【実施例】
【0050】
1.抗血清および抗HPV抗体を生成し、モノクローナル抗体に対してハイブリドーマ細
胞をスクリーニングするために免疫原として用いるHPV組み換え型タンパク質の発現、
精製および準備
HPV組み換え型タンパク質は、限定することはないが、E2,E6、E7,L1,L
2等の初期遺伝子および/または後期遺伝子のHPVタンパク質である、いずれかの種類
のHPVタンパク質であり、様々なHPV型からでよい。全長E6,E7および/または
L1ポリペプチド配列は、タンパク質精製間の望ましくない凝集化、タンパク質の不安定
性、低度の発現、精製タンパク質の低い免疫原反応のために獲得および精製が非常に難し
いと考えられている。例えば、多くの初期E6発癌タンパク質が、多くのシステインアミ
ノ酸を有し、これによってE6発癌タンパク質の正しいトポグラフィー(地図)は、多く
のジスルフィド結合特性の形成を必要とする。加えて、初期E6およびE7タンパク質の
小ペプチドを用いた特定の免疫学的分析の結果、非常に低い分析特異性および感度となり
、臨床的in vitro診断のツールとして望ましくない。したがって、本発明は、部
分配列または全長配列のHPV発癌タンパク質を有する組み換え型ハイブリッドタンパク
質等の組み換え型タンパク質を提供する。
【0051】
1)HPV16 E6およびHPV18 E6遺伝子によってコードした様々な組み換
え型タンパク質のクローン化および生成
例示的なHPV型であるHPV−16からの例示的な発癌性E6初期遺伝子はクローン
であった。本願明細書でクローン化したHPV16 E6遺伝子は、全HPV−16 E
6遺伝子の157アミノ酸コーディング領域を有し、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増
幅によって得られた474塩基対(b.p.)DNAフラグメントである。独立したDN
AフラグメントのDNA配列は、遺伝子バンクのデータベースからの配列と比較すること
によって確認した。組み換え型HPV−18 E6タンパク質も得た。全てのクローン化
手順は、"Molecular Cloning", A Laboratory Manual, eds. Sambrook, Fritsch and Man
iatis, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989において開示されたプロトコールに
従って行う。加えて、HPV18 E6遺伝子もクローン化し、DNA配列を確認した。
【0052】
2)HPV16 E7およびHPV18 E7遺伝子によってコードした様々な組み換
え型タンパク質のクローン化および生成
例示的なHPV型であるHPV−16からの例示的な発癌性E7初期遺伝子はクローン
であった。本願明細書でクローン化したHPV16 E7遺伝子は、全HPV−16 E
7遺伝子の99アミノ酸コーディング領域を有し、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅
によって得られた294塩基対(b.p.)DNAフラグメントである。独立したDNA
フラグメントのDNA配列は、遺伝子バンクのデータベースからの配列と比較することに
よって確認した。組み換え型HPV−18 E7タンパク質も得た。加えて、異なるHP
V型からのE7 DNAフラグメントも異なる臨床サンプルまたはソースからクローン化
した。
【0053】
3)HPV16 L1およびHPV18 L1遺伝子によってコードした様々な組み換
え型タンパク質のクローン化および生成
例示的なHPV型であるHPV−16からの例示的な発癌性E7後期遺伝子はクローン
であった。本願明細書でクローン化したHPV16 E7遺伝子は、全HPV−16 L
1遺伝子の531アミノ酸コーディング領域を有し、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増
幅によって得られた1596塩基対(b.p.)DNAフラグメントである。独立したD
NAフラグメントのDNA配列は、遺伝子バンクのデータベースからの配列と比較するこ
とによって確認した。組み換え型HPV−18 E7タンパク質も得た。加えて、異なる
HPV型からのL1 DNAフラグメントも異なる臨床サンプルまたはソースからクロー
ン化した。
【0054】
HPV16 L1タンパク質の組み換え型N−末端フラグメントもHisタグした発現
システムから得た。HPV−16 L1 N−末端組み換え型タンパク質の分子量は、約
34kDである。L1 C−末端フラグメントも得た。組み換え型HPV−18 L1タ
ンパク質も得て、抗血清、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体に対する免疫原とし
て用いた。
【0055】
本願明細書で記載する1個以上の組み換え型タンパク質は、例えば、当該技術において
既知の、大腸菌、酵母、バキュロウイルス、および/または哺乳動物細胞培養等における
細菌発現システム、ウイルス発現システム、酵母発現システム、哺乳動物発現システム等
の様々な適切なシステムにおいて発現する。ポリペプチドは、他の方法によって得ること
ができるが、本発明の実施形態は、それらの天然形である1個以上の組み換え型タンパク
質を提供し、免疫学的分析におけるHPV感染したヒト対象の組織からの抗体に結合を確
認するのに望ましい。例えば、GST,MBP,またはHisタグしたHPV16 E6
,HPV16 E7,HPV18 E7,HPV16 L1およびHPV18 L1組み
換え型タンパク質は、IPTG駆動誘導を用いて大腸菌BL21(DE3)において発現
した。タンパク質の発現を誘導後、タグHPV組み換え型タンパク質は、培養した細胞の
溶解後の可溶画分から得て、約0.1〜1mg/mL以上の最終濃度まで精製した。組み
換え型HPVタンパク質の純度は、PAGE分析を基にして90%以上であると推測した
。組み換え型HPVタンパク質は、臨床サンプルにおけるHPV抗体の存在を検出し、ポ
リクローナル抗血清およびモノクローナル抗体を生成する免疫原としても用いた。
【0056】
本願明細書で記載する様々な発現ベクターにおける様々な組み換え型パピローマウイル
スタンパク質を得る細胞培養液を、その後最大1リットルもしくは10リットル、または
100リットル以上まで増やし、多量の精製する可溶組み換え型タンパク質を得た。細胞
溶解後の可溶画分は、適切な発現システムで様々なクロマトグラフィーに通して、HPV
組み換え型タンパク質に沿って発現したタグに結合させた。その後、タグHPV組み換え
型タンパク質をカラムから溶出し、100mLまたは10mLから1mLまで濃縮した。
精製可溶組み換え型HPVタンパク質をさらに濃縮し、中性pHでの緩衝液またはPBS
緩衝液で透析し、HPVタンパク質に対する抗血清を生成する免疫原として用いた。この
ように、可溶組み換え型HPVタンパク質を、可溶画分から精製し、in vivoの性
質のそのままの折り畳み状態に近いように折り畳んだ。
【0057】
高品質な精製組み換え型HPVタンパク質の獲得は、HPV感染を検出する共通のエピ
トープまたは特定のエピトープを認識する様々な種類のモノクローナル抗体の生成におい
て重要である。精製組み換え型HPVタンパク質は、HPV感染臨床サンプルからのHP
V抗体への結合を確認するために試験した。したがって、この精製組み換え型HPVタン
パク質は、抗血清を上げる免疫原として用いるのに適切であり、in vivoのHPV
ウイルス性タンパク質を認識できる抗体を生成する。
【0058】
2.抗HPVポリクローナル抗体生成
大腸菌において発現した組み換え型HPV E6,E7またはL1を精製、濃縮および
PBSで透析し、免疫原として用いた。免疫付与を標準的なプロトコールにしたがって行
った。得られた各血清をELISA分析によって試験し、その後定期的なブースティング
および出血させた。適切な滴定量からの生成出血を収集した;処理した血清をタンパク質
Aカラムまたは親和カラムを介して免疫グロブリン(lg)精製を行うのに用いた。精製
lgGをHPV免疫分析に対する抗HPV抗体として用いた。
【0059】
モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、および抗血清を獲得、精製および試験して
、HPV感染、細胞病変、炎症または癌疾患発展の発病に関係なくHPV感染を検出した
。他の研究者は、抗HPVモノクローナル抗体を開発しようと試みたが、モノクローナル
抗体の生成に十分なHPVタンパク質の生成に失敗したため失敗してきた;彼らは免疫原
が免疫原性でなかったため高い特異性を有するモノクローナル抗体の生成に失敗した;ま
たは、初期段階HPV感染した臨床サンプルにおいて存在するHPVタンパク質の天然形
を認識できない抗体を生成した。変異ペプチドに対して上昇するいくつかの抗体の未、後
期段階子宮頸がんを認識できるが、それらの抗体が野生型HPV天然タンパク質またはい
ずれかの初期段階HPV感染かどうかは確証できない。加えて、後期段階HPV検出は、
疾患の医療介入および治療するには遅すぎる。
【0060】
本願明細書で記載する抗体の臨床的用途は、適切な臨床サンプルを用いて、ELISA
分析、免疫細胞化学分析、免疫組織化学分析等のHPV免疫学的分析によって評価した。
本発明の方法から得た新規のモノクローナル抗体および抗血清は、臨床サンプルにおいて
存在するHPVウイルス性タンパク質に相互作用および結合することができ、子宮頸部上
皮内腫瘍(CIN)等の初期段階細胞病変および後期段階HPVに関連した子宮頸癌を有
することを確認する。本願明細書で記載するモノクローナル抗体および抗血清は、HPV
に関連する発病および初期および後期の両方における子宮頸癌の発展を検出およびスクリ
ーニングする有効なツールを提供し;疾患の進行に介入する手段および初期治療を提供す
る機械を提供する。
【0061】
3.HPVモノクローナル抗体の開発
大腸菌において発現した組み換え型HPV E6,E7またはL1を精製、濃縮および
PBSで透析し、免疫原として用いた。マウスの免疫付与を標準的なプロトコールにした
がって行った。得られた各血清の滴定をELISA分析によって試験し、その後定期的な
ブースティングおよび出血させた。マウスの血清の滴定は最適となり、腫瘍細胞を有する
マウスの脾臓細胞の融合を標準的なプロトコールにしたがって行った。融合細胞、例えば
ハイブリドーマ細胞のクローン化をさらに培養した。
【0062】
1)ハイブリドーマのスクリーニング
本発明において記載する、panを有するハイブリドーマ細胞を生成し、様々なHPV
タンパク質に特異的に結合する抗HPV抗体生成ハイブリドーマ細胞を得るため、ハイブ
リドーマクローンを、元の免疫原だけでなく陽性スクリーニングのさらなるHPVタンパ
ク質および陰性スクリーニングの無関係のタンパク質等の様々なタンパク質でスクリーニ
ングした。例えば2個以上の精製HPV組み換え型タンパク質を、各ハイブリドーマクロ
ーンに対してスクリーニングして、抗体生成ハイブリドーマ細胞をスクリーニングおよび
獲得し、こうして得られた各抗体生成ハイブリドーマ細胞株の特異性を試験および理解す
るために用いた。
【0063】
ハイブリドーマスクリーニングの実施例として、抗体生成ハイブリドーマ細胞を2個以
上の精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質でスクリーニングして、モノク
ローナル抗体が2個以上の精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質に反応で
きるようにした。2個以上の精製組み換え型パピローマウイルス性タンパク質には、限定
することはないが、HPV16 E6タンパク質、HPV16 E7タンパク質、HPV
16 L1タンパク質、HPV18 E6タンパク質、HPV18 E7タンパク質、H
PV18 L1タンパク質および様々なHPV型からの他のHPV初期および後期タンパ
ク質がある。
【0064】
抗体生成ハイブリドーマ細胞は、2個以上の精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性
タンパク質の全てに陽性反応を示し、BSA,his
6タグ、GSTタンパク質、マルト
ース結合タンパク質(MBP)、組み換え型タンパク質において用いる他のタグまたはタ
ンパク質、他の容易に利用できる非HPVタンパク質等の非HSVタンパク質に陰性反応
を示すようにスクリーニングする。このように、このハイブリドーマスクリーニングから
生成したモノクローナル抗体は、2個以上の精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タ
ンパク質に対応する、2個以上のHPVウイルス性タンパク質全てに結合することができ
る(例えば、臨床サンプルにおいて存在するHPVウイルス性タンパク質)。
【0065】
2個以上の精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質の一つの実施例は、H
PV初期タンパク質であり、モノクローナル抗体は、2個以上のヒトパピローマウイルス
性初期タンパク質に反応することができる。例えば、このようにスクリーニングおよび獲
得した一つのハイブリドーマ細胞株は、HPV16 E6およびHPV16 E7の両方
の共通のエピトープを認識できるモノクローナル抗体を生成する。このようにスクリーニ
ングおよび獲得した他のハイブリドーマ細胞株は、HPV18 E6およびHPV18
E7の両方の共通のエピトープを認識できるモノクローナル抗体を生成する。
【0066】
2個以上の精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質の他の実施例には、精
製組み換え型パピローマウイルス性初期タンパク質および精製組み換え型ヒトパピローマ
ウイルス性後期タンパク質があり、生成したモノクローナル抗体は、精製組み換え型パピ
ローマウイルス性初期タンパク質および精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性後期タ
ンパク質の共通のエピトープを認識できる。精製組み換え型パピローマウイルス性初期タ
ンパク質は、HPV16 E6タンパク質、HPV16 E7タンパク質、HPV18
E6タンパク質、HPV18 E7タンパク質および他のHPV組み換え型初期タンパク
質であり、精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性後期タンパク質は、HPV16 L
1タンパク質、HPV18 L1タンパク質、および他のHPV組み換え型後期タンパク
質である。例えば、このようにスクリーニングおよび獲得したハイブリドーマ細胞株は、
HPV16E7およびHPV18 E6タンパク質の共通のエピトープを認識するモノク
ローナル抗体;HPV16 E6,HPV16 E7、HPV16 L1,HPV18
E6,HPV18 E7タンパク質の共通のエピトープを認識できるモノクローナル抗体
を生成する。多くの実施形態を本発明の図面において提供する。
【0067】
抗体生成ハイブリドーマ細胞はまた、第1HPV型からの第1精製組み換え型ヒトパピ
ローマウイルス性タンパク質および第2HPV型からの第2精製組み換え型ヒトパピロー
マウイルス性タンパク質でスクリーニングし、モノクローナル抗体が2個以上の異なるH
PV型からのヒトパピローマウイルス性タンパク質の共通のエピトープを反応できるよう
にする。第1および第2HPV型は、HPV16,HPV18および他のHPV型である
。2個以上の異なるHPV型は、例えば、高リスクHPV型、低リスクHPV型、HPV
−16,HPV−18,HPV−31,HPV−33,HPV−35,HPV−39,H
PV−45,HPV−51,HPV−52,HPV−56,HPV−58,HPV−59
およびHPV−68、HPV−68,HPV−6,HPV−11,HPV−42,HPV
−43,HPV−44,HPV−53,HPV−54,HPV−55およびHPV−56
である。例として、第1および第2精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質
は、組み換え型HPV16 E6タンパク質、組み換え型HPV16 E7タンパク質、
組み換え型HPV16 L1タンパク質、組み換え型HPV18 E6タンパク質、組み
換え型HPV18 E7タンパク質および組み換え型HPV18 L1タンパク質である
。
【0068】
ハイブリドーマスクリーニングの他の実施例として、抗体生成ハイブリドーマ細胞を、
2個以上の精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質のいくつかに陽性反応を
示し、2個以上の精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質のいくつかおよび
/または非HPVタンパク質に陰性反応を示すタンパク質でスクリーニングする。このよ
うに、このハイブリドーマスクリーニングから生成したモノクローナル抗体は、他のHP
Vウイルス性タンパク質ではなくいくつかのHPVウイルス性タンパク質に結合すること
ができる。
【0069】
例えば、モノクローナル抗体は、第1HPV型からの第1精製組み換え型ヒトパピロー
マウイルス性タンパク質および第2HPV型からの第2精製組み換え型ヒトパピローマウ
イルス性タンパク質でスクリーニングすることによって獲得し、モノクローナル抗体は、
他の精製組み換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質ではなく第1および第2精製組
み換え型ヒトパピローマウイルス性タンパク質の一つの特定のエピトープに反応する。得
られた特異的なモノクローナル抗体には、他のHPVタンパク質ではなくHPV16 E
6タンパク質にのみ結合することができるモノクローナル抗体;他のHPVタンパク質で
はなくHPV16 E7タンパク質にのみ結合することができるモノクローナル抗体;他
のHPVタンパク質ではなくHPV16 L1タンパク質にのみ結合することができるモ
ノクローナル抗体;他のHPVタンパク質ではなくHPV18 E6タンパク質にのみ結
合することができるモノクローナル抗体;他のHPVタンパク質ではなくHPV18 E
7タンパク質にのみ結合することができるモノクローナル抗体がある。
【0070】
2)ハイブリドーマ細胞株ストック:免疫学的分析(例えば、ELISA,EIAおよ
び他の分析)によって判断した所定の陽性反応および所定の陰性反応を示すハイブリドー
マ細胞株クローンを選択して単一細胞にクローン化した。各単一細胞クローンをその後、
組織培養によって成長した。細胞数はmL当たり百万に到達し、細胞を凍結して−80°
Cまたは強力ストックとして液体窒素においた。
【0071】
3)腹水生成:各ハイブリドーマ細胞株を組織培養において成長させ、マウスに腹水生
成させるように注射した。腹水を収集して、タンパク質Gカラムによって免疫グロブリン
精製に対して処理した。各ハイブリドーマ細胞株からの精製免疫グロブリンをイソタイプ
して、HPV免疫学的分析に用いた。
【0072】
4.各抗HPV抗体の特異性
1個以上の免疫学的分析を用いて、2個以上のHPV組み換え型タンパク質でハイブリ
ドーマ細胞をスクリーニングすることによって得たモノクローナル抗体の特異性を試験し
た。EIA(酵素免疫測定)および/またはウエスタンブロットを、本願明細書で記載す
るHPV抗体の特異性を試験する分析フォーマットとして用いた。様々な精製組み換え型
HPVタンパク質には、抗HPV抗体を得るのに用いる元のスクリーニングタンパク質お
よびスクリーニングに用いない他のタンパク質があり、EIA上で得られた抗HPV抗体
の特異性を試験するマイクロタイタープレート上にコーティングするのに用いた。(HP
V感染しているまたはしていない)子宮頸癌細胞株からの細胞溶解物も、ウエスタンブロ
ットによる抗HPV抗体の特異性を試験するのに用いた。HPV抗体のHPV感染した細
胞株からのタンパク質との結合および反応性を確認するため、ウエスタンブロットは、H
PV感染した細胞株において存在するタンパク質に対応する特異的なタンパク質結合を証
明するのに非常に有効である。これらのウエスタンブロットタンパク質結合は、SDS−
PAGEゲル状のそれらの期待した分子量で組み換え型HPVタンパク質と比較すること
ができる。Hela細胞株(HPV陽性)、SiHa細胞株(HPV16陽性)およびC
33A細胞株(HPV感染なし)等の子宮頸癌細胞株からの細胞溶解物を用いて、ウエス
タンブロットで本発明の抗HPVモノクローナル抗体によってHPV E6,E7または
L1の検出を行うのに用いた。
【0073】
それらの天然形の様々な組み換え型タンパク質をマイクロタイタープレートの底部にコ
ートして、EIA分析を行い、本発明の方法によって生成した各抗体の特異性を試験する
。同じHPV型からの2個以上のHPVウイルス性タンパク質に結合することができるモ
ノクローナル抗体を得る。
図1Aおよび
図1Bは、ハイブリドーマ細胞の2個の異なるク
ローンを示し、各クローンは、HPV16 E6およびHPV16 E7の両方の共通の
エピトープを認識するモノクローナル抗体を生成することができる。
図1Aおよび
図1B
において、EIAの陽性反応は、組み換え型HPV16 E6およびHPV16 E7で
のみ観察され、組み換え型HPV E6,HPV18 E7,HPV L1 N−末端、
HPV16 L1および6x−Hisタンパク質では陰性反応を示すまたは反応が観察さ
れない。これらのデータは、この種類のモノクローナル抗体がHPV16 E6およびH
PV E7に特異的に結合するが、HPV16 L1またはHPV18 E7には結合し
ないことを実証する。
【0074】
同じHPV型からの初期HPVウイルス性タンパク質および後期HPVウイルス性タン
パク質に結合できるモノクローナル抗体を得る。
図2Aは、EIAで、組み換え型HPV
E6,HPV E7およびHPV L1タンパク質の全てに結合でき、HPV18 E
6,HPV18 E7および6x−Hisタンパク質に陰性反応を示すモノクローナル抗
体の特異性を示す。これらのデータは、この種類のモノクローナル抗体がHPV16 E
6およびL1タンパク質の天然系に強く反応し、HPV16 E7の天然系には弱く反応
するが、HPV18 E6またはHPV18 E7タンパク質の天然系には反応しないこ
とを示す。これらのデータは、この種類のモノクローナル抗体が、HPV16 E6,H
PV16 E7およびHPV16 L1タンパク質の全ての天然形によって認識されるH
PV16型特異の共通のエピトープを有することを示す。
【0075】
図2Bは、組み換え型HPV E6,HPV E7およびHPV L1タンパク質に
反応できるモノクローナル抗体のウエスタンブロット分析の結果を示す。本願明細書で記
載する抗体を用いてウエスタンブロットによって検出した組み換え型タンパク質は、HP
V E6(約18〜20kDa)およびHPV L1(約55kDa)タンパク質の検出
を行う。期待した分子量を示した各組み換え型タンパク質は、本願明細書で記載するモノ
クローナル抗体が、ウエスタンブロットのとき、変性したHPV16 E6およびHP
V18 E6に強く反応し、変性したHPV L1タンパク質に弱く反応し、HPV16
E7およびHPV18 E7には検出可能な反応性を示さないことを示す。
図2Aおよ
び
図2Bにおける結果を比較すると、これらのデータは、この抗HPVモノクローナル抗
体が天然形のHPV16 E6、HPV16 E7およびHPV16 L1タンパク質お
よび変性形のHPV18 E6組み換え型タンパク質によって認識できるHPV共通エピ
トープを有することを示す。
【0076】
図2Cは、
図2Bにおいて用いたのと同じモノクローナル抗体と反応する様々な子宮頸
癌細胞株からの細胞溶解物を用いたウエスタンブロットの結果を示す。各細胞株からの子
宮頸癌細胞株の細胞溶解物および変性形の組み換え型タンパク質の両方を比較してここに
示す。このモノクローナル抗体のHPV E6,HPV E7およびHPV L1タンパ
ク質との特異性は、モノクローナル抗体がHPV感染した子宮頸癌細胞株において存在す
るHPVウイルス性タンパク質を認識できるが、HPV感染していない細胞株のは認識で
きないことから確認できる。17kDaの標準的な分子量マーカーの周囲でモノクローナ
ル抗体によって検出した二重結合は、HeLa(HPV18感染)およびSiHa(HP
V16感染)細胞株における子宮頸癌細胞株からのHPV E6タンパク質(約18kD
a)およびHPV E7(約15kDa)タンパク質の検出を行う。期待した分子量を有
する組み換え型タンパク質レーン上の結合は、モノクローナル抗体が、ウエスタンブロッ
トのとき、変性したHPV16 E6およびHPV18 E6に強く反応し、変性した
HPV L1組み換え型タンパク質に弱く反応し、HPV16 E7およびHPV18
E7には検出可能な反応性を示さないことを示す。
【0077】
異なるHPV型からの初期HPVウイルス性タンパク質および後期HPVウイルス性タ
ンパク質に結合できるモノクローナル抗体も得る。
図3Aは、EIAで、HPV16およ
びHPV18型からの組み換え型E6,E7およびL1タンパク質に反応できるモノクロ
ーナル抗体の特異性を示す。これらのデータは、この種類のモノクローナル抗体がHPV
16の組み換え型E6,E7およびL1タンパク質およびHPV18の組み換え型E6お
よびE7タンパク質の全てに特異的に反応するが、his−タグペプチドには反応しない
(組み換え型タンパク質が発現および精製に対して6x−Hisに溶解しても)ことを示
す。これらのデータは、この抗体が、組み換え型HPV16 E6,HPV16 E7,
HPV16 L1,HPV18 E6およびHPV18 E7タンパク質の全てに反応す
ることができる能力によって示すように、異なるHPV型のHPV16およびHPV18
によって共有された共通のエピトープを認識することを示す。
【0078】
図3Bは、
図3Aにおいて用いたモノクローナル抗体を用いたウエスタンブロットの結
果を示す。このモノクローナル抗体のこれらの組み換え型タンパク質(すなわち、HPV
16およびHPV18の組み換え型E6,E7およびL1タンパク質)に対する陽性反応
は、モノクローナル抗体が、E6(約18kDa)、E7(約15kDa)およびL1(
約55kDa)タンパク質を認識できることを示す。ウエスタンブロット分析の各組み換
え型タンパク質レーンから結果できた結合は、期待した分子量を示し、このモノクローナ
ル抗体が、ウエスタンブロットのとき、HPV16およびHPV18からの変性したE6
およびE7タンパク質に強く反応し、変性したL1タンパク質に弱く反応することを示す
。
図3Aおよび
図3Bの結果は、このモノクローナル抗体が、HPV共通のエピトープを
認識し、天然形および変性形のHPV16 E6、HPV16 E7、HPV16 L1
、HPV18 E7およびHPV18 E6タンパク質と反応できることを示す。
【0079】
図3Cは、
図3Aおよび
図3Bにおいて用いたのと同じモノクローナル抗体と反応する
様々な子宮頸癌細胞株からの細胞溶解物を用いたウエスタンブロットの結果を示す。細胞
溶解物および変性形の組み換え型タンパク質の両方を試験してここに示す。17kDaの
標準的な分子量マーカーの周囲でモノクローナル抗体によって検出した二重結合は、He
La(HPV18)およびSiHa(HPV16)細胞株における子宮頸癌細胞株からの
HPV E6タンパク質(約18kDa)およびHPV E7(約15kDa)タンパク
質の検出を行うが、C33A(非HPV感染)細胞株の検出は行わない。期待した分子量
を有する組み換え型タンパク質レーン上の結合は、モノクローナル抗体が、ウエスタンブ
ロットのとき、変性したHPV16 E6、HPV18 E6、HPV18 E7組み
換え型タンパク質に強く反応し、変性したHPV L1組み換え型タンパク質に弱く反応
し、HPV16 E7には検出可能な結合を示さないことを示す。
【0080】
異なるHPV型からの2個以上のHPVウイルス性タンパク質に結合できるモノクロー
ナル抗体も得る。例えば、HPV16およびHPV18の組み換え型E6タンパク質に反
応できるモノクローナル抗体を得る。
図4Aは、EIAで、HPV16 E6およびHP
V18 E6タンパク質の共通のエピトープを認識でき反応できるモノクローナル抗体の
特異性を示す。天然形の組み換え型タンパク質を、マイクロタイタープレート上にコーテ
ィングする。これらのデータは、モノクローナル抗体が天然形の組み換え型HPV16
E6およびHPV18 E6タンパク質に強く反応するが、天然形の組み換え型HPV
E7およびHPV L1タンパク質に反応性を示さないことを示す。
【0081】
図4Bは、HPV感染した子宮頸癌細胞株において存在するHPV16およびHPV1
8 E6ウイルス性タンパク質に特異的に結合する、
図4Aにおいて用いたのと同じモノ
クローナル抗体と反応する様々な子宮頸癌細胞株からの細胞溶解物を用いたウエスタンブ
ロットの結果を示す。17kDaの標準的な分子量マーカーの周囲でモノクローナル抗体
によって検出した一重結合は、HeLa(HPV18)における子宮頸癌細胞株からのH
PV E6タンパク質(約18kDa)タンパク質の検出を行うが、C33A(非HPV
感染)細胞株の検出は行わない。期待した分子量を有する組み換え型タンパク質レーン上
の結合は、モノクローナル抗体が、変性したHPV18 E6組み換え型タンパク質に
強く反応することを示す。
【0082】
異なるHPVからの1個以上のHPVウイルス性タンパク質に結合できる他の例示的な
モノクローナル抗体は、HPV16 E6およびHPV18 E7タンパク質に特異的に
結合するモノクローナル抗体である。
図5は、EIA分析したときのこのモノクローナル
抗体の特異性を示す。これらのデータは、本願明細書で記載するモノクローナル抗体が、
天然形の組み換え型HPV16 E7およびHPV18 E7タンパク質に強く反応する
が、天然形のHPV E6および組み換え型HPV L1には反応を示さないことを示す
。これらのデータは、この抗体がHPV型に関わらず、E7のみの共通のエピトープを認
識することを示す。
【0083】
第1HPVウイルス性タンパク質だけ結合でき、第1HPVウイルス性タンパク質とは
異なる第2HPVウイルス性タンパク質には結合できないモノクローナル抗体も得る。図
6は、EIAで、組み換え型HPV16 E6に反応でき、他の組み換え型HPVタンパ
ク質には反応できないモノクローナル抗体の特異性を示す。HPV16 E6のみに反応
でき、HPV18 E6または他の組み換え型HPVタンパク質に反応できない特異的な
エピトープを有するこのモノクローナル抗体が見られる。これらのデータは、本願明細書
で記載するモノクローナル抗体が天然形のHPV16 E6タンパク質に強く反応するが
、天然形の組み換え型HPV E7またはL1タンパク質には反応しないことを示す。こ
れらのデータは、この抗体が、HPV16 E6タンパク質のみに反応でき、HPV16
E6特異性エピトープを認識することを示す。
【0084】
他の例として、
図7は、EIAで、組み換え型HPV E6タンパク質に反応できるが
、他の組み換え型HPVタンパク質には反応できないモノクローナル抗体の特異性を示す
。このモノクローナル抗体は、HPV18 E6タンパク質のみに特異性を有し、HPV
16 E6または他の組み換え型タンパク質には交差反応性を示さない。これらのデータ
は、HPV18 E6タンパク質のみに反応できる抗体がHPV18 E6特異的なエピ
トープを認識することを示す。
【0085】
図7Bは、
図7Aにおいて用いたのと同じモノクローナル抗体と反応する様々な子宮頸
癌細胞株からの細胞溶解物を用いたウエスタンブロットの結果を示す。17kDaの標準
的な分子量マーカーの周囲でモノクローナル抗体によって検出した一重結合は、HeLa
(HPV18)子宮頸癌細胞株におけるHPV E6タンパク質(約18kDa)の検出
を行うが、C33A(非HPV感染)細胞株の検出は行わない。期待した分子量を有する
組み換え型タンパク質レーン上の結合は、このモノクローナル抗体も、変性したHPV1
8 E6組み換え型タンパク質に強く反応することを示す。
【0086】
他の実施例として、
図8は、EIAで、組み換え型HPV16 E7に反応できるが、
他の組み換え型HPVタンパク質には反応できないモノクローナル抗体の特異性を示す。
EIAで、HPV18 E7タンパク質または他の組み換え型タンパク質には交差反応性
がない。これらのデータは、本願明細書で記載するモノクローナル抗体が、天然形の組み
換え型HPV16 E7タンパク質に強く反応するが、天然形の組み換え型HPV E6
またはL1タンパク質には検出可能な結合をしないことを示す。これらのデータは、HP
V16 E7タンパク質のみに反応できるこの抗体がHPV16 E7エピトープを認識
することを示す。
【0087】
他の実施例として、第1HPVウイルス性タンパク質のみに結合できるが、第1HPV
ウイルス性タンパク質とは異なる第2HPVウイルス性タンパク質には結合できないモノ
クローナル抗体を示し、
図9は、EIAで、組み換え型HPV18 E7に反応できるが
、他の組み換え型HPVタンパク質には反応できないモノクローナル抗体の特異性を示す
。これらのデータは、本願明細書で記載するモノクローナル抗体が、天然形のHPV18
E7タンパク質に強く反応するが、天然形の組み換え型HPV E6またはL1タンパ
ク質には反応しないことを示す。これらのデータは、HPV18 E7タンパク質のみに
反応できるこの抗体が、HPV18 E7特異性エピトープを認識することを示す。
【0088】
他の実施例として、
図10Aおよび
図10Bは、EIAで、組み換え型HPV16 L
1N−末端タンパク質のみに反応できるが、他の組み換え型HPVタンパク質には反応で
きない2個のモノクローナル抗体クローンの特異性を示す。EIAで、HPV16 H1
または他の組み換え型タンパク質には交差反応性がない。これらのデータは、本願明細書
で記載するモノクローナル抗体が、天然形の組み換え型HPV16 L1−N末端タンパ
ク質に強く反応するが、天然形の組み換え型HPV E6またはE7タンパク質には反応
をしないことを示す。これらのデータは、HPV16 L1−N末端タンパク質のみに反
応できるこの抗体がHPV16 L1 N−末端エピトープを認識することを示す。
【0089】
他の実施例として、
図11は、EIAで、組み換え型HPV16 L1およびHPV1
6L1−N末端タンパク質に反応できるが、他の組み換え型HPVタンパク質には反応で
きないモノクローナル抗体の特異性を示す。このモノクローナル抗体は、HPV16 L
1およびHPV16 L1 N−末端タンパク質上に存在する特異的なエピトープを認識
する。他のHPV初期タンパク質との交差反応性は見られなかった。これらのデータは、
本願明細書で記載するモノクローナル抗体が、天然形の組み換え型HPV16 L1およ
びHPV16 L1−N末端タンパク質に強く反応するが、HPV16またはHPV18
からの天然形の組み換え型HPV E6またはE7タンパク質に反応をしないことを示す
。これらのデータは、HPV16 L1およびHPV16 L1 N−末端タンパク質の
みに反応できるこの抗体がHPV16 L1 N−末端特異性エピトープを認識すること
を示す。
【0090】
本発明において記載する抗体は、様々な免疫学的分析において用いることができる。免
疫学的分析の一つの実施例は、2個以上の抗HPV抗体を用いるサンドウィッチELIS
A分析である。サンドウィッチELISA分析を行うとき、まず、一次抗HPV抗体をマ
イクロタイタープレート上にコートし、HPVウイルス性タンパク質または組み換え型H
PVタンパク質を有するサンプルを試験して、マイクロタイタープレートの各ウェルに加
え、一次抗HPV抗体と反応させ、マイクロタイタープレートの底部表面上のHPVタン
パク質を捕捉する。第3に、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)または他の検出剤を
結合させた二次抗HPV抗体を加える。抗体−タンパク質複合体の検出は、通常、HRP
に対してはTMB基質等の検出剤に対する基質を加えることによって行い、例えばELI
SAリーダー等の検出装置によって、検出剤を付けた抗体−タンパク質複合体の存在を報
告する(これによって、HPVタンパク質との抗HPV抗体の結合活性に影響を与える)
。サンドウィッチELISA分析は、一次および二次抗HPV抗体によるHPVタンパク
質の特異的結合を提供し、これによって、2個の抗HPV抗体の特異性を特定または確認
する。本発明において、様々な抗体を、抗体特異性を示すためにコーティングする抗体お
よび検出抗体として用いた。
【0091】
【表1】
【0092】
実施例として、表1は、HPV18 E6タンパク質の存在を検出するためのELIS
A(酵素免疫測定)の実験設定および結果を示す(抗原試験)。この結果は、HPV18
E6組み換え型タンパク質は、コーティングおよび検出抗体がHPV18 E6に反応
できるとき検出できるが、コーティング抗体がHPV16 E6に結合できるが検出抗体
がHPV18 E6のみに特異的に反応するにも関わらず、HPV16 E6組み換え型
タンパク質は検出できないことを示す。同様の結果は、HPV16 E6およびHPV1
8 E6の両方に結合できる検出抗体によってコーティングした特異的抗HPV18 E
6を用いたときに得られた。データは、HPV18 E6組み換え型タンパク質をサンド
ウィッチ分析における試験タンパク質として用いるときに抗体の特異性がHPV18 E
6を認識するが、サンドウィッチ分析の抗原としての組み換え型HPV16 E6タンパ
ク質には反応性を示さないことを示す。本願明細書で記載する分析フォーマットは、限定
することはないが、子宮頸癌細胞からの細胞溶解物、子宮頸部をかき取ったサンプル、組
織、体液、血清などの生物学的サンプルにおいて存在するHPV18 E6タンパク質を
検出するのに用いた。この特異的なサンドウィッチ分析は、HPV18に特異的な型を提
供し、この分析において検出可能なHPV16 E6の結合を排除する。
【0093】
【表2】
【0094】
本発明において記載する抗体を示す他の実施例として、HPV E7タンパク質を用い
ることができ、表2は、コーティングおよび検出抗体に対してHPV18 E7に対する
モノクローナル抗体(HPV18 E7を認識する)を用いてHPV18 E7組み換え
型タンパク質の存在を検出するELISAの結果を示す。データは、抗体の特異性が、サ
ンドウィッチ分析の抗原としてHPV18 E7を用いてHPV18 E7を認識するが、
サンドウィッチ分析の抗原としてHPV16 E7を用いると反応しない。本願明細書で
記載するこの分析フォーマットは、限定することはないが、子宮頸癌細胞からの細胞溶解
物、子宮頸部をかき取ったサンプル、組織、体液、血清などの生物学的サンプルにおいて
存在するHPV E7タンパク質を検出するのに用いた。このサンドウィッチ分析は、H
PV18に対するE7特異性を提供し、HPV感染のスクリーニングおよびHPV E7
発癌タンパク質の検出に有効である。
5.抗HPV抗体の用途
【0095】
本発明において記載するHPV抗体は、一般的なHPV感染および様々な特異的なHP
V遺伝子型、高リスクHPVおよび低リスクHPVによる感染に対する様々な免疫学的分
析において用いることができる。HPVタンパク質の存在の検出において用いるサンプル
は限定されず、子宮頸部組織、子宮頸部かき取り、血清、体液などから得ることができる
。子宮頸癌もしくはHPV感染のスクリーニングまたは診断に有効な免疫学的分析は、I
HC分析、ICC分析、フローサイトメトリ分析、ビーズに結合した抗体を用いる分析、
迅速試験、タンパク質チップ分析、ドットプロットを有する免疫学的分析、スロットを用
いる免疫学的分析、および従来のELISA分析がある。スクリーニング試験として、H
PV抗体は、有資格の細胞学者によって行われたICCによって証明されるように、子宮
頸癌スクリーニングにおいて一般集団からの子宮頸部かき取りの内皮細胞においてin
situ存在するHPVタンパク質を検出するのに用いることができる。確認試験として
、HPV抗体はまた、有資格の病理学者によって行われたIHC染色によって証明される
ように、内皮組織においてin situ存在するHPVタンパク質を検出するのに用い
ることができる。
【0096】
1)精製抗HPV抗体の生物学的サンプルにおいて見つかるHPVタンパク質との反応性
HPV抗体のHPVタンパク質との反応活性を確認するため、精製HPV組み換え型タ
ンパク質および/または生物学的サンプルからの細胞溶解物を含むHPVをELISAま
たは直接EIAで試験する。生物学的サンプルには、限定することはないが、培養細胞か
らの細胞または臨床サンプルがある。
【0097】
【表3】
【0098】
実施例として、表3において示すデータのように、HPV E6、HPV E7または
HPV L1タンパク質に特異的なモノクローナル抗体は、陰性対照としてHEC−1A
を用いるとき、直接EIAにおける様々な子宮頸癌細胞株からの細胞溶解物と特異的に反
応できる。Caski,Sina,Cxca、Hela等の子宮頸癌細胞株、およびHE
C−1A(非HPV感染)等の子宮内膜癌細胞からの細胞溶解物を用いて、表3において
示すようにそれぞれ、HPV E6,HPV E7およびHPV L1に特異的なHPV
モノクローナル抗体によるHPV E6,E7,またはL1の検出を行うのに用いた。
【0099】
本願明細書で試験し記載する培養細胞には、限定することはないが、Caski(HP
V16陽性),Sina(HPV16陽性),Cxca、Hela(HPV18陽性)等
の子宮頸癌細胞およびHEC−1A(非HPV感染)等の子宮内膜癌細胞株がある。直接
EIAに対して、細胞を回収、遠心、洗浄および溶解して、検体として細胞溶解物を生成
した。細胞溶解物におけるタンパク質を、定量化し、各ウェルにおける各サンプルをコー
ティングするための同量のタンパク質を用いてマイクロタイタープレートにコーティング
した。プレートを遮断し、示したように各HPVモノクローナル抗体およびその後HRP
結合した抗マウスIgGによって検出した。TMB基質を加え、その後、標準的な反応停
止溶液を加えた。OD
450をELISAプレートリーダーによって行った。
【0100】
2)精製抗HPV抗体のHPVタンパク質との反応性を臨床サンプルにおいて見つけた。
本願明細書で試験し記載する臨床サンプルは、限定することはないが、子宮頸部かき取
り、体液または血清サンプルである。子宮頸部かき取りからの臨床生検も、EIAでHP
V E6,E7またはL1タンパク質の検出をするために得た。
【0101】
液体の溶液、培養液(HPV DNA試験サンプルに対して用いた)、またはパップス
メアにおいて子宮頸部かき取りを含む様々なサンプルソースからの細胞溶解物は、本発明
において記載する様々なHPVモノクローナル抗体を用いてEIAフォーマット上で臨床
サンプルからのHPV E6,E7またはL1の検出を行う。本願明細書で記載する直接
EIAを行うため、生検を処理、遠心分離、洗浄および溶解して、検体として細胞溶解物
を生成した。細胞溶解物におけるタンパク質を定量化し、各ウェルにおける各サンプルを
コーティングするための同量のタンパク質を用いてマイクロタイタープレートにコーティ
ングした。プレートを遮断し、示したように各HPVモノクローナル抗体およびその後H
RP結合した抗マウスIgGによって検出した。TMB基質を加え、その後、標準的な反
応停止溶液を加えた。OD
450をELISAプレートリーダーによって行った。
【0102】
【表4】
【0103】
表4において示す結果は、各モノクローナル抗体が、分析の陰性対照としてパップスメ
ア正常(HPVネガ)を用いて、SCCサンプルからそれぞれHPV E6,E7または
L1タンパク質を検出することを示す。高度HPV DNA位置からのサンプルに対して
、EIAで3個のうち1個がE6,E7およびL1で陽性である。これらのデータは、S
CC溶解物からのE6,E7またはL1タンパク質は本願明細書で記載するモノクローナ
ル抗体を用いてEIAによって検出できるが、高度HPV DNA位置のサンプル(CI
N1/2)は、検出可能なHPV E6,E7またはL1タンパク質を含むまたは含まな
いことを示す。この研究において用いた高度HPV DNA試験はhcであり、FDAし
かHPV DNA試験を承認しなかった。それらのHPV DNA陽性であるがHPV
EIA陰性であるサンプルに対して、HPV DNA分析の陽性、またはHPV発癌タン
パク質を発現しないそれらのHPV DNA検出の陽性を偽ることができる。これらのデ
ータは、本願明細書で記載するHPV EIA分析が子宮頸癌のスクリーニングのさらな
る臨床的妥当性を提供することを示す。
【0104】
3)免疫組織化学(IHC)による精製抗HPV抗体のin situHPVタンパク質
との反応性
4ミクロンに切断したパラフィン組織をスライドガラスガラス上に置き、60°Cで一
晩焼いた。脱パラフィン水和物の切片を脱マスクし、その後標準的なIHC染色手順に従
った。本発明において記載するHPVタンパク質精製モノクローナル抗体を希釈して、一
次抗体として用いた。染色手順は、二次抗体溶液、洗浄後、各切片に対して適切な試薬を
入れた。切片ができたらすぐ、精製水にスライドガラスを浸し、ヘマトキシン、脱水物で
切片を対比染色し、カバースリップを載せた。
【0105】
実施例として、様々な段階のCINからの様々な子宮頸部組織を準備して、本願明細書
で記載するラビットポリクローナル抗HPV E7抗体を用いてIHC分析を行った。他
の実施例として、多くの子宮頸部生検サンプルを、様々なHPV型(HPV DNA遺伝
子型によって確認)からのHPVタンパク質を検出するモノクローナル抗体を用いて組織
マイクロアレイフォーマットとして共に免疫組織化学的分析において試験した。HPVウ
イルス性タンパク質および/または発癌タンパク質に対するモノクローナル抗体を用いて
、本発明は、1個のHPV感染または複数のHPV感染のいずれかを有する臨床サンプル
におけるHPV L1ウイルス性タンパク質およびE6,E7発癌タンパク質の存在を検
出する抗体を提供する。本願明細書で記載する1個の抗HPVモノクローナル抗体は、少
なくとも癌に関連するHPV型(高リスクHPV型または低リスクHPV型のいずれか)
であるHPV−6,HPV−16,HPV−18,HPV−31,HPV−33,HPV
−52などによって1個のHPV感染を検出できる。1個の抗HPVモノクローナル抗体
は、高リスク、低リスク、および非発癌性α−パピローマウイルスを含む、HPV−16
,HPV−18,HPV−52,HPV−58,HPV−44,HPV−51,HPV−
39,HPV−59などで;PCPV1,HPV−2a,HPV57などの組み合わせ等
の2個以上のHPV型によるHPV感染を検出できる。
【0106】
実施例として、本発明において記載するHPV抗体は、臨床用途において適用できる。
IHC分析の結果は、マウスモノクローナル抗HPV E7抗体を用いた、様々な段階の
子宮頸部組織からのin situに存在するHPV E7タンパク質の検出を行う。他
の実施例として、本願明細書で記載する抗体はまた、様々な段階のCINからの子宮頸部
組織を用いてICC分析において用いることができる。他の実施例として、マウスモノク
ローナル抗HPV E6抗体を用いるIHC染色の結果は、様々な段階のCINからin
situにおいて存在するHPV E6タンパク質の検出を示す。これらの結果は、形
成不全細胞において過剰に発現したHPVE6およびHPV E7発癌タンパク質が、特
異的なHPV抗体と用いたIHC染色によって特異的に検出できることを示す。
【0107】
実施例として、
図12A~12Dは、マウスモノクローナル抗HPV E6抗体によっ
て行ったCIN組織のIHC染色を示す。結果は、E6発癌タンパク質の発現は、CIN
前癌段階において初期に検出できることを示す。黒色矢印は、形成不全細胞におけるE6
タンパク質の特異的な染色を示すが、白色透明矢印は、染色されていない正常細胞を示す
。拡大した画像は、形成不全細胞の核において初期に発現したE6タンパク質の位置を示
す。
【0108】
図12Aは、抗E6モノクローナル抗体を用いた免疫組織化学染色(IHC)によって
染色したCIN組織の形成不全細胞の画像である。
図12Bは、
図12AのCIN2サン
プルの形成不全細胞に隣接した正常上皮細胞の画像である。
図12C〜Dは、同じ抗E6
モノクローナル抗体を用いたIHCによって染色した2個のCIN3サンプルの形成不全
上皮細胞の画像である。これらのデータは、E6モノクローナル抗体によるIHC染色が
形成不全細胞において核および細胞質において特異的であることを示す。
【0109】
他の実施例として、
図13A~13Dは、マウスモノクローナル抗HPV E7抗体に
よって行った扁平上皮細胞癌のIHC染色を示す。結果は、E7発癌タンパク質は、SC
C組織の腫瘍細胞において検出できることを示す。黒色矢印は、形成不全細胞におけるE
7タンパク質の特異的な染色を示すが、白色透明矢印は、染色されていない正常細胞を示
す。拡大した画像は、正常上皮または基質細胞においてではなく、腫瘍細胞の細胞質にお
いて発現したE6タンパク質の位置を示す。これらのデータは、E7モノクローナル抗体
によるIHC染色が腫瘍細胞の細胞質において特異的であることを示す。
図13Aは、抗
E7モノクローナル抗体を用いたIHCによって染色した扁平上皮細胞癌(SCC)組織
の画像である。
図13Bは、
図13AからのSCC対象の正常な上皮(腫瘍組織から15
mm離れた)の画像である。
図13Cは、同じ抗E7モノクローナル抗体を用いたIHC
によって染色した他のSCCサンプルの画像である。
図13Dは、
図13Cからの細胞質
において染色した腫瘍細胞の拡大画像である。
4)免疫化学(ICC)による精製抗HPV抗体のin situのHPVタンパク質と
の反応性
【0110】
液体ベースの溶液によって回収した子宮頸部のかき取りを製造装置に従って処理した。
準備した細胞を2群に分け、1個を従来のパップスメア用で、もう一方は、免疫染色用で
ある。スライドガラス上の子宮頸部細胞の単層を細胞スピンまたは薄処理技術によって処
理した。その後、細胞を固定して免疫染色プロトコールにしたがって染色した。染色した
細胞を顕微鏡で可視化した。
【0111】
実施例として、
図14A〜14Cは、抗HPV抗体を用いた免疫化学分析を示す。
図1
4Aは、薄準備によって準備し、マウスモノクローナル抗HPV E7抗体を用いてIC
Cによって染色したCIN2子宮頸部かき取りサンプルからの子宮頸部細胞の画像である
。
図14Bは、薄準備によって準備し、マウスモノクローナル抗HPV E6抗体を用い
てICCによって染色したCIN2子宮頸部かき取りサンプルからの子宮頸部細胞の画像
である。
図14Cは、薄準備によって準備し
図14Bにおいて示したのと同じ抗E6抗体
を用いてICCによって染色した腺癌(ADC)子宮頸部かき取りサンプルからの子宮頸
部細胞の画像を示す。
【0112】
本願明細書で記載するように、抗体およびHPV初期および/または後期遺伝子由来の
精製組み換え型タンパク質を用いた1個以上の免疫学的分析は、HPV感染が起こったか
どうかを示す信頼のおける指標として機能する。加えて、HPVに関連する悪性腫瘍また
は前癌細胞形質転換を分析できる。本発明の最も有効な態様のうち一つは、子宮頸癌、扁
平上皮細胞癌および腺癌の両方および、空細胞症;過角化症;上皮内または上皮癌または
上皮内病変を含む前癌状態;重度の形成不全;および浸潤癌または悪性癌等の発癌性HP
V感染に関連するいずれかの上皮細胞の非正常の診断である。
【0113】
重度のCIN病変において、E6およびE7は、宿主ベースの上皮細胞において強く発
現し、これらの複製能力宿主細胞の細胞周期制御を大きく妨げる。HPV発癌タンパク質
の発現は、宿主細胞におけるG1−S Phaseを妨げる。HPV E6およびE7タ
ンパク質は、E7によるpRBの不活性およびE6によるp53の分解等、過剰の細胞相
互作用を標的とする。高濃度のHPV E7タンパク質はpRBを不活性にし、E2F−
Rb結合を妨げる。通常、pRBのE2Fへの結合は、E2F駆動細胞周期活性を遮断す
る。細胞の複製において、E2Fは、RBのリン酸化によって制御される。リン酸化は、
通常いくつかのキナーゼ阻害剤(INKs)によって制御されるサイクリン依存キナーゼ
(CDK4,CDK6)によって仲介される。
【0114】
Rb/E2F抑制の損失および遊離E2Fによる強活性の結果として、宿主細胞タンパ
ク質p16INK4aの発現が過剰に発現する。加えて、Cdk4/6のp16INK4
a仲介抑制は、pRb宿主細胞タンパク質上に下流効果を与えないため、S−相遺伝子が
連続的に活性化される。E7依存E2F放出はpRbのリン酸化によって仲介されるため
、逆調節p16INK4a発現は活性化細胞周期に効果を示さない。物理学的条件下でp
16INK4aは、細胞が老化組織におけるテロメアの短縮化等の遺伝子ストレス状態と
なるとき発現する。また、アポトーシスはp53のHPV E6仲介分解によって無効に
なる。サイクリン依存キナーゼ(CDK)阻害剤p16INK4aの過剰の発現は、非制
御HPV癌遺伝子発現の直接的な結果である。
【0115】
加えて、増殖に重要な宿主細胞タンパク質および宿主細胞ゲノム複製は、HPV感染の
結果として過剰に発現する。これらの宿主細胞タンパク質には、ki67(MlB−1)
,MYC細胞癌遺伝子、サイクリンタンパク質(例えばサイクリンA,B,Eなど),C
DKN2A/p16INK4a,テロメアーゼ(例えばTERC)、複製複合タンパク質
(例えばMCM5、CDC6、トポイソメラーゼIIα(TOP2A)、MCM2、ミンク
ロモソン維持タンパク質2,4,5などがある。
【0116】
本願明細書で与える1個以上の免疫学的分析は、簡単な装置でまたはさらなる装置なし
に易しい手順を用いて、短い時間で行うことを目指す。様々な免疫学的分析の結果と比較
して、ヒト対象に対する細胞学的および病理学的データを用いた核酸ハイブリダイゼーシ
ョン分析および人口学的情報は、HPV感染および/または子宮頸癌の診断における正確
性を評価する。
【0117】
ヒトパピローマウイルスに感染したヒト対象のスクリーニング方法の他の実施例は、ヒ
ト対象から臨床サンプルを獲得する工程と、臨床サンプル上で核酸ハイブリダイゼーショ
ン分析を行う工程と、ヒト対象からの臨床サンプルにおいてパピローマウイルスゲノムの
存在を検出する工程と、初期パピローマウイルス性タンパク質の初期組み換え型タンパク
質を用いて、臨床サンプルにおける初期パピローマウイルス性タンパク質に対する抗体の
存在または初期パピローマウイルス性タンパク質の存在を検出する工程と、後期パピロー
マウイルス性タンパク質の後期組み換え型タンパク質を用いて、臨床サンプルにおける後
期パピローマウイルス性タンパク質に対する抗体の存在または後期パピローマウイルス性
タンパク質の存在を検出する工程を有する。
【0118】
本願明細書で記載するような1個以上の診断的免疫学的分析はまた、本願明細書で記載
して得られるような一個以上の組換え型タンパク質に対して特異的なポリクローナル抗体
、モノクローナル抗体、および/または抗血清を得る工程と、HPVに関連するタンパク
質および/または抗原を含みそうな臨床サンプルを取る工程と、それを獲得した1個以上
の組み換え型タンパク質に対して特異的なポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、お
よび/または抗血清と反応させる工程と、適切な検出システムによっていずれかの抗体−
抗原複合体の存在を分析する工程を有する。適切な検出システムは、各免疫学的分析にお
いて二次抗体に対して特異な発色、化学発光、蛍光基質などを用いる。
【0119】
HPV感染の初期診断は、子宮頸癌の予防および治療に重要である。子宮頸がんを予防
する方法は、過去もしくは現在のHPV感染および/または前癌病変を有する対象に加え
て世界中で幅広い範囲で改良したHPV試験/スクリーニングを必要とする。重要なこと
に、12〜15年間の女性におけるHPVの感染は侵襲性癌に発達する前に必要であるこ
とがわかっている。したがって、前癌を治療する化学療法または放射線に頼るよりも、H
PV感染に対するバイオマーカーを分析して初期に女性を前もってスクリーニングし、初
期にHPV感染を治療し、子宮頸癌への進行を予防することができるのが重要である。