え型パピローマウイルス性後期タンパク質に対応する、初期ウイルス性タ
ンパク質および後期ウイルス性タンパク質に結合できる請求項12に記載のモノクローナ
ル抗体。
【請求項18】
モノクローナル抗体は、HPV16 E6およびHPV16 E7ウイルス性タンパク
質の両方に結合できる請求項11に記載のモノクローナル抗体。
【請求項19】
モノクローナル抗体は、HPV16 E6,HPV16 E7およびHPV16 L1
ウイルス性タンパク質の全てに結合できる請求項11に記載のモノクローナル抗体。
【請求項20】
モノクローナル抗体は、HPV18 E6およびHPV18 E7ウイルス性タンパク
質の両方に結合できる請求項11に記載のモノクローナル抗体。
【請求項21】
モノクローナル抗体は、高リスクHPV型、低リスクHPV型、HPV−16,HPV
−18,HPV−31,HPV−33,HPV−35,HPV−39,HPV−45,H
PV−51,HPV−52,HPV−56,HPV−58,HPV−59およびHPV−
68,HPV−6,HPV−11,HPV−42,HPV−43,HPV−44,HPV
−53,HPV−54,HPV−55およびHPV−56ならびにそれらの組み合わせか
らなる群から選択される同じHPV型からの2個以上のHPVウイルス性タンパク質に結
合できる請求項11に記載のモノクローナル抗体。
【請求項22】
モノクローナル抗体は、ELISA(抗原捕捉免疫測定法)、パピローマウイルス性タ
ンパク質に関する抗原分析、パピローマウイルス性タンパク質に対する抗体の抗体分析、
パピローマウイルス性免疫複合体に関する分析、タンパク質チップ分析、放射免疫沈降分
析、迅速膜放射免疫沈降分析、迅速スティック免疫クロマトグラフィー、組織および/ま
たは子宮頸部細胞に関する免疫組織化学、フローサイトメトリによる免疫化学分析および
それらの組み合わせからなる群から選択される1個以上の免疫学的分析に用いる請求項1
1に記載のモノクローナル抗体。
【請求項23】
第1HPVウイルス性タンパク質のみに結合でき、第1HPVウイルス性タンパク質と
は異なる第2HPVウイルス性タンパク質には結合せず、第1HPV型から第1精製組み
換え型パピローマウイルス性タンパク質に陽性反応で、第2HPV型からの第2精製組み
換え型パピローマウイルス性タンパク質に陰性反応で抗体生成ハイブリドーマ細胞をスク
リーニングすることによって得られるモノクローナル抗体であって、第1および第2のウ
イルス性タンパク質は、第1および第2のHPV型の、第1および第2の精製組み換え型
パピローマウイルス性タンパク質に対応するモノクローナル抗体。
【請求項24】
第1のウイルス性タンパク質は、HPV16 E6タンパク質、HPV16 E7タン
パク質、HPV16 L1タンパク質、HPV18 E6タンパク質、HPV18 E7
タンパク質、HPV18 L1タンパク質、およびそれらの組み合わせからなる群から選
択される請求項23に記載のモノクローナル抗体。
【請求項25】
モノクローナル抗体は、高リスクHPV型、低リスクHPV型、HPV−16,HPV
−18,HPV−31,HPV−33,HPV−35,HPV−39,HPV−45,H
PV−51,HPV−52,HPV−56,HPV−58,HPV−59およびHPV−
68,HPV−6,HPV−11,HPV−42,HPV−43,HPV−44,HPV
−53,HPV−54,HPV−55およびHPV−56、ならびにそれらの組み合わせ
からなる群から選択されるHPV型から第1HPVウイルス性タンパク質に結合できる請
求項23に記載のモノクローナル抗体。
【請求項26】
モノクローナル抗体は、ELISA(抗原捕捉免疫測定法)、パピローマウイルス性タ
ンパク質に関する抗原分析、パピローマウイルス性タンパク質に対する抗体の抗体分析、
パピローマウイルス性免疫複合体に関する分析、タンパク質チップ分析、放射免疫沈降分
析、迅速膜放射免疫沈降分析、迅速スティック免疫クロマトグラフィー、組織および/ま
たは子宮頸部細胞に関する免疫組織化学、フローサイトメトリによる免疫化学分析、およ
びそれらの組み合わせからなる群から選択される1個以上の免疫学的分析に用いる請求項
23に記載のモノクローナル抗体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願明細書は、2008年6月13日に開示された米国仮出願特許第61/13199
1号明細書および2008年9月22日に開示された米国仮出願特許第61/19291
2号明細書の利益を要求する。前述した各関連明細書は、参照して全体に組み込むものと
する。
【背景技術】
【0002】
上皮特異細胞での上皮の増殖を誘起するヒトパピローマ(乳頭腫)ウイルス(HPV)
による感染は、子宮頸癌に対して重要な役割を果たす。約99パーセントの確認された子
宮癌は、生検確認した扁平上皮病変(SIL)または子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)を有
するHPV感染に関連する。約1%の人口は陰部疣贅を有し、女性の約4%は、軽度の扁
平上皮内病変(LSIL)もしくは重度の扁平上皮内病変(HSIL)または異型扁平上
皮細胞(ASCUS)等の子宮頸癌前駆病変を有する。一般的には、ヒトパピローマウイ
ルス(HPV)の持続感染は、子宮頸癌前駆病変の発達に関して重要であると考えられて
いる。LSILを有する女性に対して高リスクなHPVの感染は、HSILに進行するこ
とがある。事実、いくつかはHSILまで進行するが、LSILヒト対象の多くが寛解す
る。99.7%の子宮頸癌はHPV陽性であるが、宿主遺伝子内へのウイルス遺伝子の統
合は、HSILまたは癌へ進行する発現に重要な遺伝子を促進するために必要である。持
続HPV感染した10人の女性のうち1人だけが、子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)グレー
ド2およびグレード3(それぞれCIN2,CIN3)等の重度のCIN病変に進行し、
これらの内皮病変の場合の一部は最終的に子宮頸癌に進行する。
【0003】
過去において、子宮頸癌のスクリーニングは、細胞染色法に関するパパニコロー(パッ
プ)スメアを得る等の従来の細胞学的スクリーニングに基づき、疑わしいスメアは、腸内
視鏡検査および/または組織学的生検で検査する。しかし、主観的試験基準のために、パ
ップスメア試験には様々な欠点があり:サンプル獲得の困難性、観測者内同意、高確率の
偽陰性および偽陽性、高度な訓練を受けた特別な研究員の必要性、および多くのHPV感
染ヒト対象の特定の不可能性である。より再現可能な分析が現在のスクリーニングテスト
を改良して、感染した女性の不必要な医学的介入および精神的苦痛をなくす必要がある。
【0004】
「DNA Hybrid Capture」等の核酸試験によるHPV感染の検査は、
高感度の分析で発展したが、高コストの分析操作手順、設備および高度な訓練の研究員だ
けでなく、子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)試験サンプルにおける非常に低い陽性予測値の
ために、まだ理想的でない。Pre Tect HPV−Proofer(登録商標)等
の分析は、高い陽性予測値のHPV Hybrid Capture試験と等しい高感度
でE6/E7 mRNAの検出を提供するが;E6/E7癌タンパクをin situで
直接検出できない。加えて、DNA試験は、HPV感染後の疾患段階を識別できず、また
、異なる細胞病変の診断もできない(例えば、HSILとLSILの識別ができず、また
、非形質転換の潜在または寛解ウイルス感染からCIN病変を識別できない)。臨床検査
質または医局の繰り返しの練習で行うことができ、初期の内皮病変を検出し、LSILを
HSILと識別でき、または子宮頸癌への進行の危険性を予測することができる、低コス
ト、簡単、高感度および特異的な分析が必要である。
【0005】
モノクローナル抗体の生成の既知のプロトコールは、概して、抗HPVモノクローナル
抗体の生成に適切でなく、一般集団のヒト対象に行う免疫組織化学的診断試験において用
いることができない。これは、これらのプロトコールによって生成した抗体が感染したヒ
ト細胞における自然発生的なHPVウイルスタンパクに必ずしも反応しないからである。
加えて、これらの問題は、臨床的HPV検出に存在する。一つは、臨床サンプルにおける
HPVタンパク質は非常に少ない量である。第2に、臨床サンプルにおいて存在する多く
のHPV型およびほとんどのHPV型は、利用可能な抗体がないため、わかっていなく、
合成的に識別できない。したがって、抗HPV抗体を生成する免疫原として多量に精製し
た利用可能なHPVたんぱくがなく、臨床HPV検出に対する臨床サンプルにおいて存在
する抗ウイルス抗体またはウイルスタンパク質を認識する利用可能なHPVタンパク質ま
たは精製した抗HPV抗体がない。
【0006】
たった約15種類のHPV型による感染(100以上の利用可能なHPV型のうちの一
つ)は、高リスクで子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)または子宮頸癌に進行する。それらの
うち、報告された約70%の子宮頸癌および報告されたCIN2およびCIN3の50%
は、2つの高リスクHPV型、すなわち、HPVタイプ16およびHPVタイプ18によ
って起こる。しかし、いくつかの進行性子宮頸癌の場合は、低リスクのHPV型によって
感染したと報告されているが、いくつかの高リスクのHPV型の感染は、子宮頸癌に決し
て進行しない。これらの2個の一般的な高リスクHPV型による感染は、腫瘍成長または
癌の進行に関連しない。高リスク型によるHPV感染を特定するだけでなく特定の発癌タ
ンパク質を発現するそれらのHPV感染ヒト対象を特定するのが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、これらの発癌タンパク質は、高いグレードの細胞病変もしくは子宮頸癌に
関連する疾患に発展するリスクを予測する子宮頸癌バイオマーカーとして機能するため、
臨床サンプルにおけるHPVに関連する発癌タンパク質の発現を検出する必要がある。ま
た、子宮頸癌バイオマーカーとしての侵襲性子宮頸癌および/またはHPVに関連する発
癌タンパク質の存在を検出し、また、子宮頸癌となる内皮病変の悪性転換に対するリスク
を予測する抗HPV抗体および適切なHPV免疫学的分析を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態は、概して、一般的なHPV感染症および様々なHPV遺伝子型、高
リスクHPVおよび低リスクHPVによる感染等のHPV感染を検出するのに有効な、様
々な方法、検出分析、キット、ポリクローナルおよびモノクローナル抗HPV抗体、ポリ
ペプチド、組み換え型HPVタンパク質および核酸に関連するものとする。バイオマーカ
ーとして有効およびHPVウイルスタンパク質を検出するツールとして有効な、HPVタ
ンパク質に対する様々な新規のモノクローナル抗体、HPV発癌タンパク質、子宮頸癌の
初期スクリーニングおよびCIN、形成異常、および/または浸潤子宮頸癌および他の癌
の診断を提供する。本発明のツールはまた、HPV感染に関する初期臨床検出、および子
宮頸癌および他の癌の一般的な診断、浸潤子宮頸癌の特異的な検出、他のHPVに関連す
る癌、初期段階の前癌病変および晩期の癌進行の検出においても用いることができる。
【0009】
モノクローナル抗体の生成方法は、様々なHPVタンパク質またはHPV型、例えばp
an 抗HPV抗体の中のHPVタンパク質の1個以上の一般的なエピトープを認識する
モノクローナル抗体を得るために提供する。加えて、本願明細書で得られるいくつかのモ
ノクローナル抗体は、HPV型特異性であるが、本願明細書で得られるいくつかのモノク
ローナル抗体は、非HPV型特異性である。非HPV特異性pan抗体は、臨床サンプル
において存在する最も一般的なHPV型からHPVタンパク質を認識および結合する。本
発明のいくつかの態様において、これらのpanモノクローナル抗体の結合能は、1個以
上の臨床サンプルにおけるHPV感染を検出する1個の便利な分析において用いるのに適
切である。他の態様において、2個以上のHPV免疫学的分析も用いることができる。他
の態様において、単一のHPVタンパク質に特異的な抗HPV抗体(1個のHPV型から
の1個のタンパク質だけであり、他のHPV型、他のHPVタンパク質ではない)も得る
ことができる。
【0010】
本発明の一つの実施形態は、2個以上の精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タン
パク質を有する抗体生成ハイブリドーマをスクリーニングすることによって得られるモノ
クローナル抗体を提供する。このスクリーニング工程は、2個およびそれ以上の精製組み
換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質に陽性反応を示し、非HPVタンパク質に陰
性反応を示す抗体生成ハイブリドーマを選択して、抗体生成ハイブリドーマ細胞が2個以
上のヒトパピローマウイルス性タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体を生成
するようにする工程を有する。様々なHPVに関連する抗体には、1個のHPV遺伝子型
または2個以上の遺伝子型からの初期遺伝子および/または後期遺伝子によってコードし
た1個以上のHPVタンパク質に対して特異性を示すポリクロ―ナルおよびモノクローナ
ル抗体も含む。本願明細書で記載する抗体は、異なるヒト対象に対する免疫学的分析を行
い、また、陽性および陰性対照を比較するのに用いることができる。
【0011】
一つの実施形態において、モノクローナル抗体は、第1HPV型からの第1精製組み換
え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質および第2HPV型からの第2精製組み換え型
ヒトパピローマウイルス性タンパク質を有する抗体生成ハイブリドーマ細胞をスクリーニ
ングすることによって得られ、モノクローナル抗体が同じまたは異なるHPV型からヒト
パピローマウイルス性タンパク質上の共通のエピトープを認識できるようにする。他の実
施形態において、第1HPV型からの第1精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タン
パク質および第2HPV型からの第2精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク
質を有する抗体生成ハイブリドーマ細胞をスクリーニングすることによって得て、モノク
ローナル抗体が他の精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質ではなく、第1
および第2精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質のうち1個のみの特異的
なエピトープを認識できるようにする、モノクローナル抗体を提供する。
【0012】
他の実施形態において、同じHPV型からの2個以上のHPVウイルス性タンパク質を
結合することができるモノクローナル抗体を提供し、2個以上の精製組み換え型ヒトパピ
ローマウイルス性タンパク質を有する抗体生成ハイブリドーマ細胞をスクリーニングする
ことによって得る。2個以上の精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質は、
同じHPV型および/または異なるHPV型からのものであり、抗体生成ハイブリドーマ
細胞が、同じ型からの2個以上のヒトパピローマウイルス性タンパク質に特異的に結合す
るモノクローナル抗体を生成するようにする。2個以上の精製組み換え型パピローマウイ
ルス性タンパク質は、2個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性初期タンパク質で
あり、モノクローナル抗体が2個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性初期タンパ
ク質に対応する2個以上のHPV初期タンパク質に結合することができるようにする。2
個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質は、精製組み換え型パピローマ
ウイルス性初期タンパク質および精製組み換え型パピローマウイルス性後期タンパク質を
有し、モノクローナル抗体が精製組み換え型パピローマウイルス性初期タンパク質および
精製組み換え型パピローマウイルス性後期タンパク質に対応する初期ウイルス性タンパク
質および後期ウイルス性タンパク質に結合できるようにする。
【0013】
他の実施形態において、異なるHPV型からの2個以上のHPVタンパク質に結合する
ことができるモノクローナル抗体を提供する。このモノクローナル抗体は、2個以上の精
製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質を有する抗体生成ハイブリドーマ細胞をス
クリーニングすることによって得られ、スクリーニング工程は、異なるHPV型からの2
個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質に陽性反応を示し、非HPVタ
ンパク質に陰性反応を示す抗体生成ハイブリドーマ細胞を選択し、抗体生成ハイブリドー
マ細胞が、2個以上のウイルス性タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体を生
成するようにする工程を有する。
【0014】
さらに他の実施形態において、異なるHPV型からの初期HPVウイルス性タンパク質
および後期HPVウイルス性タンパク質に結合することができるモノクローナル抗体を提
供する。さらに他の実施形態において、第1HPVウイルス性タンパク質だけでなく第1
HPVウイルス性タンパク質からの第2HPVウイルス性タンパク質に結合することがで
きるモノクローナル抗体を提供し、第1HPV型からの第1精製組み換え型パピローマウ
イルス性タンパク質に陽性反応を示し第2HPV型からの第2精製組み換え型パピローマ
ウイルス性タンパク質に陰性反応を示す抗体生成ハイブリドーマ細胞をスクリーニングす
ることによって得られ、第1および第2ウイルス性タンパク質は、第1および第2HPV
型の第1および第2精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質に対応する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A図1Aは、本発明の一つの実施形態に従ったEIA(酵素免疫測定)で分析したときの、HPV16 E6およびHPV16E7組み換え型タンパク質(同じHPV型からの異なるHPVタンパク質)の両方に反応でき、同じHPV16型からの異なるHPV16 E6およびHPV16 E7タンパク質上の共通のエピトープを認識できるモノクローナル抗体の特異性を示す図である。
図1B図1Bは、本発明の一つの実施形態に従ったEIAで分析したときの、HPV16 E6およびHPV16E7組み換え型タンパク質の両方に反応でき、HPV16 E6およびHPV16 E7タンパク質上の共通のエピトープを認識できる他のモノクローナル抗体の特異性を示す図である。
図2A図2Aは、本発明の一つの実施形態に従ったEIAで分析したときの、HPV16 E6,E7,L1およびL1 N末端組み換え型タンパク質(同じHPV型からの異なるHPVタンパク質)に反応でき、同じHPV16型からのHPV16 E6,E7,L1およびL1 N末端タンパク質上の共通のエピトープを認識できるモノクローナル抗体の特異性を示す図である。
図2B図2Bは、図2Bにおいて示すモノクローナル抗体のウエスタンブロットを示す図であり、全てのHPV16 E6,E7およびL1組み換え型タンパク質への結合を確認する。
図2C図2Cは、図2Aにおいて示したモノクローナル抗体を用いた子宮癌細胞株からの細胞溶解物のウエスタンブロットの結果を示す図であり、これらの子宮頸癌細胞株において存在する全てのHPV16 E6,E7およびL1組み換え型タンパク質への結合を確認する。
図3A図3Aは、本発明の他の実施形態に従ったEIAで分析したときの、全ての組み換え型HPV16 E6,E7,L1 N末端タンパク質およびHPV18 E6およびE7タンパク質(異なるHPV型からのHPVタンパク質)に結合することができ、HPV16およびHPV18からのE6,E7,L1 N末端タンパク質上の共通のエピトープを認識できるモノクローナル抗体の特異性を示す図である。
図3B図3Bは、図3Aにおいて示したモノクローナル抗体のウエスタンブロットの結果を示す図であり、異なる組み換え型タンパク質への結合および異なるHPV型であるHPV16およびHPV18からの異なるE6,E7,L1−N末端タンパク質上の共通のエピトープの認識を確認する。
図3C図3Cは、図3Aにおいて示したモノクローナル抗体を用いた子宮頸癌細胞株からのウエスタンブロット細胞溶解物を示す図であり、これらの子宮頸癌細胞株において存在するHPV16 E6,E7およびL1タンパク質およびHPV18 E6,E7およびL1−N末端ウイルス性タンパク質への結合を確認する。
図4A図4Aは、本発明の他の実施形態に従ったEIAで分析したときの、2個のE6組み換え型タンパク質(HPV16 E6およびHPV18 E6,異なるHPV型からのE6タンパク質)に結合することができ、異なるHPV型からの2個のE6タンパク質上の共通のエピトープを認識できるモノクローナル抗体の特異性を示す図である。
図4B図4Bは、図4Aにおいて示したモノクローナル抗体を用いた子宮頸癌細胞株からの細胞溶解物を分析するウエスタンブロットの結果を示す図であり、これらの子宮頸癌細胞株において存在するHPV16 E6およびHPV18 E6ウイルス性タンパク質への結合を確認する。
図5図5は、EIAで分析したときの、2個の組み換え型HPV16 E7およびHPV18 E7タンパク質(異なるHPV型からのE7タンパク質)に反応することができ、異なるHPV型からの2個のE7タンパク質上の共通のエピトープを認識できるモノクローナル抗体の特異性を示す図である。
図6図6は、本発明の一つの実施形態に従ったEIAで分析したときの、HPV16 E6組み換え型タンパク質だけでなくいずれの他のHPV組み換え型タンパク質にも反応することができるモノクローナル抗体の特異性を示す図である。
図7A図7Aは、本発明の他の実施形態に従ったEIAで分析したときの、HPV18 E6組み換え型タンパク質だけでなくいずれの他のHPV16またはHPV18組み換え型タンパク質にも特異的に反応することができるモノクローナル抗体の特異性を示す図である。
図7B図7Bは、図7Aにおいて示したモノクローナル抗体を用いた異なる子宮頸癌細胞株からの細胞溶解物を分析するウエスタンブロットの結果を示す図であり、Hela癌細胞株において存在するHPV16 E6ウイルス性タンパク質だけでなくHPV E7ウイルス性タンパク質への結合を確認する。
図8図8は、本発明の他の実施形態に従ったEIAで分析したときの、HPV16 E7組み換え型タンパク質だけでなくいずれの他のHPV組み換え型タンパク質にも特異的に反応することができるモノクローナル抗体の特異性を示す図である。
図9図9は、本発明の他の実施形態に従ったEIAで分析したときの、HPV18 E7組み換え型タンパク質だけでなくいずれの他のHPV組み換え型タンパク質にも特異的に反応することができるモノクローナル抗体の特異性を示す図である。
図10A図10Aは、本発明の他の実施形態に従ったEIAで分析したときの、HPV16 L1 N末端組み換え型タンパク質だけでなくいずれの他のHPV組み換え型タンパク質にも特異的に反応することができるモノクローナル抗体の特異性を示す図である。
図10B図10Bは、EIAで分析したときの、HPV16 L1 N末端組み換え型タンパク質だけでなくいずれの他のHPV組み換え型タンパク質にも特異的に反応することができる他のモノクローナル抗体の特異性を示す図である。
図11図11は、本発明の他の実施形態に従ったEIAで分析したときの、HPV16 L1およびL1 N末端組み換え型タンパク質だけでなくいずれの他のHPV組み換え型タンパク質にも特異的に反応することができるモノクローナル抗体の特異性を示す図である。
図12A図12Aは、本発明の一つの実施形態に従った免疫組織細胞化学染色(IHC)分析における、抗E6モノクローナル抗体を用いたCIN2組織の形成異常細胞の染色画像を示す図である。
図12B図12Bは、本発明の他の実施形態に従った図12AのCIN2サンプルの形成異常組織から隣接した正常上皮形態の染色画像を示す図である。
図12C図12Cは、IHC分析において図12Aにおいて用いたのと同じ抗E6モノクローナル抗体によって染色したCIN3サンプルの形成異常内皮の染色画像を示す図であり、本発明の他の実施形態に従った抗E6モノクローナル抗体による核および形成異常細胞における特異的なIHC染色を実証する。
図12D図12Dは、IHC分析において図12Aにおいて用いたのと同じ抗E6モノクローナル抗体によって染色した他のCIN3サンプルの形成異常細胞の染色画像を示す図である。
図13A図13Aは、本発明の他の実施形態に従った免疫組織細胞化学染色(IHC)分析における、抗E7モノクローナル抗体を用いた組織マイクロアレイからの扁平上皮癌(SCC)組織の染色画像を示す図である。
図13B図13Bは、図13AのSCC組織に隣接した正常上皮(腫瘍組織から約15mm離れた)の染色画像を示す図である。
図13C図13Cは、IHC分析において図13Aにおいて用いたのと同じ抗E7モノクローナル抗体によって染色した異なるSCC組織サンプルの染色画像を示す図であり、抗E7モノクローナル抗体による腫瘍細胞における特異的なIHC染色を実証する。
図13D図13Dは、腫瘍細胞の細胞質を染色する図13Cからの腫瘍細胞の拡大した画像を示す図である。
図14A図14Aは、本発明の他の実施形態に従った免疫組織細胞化学(ICC)分析における、マウスモノクローナル抗E7抗体によって染色したCIN2子宮頸部のこすり取ったサンプルからの子宮頸部細胞の染色画像を示す図である。
図14B図14Bは、本発明の他の実施形態に従ったICC分析における、マウスモノクローナル抗E6抗体によって染色したCIN3子宮頸部のこすり取ったサンプルからの子宮頸部細胞の染色画像を示す図である。
図14C図14Cは、ICC分析において図14Bにおいて示した同じ抗E6抗体によって染色した腺癌線維腫(ADC)子宮頸部のこすり取ったサンプルからの子宮頸部細胞の画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態は、HPVタンパク質に対する様々なモノクローナル抗体を提供し、
高リスクおよび低リスクのHPVによる感染が1個のモノクローナル抗体によって検出で
きるようにする。本発明はまた、高リスクのHPV型のみを検出するHPV型特異性モノ
クローナル抗体も提供する。加えて、1個のHPVタンパク質に高く特異的なモノクロー
ナル抗体も提供する。
【0017】
本発明の一つの態様は、モノクローナル抗体の生成方法を提供する。この方法は、様々
な精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質を獲得する工程および2個以上の精製
組み換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質を有する抗体生成ハイブリドーマ細胞を
スクリーニングして、2個以上の精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質上
の共通のエピトープを認識し、2個以上の精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タン
パク質および生物学的および臨床的サンプルにおける対応するパピローマウイルス性タン
パク質に結合することができるモノクローナル抗体を獲得する工程を有する。
【0018】
加えて、2個以上のヒトパピローマウイルス性タンパク質に特異的に結合するモノクロ
ーナル抗体は、2個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質を有する抗体
生成ハイブリドーマ細胞の陽性選択および非HPVタンパク質を有する抗体生成ハイブリ
ドーマ細胞の陰性選択を有する方法を用いることによって生成する。例えば、この方法は
、2個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質に陽性反応を示し、非HP
Vタンパク質に陰性反応を示す抗体生成ハイブリドーマ細胞を選択することによって、2
個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質を有する抗体生成ハイブリドー
マ細胞をスクリーニングして、抗体生成ハイブリドーマ細胞が2個以上のヒトパピローマ
ウイルス性タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体を生成するようにする工程
を有する。2個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質には、例えば、H
PV16 E6タンパク質、HPV16 E7タンパク質、HPV16 L1タンパク質
、HPV18 E6タンパク質、HPV16 E7タンパク質、HPV18 L1タンパ
ク質およびそれらの組み合わせがある。
【0019】
本発明の他の態様は、第1HPV型からの第1精製組み換え型ヒトパピローマウイルス
性タンパク質および第2HPV型からの第2精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タ
ンパク質を有する抗体生成ハイブリドーマ細胞をスクリーニングし、2個以上の異なるH
PV型からのヒトパピローマウイルス性タンパク質上の共通のエピトープを認識できるモ
ノクローナル抗体を得る工程を有する。また、本発明の他の方法は、第1HPV型からの
第1精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質および第2HPV型からの第2
精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質を有する抗体生成ハイブリドーマ細
胞をスクリーニングして、他の精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質ではなく
、第1および第2精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質のうち1個のみの
特異的なエピトープを認識できるモノクローナル抗体を獲得する工程を有する。
【0020】
例えば、同じHPV型からの2個以上のHPVウイルス性タンパク質に結合することが
できるモノクローナル抗体は、同じHPV型および/または異なるHPV型からの2個以
上の精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質を有する抗体生成ハイブリドーマ細
胞をスクリーニングすることによって本発明の方法によって生成する。一つの実施例にお
いて、2個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質は2個以上の精製組み
換え型パピローマウイルス性初期タンパク質であり、モノクローナル抗体を生成し、2個
以上の精製組み換え型パピローマウイルス性初期タンパク質に対応する2個以上のHPV
初期タンパク質に結合できるようにする。他の実施例において、2個以上の精製組み換え
型パピローマウイルス性タンパク質は精製組み換え型パピローマウイルス性初期タンパク
質および精製組み換え型パピローマウイルス性後期タンパク質であり、他のモノクローナ
ル抗体を生成し、精製組み換え型パピローマウイルス性初期タンパク質および精製組み換
え型パピローマウイルス性後期タンパク質に対応する初期ウイルス性タンパク質および後
期ウイルス性タンパク質に結合できるようにする。
【0021】
得られた例示的なモノクローナル抗体には、HPV16 E6およびHPV16 E7
ウイルス性タンパク質の両方に結合することができるモノクローナル抗体の種類があり;
HPV16 E6,HPV16 E7,およびHPV16 L1ウイルス性タンパク質の
全てに結合することができるモノクローナル抗体の種類があり;HPV18 E6および
HPV18 E7ウイルス性タンパク質の両方に結合することができるモノクローナル抗
体の種類がある。したがって、本発明の方法を用いて生成したモノクローナル抗体は、高
リスクHPV型、低リスクHPV型、HPV−16,HPV−18,HPV−31,HP
V−33,HPV−35,HPV−39,HPV−45,HPV−51,HPV−52,
HPV−56,HPV−58,HPV−59およびHPV−68、HPV−68,HPV
−6,HPV−11,HPV−42,HPV−43,HPV−44,HPV−53,HP
V−54,HPV−55およびHPV−56およびそれらの組み合わせからなる群から選
択した同じHPV型からの2個以上のHPVウイルス性タンパク質に結合することができ
る。
【0022】
これらのモノクローナル抗体は、HPV感染およびHPVに関連する子宮頸癌および他
の疾患を検出する1個以上の免疫分析に用いることができる。適切な免疫分析には、EL
ISA(抗原捕捉免疫測定法)、パピローマウイルス性タンパク質の抗原分析、パピロー
マウイルス性タンパク質に対する抗体の抗体分析、パピローマウイルス性免疫複合体の分
析、タンパク質チップ分析、放射免疫沈降分析、迅速膜放射免疫沈降分析、迅速スティッ
ク免疫クロマトグラフィー、組織および/または子宮頸部細胞の免疫組織化学、およびフ
ローサイトメトリによる免疫化学分析がある。
【0023】
本発明の他の態様は、異なるHPV型からの2個以上のHPVウイルス性タンパク質に
結合することができる方法およびモノクローナル抗体を提供する。モノクローナル抗体は
、異なるHPV型からの2個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質に陽
性反応を示し非HPVタンパク質に陰性反応を示す抗体生成ハイブリドーマ細胞を選択す
ることによって、2個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質を有する抗
体生成ハイブリドーマ細胞をスクリーニングし、抗体生成ハイブリドーマ細胞が2個以上
のHPVウイルス性タンパク質に特異的に結合できるモノクローナル抗体を生成するよう
にして得る。例示的なモノクローナル抗体には、HPV16 E7およびHPV18 E
7タンパク質に結合することができる種類のモノクローナル抗体;HPV16 E6およ
びHPV18 E7タンパク質に結合することができる他の種類のモノクローナル抗体;
HPV16 L1およびHPV18 L1タンパク質に結合することができる他の種類の
モノクローナル抗体があり、様々な免疫学的分析に用いることができる。
【0024】
本発明のさらに他の態様は、異なるHPV型からの初期HPVウイルス性タンパク質お
よび後期HPVウイルス性タンパク質に結合できるモノクローナル抗体を提供する。この
モノクローナル抗体は、1個のHPV型からの精製組み換え型パピローマウイルス性初期
タンパク質および他のHPV型からの精製組み換え型パピローマウイルス性後期タンパク
質を有する抗体生成ハイブリドーマ細胞をスクリーニングすることによって得られ、スク
リーニング工程は、精製組み換え型パピローマウイルス性初期タンパク質および精製組み
換え型パピローマウイルス性後期タンパク質に陽性反応を示し、非HPVタンパク質に陰
性反応を示す抗体生成ハイブリドーマ細胞を選択し、抗体生成ハイブリドーマ細胞から生
成したモノクローナル抗体が異なるHPV型からの初期HPVウイルス性タンパク質およ
び後期HPVウイルス性タンパク質に結合することができるようにする。精製組み換え型
パピローマウイルス性初期タンパク質には、HPV16 E6タンパク質、HPV16
E7タンパク質、HPV E6タンパク質、HPV E7タンパク質およびそれらの組み
合わせがあり、精製組み換え型パピローマウイルス性後期タンパク質には、HPV16
L1タンパク質、HPV18 L1タンパク質およびそれらの組み合わせがある。例示的
なモノクローナル抗体には、HPV16 E6,HPV16 E7,HPV16 L1,
HPV18 E6,HPV18 E7タンパク質の全てに結合することができる種類のモ
ノクローナル抗体;HPV16 E6,HPV16 E7,HPV16 L1,HPV1
8 E6,HPV18 E7およびHPV18 L1タンパク質の全てに結合することが
できる他の種類のモノクローナル抗体がある。本発明の方法によって生成したこの種類の
モノクローナル抗体は、1個以上の免疫学的分析においてこれらのウイルス性タンパク質
のいずれかの存在を検出するのに用いることができる。
【0025】
本発明のさらに他の態様は、第1ウイルス性タンパク質とは異なる第2ウイルス性タン
パク質ではなく第1HPVウイルス性タンパク質のみに結合することができるHPV型特
異性モノクローナル抗体を提供する。このモノクローナル抗体は、第1HPV型からの第
1精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質に陽性反応を示し第2HPV型からの
第2精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質に陰性反応を示す抗体生成ハイブリ
ドーマ細胞をスクリーニングすることによって得ることができ、第1および第2ウイルス
性タンパク質は、第1および第2HPV型の第1および第2精製組み換え型パピローマウ
イルス性タンパク質に対応する。HPV型特異性モノクローナル抗体は、第1ウイルス性
タンパク質の1個のウイルス性タンパク質のみにしか結合できない。第1ウイルス性タン
パク質には、高リスクHPV型、低リスクHPV型、HPV−16,HPV−18,HP
V−31,HPV−33,HPV−35,HPV−39,HPV−45,HPV−51,
HPV−52,HPV−56,HPV−58,HPV−59およびHPV−68、HPV
−68,HPV−6,HPV−11,HPV−42,HPV−43,HPV−44,HP
V−53,HPV−54,HPV−55およびHPV−56およびそれらの組み合わせ等
のHPV型からのウイルス性タンパク質がある。例示的なモノクローナル抗体には、HP
V16 E6タンパク質、HPV16 E7タンパク質、HPV16 L1タンパク質、
HPV18 E6タンパク質、HPV18 E7タンパク質およびHPV18 L1タン
パク質からなる群から選択した1個のウイルス性タンパク質しか認識しないモノクローナ
ル抗体がある。本発明の方法によって生成したこの種類のモノクローナル抗体は、1個以
上の免疫学的分析における特異的なウイルス性タンパク質の存在を検出するのに用いる。
【0026】
一つの実施形態において、様々な組み換え型パピローマウイルス性タンパク質を、パピ
ローマウイルス性タンパク質を発現する細胞を溶解後に、可溶化各分から精製して、可溶
な精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質となるようにする。例えば、組み換え
型タンパク質は、溶液において陰性の折り畳みとなるように精製する。他の実施例として
、組み換え型タンパク質は、そのリン脂質または中性pHまたはPBS緩衝液に分類され
るpH値で緩衝液と共に精製する。実施例として、様々な組み換え型パピローマウイルス
性タンパク質は、例えば、中性pHでの緩衝溶液においてまたはPBS緩衝液における溶
解によって、スピンカラムもしくは濃縮器による濃縮などによって、その陰性折り畳みと
なるように精製し、その溶解度を維持し高濃度を得る。HPV組み換え型タンパク質の精
製方法の一つは、米国特許第11/559366号明細書「ヒトパピローマウイルス(H
PV)の検出方法および子宮頸癌におけるその用途」において開示され、参照して組み込
む。
【0027】
モノクローナル抗体を作成するHPVタンパク質のソースは、限定されていない;様々
なHPV遺伝子および様々なHPV型/種からの様々なタンパク質がある。本発明のHP
Vウイルス性タンパク質および/または癌タンパク質には、限定することはないが、HP
V E6タンパク質、HPV E7タンパク質、HPV L1タンパク質、HPV E2
タンパク質、HPV E3タンパク質、HPV E4タンパク質、HPV E5タンパク
質、HPV L2タンパク質がある。
【0028】
HPV型は限定しない。一般的に、HPVは、少なくとも3個の群に分けられる:(1
)HPV−16,HPV−18,HPV−31,HPV−33,HPV−35,HPV−
52,HPV−58などで、子宮頸癌および他の癌の癌タンパク質である;(2)低リス
クHPV型(α−パピローマウイルスHPV−6,HPV−11,HPV−13,HPV
−34,HPV−44,HPV−55,HPV−73,HPV−27;PCPV1,HP
V−2a,HPV57などで、子宮頸癌および他の癌に発展するリスクが低い);(3)
他の非発癌タンパク質α−パピローマウイルス(HPV−66,HPV−68,HPV−
53,HPV−51,HPV−59,HPV−30,HPV−26,HPV−10,HP
V−28,HPV−32,HPV−39,HPV−3,HPV−29,HPV−70など
)。一人のヒト対象において多くのHPV感染が、これらのHPV群(高リスク、低リス
クおよび/または非発癌性)のうち2個以上のHPVによって起こる。
【0029】
2個の問題が存在し、臨床HPV診断に利用できる抗体がない。第1に、臨床サンプル
におけるHPVタンパク質が非常に少量であることである。第2に、臨床サンプルにおけ
るHPV型は概して知られていないことである。したがって、当業者は失敗し、長年にわ
たって切実に必要であっても、様々な臨床HPV型を認識するHPV抗体の大量の生成を
行うことができず、この必要性は満たされていない。診断試験における抗体の良い用途に
対して、抗体は、免疫原上に存在するエピトープだけでなく、エピトープが分析のために
準備した試験サンプルにおいて露呈した(すなわち、低温保存、切開および固定等の組織
のいずれの予処理後に露呈した)エピトープも認識する。したがって、多量のハイブリド
ーマ培養上清をスクリーニングするように選択した方法は、診断に有効な抗体の選択を目
的とする。組み換え型HPVタンパク質の精製および獲得において、およびHPV感染を
検出する精製組み換え型タンパク質からの抗体の生成において既知の失敗があり、人々は
その必要性を解決することができていない。本発明は、抗HPV抗体を生成し、抗体生成
ハイブリドーマ細胞をスクリーニングする免疫原として用いることができる精製組み換え
型HPVタンパク質を提供し、生成した抗HPV抗体を臨床サンプルに用いることができ
るようにする。
【0030】
HPVタンパク質に対するモノクローナル抗体を生成する方法を本願明細書で提供し、
1個以上の抗体を獲得し、各モノクローナル抗体は、様々なHPVタンパク質および/も
しくはHPV型の中でHPVタンパク質の共通のエピトープまたは特定のエピトープを認
識することができる。加えて、本願明細書で得られるモノクローナル抗体のいくつかは、
HPV型特異性であるが、本願明細書で得られるモノクローナル抗体のいくつかは非HP
V特異性である。非HPV特異性抗体は、臨床サンプルにおいて存在する一般的なHPV
型を検出するのに有効である。その結果、これらのモノクローナル抗体は、1個以上のサ
ンプルにおけるHPV感染を検出する分析において用いるのに適切である。これらの非H
PV特異性抗体のエピトープマッピングは、これらのモノクローナル抗体を結合するHP
V特異性タンパク質の共通のエピトープを特定し配置する。
【0031】
一つの実施形態において、2個以上のHPVウイルス性タンパク質の共通のエピトープ
を認識できるモノクローナル抗体は、2個以上の精製組み換え型タンパク質を有する抗体
生成ハイブリドーマ細胞をスクリーニングすることによって得る。2個以上の精製HPV
組み換え型タンパク質には、HPV16 E6タンパク質、HPV16 E7タンパク質
、HPV16 L1タンパク質、HPV18 E6タンパク質、HPV18 E7タンパ
ク質、HPV18 L1タンパク質およびそれらの組み合わせ等の適切なHPVタンパク
質のいずれかがある。
【0032】
他の実施形態において、2個以上のHPVタンパク質は、2個以上の精製組み換え型パ
ピローマウイルス性タンパク質に対応する。例えば、2個以上のHPVタンパク質がE6
およびE7初期タンパク質であるとき、E6およびE7初期タンパク質の両方の共通のエ
ピトープを認識するモノクローナル抗体は、HPV16および/もしくはHPV18、ま
たは他のHPV型からの2個以上の精製E6およびE7タンパク質をスクリーニングする
ことによって得る。他の実施形態において、2個以上の精製組み換え型パピローマウイル
ス性タンパク質は2個以上の組み換え型HPV初期タンパク質であり、モノクローナル抗
体が、2個以上の精製組み換え型初期タンパク質に対応するHPV初期タンパク質の共通
のエピトープを認識できる。
【0033】
一つの実施例は、精製HPV16 E6組み換え型タンパク質および精製HPV16
E7組み換え型タンパク質を有する抗体生成ハイブリドーマ細胞をスクリーニングするこ
とによって、HPV16 E6およびHPV16 E7の両方の共通のエピトープを認識
できるモノクローナル抗体である。他の実施例は、精製HPV18 E6組み換え型タン
パク質および精製HPV18 E7組み換え型タンパク質を有する抗体生成ハイブリドー
マ細胞をスクリーニングすることによって、HPV18 E6およびHPV18 E7の
両方の共通のエピトープを認識できるモノクローナル抗体である。
【0034】
他の実施形態において、2個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質に
は、精製組み換え型パピローマウイルス性初期タンパク質および精製組み換え型パピロー
マウイルス性後期タンパク質があり、モノクローナル抗体は、精製組み換え型パピローマ
ウイルス性初期タンパク質および精製組み換え型パピローマウイルス性後期タンパク質に
対応する初期および後期ウイルス性タンパク質の共通のエピトープを認識できる。精製組
み換え型パピローマウイルス性初期タンパク質は、HPV16 E6タンパク質、HPV
16 E7タンパク質、HPV18 E6タンパク質、HPV18 E7タンパク質およ
びそれらの組み合わせ等の、パピローマウイルス型のいずれかからの初期パピローマウイ
ルス性タンパク質のいずれかである。精製組み換え型パピローマウイルス性後期タンパク
質Hは、PV16 L1タンパク質、HPV18 L1タンパク質およびそれらの組み合
わせ等のいずれかの後期パピローマウイルス性タンパク質である。例えば、モノクローナ
ル抗体は、HPV16 E6、HPV16 E7、HPV16 L1、HPV18 E6
、HPV18 E7タンパク質でスクリーニングすることにって得て、モノクローナル抗
体は、HPV16 E6、HPV16 E7、HPV16 L1タンパク質上の共通のエ
ピトープを認識できる。
【0035】
さらに他の実施形態において、2個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性タンパ
ク質は、少なくとも2個の異なるパピローマウイルス型からの2個以上の組み換え型パピ
ローマウイルス性タンパク質である。例えば、モノクローナル抗体は、第1HPV型から
の第1精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質および第2HPV型からの第
2精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質を有する抗体生成ハイブリドーマ
細胞をスクリーニングすることによって得る。パピローマウイルス型は、高リスクHPV
型、低リスクHPV型、HPV−16,HPV−18,HPV−31,HPV−33,H
PV−35,HPV−39,HPV−45,HPV−51,HPV−52,HPV−56
,HPV−58,HPV−59およびHPV−68、HPV−68,HPV−6,HPV
−11,HPV−42,HPV−43,HPV−44,HPV−53,HPV−54,H
PV−55およびHPV−56等のいずれかのパピローマウイルス型である。第1および
第2精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質は、例えば、HPV16 E6
組み換え型タンパク質、HPV16 E7組み換え型タンパク質、HPV16 L1組み
換え型タンパク質、HPV18 E6組み換え型タンパク質、HPV18 E7組み換え
型タンパク質、HPV18 L1組み換え型タンパク質およびそれらの組み合わせである
【0036】
したがって、一つの実施例は、2個の異なるHPV型、HPV16およびHPV18の
両方からのE6タンパク質の共通のエピトープを認識できるモノクローナル抗体であり、
精製HPV16 E6組み換え型タンパク質および精製HPV18 E6組み換え型タン
パク質を有する抗体生成ハイブリドーマ細胞をスクリーニングすることによって得る。他
の実施例は、HPV16 E7およびHPV18 E7の共通のエピトープを認識できる
モノクローナル抗体である。さらに他の実施例は、HPV16 E6、HPV16 E7
、HPV16 L1、HPV18 E6およびHPV18 E7タンパク質の共通のエピ
トープを認識できるモノクローナル抗体である。
【0037】
さらに他の実施形態において、他のHPVタンパク質でなく一つのHPVタンパク質の
みの特定のエピトープを認識できるモノクローナル抗体は、第1HPV型からの第1精製
組み換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質および第2HPV型からの第2精製組み
換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質を有する抗体生成ハイブリドーマ細胞をスク
リーニングすることによって核と岸、1個または他のウイルス性タンパク質は、第1およ
び第2HPV型の第1および第2精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質に対応
する。
【0038】
一つの実施例は、精製組み換え型HPV16 E6タンパク質および精製組み換え型H
PV18 E6タンパク質を有する抗体生成ハイブリドーマ細胞をスクリーニングするこ
とによって得たモノクローナル抗体であり、モノクローナル抗体は、HPV16 E6の
特定のエピトープを認識し、HPV18 E6タンパク質を認識または相互作用しない。
他の実施例は、精製組み換え型HPV16 E6タンパク質および精製組み換え型HPV
18 E6タンパク質を有する抗体生成ハイブリドーマ細胞をスクリーニングすることに
よって得たモノクローナル抗体であり、モノクローナル抗体は、HPV18 E6の特定
のエピトープを認識し、HPV16 E6タンパク質を認識または相互作用しない。
【0039】
他の実施例は、精製組み換え型HPV16 E7タンパク質および精製組み換え型HP
V18 E7タンパク質を有する抗体生成ハイブリドーマ細胞をスクリーニングすること
によって得たモノクローナル抗体であり、モノクローナル抗体は、HPV16 E7の特
定のエピトープを認識し、HPV18 E7タンパク質を認識または相互作用しない。他
の実施例は、精製組み換え型HPV16 E7タンパク質および精製組み換え型HPV1
8 E7タンパク質を有する抗体生成ハイブリドーマ細胞をスクリーニングすることによ
って得たモノクローナル抗体であり、モノクローナル抗体は、HPV16 E7の特定の
エピトープを認識し、HPV18 E7タンパク質を認識または相互作用しない。
【0040】
他の実施形態において、HPVタンパク質、E6、E7またはL1に対する様々なモノ
クローナル抗体(抗HPV E6,抗HPV E7,抗HPV L1)は、抗体を引き上
げた免疫原に関連するHPV型を特異的に検出するモノクローナル抗体および非HPV型
特異性モノクローナル抗体がある。本発明の抗体には、限定することはないが、抗E6,
抗E7および抗L1などがあり、1個以上の免疫学的分析において用いる。例えば、モノ
クローナル抗体は、様々な生物学的サンプル、細胞株、および/また様々な重症度の内皮
病変(CIN2,CIN3,LSIL,HSIL,ASCIIS)および異なる子宮頸癌
、扁平上皮癌(SCC,共通の癌型)および腺癌(ADC,腺癌型)の臨床サンプルの試
験に用いることができる。
【0041】
一つの実施形態において、パピローマウイルス感染したヒト対象のスクリーニング方法
は、ヒト対象から臨床サンプルを獲得する工程と、様々なHPV組み換え型タンパク質お
よびHPVタンパク質に特異的な研究室で作成した抗体を用いてヒト対象からの臨床サン
プルで1個以上の免疫学的分析を行い、ヒト対象におけるHPV抗体およびHPVタンパ
ク質の存在からHPV感染を検出およびスクリーニングする工程を有する。他の実施形態
において、ヒト対象におけるHPVタンパク質は、HPV組み換え型タンパク質に対する
抗体を用いて検出し、限定することはないが、様々なHPV初期および後期タンパク質に
対する様々なポリクロ―ナルおよびモノクローナル抗体がある。
【0042】
本願明細書で開発した抗体は、高品質であり、または、高感度およびHPV感染をスク
リーニングし子宮頸癌の検出に特異的な免疫学的分析をにおいて有効な、HPV初期およ
び後期遺伝子によってコードした正確に精製組み換え型タンパク質である。モノクローナ
ル抗体は、ELISA(抗原捕捉免疫測定法)、パピローマウイルス性タンパク質の抗原
分析、パピローマウイルス性タンパク質に対する抗体の抗体分析、パピローマウイルス性
免疫複合体の分析、タンパク質チップ分析、放射免疫沈降分析、迅速膜放射免疫沈降分析
、迅速スティック免疫クロマトグラフィー、組織および/または子宮頸部細胞の免疫組織
化学、およびフローサイトメトリによる免疫化学分析からなる群から選択した1個以上の
免疫学的分析に用いることができる。一つの実施形態において、1個以上の免疫学的分析
は、最小またはさらなる装置を必要としない非侵襲的である。
【0043】
免疫学的分析を行う基本技術は、Antibodies: A Laboratory Manual", Harlow and Lan
e, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y. 1989; "Molecular Clo
ning", A Laboratory Manual, eds. Sambrook, Fritsch and Maniatis, Cold Spring Har
bor Laboratory Press, 1989および他の本および当該技術において既知のマニュアルにお
いてわかる。関連する免疫学的分析、組織および/もしくは子宮頸部細胞に対する免疫化
学分析、および/またはフローサイトメトリによる免疫染色分析も、2006年11月1
3日に開示された米国特許第11/559366号明細書「ヒトパピローマウイルス(H
PV)の検出方法および子宮頸癌におけるその用途」;2008年4月14日に開示され
た米国特許第12/082740号明細書「HPV検出のためのタンパク質チップ」;2
008年6月13日に開示された米国特許第61/131991号明細書「HPV検出の
ための抗体および分析」;2008年9月22日に開示された米国特許第61/1929
12号明細書「HPVに関連する子宮頸癌の初期段階および後期段階の検出、スクリーニ
ングおよび診断に有効なHPVタンパク質に対する新規のモノクローナル抗体」;本明細
書で開示している(NEOD/0005.01)「初期および後期HPV感染のin s
itu検出」;本明細書で開示している(NEOD/0005.02)「初期および後期
HPV感染のin situ検出」;本明細書で開示している(NEOD/0005.0
2)「初期および後期HPV感染のin situ検出」においてわかる。上述の参照文
献は全て参照して組み込む。
【0044】
一つの実施形態において、本発明はまた、一般的なHPV感染症および様々なHPV遺
伝子型、高リスクHPVおよび低リスクHPVによる感染を検出するのに有効な、様々な
方法、検出分析およびキット、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体、ポリペプチド
、組み換え型タンパク質および核酸も提供する。加えて、HPVタンパク質の存在を検出
する分析またはサンプルフォーマットは限定されず、子宮頸部組織、子宮頸部細胞、子宮
頸部のこすり取ったもの、血清、体液などに用いることができる。有効なスクリーニング
または診断分析は、IHC,ICC、フローサイトメトリ、ビーズに結合した抗体、迅速
試験、タンパク質チップ、ドットプロット、スロット、および従来のELISA分析であ
る。HPVタンパク質は、病理学者による分類後IHC染色によって示すように上皮組織
において存在する本発明の抗体によって検出できる。
【0045】
本発明において説明する抗体は、様々なソースの生物学的サンプルにおいて存在するH
PVタンパク質を検出するツールを提供する。実施例として、本願明細書で記載する抗体
は、マイクロタイタープレート上にコーティングする捕捉抗体として用いることができ、
および/またはELISA(抗原捕捉免疫測定)のサンドウィッチフォーマットとして検
出抗体として用いることができる。HPVタンパク質および/またはHPV型の検出によ
って、抗体は、特定のHPVタンパク質もしくはHPV型、またはそれらの組み合わせに
対するモノクローナル抗体の本願明細書で記載する特異性に基づいた用途に対して選択す
る。本願明細書で記載するモノクローナル抗体の選択した特異性からの検出抗体は、ビオ
チン、アルカリリン酸塩、HRP,読み取るための色測定、化学発光または蛍光基質に基
づいた蛍光試薬などの標識と直接結合することができる。検出抗体はまた、ビオチン、ア
ルカリリン酸塩、HRP,蛍光試薬などの標識に結合した2次抗体によって本願明細書で
記載したポリクローナル抗体から選択する。捕捉および検出抗体としてのサンドウィッチ
ELISAに対して用いるポリクローナルおよびモノクローナル抗体の組み合わせは、結
合を検出するシグナルを増幅する二次抗体を組み込むことによって分析感度を上げる。直
接的EIA(酵素免疫測定)に対して、試験する細胞、サンプルまたは培養細胞を収集し
溶解して、検体としての細胞溶解物を生成した。細胞溶解物におけるタンパク質を定量化
し、各ウェルに対して各サンプルをコーティングするために同量のタンパク質を用いてマ
イクロタイタープレートにコートし、その後、本願明細書で記載する特異性を有する抗体
を検出した。
【0046】
様々なHPV遺伝子型からのHPV DNA、遺伝子、初期ウイルス性タンパク質、後
期ウイルス性タンパク質、発癌タンパク質および/またはカプシドタンパク質の検出は、
"Antibodies: A Laboratory Manual", Harlow and Lane, Cold Spring Harbor Laborator
y, Cold Spring Harbor, N. Y. 1989; "Molecular Cloning", A Laboratory Manual, eds
. Sambrook, Fritsch and Maniatis, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989,およ
び他の本およびマニュアルに従って、in vitroおよびin vivo方法および
検出分析によって行い、HPV感染の一般的な臨床スクリーニングにおいて非常に有効で
ある。
【0047】
加えて、免疫学的分析によるHPV抗体および/または発癌タンパク質の検出は、HP
V感染に対する一般的な臨床スクリーニングおよび子宮頸癌に対する初期診断において用
いることができ、1個の迅速試験または多重試験において行うことができる。
【0048】
異なる濃度のHPVタンパク質および宿主タンパク質の比較検出は、本発明の抗体を用
いた同一のまたは異なる免疫学的分析において行うことができる。また、子宮頸部のHS
Vに関連する癌の診断において用いることができ、HPV感染によって誘起した内皮細胞
の異常に関連する場合、前癌状態および癌状態のHPVに関連する内皮細胞病変、および
HPVに関連する子宮頸癌および腺癌に発展するリスクがある場合も用いることができる
。本願明細書で記載する方法は、独立して用いることができる、または、従来の細胞パパ
ニコロースメア試験または組織学試験に付属するスクリーニングツールとして用いること
ができ、その結果を経過観察する患者の管理と比較することができる。
【0049】
本発明の抗体は、HPV感染によって発生した病期を検出する免疫学的分析において用
いることができる。これらの病期は、例えば、初期HPV感染、後期HPV感染、初期子
宮頸部細胞病変、後期子宮頸部細胞病変、軽度扁平上皮内病変(LSIL)、重度扁平上
皮内病変(HSIL)、異型扁平上皮細胞(ASCUS)、子宮頸部上皮内癌段階1,2
,3(それぞれCIN1,CIN2,CIN3)、発展した子宮頸癌、腺癌(ADC)ま
たは扁平上皮細胞癌(SCC)である。
【実施例】
【0050】
1.抗血清および抗HPV抗体を生成し、モノクローナル抗体に対してハイブリドーマ細
胞をスクリーニングするために免疫原として用いるHPV組み換え型タンパク質の発現、
精製および準備
HPV組み換え型タンパク質は、限定することはないが、E2,E6、E7,L1,L
2等の初期遺伝子および/または後期遺伝子のHPVタンパク質である、いずれかの種類
のHPVタンパク質であり、様々なHPV型からでよい。全長E6,E7および/または
L1ポリペプチド配列は、タンパク質精製間の望ましくない凝集化、タンパク質の不安定
性、低度の発現、精製タンパク質の低い免疫原反応のために獲得および精製が非常に難し
いと考えられている。例えば、多くの初期E6発癌タンパク質が、多くのシステインアミ
ノ酸を有し、これによってE6発癌タンパク質の正しいトポグラフィー(地図)は、多く
のジスルフィド結合特性の形成を必要とする。加えて、初期E6およびE7タンパク質の
小ペプチドを用いた特定の免疫学的分析の結果、非常に低い分析特異性および感度となり
、臨床的in vitro診断のツールとして望ましくない。したがって、本発明は、部
分配列または全長配列のHPV発癌タンパク質を有する組み換え型ハイブリッドタンパク
質等の組み換え型タンパク質を提供する。
【0051】
1)HPV16 E6およびHPV18 E6遺伝子によってコードした様々な組み換
え型タンパク質のクローン化および生成
例示的なHPV型であるHPV−16からの例示的な発癌性E6初期遺伝子はクローン
であった。本願明細書でクローン化したHPV16 E6遺伝子は、全HPV−16 E
6遺伝子の157アミノ酸コーディング領域を有し、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増
幅によって得られた474塩基対(b.p.)DNAフラグメントである。独立したDN
AフラグメントのDNA配列は、遺伝子バンクのデータベースからの配列と比較すること
によって確認した。組み換え型HPV−18 E6タンパク質も得た。全てのクローン化
手順は、"Molecular Cloning", A Laboratory Manual, eds. Sambrook, Fritsch and Man
iatis, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989において開示されたプロトコールに
従って行う。加えて、HPV18 E6遺伝子もクローン化し、DNA配列を確認した。
【0052】
2)HPV16 E7およびHPV18 E7遺伝子によってコードした様々な組み換
え型タンパク質のクローン化および生成
例示的なHPV型であるHPV−16からの例示的な発癌性E7初期遺伝子はクローン
であった。本願明細書でクローン化したHPV16 E7遺伝子は、全HPV−16 E
7遺伝子の99アミノ酸コーディング領域を有し、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅
によって得られた294塩基対(b.p.)DNAフラグメントである。独立したDNA
フラグメントのDNA配列は、遺伝子バンクのデータベースからの配列と比較することに
よって確認した。組み換え型HPV−18 E7タンパク質も得た。加えて、異なるHP
V型からのE7 DNAフラグメントも異なる臨床サンプルまたはソースからクローン化
した。
【0053】
3)HPV16 L1およびHPV18 L1遺伝子によってコードした様々な組み換
え型タンパク質のクローン化および生成
例示的なHPV型であるHPV−16からの例示的な発癌性E7後期遺伝子はクローン
であった。本願明細書でクローン化したHPV16 E7遺伝子は、全HPV−16 L
1遺伝子の531アミノ酸コーディング領域を有し、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増
幅によって得られた1596塩基対(b.p.)DNAフラグメントである。独立したD
NAフラグメントのDNA配列は、遺伝子バンクのデータベースからの配列と比較するこ
とによって確認した。組み換え型HPV−18 E7タンパク質も得た。加えて、異なる
HPV型からのL1 DNAフラグメントも異なる臨床サンプルまたはソースからクロー
ン化した。
【0054】
HPV16 L1タンパク質の組み換え型N−末端フラグメントもHisタグした発現
システムから得た。HPV−16 L1 N−末端組み換え型タンパク質の分子量は、約
34kDである。L1 C−末端フラグメントも得た。組み換え型HPV−18 L1タ
ンパク質も得て、抗血清、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体に対する免疫原とし
て用いた。
【0055】
本願明細書で記載する1個以上の組み換え型タンパク質は、例えば、当該技術において
既知の、大腸菌、酵母、バキュロウイルス、および/または哺乳動物細胞培養等における
細菌発現システム、ウイルス発現システム、酵母発現システム、哺乳動物発現システム等
の様々な適切なシステムにおいて発現する。ポリペプチドは、他の方法によって得ること
ができるが、本発明の実施形態は、それらの天然形である1個以上の組み換え型タンパク
質を提供し、免疫学的分析におけるHPV感染したヒト対象の組織からの抗体に結合を確
認するのに望ましい。例えば、GST,MBP,またはHisタグしたHPV16 E6
,HPV16 E7,HPV18 E7,HPV16 L1およびHPV18 L1組み
換え型タンパク質は、IPTG駆動誘導を用いて大腸菌BL21(DE3)において発現
した。タンパク質の発現を誘導後、タグHPV組み換え型タンパク質は、培養した細胞の
溶解後の可溶画分から得て、約0.1〜1mg/mL以上の最終濃度まで精製した。組み
換え型HPVタンパク質の純度は、PAGE分析を基にして90%以上であると推測した
。組み換え型HPVタンパク質は、臨床サンプルにおけるHPV抗体の存在を検出し、ポ
リクローナル抗血清およびモノクローナル抗体を生成する免疫原としても用いた。
【0056】
本願明細書で記載する様々な発現ベクターにおける様々な組み換え型パピローマウイル
スタンパク質を得る細胞培養液を、その後最大1リットルもしくは10リットル、または
100リットル以上まで増やし、多量の精製する可溶組み換え型タンパク質を得た。細胞
溶解後の可溶画分は、適切な発現システムで様々なクロマトグラフィーに通して、HPV
組み換え型タンパク質に沿って発現したタグに結合させた。その後、タグHPV組み換え
型タンパク質をカラムから溶出し、100mLまたは10mLから1mLまで濃縮した。
精製可溶組み換え型HPVタンパク質をさらに濃縮し、中性pHでの緩衝液またはPBS
緩衝液で透析し、HPVタンパク質に対する抗血清を生成する免疫原として用いた。この
ように、可溶組み換え型HPVタンパク質を、可溶画分から精製し、in vivoの性
質のそのままの折り畳み状態に近いように折り畳んだ。
【0057】
高品質な精製組み換え型HPVタンパク質の獲得は、HPV感染を検出する共通のエピ
トープまたは特定のエピトープを認識する様々な種類のモノクローナル抗体の生成におい
て重要である。精製組み換え型HPVタンパク質は、HPV感染臨床サンプルからのHP
V抗体への結合を確認するために試験した。したがって、この精製組み換え型HPVタン
パク質は、抗血清を上げる免疫原として用いるのに適切であり、in vivoのHPV
ウイルス性タンパク質を認識できる抗体を生成する。
【0058】
2.抗HPVポリクローナル抗体生成
大腸菌において発現した組み換え型HPV E6,E7またはL1を精製、濃縮および
PBSで透析し、免疫原として用いた。免疫付与を標準的なプロトコールにしたがって行
った。得られた各血清をELISA分析によって試験し、その後定期的なブースティング
および出血させた。適切な滴定量からの生成出血を収集した;処理した血清をタンパク質
Aカラムまたは親和カラムを介して免疫グロブリン(lg)精製を行うのに用いた。精製
lgGをHPV免疫分析に対する抗HPV抗体として用いた。
【0059】
モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、および抗血清を獲得、精製および試験して
、HPV感染、細胞病変、炎症または癌疾患発展の発病に関係なくHPV感染を検出した
。他の研究者は、抗HPVモノクローナル抗体を開発しようと試みたが、モノクローナル
抗体の生成に十分なHPVタンパク質の生成に失敗したため失敗してきた;彼らは免疫原
が免疫原性でなかったため高い特異性を有するモノクローナル抗体の生成に失敗した;ま
たは、初期段階HPV感染した臨床サンプルにおいて存在するHPVタンパク質の天然形
を認識できない抗体を生成した。変異ペプチドに対して上昇するいくつかの抗体の未、後
期段階子宮頸がんを認識できるが、それらの抗体が野生型HPV天然タンパク質またはい
ずれかの初期段階HPV感染かどうかは確証できない。加えて、後期段階HPV検出は、
疾患の医療介入および治療するには遅すぎる。
【0060】
本願明細書で記載する抗体の臨床的用途は、適切な臨床サンプルを用いて、ELISA
分析、免疫細胞化学分析、免疫組織化学分析等のHPV免疫学的分析によって評価した。
本発明の方法から得た新規のモノクローナル抗体および抗血清は、臨床サンプルにおいて
存在するHPVウイルス性タンパク質に相互作用および結合することができ、子宮頸部上
皮内腫瘍(CIN)等の初期段階細胞病変および後期段階HPVに関連した子宮頸癌を有
することを確認する。本願明細書で記載するモノクローナル抗体および抗血清は、HPV
に関連する発病および初期および後期の両方における子宮頸癌の発展を検出およびスクリ
ーニングする有効なツールを提供し;疾患の進行に介入する手段および初期治療を提供す
る機械を提供する。
【0061】
3.HPVモノクローナル抗体の開発
大腸菌において発現した組み換え型HPV E6,E7またはL1を精製、濃縮および
PBSで透析し、免疫原として用いた。マウスの免疫付与を標準的なプロトコールにした
がって行った。得られた各血清の滴定をELISA分析によって試験し、その後定期的な
ブースティングおよび出血させた。マウスの血清の滴定は最適となり、腫瘍細胞を有する
マウスの脾臓細胞の融合を標準的なプロトコールにしたがって行った。融合細胞、例えば
ハイブリドーマ細胞のクローン化をさらに培養した。
【0062】
1)ハイブリドーマのスクリーニング
本発明において記載する、panを有するハイブリドーマ細胞を生成し、様々なHPV
タンパク質に特異的に結合する抗HPV抗体生成ハイブリドーマ細胞を得るため、ハイブ
リドーマクローンを、元の免疫原だけでなく陽性スクリーニングのさらなるHPVタンパ
ク質および陰性スクリーニングの無関係のタンパク質等の様々なタンパク質でスクリーニ
ングした。例えば2個以上の精製HPV組み換え型タンパク質を、各ハイブリドーマクロ
ーンに対してスクリーニングして、抗体生成ハイブリドーマ細胞をスクリーニングおよび
獲得し、こうして得られた各抗体生成ハイブリドーマ細胞株の特異性を試験および理解す
るために用いた。
【0063】
ハイブリドーマスクリーニングの実施例として、抗体生成ハイブリドーマ細胞を2個以
上の精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質でスクリーニングして、モノク
ローナル抗体が2個以上の精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質に反応で
きるようにした。2個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質には、限定
することはないが、HPV16 E6タンパク質、HPV16 E7タンパク質、HPV
16 L1タンパク質、HPV18 E6タンパク質、HPV18 E7タンパク質、H
PV18 L1タンパク質および様々なHPV型からの他のHPV初期および後期タンパ
ク質がある。
【0064】
抗体生成ハイブリドーマ細胞は、2個以上の精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性
タンパク質の全てに陽性反応を示し、BSA,hisタグ、GSTタンパク質、マルト
ース結合タンパク質(MBP)、組み換え型タンパク質において用いる他のタグまたはタ
ンパク質、他の容易に利用できる非HPVタンパク質等の非HSVタンパク質に陰性反応
を示すようにスクリーニングする。このように、このハイブリドーマスクリーニングから
生成したモノクローナル抗体は、2個以上の精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タ
ンパク質に対応する、2個以上のHPVウイルス性タンパク質全てに結合することができ
る(例えば、臨床サンプルにおいて存在するHPVウイルス性タンパク質)。
【0065】
2個以上の精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質の一つの実施例は、H
PV初期タンパク質であり、モノクローナル抗体は、2個以上のヒトパピローマウイルス
性初期タンパク質に反応することができる。例えば、このようにスクリーニングおよび獲
得した一つのハイブリドーマ細胞株は、HPV16 E6およびHPV16 E7の両方
の共通のエピトープを認識できるモノクローナル抗体を生成する。このようにスクリーニ
ングおよび獲得した他のハイブリドーマ細胞株は、HPV18 E6およびHPV18
E7の両方の共通のエピトープを認識できるモノクローナル抗体を生成する。
【0066】
2個以上の精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質の他の実施例には、精
製組み換え型パピローマウイルス性初期タンパク質および精製組み換え型ヒトパピローマ
ウイルス性後期タンパク質があり、生成したモノクローナル抗体は、精製組み換え型パピ
ローマウイルス性初期タンパク質および精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性後期タ
ンパク質の共通のエピトープを認識できる。精製組み換え型パピローマウイルス性初期タ
ンパク質は、HPV16 E6タンパク質、HPV16 E7タンパク質、HPV18
E6タンパク質、HPV18 E7タンパク質および他のHPV組み換え型初期タンパク
質であり、精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性後期タンパク質は、HPV16 L
1タンパク質、HPV18 L1タンパク質、および他のHPV組み換え型後期タンパク
質である。例えば、このようにスクリーニングおよび獲得したハイブリドーマ細胞株は、
HPV16E7およびHPV18 E6タンパク質の共通のエピトープを認識するモノク
ローナル抗体;HPV16 E6,HPV16 E7、HPV16 L1,HPV18
E6,HPV18 E7タンパク質の共通のエピトープを認識できるモノクローナル抗体
を生成する。多くの実施形態を本発明の図面において提供する。
【0067】
抗体生成ハイブリドーマ細胞はまた、第1HPV型からの第1精製組み換え型ヒトパピ
ローマウイルス性タンパク質および第2HPV型からの第2精製組み換え型ヒトパピロー
マウイルス性タンパク質でスクリーニングし、モノクローナル抗体が2個以上の異なるH
PV型からのヒトパピローマウイルス性タンパク質の共通のエピトープを反応できるよう
にする。第1および第2HPV型は、HPV16,HPV18および他のHPV型である
。2個以上の異なるHPV型は、例えば、高リスクHPV型、低リスクHPV型、HPV
−16,HPV−18,HPV−31,HPV−33,HPV−35,HPV−39,H
PV−45,HPV−51,HPV−52,HPV−56,HPV−58,HPV−59
およびHPV−68、HPV−68,HPV−6,HPV−11,HPV−42,HPV
−43,HPV−44,HPV−53,HPV−54,HPV−55およびHPV−56
である。例として、第1および第2精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質
は、組み換え型HPV16 E6タンパク質、組み換え型HPV16 E7タンパク質、
組み換え型HPV16 L1タンパク質、組み換え型HPV18 E6タンパク質、組み
換え型HPV18 E7タンパク質および組み換え型HPV18 L1タンパク質である
【0068】
ハイブリドーマスクリーニングの他の実施例として、抗体生成ハイブリドーマ細胞を、
2個以上の精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質のいくつかに陽性反応を
示し、2個以上の精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質のいくつかおよび
/または非HPVタンパク質に陰性反応を示すタンパク質でスクリーニングする。このよ
うに、このハイブリドーマスクリーニングから生成したモノクローナル抗体は、他のHP
Vウイルス性タンパク質ではなくいくつかのHPVウイルス性タンパク質に結合すること
ができる。
【0069】
例えば、モノクローナル抗体は、第1HPV型からの第1精製組み換え型ヒトパピロー
マウイルス性タンパク質および第2HPV型からの第2精製組み換え型ヒトパピローマウ
イルス性タンパク質でスクリーニングすることによって獲得し、モノクローナル抗体は、
他の精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質ではなく第1および第2精製組
み換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質の一つの特定のエピトープに反応する。得
られた特異的なモノクローナル抗体には、他のHPVタンパク質ではなくHPV16 E
6タンパク質にのみ結合することができるモノクローナル抗体;他のHPVタンパク質で
はなくHPV16 E7タンパク質にのみ結合することができるモノクローナル抗体;他
のHPVタンパク質ではなくHPV16 L1タンパク質にのみ結合することができるモ
ノクローナル抗体;他のHPVタンパク質ではなくHPV18 E6タンパク質にのみ結
合することができるモノクローナル抗体;他のHPVタンパク質ではなくHPV18 E
7タンパク質にのみ結合することができるモノクローナル抗体がある。
【0070】
2)ハイブリドーマ細胞株ストック:免疫学的分析(例えば、ELISA,EIAおよ
び他の分析)によって判断した所定の陽性反応および所定の陰性反応を示すハイブリドー
マ細胞株クローンを選択して単一細胞にクローン化した。各単一細胞クローンをその後、
組織培養によって成長した。細胞数はmL当たり百万に到達し、細胞を凍結して−80°
Cまたは強力ストックとして液体窒素においた。
【0071】
3)腹水生成:各ハイブリドーマ細胞株を組織培養において成長させ、マウスに腹水生
成させるように注射した。腹水を収集して、タンパク質Gカラムによって免疫グロブリン
精製に対して処理した。各ハイブリドーマ細胞株からの精製免疫グロブリンをイソタイプ
して、HPV免疫学的分析に用いた。
【0072】
4.各抗HPV抗体の特異性
1個以上の免疫学的分析を用いて、2個以上のHPV組み換え型タンパク質でハイブリ
ドーマ細胞をスクリーニングすることによって得たモノクローナル抗体の特異性を試験し
た。EIA(酵素免疫測定)および/またはウエスタンブロットを、本願明細書で記載す
るHPV抗体の特異性を試験する分析フォーマットとして用いた。様々な精製組み換え型
HPVタンパク質には、抗HPV抗体を得るのに用いる元のスクリーニングタンパク質お
よびスクリーニングに用いない他のタンパク質があり、EIA上で得られた抗HPV抗体
の特異性を試験するマイクロタイタープレート上にコーティングするのに用いた。(HP
V感染しているまたはしていない)子宮頸癌細胞株からの細胞溶解物も、ウエスタンブロ
ットによる抗HPV抗体の特異性を試験するのに用いた。HPV抗体のHPV感染した細
胞株からのタンパク質との結合および反応性を確認するため、ウエスタンブロットは、H
PV感染した細胞株において存在するタンパク質に対応する特異的なタンパク質結合を証
明するのに非常に有効である。これらのウエスタンブロットタンパク質結合は、SDS−
PAGEゲル状のそれらの期待した分子量で組み換え型HPVタンパク質と比較すること
ができる。Hela細胞株(HPV陽性)、SiHa細胞株(HPV16陽性)およびC
33A細胞株(HPV感染なし)等の子宮頸癌細胞株からの細胞溶解物を用いて、ウエス
タンブロットで本発明の抗HPVモノクローナル抗体によってHPV E6,E7または
L1の検出を行うのに用いた。
【0073】
それらの天然形の様々な組み換え型タンパク質をマイクロタイタープレートの底部にコ
ートして、EIA分析を行い、本発明の方法によって生成した各抗体の特異性を試験する
。同じHPV型からの2個以上のHPVウイルス性タンパク質に結合することができるモ
ノクローナル抗体を得る。図1Aおよび図1Bは、ハイブリドーマ細胞の2個の異なるク
ローンを示し、各クローンは、HPV16 E6およびHPV16 E7の両方の共通の
エピトープを認識するモノクローナル抗体を生成することができる。図1Aおよび図1B
において、EIAの陽性反応は、組み換え型HPV16 E6およびHPV16 E7で
のみ観察され、組み換え型HPV E6,HPV18 E7,HPV L1 N−末端、
HPV16 L1および6x−Hisタンパク質では陰性反応を示すまたは反応が観察さ
れない。これらのデータは、この種類のモノクローナル抗体がHPV16 E6およびH
PV E7に特異的に結合するが、HPV16 L1またはHPV18 E7には結合し
ないことを実証する。
【0074】
同じHPV型からの初期HPVウイルス性タンパク質および後期HPVウイルス性タン
パク質に結合できるモノクローナル抗体を得る。図2Aは、EIAで、組み換え型HPV
E6,HPV E7およびHPV L1タンパク質の全てに結合でき、HPV18 E
6,HPV18 E7および6x−Hisタンパク質に陰性反応を示すモノクローナル抗
体の特異性を示す。これらのデータは、この種類のモノクローナル抗体がHPV16 E
6およびL1タンパク質の天然系に強く反応し、HPV16 E7の天然系には弱く反応
するが、HPV18 E6またはHPV18 E7タンパク質の天然系には反応しないこ
とを示す。これらのデータは、この種類のモノクローナル抗体が、HPV16 E6,H
PV16 E7およびHPV16 L1タンパク質の全ての天然形によって認識されるH
PV16型特異の共通のエピトープを有することを示す。
【0075】
図2Bは、組み換え型HPV E6,HPV E7およびHPV L1タンパク質に
反応できるモノクローナル抗体のウエスタンブロット分析の結果を示す。本願明細書で記
載する抗体を用いてウエスタンブロットによって検出した組み換え型タンパク質は、HP
V E6(約18〜20kDa)およびHPV L1(約55kDa)タンパク質の検出
を行う。期待した分子量を示した各組み換え型タンパク質は、本願明細書で記載するモノ
クローナル抗体が、ウエスタンブロットのとき、変性したHPV16 E6およびHP
V18 E6に強く反応し、変性したHPV L1タンパク質に弱く反応し、HPV16
E7およびHPV18 E7には検出可能な反応性を示さないことを示す。図2Aおよ
図2Bにおける結果を比較すると、これらのデータは、この抗HPVモノクローナル抗
体が天然形のHPV16 E6、HPV16 E7およびHPV16 L1タンパク質お
よび変性形のHPV18 E6組み換え型タンパク質によって認識できるHPV共通エピ
トープを有することを示す。
【0076】
図2Cは、図2Bにおいて用いたのと同じモノクローナル抗体と反応する様々な子宮頸
癌細胞株からの細胞溶解物を用いたウエスタンブロットの結果を示す。各細胞株からの子
宮頸癌細胞株の細胞溶解物および変性形の組み換え型タンパク質の両方を比較してここに
示す。このモノクローナル抗体のHPV E6,HPV E7およびHPV L1タンパ
ク質との特異性は、モノクローナル抗体がHPV感染した子宮頸癌細胞株において存在す
るHPVウイルス性タンパク質を認識できるが、HPV感染していない細胞株のは認識で
きないことから確認できる。17kDaの標準的な分子量マーカーの周囲でモノクローナ
ル抗体によって検出した二重結合は、HeLa(HPV18感染)およびSiHa(HP
V16感染)細胞株における子宮頸癌細胞株からのHPV E6タンパク質(約18kD
a)およびHPV E7(約15kDa)タンパク質の検出を行う。期待した分子量を有
する組み換え型タンパク質レーン上の結合は、モノクローナル抗体が、ウエスタンブロッ
トのとき、変性したHPV16 E6およびHPV18 E6に強く反応し、変性した
HPV L1組み換え型タンパク質に弱く反応し、HPV16 E7およびHPV18
E7には検出可能な反応性を示さないことを示す。
【0077】
異なるHPV型からの初期HPVウイルス性タンパク質および後期HPVウイルス性タ
ンパク質に結合できるモノクローナル抗体も得る。図3Aは、EIAで、HPV16およ
びHPV18型からの組み換え型E6,E7およびL1タンパク質に反応できるモノクロ
ーナル抗体の特異性を示す。これらのデータは、この種類のモノクローナル抗体がHPV
16の組み換え型E6,E7およびL1タンパク質およびHPV18の組み換え型E6お
よびE7タンパク質の全てに特異的に反応するが、his−タグペプチドには反応しない
(組み換え型タンパク質が発現および精製に対して6x−Hisに溶解しても)ことを示
す。これらのデータは、この抗体が、組み換え型HPV16 E6,HPV16 E7,
HPV16 L1,HPV18 E6およびHPV18 E7タンパク質の全てに反応す
ることができる能力によって示すように、異なるHPV型のHPV16およびHPV18
によって共有された共通のエピトープを認識することを示す。
【0078】
図3Bは、図3Aにおいて用いたモノクローナル抗体を用いたウエスタンブロットの結
果を示す。このモノクローナル抗体のこれらの組み換え型タンパク質(すなわち、HPV
16およびHPV18の組み換え型E6,E7およびL1タンパク質)に対する陽性反応
は、モノクローナル抗体が、E6(約18kDa)、E7(約15kDa)およびL1(
約55kDa)タンパク質を認識できることを示す。ウエスタンブロット分析の各組み換
え型タンパク質レーンから結果できた結合は、期待した分子量を示し、このモノクローナ
ル抗体が、ウエスタンブロットのとき、HPV16およびHPV18からの変性したE6
およびE7タンパク質に強く反応し、変性したL1タンパク質に弱く反応することを示す
図3Aおよび図3Bの結果は、このモノクローナル抗体が、HPV共通のエピトープを
認識し、天然形および変性形のHPV16 E6、HPV16 E7、HPV16 L1
、HPV18 E7およびHPV18 E6タンパク質と反応できることを示す。
【0079】
図3Cは、図3Aおよび図3Bにおいて用いたのと同じモノクローナル抗体と反応する
様々な子宮頸癌細胞株からの細胞溶解物を用いたウエスタンブロットの結果を示す。細胞
溶解物および変性形の組み換え型タンパク質の両方を試験してここに示す。17kDaの
標準的な分子量マーカーの周囲でモノクローナル抗体によって検出した二重結合は、He
La(HPV18)およびSiHa(HPV16)細胞株における子宮頸癌細胞株からの
HPV E6タンパク質(約18kDa)およびHPV E7(約15kDa)タンパク
質の検出を行うが、C33A(非HPV感染)細胞株の検出は行わない。期待した分子量
を有する組み換え型タンパク質レーン上の結合は、モノクローナル抗体が、ウエスタンブ
ロットのとき、変性したHPV16 E6、HPV18 E6、HPV18 E7組み
換え型タンパク質に強く反応し、変性したHPV L1組み換え型タンパク質に弱く反応
し、HPV16 E7には検出可能な結合を示さないことを示す。
【0080】
異なるHPV型からの2個以上のHPVウイルス性タンパク質に結合できるモノクロー
ナル抗体も得る。例えば、HPV16およびHPV18の組み換え型E6タンパク質に反
応できるモノクローナル抗体を得る。図4Aは、EIAで、HPV16 E6およびHP
V18 E6タンパク質の共通のエピトープを認識でき反応できるモノクローナル抗体の
特異性を示す。天然形の組み換え型タンパク質を、マイクロタイタープレート上にコーテ
ィングする。これらのデータは、モノクローナル抗体が天然形の組み換え型HPV16
E6およびHPV18 E6タンパク質に強く反応するが、天然形の組み換え型HPV
E7およびHPV L1タンパク質に反応性を示さないことを示す。
【0081】
図4Bは、HPV感染した子宮頸癌細胞株において存在するHPV16およびHPV1
8 E6ウイルス性タンパク質に特異的に結合する、図4Aにおいて用いたのと同じモノ
クローナル抗体と反応する様々な子宮頸癌細胞株からの細胞溶解物を用いたウエスタンブ
ロットの結果を示す。17kDaの標準的な分子量マーカーの周囲でモノクローナル抗体
によって検出した一重結合は、HeLa(HPV18)における子宮頸癌細胞株からのH
PV E6タンパク質(約18kDa)タンパク質の検出を行うが、C33A(非HPV
感染)細胞株の検出は行わない。期待した分子量を有する組み換え型タンパク質レーン上
の結合は、モノクローナル抗体が、変性したHPV18 E6組み換え型タンパク質に
強く反応することを示す。
【0082】
異なるHPVからの1個以上のHPVウイルス性タンパク質に結合できる他の例示的な
モノクローナル抗体は、HPV16 E6およびHPV18 E7タンパク質に特異的に
結合するモノクローナル抗体である。図5は、EIA分析したときのこのモノクローナル
抗体の特異性を示す。これらのデータは、本願明細書で記載するモノクローナル抗体が、
天然形の組み換え型HPV16 E7およびHPV18 E7タンパク質に強く反応する
が、天然形のHPV E6および組み換え型HPV L1には反応を示さないことを示す
。これらのデータは、この抗体がHPV型に関わらず、E7のみの共通のエピトープを認
識することを示す。
【0083】
第1HPVウイルス性タンパク質だけ結合でき、第1HPVウイルス性タンパク質とは
異なる第2HPVウイルス性タンパク質には結合できないモノクローナル抗体も得る。図
6は、EIAで、組み換え型HPV16 E6に反応でき、他の組み換え型HPVタンパ
ク質には反応できないモノクローナル抗体の特異性を示す。HPV16 E6のみに反応
でき、HPV18 E6または他の組み換え型HPVタンパク質に反応できない特異的な
エピトープを有するこのモノクローナル抗体が見られる。これらのデータは、本願明細書
で記載するモノクローナル抗体が天然形のHPV16 E6タンパク質に強く反応するが
、天然形の組み換え型HPV E7またはL1タンパク質には反応しないことを示す。こ
れらのデータは、この抗体が、HPV16 E6タンパク質のみに反応でき、HPV16
E6特異性エピトープを認識することを示す。
【0084】
他の例として、図7は、EIAで、組み換え型HPV E6タンパク質に反応できるが
、他の組み換え型HPVタンパク質には反応できないモノクローナル抗体の特異性を示す
。このモノクローナル抗体は、HPV18 E6タンパク質のみに特異性を有し、HPV
16 E6または他の組み換え型タンパク質には交差反応性を示さない。これらのデータ
は、HPV18 E6タンパク質のみに反応できる抗体がHPV18 E6特異的なエピ
トープを認識することを示す。
【0085】
図7Bは、図7Aにおいて用いたのと同じモノクローナル抗体と反応する様々な子宮頸
癌細胞株からの細胞溶解物を用いたウエスタンブロットの結果を示す。17kDaの標準
的な分子量マーカーの周囲でモノクローナル抗体によって検出した一重結合は、HeLa
(HPV18)子宮頸癌細胞株におけるHPV E6タンパク質(約18kDa)の検出
を行うが、C33A(非HPV感染)細胞株の検出は行わない。期待した分子量を有する
組み換え型タンパク質レーン上の結合は、このモノクローナル抗体も、変性したHPV1
8 E6組み換え型タンパク質に強く反応することを示す。
【0086】
他の実施例として、図8は、EIAで、組み換え型HPV16 E7に反応できるが、
他の組み換え型HPVタンパク質には反応できないモノクローナル抗体の特異性を示す。
EIAで、HPV18 E7タンパク質または他の組み換え型タンパク質には交差反応性
がない。これらのデータは、本願明細書で記載するモノクローナル抗体が、天然形の組み
換え型HPV16 E7タンパク質に強く反応するが、天然形の組み換え型HPV E6
またはL1タンパク質には検出可能な結合をしないことを示す。これらのデータは、HP
V16 E7タンパク質のみに反応できるこの抗体がHPV16 E7エピトープを認識
することを示す。
【0087】
他の実施例として、第1HPVウイルス性タンパク質のみに結合できるが、第1HPV
ウイルス性タンパク質とは異なる第2HPVウイルス性タンパク質には結合できないモノ
クローナル抗体を示し、図9は、EIAで、組み換え型HPV18 E7に反応できるが
、他の組み換え型HPVタンパク質には反応できないモノクローナル抗体の特異性を示す
。これらのデータは、本願明細書で記載するモノクローナル抗体が、天然形のHPV18
E7タンパク質に強く反応するが、天然形の組み換え型HPV E6またはL1タンパ
ク質には反応しないことを示す。これらのデータは、HPV18 E7タンパク質のみに
反応できるこの抗体が、HPV18 E7特異性エピトープを認識することを示す。
【0088】
他の実施例として、図10Aおよび図10Bは、EIAで、組み換え型HPV16 L
1N−末端タンパク質のみに反応できるが、他の組み換え型HPVタンパク質には反応で
きない2個のモノクローナル抗体クローンの特異性を示す。EIAで、HPV16 H1
または他の組み換え型タンパク質には交差反応性がない。これらのデータは、本願明細書
で記載するモノクローナル抗体が、天然形の組み換え型HPV16 L1−N末端タンパ
ク質に強く反応するが、天然形の組み換え型HPV E6またはE7タンパク質には反応
をしないことを示す。これらのデータは、HPV16 L1−N末端タンパク質のみに反
応できるこの抗体がHPV16 L1 N−末端エピトープを認識することを示す。
【0089】
他の実施例として、図11は、EIAで、組み換え型HPV16 L1およびHPV1
6L1−N末端タンパク質に反応できるが、他の組み換え型HPVタンパク質には反応で
きないモノクローナル抗体の特異性を示す。このモノクローナル抗体は、HPV16 L
1およびHPV16 L1 N−末端タンパク質上に存在する特異的なエピトープを認識
する。他のHPV初期タンパク質との交差反応性は見られなかった。これらのデータは、
本願明細書で記載するモノクローナル抗体が、天然形の組み換え型HPV16 L1およ
びHPV16 L1−N末端タンパク質に強く反応するが、HPV16またはHPV18
からの天然形の組み換え型HPV E6またはE7タンパク質に反応をしないことを示す
。これらのデータは、HPV16 L1およびHPV16 L1 N−末端タンパク質の
みに反応できるこの抗体がHPV16 L1 N−末端特異性エピトープを認識すること
を示す。
【0090】
本発明において記載する抗体は、様々な免疫学的分析において用いることができる。免
疫学的分析の一つの実施例は、2個以上の抗HPV抗体を用いるサンドウィッチELIS
A分析である。サンドウィッチELISA分析を行うとき、まず、一次抗HPV抗体をマ
イクロタイタープレート上にコートし、HPVウイルス性タンパク質または組み換え型H
PVタンパク質を有するサンプルを試験して、マイクロタイタープレートの各ウェルに加
え、一次抗HPV抗体と反応させ、マイクロタイタープレートの底部表面上のHPVタン
パク質を捕捉する。第3に、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)または他の検出剤を
結合させた二次抗HPV抗体を加える。抗体−タンパク質複合体の検出は、通常、HRP
に対してはTMB基質等の検出剤に対する基質を加えることによって行い、例えばELI
SAリーダー等の検出装置によって、検出剤を付けた抗体−タンパク質複合体の存在を報
告する(これによって、HPVタンパク質との抗HPV抗体の結合活性に影響を与える)
。サンドウィッチELISA分析は、一次および二次抗HPV抗体によるHPVタンパク
質の特異的結合を提供し、これによって、2個の抗HPV抗体の特異性を特定または確認
する。本発明において、様々な抗体を、抗体特異性を示すためにコーティングする抗体お
よび検出抗体として用いた。
【0091】
【表1】
【0092】
実施例として、表1は、HPV18 E6タンパク質の存在を検出するためのELIS
A(酵素免疫測定)の実験設定および結果を示す(抗原試験)。この結果は、HPV18
E6組み換え型タンパク質は、コーティングおよび検出抗体がHPV18 E6に反応
できるとき検出できるが、コーティング抗体がHPV16 E6に結合できるが検出抗体
がHPV18 E6のみに特異的に反応するにも関わらず、HPV16 E6組み換え型
タンパク質は検出できないことを示す。同様の結果は、HPV16 E6およびHPV1
8 E6の両方に結合できる検出抗体によってコーティングした特異的抗HPV18 E
6を用いたときに得られた。データは、HPV18 E6組み換え型タンパク質をサンド
ウィッチ分析における試験タンパク質として用いるときに抗体の特異性がHPV18 E
6を認識するが、サンドウィッチ分析の抗原としての組み換え型HPV16 E6タンパ
ク質には反応性を示さないことを示す。本願明細書で記載する分析フォーマットは、限定
することはないが、子宮頸癌細胞からの細胞溶解物、子宮頸部をかき取ったサンプル、組
織、体液、血清などの生物学的サンプルにおいて存在するHPV18 E6タンパク質を
検出するのに用いた。この特異的なサンドウィッチ分析は、HPV18に特異的な型を提
供し、この分析において検出可能なHPV16 E6の結合を排除する。
【0093】
【表2】
【0094】
本発明において記載する抗体を示す他の実施例として、HPV E7タンパク質を用い
ることができ、表2は、コーティングおよび検出抗体に対してHPV18 E7に対する
モノクローナル抗体(HPV18 E7を認識する)を用いてHPV18 E7組み換え
型タンパク質の存在を検出するELISAの結果を示す。データは、抗体の特異性が、サ
ンドウィッチ分析の抗原としてHPV18 E7を用いてHPV18 E7を認識するが、
サンドウィッチ分析の抗原としてHPV16 E7を用いると反応しない。本願明細書で
記載するこの分析フォーマットは、限定することはないが、子宮頸癌細胞からの細胞溶解
物、子宮頸部をかき取ったサンプル、組織、体液、血清などの生物学的サンプルにおいて
存在するHPV E7タンパク質を検出するのに用いた。このサンドウィッチ分析は、H
PV18に対するE7特異性を提供し、HPV感染のスクリーニングおよびHPV E7
発癌タンパク質の検出に有効である。
5.抗HPV抗体の用途
【0095】
本発明において記載するHPV抗体は、一般的なHPV感染および様々な特異的なHP
V遺伝子型、高リスクHPVおよび低リスクHPVによる感染に対する様々な免疫学的分
析において用いることができる。HPVタンパク質の存在の検出において用いるサンプル
は限定されず、子宮頸部組織、子宮頸部かき取り、血清、体液などから得ることができる
。子宮頸癌もしくはHPV感染のスクリーニングまたは診断に有効な免疫学的分析は、I
HC分析、ICC分析、フローサイトメトリ分析、ビーズに結合した抗体を用いる分析、
迅速試験、タンパク質チップ分析、ドットプロットを有する免疫学的分析、スロットを用
いる免疫学的分析、および従来のELISA分析がある。スクリーニング試験として、H
PV抗体は、有資格の細胞学者によって行われたICCによって証明されるように、子宮
頸癌スクリーニングにおいて一般集団からの子宮頸部かき取りの内皮細胞においてin
situ存在するHPVタンパク質を検出するのに用いることができる。確認試験として
、HPV抗体はまた、有資格の病理学者によって行われたIHC染色によって証明される
ように、内皮組織においてin situ存在するHPVタンパク質を検出するのに用い
ることができる。
【0096】
1)精製抗HPV抗体の生物学的サンプルにおいて見つかるHPVタンパク質との反応性
HPV抗体のHPVタンパク質との反応活性を確認するため、精製HPV組み換え型タ
ンパク質および/または生物学的サンプルからの細胞溶解物を含むHPVをELISAま
たは直接EIAで試験する。生物学的サンプルには、限定することはないが、培養細胞か
らの細胞または臨床サンプルがある。
【0097】
【表3】
【0098】
実施例として、表3において示すデータのように、HPV E6、HPV E7または
HPV L1タンパク質に特異的なモノクローナル抗体は、陰性対照としてHEC−1A
を用いるとき、直接EIAにおける様々な子宮頸癌細胞株からの細胞溶解物と特異的に反
応できる。Caski,Sina,Cxca、Hela等の子宮頸癌細胞株、およびHE
C−1A(非HPV感染)等の子宮内膜癌細胞からの細胞溶解物を用いて、表3において
示すようにそれぞれ、HPV E6,HPV E7およびHPV L1に特異的なHPV
モノクローナル抗体によるHPV E6,E7,またはL1の検出を行うのに用いた。
【0099】
本願明細書で試験し記載する培養細胞には、限定することはないが、Caski(HP
V16陽性),Sina(HPV16陽性),Cxca、Hela(HPV18陽性)等
の子宮頸癌細胞およびHEC−1A(非HPV感染)等の子宮内膜癌細胞株がある。直接
EIAに対して、細胞を回収、遠心、洗浄および溶解して、検体として細胞溶解物を生成
した。細胞溶解物におけるタンパク質を、定量化し、各ウェルにおける各サンプルをコー
ティングするための同量のタンパク質を用いてマイクロタイタープレートにコーティング
した。プレートを遮断し、示したように各HPVモノクローナル抗体およびその後HRP
結合した抗マウスIgGによって検出した。TMB基質を加え、その後、標準的な反応停
止溶液を加えた。OD450をELISAプレートリーダーによって行った。
【0100】
2)精製抗HPV抗体のHPVタンパク質との反応性を臨床サンプルにおいて見つけた。
本願明細書で試験し記載する臨床サンプルは、限定することはないが、子宮頸部かき取
り、体液または血清サンプルである。子宮頸部かき取りからの臨床生検も、EIAでHP
V E6,E7またはL1タンパク質の検出をするために得た。
【0101】
液体の溶液、培養液(HPV DNA試験サンプルに対して用いた)、またはパップス
メアにおいて子宮頸部かき取りを含む様々なサンプルソースからの細胞溶解物は、本発明
において記載する様々なHPVモノクローナル抗体を用いてEIAフォーマット上で臨床
サンプルからのHPV E6,E7またはL1の検出を行う。本願明細書で記載する直接
EIAを行うため、生検を処理、遠心分離、洗浄および溶解して、検体として細胞溶解物
を生成した。細胞溶解物におけるタンパク質を定量化し、各ウェルにおける各サンプルを
コーティングするための同量のタンパク質を用いてマイクロタイタープレートにコーティ
ングした。プレートを遮断し、示したように各HPVモノクローナル抗体およびその後H
RP結合した抗マウスIgGによって検出した。TMB基質を加え、その後、標準的な反
応停止溶液を加えた。OD450をELISAプレートリーダーによって行った。
【0102】
【表4】
【0103】
表4において示す結果は、各モノクローナル抗体が、分析の陰性対照としてパップスメ
ア正常(HPVネガ)を用いて、SCCサンプルからそれぞれHPV E6,E7または
L1タンパク質を検出することを示す。高度HPV DNA位置からのサンプルに対して
、EIAで3個のうち1個がE6,E7およびL1で陽性である。これらのデータは、S
CC溶解物からのE6,E7またはL1タンパク質は本願明細書で記載するモノクローナ
ル抗体を用いてEIAによって検出できるが、高度HPV DNA位置のサンプル(CI
N1/2)は、検出可能なHPV E6,E7またはL1タンパク質を含むまたは含まな
いことを示す。この研究において用いた高度HPV DNA試験はhcであり、FDAし
かHPV DNA試験を承認しなかった。それらのHPV DNA陽性であるがHPV
EIA陰性であるサンプルに対して、HPV DNA分析の陽性、またはHPV発癌タン
パク質を発現しないそれらのHPV DNA検出の陽性を偽ることができる。これらのデ
ータは、本願明細書で記載するHPV EIA分析が子宮頸癌のスクリーニングのさらな
る臨床的妥当性を提供することを示す。
【0104】
3)免疫組織化学(IHC)による精製抗HPV抗体のin situHPVタンパク質
との反応性
4ミクロンに切断したパラフィン組織をスライドガラスガラス上に置き、60°Cで一
晩焼いた。脱パラフィン水和物の切片を脱マスクし、その後標準的なIHC染色手順に従
った。本発明において記載するHPVタンパク質精製モノクローナル抗体を希釈して、一
次抗体として用いた。染色手順は、二次抗体溶液、洗浄後、各切片に対して適切な試薬を
入れた。切片ができたらすぐ、精製水にスライドガラスを浸し、ヘマトキシン、脱水物で
切片を対比染色し、カバースリップを載せた。
【0105】
実施例として、様々な段階のCINからの様々な子宮頸部組織を準備して、本願明細書
で記載するラビットポリクローナル抗HPV E7抗体を用いてIHC分析を行った。他
の実施例として、多くの子宮頸部生検サンプルを、様々なHPV型(HPV DNA遺伝
子型によって確認)からのHPVタンパク質を検出するモノクローナル抗体を用いて組織
マイクロアレイフォーマットとして共に免疫組織化学的分析において試験した。HPVウ
イルス性タンパク質および/または発癌タンパク質に対するモノクローナル抗体を用いて
、本発明は、1個のHPV感染または複数のHPV感染のいずれかを有する臨床サンプル
におけるHPV L1ウイルス性タンパク質およびE6,E7発癌タンパク質の存在を検
出する抗体を提供する。本願明細書で記載する1個の抗HPVモノクローナル抗体は、少
なくとも癌に関連するHPV型(高リスクHPV型または低リスクHPV型のいずれか)
であるHPV−6,HPV−16,HPV−18,HPV−31,HPV−33,HPV
−52などによって1個のHPV感染を検出できる。1個の抗HPVモノクローナル抗体
は、高リスク、低リスク、および非発癌性α−パピローマウイルスを含む、HPV−16
,HPV−18,HPV−52,HPV−58,HPV−44,HPV−51,HPV−
39,HPV−59などで;PCPV1,HPV−2a,HPV57などの組み合わせ等
の2個以上のHPV型によるHPV感染を検出できる。
【0106】
実施例として、本発明において記載するHPV抗体は、臨床用途において適用できる。
IHC分析の結果は、マウスモノクローナル抗HPV E7抗体を用いた、様々な段階の
子宮頸部組織からのin situに存在するHPV E7タンパク質の検出を行う。他
の実施例として、本願明細書で記載する抗体はまた、様々な段階のCINからの子宮頸部
組織を用いてICC分析において用いることができる。他の実施例として、マウスモノク
ローナル抗HPV E6抗体を用いるIHC染色の結果は、様々な段階のCINからin
situにおいて存在するHPV E6タンパク質の検出を示す。これらの結果は、形
成不全細胞において過剰に発現したHPVE6およびHPV E7発癌タンパク質が、特
異的なHPV抗体と用いたIHC染色によって特異的に検出できることを示す。
【0107】
実施例として、図12A~12Dは、マウスモノクローナル抗HPV E6抗体によっ
て行ったCIN組織のIHC染色を示す。結果は、E6発癌タンパク質の発現は、CIN
前癌段階において初期に検出できることを示す。黒色矢印は、形成不全細胞におけるE6
タンパク質の特異的な染色を示すが、白色透明矢印は、染色されていない正常細胞を示す
。拡大した画像は、形成不全細胞の核において初期に発現したE6タンパク質の位置を示
す。
【0108】
図12Aは、抗E6モノクローナル抗体を用いた免疫組織化学染色(IHC)によって
染色したCIN組織の形成不全細胞の画像である。図12Bは、図12AのCIN2サン
プルの形成不全細胞に隣接した正常上皮細胞の画像である。図12C〜Dは、同じ抗E6
モノクローナル抗体を用いたIHCによって染色した2個のCIN3サンプルの形成不全
上皮細胞の画像である。これらのデータは、E6モノクローナル抗体によるIHC染色が
形成不全細胞において核および細胞質において特異的であることを示す。
【0109】
他の実施例として、図13A~13Dは、マウスモノクローナル抗HPV E7抗体に
よって行った扁平上皮細胞癌のIHC染色を示す。結果は、E7発癌タンパク質は、SC
C組織の腫瘍細胞において検出できることを示す。黒色矢印は、形成不全細胞におけるE
7タンパク質の特異的な染色を示すが、白色透明矢印は、染色されていない正常細胞を示
す。拡大した画像は、正常上皮または基質細胞においてではなく、腫瘍細胞の細胞質にお
いて発現したE6タンパク質の位置を示す。これらのデータは、E7モノクローナル抗体
によるIHC染色が腫瘍細胞の細胞質において特異的であることを示す。図13Aは、抗
E7モノクローナル抗体を用いたIHCによって染色した扁平上皮細胞癌(SCC)組織
の画像である。図13Bは、図13AからのSCC対象の正常な上皮(腫瘍組織から15
mm離れた)の画像である。図13Cは、同じ抗E7モノクローナル抗体を用いたIHC
によって染色した他のSCCサンプルの画像である。図13Dは、図13Cからの細胞質
において染色した腫瘍細胞の拡大画像である。
4)免疫化学(ICC)による精製抗HPV抗体のin situのHPVタンパク質と
の反応性
【0110】
液体ベースの溶液によって回収した子宮頸部のかき取りを製造装置に従って処理した。
準備した細胞を2群に分け、1個を従来のパップスメア用で、もう一方は、免疫染色用で
ある。スライドガラス上の子宮頸部細胞の単層を細胞スピンまたは薄処理技術によって処
理した。その後、細胞を固定して免疫染色プロトコールにしたがって染色した。染色した
細胞を顕微鏡で可視化した。
【0111】
実施例として、図14A〜14Cは、抗HPV抗体を用いた免疫化学分析を示す。図1
4Aは、薄準備によって準備し、マウスモノクローナル抗HPV E7抗体を用いてIC
Cによって染色したCIN2子宮頸部かき取りサンプルからの子宮頸部細胞の画像である
図14Bは、薄準備によって準備し、マウスモノクローナル抗HPV E6抗体を用い
てICCによって染色したCIN2子宮頸部かき取りサンプルからの子宮頸部細胞の画像
である。図14Cは、薄準備によって準備し図14Bにおいて示したのと同じ抗E6抗体
を用いてICCによって染色した腺癌(ADC)子宮頸部かき取りサンプルからの子宮頸
部細胞の画像を示す。
【0112】
本願明細書で記載するように、抗体およびHPV初期および/または後期遺伝子由来の
精製組み換え型タンパク質を用いた1個以上の免疫学的分析は、HPV感染が起こったか
どうかを示す信頼のおける指標として機能する。加えて、HPVに関連する悪性腫瘍また
は前癌細胞形質転換を分析できる。本発明の最も有効な態様のうち一つは、子宮頸癌、扁
平上皮細胞癌および腺癌の両方および、空細胞症;過角化症;上皮内または上皮癌または
上皮内病変を含む前癌状態;重度の形成不全;および浸潤癌または悪性癌等の発癌性HP
V感染に関連するいずれかの上皮細胞の非正常の診断である。
【0113】
重度のCIN病変において、E6およびE7は、宿主ベースの上皮細胞において強く発
現し、これらの複製能力宿主細胞の細胞周期制御を大きく妨げる。HPV発癌タンパク質
の発現は、宿主細胞におけるG1−S Phaseを妨げる。HPV E6およびE7タ
ンパク質は、E7によるpRBの不活性およびE6によるp53の分解等、過剰の細胞相
互作用を標的とする。高濃度のHPV E7タンパク質はpRBを不活性にし、E2F−
Rb結合を妨げる。通常、pRBのE2Fへの結合は、E2F駆動細胞周期活性を遮断す
る。細胞の複製において、E2Fは、RBのリン酸化によって制御される。リン酸化は、
通常いくつかのキナーゼ阻害剤(INKs)によって制御されるサイクリン依存キナーゼ
(CDK4,CDK6)によって仲介される。
【0114】
Rb/E2F抑制の損失および遊離E2Fによる強活性の結果として、宿主細胞タンパ
ク質p16INK4aの発現が過剰に発現する。加えて、Cdk4/6のp16INK4
a仲介抑制は、pRb宿主細胞タンパク質上に下流効果を与えないため、S−相遺伝子が
連続的に活性化される。E7依存E2F放出はpRbのリン酸化によって仲介されるため
、逆調節p16INK4a発現は活性化細胞周期に効果を示さない。物理学的条件下でp
16INK4aは、細胞が老化組織におけるテロメアの短縮化等の遺伝子ストレス状態と
なるとき発現する。また、アポトーシスはp53のHPV E6仲介分解によって無効に
なる。サイクリン依存キナーゼ(CDK)阻害剤p16INK4aの過剰の発現は、非制
御HPV癌遺伝子発現の直接的な結果である。
【0115】
加えて、増殖に重要な宿主細胞タンパク質および宿主細胞ゲノム複製は、HPV感染の
結果として過剰に発現する。これらの宿主細胞タンパク質には、ki67(MlB−1)
,MYC細胞癌遺伝子、サイクリンタンパク質(例えばサイクリンA,B,Eなど),C
DKN2A/p16INK4a,テロメアーゼ(例えばTERC)、複製複合タンパク質
(例えばMCM5、CDC6、トポイソメラーゼIIα(TOP2A)、MCM2、ミンク
ロモソン維持タンパク質2,4,5などがある。
【0116】
本願明細書で与える1個以上の免疫学的分析は、簡単な装置でまたはさらなる装置なし
に易しい手順を用いて、短い時間で行うことを目指す。様々な免疫学的分析の結果と比較
して、ヒト対象に対する細胞学的および病理学的データを用いた核酸ハイブリダイゼーシ
ョン分析および人口学的情報は、HPV感染および/または子宮頸癌の診断における正確
性を評価する。
【0117】
ヒトパピローマウイルスに感染したヒト対象のスクリーニング方法の他の実施例は、ヒ
ト対象から臨床サンプルを獲得する工程と、臨床サンプル上で核酸ハイブリダイゼーショ
ン分析を行う工程と、ヒト対象からの臨床サンプルにおいてパピローマウイルスゲノムの
存在を検出する工程と、初期パピローマウイルス性タンパク質の初期組み換え型タンパク
質を用いて、臨床サンプルにおける初期パピローマウイルス性タンパク質に対する抗体の
存在または初期パピローマウイルス性タンパク質の存在を検出する工程と、後期パピロー
マウイルス性タンパク質の後期組み換え型タンパク質を用いて、臨床サンプルにおける後
期パピローマウイルス性タンパク質に対する抗体の存在または後期パピローマウイルス性
タンパク質の存在を検出する工程を有する。
【0118】
本願明細書で記載するような1個以上の診断的免疫学的分析はまた、本願明細書で記載
して得られるような一個以上の組換え型タンパク質に対して特異的なポリクローナル抗体
、モノクローナル抗体、および/または抗血清を得る工程と、HPVに関連するタンパク
質および/または抗原を含みそうな臨床サンプルを取る工程と、それを獲得した1個以上
の組み換え型タンパク質に対して特異的なポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、お
よび/または抗血清と反応させる工程と、適切な検出システムによっていずれかの抗体−
抗原複合体の存在を分析する工程を有する。適切な検出システムは、各免疫学的分析にお
いて二次抗体に対して特異な発色、化学発光、蛍光基質などを用いる。
【0119】
HPV感染の初期診断は、子宮頸癌の予防および治療に重要である。子宮頸がんを予防
する方法は、過去もしくは現在のHPV感染および/または前癌病変を有する対象に加え
て世界中で幅広い範囲で改良したHPV試験/スクリーニングを必要とする。重要なこと
に、12〜15年間の女性におけるHPVの感染は侵襲性癌に発達する前に必要であるこ
とがわかっている。したがって、前癌を治療する化学療法または放射線に頼るよりも、H
PV感染に対するバイオマーカーを分析して初期に女性を前もってスクリーニングし、初
期にHPV感染を治療し、子宮頸癌への進行を予防することができるのが重要である。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図14C
【手続補正書】
【提出日】2015年7月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インサイチュで臨床サンプルにおける異なるHPV型から2個以上の天然E7HPVタンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体であって、
モノクローナル抗体は、2個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性E7タンパク質を有する抗体生成ハイブリドーマ細胞をスクリーニングすることによって得られ、
スクリーニングの工程は、2個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性E7タンパク質に陽性反応を示し、HPV E6タンパク質及び非HPVタンパク質に陰性反応を示す抗体生成ハイブリドーマ細胞を選択して、抗体生成ハイブリドーマ細胞が2個以上のヒトパピローマウイルス性E7タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体を生成する、モノクローナル抗体。
【請求項2】
モノクローナル抗体はHPV16からの天然E7タンパク質およびHPV18からの天然E7タンパク質に特異的に結合する請求項1に記載のモノクローナル抗体。
【請求項3】
異なるHPV型から2個以上の天然HPVタンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体であって、2個以上の天然HPVタンパク質は、異なるHPV型からの天然E7タンパク質または異なるHPV型からの天然E6タンパク質であり、モノクローナル抗体は、インサイチュで臨床サンプルにおけるタンパク質に結合し、
モノクローナル抗体は、2個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性E6タンパク質または2個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性E7タンパク質を有する抗体生成ハイブリドーマ細胞をスクリーニングすることによって得られ、
スクリーニングの工程は、2個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性E6タンパク質または2個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性E7タンパク質に陽性反応を示し、他のタンパク質に陰性反応を示す抗体生成ハイブリドーマ細胞を選択して、抗体生成ハイブリドーマ細胞が2個以上のヒトパピローマウイルス性E6タンパク質または2個以上のヒトパピローマウイルス性E7タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体を生成する、モノクローナル抗体。
【請求項4】
モノクローナル抗体はHPV16からの天然E7タンパク質およびHPV18からの天然E7タンパク質に特異的に結合する請求項3に記載のモノクローナル抗体。
【請求項5】
モノクローナル抗体はHPV16からの天然E6タンパク質およびHPV18からの天然E6タンパク質に特異的に結合する請求項3に記載のモノクローナル抗体。
【請求項6】
モノクローナル抗体は、HPV16 E6、HPV16 E7、HPV18 E6およびHPV18 E7のタンパク質の全てに結合できる請求項3に記載のモノクローナル抗体。
【請求項7】
モノクローナル抗体は、HPV16 E6およびHPV16 E7ウイルス性タンパク質の両方に結合できる請求項1に記載のモノクローナル抗体。
【請求項8】
モノクローナル抗体は、HPV16 E6,およびHPV16 E7ウイルス性タンパク質の全てに結合できる請求項1に記載のモノクローナル抗体。
【請求項9】
異なるHPV型は、高リスクHPV型、低リスクHPV型、HPV−16,HPV−18,HPV−31,HPV−33,HPV−35,HPV−39,HPV−45,HPV−51,HPV−52,HPV−56,HPV−58,HPV−59およびHPV−68,HPV−6,HPV−11,HPV−42,HPV−43,HPV−44,HPV−53,HPV−54,HPV−55およびHPV−56からなる群から選択される請求項3に記載のモノクローナル抗体。
【請求項10】
インサイチュで臨床サンプルにおいて天然HPV E7タンパク質および天然HPV E6タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体であって、天然HPV E7タンパク質および天然HPV E6タンパク質は、同じHPV型からであるモノクローナル抗体。
【請求項11】
天然HPV E7タンパク質および天然HPV E6タンパク質は、HPV16からである請求項10に記載のモノクローナル抗体。
【請求項12】
天然HPV E7タンパク質および天然HPV E6タンパク質は、HPV18からである請求項10に記載のモノクローナル抗体。
【請求項13】
天然HPV E7タンパク質および天然HPV E6タンパク質は、高リスクHPV型、低リスクHPV型、HPV−16,HPV−18,HPV−31,HPV−33,HPV−35,HPV−39,HPV−45,HPV−51,HPV−52,HPV−56,HPV−58,HPV−59およびHPV−68,HPV−6,HPV−11,HPV−42,HPV−43,HPV−44,HPV−53,HPV−54,HPV−55およびHPV−56からなる群から選択される同じHPV型からである請求項10に記載のモノクローナル抗体。
【外国語明細書】
2015205895000001.pdf