【実施例】
【0184】
一例に限定されず、以下の実施例は、本開示のよりよい理解を容易にするのに役立つ。
【0185】
合成態様
ウリジンヌクレオシドを調製するために、パイロットプラントスケールですでに効率的に産生された3(下記を参照のこと)のある3’,5’−ジアシル化アナログの合成において高度なトリベンゾイル化シチジン中間体を利用することができる(国際公開第2006/031725号または米国特許第2006/0122146号(どちらもそれらの全体として参照により組み込まれる)を参照のこと)。下記方法は、スケーラブルであり、かつ費用効果が優れていることが判明した。
【化21】
【0186】
3’,5’−O−ジベンゾイル−2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチル−N
4−ベンゾイルシチジン(1)は、国際公開第2006/031725号および国際公開第2008/045419号(どちらも、その全体として参照により本明細書中に組み込まれる)で開示される方法により得られる。1を70%の水性酢酸で処理して、3’,5’−O−ジベンゾイル−2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチル−ウリジン(2)を形成する。ベンゾイルエステルを、多くの方法によって、アルコール性溶媒中アルコキシド、例えばメタノール中ナトリウムメトキシド、メタノールまたはエタノールアナログ中炭酸カリウム、メタノール中メチルアミン、ブチルアミンなどのアルキルアミンなどにより、同様に加水分解することができる。メタノール性アンモニアをより大規模な実験に関して選択した。ウリジン生成物(3)を結晶化により精製して、トリベンゾイル化シチジン(1)から70%の収率を得ることができる。
【0187】
多くの文献の手順が、数倍当量の試薬を用いてホスホルアミデートを作製する異なるための経路および条件を詳細に記載している。例えば、McGuigan et al. J. Med. Chem. 2005, 48, 3504-3515およびMcGuigan et al. J. Med. Chem. 2006, 49, 7215を参照のこと
。製造スケールの実験については、現在知られている例は1例しかなく、これはLehsten et al., Org. Process Res. Dev. 2002, 6, 819-822 (「Lehsten」)で開示されている
。この参考文献では、著者等は、アミノ酸塩酸塩およびフェニルジクロロホスフェートをあわせてN−メチルイミダゾールとジクロロメタン中で反応させる、「ワンポット手順」の概念を導入している。後で、ヌクレオシドを添加して、所望の5’−O−ホスホルアミデート生成物を形成し、これにより、この場合では、式4により表される化合物が生成する。残念ながら、Lehstenの手順には欠点がある。例えば、Lehstenの手順は、必要であるよりはるかに過剰の試薬を用い、これによりクロマトグラフィー精製のコストや困難さが増大した。さらに、Lehstenは、低温の使用やヌクレオシドをゆっくりと添加することに
より、参考文献と比較して、3’−ヒドロキシルよりも5’−ヒドロキシルに対する反応の選択性を制御することができることを示唆している。
【化22】
【0188】
本明細書中で開示される化合物に関してLehstenの手順を使用して、約1〜5%のモノ
置換3’−O−ホスホルアミデートジアステレオマー(5)および約10〜30%のビス置換生成物(6)を得た。3’−ジアステレオマーの極性は所望の5’−ジアステレオマー(4)と非常に類似していたので、クロマトグラフ分離は非常に困難であった。プロセスの拡大は、かなりの部分の極性の低い5’−ジアステレオマー(4)を廃棄するかまたは3’−ジアステレオマー(5)の高レベルの汚染を受けることなしにはほぼ不可能であった。最初の50gスケールアップで、結果として得られる生成物は、約3%の3’−ジアステレオマー(5)汚染を含み、これは極性の低い5’−ジアステレオマー(4)と共溶出した。
【0189】
本明細書中で開示されるのは、より少ない量の試薬を使用する反応条件、およびより簡単なクロマトグラフ分離で不純物3’−O−ホスホルアミデートジアステレオマー(5)を選択的に除去し、これにより所望の5’−O−ホスホルアミデートジアステレオマーをはるかに高い純度で得る方法である(4)。
【0190】
試薬化学量論に関して、試薬の化学量論を系統的に変更し、結果をLehstenが報告した
ような粗反応のリンNMRによりモニタリングする研究を行った。より大きな成果をあげた実験において、所望の生成物の単離収率および純度を比較した。第1の5’−ヒドロキシルは、第2の3’−ヒドロキシルよりも速い速度で反応することが観察された。これは、全ての出発ヌクレオシドを消費する反応進行と、5’−および3’−一置換生成物(4および5)を5’,3’−ビス置換生成物(6)に変換する反応進行との間で競合的状況を生み出す。3’−一置換生成物は、5’−一置換生成物よりも速い速度でビス生成物になり、したがって、反応をビス置換生成物側へ進ませることにより3’−ジアステレオマー汚染レベルを減少させることが可能である。しかし、3’−ジアステレオマーを除去するための効果的な方法で、反応を最適化して、ビス置換体(6)に変換される5’−ジアステレオマーの多くを犠牲にすることがなく、より多くの所望の5’−ジアステレオマーを産生することができる。アミノ酸塩酸塩が非常に吸湿性であることも観察された。存在するいかなる水も同量のフェニルジクロロホスフェート試薬を消費するので、配慮してアミノ酸を実質的に無水に保たなければならないか、または使用前に実質的に無水にしなければならない。つまり、Lehstenは、アミノ酸とフェニルジクロロホスフェートとヌクレ
オシドの最適比がそれぞれ3.5:2.5:1であったことを報告した。約1.6:約1.3:約1のアミノ酸とフェニルジクロロホスフェートとヌクレオシドの最適比は、3’−ジアステレオマーを効率的に除去することができる条件下およびアミノ酸塩酸塩が実質的に無水である場合に最適であることが判明した。より少ない量の試薬を使用することにより、試薬副生成物および低レベルのビスジアステレオマーからの所望の生成物のクロマトグラフ分離の簡素化とあわせて、コスト削減が実現される。
【0191】
別の手順において、3の3’−ヒドロキシブロック化誘導体を、2ステップでt−ブチルジメチルシリルブロッキング基を用いて調製した。これを次いでその5’−ホスホルアミデート誘導体に変換した。シリル基を次いで除去して、3’異性体(5)または3’,5’−ビスホスホルアミデート(6)は存在しないのが望ましい。類似したアプローチがBorchおよびFries(米国特許第5,233,031号)により、全収率が低いアルキルホスホルアミデートについて示された。
【0192】
別の代替的アプローチは、直接合成を使用し、次いで3’−ジアステレオマー不純物5と所望の5’−ジアステレオマー4とを区別するのを助け、分離に役立つ化学を使用する。所望の5’−O−ホスホルアミデート4の遊離第2ヒドロキシルよりも、3’−O−ホスホルアミデート不純物5の遊離第1ヒドロキシルと選択的に反応する基が望まれた。結果として得られる5’−O−ブロック化3’−O−ホスホルアミデート生成物の極性を、所望の5’−O−ホスホルアミデート4から有意に変える保護基も望まれた。所望の5’−ジアステレオマー4は変化しないので、保護基を除去するために余分なステップは必要ない。化学的に改変された3’−ジアステレオマーはしたがって、より容易なクロマトグラフ分離または特殊なスカベンジング支持体もしくは抽出に分離を可能にする。
【0193】
特に、ブロッキング基tert−ブチルジメチルシリル(tBDMS)は、これらの基準を満たし、示された最初のものであり、その後、数キログラムのスケールで使用された。溶媒および塩基としてのピリジン中などのある条件下で、tBDMS基は、3’第2ヒドロキシル位置よりも第1ヒドロキシル位置で高い選択性で反応する。ホスホルアミデート反応は、N−メチルイミダゾール(NMI)を塩基として使用する。NMIの存在下で、シリル化は低選択的である。好ましくは、NMIの量を減少させなければならない。これは、反応溶液を1Nの塩酸で洗浄することにより、ホスホルアミデート反応後に容易に達成することができる。NMIおよび残存するヌクレオシドを除去し、モノおよびビス置換生成物ならびに試薬副生成物の粗混合物が残る。これを次いでピリジン中に溶解させ、tert−ブチルジメチルシリルクロリドで処理する。3’−一置換生成物5は数時間以下で5’−O−tBDMS−3’−O−ホスホルアミデート7に変換される。反応の進行はHPLCによってモニタリングすることができる。シリル化生成物7の極性は、ビス−ホスホルアミデート6よりも低く、クロマトグラフィーにより容易に除去することができる。この方法を用いて、3’−モノホスホルアミデート5のレベルを、シリル処理なしで1〜3%であるのに対して、5’−生成物4の0.1%未満まで減少させることが可能であった。同様に、同じ条件下でジメトキシトリフェニルメチルクロリド(DMT−C1)での処理は、全く同じ働きをした。DMT含有分子は加熱または酸への暴露により明橙色に染色するので、TLCによりDMT反応生成物を同定することもより容易であった。前述の様に、多くの他の保護基を想定することもできる。
【0194】
反応条件および3’−不純物のスカベンジングはどちらも一般的方法であり、3’ヒドロキシルを有するヌクレオシドホスホルアミデートのほとんどに適用することができた。ホスホルアミデート部分は、アミノ酸エステルおよび芳香族アルコールの任意の組み合わせであり得る。ヌクレオシド部分は、5’ホスホルアミデートが5’−モノホスフェートとなり、さらに代謝されて5’−トリホスフェート形となり得る、任意のヌクレオシドであり得る。
【0195】
以下のスキームは、2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチルウリジンのイソプロピルL−アラネートフェニルホスホルアミデートを作製するために示された主な反
応スキームであり、主生成物は所望の5’−O−ホスホルアミデート(4、2つのジアステレオマー)であり、副生成物は3’−O−ホスホルアミデート(5、2つのジアステレオマー)および3’,5’−ビス−O−ホスホルアミデート(6、4つのジアステレオマ
ー)である。試薬を、調製法の部分で記載する様な化学量論比で添加する。薄層クロマトグラフィー(TLC)上でUV視覚化により判定して出発物質の約5%が残存するまで反応を進行させる。また、UPLC/MSは、所望の5’−生成物と比較して、約10%の3’,5’ビス−ホスホルアミデート6が形成されたことを示した。クエンチングおよび酸性水性仕上げ処理の後、シリル化のために有機層から粗残留物を調製した。記載された反応条件下で、シリル基は優先的に3’−O−ホスホルアミデートの遊離5’−ヒドロキシルと反応して、7を形成した。3’−O−ホスホルアミデートがUPLC/MSによりもはや検出されなくなるまで、反応を継続した。
【化23】
【0196】
シリル化反応を完了させた後、所望の生成物をシリカゲル上クロマトグラフィーに付し、ジクロロメタン中メタノール(1〜4%)の勾配で溶出させる。所望の5’−モノホスホルアミデート4は最後に溶出する。
【0197】
調製方法
【0198】
実施例1.2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチルウリジン(3)の調製
10Lフラスコに、3’,5’−O−ジベノジル−2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチル−N4−ベンゾイルシチジン(500g、0.874mol)及び70%酢酸水溶液(7.5L)を加えた。溶液を20時間加熱還流した(110℃)。TLCは反応の完了を示した(5%メタノールのジクロロメタン(DCM)溶液で、Rf=0.
6)。混合物を雰囲気温度まで冷却し、水(2L)で希釈した。2時間撹拌した後、生成した沈殿物を濾過して回収し、固体を水(5L)で洗い、空気中雰囲気温度で12時間乾燥し、360g(88%)を得た。このジベンゾイルウリジン中間体の全量を、新たに調製したメタノール・アンモニア(5.4L、約25%)に0℃で加えて、次の工程で直接使用した。この温度を3時間維持した後、24時間で15℃まで昇温させた。TLCは反応の完了を示した(10%メタノールのDCM溶液で、Rf=0.4)。反応混合物をセライト層で濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物(216g)を得た。粗生成物を酢酸エチル(325mL)と合わせて、雰囲気温度で3時間撹拌した。生成した固体を濾過して回収し、酢酸エチル(216mL)で洗った。固体を真空下、雰囲気温度で4時間乾燥し、所望の産物をHPLC純度98.7%で160g(78%)得た。
1H−NMR(DMSO−d
6)δ11.44(br s,1H,NH)、7.95(d,1H,C−6H)、5.97(d,1H,C−1’H)、5.64(d,1H,C−5H)、3.84−3.77(m,3H,C−5’−Ha,C−3’H.C−4’H)、3.63−3.60(m,1H,C5’−Hb)、1.23(d,3H,C−2’−CH
3)。ES−MS M−1 259。
【0199】
実施例2.(S)−2−{[(1R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−(R)−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−フェノキシ−ホスホリルアミノ}−プロピオン酸イソプロピルエステル(4)の調製
【0200】
別名:5’−O−(イソプロピル−L−アラナート,フェニルホスホルアミジル)−2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチル−ウリジンジアステレオマー混合物
【0201】
5Lの三口フラスコに、メカニカルスターラー、氷塩浴、内部温度計を取り付け、窒素雰囲気とした。フラスコに、L−アラニンイソプロピルエステル塩酸塩(82.0g、0.490moles)、及び無水ジクロロメタン(0.80L)を加えた。これを撹拌しながら、ジクロロリン酸フェニル(85.0g、0.40moles)を一度に加えて撹拌した。内部温度を−5〜5℃に保ちながら、N−メチルイミダゾール(NMI、250g、3.07moles)のジクロロメタン(250mL)溶液を30分間かけて加えた。溶液は、この温度範囲で1時間撹拌させた。2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチル−ウリジン(3、80.0g、0.307moles)を0℃で一度に加え、その後、反応フラスコを塩浴中でゆっくりと昇温させた。1時間経過時点で、内部温度は−2℃に上昇した。1時間経過時点でのTLC(5%メタノールのDCM溶液)では、50%を超えるヌクレオシドが消費されていることが示された。塩浴を取り除き、さらに1時間かけて、反応フラスコを雰囲気温度にした。3時間後、そして全体では5時間経過時点でのTLCでは、開始時のヌクレオシドの95%が消費されていることが示された。反応混合物は、メタノール(100mL)を加えて5分間撹拌することで、反応を停止した。
【0202】
反応混合物を1NのHCl(2X500mL)、続いて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2X500mL)で洗った。分離した有機層を無水硫酸ナトリウム(50g)で乾燥させ、濾過した。溶液を減圧下そしてさらに高真空下で蒸発乾固させ、粗生成物を粘性油状
物として得た(170g)。粗生成物のNMR(
31P及び
1H)を測定した。
31P−NMRでは、全リン酸同化の約1%は3’異性体5の存在によるものであることが示された。
【0203】
粗生成物に無水ピリジン(1700mL)を加えた。粗混合物の含水量を同時蒸発で減らすため、溶媒は減圧下そしてさらに高真空下で蒸発させた。得られた油状物は、無水ピリジン(500mL)に再度溶解し、過剰量のt−ブチルジメチルシリルクロリド(9.0g、60mM)を加えた。反応物を雰囲気温度で撹拌した。反応の進行は、UPLC/MSで観察した。3時間後、3’不純物5は検出されなくなり、メタノール(50mL)を加えて反応を停止した。
【0204】
反応物を減圧下で油状物まで蒸発させた。残渣を酢酸エチル(1.5L)に溶かし、1NのHCl(2X500mL)、続いて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2X500mL)で洗った。有機層を無水硫酸ナトリウム(50g)で乾燥させ、濾過し、そして減圧下で蒸発させ、粗生成物を淡黄色油状物として得た。
【0205】
粗油状物は、同体積のジクロロメタンで希釈し、空気圧100psiで遠心圧縮モジュールの2.5Kgシリカゲルカートリッジに充填した。60psi、流速400mL/minでグラジエントポンプを用い、カートリッジを塩化メチレン(4L)で洗い、続いて、濃度勾配1〜4%のメタノール・塩化メチレン溶液(48L)で洗った。主要な不純物(ジ−(イソプロピルアラニル)フェニルホスフェート,3’,5’−ビスホスホルアミダート(6)、3’−ホスホルアミダート−5’−TBDMS付加物(7))のほとんどは、〜3%の濃度勾配で溶出した。所望の生成物は、3〜4%のメタノールで溶出した。生成物を含む画分は2つのロットに分別した。第1は少量の上流不純物を含み、第2は純粋な生成物である。第1群の画分は、3’,5’−ビスホスホルアミダートやジ−アラニルフェニルホスフェートなどのより極性の低い不純物(上流不純物)、及び多くの場合Rpジアステレオマーを少量含み、さらにカラム精製を行う必要がある。(相対的な語句である上流と下流は、順相シリカゲルクロマトグラフィーでの溶出を意味し、「上流異性体」とは最初に溶出される異性体を意味する。)第2群の画分は、有意な量の不純物を含んでおらず、わずかな残りのR
Pおよび大部分はS
Pジアステレオマーである。第2群は、その後、カラム精製を2度行った画分と合わせた。溶媒を減圧下で留去し、生成した白色の泡状物をさらに1時間乾燥させ(0.20mmHg)、42gの非純粋ロット(
31P−NMRで、上流異性体対下流異性体=4:1)と38gの純粋ロット(上流異性体対下流異性体=1:3)を得た。非純粋ロットは同様の方法で再度カラム精製し、3.8gの97%純粋な上流異性体(取り除く画分)と、36gの純粋生成物を4:1の割合で得た。2つのメインロットはDCMに溶解し、1つにまとめ、減圧下で蒸発させて乾燥し(50℃、0.2mmHg、24h)、74g(45.7%)の純粋生成物4(ジアステレオマー比48:51)を白色の泡状物(融点約75〜85℃)として得た。
【0206】
ジアステレオマー混合物の非結晶固体を作製するため、白色の泡状物74gをt−ブチルメチルエーテル(750mL)中で撹拌し、部分溶液と粘質固体残留物を得た。撹拌しながら、ヘプタン(750mL)をゆっくりと加え、粘質物のほとんどが白色固体になるまで、懸濁液をメカニカルスターラーで1時間撹拌した。固体をへらでこすりとり、懸濁したスラリーを濾過した。固体をヘプタン(4X50mL)で洗い、真空下で乾燥させ(50℃、0.2mmHg、24h)、約70〜80℃の広融点範囲を持つ白色の非結晶粉末(64g)を得た。
1H及び
31P NMRは構造と一致し、HPLCで純度99.8%、ジアステレオマー比46:54であることが示された(
31P NMRでも確認された)。
【0207】
4の固体混合物を作製する別の方法。クロマトグラフィーの後、残渣を2回、ジクロロ
メタンで同時蒸発させ(5mL/g)、35〜40℃、35〜45mTorrで24時間乾燥させた。泡状の残渣を250ミクロンのふるいにかけ、残留ジクロロメタンがヘッドスペースGCで400ppmを下回るまで、同様の条件でさらに乾燥させた。得られたオフホワイト〜白色の非結晶微粉末は、ガラス転移温度の範囲が53.7〜63.5℃であった。
【0208】
異性体(4)混合物の特性評価:
1H−NMR(CDCl
3)δ10.05(br s,1H,NH,S
P)、10.00(br s,1H,NH,R
P)、7.49(d,1H,C6−H,S
P)、7.36(m,5H,C6−H,R
P,芳香族)、7.23−7.14(m,6H,R
P/S
P,芳香族)、6.18(br d,2H,Cl’−H,R
P/S
P)、5.63(d,1H,C5−H,S
P)、5.58(d,1H,C5−H,R
P)、5.01(m,2H,CH−(CH
3)
2,R
P/S
P)、4.46−4.33(m,8H,C−5’−H
2,ala−NH,C3’−OH,R
P/S
P)、4.12(m,2H,ala−CH−CH
3,R
P/S
P)、4.01−3.85(m,4H,C3’−H,C4’−H,R
P/S
P)、1.39−1.22(m,12H,all CH
3,R
P/S
P)。
【0209】
31P−NMR(CDCl
3)δ3.60(R
P)、3.20Sp(トリフェニルホスフェートでは17.80ppm)。ES−MS M+l 530.2。元素分析:計算値%(カールフィッシャー法により測定した0.29%の水分を含む)C,49.75;H,5.54;N,7.90;F,3.58;P,5.84。実測値%:C,49.50;H,5.44;N,7.85;F,3.62;P,6.05。
【0210】
異性体の分離に関する検討
化合物4は、リンにおけるキラリティーのため、2つのジアステレオマーからなり、それらはS
P−4及びR
P−4と呼ばれる。立体化学的分析は、S
P−4の単結晶X線分析に基づいて行った。R
P−4及びS
P−4はともに結晶性生成物を生成した。
【0211】
結晶化の方法の概略を以下に示す。
【化24】
【0212】
実施例3.R
P−4異性体の結晶化
最初に溶出した極性の低いR
P−4異性体(3.8g、純度97%)を含むクロマトグラフィーの画分を、イソプロパノール(36g)に溶解し、濁りが生じるまでヘプタンで希釈した(72g)。溶液にシードを入れ、雰囲気温度で5時間撹拌した。生成した固体を減圧濾過で回収し、ヘプタンで洗い(2X20mL)、乾燥させ(50℃、0.2mm、24h)、2.3gの微小な白色の針状結晶体(融点136.2〜137.8℃)を得た。HPLCによる生成物質の純度は、99.02%であった。
【0213】
R
P−4:
1H−NMR(CDCl
3)δ9.10(br s,1H,NH)、7.36(m,2H,o−芳香族)、7.26−7.16(m,4H,C6−H,m,p−芳香族)、6.16(br d,1H,Cl’−H)、5.58(d,1H,C5−H)、5.01(sept,1H,CH−(CH
3)
2)、4.52−4.47(m,2H,C−
5’−H
2)、4.10(d,1H,C3’−H)、4.02−3.76(m,4H,ala−NH,C3’−OH,C4’−H,ala−CH−CH
3)、1.37−1.20(m,12H,all CH
3)。
【0214】
実施例4.S
P−4の調製と結晶化
方法1:粗生成の4からの直接沈殿:撹拌したL−アラニンイソプロピルエステル塩酸塩(10.5g、61.5mmol、トルエン50mLと共沸による乾燥を2回行った)のジクロロメタン(100mL)溶液に、ジクロロリン酸フェニル(7.5mL、50mmol)を室温で加えた。混合物を−10℃まで冷却し、その後、NMI(30.5mL、384.3mmol)の30mLジクロロメタン溶液を30分かけて添加した。添加終了後、混合物を−10〜−15℃で1時間撹拌した。上記混合物に、2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチルウリジン(3)(10g、38.4mmol)を一度に加え、混合物を−10℃以下で3時間撹拌し、その後、20℃までゆっくりと昇温させた(6時間)。混合物を同温度で一晩撹拌し(15時間)、その後、メタノール10mLで反応を停止した。溶媒を留去し、残渣をEtOAc(200mL)に再度溶解した。EtOAc層を、水(100mL)、1N HCl(3x75mL)、2%NaHCO
3水溶液(50mL)、及び食塩水(50mL)で洗った。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を高真空下で2時間乾燥させ、白色の泡状物(22g)を得た。
【0215】
上記の泡状物を33mLのDCMに溶解し、次に65mLのIPE(イソプロピルエーテル)を加え、飽和溶液とした。溶液を小型のセライトパッドで濾過し、濾液をS
P−4シードとともに72時間、雰囲気温度で撹拌した(約22℃:懸濁液を0℃に冷却すると粗生成物がオイルアウトしたため、注意が必要である)。白色の固体を濾過し、IPE(20mL)で洗い、乾燥して、4.58gの白色粉末を得た(
31P NMRの測定で、S
P−4:R
P−4=〜85:15の混合物)。上記固体を23mLのDCMに懸濁し、3時間還流した。混合物を室温まで冷却し、15時間撹拌した。白色固体を濾過し、4.5mLの低温のDCMで洗い、高真空下45℃で乾燥させ、純粋なS
P−4(融点93.9〜104.7℃、HPLC純度99.74%)を得た(3.11g、ウリジンヌクレオシドから15.2%)。
【0216】
S
P−4:
1H−NMR(CDCl
3)δ8.63(br s,1H,NH)、7.47(d,1H,C6−H)、7.30(m,2H,o−芳香族)、7.26−7.18(m,3H,m,p−芳香族)、6.18(br d,1H,Cl’−H)、5.70(d,1H,C5−H)、5.02(sept,CH−(CH
3)
2)、4.53(m,2H,C−5’−H
2)、4.11(d,1H,C3’−H)、3.97(m,3H,C3’−OH,C4’−H,ala−CH−CH
3)、3.77(br s,1H,ala−NH)、1.39(d,3H,C2’−CH
3)、1.37(d,3H,ala−CH
3)、1.24(d,6H,CH−(CH
3)
2)。
【0217】
方法2:粗生成の4からのオイルアウト:撹拌したL−アラニンイソプロピルエステル塩酸塩(20.6g、123mmol、トルエン75mLと共沸による乾燥を2回行った)のジクロロメタン(200mL)溶液に、ジクロロリン酸フェニル(14.9mL、100mmol)を室温で加えた。混合物を−10℃まで冷却し、その後、NMI(61.3mL、769mmol)の60mLジクロロメタン溶液を30分かけて添加した。添加終了後、混合物を−10℃〜−15℃で1時間撹拌した。上記混合物に、2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチルウリジン(3)(20g、76.9mmol)を一度に加え、混合物を−10℃以下で3時間撹拌し、その後、20℃までゆっくりと昇温させた(6時間)。混合物を同温度で一晩撹拌し(15時間)、その後、メタノール10mLで反応を停止した。溶媒を留去し、残渣をEtOAc(400mL)に再度溶解した。EtOAc層を、水(200mL)、1N HCl(3x100mL)、2%NaHCO
3水溶液(100mL)、及び食塩水(50mL)で洗った。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を高真空下で2時間乾燥させ、白色の泡状物(43g)を得た。上記の泡状物を、メカニカルスターラーを備えた二口丸底フラスコ中で、86mLのEtOAcに溶解した。撹拌しながら、100mLのヘプタンをゆっくりと加え、懸濁液を1時間撹拌した。最上層をデカントし、残渣をさらにEtOAc/ヘプタン=2:3の溶液50mLとともに10分間撹拌し、その後デカントした。残渣を高真空下で乾燥させ、白色泡状物(31g)を得た。
【0218】
上記の泡状物を46mLのDCMに溶解し、次に95mLのIPEを加え、飽和溶液とした。溶液を小型のセライトパッドで濾過し、濾液をS
P−4シードとともに72時間、雰囲気温度で撹拌した。白色の固体を濾過し、IPE(30mL)で洗い、乾燥して、7.33gの白色粉末を得た(
31P NMRの測定で、S
P−4:R
P−4=〜85:15の混合物)。上記固体を36mLのDCMに懸濁し、3時間還流した。混合物を室温まで冷却し、15時間撹拌した。白色固体を濾過し、7.5mLの低温のDCMで洗い、高真空下45℃で乾燥させ、>99%の純粋なS
P−4を得た(4.78g、ウリジンヌクレオシドから11.6%)。
【0219】
方法3:4粗生成物のシリカゲルへの充填:ジアステレオマー混合物と同様の方法で、約2.5gの2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチルウリジン(3)から開始して、カラムクロマトグラフィーの工程の直前まで行い、5.0gの4粗生成物を生成した。粗生成物を10mLのDCMに溶解し、10gのシリカゲルを溶液に加えた。溶媒を留去し、ドライスラリーを得た。スラリーを40mLの50%EtOAc/ヘキサンとともに15分間撹拌し、濾過した。シリカゲルをさらに10mLの50%EtOAc/ヘキサンで洗った。次に、シリカゲルを15%MeOH/DCM(100mL)で洗い、別に回収した。溶媒を留去し、高真空下で乾燥させ、4.0gの残渣(泡状物)を得た。残渣をDCM(6mL)に溶解し、次に、〜9mLのIPEを加えて飽和溶液とした。その後、混合物を、S
P−4シードとともに、雰囲気温度で緩やかに一晩撹拌した。白色固体を濾過し、IPE(5mL)で洗い、1.28gの生成物を得た。
31P NMRでは、上記生成物は、S
P−4:R
P−4を77:23で含むことが示された。これを20mLのDCMから再結晶化し、>99%の純粋なS
P−4を0.75g得た(ウリジンヌクレオシドから約12%)。このS
P−4の調製方法では、混合物で行ったシリル化の工程は不要で、全反応手順が上記に示されている。S
P−4の単結晶及び多形型の特徴は、以下に記載する。
【0220】
方法4:40.0gの1:1混合物の4を、90mLのジクロロメタンに溶解した。ジイソプロピルエーテル(70mL)を上記溶液に加え、飽和溶液とした。(ジイソプロピルエーテルの量は、生成物の純度により異なる場合がある。)溶液に純粋なS
P−4(>99%)のシードを加え、混合物を室温で20時間、撹拌子を用いて緩やかに撹拌した(固体の形成は2時間後に観察された)。固体を濾過し、40mLのジイソプロピルエーテル/ジクロロメタン(1:1)混合液で洗い、乾燥して、白色固体を得た(16.6g、NMR測定純度89.35%のS
P−4)。この固体を83mLのジクロロメタンに懸濁し、3時間還流した。懸濁液を室温に冷却し、一晩撹拌した。固体を濾過し、10mLの低温のDCMで洗った。固体を真空下で乾燥させ、S
P−4(13.1g、HPLC測定純度99.48%)を得た。この固体11gを330mLのDCMに高温条件で再度溶解した。溶液を室温まで冷却し、同温度で一晩置いた。結晶生成物を濾過して乾燥させ、10.5gのS
P−4(HPLC測定純度99.74%)を得た。
【0221】
S
P−4及びR
P−4化合物は、第9又は第10番目の実施形態に従って、ヌクレオシド(保護又は無保護)3をイソプロピル−アラニル−ホスホルアミダート(CとC’の混合物、C、又はC’)と反応させることで、下記式に示すように選択的に調製することが
できる。
【化25】
または
【0222】
P.D. Howes et al. Nucleosides, Nucleotides & Nucleic Acids2003, Vol. 22, Nos. 5-8, pp. 687-689(以下「Howes」)では、t−ブチルマグネシウムクロリドとの反応で2’−及び5’−ホスホルアミダートが得られることが示されている。それによると、3’−デオキシ−シチジンヌクレオシドを、(S)−2−[クロロ−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸メチルエステルと、1.2当量のt−ブチルマグネシウムクロリドの存在下で反応させた場合、2’位の選択的なリン酸化が起きるが、さらに当量のt−ブチルマグネシウムクロリドを加えると、5’位の選択的なリン酸化が起きることが示されている。これは、HowesのScheme 1に示される内容と対比する必要がある。
【0223】
実施例5−1.(S)−2−[(4−ニトロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステルの調製
【化26】
撹拌した4−ニトロフェニルホスホロジクロリデート(12.8g、50mmol)のジクロロメタン(100mL)溶液に、フェノール及びトリエチルアミン(7.7mL、55mmol)のジクロロメタン(100mL)溶液を、−78℃で20分かけて加えた。混合物を同温度で30分撹拌し、その後、L−アラニンイソプロピルエステル塩酸塩(8.38g、50mmol)のジクロロメタン(100mL)溶液を入れた別の丸底フラスコに0℃で移した。混合物にさらにトリエチルアミン(14.6mL、105mmol)を15分かけて加えた。混合物を0℃で1時間撹拌し、その後、溶媒を留去した。残渣を酢酸エチル(150mL)でトリチュレートし、白色固体を濾過して取り除いた。濾液を減圧下で濃縮し、淡黄色の油状物を得た。粗生成化合物を、0〜20%酢酸エチル/ヘキサンの濃度勾配によるクロマトグラフィーに供し、ジアステレオマー比が約1:1の混合物である生成物を得た(17g、収率83%)。
31P NMR(162MHz,DMSO−d6):δ−0.31、−0.47;
1H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ8.31−8.27(m,2H)、7.51−7.37(m,4H)、7.27−7.19(m,3H)、6.70−6.63(m,1H)、4.85−4.78(m,1H)、3.97−3.86(m,1H)、1.21−1.19(m,3H)、1.11−1.09(m,6H);MS(ESI)m/z 407(M−1)
+。
31P NMR
(162MHz,CDCl
3):δ−2.05、−2.10;
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ8.22(d,J=9.2Hz,2H)、7.41−7.33(m,4H)、7.26−7.18(m,3H)、5.05−4.96(m,1H)、4.14−4.05(m,1H)、3.93−3.88(m,1H)、1.38(d,J=6.8Hz,3H)、1.22(dd,J=6.2&3.0Hz,6H);MS(ESI)m/z 407(M−1)+。
【0224】
実施例5−2.S
P−4/R
P−4の調製
【化27】
撹拌した1−((2R,3R,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(130mg、0.5mmol)の無水THF(1.5mL)溶液に、1.0Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド(1.05mL、1.05mmol、2
.1当量)溶液を、室温で5分間かけて加えた。30分後、(S)−2−[(4−ニトロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(異性体の1:1混合物、408mg、1mmol)のTHF(1.5mL)溶液を、5分間かけて滴加した。混合物を室温で48時間撹拌し、その後、飽和NH
4Cl水溶液(20mL)で反応を停止した。混合物を、酢酸エチル(50mL)と水(20mL)の間で分割した。合わせた有機抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、淡黄色の残渣が得られた。残渣を、0〜2%MeOH/ジクロロメタンの濃度勾配によるカラムクロマトグラフィーに供し、白色の泡沫状固体を得た(125mg、収率47%、S
P−4/R
P−4の混合比率約3.05:1.0)。
【0225】
実施例6.(S)−2−[(S)−(4−ニトロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステルの調製及びクロマトグラフィー以外による分離
【化28】
L−アラニンイソプロピルエステル塩酸塩(330g、1.97mol)を、トルエン(2x400mL)と減圧下で同時蒸発して予備乾燥し、真空オーブンで乾燥させた(50°C、0.2mmHg、17h)。撹拌した4−ニトロフェニルホスホロジクロリデート(500.0g、1.953mol)の無水ジクロロメタン(3.0L)溶液に、フェノール(183.8g、1.953mol)及びトリエチルアミン(300mL、2.15mol)のジクロロメタン(900mL)溶液を、内部温度−60℃で3時間かけて加えた。混合物を同温度でさらに30分撹拌し、その後、2.5時間で−5℃まで昇温させた。予備乾燥したアミノ酸エステルを、窒素雰囲気下、−5〜0℃で10分間かけて加えた。フラスコ内に残ったアミノエステル塩の残渣は、ジクロロメタン(2x100mL)ですすいで、反応混合物に移した。混合物を0℃で40分撹拌し、さらにトリエチルアミン(571mL、4.10mol)を0℃で40分間かけて加えた。混合物を0〜10℃で3時間撹拌し、続いて白色固体(トリエチルアミン塩酸塩)を濾過して取り除き、ジクロロメタン(3x300mL)ですすいだ。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をメチルt−ブチルエーテル(MTBE、4L)でトリチュレートした。これにより形成された付加的な
固体の塩は、濾過して取り除き、MTBE(3x150mL)ですすいだ。濾液を減圧下で濃縮し、透明な淡褐色の油状物を得た。残渣をヘキサン(2x140mL)で同時蒸発してMTBEの残留分をすべて取り除き、さらに真空下40℃で2時間乾燥させた。乾燥した残渣をジイソプロピルエーテル(IPE、1.1L)と混合し、氷水浴中5℃で撹拌した。生成物の所望のS
P異性体の種結晶を溶液に少量加え、5℃で22時間以上撹拌し、中粘度のスラリーを形成した。これをフリーザー(−10℃)中に44時間放置した。沈殿した生成物を濾過で回収し、あらかじめ冷却したIPEとヘキサンの混合溶媒(1:1、3x190mL)ですすいだ。固体を真空下(0.5mmHg)、雰囲気温度で恒量になるまで乾燥し、227.23g(収率:28.5%)の白色粉末固体を得た。2つのジアステレオマーの比率は、
31P NMR(162MHz、DMSO−d
6、δ−0.31(S
P)、−0.47)で測定したところ、S
P:R
Pが9.65/1であった。生成物は、IPE(840mL)に60℃の浴槽で加熱しながら溶解させて再結晶化させた。上記溶液を室温で1時間撹拌し、その後、Sp異性体の種結晶を少量加えた。2時間以内に白色粉末固体の形成が見られ、フラスコをフリーザー(−10℃)中に16時間置いた。得られた白色の微細な結晶性固体を濾過し、あらかじめ冷却したIPE(3x50mL)で洗い、真空下(雰囲気温度、0.5mmHg)で恒量になるまで乾燥させ、白色で毛羽状の固体が得られた(177.7g、全体収率22%又はS
P異性体の理論収率に基づく全体収率44%)。P−NMRによるジアステレオマー比は48/1で、融点は62〜66℃。
【0226】
31P NMR(162MHz,DMSO−d6):δ−0.31;
1H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ8.30−8.27(m,2H)、7.49(d,J=8.8Hz,2H)、7.41−7.37(m,2H)、7.23−7.19(m,3H)、6.66(dd,J=13.6,10.0Hz,1H)、4.86−4.78(m,1H)、3.97−3.86(m,1H)、1.19(d,J=7.2Hz,3H)、1.10(d,J=6.4Hz,6H);
【0227】
31P NMR(162MHz,CDCl
3):δ−2.05;(162MHz,DMSO−d6):δ−0.31;
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ8.22(d,J=9.2Hz,2H)、7.41−7.33(m,4H)、7.26−7.18(m,3H)、5.05−4.96(m,1H)、4.14−4.05(m,1H)、3.93−3.88(m,1H)、1.38(d,J=6.8Hz,3H)、1.22(dd,J=6.2&3.0Hz,6H);
1H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ8.30−8.27(m,2H)、7.49(d,J=8.8Hz,2H)、7.41−7.37(m,2H)、7.23−7.19(m,3H)、6.66(dd,J=13.6,10.0Hz,1H)、4.86−4.78(m,1H)、3.97−3.86(m,1H)、1.19(d,J=7.2Hz,3H)、1.10(d,J=6.4Hz,6H)
MS(ESI)m/z 407(M−1)
+。
【0228】
8(S
P−異性体)の立体構造は、単結晶X線結晶構造解析により確認されている。詳細は下記を参照。
【0229】
実施例7.ジアステレオマー混合物(S)−2−[(4−ニトロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステルのSFCによる分離
R
P−異性体を多く含むジアステレオマー混合物の試料(4.8g)を、ChiralPak AD−H(2x15cm)カラムを用いたSFCに供し、二酸化炭素中35%イソプロパノールを用いて100barで溶出した。4mLのインジェクション量に対して、試料の濃度を17mg/mLのメタノール溶液とした。R
P−異性体[(S)−2−[(R)−(4−ニトロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イ
ソプロピルエステル]が先に溶出した。複数回操作して適切な画分を1つにまとめ、減圧下で濃縮し、2.9gのR
P−異性体[(S)−2−[(R)−(4−ニトロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル]が淡黄色の粘性の油状物として得られ、1.9gのS
P−異性体[(S)−2−[(S)−(4−ニトロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル]が白色固体として得られた。R
P−異性体の解析データは、上記の結晶化方法により分離した生成物と同様である。
【0230】
(S)−2−[(R)−(4−ニトロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(8、R
P−異性体)の解析データ:
31P NMR(162MHz,DMSO−d6):δ−0.47;
1H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ8.30−8.27(m,2H)、7.46−7.38(m,4H)、7.27−7.20(m,3H)、6.68(dd,J=13.8,10.2Hz,1H)、4.86−4.77(m,1H)、3.97−3.86(m,1H)、1.20(d,J=7.2Hz,3H)、1.10(dd,J=6.2,2.2Hz,6H);MS(ESI)m/z 407(M−1)
+。
【0231】
実施例8−1.2−[(4−クロロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(±)ラセミ体の調製:
【化29】
撹拌した4−クロロ−フェニルホスホロジクロリデート(2.45g、10.0mmol)のジクロロメタン(20mL)溶液に、フェノール(0.94g、10mmol)及びトリエチルアミン(1.56mL、11mmol)のジクロロメタン(20mL)溶液を、−78℃で20分間かけて加えた。混合物を同温度で30分撹拌し、その後、L−アラニンイソプロピルエステル塩酸塩(1.67g、10mmol)のジクロロメタン(50mL)溶液を入れた別の丸底フラスコに0℃で移した。混合物に、さらにトリエチルアミン(2.92mL、21mmol)を15分間かけて加えた。混合物を0℃で1時間撹拌し、その後、溶媒を留去した。残渣を酢酸エチル(30mL)でトリチュレートし、白色固体を濾過して取り除いた。濾液を減圧下で濃縮し、淡黄色の油状物を得た。粗生成化合物を、10〜20%酢酸エチル/ヘキサンの濃度勾配によるクロマトグラフィーに供し、ジアステレオマー比が約1:1の混合物である生成物を得た(2.0g、収率50%)。
31P NMR(162MHz,CDCl
3):δ−1.58,−1.62;
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.06−7.51(m,8H)、7.15−7.28(m,2H)、7.29−7.47(m,2H)、4.0−4.10(m,1H)、3.82−3.88(m,3H)、1.35−1.36(dd,6H);1.19−1.22(m,3H)。MS(ESI)m/z 398(M−1)
+。得られた生成物は、上記のように、抽出、結晶化、又はクロマトグラフィーにより精製する。
【0232】
実施例8−2.(S)−イソプロピル2−((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2イル)メトキシ)(フェノキシ)−ホスホリルアミノ)プロパノエート(4)の調製
撹拌した1−((2R,3R,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(3、2.6g、10mmol)の無水THF(50mL)溶液に、1.
7Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド(12.4mL、21mmol、2.1当
量)溶液を、室温で15分間かけて加えた。30分後、(2−[(4−クロロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステルのラセミ体(4.08g、l0mmol)のTHF(15mL)溶液を、10分間かけて滴加した。混合物を室温で72時間撹拌した。TLCで純物質と同時展開させたところ、出発時のヌクレオシドと比べて、およそ5%の所望の生成物が形成されたことが示された。
【0233】
実施例9−1.2−[(2−クロロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(±)ラセミ体の調製
【化30】
撹拌した2−クロロ−フェニルホスホロジクロリデート(9.8g、40mmol)のジクロロメタン(80mL)溶液に、フェノール(3.76g、40mmol)及びトリエチルアミン(6.16mL、44mmol)のジクロロメタン(80mL)溶液を、−78℃で20分間かけて加えた。混合物を同温度で30分撹拌し、その後、L−アラニンイソプロピルエステル塩酸塩(6.7g、40mmol)のジクロロメタン(150mL)溶液を入れた別の丸底フラスコに0℃で移した。混合物に、さらにトリエチルアミン(11.6mL、84mmol)を15分間かけて加えた。混合物を0℃で1時間撹拌し、その後、溶媒を留去した。残渣を酢酸エチル(100mL)でトリチュレートし、白色固体を濾過して取り除いた。濾液を減圧下で濃縮し、淡黄色の油状物を得た。粗生成化合物を、10〜20%酢酸エチル/ヘキサンの濃度勾配によるクロマトグラフィーに供し、ジアステレオマー比が約1:1の混合物である生成物を得た(11.3g、収率72%)。
31P NMR(162MHz,CDCl
3):δ−1.58,−1.61;
1H NMR(400MHz,CDDCl
3):δ7.06−7.51(m,8H)、5.02−5.94(m,1H)、4.10−4.16(m,1H)、3.31−3.94(m,1H)、1.18−1.35(m,3H)、1.38−1.40(dd,6H);MS(ESI)m/z 398(M−1)
+。得られた生成物は、上記のように、抽出、結晶化、又はクロマトグラフィーにより精製する。
【0234】
実施例9−2.(S)−イソプロピル2−((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2イル)メトキシ)(フェノキシ)−ホスホリルアミノ)プロパノエートの調製
撹拌した1−((2R,3R,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(3、2.6g、10mmol)の無水THF(50mL)溶液に、1.7Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド(12.4mL、21mmol、2.1当
量)溶液を、室温で15分間かけて加えた。30分後、(2−[(2−クロロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(ラセミ体4.08g、l0mmol)のTHF(15mL)溶液を、10分間かけて滴加した。混合物を室温で72時間撹拌した。TLCで純物質と同時展開させたところ、出発時のヌクレオシドと比べて、およそ5〜10%の所望の生成物が形成されたことが示された。
【0235】
実施例10−1.2−[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(±)ラセミ体の調製
【化31】
撹拌したペンタフルオロフェニルホスホロジクロリデート(6.0g、20mmol)のジクロロメタン(40mL)溶液に、フェノール及びトリエチルアミン(3.08mL、22mmol)のジクロロメタン(40mL)溶液を、−78℃で20分間かけて加えた。混合物を同温度で30分撹拌し、その後、L−アラニンイソプロピルエステル塩酸塩(3.35g、20mmol)のジクロロメタン(100mL)溶液を入れた別の丸底フラスコに0℃で移した。混合物に、さらにトリエチルアミン(5.84mL、42mmol)を15分間かけて加えた。混合物を0℃で1時間撹拌し、その後、溶媒を留去した。残渣を酢酸エチル(60mL)でトリチュレートし、白色固体を濾過して取り除いた。濾液を減圧下で濃縮し、ジアステレオマー比が約1:1の混合物である淡黄色の油状物を得た。
31P NMR(162MHz,CDCl
3):δ−0.49,−0.58。得られた生成物は、上記のように、抽出、結晶化、又はクロマトグラフィーにより精製する。
【0236】
実施例10−2.(S)−2−[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステルのジアステレオマー混合物の調製と、(S)−2−[(S)−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル単一ジアステレオマーの結晶化誘導動的分解による複数の産物を伴う単離
【化32】
【0237】
メカニカルスターラーと低温温度計を備えた2Lの三口丸底フラスコに、60g(284mmol)のジクロロリン酸フェニルと300mLの無水ジクロロメタンを加えた。溶液を窒素雰囲気下で0℃に冷却し、イソプロピルアラネート塩酸塩(減圧絶乾したもの、47.7g、284mmol)を固体の状態で素早く加えた。混合物をドライアイス−アセトン浴で撹拌し、−55℃に冷却した。トリエチルアミン60.32g(596mmol)のジクロロメタン300mL溶液を、添加用漏斗を用いて70分間かけて加えた。白濁した混合物を−55℃で30分撹拌し、その後、1.5時間で−5℃までゆっくりと昇温させた。あらかじめ冷却(室温)した、ペンタフルオロフェノール(52.42g、284mmol)及びトリエチルアミン(32.11g、317mmol)を180mLのジクロロメタン中に混合したものを、添加用漏斗を用いて1時間かけて0℃で混合物に加え、得られた混合物を0℃で4時間撹拌した。白色の沈殿物(TEA・HCl)を濾過し
て取り除き、ジクロロメタン(3x50mL)ですすいだ。濾液を減圧下で濃縮し、白色の固体残渣を880mLのt−ブチルメチルエーテル(TBME)中で1時間、室温でトリチュレートした。白色の懸濁液を濾過し、固体をTBME(3x150mL)ですすいだ。固体を酢酸エチル(600mL)と水(150mL)の混合物中に溶解させた。有機層を分離し、水(3x100mL)で洗った。有機層をMgSO
4で乾燥させ、濃縮し、29.92g(66mmol)の生成物(X線結晶構造解析によりS
P−異性体と確認された;下記参照)が白色の羽状固体として得られた。
【0238】
上記TBMEのトリチュレーションの濾液を減圧下で濃縮して白色の固体残渣とし、この固体を450mlの酢酸エチル・ヘキサン混合物(20:80、v/v)中で75分間、室温でトリチュレートした。固体(固体1)を濾過して回収し、20%酢酸エチルのヘキサン溶液(75mL、2x30mL)ですすいだ。母液を濃縮してオフホワイトの固体を得て、これを20%酢酸エチルのヘキサン溶液(185mL)中で17時間、室温でトリチュレートした。白色固体(固体2)を濾過して回収し、20%酢酸エチルのヘキサン溶液(2x10mL)ですすいだ。固体1と固体2を1つにまとめ、1.2Lの酢酸エチルに溶解した。溶液を水(3x150mL)、食塩水(50mL)で洗い、MgSO
4で乾燥させた。溶液を減圧下で濃縮し、72.8g(161mmol)の純粋な生成物を得た。生成物の合計は102.72g(226mmol、80%)となった。
1H NMR(CDCl
3,400MHz)δ:.7.38−7.33(m,2H)、7.27−7.24(m,2H)、7.23−7.19(m,1H)、5.04(hept,1H)、4.18−4.09(m,1H)、4.01−3.96(m,1H)、1.45(d,3H)、1.25(dd,6H)。
31P NMR(CDCl
3,162MHz)δ;−0.50。
【0239】
実施例10−3.(S)−2−[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステルのジアステレオマー混合物の調製と、(S)−2−[(S)−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル単一ジアステレオマーの結晶化誘導動的分解による単一の産物での単離
低温温度計とメカニカルスターラーを備えた1Lの乾燥した三口フラスコに、フェニルホスホロジクロリデート(25g、118.5mmol)を入れた。無水ジクロロメタン(125mL)を加え、溶液を0℃に冷却した。アラニンエステル塩(絶乾したもの)(19.86g、1当量)を窒素雰囲気下で撹拌しながら素早く加えた。溶液を約−50℃(内部温度)まで冷却した(アセトン−ドライアイス浴、窒素雰囲気中)。トリエチルアミン(25.2g、2.1当量)のDCM(125mL)溶液を、添加用漏斗を用いて0.5時間かけて−50℃で滴加し、得られた白色スラリーを約−50℃で0.5時間撹拌した。混合物を1.5時間で0℃まで昇温させ、あらかじめ混合して冷却したペンタフルオロフェノール(21.82g、1当量)及びTEA(13.2g、1.1当量)のDCM75mL溶液を、添加用漏斗を用いて0.5時間かけて0℃で加えた。混合物を0℃でさらに4時間撹拌した。
【0240】
混合物をブフナー漏斗で濾過し、回収した固体のトリエチルアミン塩酸塩をDCM(3x40mL)ですすいだ。濾液を
31P NMRで測定し(比率は約1.14:1でS
P−ジアステレオマーが多い−低磁場ピーク)、等重量で2つに分けた。そのうちの一つを減圧下で濃縮した。白色の固体残渣(31g)を、EtOAcとヘキサンの混合物(150mL、20:80、v/v)中、室温で17時間トリチュレートし、溶解性の低いS
P異性体の動的分解の時間をおいた。白色スラリーを濾過し、固体を20%EtOAcのヘキサン溶液(2x25mL)ですすいだ。固体(22.58g)を
1H−NMR及び
31P−NMRで測定し、トリエチルアミン塩酸塩が混入した単一異性体としての生成物を含むことが示された。固体を310mLのEtOAcと100mLの水に溶解して分離した
。有機層を分離した後、水層をEtOAc(50mL)で逆抽出した。有機層を合わせて、水(3x80mL)、食塩水(50mL)で洗い、MgSO
4で乾燥させた。溶液を減圧下で濃縮し、その後、高真空下、室温で恒量になるまで乾燥させ、白色固体として17.36gの生成物を反応物の半分から得た。収率は64%となった。上記からの母液を濃縮し、
31P−NMRの結果、試薬を1:1.2の比率(所望のもの/不要のもの)で含む粘質の残渣(7.89g)が得られた。
【0241】
実施例10−4.(S)−2−[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステルの調製
DCM(11.5L)を、洗浄された乾燥したガラス製反応器に入れた。ジクロロリン酸フェニル(2.3kg、10.9mol)を窒素雰囲気下で反応器に加えた。その後、溶液を0℃に冷却した。次に、L−アラニンイソプロピルエステル塩酸塩(1.83kg、10.9mol)を一度に加え、30分撹拌を続けた。ドライアイス/アセトン浴を用いて、反応物を内部温度−50℃に冷却した。内部温度を−40〜−50℃に保ち、TEA(2.1当量、3.17L)のDCM(11.5L)混合物を上記反応液に8時間かけてゆっくりと添加した。添加終了後、反応液を同温度範囲に約1時間置いた。混合物を約4時間で0℃まで昇温させた。
【0242】
その間に、別の反応器にDCM(6.9L)を入れ、次にペンタフルオロフェノール(2.0Kg、10.9mol)を窒素雰囲気下で加えた。溶液を0℃に冷却し、その後、TEA(1.1当量、1.65L)をペンタフルオロフェノール溶液(発熱性)に約2時間かけて加えた。次に、得られた溶液を、ジクロロリン酸フェニルとアミノ酸エステルを含む第1の溶液に、温度を0〜5℃に保ちながら約7時間かけてゆっくりと添加した。添加終了後、同温度範囲で約4時間撹拌を続けた。反応の進行はHPLCで観察した。残存するペンタフルオロフェノールが5%を下回った時点で反応を停止した。キラルHPLCでは、この時点での生成物がジアステレオマーの均等な混合物であることが示された。
【0243】
反応懸濁液をヌッチェフィルターで濾過し、懸濁したトリエチルアミン塩酸塩の大部分を除去した。芒硝を過剰量のDCM(9L)で洗い、洗浄液を主濾液に加えた。濾液を減圧下35℃で濃縮し、固体残渣を得た。固体残渣をヘキサン(4L)と同時蒸発させ、残留DCMレベルをさらに低下させた。この固体残渣に20%MTBE/ヘキサン6Lを加え、懸濁液を雰囲気温度で約17時間撹拌し、HPLCで観察した。溶液のpHは、残留TEAにより塩基性のままであった。この間に動的分解が起こり、沈殿した固体は所望のS
P−4異性体であり、上清はS
P−4とR
P−4の平衡状態で維持された。
【0244】
懸濁液をヌッチェフィルターで濾過し、まだTEA塩酸塩が混入している所望の生成物の固体を、5%MTBE/ヘキサン(1L)で洗った。固体を酢酸エチル(35L)に溶解し、溶液を水(3x35L)及び食塩水(10L)で洗い、その後、溶液を固体硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、反応器温度を44℃未満に維持して減圧下で濃縮した。固体残渣をヘキサン(4L)と同時蒸発させた。反応器を雰囲気温度にし、5%MTBE/ヘキサン(5L)を加えた。濃い懸濁液を15分撹拌し、その後、固体を濾過して回収した。回収した固体をヘキサン(2.5L)で洗い、高真空下、雰囲気温度で恒量になるまで乾燥させ、最終生成物(S
P−4)を白色固体として2.6kg(53%)得た;HPLC純度99.5%、その他R
P−4が0.4%。
【0245】
実施例10−5.(S)−イソプロピル2−((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2イル)メトキシ)(フェノキシ)−ホスホリルアミノ)プロパノエートの調製
撹拌した1−((2R,3R,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−ヒ
ドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(3、2.6g、10mmol)の無水THF(50mL)溶液に、1.7Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液(12.4mL、21mmol、2.
1当量)を、室温で15分間かけて加えた。30分後、(2−[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステルの粗生成ラセミ体(4.08g、l0mmol)のTHF(15mL)溶液を、10分間かけて滴加した。混合物を室温で72時間撹拌した。TLCで純物質と同時展開させたところ、出発時のヌクレオシドと比べて、およそ40〜50%の所望の生成物が形成されたことが示された。
【0246】
実施例10−6.(S)−2−[(S)−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル及び結晶化のみによる精製を用いた(S)−イソプロピル2−((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2イル)メトキシ)(フェノキシ)−ホスホリルアミノ)プロパノエート(S
P−4)の調製
【化33】
撹拌した3(10g、38.46mmol、真空下50℃で20時間乾燥)の無水THF(165mL)溶液に、1.7Mのtert-ブチルマグネシウムクロリドのTHF溶
液(47.5mL、80.77mmol)を、フラスコを冷水浴(5℃)に入れたまま、窒素雰囲気下で20分間かけて加えた。添加終了後、冷浴から取り出し、白色の懸濁液を室温(20℃)で30分撹拌した。その後、(S)−2−[(S)−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェノキシ)−フェノキシホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(20.9g、46.11mmol)の無水THF(165mL)溶液を反応混合物に30分間かけて加えた。混合物を室温(20℃)で3.5時間撹拌した。さらに撹拌を1.5時間続け、この段階では、>95%の変換、及び3’,5’−ビス−ホスホルアミダートの不純物強度に2時間の時点から顕著な変化がないことが、TLCによって示された。反応混合物を飽和NH
4Cl水溶液(10mL)で反応停止し、その後、溶媒を25℃で留去した。残渣を酢酸エチル(400mL)と飽和塩化アンモニウム(60mL)/水(20mL)とで分離した。有機層を分離し、飽和塩化アンモニウム(80mL)と水(3x60mL)で洗った。この時点までの水層を別に取った。有機層を5%炭酸ナトリウム水溶液(3x50mL)及び水(2x60mL)で洗った。第1の水層をさらに酢酸エチル(100mL)で抽出し、水(2x20mL)で洗い、その後、炭酸ナトリウム洗浄液から得た水層を同じ酢酸エチル抽出液で抽出した。有機層を水(2x20mL)で洗い、主ロットと合わせた。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濃縮し、泡沫状の固体(19.32g)を得た。残渣を60mLのジクロロメタンに溶解し(約5分で白色固体が析出し、固形物が形成された)、その後、25mLのIPEを加えた。懸濁液を室温で2時間撹拌した。白色固体を濾過し、低温(0℃)のIPE/ジクロロメタンの1:1混合物(20mL)で洗い、乾燥して、11.77g(収率58%)の生成物を非結晶白色固体として得た。上記固体をジクロロメタン(350mL)に再度溶解し、濾過し、大気圧(浴温45℃)で〜120mLまで蒸発させた。溶液を室温(21℃)で20時間放置した。白色結晶性固体(ジクロロメタン溶媒和物)を濾過し
て回収し、低温(0℃)のジクロロメタン(10mL)で洗い、高真空下、雰囲気温度で4時間乾燥させ、純粋な非溶媒和生成物(10.62g、収率52%)を白色の針状物として得た。HPLC純度は99.8%となった。スペクトル特性は、本明細書に記載する値と一致した。
【0247】
実施例10−7.(S)−2−[(S)−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル、異なる反応条件及び検査、並びに結晶化のみによる精製を用いた(S)−イソプロピル2−((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2イル)メトキシ)(フェノキシ)−ホスホリルアミノ)プロパノエート(S
P−4)の調製
【化34】
撹拌した1−((2R,3R,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−3−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(3、5.0g、19.1mmol、真空下50℃で20時間乾燥)の無水THF(75mL)懸濁液に、1.7Mのtert-ブチルマグネシウムクロリ
ドのTHF溶液(23.7mL、40.35mmol)を、添加用漏斗を用いて、30分間かけて−5℃で加えた。白色の懸濁液を同温度で30分撹拌し、その後、雰囲気温度(20℃)に昇温させ、同温度でさらに30分撹拌した。反応混合物を5℃に冷却し、その後、(S)−2−[(S)−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェノキシ)−フェノキシホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(10.45g、23.06mmol)のTHF(50mL)溶液を30分間かけて加えた。混合物を5℃で18時間撹拌し、−5℃に冷却し、その後、2N HCl(25mL)で反応を停止した。トルエン(100mL)を混合物に加え、室温に昇温させた。20分後、層を分離した。有機層を1N HCl(2x10mL)、水(10mL)、5%Na
2CO
3水溶液(4x10mL)、水(2x10mL)、及び食塩水(10mL)で洗った。すべての水層をトル
エン(20mL)で再抽出し、5%Na
2CO
3水溶液(2x5mL)、水(10mL)、及び食塩水(5mL)で洗った。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾
過し、約20mLまで蒸発させた。ジクロロメタン(20mL)を溶液に加え、混合物を室温で18時間撹拌した。固体を濾過し、MTBE/DCMの1:1混合物(2x10mL)で洗い、高真空下で乾燥させ、白色固体(7.7g)を得た。この時点での固体のHPLCは、S
P−4が98.21%、未反応の3が0.18%、3’,5’−ビス−ホスホルアミダート不純物が0.67%であった。上記S
P−4の固体をジクロロメタン(77mL、圧力容器で55℃に加熱)に再度溶解し、室温で20時間放置した。結晶性固体を濾過し、低温のジクロロメタン(5mL、0℃)で洗い、高真空下で乾燥して、純生成物を白色固体として得た(6.9g、収率68%、HPLC純度99.79%)。
【0248】
C又はC’の調製及び精製により、以下の実施例に示すように、S
P−4又はR
P−4を直接得ることができる。
【化35】
【0249】
実施例11.S
P−4の調製(32mgスケール):撹拌した1−((2R,3R,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン3(32mg、0.12mmol)の無水THF(1mL)溶液に、t−ブチルマグネシウムクロリド(0.26mL、0.26mmol、2.1当量)の1M溶液を室温で3分間かけて加えた。30分後、(S)−2−[(S)−(4−ニトロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(8、S
P−異性体)のTHF(0.5mL)溶液を3分間かけて滴加した。混合物を室温で42時間撹拌し、その後、飽和NH
4Cl水溶液(10mL)で反応を停止した。混合物を酢酸エチルと水で分離した。合わせた有機抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣を、0〜4%メタノール/ジクロロメタンの濃度勾配でクロマトグラフィーに供し、S
P−4を泡沫状の固体として得た(29mg、収率44.5%)。
1H及び
31P NMRは、本明細書に記載するものと一致した。
【0250】
実施例12.S
P−4の調製(2.6gスケール、クロマトグラフィーなし):撹拌した1−((2R,3R,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(2.6g、10mmol)の無水THF(50mL)溶液に、t−ブチルマグネシウムクロリド(12.4mL、21mmol、2.1当量)の1.7M溶液を室温で15分間かけて加えた。30分後、(S)−2−[(S)−(4−ニトロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(8、S
P−異性体、4.08g、10mmol)のTHF(15mL)溶液を10分間かけて滴加した。混合物を室温で60時間撹拌し、その後、飽和NH
4Cl水溶液(20mL)で反応を停止した。混合物を酢酸エチル(150mL)、続いて10%Na
2CO
3水溶液(3x20mL)と水(20mL)で分離した。合わせた有機抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧化で濃縮し、淡黄色の残渣(3.8g)を得た。残渣をジクロロメタン(7.6mL)に溶解させ、その後、室温で20時間撹拌した。白色固体を濾過し、1:1のIPE/ジクロロメタン(5mL)で洗い、真空下で乾燥させ、純生成物を白色固体として得た(1.85g、収率35%)。
【0251】
実施例13.NaHMDSを用いたS
P−4の調製:撹拌した1−((2R,3R,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(71mg、0.27mmol)の無水THF(2.0mL)溶液に、2.0Mのナトリウムビス(トリメチ
ルシリル)アミド(NaHMDS)のTHF(270μL、0.54mmol)溶液を−
78℃で2分間かけて加えた。30分後、(S)−2−[(S)−(4−ニトロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(8、S
P−異性体、111mg、0.27mmol)のTHF(1mL)溶液を混合物に加えた。反応混合物を同温度で2時間撹拌し、その後、−20℃に昇温させ、同温度でさらに20時間撹拌した。TLCでは、未反応のヌクレオシド出発物質が〜30%であることが示された。そのため、さらに0.5当量の試薬(55mg、0.14mmol)のTHF(0.5mL)溶液を反応混合物に加え、さらに6時間撹拌した。反応混合物を飽和塩化アン
モニウム水溶液で反応停止し、その後、酢酸エチルと水で分離させた。合わせた有機抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、淡褐色の残渣を得た。粗生成物を、0〜5%メタノール/ジクロロメタンの濃度勾配でカラムクロマトグラフィーに供し、S
P−4(22mg、収率15%)、3’−ホスホルアミダート(5、S
P−異性体、11.5mg、収率16%)、及びビスホスホルアミダート(6、S
P、S
P−異性体、12.6mg)を得た。
【0252】
実施例14.R
P−4の調製(260mgスケール):撹拌した1−((2R,3R,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(260mg、1mmol)の無水THF(6mL)溶液に、tert−ブチルマグネシウムクロリド(1.23mL、2.1mmol、2.1当量)の1.7M溶液を室温で5分間かけて加えた。30分後、(S)−2−[(R)−(4−ニトロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(8、R
P−異性体)のTHF(3mL)溶液を3分間かけて滴加した。混合物を室温で96時間撹拌し、その後、飽和NH
4Cl水溶液(10mL)で反応を停止した。混合物を酢酸エチル(50mL)と水(2x20mL)で分離した。合わせた有機抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧化で濃縮し、淡黄色の残渣(490mg)を得た。残渣を、0〜5%メタノール/ジクロロメタンの濃度勾配でクロマトグラフィーに供し、白色固体の生成物を得た(160mg、収率30%)。
【0253】
S
P−4又はR
P−4の調製は、以下の実施例に示すように、3’−保護化した3を適切な試薬C又はC’、若しくはC及びC’を含む混合物と反応させることで実施することもできる。
【0254】
実施例15.3aを合成中間体として用いたS
P−4の調製
【化36】
【0255】
実施例15−1.5’−O−tert−ブチルジメチルシリル−2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチルウリジン(9)の合成:
撹拌した2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチルウリジン(3、81.1g、312mmol)の無水ピリジン(750mL)溶液に、TBDMSCl(103.19g、685.6mmol)の無水ピリジン(500mL)溶液を45分間かけて雰囲気温度で滴加した。反応物を雰囲気温度で24時間撹拌した。メタノール(85mL)を反応混合物に加え、10分撹拌し、その後、溶媒を減圧化で留去した。温水(45℃)(1L)を反応物に加え、混合物を酢酸エチル(2x500mL)で抽出し、水(1x500mL)で洗った。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。酢酸エチルを留去し、得られた残渣をトルエン(2x500mL)と同時蒸発させ、粗生成の9を白色の泡状物として得た。収量=116.9g(定量)。
1H NMR(CDCl
3,300MHz):δ0.1(s,6H)、0.91(s,9H)、1.22(d,3H,J=21Hz)、2.50(s,2H)、3.75−4.05(m,4H)、5.54(d,1H,J=9Hz)、5.73(s,1H)、6.0(d,1H,J=18Hz)、7.81(d,1H,J=9Hz)、8.57(br,s,1H)、11.1(s,1H)。
【0256】
実施例15−2.5’−O−(tert−ブチルジメチルシリル)−3’−O−レブリニル−2’−デオキシ−2’−フルオロ2’−C−メチル−ウリジン(10)の合成:
撹拌したヌクレオシド9(116.9g、312.1mmol)のDCM(1L)溶液に、DMAP(30.5g、249.7mmol)を加え、これを室温で20分撹拌した。無水レブリン酸(133.6g、642.3mmol)のDCM(200mL)溶液を混合物に加え、24時間撹拌した。混合物のTLCは反応の完了を示した。冷水(500mL)を加え、混合物を20分撹拌した。層を分離し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2x250mL)で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、その後、溶媒を減圧化で留去し、黄色油状物を得た。粗収量:197.6g(135%)。この物質をそのまま次の工程に用いた。
1H NMR(CDCl
3,300MHz)δ0.11(s,6H)、0.94(s,9H)、1.34(d,3H,J=21Hz)、2.22(s,3H)、2.6−2.89(m,4H)、3.72(m,1H)、4.01(d,1H,J=12Hz)、4.23(d,1H,J=9Hz)、5.33(dd,1H,J=15Hz)、5.73(d,1H,J=6Hz)、6.26(d,1H,J=15Hz)、8.12(d,1H,J=12Hz)、8.72(br,s,1H)。
【0257】
実施例15−3.3’−O−レブリニル−2’−デオキシ−2’−フルオロ2’−C−メチル−ウリジン(3a)の合成:
粗生成の10(197.6g、〜312.1mmol)をDCM(1L)に溶解し、TEA.3HF(50.3g、312.1mmol)を加え、雰囲気温度で一晩撹拌した。混合物のTLCは、反応の約50%の完了を示した。さらに当量のTEA.3HF(50.3g、312.1mmol)を加え、反応混合物を6時間撹拌した。この時点でのTLCでは、未反応の出発物質が約10%であった。さらに0.25当量のTEA.3HF(12.5g、78.0mmol)を加え、反応混合物を一晩撹拌した。反応混合物を濃縮乾固し、黄色油状物を得た。すべての処理分から得た粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(0〜2%MeOHのDCM溶液)、124.1gの3’−レブリン酸塩を白色の泡状固体として得た(2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチルウリジンから3工程で精製収率90%)。
1H NMR:(CDCl
3,400MHz)δ1.55(d,3H,CH3,J=20Hz)、2.36(s,3H,CH3)、2.8−3.03(m,5H,CH2CH3)、3.91−3.96(dd,1H,CH”)、4.2−4.25(m,1H,CH’)、4.34(dd,1H,CH,J=8Hz)、5.25(dd,1H,J=16Hz)、5.93(d,1H,J=8Hz)、8.20(d,1H,J=8Hz)、9.18(s,1H)。
【0258】
実施例15−4.(S)−2−{[(1R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−(R)−フルオロ−3−(4−オキソペンタノイル)−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−フェノキシ−ホスホリルアミノ}−プロピオン酸(S)−イソプロピルエステル(11)の立体選択的合成:
0℃に冷却したヌクレオシド(3a、1.00mmol、358mg)の5mL無水THF溶液に、tBuMgCl(1.7MのTHF溶液、2当量)を加え、雰囲気温度まで昇温させ、30分撹拌した。混合物に試薬(キラル純度約97%)(S)−2−[(S)−(4−ニトロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(8、S
P−異性体)(408mg、1.00mmol、1.00当量)を一度に加え、室温で撹拌した。16時間後、残った出発物質は〜30%となった。反応混合物を飽和NH
4Cl水溶液10mLで反応停止し、水相を酢酸エチル(3x25mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾固し、淡黄色泡状物(500mg)を得た。これを、2〜5%メタノールの塩化メチレン溶液を用いてシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、Pキラル純度約97%の白色泡状物の生成物(275mg)と、未反応の出発物質(162mg)を得た。消費された出発物
質から、収率は76%となった。
31P NMR(CDCl
3,162MHz):3.7ppm;
1H NMR(CDCl
3,400MHz):δ1.22(dd,6H,J=6.4Hz)、1.37(s,3H)、1.58(s,3H)、2.18(s,3H)、2.63−2.9(m,4H)、4.0(d,1H,J=8Hz)、4.2−4.33(m,1H)、4.57(d,1H,J=8Hz)、4.96−5.00(sept,1H)、5.2(dd,1H,J=9Hz)、5.42(d,1H,J=8Hz)、6.19(d,1H,J=18Hz)、7.15−7.35(m,5H)、7.5(d,1H,J=5.6Hz)、8.2(br,s,1H)。
【0259】
実施例15−5.(S)−2−{[(1R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−(R)−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−フェノキシ−ホスホリルアミノ}−プロピオン酸(S)−イソプロピルエステル(S
P−4)の合成:
Na
2S
2O
3(1.51g)とNa
2S
2O
5(0.57g)を水(25mL)に加えて亜硫酸ナトリウム水溶液を調製した。レブリン酸塩(11、250mg、0.40mmol)の無水THF(2.5mL)溶液に、1.0mlの亜硫酸ナトリウム水溶液を加えた。これを室温で4時間撹拌した。反応混合物を水(15mL)に注ぎ、酢酸エチル(3x25mL)で抽出し、乾燥、蒸発させた。これにより、保護化していないヌクレオシドから直接生成したS
P−4の物理的特性及びスペクトル特性と一致する、Pキラル純度約97%の白色固体生成物を定量的に得た。
【0260】
実施例16.3aからS
P−4を調製する別の手法
撹拌した4−オキソ−ペンタン酸(2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−フルオロ−2−ヒドロキシメチル−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル(3a、210mg、0.59mmol)の無水THF(1.5mL)溶液に、1.7Mのtert−ブチルマグネシウムクロリド(1.07mL、1.82mmol)溶液を室温で2分間かけて加えた。最初に白色沈殿物が観察され、10分後、反応混合物は暗黄色の溶液に変化した。30分後、(S)−2−[(S)−(4−ニトロフェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(8(S
P−異性体)、(382mg、0.94mmol)のTHF(1.5mL)溶液を3分間かけて滴加した。混合物を40℃で5時間加熱し、この時点でのTLC及び
1H NMRでは、未反応の出発物質は2%未満であった。反応物を飽和塩化アンモニウム水溶液で反応停止し、その後、酢酸エチルと水で分離させた。合わせた有機層を10%Na
2CO
3水溶液(3x10mL)、次に水で洗った。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、褐色の残渣を得た(410mg)。粗生成物をテトラヒドロフラン(1.0mL)に溶解させ、その後、亜硫酸ナトリウム(37mg、0.295mmol)とメタ重亜硫酸ナトリウム(224mg、1.18mmol)の混合物を1mLの水に溶かした水溶液を加えた。混合物を45℃で20時間加熱したが、この時点でTLCにより測定した変換率はわずか約10%であったため、さらに亜硫酸ナトリウム(74mg)とメタ重亜硫酸ナトリウム(448mg)を加え、さらに52時間加熱を続けた。この時点でTLCにより測定した変換率は約40%であった。反応混合物を水と酢酸エチルで分離した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、褐色の残渣を得た(210mg)。残渣を0〜5%MeOH/DCMの濃度勾配によるカラムクロマトグラフィーに供し、未反応の出発物質(89mg)とS
P−4(57mg、収率18%、回収した出発物質ベースで24%)を得た。
【0261】
実施例17.3cを合成中間体として用いたS
P−4の調製
【化37】
【0262】
実施例17−1.1−[(2R,3R,4R,5R)−4−(tert−ブチルジメチルシラニロキシ)−3−フルオロ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル]−1H−ピリミジン−2,4−ジオン:12の調製
3(10.0g、38.43mmol)のピリジン(50mL)溶液に、ジクロロメタン(50mL)を加えた。溶液を0℃に冷却した。溶液に4,4’−ジメトキシトリチルクロリド(14.32g、42.27mmol)を加え、溶液を0℃で5時間撹拌した。メタノール(5mL)を加えて反応を停止した。溶液を減圧下で濃縮乾固し、残渣を酢酸エチル(500mL)と水(50mL)で分離した。有機溶液を食塩水(50mL)で洗い、乾燥させた(硫酸ナトリウム、4g)。溶媒を減圧下で除去し、残渣をジクロロメタン(100mL)に溶解した。溶液にイミダゾール(7.83g、115mmol)とt−ブチルジメチルシリルクロリド(8.68g、57.6mmol)を加えた。溶液を雰囲気温度で16時間撹拌した。メタノールを加えて反応を停止し(5mL)、溶媒を減圧下で除去し、残渣を酢酸エチル(500mL)と水(50mL)で分離した。有機溶液を乾燥させ(硫酸ナトリウム、4g)、減圧下で蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィー(10〜40%EtOAcのヘキサン溶液)で精製し、5’−O−DMT−3’−O−tBDMS中間生成物を得た。これを次に1%トリフルオロ酢酸のジクロロメタン(200mL)溶液で処理した。溶液を雰囲気温度で1時間撹拌した。水(20mL)を加え、溶液を雰囲気温度でさらに1時間撹拌した。メタノール(5mL)をゆっくりと加え、溶液を雰囲気温度でさらに1時間撹拌した。水酸化アンモニウムを加えて溶液のpHを7に調整した。有機溶液を分離し、乾燥させ(硫酸ナトリウム、4g)、減圧下で濃縮乾固させた。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1〜5%メタノールのジクロロメタン溶液)で精製し、12を7.5gの白色固体として、3工程の収率50%で得た。
1H NMR(DMSO−d6)δ(ppm)11.48(br s,1H,NH)、7.94(d,1H,H−6)、6.00(d,1H,Η−1’)、5.69(d,1H,H−5)、4.06(dd,1H,3’−H)、3.85(m,2H,H−5’a,H−4’)、3.58(br d,1H,H−5’b)、1.27(d,3H,2−CH
3)、0.89(s,9H,C(CH
3)
3)、0.12(s,6H,Si(CH
3)
2)。
【0263】
実施例17−2.1−[(2R,3R,4R,5R)−4−(tert−ブチルジメチルシラニロキシ)−3−フルオロ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル]−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(3c)を用いたS
P−4の調製
撹拌した1−[(2R,3R,4R,5R)−4−(tert−ブチルジメチルシラニロキシ)−3−フルオロ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル]−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(12、374mg、1mmol)の無水THF(3mL)溶液に、1.7Mのtert−ブチルマグネシウムクロリド(1.8
mL、3.1mmol)溶液を室温で2分間かけて加えた。最初に白色沈殿物が観察され、10分後、反応混合物は透明な暗黄色の溶液に変化した。30分後、(S)−2−[(S)−(4−ニトロフェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(8、S
P−異性体、653mg、1.6mmol)のTHF(2.5mL)溶液を3分間かけて滴加した。混合物を40℃で20時間加熱し、この時点でのTLC及び
1H NMRでは、未反応の出発物質は5%未満であった。反応物を飽和塩化アンモニウム水溶液で反応停止し、その後、酢酸エチルと水で分離させた。有機層を10%Na
2CO
3水溶液(3x10mL)、次に水(20mL)で洗った。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、3cを含む褐色の残渣を得た(850mg)。粗生成物をテトラヒドロフラン(2mL)に溶解させ、0.8mLの80%ギ酸水溶液を室温で加えた。反応混合物を50℃で96時間加熱した。TLCにより、約70%の変換が観察された。反応混合物を低温の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に注ぎ、その後、酢酸エチルと水で分離した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、褐色の残渣を得た(220mg)。残渣を0〜5%MeOH/DCMの濃度勾配によるカラムクロマトグラフィーに供し、未反応の出発物質(21mg)とS
P−4(77mg、収率35%、回収した出発物質ベースで39%)を得た。
【0264】
実施例18.3dを合成中間体として用いたS
P−4の調製
【化38】
【0265】
実施例18−1.3dの調製
0℃の撹拌した3のピリジン(20mL)溶液に、TIPDS−Clを15分間かけて滴加した。混合物をゆっくりと室温に昇温させ、同温度で16時間撹拌した。ピリジンを留去し、残渣をトルエン(50mL)と同時蒸発させた。その後、残渣をヘキサンでトリチュレートし、白色沈殿物を、セライトパッドを用いて濾過して取り除いた。濾液を減圧下で濃縮し、泡沫状の固体(12.97g)を得た。粗生成物(13)をテトラヒドロフラン(75mL)に再度溶解し、TFAの水溶液(75mL、1:1TFA/水)を0℃で20分間かけて加えた。混合物を同温度で6時間撹拌した。TLCでは、〜5%の出発
物質が観察された。反応混合物に飽和NaHCO
3水溶液をpH8になるまで加えて反応を停止し、その後、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出液を水で洗い、乾燥させ、濃縮し、白色結晶性固体を得た。固体をさらにヘキサン(30mL)でトリチュレートし、得られた白色固体を濾過し、高真空下で乾燥して3dを得た(10.1g、2工程収率84%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ8.83(bs,1H)、7.94(bd,J=6.0Hz,1H)、6.10(bd,J=18.4Hz,1H)、5.71(d,J=8.2Hz,1H)、4.43(bs,1H)、4.36(dd,J=22.6,9.0Hz,1H)、4.27(bs,1H)、4.10(d,J=13.2Hz,1H)、4.03(d,J=9.2Hz,1H)、3.92(d,J=13.2Hz,1H)、1.39(d,J=22.0Hz,3H)、1.11−0.92(m,28H)。
【0266】
実施例18−2.S
P−4の調製
撹拌した3d(520mg、1mmol)の無水THF(5mL)溶液に、1.7Mのtert−ブチルマグネシウムクロリド(1.8mL、3.1mmol、3.1当量)溶液を室温で15分間かけて加えた。30分後、(S)−2−[(S)−(4−ニトロ−フェノキシ)−フェノキシホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(8、S
P−異性体、653mg、1.6mmol)のTHF(1mL)溶液を3分間かけて滴加した。混合物を室温で60時間撹拌した。粗生成試料の
1H及び
31P NMRでは、ジアステレオマーの混合比率がおよそ1:0.76であった。反応混合物を飽和NH
4Cl水溶液(20mL)で反応停止した。混合物を酢酸エチル(150mL)、次に10%Na
2CO
3水溶液(3x20mL)と水(20mL)で分離した。合わせた有機抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、淡黄色の残渣を得た(14、878mg)。
上記化合物14をテトラヒドロフラン(3mL)に再度溶解させ、その後、80%ギ酸水溶液を加えた。混合物を55℃で20時間加熱した。反応混合物を0℃に冷却し、その後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(pH7.0)で反応を停止した。その後、反応混合物を酢酸エチルと水で分離した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、560mgの残渣を得た。残渣を0〜5%メタノール/ジクロロメタンの濃度勾配によるクロマトグラフィーに供し、未反応の出発物質(14、242mg)とS
P−4(80mg、収率15%)を白色固体として得た。
【0267】
実施例19.同位体標識されたS
P−4の調製
【化39】
【0268】
実施例19−1.1−((6aR,8R,9R,9aS)−9−ヒドロキシ−2,2,4,4−テトライソプロピルテトラヒドロ−6H−フロ[3,2−f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン−8−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン:16の調製
ウリジン(15、100.0g、409.5mmol)を無水ピリジン(600mL)と同時蒸発して乾固し、無水ピリジン(700mL)に再度懸濁した。撹拌した微細粒子懸濁液に、1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン(135.7g、482.5mmol)を雰囲気温度で60分間かけて加えた。微細粒子懸濁液を雰囲気温度で17時間撹拌した後、メタノール(20mL)を加えて反応を停止し、その後、減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチル(1.5L)と水(2L)で分離した。有機層をさらに5%塩酸(2x1L)、食塩水(500mL)で洗い、固体硫酸ナトリウム(50g)で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物約250gを得た。残渣を、シリカゲルと酢酸エチルのヘキサン溶液20〜65%の濃度勾配を用いた濾過カラムに供した。相同TLC(1:1ヘキサン−酢酸エチル溶液でRf=0.55)で確認した純生成物の画分を合わせて、減圧下で濃縮し、乾燥させ(40℃、0.2mmHg、24時間)、16を白色の泡状固体として145.5g(76%)得た。わずかに純粋でない16の別の画分(35g)も回収した。
1H NMR(DMSO−d
6)δ(ppm)11.35(s,1H,NH)、7.66(d,1H,J=7.6Hz,H−6)、5.57(d,1H,J=4.8Hz,2’−OH)、5.50−5.49(m,2H,1’−H及びH−5)、4.14−4.18(m,3H,2’,3’,4’−H)、3.97−3.87(m,2H,5’−Ha及びHb)、1.02−0.95(m,28Η,CH(CH
3)
2)。
【0269】
実施例19−2.1−((6aR,8R,9aR)−2,2,4,4−テトライソプロピル−9−オキソテトラヒドロ−6H−フロ[3,2−f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン−8−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン:17の調製
乾燥した三口丸底フラスコに、無水DCM(600mL)とDMSO(30.82g、394.5mmol)を加えた。溶液を窒素雰囲気下、ドライアイス/アセトン浴で−7
8℃に冷却した。トリフルオロ酢酸無水物(無水、77.7g、369.8mmol)をシリンジで40分間かけて加え、濁った混合物を得た。混合物に、ウリジン誘導体16のDCM(600mL)溶液を、添加用漏斗を用いて、−78℃で75分間かけて滴加した。この不均一混合物を−78〜−65℃で2時間撹拌し、その後、無水トリエチルアミン(92mL)をシリンジで素早く加え、透明な淡黄色の溶液を得た。低温で1時間後、反応の完了をTLC(30%EtOAcのヘキサン溶液)で確認した。冷却浴を取り除き、反応混合物を雰囲気温度まで1時間でゆっくりと昇温させた。飽和NH
4Cl(180mL)を加えて反応を停止した。水(200mL)を加え、有機層を分離した。水層を再度DCM(300mL)で抽出した。合わせた有機層を水(3x400mL)、食塩水(150mL)で洗い、Na
2SO
4で乾燥させた。溶媒を除去し、粘質の褐色残渣を得た。
【0270】
粗生成の油状残渣(微量のDCMを含む)をフリーザーに一晩置いた。その後、油中に結晶性固体が一部観察された。油状物を500mLのヘキサンに雰囲気温度で溶解させた。溶液をフリーザーに24時間置き、固体がさらに形成された。固体を濾過して回収し、低温の10%DCMのヘキサン溶液(1L)で洗い、オレンジ色がほとんど除かれた。固体(17)を真空下で2時間乾燥させ、その後、24時間風乾させた。真空下50℃で乾燥させた後、固体の重量は21gとなった。濾液を濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(10〜70%酢酸エチルのヘキサン溶液)で精製し、17を淡オレンジ色の固体としてさらに37g得た(合計収率97%)。
【0271】
実施例19−3.1−((2R,3S,4R,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−3−
13C−ペルジュウテリオメチルテトラヒドロフラン−2−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン:18の調製
5%塩酸水溶液で洗い、乾燥(50℃、0.2mmHg、24時間)したマグネシウム(3.53g、147mmol)を、マグネチックスターラーとコンデンサーを備えた二口丸底フラスコに入れた。フラスコをアルゴンガスで満たし、その後、無水エーテル(80mL)を加えた。エーテル中のマグネシウムに、ヨウ化ペルジュウテリオ−
13Cメチル(15.06g、110.3mmol)をゆっくりと加え、発熱反応が起きた。反応混合物が冷めた後、上清を、乾燥した化合物17(50℃、0.2mmHg、15時間)(10.0g、20.63mmol)の無水THF(1L)溶液に、−50℃で20分間かけて移した。温度を−40℃まで昇温させ、混合物を−40〜−25°で4時間撹拌した。反応終了後、混合物をEtOAc(1L)により−50℃で希釈し、その後、食塩水(300mL)をゆっくりと加えた。有機層を分離し、その後、飽和塩化アンモニウム水溶液(300mLx2)で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過及び減圧下での濃縮後、残渣をMeOH(250mL)に溶解させた。フッ化アンモニウム(12g)とTBAF(400mg)を加えた。混合物を90℃で7時間撹拌し、その後、シリカゲル(20g)を用いて減圧下で濃縮した。真空で完全乾燥した後、得られた残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH:CH
2Cl
2=1:20〜1:10)で精製し、化合物18(5g、46%)を白色固体として得た。
1H NMR(DMSO−d
6)δ(ppm)11.26(s,1Η,ΝΗ)、7.65(d,1H,J=8.4Hz,H−6)、5.77(d,1H,J=2.4Hz,H−1’)、5.57(d,1H,J=8.0Hz,H−5)、5.46(d,1H,J=5.2Hz,HO−3’)、5.24(d,1H,J=2.4Hz,HO−2’)、5.14(t,1H,J=5.6Hz,HO−5’)、3.74−3.56(m,4H,H−3’,4’,5’,5”)。
【0272】
実施例19−4.((2R,3R,4S,5R)−3−アセトキシ−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−ジヒドロキシ−4−
13C−ペルジュウテリオメチルテトラヒドロフラン−2−イル)メチルアセテート:19の調製
化合物18(5.00g、19.1mmol)の無水ピリジン(100mL)溶液に、
無水酢酸(3mL)を雰囲気温度で加えた。得られた混合物を雰囲気温度で15時間撹拌し、EtOAc(250mL)で希釈し、水(50mLx3)で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過及び濃縮後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜5%MeOHのCH
2Cl
2溶液)で精製し、化合物19(4.0g、68%)を灰色の固体として得た。
【0273】
実施例19−5.((2R,3R,4R,5R)−3−アセトキシ−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−4−
13C−ペルジュウテリオメチルテトラヒドロフラン−2−イル)メチルアセテート:20の調製
化合物19(2.33g、6.73mmol)の無水CH
2Cl
2(60mL)溶液に、DAST(1.33mL、10.1mmol)を−78℃でゆっくりと加えた。得られた混合物を、雰囲気温度にさらした後、30分撹拌した。同様の方法で、2.33gスケールの2つの反応物と、1.00gスケールの1つの反応物をさらに処理した。4つの反応混合物のすべてを合わせ、CH
2Cl
2(300mL)で希釈し、氷水(100mLx2)、続いて、低温のNaHCO
3水溶液(100mLx2)で洗った。乾燥、濾過、濃縮後、残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(0〜50%EtOAcのヘキサン溶液、化合物は48%前後で確認された)、化合物20を白色固体として得た(2.0g、合計7.99gの化合物19から24%)。
1H NMR(CDCl
3)δ(ppm)8.27(s,1H,NH)、7.55(d,1H,J=8.4Hz,H−6)、6.17(d,1H,J=18.8Hz,Η−1’)、5.78(dd,1H,J=1.2,8.4Hz,H−5)、5.12(dd,1H,J=9.6,21.6Hz,H−3’)、4.40−4.31(m,3H,H−4’,5’,5”)、2.19(s,3H,CH
3)、2.15(s,3H,CH
3)。
【0274】
実施例19−6.1−((2R,3R,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−3−
13C−ペルジュウテリオメチルテトラヒドロフラン−2−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン:21の調製
化合物20(2g、5.74mmol)のメタノール(20mL)溶液に、n−ブチルアミン(6mL)を加えた。得られた混合物を室温で15時間撹拌し、シリカゲルを用いて真空中で濃縮した。得られた残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(0〜10%MeOHのCH
2Cl
2溶液)で精製し、化合物21(1.3g、85%)を白色固体として得た。
1H NMR(CD
3OD)δ(ppm)8.08(d,1H,J=8.0Hz,H−6)、6.13(d,1H,J=18.4Hz,H−1’)、5.70(d,1H,J=8.0Hz,H−5)、3.99(d,1H,J=13.6Hz,H−5’)、3.97−3.91(m,2H,H−3’,4’)、3.80(dd,1H,J=2.0,12.8Hz,H−5”)、ESMS(M+1)推定265、実測265。
【化40】
【0275】
実施例19−7.(S)−イソプロピル2−((((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−
13C−ペルジュウテリオメチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエート:22の調製
保護化されていないヌクレオシド21(207mg、0.783mmol)及びN−メチルイミダゾール(0.4ml、5mmol)のTHF(4mL)溶液に、あらかじめ調
製したホスホロクロリデートのTHF溶液(1.0M、2.35ml、2.35mmol)を0℃で滴加した。反応物を1時間かけてゆっくりと雰囲気温度に昇温させ、その後、水(1mL)とEtOAc(5mL)を加えた。有機溶液を飽和一塩基クエン酸ナトリウム水溶液(2x2ml)、飽和NaHCO
3水溶液(1x2ml)で洗い、乾燥させ(MgSO
4)、減圧下で濃縮した。粗生成物を、0〜5%
iPrOHのCH
2Cl
2溶液を溶出剤として用いたシリカカラムクロマトグラフィーで精製し、ホスホルアミダート22(216mg、52%、P−ジアステレオマーの1:1混合物)を白色固体として得た:
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ11.54(s,1H)、7.56(d,J=6.8Hz,1H)、7.40−7.35(m,2H)、7.23−7.18(m,3H)、6.14−5.96(m,2H)、5.89(dd,J=5.6,25.6Hz,1H)、5.55(t,J=8.4Hz,1H)、4.85(dq,J=1.6,6.0Hz,1H)、4.44−4.32(m,1H)、4.25(m,1H)、4.06−3.98(m,1H)、3.86−3.70(m,2H)、1.30−1.08(m,9H);
31P NMR(162MHz,DMSO−d6)δ4.90、4.77;LRMS(ESI)[M+H]
+ C
2113CH
27D
3FN
3O
9Pの計算値534.5、実測値534.4。
【0276】
実施例19−8.(2S)−2−(((((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−
13C−ペルジュウテリオメチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(ヒドロキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸:23の調製
ホスホルアミダート22(147mg、0.276mmol)をトリエチルアミン(2mL)と水(0.5mL)に懸濁し、60℃で30時間加熱した。その後、揮発性成分を減圧下で留去した。粗生成物を、シリカカラムクロマトグラフィーにより、50〜70%
iPrOHのCH
2Cl
2溶液、次に0〜20%NH
4OHの
iPrOH溶液で溶出させて精製し、23を白色固体として得た(95mg、83%):
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ8.00(d,J=8.4Hz,1H)、5.98(d,J=19.2Hz,1H)、5.52(d,J=8.4Hz,1H)、4.02−3.81(m,4H)、1.10(d,J=6.8Hz,3H);
31P NMR(162MHz,DMSO−d
6)δ8.12;LRMS(ESI)[M+H]
+ C
1213CH
17D
3FN
3O
9Pの計算値416.3、実測値416.4。
【0277】
R
P−4、4、及びS
P−4の試料の特性
R
P−4、4、及びS
P−4の試料を、X線粉体回折(XRPD)、核磁気共鳴(NMR)分析法、フーリエ変換赤外(FT−IR)分光法、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、重量法水蒸気吸着測定(GVS)、熱力学的水溶解度、及び高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した。
【0278】
実施例20.X線粉体回折
R
P−4、4、及びS
P−4の試料を、X線粉体回折(XRPD)により下記の条件で分析した。
【0279】
a.Bruker AXS/Siemens D5000
X線粉体回折パターンを、Siemens D5000回折計により、Cu Kα放射(40kV、40mA)、θ−θ角度計、V20及び受光スリットの発散、グラファイト二次モノクロメーター、並びにシンチレーションカウンターを用いて収集した。本機器を、認証されたコランダム標準(NIST1976)を用いて、性能検査を行う。データ収集用のソフトウェアとして、Diffrac Plus XRPD Commander
v2.3.1を用い、データの解析及び提示にはDiffrac Plus EVA v11.0.0.2又はv13.0.0.2.を用いた。
【0280】
環境条件
環境条件下で計測した試料は、受領したままの粉体を用いて、平板試料として調製した。約35mgの試料を、滑らかなゼロバックグラウンド(510)シリコンウエハーに切り込まれた穴に軽く詰めた。分析中、試料はその平面で回転させた。データ収集の詳細は、角度範囲:2〜42°2θ;ステップサイズ:0.05°2θ;及び、収集時間:4s.ステップ
−1とした。
【0281】
b.Bruker AXS C2 GADDS
X線粉体回折パターンを、Bruker AXS C2 GADDS回折計により、Cu Kα放射(40kV、40mA)、自動XYZステージ、自動サンプル位置決め用レーザービデオ顕微鏡、及びHiStar2次元領域検出器を用いて収集した。X線光学系は、0.3mmのピンホールコリメータに連結された単一のGobel多層膜鏡から成る。
【0282】
ビーム発散、すなわち試料上のX線ビームの有効な大きさは、約4mmであった。θ−θ連続スキャンモードを試料−検出器間距離20cmで用い、これにより、3.2°〜29.7°の有効2θ範囲が得られた。通常、試料はX線ビームに120秒間当てられる。データ収集用のソフトウェアとしてGADDS for WNT 4.1.16を用い、データの解析及び提示にはDiffrac Plus EVA v9.0.0.2又はv13.0.0.2を用いた。
【0283】
環境条件
環境条件下で計測した試料は、受領したままの粉体を用いて、粉砕を行わず、平板試料として調製した。約1〜2gの試料をスライドガラスに軽く押し付け、平面にした。
【0284】
X線粉体回折(XRPD)
XRPDにより、4は非結晶であることがわかった(
図1参照)。実施例3に従って調製したR
P−4の高分解能XRPD分析では、S
P−4(実施例4、方法4に従って調製)のものとは異なる粉体パターンを呈する結晶性固体が確認され、またS
P−4も結晶性固体であることが確認された。R
P−4及びS
P−4のXRPDの結果を表1に示す(≦5%(R
P−4)及び≦3%(S
P−4)の強度を示すピークはすべて除く)。
【0285】
表1.R
P−4及びS
P−4のXRPDデータ
【表1-1】
【表1-2】
【0286】
S
P−4の試料は、乳棒と乳鉢で粉砕し、その後、500μmと250μmの篩に連続してかけ、微粉末の試料とした。この試料を高分解能XRPDで再分析し、形態の変化が起きていないことを確認した。
【0287】
実施例21.S
P−4の結晶化の検討
結晶性のS
P−4は多形性を示す。そのため、ある態様は、結晶性S
P−4及びその個
々の多形型に向けられている。S
P−4は少なくとも5つの多形型で存在でき、それらを形態1〜5と呼ぶ。さらに、非結晶S
P−4も調製することができる。一般的な結晶化では、約100mgのS
P−4を適切な量の結晶化溶媒(アセトニトリル(5vol)、クロロホルム(5vol)、酢酸n−ブチル(7vol)、ジクロロメタン(50vol)、アニソール(7vol)、及び1:1MTBE/ヘプタン(50vol))に溶解し、その後、溶液を5℃で蒸発させる。様々な結晶形が得られるが、濾過及び/又は乾燥により、各結晶形から形態1が得られる。
【0288】
形態1、2、及び3は、それぞれ、溶媒和されていない形態、1:1のDCM溶媒和物、1:1のクロロホルム溶媒和物であり、単結晶X線及びXRPD分析で確認されている。形態4及び5は、S
P−4をそれぞれアセトニトリルとアニソールの溶液から結晶化することで得られる。形態4及び5は、十分な質の単結晶が得られなかったため、溶媒和されていない形態であるか、水和物であるか、又は溶媒和物であるかを決定する十分なデータを収集することができなかった。形態4及び5は、濾過により形態1に変換される。S
P−4を酢酸n−ブチル(
nBuAc)、並びにメチル−
tブチルエーテル(MTBE)及びヘプタンを含む溶液から結晶化させることで、2つのさらなる結晶形態が得られた;濾過により、これらの結晶形態はともに形態1に変換される。形態2及び3も、単離することで形態1に変換される。形態1は、溶媒和されていない形態であり、幅広い融解吸熱範囲を持ち、開始温度は94.3℃、ΔH
fusは24.0kJmol
−1である。S
P−4形態1のさらなるXRPDパターンを
図4に示す。
【0289】
S
P−4の形態1からS
P−4の形態6への変換
形態1は、少なくとも2つの方法で、形態2に変換することができる。
【0290】
まず、形態1の微細結晶を大気湿度に数日間さらし、固化したゴム質の外観を呈する形態1の一水和物を生成する。一水和物の固体を粉砕して微粉末にした後も、XRPDパターンは形態1と一致したままであった。開放容器に6〜10週間放置したところ、粉砕した物質はゆっくりと無水固体である形態6に変化した。密閉容器内では、形態1は少なくとも2年間安定である。
【0291】
別の方法として、形態1を雰囲気温度で水に5〜50mg/mLで懸濁し、数時間で形態6に変換することができる。水変換処理は、水を形態1がさらに溶解する温度まで加熱し、固化したゴム質からS
P−4の混合しない部分の流動性を高め、懸濁油状物程度又はそれ以上にすることで、効率を上げることができる。時間が経つと、形態6は50℃で結晶化し始める。懸濁液をさらに0〜10℃に冷却すると、固体の回収率を上げることができる。また、水からの結晶化は、極性の微量不純物をより多く取り除くことができ、全体の純度を高めることができる。
【0292】
ジクロロメタン又はアセトニトリルなどの有機溶媒に、形態6を再度溶解させ、続いて結晶化させることで、形態6の結晶をシードに用いた場合でも、形態1を生成することができる。
【0293】
ゴム隔膜とマグネット撹拌子を備えた、乾燥した100mLの一口丸底フラスコに、1.04gのS
P−4形態1を入れた。HPLC純度99.7%。40mLの脱イオン水を加えた。懸濁液を勢いよく撹拌し、50℃まで加熱した。50℃に達すると、大部分が均質な溶液を60分間放置し、その間に固体が溶液から沈殿して薄いスラリーを形成した。スラリーを90分間かけて20℃に冷却し、20℃で16時間放置し、その後さらに30分間かけて0〜5℃に冷却し、0〜5℃で2.5時間放置した。スラリーを、中程度の間隙率のガラスフリット付き漏斗で濾過し、10mLの氷冷水で洗った。湿った固形物を2時間真空乾燥し、その後、真空オーブンで一晩23時間、50℃で乾燥させた。0.88
g(回収率84.6%)のS
P−4形態6を単離した。
形態6は、約124.5〜126℃の実測融点を有する。
【0294】
実施例21−1.S
P−4形態1
表2に、S
P−4形態1のピークのリストを示す。
【表2-1】
【表2-2】
【0295】
実施例21−2.S
P−4形態2
図5に、S
P−4形態2のXRPDパターンを示す。
表3に、S
P−4形態2のピークのリストを示す。
【表3】
【0296】
実施例21−3.S
P−4形態3
図6に、S
P−4形態3のXRPDパターンを示す。
表4に、S
P−4形態3のピークのリストを示す。
【表4】
【0297】
実施例21−4.S
P−5形態4
図7に、S
P−4形態4のXRPDパターンを示す。
表5に、S
P−4形態4のピークのリストを示す。
【表5】
【0298】
実施例21−5.S
P−4形態5
図8に、S
P−4形態5のXRPDパターンを示す。
表6に、S
P−4形態5のピークのリストを示す。
【表6】
【0299】
実施例21−5.S
P−4形態6
図21に、S
P−4形態6のXRPDパターンを示す。
下記表に、S
P−4形態6のピークのリストを示す。
【表7】
【0300】
実施例21−7.S
P−4(非結晶)
図9に、非結晶S
P−4のXRPDパターンを示す。
【0301】
実施例22.S
P−4及びその溶媒和物の単結晶X線結晶構造解析
【0302】
実施例22−1.S
P−4(形態1)の単結晶X線結晶構造解析
図10は、S
P−4形態1のX線結晶構造を示す。この図では、結晶構造から見た形態1の分子を示し、また用いたナンバリング方式を示している。非水素原子の異方性原子変位楕円体は、50%の確率水準で示されている。水素原子は任意の小半径で示されている。
【0303】
構造解は、直接的手法、加重w
−1=σ
2(F
o2)+(0.0592P)
2+(0.6950P)(ここで、P=(F
o2+2F
c2)/3)を用いたF
2の完全行列最小二乗精密化、異方性変位パラメーター、球面調和関数を用いた経験的吸収補正を、SCALE3 ABSPACKスケーリングアルゴリズムに実施して得た。すべてのデータで最終wR
2={Σ[w(F
o2−F
c2)
2]/Σ[w(F
o2)
2]
1/2}=0.0871、F
o>4σ(F
o)である7090個の反射のF値について通常R
1=0.0329、すべてのデータ及び870個のパラメーターでS=1.016。最終Δ/σ(最大)0.001、Δ/σ(平均)0.000。最終差分マップは+0.534〜−0.36eÅ
−3。
【0304】
表7.形態1の単結晶パラメーター
【表8】
【0305】
実施例22−2.S
P−4(形態2)の単結晶X線結晶構造解析
図11は、S
P−4形態2のX線結晶構造を示す。この図では、結晶構造から見た形態2の分子を示し、また用いたナンバリング方式を示している。データが非常に弱いため、ヘテロ原子は等方性で分割している。水素原子は示していない。
【0306】
構造解は、直接的手法、加重w
−1=σ
2(F
o2)+(0.0975P)
2+(10.6969P)(ここで、P=(F
o2+2F
c2)/3)を用いたF
2の完全行列最小二乗精密化、異方性変位パラメーター、球面調和関数を用いた経験的吸収補正を、SCA
LE3 ABSPACKスケーリングアルゴリズムに実施して得た。すべてのデータで最終wR
2={Σ[w(F
o2−F
c2)
2]/Σ[w(F
o2)
2]
1/2}=0.1883、F
o>4σ(F
o)である2525個の反射のF値について通常R
1=0.0741、すべてのデータ及び158個のパラメーターでS=1.05。最終Δ/σ(最大)0.000、Δ/σ(平均)0.000。最終差分マップ+1.388〜−0.967eÅ
−3。
【0307】
表8.形態2の単結晶パラメーター
【表9】
【0308】
実施例22−3.S
P−4(形態2)の単結晶X線結晶構造解析
図12は、S
P−4(形態2)のX線結晶構造(ORTEP−異方性)を示す。S
P−
4(形態2)の塩化メチレン溶媒和物C
23H
31N
3PO
9FCl
2の結晶構造は、単斜晶系空間群P2
1(消滅則0k0:k=奇数)を生じ、a=12.8822(14)Å、b=6.1690(7)Å、c=17.733(2)Å、β=92.045(3)°、V=1408.4(3)Å
3、Z=2、d
計算値=1.449g/cm
3である。X線強度データは、Rigaku Mercury CCD面検出器により、グラファイトで単色化したMo−K
α放射(λ=0.71073Å)を用いて、温度143Kで収集した。予備指標化は、照射時間30秒で一連の12個の0.5°回転イメージから行った。結晶−検出器間距離35mm、2θスイング角−12°、回転幅0.5°、及び照射30秒で、合計648個の回転イメージを収集した:スキャン番号1は、ω=10°、χ=20°で315°〜525°のφ−スキャン;スキャン番号2は、χ=−90°、φ=315°で−20°〜5°のω−スキャン;スキャン番号3は、χ=−90°、φ=135°で−20°〜4°のω−スキャン;スキャン番号4は、χ=−90°、φ=225°で−20°〜5°のω−スキャン;スキャン番号5は、χ=−90°、φ=45°で−20°〜20°のω−スキャン。回転イメージは、CrystalClear(CrystalClear:株式会社リガク、1999)を用いて処理し、平均化していないF
2及びσ(F
2)値のリストを作成し、その後、それらをCrystalStructure(CrystalStructure:CrystalStructureアナリシスパッケージ、株式会社リガク、Rigaku/MSC(2002))プログラムパッケージにより、Dell Pentium(登録商標) IIIコンピューターを用いて、さらなる処理と構造解析を行った。5.48≦2θ≦50.04°、−14≦h≦15、−7≦k≦6、−19≦l≦21の範囲で、合計7707個の反射を測定し、4253個の固有反射(R
int=0.
0180)が得られた。強度データは、ローレンツ効果及び分極効果、並びに吸収の補正を、REQABを用いて行った(最小及び最大トランスミッション0.824、1.000)。
【0309】
構造は、直接的手法により解明した(SIR97、SIR97:Altomare, A., M. Burla, M. Camalli, G. Cascarano, C. Giacovazzo, A. Guagliardi, A. Moliterni, G. Polidori & R. Spagna (1999). J Appl. Cryst., 32, 115-119)。精密化は、F
2の完全行
列最小二乗法を、SHELXL−97を用いて行った(SHELXL−97:Sheldrick,
G.M. (2008) Acta Cryst, A64, 112-122)。精密化では、すべての反射を用いた。用い
た加重の式は、w=1/[σ
2(F
o2)+0.0472P
2+0.4960P](ここで、P=(F
o2+2F
c2)/3)。非水素原子は異方的に精密化し、水素原子は「ライディング(riding)」モデルを用いて精密化した。精密化は、F>4σ(F)である4046個の反射に対してR
1=0.0328及びwR
2=0.0817、全4253個の固有の非ゼロ反射及び358の変数に対してR
1=0.0348、wR
2=0.0838、GOF=1.056に収束させた(R
1=Σ||F
o|−|F
c||/Σ|F
o|;wR
2={Σw(F
o2−F
c2)
2/Σw(F
o2)
2}
1/2;GOF={Σw(F
o
2−F
c2)
2/(n−p)}
1/2;ここで、n=反射の数、p=精密化するパラメー
ターの数)。最小二乗の最終サイクルの最大Δ/σは、0.000で、最終差分フーリエの2つの最も突出したピークは、+0.312と−0.389e/Å
3であった。フラック(Flack)絶対構造パラメーターは−0.06(6)に精密化し、これにより表題化合
物の立体化学を確認した。
【0310】
表1に、セル情報、データ収集パラメーター、及び精密化データを記載する。最終ポジション及び等価の等方性熱パラメーターを表2に示す。異方性熱パラメーターを表3に示す。("ORTEP-II: A Fortran Thermal Ellipsoid Plot Program for Crystal Structure Illustrations"、C.K. Johnson (1976) ORNL-5138。)確率30%の熱振動楕円体で分子
を示している。
【0311】
表9.S
P−4・CH
2Cl
2化合物の構造決定の概要
【表10】
【0312】
実施例22−4.S
P−4(形態3)の単結晶X線結晶構造解析
図13は、S
P−4形態3のX線結晶構造を示す。この図では、結晶構造から見た形態3の分子を示し、また用いたナンバリング方式を示している。非水素原子の異方性原子変位楕円体は、50%の確率水準で示されている。水素原子は任意の小半径で示されている。
【0313】
構造解は、直接的手法、加重w
−1=σ
2(F
o2)+(0.0512P)
2+(0.6810P)(ここで、P=(F
o2+2F
c2)/3)を用いたF
2の完全行列最小二乗精密化、異方性変位パラメーター、球面調和関数を用いた経験的吸収補正を、SCALE3 ABSPACKスケーリングアルゴリズムに実施して得た。すべてのデータで最終wR
2={Σ[w(F
o2−F
c2)
2]/Σ[w(F
o2)
2]
1/2}=0.0796、F
o>4σ(F
o)である2486個の反射のF値に関して通常R
1=0.0294、すべてのデータ及び377個のパラメーターでS=1.068。最終Δ/σ(最大)0.001、Δ/σ(平均)0.000。最終差分マップは+0.211〜−0.334eÅ
−3。
【0314】
表10.形態3の単結晶パラメーター
【表11】
【0315】
実施例23.高温及び高相対湿度における安定性
R
P−4の試料を40℃、相対湿度75%の湿度室に1週間置き、試料をXRPDで再度分析した。得られたR
P−4の粉末パターンは、実験中に実質的な変化が起きていないことを示しており、すなわち固体形状に変化は観察されなかった。これは、4の試料とは対照的で、4の試料では40℃、相対湿度75%で保管すると約16時間以内に潮解が起きた。実際の4の潮解性質を以下に説明する。4の試料を250μmの篩にかけ、その後、試料を40℃/75%RH及び25℃/53%相対湿度に置き、目視による観察を一定間隔で行った。結果を表4に示す。
【0316】
表11.高相対湿度に対する4の安定性
【表12】
【0317】
S
P−4の試料は、40℃、相対湿度75%に置くと、16時間以内に潮解した。例として、S
P−4の試料を乳棒と乳鉢で粉砕し、その後、500μmと250μmの篩に連続してかけ、微粉末の試料とした。この物質の試料を40℃、相対湿度75%、及び25℃、53%RHに置き、目視による観察を一定間隔で行った。結果を表5に示す。
【0318】
表12.高相対湿度に対するS
P−4の安定性
【表13】
【0319】
25℃、53%RHに104時間置いた試料のXRPD分析では、生成されたディフラクトグラムに実質的な変化は見られず、形態の変化は起きていないことが示された。
【0320】
実施例24.フーリエ変換−赤外(FT−IR)分光法
汎用減衰全反射(ATR)サンプリング付属装置を取り付けたパーキンエルマーSpectrum Oneを用いてデータを収集した。データは、Spectrum v5.0.1ソフトウェアを用いて収集、解析を行った。
【0321】
4、R
P−4、S
P−4の得られたIRスペクトルを、それぞれ
図5〜7に示す。主要なピークを波長数(cm
−1)で以下に記載する:
4:〜1680、〜1454、〜1376、〜1205、〜1092、〜1023(
図14);
R
P−4:〜1742、〜1713、〜1679、〜1460、〜1377、〜1259、〜1157、〜1079(
図15);及び
S
P−4(形態1):〜1743、〜1713、〜1688、〜1454、〜1378、〜1208、〜1082(
図16)。
【0322】
実施例25.示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)
DSCのデータを、50検体オートサンプラーを備えたTA InstrumentsのQ2000で収集した。熱容量の校正はサファイアを用いて行い、エネルギーと温度の校正は認証付きインジウムを用いて行った。
【0323】
温度変調DSCは、通常、各試料0.8〜1.2mgに対して、小さな穴を設けたアルミニウムパンで、底部加熱速度2℃.min
−1、温度変調パラメーター±0.2℃.min
−1及び40秒によって実施した。試料に対して乾燥窒素のパージを50ml.min
−1で維持した。
【0324】
機器の制御ソフトウェアは、Q Series用Advantage v2.8.0.392及びThermal Advantage v4.8.3を用い、データ解析はUniversal Analysis v4.3Aを用いて行った。
【0325】
DSCのデータを、34検体オートサンプラーを備えたMettler DSC823eで収集した。機器のエネルギーと温度の校正は認証付きインジウムを用いて行った。通常、各試料0.8〜1.2mgを、小さな穴を設けたアルミニウムパン中で、10℃.min
−1で25℃から250℃まで加熱した。試料に対して乾燥窒素のパージを50ml.min
−1で維持した。機器の制御及びデータ解析のソフトウェアには、STARe v9.20を用いた。
【0326】
S
P−4(形態6)のDSCデータは、DSC装置(TA Q2000)を用いて、加熱速度10℃/min、乾燥窒素ガスの連続流入下(100ml/min)で収集した。約2.2mgの試料を正確に計量し、密閉されていないゆるい蓋の付いた「Tzero」パン中で加熱した。機器は、インジウム標準物(エンタルピー及び温度)とサファイア標準物(熱容量)で校正を行った。不安定性は、温度で±0.1℃、計測エンタルピーで±5%と推定される。開始温度の測定には、TA Universal Analysisソフトウェアを用いた。
【0327】
TGAデータは、34検体オートサンプラーを備えたMettler TGA/SDTA851eで収集した。認証付きインジウムで機器の温度の校正を行った。通常、各試料8〜12mgを、あらかじめ計量したアルミ製るつぼにのせ、10℃.min
−1で雰囲気温度から350℃まで加熱した。試料に対して窒素のパージを50ml.min
−1で維持した。機器の制御及びデータ解析のソフトウェアには、STARe v9.20を用いた。
【0328】
4のDSC分析では、58.7℃から始まる単一の広い吸熱(ΔH14J.g
−1)が、さらなる変調DSC分析によるガラス転移中の分子緩和によるものであることが確認された(
図17)。4のTGA分析では、240℃を超えた分解の前に重量の減少は見られず、該物質が溶媒和されないことが確認された。4のXRPD分析で該物質が非晶質であることが確認されたため、ガラス転移点を算出するために変調DSC分析を実施し、それが57℃であることがわかった。
【0329】
DSC分析では、136.2℃から始まる単一の急な吸熱(ΔH76J.g
−1)が高温顕微鏡観察による溶解であることが確認された。
図18参照。R
P−4のTGA分析では、240℃を超えた分解の前に重量の減少は見られず、該物質が溶媒和されないことが確認された。
【0330】
S
P−4のDSC分析では、93.9℃から始まる単一の広い吸熱(ΔH43J.g
−1)が高温顕微鏡観察による溶解であることが確認された。
図19参照。S
P−4のTGA分析では、240℃を超えた分解の前に重量の減少は見られず、該物質が溶媒和されないことが確認された。
【0331】
S
P−4(形態6)のDSC分析では、120.7℃から始まる広い吸熱(ΔH79J
.g
−1)が見られた。
【0332】
実施例26.重量法水蒸気吸着測定(GVS)
SMS DVS Intrinsic
収着等温線は、SMS DVS Intrinsic水分収着等温線分析計を用いて、SMS Analysis Suiteソフトウェアで制御を行って得た。試料温度は、機器制御により25℃に維持した。湿度は、乾燥窒素と湿性窒素の混合流で制御し、合計流量は200ml.min
−1とした。相対湿度は、校正済みのRotronic製プローブ(ダイナミックレンジ1.0〜100%RH)を試料の近くに置いて計測した。%RHの作用として、試料の重量変化(質量の緩和)を微量天秤(精度±0.005mg)で常に測定した。
【0333】
通常、試料5〜20mgを、環境条件下で、風袋を計量したメッシュのステンレススチール製バスケットに入れた。試料の出し入れは、40%RH、25℃(一般的な室内条件)で行った。水分収着等温線は以下に示す概要で測定した(2回のスキャンで全サイクル1回)。標準等温線は、25℃、10%RH間隔で0.5〜90%RHの範囲において測定した。
【0334】
表13.SMS DVS Intrinsic試験の手法のパラメーター
【表14】
【0335】
等温線の測定後、試料を回収し、XRPDで再度分析した。
【0336】
GVS分析では、R
P−4は非吸湿性であり、相対湿度0〜90%で約0.2wt%の水を可逆的に取り込んでいたことが示された。GVS試験後の試料をXRPDで再度分析したところ、形態に変化は見られなかった。
【0337】
S
P−4の試料を乳棒と乳鉢で粉砕し、その後、500μmと250μmの篩に連続してかけて微粉末の試料とし、これを1サイクルに変更した方法で分析した。試料は、標準方法の90%ではなく、40%RH(ほぼ環境条件)から60%RHで取り、その後、0%まで、そして逆に40%RHまで測定した。この分析により、S
P−4は、60%RHまでは非吸湿性であり、0〜60%RHで〜0.2重量%の水を可逆的に取り込んでいたことが示された。
【0338】
実施例27.熱力学的水溶解度
水溶解度は、十分な量の化合物を水に懸濁し、化合物の親遊離型の≧10mg.ml
−1の最大最終濃度を得ることで決定した。懸濁液は、25℃、24時間で平衡化し、その後、pHを測定した。その後、懸濁液をガラス繊維Cフィルターで濾過し、96ウェルプレートに入れた。その後、濾液を101倍に希釈した。定量はHPLCで行い、約0.1mg.ml
−1のDMSO溶液を標準液とした。異なる量の標準試料溶液、希釈試料溶液、及び未希釈試料溶液を注入した。溶解度は、標準試料の主要ピークと同じ保持時間にあるピークを積分して求めたピーク面積を用いて算出した。
【0339】
表14.溶解度測定のためのHPLCの手法のパラメーター
【表15】
【0340】
分析は、上記の条件で、ダイオードアレイ検出器を備えたAgilent HP1100シリーズシステムにより、ChemStationのソフトウェアvB.02.01−SR1を用いて実施した。
【0341】
表15.R
P−4、4、S
P−4の水溶解度の結果
【表16】
【0342】
実施例28.HPLCによる化学的純度の決定
本明細書に記載する化合物の化学的純度の決定には、様々なHPLCの条件を用いることができる。その1つの例が、熱力学的水溶解度の試験に関連して、上記に記載されている。以下に別の例を記載する。
【表17】
【0343】
これらの条件で、4、R
P−4、及びS
P−4の純度は、それぞれ〜99.6、〜99%、及び〜99.5%と決定された。上記の手法を最適化することで、より高い純度を得
ることもできる。
【0344】
XRPDのディフラクトグラムを検討すると、2つの結晶性単一ジアステレオ異性体は、はっきりと異なるXRPDパターンを示している。さらに、2つの結晶性ジアステレオ異性体の融点には明確な差があり、R
P−4の開始温度がS
P−4よりも大幅に高くなっている(136℃対94℃)。
【0345】
実施例29.その他の分離方法
下記のSFC分離法(条件は以下に記載)で、R
P−4とS
P−4のジアステレオマー混合物が適切に分離された。
【表18】
【0346】
下記のSFC分離法(条件は以下に記載)で、R
P−4とS
P−4のジアステレオマー混合物が適切に分離された。
【表19】
【0347】
表16.R
P−4、4、及びS
P−4のバッチ特性評価結果のまとめ
【表20】
【0348】
実施例30.8(S
P−異性体)のX線結晶構造解析
化合物8(S
P−異性体)C
18H
21N
2PO
7は、単斜晶系空間群P2
1(消滅則0k0:k=奇数)で結晶化し、a=5.3312(4)Å、b=15.3388(8)Å、c=23.7807(13)Å、β=92.891(3)°、V=1942.2(2)Å
3、Z=4、及びd
計算値=1.397g/cm
3である。X線強度データは、Bruker APEXII CCD面検出器により、グラファイトで単色化したMo−Kα放射(λ=0.71073Å)を用いて、温度100(1)Kで収集した。
図20A及び20Bは、非対称ユニットのそれぞれ番号1と番号2の分子を示す。
【0349】
予備指標化は、照射時間30秒で一連の36個の0.5°回転フレームから行った。結晶−検出器間距離70.00mm、回転幅0.5°、及び照射20秒で、合計3608個のフレームを収集した:
【表21】
【0350】
回転フレームは、SAINT(Bruker(2009)SAINT。Bruker AXS Inc.、米国ウィスコンシン州マディソン)を用いてまとめ、平均化していないF
2及びσ(F
2)値のリストを作成し、その後、それらをSHELXTL(Bruker(2009)SHELXTL。Bruker AXS Inc.、米国ウィスコンシン州マディソン)プログラムパッケージにより、Dell Pentium(登録商標)4コンピューターを用いて、さらなる処理と構造解析を行った。1.58≦θ≦25.09°、−6≦h≦6、−18≦k≦18、−28≦l≦28の範囲で、合計6909個の反射を測定し、6909個の固有反射(Rint=0.0581)が得られた。強度データは、ローレン
ツ効果及び分極効果、並びに吸収の補正を、SADABS(Sheldrick, G.M. (2007) SADABS. University of Gottingen, Germany)を用いて行った(最小及び最大トランスミッ
ション0.6093、0.7452)。
【0351】
構造は、直接的手法により解明した(SHELXS−97(Sheldrick, G.M. (2008) Acta Cryst. A64,112-122))。精密化は、F
2の完全行列最小二乗法を、SHELXL−97(Sheldrick, G.M. (2008) Acta Cryst. A64, 112-122)を用いて行った。精密化で
は、すべての反射を用いた。用いた加重の式は、w=1/[σ
2(F
o2)+(0.0000P)
2+14.0738P](ここで、P=(F
o2+2F
c2)/3)。非水素原子は異方的に精密化し、水素原子はライディングモデルを用いて精密化した。精密化は、F>4σ(F)である6173個の観察された反射に対してR1=0.0847及びwR2=0.1899、全6909個の固有の非ゼロ反射及び512の変数に対してR1=0.0963、wR2=0.1963、GOF=1.119に収束させた(R1=Σ||F
o|−|F
c||/Σ|F
o|;wR2=[Σw(F
o2−F
c2)
2/Σw(F
o2)
2]
1/2;GOF=[Σw(F
o2−F
c2)
2/(n−p)]
1/2;ここで、n=反射の数、p=精密化するパラメーターの数)。最小二乗の最終サイクルの最大Δ/σは、0.000で、最終差分フーリエの2つの最も突出したピークは、+0.402と−0.559e/Å
3であった。
図20A及び20Bは、非対称ユニットの分子1と分子2のORTEP(確率30%の熱振動楕円体)である。
【0352】
表17.化合物8(S
P−異性体)の構造決定のまとめ
【表22-1】
【表22-2】
【0353】
実施例32.(S)−イソプロピル2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエートのX線結晶構造解析
(S)−イソプロピル2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート、C
18H
17NPO
5F
5は、三斜晶系空間群P1で結晶化し、a=5.2641(6)Å、b=12.0548(13)Å、c=16.4307(15)Å、α=74.960(4)°、β=83.959(4)°、γ=80.275(4)°、V=990.40(18)Å
3、Z=2、及びd
計算値=1.520g/cm
3である。X線強度データは、Bruker APEXII CCD面検出器により、グラファイトで単色化したMo−Kα放射(λ=0.71073Å)を用いて、温度143(1)Kで収集した。予備指標化は、照射時間20秒で一連の36個の0.5°回転フレームから行った。結晶−検出器間距離37.600mm、回転幅0.5°、及び照射20秒で、合計3593個のフレームを収集した:
【表23】
【0354】
回転フレームは、SAINT(Bruker(2009)SAINT。Bruker AXS Inc.、米国ウィスコンシン州マディソン)を用いてまとめ、平均化していな
いF
2及びσ(F
2)値のリストを作成し、その後、それらをSHELXTL(Bruker(2009)SHELXTL。Bruker AXS Inc.、米国ウィスコンシン州マディソン)プログラムパッケージにより、Dell Pentium(登録商標)4コンピューターを用いて、さらなる処理と構造解析を行った。1.77≦θ≧25.12°、−6≦h≦6、−14≦k≦14、−19≦l≦19の範囲で、合計17880個の反射を測定し、6897個の固有反射(Rint=0.0212)が得られた。強度データは、ローレ
ンツ効果及び分極効果、並びに吸収の補正を、SADABS(Sheldrick, G.M. (2007) SADABS. University of Gottingen, Germany)を用いて行った(最小及び最大トランスミ
ッション0.6887、0.7452)。
【0355】
構造は、直接的手法により解明した(SHELXS−97(Sheldrick, G.M. (2008) Acta Cryst. A64,112-122))。精密化は、F
2の完全行列最小二乗法を、SHELXL−97(Sheldrick, G.M. (2008) Acta Cryst. A64, 112-122)を用いて行った。精密化で
は、すべての反射を用いた。用いた加重の式は、w=1/[σ
2(F
o2)+(0.0344P)
2+0.1102P](ここで、P=(F
o2+2F
c2)/3)。非水素原子は異方的に精密化し、水素原子はライディングモデルを用いて精密化した。精密化は、F>4σ(F)である6527個の観察された反射に対してR1=0.0259及びwR2=0.0609、全6897個の固有の非ゼロ反射及び548の変数に対してR1=0.0284、wR2=0.0621、GOF=1.040に収束させた(R1=Σ||F
o|−|F
c||/Σ|F
o|;wR2=[Σw(F
o2−F
c2)
2/Σw(F
o2)
2]
1/2;GOF=[Σw(F
o2−F
c2)
2/(n−p)]
1/2;ここで、n=反射の数、p=精密化するパラメーターの数)。最小二乗の最終サイクルの最大Δ/σは、0.001で、最終差分フーリエの2つの最も突出したピークは、+0.254と−0.236e/Å
3であった。
図22A及び22Bは、非対称ユニットの分子1と分子2のORTEP(確率30%の熱振動楕円体)である。
【0356】
表18.(S)−イソプロピル2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエートの構造決定のまとめ
【表24-1】
【表24-2】
【0357】
実施例33.生物活性
レプリコンを含む細胞を、白色/不透明の96ウェルプレートに3,000細胞/ウェル(50μL)、又は白色/不透明の384ウェルプレートに1,500細胞/ウェル(25μL)で播種した。50μLの2X化合物を96ウェルプレートに加え、又は25μLの2X化合物を384ウェルプレートに加えた。プレートを、加湿した5%CO
2雰囲気下、37℃で4日間培養した。培養後、Bright−Glo試薬(96ウェルプレートに50μL、384ウェルプレートに25μL)を加え、HCVの複製をホタルルシフェラーゼレポーターで測定した。阻害率は、薬剤なしの対照と比較して算出した。
【表25】
【0358】
R
P−4及びS
P−4は、広い遺伝子型範囲を有することが実証されている。例えば、双方ともC型肝炎ウイルスの遺伝子型1〜4に対して活性であることが示されている。
【0359】
本出願は、2010年5月20日に提出された米国特許出願第12/783,680号の一部継続出願であり、該出願は、2009年5月20日に提出された米国仮特許出願第61/179,923号及び2010年3月31日に提出された第61/319,513号に対する優先権を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に取り込まれる。
【0360】
米国特許出願第12/783,680号及び第12/053,015号、並びに2009年5月20日に提出された米国仮特許出願第61/179,923号及び2010年3月31日に提出された第61/319,513号の内容は、参照によりその全体が本明細書に取り込まれる。引用したすべての文献の内容は、参照により本明細書に取り込まれる。取り込まれる用語の意味が本明細書に定義する用語の意味と矛盾する場合、本明細書に
おける用語の意味が、取り込まれる用語の意味よりも優先される。
なお、本願発明は以下のものにも関する。
(請求項1)
結晶性2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピル。
(請求項2)
(1)約:5.2、7.5、9.6、16.7、18.3、および22.2のXRPD2θ−反射(°);
(2)約:5.0、7.3、9.4、および18.1のXRPD2θ−反射(°);
(3)約:4.9、6.9、9.8、19.8、20.6、24.7、および26.1のXRPD2θ−反射(°);
(4)約:6.9、9.8、19.7、20.6、および24.6のXRPD2θ−反射(°);
(5)約:5.0、6.8、19.9、20.6、20.9、および24.9のXRPD2θ−反射(°);
(6)約:5.2、6.6、7.1、15.7、19.1、および25.0のXRPD2θ−反射(°);または
(7)約:6.1、8.2、10.4、12.7、17.2、17.7、18.0、18.8、19.4、19.8、20.1、20.8、21.8、および23.3のXRPD2θ−反射(°)
を有する、結晶性2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピル。
(請求項3)
(1)約:5.2、7.5、9.6、16.7、18.3、および22.2のXRPD2θ−反射(°);
(2)約:5.0、7.3、9.4、および18.1のXRPD2θ−反射(°);または
(7)約:6.1、8.2、10.4、12.7、17.2、17.7、18.0、18.8、19.4、19.8、20.1、20.8、21.8、および23.3のXRPD2θ−反射(°)を有する、請求項2記載の結晶性2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピル。
(請求項4)
(1)約:5.2、7.5、9.6、16.7、18.3、および22.2のXRPD2θ−反射(°);
(2)約:5.0、7.3、9.4、および18.1のXRPD2θ−反射(°);または
(7)約:6.1、8.2、10.4、12.7、17.2、17.7、18.0、18.8、19.4、19.8、20.1、20.8、21.8、および23.3のXRPD
2θ−反射(°)を有する、請求項2記載の結晶性2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピル。
(請求項5)
約:5.2、7.5、9.6、16.7、18.3、および22.2のXRPD2θ−反射(°)を有する、請求項2記載の結晶性2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピル。
(請求項6)
約:5.0、7.3、9.4、および18.1のXRPD2θ−反射(°)を有する、請求項2記載の結晶性2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピル。
(請求項7)
約:6.1、8.2、10.4、12.7、17.2、17.7、18.0、18.8、19.4、19.8、20.1、20.8、21.8、および23.3のXRPD2θ−反射(°)を有する、請求項2記載の結晶性2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピル。
(請求項8)
請求項1記載の結晶性2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを含む組成物。
(請求項9)
請求項1記載の結晶性2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルおよび薬剤的に許容される媒体を含む、医薬組成物。
(請求項10)
それを必要とする対象者においてC型肝炎ウイルス感染を治療する方法であって:
対象者に、有効量の請求項1記載の結晶性2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを投与することを含む、方法。
(請求項11)
構造式
【化41】
(式中、LG’は脱離基である)
により表される化合物。
(請求項12)
LG’が、トシレート、カンファースルホネート、ベンゾ[d]チアゾリド−2(3H)−チオン、アリールオキシド、または少なくとも1つの電子吸引基で置換されたアリールオキシドである、請求項11記載の化合物。
(請求項13)
LG’が、2,4−ジニトロフェノキシド、4−ニトロフェノキシド、2−ニトロフェノキシド、2−クロロ−4−ニトロフェノキシド、2,4−ジクロロフェノキシド、またはペンタフルオロフェノキシドである、請求項11記載の化合物。
(請求項14)
2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピル。
(請求項15)
結晶性2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピル。
(請求項16)
請求項11記載の化合物を調製するためのプロセスであって、
a)第1の組成物;
b)第2の脱離基前駆体;
c)非求核性塩基;および
d)液体組成物;
を含む組成物から化合物を結晶化させること、を含み、ここで、第1組成物が、化合物およびその対応するPベースのジアステレオマーを含む、前記プロセス。
(請求項17)
化合物のモル量およびそのPベースのジアステレオマーのモル量が同一または異なる、請求項16記載のプロセス。
(請求項18)
化合物のモル量が、その対応するPベースのジアステレオマーのモル量よりも多い、請求項17記載のプロセス。
(請求項19)
第2の脱離基前駆体が、2,4−ジニトロフェノール、4−ニトロフェノール、2−ニトロフェノール、2−クロロ−4−ニトロフェノール、2,4−ジクロロフェノール、またはペンタフルオロフェノールである、請求項16記載のプロセス。
(請求項20)
LG’がペンタフルオロフェノキシドである、請求項19記載のプロセス。
(請求項21)
第2の脱離基前駆体がペンタフルオロフェノールである、請求項20記載のプロセス。
(請求項22)
ペンタフルオロフェノールの量が、化合物およびそのPベースのジアステレオマーのモル量に対して約0.01モル当量〜約10モル当量の範囲である、請求項21記載のプロセス。
(請求項23)
ペンタフルオロフェノールの量が、化合物およびそのPベースのジアステレオマーのモル量に対して約0.1モル当量〜約1モル当量の範囲である、請求項21記載のプロセス。
(請求項24)
結晶化が約−10℃〜約+40℃の範囲の温度で起こる、請求項16記載のプロセス。
(請求項25)
結晶化がほぼ室温で起こる、請求項16記載のプロセス。
(請求項26)
非求核性塩基が、炭酸カリウム、炭酸セシウム、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、キヌクリジン、ナフタレン−1,8−ジアミン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,8−ジアザビシクロウンデク−7−エン、4−ジメチルアミノ−ピリジン、ピリジン、2,6−ジ−C
1〜6−アルキル−ピリジン、2,4,6−トリ−C
1〜6−アルキル−ピリジン、およびそれらの混合物から選択される、請求項16記載のプロセス。
(請求項27)
非求核性塩基がトリエチルアミンである、請求項16記載のプロセス。
(請求項28)
非求核性塩基が、化合物およびそのPベースのジアステレオマーの総モル量に対して約0.01モル当量〜約10モル当量の範囲の量で存在する、請求項16記載のプロセス。
(請求項29)
非求核性塩基が、化合物およびそのPベースのジアステレオマーの総モル量に対して約0.1モル当量〜約1モル当量の範囲の量で存在する、請求項16記載のプロセス。
(請求項30)
化合物の溶解度が、液体組成物中のその対応するPベースのジアステレオマーの溶解度よりも低い、請求項16記載のプロセス。
(請求項31)
液体組成物が溶媒および貧溶媒の少なくとも1つを含む、請求項16記載のプロセス。
(請求項32)
液体組成物が、C
1〜C
8アルコール、C
2〜C
8エーテル、C
3〜C
7ケトン、C
3〜C
7エステル、C
1〜C
2クロロカーボン、C
2〜C
7ニトリル、C
5〜C
12飽和炭化水素、およびC
6〜C
12芳香族炭化水素の少なくとも1つを含む、請求項16記載のプロセス。
(請求項33)
液体組成物が、C
2〜C
8エーテル、C
3〜C
7エステル、C
5〜C
12飽和炭化水素、およびC
6〜C
12芳香族炭化水素の少なくとも1つを含む、請求項16記載のプロセス。
(請求項34)
液体組成物が、C
2〜C
8エーテル、C
3〜C
7エステル、およびC
5〜C
12飽和炭化水素の少なくとも1つを含む、請求項16記載のプロセス。
(請求項35)
液体組成物が、酢酸エチル、t−ブチル−メチルエーテル、およびヘキサンの少なくとも1つを含む、請求項34記載のプロセス。
(請求項36)
液体組成物が酢酸エチルおよびヘキサンを含む、請求項34記載のプロセス。
(請求項37)
液体組成物がt−ブチル−メチルエーテルおよびヘキサンを含む、請求項34記載のプロセス。
(請求項38)
液体組成物の量が、第1組成物1グラムにつき約1mL〜約10mLの範囲である、請求項16記載のプロセス。
(請求項39)
結晶性化合物を組成物に添加することをさらに含む、請求項16記載のプロセス。
(請求項40)
約0.1〜約1重量%の結晶性化合物を第1組成物に添加することをさらに含む、請求項16記載のプロセス。
(請求項41)
a)PhOP(O)(LG)
2および
iPr−Ala−NH
2・HClを第1塩基の存在下で反応させて、(PhO)P(O)(LG)(NHAla−
iPr)を得;
b)(PhO)P(O)(LG)(NHAla−
iPr)を第1の脱離基前駆体(LG’H)と第2塩基の存在下で反応させて、化合物およびそのPベースのジアステレオマーを含む組成物を得ることをさらに含み;
ここで、LGおよびLG’は、互いに独立して、脱離基であり;
ここで、第1の脱離基前駆体および第2の脱離基前駆体は同一または異なり;そして第1塩基および第2塩基が同一または異なる、請求項16記載のプロセス。
(請求項42)
結晶性2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを調製するプロセスであって:
2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを、
a)第1の組成物;
b)ペンタフルオロフェノール;
c)非求核性塩基;および
d)液体組成物
を含む第2の組成物から結晶化すること、を含み、
ここで、第2の組成物が、2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルおよび2−(((R)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを含む、前記プロセス。
(請求項43)
2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルのモル量および2−(((R)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルのモル量が同一または異なる、請求項42記載のプロセス。
(請求項44)
2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルのモル量が、2−(((R)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルのモル量よりも多い、請求項42記載のプロセス。
(請求項45)
ペンタフルオロフェノールの量が、2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルおよび2−(((R)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルのモル量に対して、約0.01モル当量〜約10モル当量の範囲である、請求項43記載のプロセス。
(請求項46)
結晶化が、約−10℃〜約+40℃の範囲の温度で起こる、請求項42記載のプロセス。
(請求項47)
結晶化がほぼ室温で起こる、請求項42記載のプロセス。
(請求項48)
非求核性塩基が、炭酸カリウム、炭酸セシウム、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、キヌクリジン、ナフタレン−1,8−ジアミン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,8−ジアザビシクロウンデク−7−エン、4−ジメチルアミノ−ピリジン、ピリジン、2,6−ジ−C
1−6−アルキル−ピリジン、2,4,6−トリ−C
1−6−アルキル−ピリジン、およびそれらの混合物から選択される、請求項42記載のプロセス。
(請求項49)
非求核性塩基がトリエチルアミンである、請求項42記載のプロセス。
(請求項50)
非求核性塩基が、2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルおよび2−(((R)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルの総モル量に対して約0.1〜約1モル当量の範囲の量で存在する、請求項42記載のプロセス。
(請求項51)
2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルの溶解度が、2−(((R)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルの液体組成物中の溶解度よりも低い、請求項42記載のプロセス。
(請求項52)
液体組成物が、溶媒および貧溶媒の少なくとも1つを含む、請求項42記載のプロセス。
(請求項53)
液体組成物が、C
1〜C
8アルコール、C
2〜C
8エーテル、C
3〜C
7ケトン、C
3〜C
7エステル、C
1〜C
2クロロカーボン、C
2〜C
7ニトリル、C
5〜C
12飽和炭化水素、およびC
6〜C
12芳香族炭化水素の少なくとも1つを含む、請求項42記載のプロセス。
(請求項54)
液体組成物が、C
2〜C
8エーテル、C
3〜C
7エステル、C
5〜C
12飽和炭化水素、およびC
6〜C
12芳香族炭化水素の少なくとも1つを含む、請求項42記載のプロセス。
(請求項55)
液体組成物が、C
2〜C
8エーテル、C
3〜C
7エステル、およびC
5〜C
12飽和炭化水素の少なくとも1つを含む、請求項42記載のプロセス。
(請求項56)
液体組成物が、酢酸エチル、t−ブチル−メチルエーテル、およびヘキサンの少なくとも1つを含む、請求項55記載のプロセス。
(請求項57)
液体組成物が、酢酸エチルおよびヘキサンを含む、請求項55記載のプロセス。
(請求項58)
液体組成物が、t−ブチル−メチルエーテルおよびヘキサンを含む、請求項55記載のプロセス。
(請求項59)
1グラムの第1組成物について、液体組成物の量が約1〜約10mLの範囲である、請求項42記載のプロセス。
(請求項60)
結晶性2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを第2の組成物に添加することをさらに含む、請求項42記載のプロセス。
(請求項61)
第1組成物中の2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルの総重量を基準として、約0.1〜約1重量%の結晶性2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを添加することをさらに含む、請求項42記載のプロセス。
(請求項62)
請求項42記載のプロセスにより得られる結晶性2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピル。
(請求項63)
2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを調製するためのプロセスであって:
2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを、
a)第1の組成物;
b)ペンタフルオロフェノール;
c)非求核性塩基;および
d)液体組成物;
を含む第2の組成物から結晶化させること、を含み、ここで、第1組成物が、2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルおよび2−(((R)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを含む、前記プロセス。
(請求項64)
2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを調製するためのプロセスであって:
2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを、t−ブチルマグネシウムハライドと1−((2R,3R,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−3−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオンとt−ブチルマグネシウムハライドとを反応させることにより得られる生成物と接触させることを含む、前記プロセス。
(請求項65)
接触を、約0℃〜約40℃の範囲の温度を有する媒体中で行う、請求項64記載のプロセス。
(請求項66)
接触を、約0℃〜約30℃の範囲の温度を有する媒体中で行う、請求項64記載のプロセス。
(請求項67)
t−ブチルマグネシウムハライドの1−((2R,3R,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−3−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオンに対するモル比が約2〜約2.2の範囲である、請求項64記載のプロセス。
(請求項68)
t−ブチルマグネシウムハライドの1−((2R,3R,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−3−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオンに対するモル比が約2.1である、請求項64記載のプロセス。
(請求項69)
t−ブチルマグネシウムハライドがt−ブチルマグネシウムクロリドである、請求項64記載のプロセス。
(請求項70)
実質的に純粋な2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを調製するプロセスであって:
請求項35記載のプロセスにしたがって、2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを得、そして
そのようにして形成された2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを結晶化させることを含む、前記プロセス。