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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-205903(P2015-205903A)
(43)【公開日】2015年11月19日
(54)【発明の名称】ヌクレオシドホスホルアミデート
(51)【国際特許分類】
   C07H 19/06 20060101AFI20151023BHJP
【FI】
   C07H19/06CSP
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】112
(21)【出願番号】特願2015-122763(P2015-122763)
(22)【出願日】2015年6月18日
(62)【分割の表示】特願2013-502843(P2013-502843)の分割
【原出願日】2011年3月31日
(31)【優先権主張番号】61/319,548
(32)【優先日】2010年3月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/783,680
(32)【優先日】2010年5月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/319,513
(32)【優先日】2010年3月31日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】512252294
【氏名又は名称】ギリード・ファーマセット・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100091638
【弁理士】
【氏名又は名称】江尻 ひろ子
(72)【発明者】
【氏名】ロス,ブルース・エス
(72)【発明者】
【氏名】ソフィア,マイケル・ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】パムラパティ,ガナパティ・レディ
(72)【発明者】
【氏名】ラチャコンダ,スグナ
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン,ハイ−レン
(72)【発明者】
【氏名】チュン,ビョン−クウォン
(72)【発明者】
【氏名】ウォン,ペイユエン
【テーマコード(参考)】
4C057
【Fターム(参考)】
4C057CC03
4C057DD01
4C057LL10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ウイルス性疾患の治療の為の新規ヌクレオシドホスホルアミデート化合物の提供。
【解決手段】下記式で表される結晶性2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピル。

【効果】該化合物は、RNA依存性RNAウイルス複製の阻害剤であり、HCV複製の阻害剤として、C型肝炎感染の治療剤として有用である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、2010年3月31日付で出願された米国特許出願第61/319,513号、2010年3月31日付で出願された米国特許出願第61/319,548号、および2010年5月20日付で出願された米国特許出願第12/783,680号に対して優先権を主張し、その内容は参照により全体が組み込まれる。
【0002】
本明細書中で開示するのは、ヌクレオシドホスホルアミデートおよびウイルス性疾患の治療薬としてのそれらの使用である。これらの化合物は、RNA依存性RNAウイルス複製の阻害剤であり、HCV NS5Bポリメラーゼの阻害剤として、HCV複製の阻害剤として、およびほ乳類におけるC型肝炎感染の治療に有用である。
【背景技術】
【0003】
C型肝炎ウイルス(HCV)感染は、世界人口の2〜15%と推定されるかなりの人数の感染者において、慢性肝疾患、例えば肝硬変および肝細胞癌に至る重大な健康問題である。米国疾病管理センターによると、米国だけで、推定450万人の感染者がいる。世界保健機構によると、世界中では2億人を越える感染者がおり、毎年少なくとも300万人〜400万人が感染している。一旦感染すると、約20%の人々はウイルスを排除するが、残りは、この先一生HCVを保菌する可能性がある。慢性的に感染した個体の10〜20%は、最終的に、肝臓を破壊する肝硬変またはガンを発症する。ウイルス性疾患は、汚染された血液や血液製剤、汚染された注射針により非経口的に、または性的に、そして感染した母親からまたは保菌者の母親から子孫へと垂直に伝染する。組換えインターフェロンα単独またはヌクレオシドアナログリバビリンとの組み合わせでの免疫療法に限定されているHCV感染の現行の治療は、臨床上の有益性に限界がある。さらに、HCVの確立されたワクチンがない。したがって、慢性HCV感染に効果的に有効な改善された治療薬が緊急に必要とされている。
【0004】
HCVビリオンは、約3,010のアミノ酸のポリタンパク質をコードする約9600塩基の単一オリゴリボヌクレオチドゲノム配列を有する、エンベロープを有するプラス鎖のRNAウイルスである。HCV遺伝子のタンパク質生成物は、構造タンパク質C、E1、およびE2、ならびに非構造タンパク質NS2、NS3、NS4AおよびNS4B、ならびにNS5AおよびNS5Bからなる。非構造(NS)タンパク質は、ウイルス複製のための触媒機構を提供すると考えられている。NS3プロテアーゼは、ポリタンパク質鎖由来のRNA依存性RNAポリメラーゼであるNS5Bを放出する。HCV NS5Bポリメラーゼは、HCVの複製サイクルにおいてテンプレートとしての役割を果たす1本鎖ウイルスRNAからの2本鎖RNAの合成に必要である。したがって、NS5Bポリメラーゼは、HCV複製複合体中の必須成分であると考えられる(K. Ishi, et al, Heptology, 1999, 29:1227-1235; V. Lohmann, et al., Virology, 1998, 249:108-118)。HCV
NS5Bポリメラーゼの阻害は、2本鎖HCV RNAの形成を防止し、したがって、HCV特異的抗ウイルス療法開発のための魅力的なアプローチを構成する。
【0005】
HCVは、多くの共通の特徴がある、はるかに大きなウイルスファミリーに属する。
【0006】
フラビウイルス(Flaviviridae)科ウイルス
ウイルスのフラビウイルスファミリーは、少なくとも3つの異なる属:ウシおよびブタで疾患を引き起こすペスチウイルス(pestivirus);デング熱および黄熱などの疾患の主原因であるフラビウイルス(flavivirus);ならびにその唯一のメンバーがHCVである
ヘパシウイルスを含む。フラビウイルス属は、血清学的相関性に基づいて分類される、68を越えるメンバーを含む(Calisher et al., J. Gen. Virol, 1993,70,37-43)。臨床
症状はさまざまであり、熱、脳炎および出血熱が挙げられる(Fields Virology, Editors: Fields, B. N., Knipe, D. M., and Howley, P. M., Lippincott-Raven Publishers, Philadelphia, PA, 1996, Chapter 31, 931-959)。ヒト疾患に関連する世界的懸念のフ
ラビウイルスとしては、デング出血熱ウイルス(DHF)、黄熱ウイルス、ショック症候群および日本脳炎ウイルスが挙げられる(Halstead, S. B., Rev. Infect. Dis., 1984, 6, 251-264; Halstead, S. B., Science, 239:476-481, 1988; Monath, T. P., New Eng.
J. Med, 1988, 319, 64 1-643)。
【0007】
ペスチウイルス属としては、ウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)、豚コレラウイルス(CSFV、トンコレラウイルスとも呼ばれる)およびヒツジのボーダー病ウイルス(BDV)が挙げられる(Moennig, V. et al. Adv. Vir. Res. 1992, 41, 53-98)。家
畜(ウシ、ブタおよびヒツジ)のペスチウイルス感染は、世界的に著しい経済的損失を与える。BVDVは、ウシにおいて粘膜疾患を引き起こし、畜産業に対して相当の重要性を有する(Meyers, G. and Thiel, H.J., Advances in Virus Research, 1996, 47, 53-118; Moennig V., et al, Adv. Vir. Res. 1992, 41, 53-98)。ヒトペスチウイルスは動物
ペスチウイルスとして広く特徴づけられていなかった。しかし、血清学的調査は、ヒトにおいてかなりのペスチウイルス暴露を示す。
【0008】
ペスチウイルスおよびヘパシウイルスは、フラビウイルス科内の密接に関連するウイルス群である。この科における他の密接に関連するウイルスとしては、GBウイルスA、GBウイルスA様物質、GBウイルス−BおよびGBウイルス−C(G型肝炎ウイルス、HGVとも呼ばれる)が挙げられる。ヘパシウイルス群(C型肝炎ウイルス;HCV)は、ヒトに感染する、多くの密接に関連しているが遺伝学的に識別可能なウイルスからなる。少なくとも6つのHCV遺伝子型および50を越えるサブタイプがある。ヘパシウイルスが細胞培養で効率的に増殖できないことと併せて、ペスチウイルスおよびヘパシウイルスの間の類似性のために、ウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)は、多くの場合、HCVウイルスを研究するための代用物として用いられる。
【0009】
ペスチウイルスおよびヘパシウイルスの遺伝子構成は非常に類似している。これらのプラス鎖のRNAウイルスは、ウイルス複製に必要なすべてのウイルスタンパク質をコードする単一の大きなオープンリーディングフレーム(ORF)を有する。これらのタンパク質は、細胞性およびウイルスでコードされたプロテイナーゼの両方により翻訳と同時および翻訳後に処理されるポリタンパク質として発現され、成熟ウイルスタンパク質を産生する。ウイルスゲノムRNAの複製に関与するウイルスタンパク質は、ほぼカルボキシ末端に位置する。ORFの2/3は、非構造(NS)タンパク質と称される。ペスチウイルスおよびヘパシウイルスのORFの非構造タンパク質部分の遺伝子構成およびポリタンパク質処理は非常に類似している。ペスチウイルスおよびヘパシウイルスの両方に関して、成熟非構造(NS)タンパク質は、非構造タンパク質コーディング領域のアミノ末端からORFのカルボキシ末端へ順にp7、NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5A、およびNS5Bからなる。
【0010】
ペスチウイルスおよびヘパシウイルスのNSタンパク質は、特定のタンパク質機能に特徴的な配列ドメインを共有する。例えば、両群のウイルスのNS3タンパク質は、セリンプロテイナーゼおよびヘリカーゼに特徴的なアミノ酸配列モチーフを有する(Gorbalenya
et al., Nature, 1988, 333, 22; Bazan and Fletterick Virology, 1989, 171, 637-639; Gorbalenya et al., Nucleic Acid Res., 1989, 17, 3889-3897)。同様に、ペスチウイルスよびヘパシウイルスのNS5Bタンパク質は、RNA依存性RNAポリメラーゼに特徴的なモチーフを有する(Koonin, E.V. and Dolja, V.V., Crir. Rev. Biochem. Mole
c. Biol. 1993, 28, 375-430)。
【0011】
ウイルスのライフサイクルにおけるペスチウイルスおよびヘパシウイルスのNSタンパク質の実際の役割や機能は直接類似している。どちらの場合も、NS3セリンプロテイナーゼは、ORF中のその位置の下流のポリタンパク質前駆体のすべてのタンパク質分解処理に関与する(Wiskerchen and Collett, Virology, 1991, 184, 341-350; Bartenschlager et al., J Virol. 1993, 67, 3835-3844; Eckart et al. Biochem. Biophys. Res. Comm. 1993,192, 399-406; Grakoui et al., J. Virol. 1993, 67, 2832-2843; Grakoui et
al., Proc. Natl. Acad Sci. USA 1993, 90, 10583-10587; Hijikata et al., J. Virol. 1993, 67, 4665-4675; Tome et al., J. Virol, 1993, 67, 4017-4026)。NS4Aタ
ンパク質は、どちらの場合も、NS3セリンプロテアーゼとともにコファクターとして作用する(Bartenschlager et al., J Virol. 1994, 68, 5045-5055; Failla et al., J. Virol. 1994, 68, 3753-3760; Xu et al., J. Virol., 1997, 71 :53 12-5322)。両ウイルスのNS3タンパク質はさらに、ヘリカーゼとしても機能する(Kim et al., Biochem.
Biophys. Res. Comm., 1995, 215, 160-166; Jin and Peterson, Arch. Biochem. Biophys., 1995, 323, 47-53; Warrener and Collett, J. Virol. 1995, 69,1720-1726)。最
後に、ペスチウイルスおよびヘパシウイルスのNS5Bタンパク質は、予測されるRNA依存性RNAポリメラーゼ活性を有する(Behrens et al., EMBO, 1996, 15, 12-22; Lechmann et al., J. Virol., 1997, 71, 8416-8428; Yuan et al., Biochem. Biophys. Res. Comm. 1997, 232, 231-235; Hagedorn, PCT国際公開第97/12033号; Zhong
et al, J. Virol., 1998, 72, 9365-9369)。
【0012】
現在、C型肝炎ウイルスに感染した個体についての治療オプションは限定されている。現在の承認された治療オプションは、組換えインターフェロンα単独またはヌクレオシドアナログリバビリンとの組み合わせでの免疫療法の使用である。この療法は、その臨床効果が限定され、治療を受けた患者の50%しか療法に反応しない。したがって、HCV感染により課せられる、満たされていない医学的必要性に対処するさらに有効な新規療法の必要性が高い。
【0013】
抗HCV治療薬として直接作用する抗ウイルス剤の薬剤開発のための多くの潜在的な分子標的、例えばこれらに限定されるものではないが、NS2−NS3自己プロテアーゼ、N3プロテアーゼ、N3ヘリカーゼおよびNS5Bポリメラーゼが特定されている。RNA依存性RNAポリメラーゼは、1本鎖正センスRNAゲノムの複製に絶対的に必須であり、この酵素は、医薬品化学者の間で大きな興味をひいている。
【0014】
HCV感染の潜在的な治療法としてのHCV NS5Bの阻害剤が検討されている: Tan, S.-L., et al., Nature Rev. Drug Discov., 2002, 1, 867-881 ; Walker, M.P. et al., Exp. Opin. Investigational Drugs, 2003, 12, 1269-1280; Ni, Z-J., et al., Current Opinion in Drug Discovery and Development, 2004, 7, 446-459; Beaulieu, P. L., et al., Current Opinion in Investigational Drugs, 2004, 5, 838-850; Wu, J., et al., Current Drug Targets-Infectious Disorders, 2003, 3, 207-219; Griffith, R.C., et al, Annual Reports in Medicinal Chemistry, 2004, 39, 223-237; Carrol, S., et al., Infectious Disorders-Drug Targets, 2006, 6, 17-29。耐性HCV株が出現
する可能性および幅広い遺伝子型範囲の薬剤を同定する必要性が、HCV NS5B阻害剤として新規かつさらに有効なヌクレオシドを同定する継続努力の必要性を支えている。
【0015】
NS5Bポリメラーゼのヌクレオシド阻害剤は、鎖停止をもたらす非天然基質として、またはポリメラーゼに結合するヌクレオチドと競合する競合的阻害剤としてのいずれかで作用することができる。鎖ターミネーターとして機能するためには、ヌクレオシドアナログは、細胞によって取り込まれ、インビボでトリホスフェートに変換されて、ポリメラー
ゼヌクレオチド結合部位について競合しなければならない。トリホスフェートへのこの変換は、通常、潜在的なヌクレオシドポリメラーゼ阻害剤に対してさらなる構造要件を付与する細胞キナーゼにより媒介される。残念なことに、このことが、インサイチュリン酸化が可能な細胞ベースのアッセイに対するHCV複製の阻害剤としてのヌクレオシドの直接的評価を制限する。
【0016】
場合によっては、ヌクレオシドの生物活性は、それを活性なトリホスフェート形態に変換するために必要な1以上のキナーゼに関するその不十分な基質特性により妨げられる。ヌクレオシドキナーゼによるモノホスフェートの形成は、一般的に、3つのリン酸化事象の律速段階として見なされている。ヌクレオシドの活性なトリホスフェートアナログへの代謝における初期リン酸化ステップの必要性を回避するために、安定なホスフェートプロドラッグの調製が報告されている。ヌクレオシドホスホルアミデートプロドラッグは、活性なヌクレオシドトリホスフェートの前駆体であり、ウイルス感染した全細胞に投与した場合に、ウイルス複製を阻害することが示されている(McGuigan, C, et al., J. Med. Chem., 1996, 39, 1748-1753; Valette, G., et al., J. Med. Chem., 1996, 39, 1981-1990; Balzarini, J., et al., Proc. National Acad Sci USA, 1996, 93, 7295-7299; Siddiqui, A. Q., et al., J. Med. Chem., 1999, 42, 4122-4128; Eisenberg, E. J., et al., Nucleosides, Nucleotides and Nucleic Acids, 2001, 20, 1091-1098; Lee, W.A., et al., Antimicrobial Agents and Chemotherapy, 2005, 49, 1898);米国特許第2006/0241064号;および国際公開第2007/095269号。
【0017】
さらに、それらの場合によって不十分な物理化学的および薬物動態学的特性も、実行可能な治療薬としてのヌクレオシドの有用性を制限する。これらの不十分な特性は、薬剤の腸吸収を制限する可能性があり、標的組織または細胞中への吸収を制限する可能性がある。それらの特性を改善するために、ヌクレオシドのプロドラッグが用いられてきた。ヌクレオシドホスホルアミデートの調製は、ヌクレオシドの全身吸収を改善し、さらに、これらの「プロヌクレオチド」のホスホルアミデート部分を中性の親油性基でマスキングして、細胞への取り込みおよび輸送を最適化するために好適な分配係数を得、親ヌクレオシド単独の投与に比べて、ヌクレオシドモノホスフェートアナログの細胞内濃度を劇的に増大することが示されている。ホスフェートエステル部分の酵素介在性加水分解によりヌクレオシドモノホスフェートが生成し、この場合、律速的な初期リン酸化は不必要である。この目的で、米国特許出願第12/053,015号(国際公開第2008/121634号および米国特許第2010/0016251号に対応する)は、多くのホスホルアミデートヌクレオシドプロドラッグを開示し、その多くは、HCVアッセイにおいて活性を示す。米国特許第2010/0016251号で開示されるいくつかの化合物を、FDAにより承認を得るための潜在的な臨床候補として試験した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本明細書中で開示されるのは、式4により表される化合物および式S−4およびR−4により表されるそのそれぞれのリンベースのジアステレオマーである:
【化1】
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、4の高分解能XRDディフラクトグラムを示す。
図2図2は、R−4の高分解能XRDディフラクトグラムを示す。
図3図3は、S−4(形態1)の高分解能XRDディフラクトグラムを示す。
図4図4は、S−4(形態1)の高分解能XRDディフラクトグラムを示す。
図5図5は、S−4・CHCl(形態2)の高分解能XRDディフラクトグラムを示す。
図6図6は、S−4・CHCl(形態3)の高分解能XRDディフラクトグラムを示す。
図7図7は、S−4(形態4)の高分解能XRDディフラクトグラムを示す。
図8図8は、S−4(形態5)の高分解能XRDディフラクトグラムを示す。
図9図9は、S−4(アモルファス)の高分解能XRDディフラクトグラムを示す。
図10図10は、S−4(形態1)のX線結晶構造を示す。
図11図11は、S−4・CHCl(形態2)のX線結晶(等方性)構造を示す。
図12図12は、S−4・CHCl(形態2)のX線結晶(異方性)構造を示す。
図13図13は、S−4・CHCl(形態3)のX線結晶構造を示す。
図14図14は、4のFT−IRスペクトルを示す。
図15図15は、R−4のFT−IRスペクトルを示す。
図16図16は、S−4のFT−IRスペクトルを示す。
図17図17は、4のTGAおよびDSCを示す。
図18図18は、R−4のTGAおよびDSC分析を示す。
図19図19は、R−4のTGAおよびDSC分析を示す。
図20A図20Aは、8(S異性体)(非対称ユニットの分子番号1)のX線結晶構造を示す。
図20B図20Bは、8(S異性体)(非対称ユニットの分子番号2)のX線結晶構造を示す。
図21図21は、S−4(形態6)の高分解能XRDディフラクトグラムを示す。
図22A図22Aは、2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピル(非対称ユニットの分子番号1)のX線結晶構造を示す。
図22B図22Bは、2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピル(非対称ユニットの分子番号)のX線結晶構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
定義
本明細書中で用いられる『「a」または「an」実体』という語法は、1以上のその実体
を指し;例えば、化合物(a compound)は、1以上の化合物または少なくとも1つの化合物を指す。このように、「a」(または「an」)、「1以上」、および「少なくとも1つ
」という用語は、本明細書中では交換可能に用いられる。
【0021】
「任意の」または「場合によって」という用語は、本明細書中で用いられる場合、その後に記載される事象または状況が起こる可能性があるが、起こる必要はないことと、この記載が、その事象または状況が起こる場合と起こらない場合を含むこととを意味する。例えば、「任意の結合」とは、その結合が存在してもよいし、または存在しなくてもよいこと、そしてこの記載が単結合、二重結合、または三重結合を含むことを意味する。
【0022】
「P」という用語は、リン原子がキラルであり、それらの認められた簡単な意味を有する「R」または「S」の対応するカーン・インゴールド・プレログ表示を有することを意味する。
【0023】
「精製」という用語は、本明細書中で記載される場合、所定の化合物の純度を指す。例えば、化合物は、所定の化合物が組成物の主成分である場合、すなわち、少なくとも50%w/wの純度である場合に、「精製」されている。したがって、「精製」とは、少なくとも50%w/wの純度、少なくとも6つの0%w/wの純度、少なくとも70%の純度、少なくとも80%の純度、少なくとも85%の純度、少なくとも90%の純度、少なくとも92%の純度、少なくとも94%の純度、少なくとも96%の純度、少なくとも97%の純度、少なくとも98%の純度、少なくとも99%の純度、少なくとも99.5%の純度および少なくとも99.9%の純度を包含し、この場合、「実質的に純粋」とは、少なくとも97%の純度、少なくとも98%の純度、少なくとも99%の純度、少なくとも99.5%の純度、および少なくとも99.9%の純度を含む。
【0024】
「代謝物」という用語は、本明細書中で用いられる場合、それを必要とする対象者への投与後にインビボで産生される化合物を指す。
【0025】
「約」という用語(〜によっても表される)は、記載された数値が標準的な実験誤差内で変化する範囲の一部であることを意味する。
【0026】
指定されたXRPDパターン「・・・で実質的に示されるように」という表現は、XRPDパターンにおいて示されるピーク位置が、目視検査または選択されたピークリスト(±0.2°2θ)を用いる手段で実質的に同じであることを意味する。当業者は、強度が試料によって変化し得ることを理解する。
【0027】
「実質的に無水」とは、物質が最大で10重量%の水、好ましくは最大で1重量%の水
、さらに好ましくは最大で0.5重量%の水、そして最も好ましくは最大で0.1重量%の水を含むことを意味する。
【0028】
溶媒または貧溶媒(反応、結晶化などで用いられるもの、または格子および/もしくは吸着溶媒)としては、少なくとも1つのC〜Cアルコール、C〜Cエーテル、C〜Cケトン、C〜Cエステル、C〜Cクロロカーボン、C〜Cニトリル、種々の溶媒、C〜C12飽和炭化水素、およびC〜C12芳香族炭化水素が挙げられる。
【0029】
〜Cアルコールは、そのような数の炭素を有する直線状/分枝および/または環状/非環状アルコールを指す。C〜Cアルコールとしては、これらに限定されるものではないが、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、ヘキサノール、およびシクロヘキサノールが挙げられる。
【0030】
〜Cエーテルは、そのような数の炭素を有する直線状/分枝および/または環状/非環状エーテルを指す。C〜Cエーテルとしては、これらに限定されるものではないが、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル(MTBE)、テトラヒドロフラン、およびジオキサンが挙げられる。
【0031】
〜Cケトンは、そのような数の炭素を有する直線状/分枝および/または環状/非環状ケトンを指す。C〜Cケトンとしては、これらに限定されるものではないが、アセトン、メチルエチルケトン、プロパノン、ブタノン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、およびシクロヘキサノンが挙げられる。
【0032】
〜Cエステルは、そのような数の炭素を有する直線状/分枝および/または環状/非環状エステルを指す。C〜Cエステルとしては、これらに限定されるものではないが、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸n−ブチルなどが挙げられる。
【0033】
〜Cクロロカーボンは、そのような数の炭素を有するクロロカーボンを指す。C〜Cクロロカーボンとしては、これらに限定されるものではないが、クロロホルム、塩化メチレン(DCM)、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、およびテトラクロロエタンが挙げられる。
【0034】
〜Cニトリルは、そのような数の炭素を有するニトリルを指す。C〜Cニトリルとしては、これらに限定されるものではないが、アセトニトリル、プロピロニトリルなどが挙げられる。
【0035】
種々の溶媒は、有機化学で通常用いられる溶媒を指し、これらに限定されるものではないが、ジエチレングリコール、ジグリム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、1,2−ジメトキシ−エタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、グリセリン、ヘキサメチルホスホルアミド、ヘキサメチル亜リン酸トリアム(triame)、N−メチル−2−ピロリジノン、ニトロメタン、ピリジン、トリエチルアミン、および酢酸が挙げられる。
【0036】
〜C12飽和炭化水素という用語は、直線状/分枝および/または環状/非環状炭化水素を指す。C〜C12飽和炭化水素としては、これらに限定されるものではないが、n−ペンタン、石油(リグロイン)、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、およびシクロヘプタンが挙げられる。
〜C12芳香族という用語は、それらの骨格としてフェニル基を有する置換および
非置換炭化水素を指す。好ましい炭化水素としては、ベンゼン、キシレン、トルエン、クロロベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、キシレン類が挙げられ、トルエンがさらに好ましい。
【0037】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、本明細書中で用いられる場合、クロロ、ブロモ、ヨードおよびフルオロを包含する。
【0038】
「ブロッキング基」という用語は、下記特性を示す化学基を指す。「基」は、「保護化合物」から誘導される。ホスホルアミデートの安定性にふさわしい条件下(pH2〜8)で付加することができる第2ヒドロキシルよりも第1ヒドロキシルについて選択的であり、結果として得られる生成物に対して実質的に異なる物理的特性を付与して、3’−ホスホルアミデート−5’−新規基生成物を未反応の所望の化合物からより容易に分離することを可能にする基。この基は、良好な収率で選択的に反応して、予想される反応に対して安定な、保護された基質をもたらすことができなければならない(Protective Groups in
Organic Synthesis, 3nd ed. T. W. Greene and P. G. M. Wuts, John Wiley & Sons, New York, N.Y., 1999を参照のこと)。基の例としては、これらに限定されるものではな
いが:ベンゾイル、アセチル、フェニル置換ベンゾイル、テトラヒドロピラニル、トリチル、DMT(4,4’−ジメトキシトリチル)、MMT(4−モノメトキシトリチル)、トリメトキシトリチル、ピクシル(9−フェニルキサンテン−9−イル)基、チオピクシル(9−フェニルチオキサンテン−9−イル)または9−(p−メトキシフェニル)キサンチン−9−イル(MOX)など;C(O)−アルキル、C(O)Ph、C(O)アリール、CHO−アルキル、CHO−アリール、SO−アルキル、SO−アリール、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリルが挙げられる。アセタール、例えばMOMまたはTHP等が可能な基と考えられる。フッ素化化合物もまた、それらが化合物に結合することができ、フルオラス(fluorous)固相抽出媒体(FluoroFlash(登録商標))を通過させることによって選択的に除去することができる限りにおいて、想定される。具体例としては、フッ素化トリチルアナログ、トリチルアナログ1−[4−(1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル)フェニル)−1,1−ジフェニルメタノールが挙げられる。トリチル、BOC、FMOC、CBzなどの他のフッ素化アナログも想定される。p−トルエンスルホニルクロリドなどのスルホニルクロリドは、5’位置上で選択的に反応することができる。酢酸エステルおよび安息香酸エステルなどのエステルが選択的に形成され得る。無水コハク酸およびその誘導体などの無水ジカルボン酸を用いて、遊離カルボン酸とのエステル結合を精製させることができ、そのような例としては、これらに限定されるものではないが、オキサリル、マロニル、スクシニル、グルタリル、アジピル、ピメリル、スペリル、アゼライル、セバシル、フタリル、イソフタリル、テレフタリルなどが挙げられる。遊離カルボン酸は、極性を劇的に増大させ、また、反応生成物を重炭酸ナトリウム溶液などの弱塩基性水性相中に抽出するための手段として用いることもできる。ホスホルアミデート基は酸性媒体中で比較的安定であり、したがって酸性反応条件を必要とする基、例えばテトラヒドロピラニルも使用できる。
【0039】
「保護化合物」から誘導される「保護基」という用語は、その簡単で通常の意味を有し、すなわち、少なくとも1つの保護またはブロッキング基が、少なくとも1つの他の官能基の化学的修飾を可能にする少なくとも1つの官能基(例えば、−ΟΗ、−NHなど)と結合している。保護基の例としては、これらに限定されるものではないが、ベンゾイル、アセチル、フェニル置換ベンゾイル、テトラヒドロピラニル、トリチル、DMT(4,4’−ジメトキシトリチル)、MMT(4−モノメトキシトリチル)、トリメトキシトリチル、ピクシル(9−フェニルキサンテン−9−イル)基、チオピクシル(9−フェニルチオキサンテン−9−イル)または9−(p−メトキシフェニル)キサンチン−9−イル(MOX)など;C(O)−アルキル、C(O)Ph、C(O)アリール、C(O)O(低級アルキル)、C(O)O(低級アルキレン)アリール(例えば、−C(O)OCH
Ph)、C(O)Oアリール、CHO−アルキル、CHO−アリール、SO−アルキル、SO−アリール、少なくとも1つのケイ素原子を含む保護基、例えば,tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、Si(低級アルキル)OSi(低級アルキル)OH(例えば、−Si(Pr)OSi(Pr)OHが挙げられる。
【0040】
「保護化合物」という用語は、本明細書中で用いられる場合で、特に別段の定義がないかぎり、「保護基」を含有し、保護され得る官能基を含有する化合物と反応することができる化合物を指す。
【0041】
「脱離基」という用語は、本明細書中で用いられる場合、当業者に対してと同じ意味を有し(Advanced Organic Chemistry: reactions, mechanisms and structure-Fourth Edition by Jerry March, John Wiley and Sons Ed.; 1992 pages 351-357)、基質分子の一部であり、基質分子に結合した基を表し;基質分子が(例えば求核試薬と)置換反応を受ける反応では、脱離基を次いで置換する。脱離基の例としては、これらに限定されるものではないが:ハロゲン(F、Cl、Br、およびI)、好ましくはCl、Br、またはI;トシレート、メシレート、トリフレート、アセテート、カンファースルホネート、アリールオキシド、および少なくとも1つの電子吸引基で置換されたアリールオキシド(例えば、p−ニトロフェノキシド、2−クロロフェノキシド、4−クロロフェノキシド、2,4−ジニトロフェノキシド、ペンタフルオロフェノキシドなど)などが挙げられる。「電子吸引基」という用語は、本明細書中のその簡単な意味に一致する。電子吸引基の例としては、これらに限定されるものではないが、ハロゲン、−NO2、−C(O)(低級アルキル)、−C(O)(アリール)、−C(O)O(低級アルキル)、−C(O)O(アリール)などが挙げられる。
【0042】
「塩基性試薬」という用語は、本明細書中で用いられる場合、ヒドロキシル基を脱プロトン化することができる化合物を意味する。塩基性試薬の例としては、これらに限定されるものではないが、アルコール性溶媒と組み合わせたオキシド(低級アルコキシド)((低級アルキル)OM)が挙げられ、ここで、オキシド(低級アルコキシド)としては、これらに限定されるものではないが、MeO、EtOPrOPrOBuOAmO(イソ−アミルオキシド)などが挙げられ、Mは、アルカリ金属カチオン、例えばLi、Na、Kなどである。アルコール性溶媒としては、(低級アルキル)OH、例えば、MeOH、EtOH、PrOH、PrOH、BuOH、AmOHなどが挙げられる。非アルコキシ塩基、例えば、水素化ナトリウム、ヘキサメチルジシラザンナトリウム、ヘキサメチルジシラザンリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、水素化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、DBU、DBN、グリニャール試薬、例えば(低級アルキル)Mg(ハロゲン)(これらに限定されるものではないが、MeMgCl、MeMgBr、BuMgCl、BuMgBrなどが挙げられる)も用いることができる。
【0043】
「塩基」という用語は、「塩基性試薬」という用語を包含し、プロトン含有化合物を脱プロトン化することができる化合物、すなわちブレンステッド塩基であることを意味する。上述の例に加えて、塩基のさらなる例としては、これらに限定されるものではないが、ピリジン、コリジン、2,6−(低級アルキル)−ピリジン、ジメチル−アニリン、イミダゾール、N−メチル−イミダゾール、ピラゾール、N−メチル−ピラゾール、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられる。
【0044】
「非求核性塩基」という用語は、ブレンステッド塩基として作用することができるが、低い求核性を有する化合物を意味する。非求核性塩基の例としては、これらに限定されるものではないが、炭酸カリウム、炭酸セシウム、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピル
エチルアミン、トリエチルアミン、キヌクリジン、ナフタレン−1,8−ジアミン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,8−ジアザビシクロウンデク−7−エン、4−ジメチルアミノ−ピリジン、ピリジン、2,6−ジ−C1−6−アルキル−ピリジン、2,4,6−トリ−C1−6−アルキル、−ピリジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン、および1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンが挙げられる。
【0045】
「電子吸引基」という用語は、その簡単な意味と一致する。電子吸引基の例としては、これらに限定されるものではないが、ハロゲン(F、Cl、Br、またはI)、−NO、−C(O)(低級アルキル)、−C(O)(アリール)、−C(O)O(低級アルキル)、−C(O)O(アリール)などが挙げられる。
【0046】
「共結晶」という用語は、薬剤的に許容される塩を包含する塩と組み合わせられた4、R−4、またはS−4の共結晶を包含する。
【0047】
「塩」という用語は、本明細書で用いられる場合、プロトン受容部分のプロトン化および/またはプロトン供与部分の脱プロトン化により産生することができる、カチオンおよびアニオンを含む化合物を指す。プロトン受容部分のプロトン化の結果、カチオン性種が形成され、ここでは、電荷は、生理学的アニオンの存在により釣り合っており、一方、プロトン供与部分の脱プロトン化の結果、アニオン性種が形成され、ここでは、電荷は、生理学的カチオンの存在により釣り合っていることに注目すべきである。
【0048】
「薬剤的に許容される塩」という語句は、薬剤的に許容されるものである塩を意味する。薬剤的に許容される塩の例としては、これらに限定されるものではないが:(1)例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸と形成されるか;もしくはグリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、サリチル酸、ムコン酸などの有機酸と形成される酸付加塩、または(2)前述の無機酸のいずれかの共役塩基と形成される塩基付加塩であって、ここでは、共役塩基は、Na、K、Mg2+、Ca2+、NHR’”4−g(ここで、R’”はC1〜3アルキルであり、gは0、1、2、3、または4から選択される数である)から選択されるカチオン性成分を含む。薬剤的に許容される塩についての全ての言及は、同じ酸付加塩の、本明細書中で定義される溶媒付加形態(溶媒和物)または結晶形(多形)を包含することを理解すべきである。
【0049】
「アルキル」という用語は、1〜30個の炭素原子を含有する非分枝または分枝鎖、飽和、一価炭化水素残基を指す。「C1〜Mアルキル」という用語は、1〜M個の炭素原子を含むアルキルを指し、ここで、Mは、以下の値:2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30を有する整数である。「C1〜4アルキル」は、1〜4個の炭素原子を含有するアルキルを指す。「低級アルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子を含む直線状または分枝鎖炭化水素残基を意味する。「C1〜20アルキル」という用語は、本明細書中で用いられる場合、1〜20個の炭素原子を含むアルキルを指す。「C1〜10アルキル」という用語は、本明細書中で用いられる場合、1〜10個の炭素を含むアルキルを指す。アルキル基の例としては、これらに限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチルまたはペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、およ
びオクチルをはじめとする低級アルキル基が挙げられる。(アル)アルキル、または(ヘテロアリール)アルキルという用語は、アルキル基が、場合によって、それぞれアリール、またはヘテロアリール基により置換されていることを示す。
【0050】
「アルケニル」という用語は、1または2個のオレフィン性二重結合、好ましくは1個のオレフィン性二重結合を有する2〜10個の炭素原子を有する非置換炭化水素鎖ラジカルを指す。「C2−Nアルケニル」という用語は、2〜N個の炭素原子を含むアルケニルを指し、ここで、Nは、以下の値:3、4、5、6、7、8、9、または10を有する整数である。「C2〜10アルケニル」という用語は、2〜10個の炭素原子を含むアルケニルを指す。「C2〜4アルケニル」という用語は、2〜4個の炭素原子を含むアルケニルを指す。例としては、これらに限定されるものではないが、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)または2−ブテニル(クロチル)が挙げられる。
【0051】
「アリール」という用語は、本明細書中で用いられる場合、そして特別の定めのない限り、置換または非置換フェニル(Ph)、ビフェニル、またはナフチルを指し、好ましくは、アリールという用語は、置換または非置換フェニルを指す。アリール基は、当業者には知られているように、保護されていないか、または例えば、T.W. Greene and P.G. M. Wuts, “Protective Groups in Organic Synthesis,” 3rd ed., John Wiley & Sons, 1999で教唆されるように、必要に応じて保護されているかのいずれかの、ヒドロキシル、F、Cl、Br、I、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、スルフェート、ホスホン酸、ホスフェート、およびホスホネートから選択される1以上の部分で置換することができる。
【0052】
「アリールオキシド」という用語は、本明細書中で用いられる場合、そして特別な定めのない限り、置換または非置換フェノキシド(PhO−)、p−フェニル−フェノキシド(p−Ph−PhO−)、またはナフトキシドを指し、好ましくは、アリールオキシドという用語は、置換または非置換フェノキシドを指す。アリールオキシド基は、保護されていないか、または、当業者には知られているように、必要に応じて、例えば、T.W. Greene and P.G. M. Wuts, “Protective Groups in Organic Synthesis,” 3rd ed., John Wiley & Sons, 1999で教唆されているように保護されているかのいずれかの、ヒドロキシル、F、Cl、Br、I、−C(O)(低級アルキル)、−C(O)O(低級アルキル)、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、スルフェート、ホスホン酸、ホスフェート、およびホスホネートから選択される1以上の部分で置換することができる。
【0053】
「製剤」または「投与形態」という用語は、活性化合物の固体および液体処方の両方を含むことが意図され、当業者は、活性成分が所望の用量および薬物動態学的パラメータによって異なる製剤中に存在し得ることを理解するであろう。
【0054】
「賦形剤」という用語は、本明細書中で用いられる場合、一般的に安全で、非毒性かつ、生物学的にもその他でも有害ではない医薬組成物を調製するために用いられる化合物を指し、獣医学的使用ならびにヒト製薬学的使用に許容される賦形剤を含む。
【0055】
「結晶性」という用語は、X線粉末回折または単結晶X線技術により測定される場合、S−4またはR−4のいずれかの固体試料が結晶性特性を有する状態を指す。
【0056】
「結晶様」という用語は、S−4またはR−4のいずれかの固体試料が、ある1つの手段、例えば視覚的に、または光学もしくは偏光顕微鏡法により測定される場合に結晶性特性を有するが、別の手段、例えばX線粉末回折により測定される場合は結晶性特性を有さない状態を指す。視覚によるか、または光学もしくは偏光顕微鏡法により、固体試料
の結晶性を視覚的に測定する方法は、USP<695>および<776>(どちらも参照により本明細書中に組み込まれる)で開示されている。「結晶様」であるS−4またはR−4のいずれかの固体試料は、ある条件下で結晶性であり得るが、他の条件に付された場合には非結晶性になる可能性がある。
【0057】
「アモルファス」という用語は、S−4またはR−4のいずれかが結晶性でも結晶様でもない状態を指す。
【0058】
実施形態
第1の実施形態は、式4:
【化2】

(式中、Pは、キラルなリン原子を表す)により表される化合物に関する。キラルなリン原子のために、式4により表される化合物は、R−4およびS−4と表される2つのジアステレオマーを含む。式4により表される化合物は、溶媒和物、水和物、または混合溶媒和物/水和物の一部であり得る。溶媒和物は4・nSと表され、一方、水和物は4・mHOと表され、ここで、Sは格子溶媒であり、nは約0〜約3の整数または非整数量で変化し、mは約0〜約5の整数または非整数量で変化する)と表される。最後に、式4により表される化合物は溶媒和物または水和物として存在しない可能性があるが、ある有利な量の吸着溶媒(S)または水を有する。その場合、Sまたは水の量は、式4により表される化合物の重量を基準として、約0重量%〜約10重量%で変化し得る。式4により表される化合物およびその溶媒和物およびその水和物は、結晶性、結晶様、またはアモルファスである。
【0059】
第2の実施形態は、式R−4:
【化3】

により表される化合物に関する。
【0060】
式R−4により表される化合物は、溶媒和物、水和物、または混合溶媒和物/水和物の一部でもあり得る。溶媒和物は、R−4・nSと表示され、一方、水和物は、S−4・mΗOと表示され、ここで、Sは、格子溶媒であり、nは約0〜約3の整数または非整数で変化し、mは約0〜約5の整数または非整数で変化する。最後に、式R−4により表される化合物は、溶媒和物、水和物、または混合溶媒和物/水和物として存在しないが、ある有利な量の吸着溶媒(S)、水、またはSおよび水の両方を有する可能性があ
る。その場合、Sまたは水の量は、式R−4により表される化合物の重量を基準として約0重量%〜約10重量%で変化し得る。式R−4により表される化合物およびその溶媒和物およびその水和物は、結晶性、結晶様、またはアモルファスである。
【0061】
第2の実施形態の第1の態様は、結晶性R−4に関する。
【0062】
第2の実施形態の第2の態様は、約:6.6、7.1、9.0、11.6、17.9、20.7、24.1、24.4、および26.2のXRPD2θ−反射(°)を有する結晶性R−4に関する。
【0063】
第2の実施形態の第3の態様は、約:6.6、7.1、9.0、11.0、11.6、12.0、16.0、17.9、19.6、20.7、21.0、21.7、21.9、22.2、23.1、24.1、24.4、26.1、27.3、27.7、および28.2のXRPD2θ−反射(°)を有する結晶性R−4に関する。
【0064】
第2の実施形態の第4の態様は、実質的に図2で示されるようなXRPD回折パターンを有する結晶性R−4に関する。
【0065】
第2の実施形態の第5の態様は、次のFT−IRピーク(cm−1):1742、1713、1679、1460、1377、1259、1157、および1079を有するR−4に関する。
【0066】
第2の実施形態の第6の態様は、実質的に図15で示されるようなFT−IRスペクトルを有するR−4に関する。
【0067】
第2の実施形態の第7の態様は、実質的に純粋なR−4に関する。
【0068】
第2の実施形態の第8の態様は、実質的に純粋な結晶性R−4に関する。
【0069】
第2の実施形態の第9の態様は、実質的に純粋なアモルファスなR−4に関する。
【0070】
第3の実施形態は、式S−4:
【化4】

により表される化合物に関する。
【0071】
式Sp−4によって表される化合物はまた、溶媒和物、水和物、または混合溶媒和物/水和物の一部でもあり得る。溶媒和物は、S−4・nSと表され、一方、水和物は、S−4・mHOと表され、ここで、Sは格子溶媒であり、nは、約0〜約3の整数または非整数で変化し、mは、約0〜約5の整数または非整数で変化する。最後に、式S−4により表される化合物は、溶媒和物または水和物として存在しないが、ある有利な量の吸着溶媒(S)または水を有する可能性がある。その場合、Sまたは水の量は、式S
4により表される化合物の重量を基準として約0重量%〜約10重量%で変化し得る。式S−4により表される化合物およびその溶媒和物およびその水和物は、結晶性、結晶様、またはアモルファスである。
【0072】
第3の実施形態の第1の態様は結晶性S−4に関する。
【0073】
第3の実施形態の第2の態様は、好ましくは次の単位胞パラメータa約12.88Å、b約6.17Å、c約17.73Å、およびβ約92.05°を有する単斜晶性S−4に関する。
【0074】
第3の実施形態の第3の態様は、好ましくは次の単位胞パラメータa約20.09Å、b約6.10Å、c約23.01Å、およびβ約112.29°を有する単斜晶性S−4に関する。
【0075】
第3の実施形態の第4の態様は、好ましくは、次の単位胞パラメータa約12.83Å、b約6.15Å、c約17.63Å、およびβ約91.75°を有する単斜晶性S−4に関する。
【0076】
第3の実施形態の第5の態様は、好ましくは、次の単位胞パラメータa約12.93Å、b約6.18Å、c約18.01Å、およびβ約96.40°を有する単斜晶性S−4に関する。
【0077】
第3の実施形態の第6の態様は、約:5.2、7.5、9.6、16.7、18.3、22.2でXRPD2θ−反射(°)を有する結晶性S−4に関する。
【0078】
第3の実施形態の第7の態様は、約:5.0、7.3、9.4、および18.1のXRPD2θ−反射(°)を有する結晶性S−4に関する。
【0079】
第3の実施形態の第8の態様は、約:4.9、6.9、9.8、19.8、20.6、24.7、および26.1のXRPD2θ−反射(°)を有する結晶性S−4に関する。
【0080】
第3の実施形態の第9の態様は、:6.9、9.8、19.7、20.6、および24.6のXRPD2θ−反射(°)を有する結晶性S−4に関する。
【0081】
第3の実施形態の第9の態様は、約:5.0、6.8、19.9、20.6、20.9、および24.9のXRPD2θ−反射(°)を有する結晶性S−4に関する。
【0082】
第3の実施形態の第10の態様は、約:5.2、6.6、7.1、15.7、19.1、および25.0のXRPD2θ−反射(°)を有する結晶性S−4に関する。
【0083】
第3の実施形態の第11の態様は、約:6.1、8.2、10.4、12.7、17.2、17.7、18.0、18.8、19.4、19.8、20.1、20.8、21.8、および23.3のXRPD2θ−反射(°)を有する結晶性S−4に関する。
【0084】
第3の実施形態の第12の態様は、実質的に図3図4図5図6図7図8、および図21のいずれか1つで示されるようなXRPD回折パターンを有する結晶性S−4に関する。
【0085】
第3の実施形態の第13の態様は、約:1743、1713、1688、1454、1
378、1208、および1082でFT−IRピーク(cm−1)を有するS−4に関する。
【0086】
第3の実施形態の第14の態様は、実質的に図7で示されるようなFT−IRスペクトルを有するS−4に関する。
【0087】
第3の実施形態の第15の態様は、実質的に純粋なS−4に関する。
【0088】
第3の実施形態の第16の態様は、実質的に純粋な結晶性S−4に関する。
【0089】
第3の実施形態の第17の態様は、実質的に純粋なアモルファスS−4に関する。
【0090】
用量、投与、および使用
第4の実施形態は、化合物4、R−4、またはS−4のずれかを使用した任意のウイルス性因子の治療および/または予防のための組成物に関する。可能なウイルス性因子としては、これらに限定されるものではないが:C型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルスウイルス、A型肝炎ウイルス、西ナイルウイルス、黄熱ウイルス、デング熱ウイルス、ライノウイルス、ポリオウイルス、ウシウイルス性下痢ウイルス、日本脳炎ウイルス、またはペスチウイルス、ヘパシウイルス、もしくはフラビウイルスの群に属するウイルスが挙げられる。
【0091】
この実施形態の態様は、本明細書中で開示される任意のウイルス性因子の治療のための組成物に関し、前記組成物は、賦形剤、担体、希釈剤、および同等の媒体から選択される薬剤的に許容される媒体、ならびに化合物4、R−4、もしくはS−4のいずれか(その水和物、溶媒和物、および化合物4、R−4、もしくはS−4のいずれかの任意の結晶性形態またはその水和物およびその溶媒和物を含むことが意図される)を含む。
【0092】
化合物4、R−4、またはS−4は、様々な経口投与形態および担体で独立して処方することができる。経口投与は、錠剤、コーティング錠、ハードおよびソフトゼラチンカプセル、溶液、エマルジョン、シロップ、または懸濁液の形態であり得る。化合物4、R−4、またはS−4は、他の投与経路のうち、坐剤投与により投与される場合に有効である。最も好都合な投与法は、一般的に、疾患の重症度および抗ウイルス剤に対する患者の反応にしたがって調節することができる、好都合な連日投与方式を用いる経口である。
【0093】
化合物4、R−4、またはS−4は、1以上通常の賦形剤、担体、または希釈剤とあわせて、医薬組成物の形態および単位用量中に入れることができる。医薬組成物および単位投与形態は、さらなる活性化合物の有無にかかわらず通常の割合の通常の成分から構成される可能性があり、単位投与形態は、採用される所望の1日投与量範囲にふさわしい任意の好適な有効量の活性成分を含み得る。医薬組成物は、経口使用のための、固体、例えば錠剤もしくは充填カプセル、半固体、粉末、持続放出性処方、または液体、例えば懸濁液、エマルジョン、または充填カプセル;あるいは直腸または膣投与のための坐剤の形態などとして用いることができる。典型的な製剤は、約5%〜約95%の活性化合物(複数可)(w/w)を含む。
【0094】
化合物4、R−4、またはS−4は、単独で投与することができるが、一般的には、所望の投与経路および標準的な製薬法に関して選択される1以上の好適な医薬賦形剤、希釈剤または担体との混合物で投与される。
【0095】
固体形態製剤としては、例えば、粉末、錠剤、ピル、カプセル、坐剤、および分散可能
な顆粒が挙げられる。固体担体はさらに、希釈剤、矯味矯臭剤、可溶化剤、潤滑剤、懸濁化剤、バインダー、防腐剤、錠剤崩壊剤、または封入材料として作用することができる1以上の物質であり得る。粉末において、担体は、一般的に、微粉活性成分との混合物である微粉固体である。錠剤において、活性成分を、一般的に、好適な割合で必要な結合能力を有する担体と混合し、所望の形状およびサイズに圧縮する。好適な担体としては、これらに限定されるものではないが、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオ脂などが挙げられる。固体形態製剤は、活性成分に加えて、着色剤、フレーバー、安定剤、緩衝液、人工および天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含み得る。固体処方の例は、欧州特許第0524579号;米国特許第2002/0142050号;米国特許第2004/0224917号;米国特許第2005/0048116号;米国特許第2005/0058710号;米国特許第2006/0034937号;米国特許第2006/0057196号;米国特許第2006/0188570号;米国特許第2007/0026073号;米国特許第2007/0059360号;米国特許第2007/0077295号;米国特許第2007/0099902号;米国特許第2008/0014228号;米国特許第6,267,985号;米国特許第6,294,192号;米国特許第6,383,471号;米国特許第6,395,300号;米国特許第6,569,463号;米国特許第6,635,278号;米国特許第6,645,528号;米国特許第6,923,988号;米国特許第6,932,983号;米国特許第7,060,294号;および米国特許第7,462,608号(そのそれぞれは参照により本明細書中に組み込まれる)で例示されている。
【0096】
液体処方もまた、経口投与に好適であり、エマルジョン、シロップ、エリキシルおよび水性懸濁液をはじめとする液体処方を含む。これらとしては、使用直前に液体形態製剤に変換されることが意図される固体形態製剤が挙げられる。液体処方の例は、米国特許第3,994,974号;第5,695,784号;および第6,977,257号で例示されている。エマルジョンは、溶液中、例えば、水性プロピレングリコール溶液中で調製することができるか、またはレシチン、ソルビタンモノオレアート、もしくはアカシアなどの乳化剤を含み得る。水性懸濁液は、微粉活性成分を水中に粘稠性材料、例えば天然または合成ガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および他の周知の懸濁化剤とともに分散させることによって調製することができる。
【0097】
化合物4、R−4、またはS−4は、坐剤としての投与のために独立して処方することができる。低融点ワックス、例えば脂肪酸グリセリドまたはカカオ脂の混合物をまず融解させ、そして活性成分を、例えば撹拌により均一に分散させる。溶融した均質混合物を次いで通常のサイズの型中に注ぎ、冷却させ、そして凝固させる。
【0098】
化合物4、R−4、またはS−4を膣投与のために独立して処方することができる。活性成分に加えて、当該技術分野において適切であることが知られている担体を含むペッサリー、タンポン、クリーム、ジェル、ペースト、フォームまたはスプレー。これらの処方のあるものはさらに、殺精子剤を含むかまたは含まないコンドームと併用することもできる。
【0099】
好適な処方は、医薬担体、希釈剤および賦形剤と合わせて、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 1995, edited by E. W. Martin, Mack Publishing Company, 19th edition, Easton, Pennsylvania(参照により本明細書中に組み込まれる)で記載さ
れている。熟練した薬剤師は、明細書中の教唆の範囲内で処方を修飾して、本明細書中で想定される化合物を含有する組成物を不安定にすることなく、またはそれらの治療活性を損なうことなく、特定の投与経路について多くの処方を提供することができる。
【0100】
さらに、精製された化合物4、R−4、またはS−4は、リポソームまたはミセルとあわせて、独立して処方することができる。リポソームに関しては、米国特許第4,797,285号;第5,013,556号;第5,077,056号;第5,077,057号;第5,154,930号;第5,192,549号;第5,213,804号;第5,225,212号;第5,277,914号;第5,316,771号;第5,376,380号;第5,549,910号;第5,567,434号;第5,736,155号;第5,827,533号;第5,882,679号;第5,891,468号;第6,060,080号;第6,132,763号;第6,143,321号;第6,180,134号;第6,200,598号;第6,214,375号;第6,224,903号;第6,296,870号;第6,653,455号;第6,680,068号;第6,726,925号;第7,060,689号;および第7,070,801号(そのそれぞれは、参照により本明細書中に組み込まれる)で開示されているような方法で処方することができると考えられる。ミセルに関しては、精製された化合物を、米国特許第5,145,684号および第5,091,188号(どちらも参照により本明細書中に組み込まれる)で開示されているのと同じ方法で処方することができると考えられる。
【0101】
第5の実施形態は、以下のウイルス性因子:C型肝炎ウイルス、西ナイルウイルス、黄熱ウイルス、デング熱ウイルス、ライノウイルス、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス、ウシウイルス性下痢ウイルスおよび日本脳炎ウイルスのいずれか1つによる感染の結果である任意の状態の治療用医薬における化合物4、R−4、またはS−4のいずれかの使用に関する。
【0102】
「医薬」という用語は、それを必要とする対象者の治療および/または予防法において用いられる物質を意味し、この物質としては、これらに限定されるものではないが、化合物4、R−4、またはS−4のいずれかを含む組成物、処方、投与形態などが挙げられる。本明細書中で開示される抗ウイルス状態のいずれかの治療のための医薬の製造において化合物4、R−4、またはS−4のいずれかの、単独または本明細書中で開示される別の化合物との組み合わせた使用が想定される。医薬としては、これらに限定されるものではないが、本明細書中で開示される第4の実施形態により想定される組成物のいずれか1つが挙げられる。
【0103】
第6の実施形態は、それを必要とする対象者における治療および/または予防法に関し、前記方法は、治療有効量の任意の化合物4、R−4、またはS−4のいずれかを対象者に投与することを含む。
【0104】
それを必要とする対象者は、これらに限定されるものではないが、C型肝炎ウイルス、西ナイルウイルス、黄熱ウイルス、デング熱ウイルス、ライノウイルス、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス、ウシウイルス性下痢ウイルスまたは日本脳炎ウイルス、フラビウイルスウイルスもしくはペスチウイルスもしくはヘパシウイルスまたは前記ウイルスのいずれかと等しいかまたは匹敵する症状を引き起こすウイルス性因子を包含する、本明細書中で開示されるウイルス性因子のいずれかによる感染の結果である任意の状態を有する者であることが意図される。
【0105】
「対象者」という用語は、これらに限定されるものではないが、ウシ、ブタ、ヒツジ、ニワトリ、シチメンチョウ、バッファロー、ラマ、ダチョウ、イヌ、ネコ、およびヒトを含むほ乳類を意味し、好ましくは、対象者はヒトである。第9の実施形態の対象者を治療する方法において、本明細書中で想定される化合物のいずれかを単独または本明細書中で開示される他の化合物と組み合わせて用いることができると考えられる。
【0106】
「治療有効量」という用語は、本明細書中で用いられる場合、個体における疾患の症状を軽減するために必要な量を意味する。用量をそれぞれの特定の場合における個々の要件に対して調節する。その投与量は、治療される疾患の重症度、患者の年齢および全体的な健康状態、患者を治療するために用いられる他の医薬、投与経路および投与形態ならびに関与する医師の好みおよび経験などの多くの因子に応じて広い範囲内で変化し得る。経口投与に関して、1日あたり、約0.001〜約10g(中間の全ての値、例えば0.001、0.0025、0.005、0.0075、0.01、0.025、0.050、0.075、0.1、0.125、0.150、0.175、0.2、0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、および9.5を含む)の1日投与量が単剤療法および/または併用療法で適切である。特定の1日投与量は、1日あたり約0.01〜約1g(中間の0.01g(すなわち、10mg)の全ての増分値を含む)であり、好ましい1日投与量は約0.01〜約0.8g/日であり、さらに好ましくは約0.01〜約0.6g/日であり、そして最も好ましくは約0.01〜約0.25g/日であり、そのそれぞれは、中間の0.01gの全ての増分値を含む。一般的に、治療は、大きな初期「負荷用量」で開始して、ウイルスを迅速に減少または除去し、続いて感染の再発を防止するために十分なレベルまで用量を減少させる。本明細書中で記載される疾患の治療で通常の技術を有する者は、必要以上の実験をすることなく、また知識、経験および本出願の開示に基づいて、所定の疾患および患者に関して本明細書中で開示される化合物の治療有効量を確定することができる。
【0107】
治療効果は、これらに限定されるものではないが、血清タンパク質(例えば、アルブミン、凝固因子、アルカリホスファターゼ、アミノトランスフェラーゼ(例えば、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ)、5’−ヌクレオシダーゼ、γ−グルタミニルトランスペプチダーゼ(glutaminyltranspeptidase)など)などのタンパク質レベル、ビリルビンの合成、コレステロールの合成、および胆汁酸の合成をはじめとする肝機能;これらに限定されるものではないが、炭水化物代謝、アミノ酸およびアンモニア代謝をはじめとする肝臓代謝機能の試験から確認することができる。別法として、治療有効性は、HCV−RNAを測定することによってモニタリングすることができる。これらの試験の結果により用量を最適化することが可能になる。
【0108】
第6の実施形態の第1の態様は、それを必要とする対象者における治療および/または予防法に関し、前記方法は、対象者に、治療有効量の、化合物4、R−4、またはS−4のいずれかにより表される化合物および治療有効量の別の抗ウイルス剤を投与することを含み;ここで、投与は同時または代替的である。代替的投与の時間間隔は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、および23時間を含む任意の部分範囲を含む、1〜24時間の範囲であり得ると理解される。
【0109】
「別の抗ウイルス剤」の例としては、これらに限定されるものではないが:HCV NS3プロテアーゼ阻害剤(欧州特許第1881001号、米国特許第2003187018号、米国特許第2005267018号、国際公開第2003006490号、国際公開第200364456号、国際公開第2004094452号、国際公開第2005028502号、国際公開第2005037214号、国際公開第2005095403号、国際公開第2007014920号、国際公開第2007014921号、国際公開第2007014922号、国際公開第2007014925号、国際公開第2007014926号、国際公開第2007015824号、国際公開第2008010921号、および国際公開第2008010921号を参照のこと);HCV NS5B阻害剤(米国特許第2004229840号、米国特許第2005154056号、米国特許第2005−98125号、米国特許第20060194749号、米国特許第2006024
1064号、米国特許第20060293306号、米国特許第2006040890号、米国特許第2006040927号、米国特許第2006166964号、米国特許第2007275947号、米国特許第6784166号、米国特許第20072759300号、国際公開第2002057287号、国際公開第2002057425号、国際公開第2003010141号、国際公開第2003037895号、国際公開第2003105770号、国際公開第2004000858号、国際公開第2004002940号、国際公開第2004002944号、国際公開第2004002977号、国際公開第2004003138号、国際公開第2004041201号、国際公開第2004065367号、国際公開第2004096210号、国際公開第2005021568号、国際公開第2005103045号、国際公開第2005123087号、国際公開第2006012078号、国際公開第2006020082号、国際公開第2006065335号、国際公開第2006065590号、国際公開第2006093801号、国際公開第200702602号、国際公開第2007039142号、国際公開第2007039145号、国際公開第2007076034号、国際公開第2007088148号、国際公開第2007092000号、および国際公開第2007095269号を参照のこと);HCV NS4阻害剤(国際公開第2005067900号および国際公開第2007070556号を参照のこと);HCV NS5a阻害剤(米国特許第2006276511号、国際公開第2006035061号、国際公開第2006100310号、国際公開第2006120251号、および国際公開第2006120252号を参照のこと);トール様受容体アゴニスト(国際公開第2007093901号を参照のこと);および他の阻害剤(国際公開第2000006529号、国際公開第2003101993号、国際公開第2004009020号、国際公開第2004014313号、国際公開第2004014852号、および国際公開第2004035571号を参照のこと);ならびに2008年3月21日付で出願された米国特許出願第12/053,015号(米国特許第2010/0016251号)(その内容は、参照により本明細書中に組み込まれる)で開示されている化合物、インターフェロンα、インターフェロンβ、ペグ化インターフェロンα、リバビリン、レボビリン、ビラミジン、別のヌクレオシドHCVポリメラーゼ阻害剤、HCV非ヌクレオシドポリメラーゼ阻害剤、HCVプロテアーゼ阻害剤、HCVヘリカーゼ阻害剤またはHCV融合阻害剤が挙げられる。
【0110】
化合物4、R−4、またはS−4のいずれかを、別の抗ウイルス剤と組み合わせて投与する場合、活性は、親化合物を越えて増加する可能性がある。治療が併用療法である場合、そのような投与は、ヌクレオシド誘導体に関して同時または連続的であり得る。「同時投与」という用語は、本明細書中で用いられる場合、したがって、同じ時間または異なる時間での薬剤の投与を含む。2以上の薬剤の同じ時間での投与は、2以上の活性成分を含有する単一処方によるか、または2以上の投与形態と単一活性剤とを実質的に同時に投与することにより、達成することができる。
【0111】
治療についての本明細書中での言及は、既存の状態の予防ならびに治療に及ぶと理解されるであろう。さらに、HCV感染の「治療」という用語は、本明細書中で用いられる場合、HCV感染に関連するかもしくは媒介される疾患または状態、あるいはその臨床症状の治療または予防も包含する。
【0112】
調製
第7の実施形態は、化合物4、R−4、またはS−4のいずれか1つを調製するためのプロセスに関し、このプロセスは:a)イソプロピル−アラネート、A、ジ−LG−フェニルホスフェート、B、2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチルウリジン、3、および塩基を反応させて、少なくとも1つのS−4およびR−4を含む第1の混合物を得、
【化5】

(ここで、Xは、酸の共役塩基であり、nは0または1であり、そしてLGは脱離基である);b)第1混合物を保護化合物と反応させて、少なくとも1つの保護されたS−4および保護されたR−4を含む第2の混合物を得;そしてc)場合によって、4、S−4、またはR−4を得るために、第2の混合物を、結晶化、クロマトグラフィー、または抽出に付すこと、を含む。
【0113】
第7の実施形態の第1の態様において、イソプロピルアラネートは、その塩酸塩として存在し、これは、好ましくは実質的に無水である。
【0114】
第7の実施形態の第2の態様において、塩基はN−メチルイミダゾールである。
【0115】
第7の実施形態の第3の態様において、A:B:3のモル比は、約1.6:1.3:1である。
【0116】
第7の実施形態の第4の態様において、保護化合物はt−ブチル−ジメチル−シリル−クロリドである。
【0117】
第8の実施形態は、S−4またはR−4を調製するためのプロセスに関し、このプロセスは:a)イソプロピル−アラネート、A、ジ−LG−フェニルホスフェート、B、2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチルウリジン、3、および塩基を反応させて、少なくとも1つのS−4およびR−4を含む第1の混合物を得
【化6】

(式中、Xは酸の共役塩基であり、nは0または1であり、LGは脱離基である);そしてb)場合によって、精製されたS−4またはRp−4を得るために、第2の混合物を結晶化、クロマトグラフィー、または抽出に付すこと、を含む。
【0118】
−4を調製するための第8の実施形態の第1の態様は、第2の混合物または精製されたR−4混合物を溶媒中に溶解または懸濁させることにより、第2の混合物または精製されたR−4をさらに精製し;場合によって、続いて結晶性R−4を播種し;そして結晶性R−4を得るために十分な貧溶媒を添加することをさらに含む。
【0119】
−4を調製するための第8の実施形態の第2の態様は、d)第2の混合物または精
製されたS−4を溶媒中に溶解または懸濁させ、続いて結晶性S−4をほぼ室温で播種し;その大部分がS−4を含む第1の固体を集め;第1固体を溶媒中にその還流温度で溶解させ;そして冷却するかまたは貧溶媒を添加して、第2の固体を得ることにより、第2の混合物または精製されたS−4をさらに精製することをさらに含む。
【0120】
−4を調製するための第8の実施形態の第3の態様は、d)第2の混合物または精製されたS−4混合物を第1の溶媒中に溶解または懸濁させ、続いて貧溶媒を添加して、第1の組成物を得(ここで、デカントすることにより残存する溶媒/貧溶媒を除去して、残留物を得る);第1溶媒および貧溶媒を含む溶液で残留物を処理して、第2の組成物を得、圧力を減少させて、第1の固体を得;第2の溶媒を用いて第1固体を溶解または懸濁させて、第3の組成物を得;S−4の種結晶を第3の組成物に添加し;第2の固体を集め;第2の固体を、場合によって第3の溶媒の還流温度まで加熱した第3の溶媒中に溶解または懸濁させて、第4の組成物を得、そして必要ならば、第4の組成物を冷却して、S−4を含む第3の固体を得、これをろ過により集めることにより、S−4をさらに精製することをさらに含む。
【0121】
−4を調製するための第8の実施形態の第4の態様において、第2の混合物または精製されたS−4により、d)シリカゲルを第2の混合物または精製されたS−4に添加し、続いて溶媒を蒸発させて、乾燥スラリーを得;乾燥スラリーを第1の溶媒/貧溶媒の組み合わせ中で撹拌して、第1の湿潤スラリーを得;第1溶媒/貧溶媒組み合わせを第1湿潤スラリーからデカントして、第2の湿潤スラリーおよび第1の組成物を得;第2の湿潤スラリーに第2の溶媒/貧溶媒組み合わせを添加し、続いて撹拌し;第2の溶媒/貧溶媒組み合わせを第2の湿潤スラリーからデカントして、第3の湿潤スラリーおよび第2の組成物を得;場合によって第3の湿潤スラリーまたはさらなる湿潤スラリーに関してステップg)〜h)を繰り返し;溶媒を第2の組成物および場合によって任意のステップi)から得られる任意のさらなる組成物から蒸発させて、第1の固体を得;第3の溶媒および場合によって第4の溶媒を含む溶液中に第1固体を溶解または懸濁させて、第3の組成物を得;場合によってS−4の種結晶を第3の組成物に添加し;第3の組成物からS−4を含む第2の固体を得;そして場合によって第3の溶媒を用いて第2の固体を再結晶して、S−4を含む第3の固体を得ることにより、S−4をさらに精製する。
【0122】
当業者は、化合物を伝統的な抽出、伝統的な結晶化または伝統的なクロマトグラフィー技術により分離できることを理解するであろう。伝統的なクロマトグラフィー技術としては、これらに限定されるものではないが、シリカゲル上クロマトグラフィー(例えば、3〜5%のDCM中メタノールまたは4〜6%のDCM中イソプロパノールを使用)を含み、増大したレベルの1つの異性体(50〜100%)を産生し、次いでこれを結晶化する。あるいは、逆相クロマトグラフィー(例えば、1〜30%のアセトニトリル−水性移動相を使用)を使用することができる。さらに、主溶媒として二酸化炭素および修飾剤としてメタノールなどのアルコールを用い、好ましくは適切なキラル媒体、例えば、Daicel Chiralpack IAを使用する、超臨界流体クロマトグラフィーSFCにより、化合物を単離することができる。別法として、適切なキラル媒体、例えば、Daicel Chiralpack IAを用い、ヘキサン/イソプロパノールなどの溶媒の混合物または酢酸エチルなどの単一溶媒を用いるSMBクロマトグラフィーを採用することができる。
【0123】
第9の実施形態は、S−4を調製するためのプロセスであって:a)イソプロピル−アラニル−ホスホルアミデートを3’−O−保護または非保護3、および塩基性試薬と反応させて、保護または非保護S−4を含む組成物を得ること、を含むプロセスに関し
【化7】
ここで、イソプロピル−アラニル−ホスホルアミデートは、次の構造:
【化8】
により表されるジアステレオマーの混合物から構成され、ここで、C:C’の比は約1:1である。
【0124】
第1の態様において、塩基性試薬はt−ブチルマグネシウムクロリドであり、C:C’の比は、約1:1以上である。
【0125】
第2の態様において、塩基性試薬はt−ブチルマグネシウムクロリドであり、C:C’の比は約1:1を越える。
【0126】
第3の態様において、塩基性試薬はt−ブチルマグネシウムクロリドであり、C:C’の比は、少なくとも約1.5:1、約2.3:1、約4:1、約5.7:1、約9:1、約19:1、約32.3:1、約49:1、または約99:1である。
【0127】
第4の態様LG’は、2,4−ジニトロフェノキシド、4−ニトロフェノキシド、2−ニトロフェノキシド、2−クロロ−4−ニトロフェノキシド、2,4−ジクロロフェノキシド、およびペンタフルオロフェノキシドから選択され、塩基性試薬はt−ブチルマグネシウムクロリドであり、C:C’の比は、少なくとも約1.5:1、約2.3:1、約4:1、約5.7:1、約9:1、約19:1、約32.3:1、約49:1、または約99:1である。
【0128】
−4を調製するための第5の態様は:a)イソプロピル−アラニル−ホスホルアミデート(C)を3’−O−保護または非保護3、および塩基性試薬と反応させて、保護または非保護S−4を含む組成物を得、
【化9】

(式中、Zは保護基または水素であり;LG’は脱離基である);そしてb)場合によって、精製された保護または非保護S−4を得るために、得られた保護または非保護S−4をクロマトグラフィー、抽出、または結晶化に付すことを含む。下位実施形態において、LG’は、トシレート、カンファースルホネート、または少なくとも1つの電子吸引基で置換されたアリールオキシドであり;さらに好ましくは、LG’は、2,4−ジニトロフェノキシド、4−ニトロフェノキシド、2−ニトロフェノキシド、2−クロロ−4−ニトロフェノキシド、2,4−ジクロロフェノキシド、またはペンタフルオロフェノキシドから選択される。さらなる下位実施形態において、S−4が保護されている場合、すなわち、Zが水素でない場合、第9の実施形態のプロセスは、保護されたS−4の脱保護にさらに関する。さらなる下位実施形態において、反応は、極性非プロトン性溶媒、例えば、テトラヒドロフランまたは別のエーテル系溶媒(単独、または互いと、もしくはC〜Cニトリル、例えばアセトニトリルとの組み合わせのいずれか)中で実施される。
【0129】
第9の実施形態のプロセスは、1)(LG’)P(O)(LG)(ここで、LGは、LG’から独立して、脱離基である)を(i)イソプロピル−アラネートおよび第1の塩基と反応させて、(LG’)P(O)(LG)(NHAla−Pr)を得、続いて(LG’)P(O)(LG)(NHAla−Pr)をフェノールおよび第2塩基と反応させて、CおよびC’を含む混合物を得、(ii)フェノールおよび第1の塩基と反応させて、(LG’)P(O)(LG)(OPh)を得、続いて(LG’)P(O)(LG)(OPh)をイソプロピル−アラネートおよび第2塩基と反応させて、CおよびC’を含む混合物を得るか、または(iii)イソプロピル−アラネート、フェノール、および少なくとも1つの塩基を組み合わせて反応させて、CおよびC’を含む混合物を得るか;あるいは2)(PhO)P(O)(LG)(ここで、LGは脱離基である)を(i)イソプロピル−アラネートおよび第1の塩基と反応させて(PhO)P(O)(LG)(NHAla−Pr)を得、続いて(PhO)P(O)(LG)(NHAla−Pr)を脱離基前駆体(LG’H)および第2塩基と反応させて、CおよびC’を含む混合物を得
【化10】

そして混合物をクロマトグラフィーに付すかまたは混合物を結晶化してCを得ること;をさらに含む。第9の実施形態の態様において、イソプロピルアラネートはその塩酸塩として存在し、これは好ましくは実質的に無水である。
【0130】
第10の実施形態は、R−4を調製するためプロセスであって:a)イソプロピル−アラニル−ホスホルアミデートを3’−O−保護または非保護3、および塩基性試薬と反応させて、保護または非保護R−4を含む組成物を得ること、を含むプロセスに関し、
【化11】
ここで、イソプロピル−アラニル−ホスホルアミデートは、以下の構造:
【化12】

により表されるジアステレオマーの混合物から構成される
(式中、C’:Cの比は約1:1である)。
【0131】
第1の態様において、塩基性試薬はt−ブチルマグネシウムクロリドであり、C’:Cの比は約1:1以上である。
【0132】
第2の態様において、塩基性試薬はt−ブチルマグネシウムクロリドであり、C’:Cの比は約1:1以上である。
【0133】
第3の態様において、塩基性試薬はt−ブチルマグネシウムクロリドであり、C’:Cの比は、少なくとも約1.5:1、約2.3:1、約4:1、約5.7:1、約9:1、約19:1、約32.3:1、約49:1、または約99:1である。
【0134】
第4の態様LG’はp−ニトロフェノキシドであり、塩基性試薬はt−ブチルマグネシウムクロリドであり、C’:Cの比は、少なくとも約1.5:1、約2.3:1、約4:1、約5.7:1、約9:1、約19:1、約32.3:1、約49:1、または約99:1である。
【0135】
−4を調製するための第5の態様は:a)イソプロピル−アラニル−ホスホルアミデート(C’)を3’−O−保護または非保護3、および塩基性試薬と反応させて、保護または非保護R−4を含む組成物を得
【化13】

(式中、Zは保護基または水素であり;LG’は脱離基である);そして
b)場合によって、精製された保護または非保護R−4を得るために、得られた保護または非保護R−4をクロマトグラフィー、抽出、または結晶化に付すことを含む。下位実施形態において、LG’は、トシレート、カンファースルホネート、または少なくとも1つの電子吸引基で置換されたアリールオキシドであり;さらに好ましくは、LG’は、p−ニトロフェノキシド、2,4−ジニトロフェノキシド、およびペンタフルオロフェノキシドから選択される。さらなる下位実施形態において、R−4が保護されている場合、すなわち、Zが水素でない場合、第9の実施形態のプロセスは、保護されたR−4の脱保護にさらに関する。さらなる下位実施形態において、反応は、極性非プロトン性溶媒中、例えば、テトラヒドロフランまたは別のエーテル系溶媒単独または互いともしくはC
〜Cニトリル、例えばアセトニトリルとの組み合わせのいずれかで行われる。
【0136】
第10の実施形態のプロセスは、1)(LG’)P(O)(LG)(ここで、LGは、LG’と独立して、脱離基である)を(i)イソプロピル−アラネートおよび第1の塩基と反応させて、(LG’)P(O)(LG)(NHAla−Pr)を得、続いて(LG’)P(O)(LG)(NHAla−Pr)をフェノールおよび第2塩基と反応させて、CおよびC’を含む混合物を得、(ii)フェノールおよび第1の塩基と反応させて、(LG’)P(O)(LG)(OPh)を得、続いて(LG’)P(O)(LG)(OPh)をイソプロピル−アラネートおよび第2塩基と反応させて、CおよびC’を含む混合物を得るか、または(iii)イソプロピル−アラネート、フェノール、および少なくとも1つの塩基を組み合わせて反応させて、CおよびC’を含む混合物を得るか;または2)(PhO)P(O)(LG)(式中、LG’は、LGから独立して、脱離基である)を(i)イソプロピル−アラネートおよび第1の塩基と反応させて、(PhO)P(O)(LG)(NHAla−Pr)を得、続いて(PhO)P(O)(LG)(NHAla−Pr)を脱離基前駆体および第2塩基と反応させて、CおよびC’を含む混合物を得、
【化14】

そして、混合物をクロマトグラフィーに付すかまたは混合物を結晶化して、C’を得ること、をさらに含む。第9の実施形態の態様において、イソプロピルアラネートは、その塩酸塩として存在し、これは好ましくは実質的に無水である。
【0137】
第11の実施形態は、第7の実施形態、第8の実施形態、第9の実施形態または第10の実施形態ならびにそれらそれぞれの態様で記載されたプロセスにより得られる組成物に関する。第11の実施形態の態様は、下記で開示される例示された実施形態のいずれか1つにより得られる組成物に関する。そのようにして得られた組成物は、結晶性、結晶様、アモルファス、またはそれらの組み合わせで有り得る。
【0138】
第12の実施形態は、化合物3
【化15】

(式中、Zは保護基または水素である)に関し;これは、R−4またはS−4の調製に有用である。
【0139】
第12の実施形態の第1の態様は、次の構造
【化16】

を有する化合物から選択される。
【0140】
第13の実施形態は、次の構造
【化17】
(式中、LG’は、脱離基である)により表される、化合物、その塩、水和物、溶媒和物、またはそれらの組み合わせに関し、これは、R−4またはS−4の調製に有用である。
【0141】
第13の実施形態の第1の態様では、LG’は、トシレート、カンファースルホネート、アリールオキシド、または少なくとも1つの電子吸引基で置換されたアリールオキシドである。
【0142】
第13の実施形態の第2の態様では、LG’は、2,4−ジニトロフェノキシド、4−ニトロフェノキシド、2−ニトロフェノキシド、2−クロロ−4−ニトロフェノキシド、2,4−ジクロロフェノキシド、またはペンタフルオロフェノキシドから選択される。
【0143】
第13の実施形態の第3の態様では、LG’は、ペンタフルオロフェノキシドまたは4−ニトロ−フェノキシドである。
【0144】
第13の実施形態の第4の態様は、LG’が、2,4−ジニトロフェノキシド、4−ニトロフェノキシド、2−ニトロフェノキシド、2−クロロ−4−ニトロフェノキシド、2,4−ジクロロフェノキシド、またはペンタフルオロフェノキシドである化合物Cに関する。
【0145】
第13の実施形態の第5の態様は、LG’が、4−ニトロフェノキシドまたはペンタフルオロフェノキシドである化合物Cに関する。
【0146】
第13の実施形態の第6の態様は、LG’が4−ニトロフェノキシドである化合物Cに関する。
【0147】
第13の実施形態の第7の態様は、LG’が4−ニトロフェノキシドである結晶性化合物Cに関する。
【0148】
第13の実施形態の第8の態様は、LG’がペンタフルオロフェノキシドである化合物Cに関する。
【0149】
第13の実施形態の第9の態様は、LG’がペンタフルオロフェノキシドである結晶性化合物Cに関する。
【0150】
第14の実施形態は、構造式
【化18】

により表される化合物を調製し、
化合物を、
a)第1の組成物;
b)第2の脱離基前駆体;
c)非求核性塩基;および
d)液体組成物
を含む組成物から結晶化するためのプロセスに関し、
ここで、第1組成物は、化合物およびその対応するPベースのジアステレオマーを含む。
【0151】
第14の実施形態の第1の態様において、化合物のモル量およびそのPベースのジアステレオマーのモル量は同一または異なる。
【0152】
第14の実施形態の第2の態様において、化合物のモル量は、その対応するPベースのジアステレオマーのモル量よりも多いか、またはその逆である。
【0153】
第14の実施形態の第3の態様において、第2の脱離基前駆体は、2,4−ジニトロフェノール、4−ニトロフェノール、2−ニトロフェノール、2−クロロ−4−ニトロフェノール、2,4−ジクロロフェノール、またはペンタフルオロフェノールである。
【0154】
第14の実施形態の第4の態様において、LG’はペンタフルオロフェノキシドである。第1の下位態様において、第2の脱離基前駆体はペンタフルオロフェノールである。第2の下位態様において、ペンタフルオロフェノールの量は、化合物およびそのPベースのジアステレオマーのモル量に対して約0.01モル当量〜約10モル当量の範囲およびその中間の全てのモル当量に及ぶ。第3の下位態様において、ペンタフルオロフェノールの量は、化合物およびそのPベースのジアステレオマーのモル量に対して約0.1モル当量〜約1モル当量の範囲およびその中間の全てのモル当量に及ぶ。
【0155】
第14の実施形態の第5の態様において、結晶化は、約−10℃〜約+40℃の範囲およびその中間の全ての温度値で起こる。第1の下位態様において、結晶化はほぼ室温で起こる。
【0156】
第14の実施形態の第6の態様において、非求核性塩基は、炭酸カリウム、炭酸セシウ
ム、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、キヌクリジン、ナフタレン−1,8−ジアミン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、l,8−ジアザビシクロウンデク−7−エン、4−ジメチルアミノ−ピリジン、ピリジン、2,6−ジ−C1〜6−アルキル−ピリジン、2,4,6−トリ−C1〜6−アルキル−ピリジン、およびそれらの混合物から選択される。第1の下位態様において、非求核性塩基は、トリエチルアミンまたは1,8−ジアザビシクロウンデク−7−エンである。第2の下位態様において、非求核性塩基はトリエチルアミンである。
【0157】
第14の実施形態の第7の態様において、非求核性塩基は、化合物およびそのPベースのジアステレオマーの総モル量に対して、約0.01モル当量〜約10モル当量の範囲、およびその中間の全てのモル当量に及ぶ量で存在する。第1の下位態様において、非求核性塩基は、化合物およびそのPベースのジアステレオマーの総モル量に対して、約0.1モル当量〜約1モル当量の範囲の量、およびその中間の全てのモル当量に及ぶ量で存在する。
【0158】
第14の実施形態の第8の態様において、化合物の溶解度は、液体組成物中のその対応するPベースのジアステレオマーの溶解度より少ないか、またはその逆である。
【0159】
第14の実施形態の第9の態様において、液体組成物は、溶媒および貧溶媒の少なくとも1つを含む。第1の下位態様において、液体組成物は、C〜Cアルコール、C〜Cエーテル、C〜Cケトン、C〜Cエステル、C〜Cクロロカーボン、C〜Cニトリル、C〜C12飽和炭化水素、およびC〜C12芳香族炭化水素の少なくとも1つを含む。第2の下位態様において、液体組成物は、C〜Cエーテル、C〜Cエステル、C〜C12飽和炭化水素、およびC〜C12芳香族炭化水素の少なくとも1つを含む。第3の下位態様において、液体組成物は、C〜Cエーテル、C〜Cエステル、およびC〜C12飽和炭化水素の少なくとも1つを含む。第4の下位態様において、液体組成物は、酢酸エチル、t−ブチル−メチルエーテル、およびヘキサンの少なくとも1つを含む。第5の下位態様において、液体組成物は、酢酸エチルおよびヘキサンを含む。第6の下位態様において、液体組成物は、t−ブチル−メチルエーテルおよびヘキサンを含む。
【0160】
第14の実施形態の第10の態様において、液体組成物の量は、第1組成物1グラムにつき約1mL〜約10mLの範囲およびその中間の全てのmL/g値に及ぶ。
【0161】
第14の実施形態の第11の態様は、結晶性化合物を組成物に添加することをさらに含む。第1の下位態様は、約0.1〜約1重量%、およびその中間の全ての重量%値の結晶性化合物を第1組成物に添加することをさらに含む。
【0162】
第14の実施形態の第12の態様は、
a)PhOP(O)(LG)およびPr−Ala−NH・HClを第1塩基の存在下で反応させて、(PhO)P(O)(LG)(NHAla−Pr)を得;
b)(PhO)P(O)(LG)(NHAla−Pr)を第1の脱離基前駆体(LG’H)と第2塩基の存在下で反応させて、化合物およびそのPベースのジアステレオマーを含む組成物を得ることをさらに含み;
ここで、LGおよびLG’は、互いに独立して、脱離基であり;
第1脱離基前駆体および第2の脱離基前駆体は、同一または異なり;そして
第1塩基および第2塩基は、同一または異なる。
【0163】
第15の実施形態は、以下の構造
【化19】

を有する結晶性2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを調製するためのプロセスであって:
2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを、
a)第1の組成物;
b)ペンタフルオロフェノール;
c)非求核性塩基;および
d)液体組成物
を含む第2の組成物から結晶化させること、を含むプロセスに関し、
ここで、第2の組成物は、2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルおよび2−(((R)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを含む。
【0164】
第15の実施形態の第1の態様において、2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルのモル量および2−(((R)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルのモル量は、同一または異なる。
【0165】
第15の実施形態の第2の態様において、2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルのモル量は、2−(((R)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルのモル量よりも多い。
【0166】
第15の実施形態の第3の態様において、ペンタフルオロフェノールの量は、2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルおよび2−(((R)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルの量に対して、約0.01モル当量〜約10モル当量(およびその中間の全てのモル当量値)に及ぶ。第1の下位態様において、ペンタフルオロフェノールの量は、2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルおよび2−(((R)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルのモル量に対して、約0.1モル当量〜約1モル当量(およびその中間の全てのモル当量値)に及ぶ。
【0167】
第15の実施形態の第4の態様において、結晶化は、約−10℃〜約+40℃の範囲の温度およびその中間の全ての温度値で起こる。第1の下位態様において、結晶化はほぼ室温で起こる。
【0168】
第15の実施形態の第5の態様において、非求核性塩基は、炭酸カリウム、炭酸セシウム、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、キヌクリジン、ナフタレン−1,8−ジアミン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,
8−ジアザビシクロウンデク−7−エン、4−ジメチルアミノ−ピリジン、ピリジン、2,6−ジ〜C1〜6−アルキル−ピリジン、2,4,6−トリ−C1〜6−アルキル−ピリジン、およびそれらの混合物から選択される。第1の下位態様において、非求核性塩基は、トリエチルアミンまたは1,8−ジアザビシクロウンデク−7−エンである。第2の下位態様において、非求核性塩基はトリエチルアミンである。
【0169】
第15の実施形態の第6の態様において、非求核性塩基は、2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルおよび2−(((R)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルの総モル量に対して、約0.1〜約1モル当量(およびその中間の全てのモル当量値)の範囲の量で存在する。
【0170】
第15の実施形態の第7の態様において、2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルの溶解度は、液体組成物中の2−(((R)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルの溶解度よりも低い。
【0171】
第15の実施形態の第8の態様において、液体組成物は、溶媒および貧溶媒の少なくとも1つを含む。第1の下位態様において、液体組成物は、C〜Cアルコール、C〜Cエーテル、C〜Cケトン、C〜Cエステル、C〜Cクロロカーボン、C〜Cニトリル、C〜C12飽和炭化水素、およびC〜C12芳香族炭化水素の少なくとも1つを含む。第2の下位態様において、液体組成物は、C〜Cエーテル、C〜Cエステル、C〜C12飽和炭化水素、およびC〜C12芳香族炭化水素の少なくとも1つを含む。第3の下位態様において、液体組成物は、C〜Cエーテル、C〜Cエステル、およびC〜C12飽和炭化水素の少なくとも1つを含む。第4の下位態様において、液体組成物は、酢酸エチル、t−ブチル−メチルエーテル、およびヘキサンの少なくとも1つを含む。第5の下位態様において、液体組成物は、酢酸エチル、およびヘキサンを含む。第6の下位態様において、液体組成物は、t−ブチル−メチルエーテル、およびヘキサンを含む。
【0172】
第15の実施形態の第9の態様において、液体組成物の量は、第1組成物1グラムにつき、約1〜約10mL(およびその中間の全てのmL/g値)に及ぶ。
【0173】
第15の実施形態の第10の態様は、結晶性2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを第2の組成物に添加することをさらに含む。
【0174】
第15の実施形態の第11の態様は、第1組成物中の2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルの総重量を基準として、約0.1〜約1重量%(および中間の全ての重量%値)の結晶性2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを添加することをさらに含む。
【0175】
第16の実施形態は、第15の実施形態のプロセスにより得られる、結晶性2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルに関する。
【0176】
第17の実施形態は、2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホス
ホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを調製するためのプロセスであって:2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを、
a)第1の組成物;
b)ペンタフルオロフェノール;
c)非求核性塩基;および
d)液体組成物
を含む第2の組成物から結晶化すること、を含むプロセスに関し;
ここで、第1組成物は、2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルおよび2−(((R)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを含む。
【0177】
第17の実施形態の第1の態様は、2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを調製するためのプロセスであって:
2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを、t−ブチルマグネシウムハライドと1−((2R,3R,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−3−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオンとt−ブチルマグネシウムハライドとを反応させることにより得られる生成物と接触させること、を含むプロセスに関する。
【0178】
第17の実施形態の第2の態様において、接触は、約0℃〜約40℃の範囲の温度および中間のすべての温度値を有する媒体中で起こる。
【0179】
第17の実施形態の第3の態様において、接触は、約0℃〜約30℃の範囲の温度および中間のすべての温度値で起こる。
【0180】
第17の実施形態の第4の態様において、t−ブチルマグネシウムハライドの1−((2R,3R,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−3−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオンに対するモル比は、約2〜約2.2の範囲に及ぶ。第1の下位態様において、t−ブチルマグネシウムハライドの1−((2R,3R,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−3−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオンに対するモル比は約2.1である。
【0181】
第17の実施形態の第5の態様において、t−ブチルマグネシウムハライドはt−ブチルマグネシウムクロリドである。
【0182】
第18の実施形態は、実質的に純粋な2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを調製するためのプロセスであって:
本明細書中で開示される関連する実施形態のいずれかにしたがって2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−
2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを得、そして
そのようにして形成された2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを結晶化すること、を含むプロセスに関する。
【0183】
第19の実施形態は、は、R−4またはS−4の同位体標識されたアナログに関する。「同位体標識された」アナログという用語は、「重水素化アナログ」、「13Cで標識されたアナログ」、または「重水素化/13C標識アナログ」であるR−4またはS−4のアナログを指す。「重水素化アナログ」という用語は、H−同位体、すなわち水素(H)が、H−同位体、すなわち重水素(D)で置換されている、本明細書中に記載される化合物を意味する。重水素置換は、部分的または完全であり得る。部分重水素置換とは、少なくとも1つの水素が少なくとも1つの重水素により置換されていることを意味する。例えば、R−4またはS−4について、当業者は、次の部分重水素化アナログ(式中、「d」は、n個の重水素原子を表し、例えば、イソプロピル基についてはn=1〜7であり、一方、フェニル基については、n=1〜5である)、ならびに下記で図示されるものを想定することができる。
【化20】
上記のメチル基は完全に重水素化されたものとして示されているが、部分重水素化形、例えば−CDHおよび−CDHも可能であることが理解されるであろう。フラノースおよび塩基上の同位体標識も想定される。同様に、「13Cで標識されたアナログ」および「重水素化/13Cで標識されたアナログ」という用語は、13C同位体を多く含む本明細書中に記載される化合物を指し、約1.1%の通常の天然存在度を超える富化の程度を意味する。
【実施例】
【0184】
一例に限定されず、以下の実施例は、本開示のよりよい理解を容易にするのに役立つ。
【0185】
合成態様
ウリジンヌクレオシドを調製するために、パイロットプラントスケールですでに効率的に産生された3(下記を参照のこと)のある3’,5’−ジアシル化アナログの合成において高度なトリベンゾイル化シチジン中間体を利用することができる(国際公開第2006/031725号または米国特許第2006/0122146号(どちらもそれらの全体として参照により組み込まれる)を参照のこと)。下記方法は、スケーラブルであり、かつ費用効果が優れていることが判明した。
【化21】
【0186】
3’,5’−O−ジベンゾイル−2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチル−N−ベンゾイルシチジン(1)は、国際公開第2006/031725号および国際公開第2008/045419号(どちらも、その全体として参照により本明細書中に組み込まれる)で開示される方法により得られる。1を70%の水性酢酸で処理して、3’,5’−O−ジベンゾイル−2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチル−ウリジン(2)を形成する。ベンゾイルエステルを、多くの方法によって、アルコール性溶媒中アルコキシド、例えばメタノール中ナトリウムメトキシド、メタノールまたはエタノールアナログ中炭酸カリウム、メタノール中メチルアミン、ブチルアミンなどのアルキルアミンなどにより、同様に加水分解することができる。メタノール性アンモニアをより大規模な実験に関して選択した。ウリジン生成物(3)を結晶化により精製して、トリベンゾイル化シチジン(1)から70%の収率を得ることができる。
【0187】
多くの文献の手順が、数倍当量の試薬を用いてホスホルアミデートを作製する異なるための経路および条件を詳細に記載している。例えば、McGuigan et al. J. Med. Chem. 2005, 48, 3504-3515およびMcGuigan et al. J. Med. Chem. 2006, 49, 7215を参照のこと
。製造スケールの実験については、現在知られている例は1例しかなく、これはLehsten et al., Org. Process Res. Dev. 2002, 6, 819-822 (「Lehsten」)で開示されている
。この参考文献では、著者等は、アミノ酸塩酸塩およびフェニルジクロロホスフェートをあわせてN−メチルイミダゾールとジクロロメタン中で反応させる、「ワンポット手順」の概念を導入している。後で、ヌクレオシドを添加して、所望の5’−O−ホスホルアミデート生成物を形成し、これにより、この場合では、式4により表される化合物が生成する。残念ながら、Lehstenの手順には欠点がある。例えば、Lehstenの手順は、必要であるよりはるかに過剰の試薬を用い、これによりクロマトグラフィー精製のコストや困難さが増大した。さらに、Lehstenは、低温の使用やヌクレオシドをゆっくりと添加することに
より、参考文献と比較して、3’−ヒドロキシルよりも5’−ヒドロキシルに対する反応の選択性を制御することができることを示唆している。
【化22】
【0188】
本明細書中で開示される化合物に関してLehstenの手順を使用して、約1〜5%のモノ
置換3’−O−ホスホルアミデートジアステレオマー(5)および約10〜30%のビス置換生成物(6)を得た。3’−ジアステレオマーの極性は所望の5’−ジアステレオマー(4)と非常に類似していたので、クロマトグラフ分離は非常に困難であった。プロセスの拡大は、かなりの部分の極性の低い5’−ジアステレオマー(4)を廃棄するかまたは3’−ジアステレオマー(5)の高レベルの汚染を受けることなしにはほぼ不可能であった。最初の50gスケールアップで、結果として得られる生成物は、約3%の3’−ジアステレオマー(5)汚染を含み、これは極性の低い5’−ジアステレオマー(4)と共溶出した。
【0189】
本明細書中で開示されるのは、より少ない量の試薬を使用する反応条件、およびより簡単なクロマトグラフ分離で不純物3’−O−ホスホルアミデートジアステレオマー(5)を選択的に除去し、これにより所望の5’−O−ホスホルアミデートジアステレオマーをはるかに高い純度で得る方法である(4)。
【0190】
試薬化学量論に関して、試薬の化学量論を系統的に変更し、結果をLehstenが報告した
ような粗反応のリンNMRによりモニタリングする研究を行った。より大きな成果をあげた実験において、所望の生成物の単離収率および純度を比較した。第1の5’−ヒドロキシルは、第2の3’−ヒドロキシルよりも速い速度で反応することが観察された。これは、全ての出発ヌクレオシドを消費する反応進行と、5’−および3’−一置換生成物(4および5)を5’,3’−ビス置換生成物(6)に変換する反応進行との間で競合的状況を生み出す。3’−一置換生成物は、5’−一置換生成物よりも速い速度でビス生成物になり、したがって、反応をビス置換生成物側へ進ませることにより3’−ジアステレオマー汚染レベルを減少させることが可能である。しかし、3’−ジアステレオマーを除去するための効果的な方法で、反応を最適化して、ビス置換体(6)に変換される5’−ジアステレオマーの多くを犠牲にすることがなく、より多くの所望の5’−ジアステレオマーを産生することができる。アミノ酸塩酸塩が非常に吸湿性であることも観察された。存在するいかなる水も同量のフェニルジクロロホスフェート試薬を消費するので、配慮してアミノ酸を実質的に無水に保たなければならないか、または使用前に実質的に無水にしなければならない。つまり、Lehstenは、アミノ酸とフェニルジクロロホスフェートとヌクレ
オシドの最適比がそれぞれ3.5:2.5:1であったことを報告した。約1.6:約1.3:約1のアミノ酸とフェニルジクロロホスフェートとヌクレオシドの最適比は、3’−ジアステレオマーを効率的に除去することができる条件下およびアミノ酸塩酸塩が実質的に無水である場合に最適であることが判明した。より少ない量の試薬を使用することにより、試薬副生成物および低レベルのビスジアステレオマーからの所望の生成物のクロマトグラフ分離の簡素化とあわせて、コスト削減が実現される。
【0191】
別の手順において、3の3’−ヒドロキシブロック化誘導体を、2ステップでt−ブチルジメチルシリルブロッキング基を用いて調製した。これを次いでその5’−ホスホルアミデート誘導体に変換した。シリル基を次いで除去して、3’異性体(5)または3’,5’−ビスホスホルアミデート(6)は存在しないのが望ましい。類似したアプローチがBorchおよびFries(米国特許第5,233,031号)により、全収率が低いアルキルホスホルアミデートについて示された。
【0192】
別の代替的アプローチは、直接合成を使用し、次いで3’−ジアステレオマー不純物5と所望の5’−ジアステレオマー4とを区別するのを助け、分離に役立つ化学を使用する。所望の5’−O−ホスホルアミデート4の遊離第2ヒドロキシルよりも、3’−O−ホスホルアミデート不純物5の遊離第1ヒドロキシルと選択的に反応する基が望まれた。結果として得られる5’−O−ブロック化3’−O−ホスホルアミデート生成物の極性を、所望の5’−O−ホスホルアミデート4から有意に変える保護基も望まれた。所望の5’−ジアステレオマー4は変化しないので、保護基を除去するために余分なステップは必要ない。化学的に改変された3’−ジアステレオマーはしたがって、より容易なクロマトグラフ分離または特殊なスカベンジング支持体もしくは抽出に分離を可能にする。
【0193】
特に、ブロッキング基tert−ブチルジメチルシリル(tBDMS)は、これらの基準を満たし、示された最初のものであり、その後、数キログラムのスケールで使用された。溶媒および塩基としてのピリジン中などのある条件下で、tBDMS基は、3’第2ヒドロキシル位置よりも第1ヒドロキシル位置で高い選択性で反応する。ホスホルアミデート反応は、N−メチルイミダゾール(NMI)を塩基として使用する。NMIの存在下で、シリル化は低選択的である。好ましくは、NMIの量を減少させなければならない。これは、反応溶液を1Nの塩酸で洗浄することにより、ホスホルアミデート反応後に容易に達成することができる。NMIおよび残存するヌクレオシドを除去し、モノおよびビス置換生成物ならびに試薬副生成物の粗混合物が残る。これを次いでピリジン中に溶解させ、tert−ブチルジメチルシリルクロリドで処理する。3’−一置換生成物5は数時間以下で5’−O−tBDMS−3’−O−ホスホルアミデート7に変換される。反応の進行はHPLCによってモニタリングすることができる。シリル化生成物7の極性は、ビス−ホスホルアミデート6よりも低く、クロマトグラフィーにより容易に除去することができる。この方法を用いて、3’−モノホスホルアミデート5のレベルを、シリル処理なしで1〜3%であるのに対して、5’−生成物4の0.1%未満まで減少させることが可能であった。同様に、同じ条件下でジメトキシトリフェニルメチルクロリド(DMT−C1)での処理は、全く同じ働きをした。DMT含有分子は加熱または酸への暴露により明橙色に染色するので、TLCによりDMT反応生成物を同定することもより容易であった。前述の様に、多くの他の保護基を想定することもできる。
【0194】
反応条件および3’−不純物のスカベンジングはどちらも一般的方法であり、3’ヒドロキシルを有するヌクレオシドホスホルアミデートのほとんどに適用することができた。ホスホルアミデート部分は、アミノ酸エステルおよび芳香族アルコールの任意の組み合わせであり得る。ヌクレオシド部分は、5’ホスホルアミデートが5’−モノホスフェートとなり、さらに代謝されて5’−トリホスフェート形となり得る、任意のヌクレオシドであり得る。
【0195】
以下のスキームは、2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチルウリジンのイソプロピルL−アラネートフェニルホスホルアミデートを作製するために示された主な反
応スキームであり、主生成物は所望の5’−O−ホスホルアミデート(4、2つのジアステレオマー)であり、副生成物は3’−O−ホスホルアミデート(5、2つのジアステレオマー)および3’,5’−ビス−O−ホスホルアミデート(6、4つのジアステレオマ
ー)である。試薬を、調製法の部分で記載する様な化学量論比で添加する。薄層クロマトグラフィー(TLC)上でUV視覚化により判定して出発物質の約5%が残存するまで反応を進行させる。また、UPLC/MSは、所望の5’−生成物と比較して、約10%の3’,5’ビス−ホスホルアミデート6が形成されたことを示した。クエンチングおよび酸性水性仕上げ処理の後、シリル化のために有機層から粗残留物を調製した。記載された反応条件下で、シリル基は優先的に3’−O−ホスホルアミデートの遊離5’−ヒドロキシルと反応して、7を形成した。3’−O−ホスホルアミデートがUPLC/MSによりもはや検出されなくなるまで、反応を継続した。
【化23】
【0196】
シリル化反応を完了させた後、所望の生成物をシリカゲル上クロマトグラフィーに付し、ジクロロメタン中メタノール(1〜4%)の勾配で溶出させる。所望の5’−モノホスホルアミデート4は最後に溶出する。
【0197】
調製方法
【0198】
実施例1.2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチルウリジン(3)の調製
10Lフラスコに、3’,5’−O−ジベノジル−2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチル−N4−ベンゾイルシチジン(500g、0.874mol)及び70%酢酸水溶液(7.5L)を加えた。溶液を20時間加熱還流した(110℃)。TLCは反応の完了を示した(5%メタノールのジクロロメタン(DCM)溶液で、Rf=0.
6)。混合物を雰囲気温度まで冷却し、水(2L)で希釈した。2時間撹拌した後、生成した沈殿物を濾過して回収し、固体を水(5L)で洗い、空気中雰囲気温度で12時間乾燥し、360g(88%)を得た。このジベンゾイルウリジン中間体の全量を、新たに調製したメタノール・アンモニア(5.4L、約25%)に0℃で加えて、次の工程で直接使用した。この温度を3時間維持した後、24時間で15℃まで昇温させた。TLCは反応の完了を示した(10%メタノールのDCM溶液で、Rf=0.4)。反応混合物をセライト層で濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物(216g)を得た。粗生成物を酢酸エチル(325mL)と合わせて、雰囲気温度で3時間撹拌した。生成した固体を濾過して回収し、酢酸エチル(216mL)で洗った。固体を真空下、雰囲気温度で4時間乾燥し、所望の産物をHPLC純度98.7%で160g(78%)得た。H−NMR(DMSO−d)δ11.44(br s,1H,NH)、7.95(d,1H,C−6H)、5.97(d,1H,C−1’H)、5.64(d,1H,C−5H)、3.84−3.77(m,3H,C−5’−Ha,C−3’H.C−4’H)、3.63−3.60(m,1H,C5’−Hb)、1.23(d,3H,C−2’−CH)。ES−MS M−1 259。
【0199】
実施例2.(S)−2−{[(1R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−(R)−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−フェノキシ−ホスホリルアミノ}−プロピオン酸イソプロピルエステル(4)の調製
【0200】
別名:5’−O−(イソプロピル−L−アラナート,フェニルホスホルアミジル)−2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチル−ウリジンジアステレオマー混合物
【0201】
5Lの三口フラスコに、メカニカルスターラー、氷塩浴、内部温度計を取り付け、窒素雰囲気とした。フラスコに、L−アラニンイソプロピルエステル塩酸塩(82.0g、0.490moles)、及び無水ジクロロメタン(0.80L)を加えた。これを撹拌しながら、ジクロロリン酸フェニル(85.0g、0.40moles)を一度に加えて撹拌した。内部温度を−5〜5℃に保ちながら、N−メチルイミダゾール(NMI、250g、3.07moles)のジクロロメタン(250mL)溶液を30分間かけて加えた。溶液は、この温度範囲で1時間撹拌させた。2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチル−ウリジン(3、80.0g、0.307moles)を0℃で一度に加え、その後、反応フラスコを塩浴中でゆっくりと昇温させた。1時間経過時点で、内部温度は−2℃に上昇した。1時間経過時点でのTLC(5%メタノールのDCM溶液)では、50%を超えるヌクレオシドが消費されていることが示された。塩浴を取り除き、さらに1時間かけて、反応フラスコを雰囲気温度にした。3時間後、そして全体では5時間経過時点でのTLCでは、開始時のヌクレオシドの95%が消費されていることが示された。反応混合物は、メタノール(100mL)を加えて5分間撹拌することで、反応を停止した。
【0202】
反応混合物を1NのHCl(2X500mL)、続いて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2X500mL)で洗った。分離した有機層を無水硫酸ナトリウム(50g)で乾燥させ、濾過した。溶液を減圧下そしてさらに高真空下で蒸発乾固させ、粗生成物を粘性油状
物として得た(170g)。粗生成物のNMR(31P及びH)を測定した。31P−NMRでは、全リン酸同化の約1%は3’異性体5の存在によるものであることが示された。
【0203】
粗生成物に無水ピリジン(1700mL)を加えた。粗混合物の含水量を同時蒸発で減らすため、溶媒は減圧下そしてさらに高真空下で蒸発させた。得られた油状物は、無水ピリジン(500mL)に再度溶解し、過剰量のt−ブチルジメチルシリルクロリド(9.0g、60mM)を加えた。反応物を雰囲気温度で撹拌した。反応の進行は、UPLC/MSで観察した。3時間後、3’不純物5は検出されなくなり、メタノール(50mL)を加えて反応を停止した。
【0204】
反応物を減圧下で油状物まで蒸発させた。残渣を酢酸エチル(1.5L)に溶かし、1NのHCl(2X500mL)、続いて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2X500mL)で洗った。有機層を無水硫酸ナトリウム(50g)で乾燥させ、濾過し、そして減圧下で蒸発させ、粗生成物を淡黄色油状物として得た。
【0205】
粗油状物は、同体積のジクロロメタンで希釈し、空気圧100psiで遠心圧縮モジュールの2.5Kgシリカゲルカートリッジに充填した。60psi、流速400mL/minでグラジエントポンプを用い、カートリッジを塩化メチレン(4L)で洗い、続いて、濃度勾配1〜4%のメタノール・塩化メチレン溶液(48L)で洗った。主要な不純物(ジ−(イソプロピルアラニル)フェニルホスフェート,3’,5’−ビスホスホルアミダート(6)、3’−ホスホルアミダート−5’−TBDMS付加物(7))のほとんどは、〜3%の濃度勾配で溶出した。所望の生成物は、3〜4%のメタノールで溶出した。生成物を含む画分は2つのロットに分別した。第1は少量の上流不純物を含み、第2は純粋な生成物である。第1群の画分は、3’,5’−ビスホスホルアミダートやジ−アラニルフェニルホスフェートなどのより極性の低い不純物(上流不純物)、及び多くの場合Rpジアステレオマーを少量含み、さらにカラム精製を行う必要がある。(相対的な語句である上流と下流は、順相シリカゲルクロマトグラフィーでの溶出を意味し、「上流異性体」とは最初に溶出される異性体を意味する。)第2群の画分は、有意な量の不純物を含んでおらず、わずかな残りのRおよび大部分はSジアステレオマーである。第2群は、その後、カラム精製を2度行った画分と合わせた。溶媒を減圧下で留去し、生成した白色の泡状物をさらに1時間乾燥させ(0.20mmHg)、42gの非純粋ロット(31P−NMRで、上流異性体対下流異性体=4:1)と38gの純粋ロット(上流異性体対下流異性体=1:3)を得た。非純粋ロットは同様の方法で再度カラム精製し、3.8gの97%純粋な上流異性体(取り除く画分)と、36gの純粋生成物を4:1の割合で得た。2つのメインロットはDCMに溶解し、1つにまとめ、減圧下で蒸発させて乾燥し(50℃、0.2mmHg、24h)、74g(45.7%)の純粋生成物4(ジアステレオマー比48:51)を白色の泡状物(融点約75〜85℃)として得た。
【0206】
ジアステレオマー混合物の非結晶固体を作製するため、白色の泡状物74gをt−ブチルメチルエーテル(750mL)中で撹拌し、部分溶液と粘質固体残留物を得た。撹拌しながら、ヘプタン(750mL)をゆっくりと加え、粘質物のほとんどが白色固体になるまで、懸濁液をメカニカルスターラーで1時間撹拌した。固体をへらでこすりとり、懸濁したスラリーを濾過した。固体をヘプタン(4X50mL)で洗い、真空下で乾燥させ(50℃、0.2mmHg、24h)、約70〜80℃の広融点範囲を持つ白色の非結晶粉末(64g)を得た。H及び31P NMRは構造と一致し、HPLCで純度99.8%、ジアステレオマー比46:54であることが示された(31P NMRでも確認された)。
【0207】
4の固体混合物を作製する別の方法。クロマトグラフィーの後、残渣を2回、ジクロロ
メタンで同時蒸発させ(5mL/g)、35〜40℃、35〜45mTorrで24時間乾燥させた。泡状の残渣を250ミクロンのふるいにかけ、残留ジクロロメタンがヘッドスペースGCで400ppmを下回るまで、同様の条件でさらに乾燥させた。得られたオフホワイト〜白色の非結晶微粉末は、ガラス転移温度の範囲が53.7〜63.5℃であった。
【0208】
異性体(4)混合物の特性評価:H−NMR(CDCl)δ10.05(br s,1H,NH,S)、10.00(br s,1H,NH,R)、7.49(d,1H,C6−H,S)、7.36(m,5H,C6−H,R,芳香族)、7.23−7.14(m,6H,R/S,芳香族)、6.18(br d,2H,Cl’−H,R/S)、5.63(d,1H,C5−H,S)、5.58(d,1H,C5−H,R)、5.01(m,2H,CH−(CH,R/S)、4.46−4.33(m,8H,C−5’−H,ala−NH,C3’−OH,R/S)、4.12(m,2H,ala−CH−CH,R/S)、4.01−3.85(m,4H,C3’−H,C4’−H,R/S)、1.39−1.22(m,12H,all CH,R/S)。
【0209】
31P−NMR(CDCl)δ3.60(R)、3.20Sp(トリフェニルホスフェートでは17.80ppm)。ES−MS M+l 530.2。元素分析:計算値%(カールフィッシャー法により測定した0.29%の水分を含む)C,49.75;H,5.54;N,7.90;F,3.58;P,5.84。実測値%:C,49.50;H,5.44;N,7.85;F,3.62;P,6.05。
【0210】
異性体の分離に関する検討
化合物4は、リンにおけるキラリティーのため、2つのジアステレオマーからなり、それらはS−4及びR−4と呼ばれる。立体化学的分析は、S−4の単結晶X線分析に基づいて行った。R−4及びS−4はともに結晶性生成物を生成した。
【0211】
結晶化の方法の概略を以下に示す。
【化24】
【0212】
実施例3.R−4異性体の結晶化
最初に溶出した極性の低いR−4異性体(3.8g、純度97%)を含むクロマトグラフィーの画分を、イソプロパノール(36g)に溶解し、濁りが生じるまでヘプタンで希釈した(72g)。溶液にシードを入れ、雰囲気温度で5時間撹拌した。生成した固体を減圧濾過で回収し、ヘプタンで洗い(2X20mL)、乾燥させ(50℃、0.2mm、24h)、2.3gの微小な白色の針状結晶体(融点136.2〜137.8℃)を得た。HPLCによる生成物質の純度は、99.02%であった。
【0213】
−4:H−NMR(CDCl)δ9.10(br s,1H,NH)、7.36(m,2H,o−芳香族)、7.26−7.16(m,4H,C6−H,m,p−芳香族)、6.16(br d,1H,Cl’−H)、5.58(d,1H,C5−H)、5.01(sept,1H,CH−(CH)、4.52−4.47(m,2H,C−
5’−H)、4.10(d,1H,C3’−H)、4.02−3.76(m,4H,ala−NH,C3’−OH,C4’−H,ala−CH−CH)、1.37−1.20(m,12H,all CH)。
【0214】
実施例4.S−4の調製と結晶化
方法1:粗生成の4からの直接沈殿:撹拌したL−アラニンイソプロピルエステル塩酸塩(10.5g、61.5mmol、トルエン50mLと共沸による乾燥を2回行った)のジクロロメタン(100mL)溶液に、ジクロロリン酸フェニル(7.5mL、50mmol)を室温で加えた。混合物を−10℃まで冷却し、その後、NMI(30.5mL、384.3mmol)の30mLジクロロメタン溶液を30分かけて添加した。添加終了後、混合物を−10〜−15℃で1時間撹拌した。上記混合物に、2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチルウリジン(3)(10g、38.4mmol)を一度に加え、混合物を−10℃以下で3時間撹拌し、その後、20℃までゆっくりと昇温させた(6時間)。混合物を同温度で一晩撹拌し(15時間)、その後、メタノール10mLで反応を停止した。溶媒を留去し、残渣をEtOAc(200mL)に再度溶解した。EtOAc層を、水(100mL)、1N HCl(3x75mL)、2%NaHCO水溶液(50mL)、及び食塩水(50mL)で洗った。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を高真空下で2時間乾燥させ、白色の泡状物(22g)を得た。
【0215】
上記の泡状物を33mLのDCMに溶解し、次に65mLのIPE(イソプロピルエーテル)を加え、飽和溶液とした。溶液を小型のセライトパッドで濾過し、濾液をS−4シードとともに72時間、雰囲気温度で撹拌した(約22℃:懸濁液を0℃に冷却すると粗生成物がオイルアウトしたため、注意が必要である)。白色の固体を濾過し、IPE(20mL)で洗い、乾燥して、4.58gの白色粉末を得た(31P NMRの測定で、S−4:R−4=〜85:15の混合物)。上記固体を23mLのDCMに懸濁し、3時間還流した。混合物を室温まで冷却し、15時間撹拌した。白色固体を濾過し、4.5mLの低温のDCMで洗い、高真空下45℃で乾燥させ、純粋なS−4(融点93.9〜104.7℃、HPLC純度99.74%)を得た(3.11g、ウリジンヌクレオシドから15.2%)。
【0216】
−4:H−NMR(CDCl)δ8.63(br s,1H,NH)、7.47(d,1H,C6−H)、7.30(m,2H,o−芳香族)、7.26−7.18(m,3H,m,p−芳香族)、6.18(br d,1H,Cl’−H)、5.70(d,1H,C5−H)、5.02(sept,CH−(CH)、4.53(m,2H,C−5’−H)、4.11(d,1H,C3’−H)、3.97(m,3H,C3’−OH,C4’−H,ala−CH−CH)、3.77(br s,1H,ala−NH)、1.39(d,3H,C2’−CH)、1.37(d,3H,ala−CH)、1.24(d,6H,CH−(CH)。
【0217】
方法2:粗生成の4からのオイルアウト:撹拌したL−アラニンイソプロピルエステル塩酸塩(20.6g、123mmol、トルエン75mLと共沸による乾燥を2回行った)のジクロロメタン(200mL)溶液に、ジクロロリン酸フェニル(14.9mL、100mmol)を室温で加えた。混合物を−10℃まで冷却し、その後、NMI(61.3mL、769mmol)の60mLジクロロメタン溶液を30分かけて添加した。添加終了後、混合物を−10℃〜−15℃で1時間撹拌した。上記混合物に、2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチルウリジン(3)(20g、76.9mmol)を一度に加え、混合物を−10℃以下で3時間撹拌し、その後、20℃までゆっくりと昇温させた(6時間)。混合物を同温度で一晩撹拌し(15時間)、その後、メタノール10mLで反応を停止した。溶媒を留去し、残渣をEtOAc(400mL)に再度溶解した。EtOAc層を、水(200mL)、1N HCl(3x100mL)、2%NaHCO
水溶液(100mL)、及び食塩水(50mL)で洗った。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を高真空下で2時間乾燥させ、白色の泡状物(43g)を得た。上記の泡状物を、メカニカルスターラーを備えた二口丸底フラスコ中で、86mLのEtOAcに溶解した。撹拌しながら、100mLのヘプタンをゆっくりと加え、懸濁液を1時間撹拌した。最上層をデカントし、残渣をさらにEtOAc/ヘプタン=2:3の溶液50mLとともに10分間撹拌し、その後デカントした。残渣を高真空下で乾燥させ、白色泡状物(31g)を得た。
【0218】
上記の泡状物を46mLのDCMに溶解し、次に95mLのIPEを加え、飽和溶液とした。溶液を小型のセライトパッドで濾過し、濾液をS−4シードとともに72時間、雰囲気温度で撹拌した。白色の固体を濾過し、IPE(30mL)で洗い、乾燥して、7.33gの白色粉末を得た(31P NMRの測定で、S−4:R−4=〜85:15の混合物)。上記固体を36mLのDCMに懸濁し、3時間還流した。混合物を室温まで冷却し、15時間撹拌した。白色固体を濾過し、7.5mLの低温のDCMで洗い、高真空下45℃で乾燥させ、>99%の純粋なS−4を得た(4.78g、ウリジンヌクレオシドから11.6%)。
【0219】
方法3:4粗生成物のシリカゲルへの充填:ジアステレオマー混合物と同様の方法で、約2.5gの2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチルウリジン(3)から開始して、カラムクロマトグラフィーの工程の直前まで行い、5.0gの4粗生成物を生成した。粗生成物を10mLのDCMに溶解し、10gのシリカゲルを溶液に加えた。溶媒を留去し、ドライスラリーを得た。スラリーを40mLの50%EtOAc/ヘキサンとともに15分間撹拌し、濾過した。シリカゲルをさらに10mLの50%EtOAc/ヘキサンで洗った。次に、シリカゲルを15%MeOH/DCM(100mL)で洗い、別に回収した。溶媒を留去し、高真空下で乾燥させ、4.0gの残渣(泡状物)を得た。残渣をDCM(6mL)に溶解し、次に、〜9mLのIPEを加えて飽和溶液とした。その後、混合物を、S−4シードとともに、雰囲気温度で緩やかに一晩撹拌した。白色固体を濾過し、IPE(5mL)で洗い、1.28gの生成物を得た。31P NMRでは、上記生成物は、S−4:R−4を77:23で含むことが示された。これを20mLのDCMから再結晶化し、>99%の純粋なS−4を0.75g得た(ウリジンヌクレオシドから約12%)。このS−4の調製方法では、混合物で行ったシリル化の工程は不要で、全反応手順が上記に示されている。S−4の単結晶及び多形型の特徴は、以下に記載する。
【0220】
方法4:40.0gの1:1混合物の4を、90mLのジクロロメタンに溶解した。ジイソプロピルエーテル(70mL)を上記溶液に加え、飽和溶液とした。(ジイソプロピルエーテルの量は、生成物の純度により異なる場合がある。)溶液に純粋なS−4(>99%)のシードを加え、混合物を室温で20時間、撹拌子を用いて緩やかに撹拌した(固体の形成は2時間後に観察された)。固体を濾過し、40mLのジイソプロピルエーテル/ジクロロメタン(1:1)混合液で洗い、乾燥して、白色固体を得た(16.6g、NMR測定純度89.35%のS−4)。この固体を83mLのジクロロメタンに懸濁し、3時間還流した。懸濁液を室温に冷却し、一晩撹拌した。固体を濾過し、10mLの低温のDCMで洗った。固体を真空下で乾燥させ、S−4(13.1g、HPLC測定純度99.48%)を得た。この固体11gを330mLのDCMに高温条件で再度溶解した。溶液を室温まで冷却し、同温度で一晩置いた。結晶生成物を濾過して乾燥させ、10.5gのS−4(HPLC測定純度99.74%)を得た。
【0221】
−4及びR−4化合物は、第9又は第10番目の実施形態に従って、ヌクレオシド(保護又は無保護)3をイソプロピル−アラニル−ホスホルアミダート(CとC’の混合物、C、又はC’)と反応させることで、下記式に示すように選択的に調製することが
できる。
【化25】


または

【0222】
P.D. Howes et al. Nucleosides, Nucleotides & Nucleic Acids2003, Vol. 22, Nos. 5-8, pp. 687-689(以下「Howes」)では、t−ブチルマグネシウムクロリドとの反応で2’−及び5’−ホスホルアミダートが得られることが示されている。それによると、3’−デオキシ−シチジンヌクレオシドを、(S)−2−[クロロ−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸メチルエステルと、1.2当量のt−ブチルマグネシウムクロリドの存在下で反応させた場合、2’位の選択的なリン酸化が起きるが、さらに当量のt−ブチルマグネシウムクロリドを加えると、5’位の選択的なリン酸化が起きることが示されている。これは、HowesのScheme 1に示される内容と対比する必要がある。
【0223】
実施例5−1.(S)−2−[(4−ニトロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステルの調製
【化26】

撹拌した4−ニトロフェニルホスホロジクロリデート(12.8g、50mmol)のジクロロメタン(100mL)溶液に、フェノール及びトリエチルアミン(7.7mL、55mmol)のジクロロメタン(100mL)溶液を、−78℃で20分かけて加えた。混合物を同温度で30分撹拌し、その後、L−アラニンイソプロピルエステル塩酸塩(8.38g、50mmol)のジクロロメタン(100mL)溶液を入れた別の丸底フラスコに0℃で移した。混合物にさらにトリエチルアミン(14.6mL、105mmol)を15分かけて加えた。混合物を0℃で1時間撹拌し、その後、溶媒を留去した。残渣を酢酸エチル(150mL)でトリチュレートし、白色固体を濾過して取り除いた。濾液を減圧下で濃縮し、淡黄色の油状物を得た。粗生成化合物を、0〜20%酢酸エチル/ヘキサンの濃度勾配によるクロマトグラフィーに供し、ジアステレオマー比が約1:1の混合物である生成物を得た(17g、収率83%)。31P NMR(162MHz,DMSO−d6):δ−0.31、−0.47;H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ8.31−8.27(m,2H)、7.51−7.37(m,4H)、7.27−7.19(m,3H)、6.70−6.63(m,1H)、4.85−4.78(m,1H)、3.97−3.86(m,1H)、1.21−1.19(m,3H)、1.11−1.09(m,6H);MS(ESI)m/z 407(M−1)31P NMR
(162MHz,CDCl):δ−2.05、−2.10;H NMR(400MHz,CDCl):δ8.22(d,J=9.2Hz,2H)、7.41−7.33(m,4H)、7.26−7.18(m,3H)、5.05−4.96(m,1H)、4.14−4.05(m,1H)、3.93−3.88(m,1H)、1.38(d,J=6.8Hz,3H)、1.22(dd,J=6.2&3.0Hz,6H);MS(ESI)m/z 407(M−1)+。
【0224】
実施例5−2.S−4/R−4の調製
【化27】
撹拌した1−((2R,3R,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(130mg、0.5mmol)の無水THF(1.5mL)溶液に、1.0Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド(1.05mL、1.05mmol、2
.1当量)溶液を、室温で5分間かけて加えた。30分後、(S)−2−[(4−ニトロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(異性体の1:1混合物、408mg、1mmol)のTHF(1.5mL)溶液を、5分間かけて滴加した。混合物を室温で48時間撹拌し、その後、飽和NHCl水溶液(20mL)で反応を停止した。混合物を、酢酸エチル(50mL)と水(20mL)の間で分割した。合わせた有機抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、淡黄色の残渣が得られた。残渣を、0〜2%MeOH/ジクロロメタンの濃度勾配によるカラムクロマトグラフィーに供し、白色の泡沫状固体を得た(125mg、収率47%、S−4/R−4の混合比率約3.05:1.0)。
【0225】
実施例6.(S)−2−[(S)−(4−ニトロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステルの調製及びクロマトグラフィー以外による分離
【化28】

L−アラニンイソプロピルエステル塩酸塩(330g、1.97mol)を、トルエン(2x400mL)と減圧下で同時蒸発して予備乾燥し、真空オーブンで乾燥させた(50°C、0.2mmHg、17h)。撹拌した4−ニトロフェニルホスホロジクロリデート(500.0g、1.953mol)の無水ジクロロメタン(3.0L)溶液に、フェノール(183.8g、1.953mol)及びトリエチルアミン(300mL、2.15mol)のジクロロメタン(900mL)溶液を、内部温度−60℃で3時間かけて加えた。混合物を同温度でさらに30分撹拌し、その後、2.5時間で−5℃まで昇温させた。予備乾燥したアミノ酸エステルを、窒素雰囲気下、−5〜0℃で10分間かけて加えた。フラスコ内に残ったアミノエステル塩の残渣は、ジクロロメタン(2x100mL)ですすいで、反応混合物に移した。混合物を0℃で40分撹拌し、さらにトリエチルアミン(571mL、4.10mol)を0℃で40分間かけて加えた。混合物を0〜10℃で3時間撹拌し、続いて白色固体(トリエチルアミン塩酸塩)を濾過して取り除き、ジクロロメタン(3x300mL)ですすいだ。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をメチルt−ブチルエーテル(MTBE、4L)でトリチュレートした。これにより形成された付加的な
固体の塩は、濾過して取り除き、MTBE(3x150mL)ですすいだ。濾液を減圧下で濃縮し、透明な淡褐色の油状物を得た。残渣をヘキサン(2x140mL)で同時蒸発してMTBEの残留分をすべて取り除き、さらに真空下40℃で2時間乾燥させた。乾燥した残渣をジイソプロピルエーテル(IPE、1.1L)と混合し、氷水浴中5℃で撹拌した。生成物の所望のS異性体の種結晶を溶液に少量加え、5℃で22時間以上撹拌し、中粘度のスラリーを形成した。これをフリーザー(−10℃)中に44時間放置した。沈殿した生成物を濾過で回収し、あらかじめ冷却したIPEとヘキサンの混合溶媒(1:1、3x190mL)ですすいだ。固体を真空下(0.5mmHg)、雰囲気温度で恒量になるまで乾燥し、227.23g(収率:28.5%)の白色粉末固体を得た。2つのジアステレオマーの比率は、31P NMR(162MHz、DMSO−d、δ−0.31(S)、−0.47)で測定したところ、S:Rが9.65/1であった。生成物は、IPE(840mL)に60℃の浴槽で加熱しながら溶解させて再結晶化させた。上記溶液を室温で1時間撹拌し、その後、Sp異性体の種結晶を少量加えた。2時間以内に白色粉末固体の形成が見られ、フラスコをフリーザー(−10℃)中に16時間置いた。得られた白色の微細な結晶性固体を濾過し、あらかじめ冷却したIPE(3x50mL)で洗い、真空下(雰囲気温度、0.5mmHg)で恒量になるまで乾燥させ、白色で毛羽状の固体が得られた(177.7g、全体収率22%又はS異性体の理論収率に基づく全体収率44%)。P−NMRによるジアステレオマー比は48/1で、融点は62〜66℃。
【0226】
31P NMR(162MHz,DMSO−d6):δ−0.31;H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ8.30−8.27(m,2H)、7.49(d,J=8.8Hz,2H)、7.41−7.37(m,2H)、7.23−7.19(m,3H)、6.66(dd,J=13.6,10.0Hz,1H)、4.86−4.78(m,1H)、3.97−3.86(m,1H)、1.19(d,J=7.2Hz,3H)、1.10(d,J=6.4Hz,6H);
【0227】
31P NMR(162MHz,CDCl):δ−2.05;(162MHz,DMSO−d6):δ−0.31;H NMR(400MHz,CDCl):δ8.22(d,J=9.2Hz,2H)、7.41−7.33(m,4H)、7.26−7.18(m,3H)、5.05−4.96(m,1H)、4.14−4.05(m,1H)、3.93−3.88(m,1H)、1.38(d,J=6.8Hz,3H)、1.22(dd,J=6.2&3.0Hz,6H);H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ8.30−8.27(m,2H)、7.49(d,J=8.8Hz,2H)、7.41−7.37(m,2H)、7.23−7.19(m,3H)、6.66(dd,J=13.6,10.0Hz,1H)、4.86−4.78(m,1H)、3.97−3.86(m,1H)、1.19(d,J=7.2Hz,3H)、1.10(d,J=6.4Hz,6H)
MS(ESI)m/z 407(M−1)
【0228】
8(S−異性体)の立体構造は、単結晶X線結晶構造解析により確認されている。詳細は下記を参照。
【0229】
実施例7.ジアステレオマー混合物(S)−2−[(4−ニトロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステルのSFCによる分離
−異性体を多く含むジアステレオマー混合物の試料(4.8g)を、ChiralPak AD−H(2x15cm)カラムを用いたSFCに供し、二酸化炭素中35%イソプロパノールを用いて100barで溶出した。4mLのインジェクション量に対して、試料の濃度を17mg/mLのメタノール溶液とした。R−異性体[(S)−2−[(R)−(4−ニトロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イ
ソプロピルエステル]が先に溶出した。複数回操作して適切な画分を1つにまとめ、減圧下で濃縮し、2.9gのR−異性体[(S)−2−[(R)−(4−ニトロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル]が淡黄色の粘性の油状物として得られ、1.9gのS−異性体[(S)−2−[(S)−(4−ニトロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル]が白色固体として得られた。R−異性体の解析データは、上記の結晶化方法により分離した生成物と同様である。
【0230】
(S)−2−[(R)−(4−ニトロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(8、R−異性体)の解析データ:31P NMR(162MHz,DMSO−d6):δ−0.47;H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ8.30−8.27(m,2H)、7.46−7.38(m,4H)、7.27−7.20(m,3H)、6.68(dd,J=13.8,10.2Hz,1H)、4.86−4.77(m,1H)、3.97−3.86(m,1H)、1.20(d,J=7.2Hz,3H)、1.10(dd,J=6.2,2.2Hz,6H);MS(ESI)m/z 407(M−1)
【0231】
実施例8−1.2−[(4−クロロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(±)ラセミ体の調製:
【化29】

撹拌した4−クロロ−フェニルホスホロジクロリデート(2.45g、10.0mmol)のジクロロメタン(20mL)溶液に、フェノール(0.94g、10mmol)及びトリエチルアミン(1.56mL、11mmol)のジクロロメタン(20mL)溶液を、−78℃で20分間かけて加えた。混合物を同温度で30分撹拌し、その後、L−アラニンイソプロピルエステル塩酸塩(1.67g、10mmol)のジクロロメタン(50mL)溶液を入れた別の丸底フラスコに0℃で移した。混合物に、さらにトリエチルアミン(2.92mL、21mmol)を15分間かけて加えた。混合物を0℃で1時間撹拌し、その後、溶媒を留去した。残渣を酢酸エチル(30mL)でトリチュレートし、白色固体を濾過して取り除いた。濾液を減圧下で濃縮し、淡黄色の油状物を得た。粗生成化合物を、10〜20%酢酸エチル/ヘキサンの濃度勾配によるクロマトグラフィーに供し、ジアステレオマー比が約1:1の混合物である生成物を得た(2.0g、収率50%)。31P NMR(162MHz,CDCl):δ−1.58,−1.62;H NMR(400MHz,CDCl):δ7.06−7.51(m,8H)、7.15−7.28(m,2H)、7.29−7.47(m,2H)、4.0−4.10(m,1H)、3.82−3.88(m,3H)、1.35−1.36(dd,6H);1.19−1.22(m,3H)。MS(ESI)m/z 398(M−1)。得られた生成物は、上記のように、抽出、結晶化、又はクロマトグラフィーにより精製する。
【0232】
実施例8−2.(S)−イソプロピル2−((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2イル)メトキシ)(フェノキシ)−ホスホリルアミノ)プロパノエート(4)の調製
撹拌した1−((2R,3R,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(3、2.6g、10mmol)の無水THF(50mL)溶液に、1.
7Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド(12.4mL、21mmol、2.1当
量)溶液を、室温で15分間かけて加えた。30分後、(2−[(4−クロロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステルのラセミ体(4.08g、l0mmol)のTHF(15mL)溶液を、10分間かけて滴加した。混合物を室温で72時間撹拌した。TLCで純物質と同時展開させたところ、出発時のヌクレオシドと比べて、およそ5%の所望の生成物が形成されたことが示された。
【0233】
実施例9−1.2−[(2−クロロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(±)ラセミ体の調製
【化30】

撹拌した2−クロロ−フェニルホスホロジクロリデート(9.8g、40mmol)のジクロロメタン(80mL)溶液に、フェノール(3.76g、40mmol)及びトリエチルアミン(6.16mL、44mmol)のジクロロメタン(80mL)溶液を、−78℃で20分間かけて加えた。混合物を同温度で30分撹拌し、その後、L−アラニンイソプロピルエステル塩酸塩(6.7g、40mmol)のジクロロメタン(150mL)溶液を入れた別の丸底フラスコに0℃で移した。混合物に、さらにトリエチルアミン(11.6mL、84mmol)を15分間かけて加えた。混合物を0℃で1時間撹拌し、その後、溶媒を留去した。残渣を酢酸エチル(100mL)でトリチュレートし、白色固体を濾過して取り除いた。濾液を減圧下で濃縮し、淡黄色の油状物を得た。粗生成化合物を、10〜20%酢酸エチル/ヘキサンの濃度勾配によるクロマトグラフィーに供し、ジアステレオマー比が約1:1の混合物である生成物を得た(11.3g、収率72%)。31P NMR(162MHz,CDCl):δ−1.58,−1.61;H NMR(400MHz,CDDCl):δ7.06−7.51(m,8H)、5.02−5.94(m,1H)、4.10−4.16(m,1H)、3.31−3.94(m,1H)、1.18−1.35(m,3H)、1.38−1.40(dd,6H);MS(ESI)m/z 398(M−1)。得られた生成物は、上記のように、抽出、結晶化、又はクロマトグラフィーにより精製する。
【0234】
実施例9−2.(S)−イソプロピル2−((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2イル)メトキシ)(フェノキシ)−ホスホリルアミノ)プロパノエートの調製
撹拌した1−((2R,3R,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(3、2.6g、10mmol)の無水THF(50mL)溶液に、1.7Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド(12.4mL、21mmol、2.1当
量)溶液を、室温で15分間かけて加えた。30分後、(2−[(2−クロロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(ラセミ体4.08g、l0mmol)のTHF(15mL)溶液を、10分間かけて滴加した。混合物を室温で72時間撹拌した。TLCで純物質と同時展開させたところ、出発時のヌクレオシドと比べて、およそ5〜10%の所望の生成物が形成されたことが示された。
【0235】
実施例10−1.2−[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(±)ラセミ体の調製
【化31】

撹拌したペンタフルオロフェニルホスホロジクロリデート(6.0g、20mmol)のジクロロメタン(40mL)溶液に、フェノール及びトリエチルアミン(3.08mL、22mmol)のジクロロメタン(40mL)溶液を、−78℃で20分間かけて加えた。混合物を同温度で30分撹拌し、その後、L−アラニンイソプロピルエステル塩酸塩(3.35g、20mmol)のジクロロメタン(100mL)溶液を入れた別の丸底フラスコに0℃で移した。混合物に、さらにトリエチルアミン(5.84mL、42mmol)を15分間かけて加えた。混合物を0℃で1時間撹拌し、その後、溶媒を留去した。残渣を酢酸エチル(60mL)でトリチュレートし、白色固体を濾過して取り除いた。濾液を減圧下で濃縮し、ジアステレオマー比が約1:1の混合物である淡黄色の油状物を得た。31P NMR(162MHz,CDCl):δ−0.49,−0.58。得られた生成物は、上記のように、抽出、結晶化、又はクロマトグラフィーにより精製する。
【0236】
実施例10−2.(S)−2−[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステルのジアステレオマー混合物の調製と、(S)−2−[(S)−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル単一ジアステレオマーの結晶化誘導動的分解による複数の産物を伴う単離
【化32】
【0237】
メカニカルスターラーと低温温度計を備えた2Lの三口丸底フラスコに、60g(284mmol)のジクロロリン酸フェニルと300mLの無水ジクロロメタンを加えた。溶液を窒素雰囲気下で0℃に冷却し、イソプロピルアラネート塩酸塩(減圧絶乾したもの、47.7g、284mmol)を固体の状態で素早く加えた。混合物をドライアイス−アセトン浴で撹拌し、−55℃に冷却した。トリエチルアミン60.32g(596mmol)のジクロロメタン300mL溶液を、添加用漏斗を用いて70分間かけて加えた。白濁した混合物を−55℃で30分撹拌し、その後、1.5時間で−5℃までゆっくりと昇温させた。あらかじめ冷却(室温)した、ペンタフルオロフェノール(52.42g、284mmol)及びトリエチルアミン(32.11g、317mmol)を180mLのジクロロメタン中に混合したものを、添加用漏斗を用いて1時間かけて0℃で混合物に加え、得られた混合物を0℃で4時間撹拌した。白色の沈殿物(TEA・HCl)を濾過し
て取り除き、ジクロロメタン(3x50mL)ですすいだ。濾液を減圧下で濃縮し、白色の固体残渣を880mLのt−ブチルメチルエーテル(TBME)中で1時間、室温でトリチュレートした。白色の懸濁液を濾過し、固体をTBME(3x150mL)ですすいだ。固体を酢酸エチル(600mL)と水(150mL)の混合物中に溶解させた。有機層を分離し、水(3x100mL)で洗った。有機層をMgSOで乾燥させ、濃縮し、29.92g(66mmol)の生成物(X線結晶構造解析によりS−異性体と確認された;下記参照)が白色の羽状固体として得られた。
【0238】
上記TBMEのトリチュレーションの濾液を減圧下で濃縮して白色の固体残渣とし、この固体を450mlの酢酸エチル・ヘキサン混合物(20:80、v/v)中で75分間、室温でトリチュレートした。固体(固体1)を濾過して回収し、20%酢酸エチルのヘキサン溶液(75mL、2x30mL)ですすいだ。母液を濃縮してオフホワイトの固体を得て、これを20%酢酸エチルのヘキサン溶液(185mL)中で17時間、室温でトリチュレートした。白色固体(固体2)を濾過して回収し、20%酢酸エチルのヘキサン溶液(2x10mL)ですすいだ。固体1と固体2を1つにまとめ、1.2Lの酢酸エチルに溶解した。溶液を水(3x150mL)、食塩水(50mL)で洗い、MgSOで乾燥させた。溶液を減圧下で濃縮し、72.8g(161mmol)の純粋な生成物を得た。生成物の合計は102.72g(226mmol、80%)となった。H NMR(CDCl,400MHz)δ:.7.38−7.33(m,2H)、7.27−7.24(m,2H)、7.23−7.19(m,1H)、5.04(hept,1H)、4.18−4.09(m,1H)、4.01−3.96(m,1H)、1.45(d,3H)、1.25(dd,6H)。31P NMR(CDCl,162MHz)δ;−0.50。
【0239】
実施例10−3.(S)−2−[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステルのジアステレオマー混合物の調製と、(S)−2−[(S)−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル単一ジアステレオマーの結晶化誘導動的分解による単一の産物での単離
低温温度計とメカニカルスターラーを備えた1Lの乾燥した三口フラスコに、フェニルホスホロジクロリデート(25g、118.5mmol)を入れた。無水ジクロロメタン(125mL)を加え、溶液を0℃に冷却した。アラニンエステル塩(絶乾したもの)(19.86g、1当量)を窒素雰囲気下で撹拌しながら素早く加えた。溶液を約−50℃(内部温度)まで冷却した(アセトン−ドライアイス浴、窒素雰囲気中)。トリエチルアミン(25.2g、2.1当量)のDCM(125mL)溶液を、添加用漏斗を用いて0.5時間かけて−50℃で滴加し、得られた白色スラリーを約−50℃で0.5時間撹拌した。混合物を1.5時間で0℃まで昇温させ、あらかじめ混合して冷却したペンタフルオロフェノール(21.82g、1当量)及びTEA(13.2g、1.1当量)のDCM75mL溶液を、添加用漏斗を用いて0.5時間かけて0℃で加えた。混合物を0℃でさらに4時間撹拌した。
【0240】
混合物をブフナー漏斗で濾過し、回収した固体のトリエチルアミン塩酸塩をDCM(3x40mL)ですすいだ。濾液を31P NMRで測定し(比率は約1.14:1でS−ジアステレオマーが多い−低磁場ピーク)、等重量で2つに分けた。そのうちの一つを減圧下で濃縮した。白色の固体残渣(31g)を、EtOAcとヘキサンの混合物(150mL、20:80、v/v)中、室温で17時間トリチュレートし、溶解性の低いS異性体の動的分解の時間をおいた。白色スラリーを濾過し、固体を20%EtOAcのヘキサン溶液(2x25mL)ですすいだ。固体(22.58g)をH−NMR及び31P−NMRで測定し、トリエチルアミン塩酸塩が混入した単一異性体としての生成物を含むことが示された。固体を310mLのEtOAcと100mLの水に溶解して分離した
。有機層を分離した後、水層をEtOAc(50mL)で逆抽出した。有機層を合わせて、水(3x80mL)、食塩水(50mL)で洗い、MgSOで乾燥させた。溶液を減圧下で濃縮し、その後、高真空下、室温で恒量になるまで乾燥させ、白色固体として17.36gの生成物を反応物の半分から得た。収率は64%となった。上記からの母液を濃縮し、31P−NMRの結果、試薬を1:1.2の比率(所望のもの/不要のもの)で含む粘質の残渣(7.89g)が得られた。
【0241】
実施例10−4.(S)−2−[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステルの調製
DCM(11.5L)を、洗浄された乾燥したガラス製反応器に入れた。ジクロロリン酸フェニル(2.3kg、10.9mol)を窒素雰囲気下で反応器に加えた。その後、溶液を0℃に冷却した。次に、L−アラニンイソプロピルエステル塩酸塩(1.83kg、10.9mol)を一度に加え、30分撹拌を続けた。ドライアイス/アセトン浴を用いて、反応物を内部温度−50℃に冷却した。内部温度を−40〜−50℃に保ち、TEA(2.1当量、3.17L)のDCM(11.5L)混合物を上記反応液に8時間かけてゆっくりと添加した。添加終了後、反応液を同温度範囲に約1時間置いた。混合物を約4時間で0℃まで昇温させた。
【0242】
その間に、別の反応器にDCM(6.9L)を入れ、次にペンタフルオロフェノール(2.0Kg、10.9mol)を窒素雰囲気下で加えた。溶液を0℃に冷却し、その後、TEA(1.1当量、1.65L)をペンタフルオロフェノール溶液(発熱性)に約2時間かけて加えた。次に、得られた溶液を、ジクロロリン酸フェニルとアミノ酸エステルを含む第1の溶液に、温度を0〜5℃に保ちながら約7時間かけてゆっくりと添加した。添加終了後、同温度範囲で約4時間撹拌を続けた。反応の進行はHPLCで観察した。残存するペンタフルオロフェノールが5%を下回った時点で反応を停止した。キラルHPLCでは、この時点での生成物がジアステレオマーの均等な混合物であることが示された。
【0243】
反応懸濁液をヌッチェフィルターで濾過し、懸濁したトリエチルアミン塩酸塩の大部分を除去した。芒硝を過剰量のDCM(9L)で洗い、洗浄液を主濾液に加えた。濾液を減圧下35℃で濃縮し、固体残渣を得た。固体残渣をヘキサン(4L)と同時蒸発させ、残留DCMレベルをさらに低下させた。この固体残渣に20%MTBE/ヘキサン6Lを加え、懸濁液を雰囲気温度で約17時間撹拌し、HPLCで観察した。溶液のpHは、残留TEAにより塩基性のままであった。この間に動的分解が起こり、沈殿した固体は所望のS−4異性体であり、上清はS−4とR−4の平衡状態で維持された。
【0244】
懸濁液をヌッチェフィルターで濾過し、まだTEA塩酸塩が混入している所望の生成物の固体を、5%MTBE/ヘキサン(1L)で洗った。固体を酢酸エチル(35L)に溶解し、溶液を水(3x35L)及び食塩水(10L)で洗い、その後、溶液を固体硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、反応器温度を44℃未満に維持して減圧下で濃縮した。固体残渣をヘキサン(4L)と同時蒸発させた。反応器を雰囲気温度にし、5%MTBE/ヘキサン(5L)を加えた。濃い懸濁液を15分撹拌し、その後、固体を濾過して回収した。回収した固体をヘキサン(2.5L)で洗い、高真空下、雰囲気温度で恒量になるまで乾燥させ、最終生成物(S−4)を白色固体として2.6kg(53%)得た;HPLC純度99.5%、その他R−4が0.4%。
【0245】
実施例10−5.(S)−イソプロピル2−((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2イル)メトキシ)(フェノキシ)−ホスホリルアミノ)プロパノエートの調製
撹拌した1−((2R,3R,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−ヒ
ドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(3、2.6g、10mmol)の無水THF(50mL)溶液に、1.7Mのtert-ブチルマグネシウムクロリド溶液(12.4mL、21mmol、2.
1当量)を、室温で15分間かけて加えた。30分後、(2−[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステルの粗生成ラセミ体(4.08g、l0mmol)のTHF(15mL)溶液を、10分間かけて滴加した。混合物を室温で72時間撹拌した。TLCで純物質と同時展開させたところ、出発時のヌクレオシドと比べて、およそ40〜50%の所望の生成物が形成されたことが示された。
【0246】
実施例10−6.(S)−2−[(S)−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル及び結晶化のみによる精製を用いた(S)−イソプロピル2−((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2イル)メトキシ)(フェノキシ)−ホスホリルアミノ)プロパノエート(S−4)の調製
【化33】

撹拌した3(10g、38.46mmol、真空下50℃で20時間乾燥)の無水THF(165mL)溶液に、1.7Mのtert-ブチルマグネシウムクロリドのTHF溶
液(47.5mL、80.77mmol)を、フラスコを冷水浴(5℃)に入れたまま、窒素雰囲気下で20分間かけて加えた。添加終了後、冷浴から取り出し、白色の懸濁液を室温(20℃)で30分撹拌した。その後、(S)−2−[(S)−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェノキシ)−フェノキシホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(20.9g、46.11mmol)の無水THF(165mL)溶液を反応混合物に30分間かけて加えた。混合物を室温(20℃)で3.5時間撹拌した。さらに撹拌を1.5時間続け、この段階では、>95%の変換、及び3’,5’−ビス−ホスホルアミダートの不純物強度に2時間の時点から顕著な変化がないことが、TLCによって示された。反応混合物を飽和NHCl水溶液(10mL)で反応停止し、その後、溶媒を25℃で留去した。残渣を酢酸エチル(400mL)と飽和塩化アンモニウム(60mL)/水(20mL)とで分離した。有機層を分離し、飽和塩化アンモニウム(80mL)と水(3x60mL)で洗った。この時点までの水層を別に取った。有機層を5%炭酸ナトリウム水溶液(3x50mL)及び水(2x60mL)で洗った。第1の水層をさらに酢酸エチル(100mL)で抽出し、水(2x20mL)で洗い、その後、炭酸ナトリウム洗浄液から得た水層を同じ酢酸エチル抽出液で抽出した。有機層を水(2x20mL)で洗い、主ロットと合わせた。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濃縮し、泡沫状の固体(19.32g)を得た。残渣を60mLのジクロロメタンに溶解し(約5分で白色固体が析出し、固形物が形成された)、その後、25mLのIPEを加えた。懸濁液を室温で2時間撹拌した。白色固体を濾過し、低温(0℃)のIPE/ジクロロメタンの1:1混合物(20mL)で洗い、乾燥して、11.77g(収率58%)の生成物を非結晶白色固体として得た。上記固体をジクロロメタン(350mL)に再度溶解し、濾過し、大気圧(浴温45℃)で〜120mLまで蒸発させた。溶液を室温(21℃)で20時間放置した。白色結晶性固体(ジクロロメタン溶媒和物)を濾過し
て回収し、低温(0℃)のジクロロメタン(10mL)で洗い、高真空下、雰囲気温度で4時間乾燥させ、純粋な非溶媒和生成物(10.62g、収率52%)を白色の針状物として得た。HPLC純度は99.8%となった。スペクトル特性は、本明細書に記載する値と一致した。
【0247】
実施例10−7.(S)−2−[(S)−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル、異なる反応条件及び検査、並びに結晶化のみによる精製を用いた(S)−イソプロピル2−((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2イル)メトキシ)(フェノキシ)−ホスホリルアミノ)プロパノエート(S−4)の調製
【化34】

撹拌した1−((2R,3R,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−3−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(3、5.0g、19.1mmol、真空下50℃で20時間乾燥)の無水THF(75mL)懸濁液に、1.7Mのtert-ブチルマグネシウムクロリ
ドのTHF溶液(23.7mL、40.35mmol)を、添加用漏斗を用いて、30分間かけて−5℃で加えた。白色の懸濁液を同温度で30分撹拌し、その後、雰囲気温度(20℃)に昇温させ、同温度でさらに30分撹拌した。反応混合物を5℃に冷却し、その後、(S)−2−[(S)−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェノキシ)−フェノキシホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(10.45g、23.06mmol)のTHF(50mL)溶液を30分間かけて加えた。混合物を5℃で18時間撹拌し、−5℃に冷却し、その後、2N HCl(25mL)で反応を停止した。トルエン(100mL)を混合物に加え、室温に昇温させた。20分後、層を分離した。有機層を1N HCl(2x10mL)、水(10mL)、5%NaCO水溶液(4x10mL)、水(2x10mL)、及び食塩水(10mL)で洗った。すべての水層をトル
エン(20mL)で再抽出し、5%NaCO水溶液(2x5mL)、水(10mL)、及び食塩水(5mL)で洗った。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾
過し、約20mLまで蒸発させた。ジクロロメタン(20mL)を溶液に加え、混合物を室温で18時間撹拌した。固体を濾過し、MTBE/DCMの1:1混合物(2x10mL)で洗い、高真空下で乾燥させ、白色固体(7.7g)を得た。この時点での固体のHPLCは、S−4が98.21%、未反応の3が0.18%、3’,5’−ビス−ホスホルアミダート不純物が0.67%であった。上記S−4の固体をジクロロメタン(77mL、圧力容器で55℃に加熱)に再度溶解し、室温で20時間放置した。結晶性固体を濾過し、低温のジクロロメタン(5mL、0℃)で洗い、高真空下で乾燥して、純生成物を白色固体として得た(6.9g、収率68%、HPLC純度99.79%)。
【0248】
C又はC’の調製及び精製により、以下の実施例に示すように、S−4又はR−4を直接得ることができる。
【化35】
【0249】
実施例11.S−4の調製(32mgスケール):撹拌した1−((2R,3R,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン3(32mg、0.12mmol)の無水THF(1mL)溶液に、t−ブチルマグネシウムクロリド(0.26mL、0.26mmol、2.1当量)の1M溶液を室温で3分間かけて加えた。30分後、(S)−2−[(S)−(4−ニトロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(8、S−異性体)のTHF(0.5mL)溶液を3分間かけて滴加した。混合物を室温で42時間撹拌し、その後、飽和NHCl水溶液(10mL)で反応を停止した。混合物を酢酸エチルと水で分離した。合わせた有機抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣を、0〜4%メタノール/ジクロロメタンの濃度勾配でクロマトグラフィーに供し、S−4を泡沫状の固体として得た(29mg、収率44.5%)。H及び31P NMRは、本明細書に記載するものと一致した。
【0250】
実施例12.S−4の調製(2.6gスケール、クロマトグラフィーなし):撹拌した1−((2R,3R,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(2.6g、10mmol)の無水THF(50mL)溶液に、t−ブチルマグネシウムクロリド(12.4mL、21mmol、2.1当量)の1.7M溶液を室温で15分間かけて加えた。30分後、(S)−2−[(S)−(4−ニトロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(8、S−異性体、4.08g、10mmol)のTHF(15mL)溶液を10分間かけて滴加した。混合物を室温で60時間撹拌し、その後、飽和NHCl水溶液(20mL)で反応を停止した。混合物を酢酸エチル(150mL)、続いて10%NaCO水溶液(3x20mL)と水(20mL)で分離した。合わせた有機抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧化で濃縮し、淡黄色の残渣(3.8g)を得た。残渣をジクロロメタン(7.6mL)に溶解させ、その後、室温で20時間撹拌した。白色固体を濾過し、1:1のIPE/ジクロロメタン(5mL)で洗い、真空下で乾燥させ、純生成物を白色固体として得た(1.85g、収率35%)。
【0251】
実施例13.NaHMDSを用いたS−4の調製:撹拌した1−((2R,3R,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(71mg、0.27mmol)の無水THF(2.0mL)溶液に、2.0Mのナトリウムビス(トリメチ
ルシリル)アミド(NaHMDS)のTHF(270μL、0.54mmol)溶液を−
78℃で2分間かけて加えた。30分後、(S)−2−[(S)−(4−ニトロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(8、S−異性体、111mg、0.27mmol)のTHF(1mL)溶液を混合物に加えた。反応混合物を同温度で2時間撹拌し、その後、−20℃に昇温させ、同温度でさらに20時間撹拌した。TLCでは、未反応のヌクレオシド出発物質が〜30%であることが示された。そのため、さらに0.5当量の試薬(55mg、0.14mmol)のTHF(0.5mL)溶液を反応混合物に加え、さらに6時間撹拌した。反応混合物を飽和塩化アン
モニウム水溶液で反応停止し、その後、酢酸エチルと水で分離させた。合わせた有機抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、淡褐色の残渣を得た。粗生成物を、0〜5%メタノール/ジクロロメタンの濃度勾配でカラムクロマトグラフィーに供し、S−4(22mg、収率15%)、3’−ホスホルアミダート(5、S−異性体、11.5mg、収率16%)、及びビスホスホルアミダート(6、S、S−異性体、12.6mg)を得た。
【0252】
実施例14.R−4の調製(260mgスケール):撹拌した1−((2R,3R,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(260mg、1mmol)の無水THF(6mL)溶液に、tert−ブチルマグネシウムクロリド(1.23mL、2.1mmol、2.1当量)の1.7M溶液を室温で5分間かけて加えた。30分後、(S)−2−[(R)−(4−ニトロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(8、R−異性体)のTHF(3mL)溶液を3分間かけて滴加した。混合物を室温で96時間撹拌し、その後、飽和NHCl水溶液(10mL)で反応を停止した。混合物を酢酸エチル(50mL)と水(2x20mL)で分離した。合わせた有機抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧化で濃縮し、淡黄色の残渣(490mg)を得た。残渣を、0〜5%メタノール/ジクロロメタンの濃度勾配でクロマトグラフィーに供し、白色固体の生成物を得た(160mg、収率30%)。
【0253】
−4又はR−4の調製は、以下の実施例に示すように、3’−保護化した3を適切な試薬C又はC’、若しくはC及びC’を含む混合物と反応させることで実施することもできる。
【0254】
実施例15.3aを合成中間体として用いたS−4の調製
【化36】
【0255】
実施例15−1.5’−O−tert−ブチルジメチルシリル−2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチルウリジン(9)の合成:
撹拌した2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチルウリジン(3、81.1g、312mmol)の無水ピリジン(750mL)溶液に、TBDMSCl(103.19g、685.6mmol)の無水ピリジン(500mL)溶液を45分間かけて雰囲気温度で滴加した。反応物を雰囲気温度で24時間撹拌した。メタノール(85mL)を反応混合物に加え、10分撹拌し、その後、溶媒を減圧化で留去した。温水(45℃)(1L)を反応物に加え、混合物を酢酸エチル(2x500mL)で抽出し、水(1x500mL)で洗った。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。酢酸エチルを留去し、得られた残渣をトルエン(2x500mL)と同時蒸発させ、粗生成の9を白色の泡状物として得た。収量=116.9g(定量)。H NMR(CDCl,300MHz):δ0.1(s,6H)、0.91(s,9H)、1.22(d,3H,J=21Hz)、2.50(s,2H)、3.75−4.05(m,4H)、5.54(d,1H,J=9Hz)、5.73(s,1H)、6.0(d,1H,J=18Hz)、7.81(d,1H,J=9Hz)、8.57(br,s,1H)、11.1(s,1H)。
【0256】
実施例15−2.5’−O−(tert−ブチルジメチルシリル)−3’−O−レブリニル−2’−デオキシ−2’−フルオロ2’−C−メチル−ウリジン(10)の合成:
撹拌したヌクレオシド9(116.9g、312.1mmol)のDCM(1L)溶液に、DMAP(30.5g、249.7mmol)を加え、これを室温で20分撹拌した。無水レブリン酸(133.6g、642.3mmol)のDCM(200mL)溶液を混合物に加え、24時間撹拌した。混合物のTLCは反応の完了を示した。冷水(500mL)を加え、混合物を20分撹拌した。層を分離し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2x250mL)で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、その後、溶媒を減圧化で留去し、黄色油状物を得た。粗収量:197.6g(135%)。この物質をそのまま次の工程に用いた。H NMR(CDCl,300MHz)δ0.11(s,6H)、0.94(s,9H)、1.34(d,3H,J=21Hz)、2.22(s,3H)、2.6−2.89(m,4H)、3.72(m,1H)、4.01(d,1H,J=12Hz)、4.23(d,1H,J=9Hz)、5.33(dd,1H,J=15Hz)、5.73(d,1H,J=6Hz)、6.26(d,1H,J=15Hz)、8.12(d,1H,J=12Hz)、8.72(br,s,1H)。
【0257】
実施例15−3.3’−O−レブリニル−2’−デオキシ−2’−フルオロ2’−C−メチル−ウリジン(3a)の合成:
粗生成の10(197.6g、〜312.1mmol)をDCM(1L)に溶解し、TEA.3HF(50.3g、312.1mmol)を加え、雰囲気温度で一晩撹拌した。混合物のTLCは、反応の約50%の完了を示した。さらに当量のTEA.3HF(50.3g、312.1mmol)を加え、反応混合物を6時間撹拌した。この時点でのTLCでは、未反応の出発物質が約10%であった。さらに0.25当量のTEA.3HF(12.5g、78.0mmol)を加え、反応混合物を一晩撹拌した。反応混合物を濃縮乾固し、黄色油状物を得た。すべての処理分から得た粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(0〜2%MeOHのDCM溶液)、124.1gの3’−レブリン酸塩を白色の泡状固体として得た(2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチルウリジンから3工程で精製収率90%)。H NMR:(CDCl,400MHz)δ1.55(d,3H,CH3,J=20Hz)、2.36(s,3H,CH3)、2.8−3.03(m,5H,CH2CH3)、3.91−3.96(dd,1H,CH”)、4.2−4.25(m,1H,CH’)、4.34(dd,1H,CH,J=8Hz)、5.25(dd,1H,J=16Hz)、5.93(d,1H,J=8Hz)、8.20(d,1H,J=8Hz)、9.18(s,1H)。
【0258】
実施例15−4.(S)−2−{[(1R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−(R)−フルオロ−3−(4−オキソペンタノイル)−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−フェノキシ−ホスホリルアミノ}−プロピオン酸(S)−イソプロピルエステル(11)の立体選択的合成:
0℃に冷却したヌクレオシド(3a、1.00mmol、358mg)の5mL無水THF溶液に、tBuMgCl(1.7MのTHF溶液、2当量)を加え、雰囲気温度まで昇温させ、30分撹拌した。混合物に試薬(キラル純度約97%)(S)−2−[(S)−(4−ニトロ−フェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(8、S−異性体)(408mg、1.00mmol、1.00当量)を一度に加え、室温で撹拌した。16時間後、残った出発物質は〜30%となった。反応混合物を飽和NHCl水溶液10mLで反応停止し、水相を酢酸エチル(3x25mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾固し、淡黄色泡状物(500mg)を得た。これを、2〜5%メタノールの塩化メチレン溶液を用いてシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、Pキラル純度約97%の白色泡状物の生成物(275mg)と、未反応の出発物質(162mg)を得た。消費された出発物
質から、収率は76%となった。31P NMR(CDCl,162MHz):3.7ppm;H NMR(CDCl,400MHz):δ1.22(dd,6H,J=6.4Hz)、1.37(s,3H)、1.58(s,3H)、2.18(s,3H)、2.63−2.9(m,4H)、4.0(d,1H,J=8Hz)、4.2−4.33(m,1H)、4.57(d,1H,J=8Hz)、4.96−5.00(sept,1H)、5.2(dd,1H,J=9Hz)、5.42(d,1H,J=8Hz)、6.19(d,1H,J=18Hz)、7.15−7.35(m,5H)、7.5(d,1H,J=5.6Hz)、8.2(br,s,1H)。
【0259】
実施例15−5.(S)−2−{[(1R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−(R)−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イルメトキシ]−フェノキシ−ホスホリルアミノ}−プロピオン酸(S)−イソプロピルエステル(S−4)の合成:
Na(1.51g)とNa(0.57g)を水(25mL)に加えて亜硫酸ナトリウム水溶液を調製した。レブリン酸塩(11、250mg、0.40mmol)の無水THF(2.5mL)溶液に、1.0mlの亜硫酸ナトリウム水溶液を加えた。これを室温で4時間撹拌した。反応混合物を水(15mL)に注ぎ、酢酸エチル(3x25mL)で抽出し、乾燥、蒸発させた。これにより、保護化していないヌクレオシドから直接生成したS−4の物理的特性及びスペクトル特性と一致する、Pキラル純度約97%の白色固体生成物を定量的に得た。
【0260】
実施例16.3aからS−4を調製する別の手法
撹拌した4−オキソ−ペンタン酸(2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−フルオロ−2−ヒドロキシメチル−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル(3a、210mg、0.59mmol)の無水THF(1.5mL)溶液に、1.7Mのtert−ブチルマグネシウムクロリド(1.07mL、1.82mmol)溶液を室温で2分間かけて加えた。最初に白色沈殿物が観察され、10分後、反応混合物は暗黄色の溶液に変化した。30分後、(S)−2−[(S)−(4−ニトロフェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(8(S−異性体)、(382mg、0.94mmol)のTHF(1.5mL)溶液を3分間かけて滴加した。混合物を40℃で5時間加熱し、この時点でのTLC及びH NMRでは、未反応の出発物質は2%未満であった。反応物を飽和塩化アンモニウム水溶液で反応停止し、その後、酢酸エチルと水で分離させた。合わせた有機層を10%NaCO水溶液(3x10mL)、次に水で洗った。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、褐色の残渣を得た(410mg)。粗生成物をテトラヒドロフラン(1.0mL)に溶解させ、その後、亜硫酸ナトリウム(37mg、0.295mmol)とメタ重亜硫酸ナトリウム(224mg、1.18mmol)の混合物を1mLの水に溶かした水溶液を加えた。混合物を45℃で20時間加熱したが、この時点でTLCにより測定した変換率はわずか約10%であったため、さらに亜硫酸ナトリウム(74mg)とメタ重亜硫酸ナトリウム(448mg)を加え、さらに52時間加熱を続けた。この時点でTLCにより測定した変換率は約40%であった。反応混合物を水と酢酸エチルで分離した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、褐色の残渣を得た(210mg)。残渣を0〜5%MeOH/DCMの濃度勾配によるカラムクロマトグラフィーに供し、未反応の出発物質(89mg)とS−4(57mg、収率18%、回収した出発物質ベースで24%)を得た。
【0261】
実施例17.3cを合成中間体として用いたS−4の調製
【化37】
【0262】
実施例17−1.1−[(2R,3R,4R,5R)−4−(tert−ブチルジメチルシラニロキシ)−3−フルオロ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル]−1H−ピリミジン−2,4−ジオン:12の調製
3(10.0g、38.43mmol)のピリジン(50mL)溶液に、ジクロロメタン(50mL)を加えた。溶液を0℃に冷却した。溶液に4,4’−ジメトキシトリチルクロリド(14.32g、42.27mmol)を加え、溶液を0℃で5時間撹拌した。メタノール(5mL)を加えて反応を停止した。溶液を減圧下で濃縮乾固し、残渣を酢酸エチル(500mL)と水(50mL)で分離した。有機溶液を食塩水(50mL)で洗い、乾燥させた(硫酸ナトリウム、4g)。溶媒を減圧下で除去し、残渣をジクロロメタン(100mL)に溶解した。溶液にイミダゾール(7.83g、115mmol)とt−ブチルジメチルシリルクロリド(8.68g、57.6mmol)を加えた。溶液を雰囲気温度で16時間撹拌した。メタノールを加えて反応を停止し(5mL)、溶媒を減圧下で除去し、残渣を酢酸エチル(500mL)と水(50mL)で分離した。有機溶液を乾燥させ(硫酸ナトリウム、4g)、減圧下で蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィー(10〜40%EtOAcのヘキサン溶液)で精製し、5’−O−DMT−3’−O−tBDMS中間生成物を得た。これを次に1%トリフルオロ酢酸のジクロロメタン(200mL)溶液で処理した。溶液を雰囲気温度で1時間撹拌した。水(20mL)を加え、溶液を雰囲気温度でさらに1時間撹拌した。メタノール(5mL)をゆっくりと加え、溶液を雰囲気温度でさらに1時間撹拌した。水酸化アンモニウムを加えて溶液のpHを7に調整した。有機溶液を分離し、乾燥させ(硫酸ナトリウム、4g)、減圧下で濃縮乾固させた。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1〜5%メタノールのジクロロメタン溶液)で精製し、12を7.5gの白色固体として、3工程の収率50%で得た。H NMR(DMSO−d6)δ(ppm)11.48(br s,1H,NH)、7.94(d,1H,H−6)、6.00(d,1H,Η−1’)、5.69(d,1H,H−5)、4.06(dd,1H,3’−H)、3.85(m,2H,H−5’a,H−4’)、3.58(br d,1H,H−5’b)、1.27(d,3H,2−CH)、0.89(s,9H,C(CH)、0.12(s,6H,Si(CH)。
【0263】
実施例17−2.1−[(2R,3R,4R,5R)−4−(tert−ブチルジメチルシラニロキシ)−3−フルオロ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル]−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(3c)を用いたS−4の調製
撹拌した1−[(2R,3R,4R,5R)−4−(tert−ブチルジメチルシラニロキシ)−3−フルオロ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル]−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(12、374mg、1mmol)の無水THF(3mL)溶液に、1.7Mのtert−ブチルマグネシウムクロリド(1.8
mL、3.1mmol)溶液を室温で2分間かけて加えた。最初に白色沈殿物が観察され、10分後、反応混合物は透明な暗黄色の溶液に変化した。30分後、(S)−2−[(S)−(4−ニトロフェノキシ)−フェノキシ−ホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(8、S−異性体、653mg、1.6mmol)のTHF(2.5mL)溶液を3分間かけて滴加した。混合物を40℃で20時間加熱し、この時点でのTLC及びH NMRでは、未反応の出発物質は5%未満であった。反応物を飽和塩化アンモニウム水溶液で反応停止し、その後、酢酸エチルと水で分離させた。有機層を10%NaCO水溶液(3x10mL)、次に水(20mL)で洗った。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、3cを含む褐色の残渣を得た(850mg)。粗生成物をテトラヒドロフラン(2mL)に溶解させ、0.8mLの80%ギ酸水溶液を室温で加えた。反応混合物を50℃で96時間加熱した。TLCにより、約70%の変換が観察された。反応混合物を低温の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に注ぎ、その後、酢酸エチルと水で分離した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、褐色の残渣を得た(220mg)。残渣を0〜5%MeOH/DCMの濃度勾配によるカラムクロマトグラフィーに供し、未反応の出発物質(21mg)とS−4(77mg、収率35%、回収した出発物質ベースで39%)を得た。
【0264】
実施例18.3dを合成中間体として用いたS−4の調製
【化38】
【0265】
実施例18−1.3dの調製
0℃の撹拌した3のピリジン(20mL)溶液に、TIPDS−Clを15分間かけて滴加した。混合物をゆっくりと室温に昇温させ、同温度で16時間撹拌した。ピリジンを留去し、残渣をトルエン(50mL)と同時蒸発させた。その後、残渣をヘキサンでトリチュレートし、白色沈殿物を、セライトパッドを用いて濾過して取り除いた。濾液を減圧下で濃縮し、泡沫状の固体(12.97g)を得た。粗生成物(13)をテトラヒドロフラン(75mL)に再度溶解し、TFAの水溶液(75mL、1:1TFA/水)を0℃で20分間かけて加えた。混合物を同温度で6時間撹拌した。TLCでは、〜5%の出発
物質が観察された。反応混合物に飽和NaHCO水溶液をpH8になるまで加えて反応を停止し、その後、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出液を水で洗い、乾燥させ、濃縮し、白色結晶性固体を得た。固体をさらにヘキサン(30mL)でトリチュレートし、得られた白色固体を濾過し、高真空下で乾燥して3dを得た(10.1g、2工程収率84%)。H NMR(400MHz,CDCl):δ8.83(bs,1H)、7.94(bd,J=6.0Hz,1H)、6.10(bd,J=18.4Hz,1H)、5.71(d,J=8.2Hz,1H)、4.43(bs,1H)、4.36(dd,J=22.6,9.0Hz,1H)、4.27(bs,1H)、4.10(d,J=13.2Hz,1H)、4.03(d,J=9.2Hz,1H)、3.92(d,J=13.2Hz,1H)、1.39(d,J=22.0Hz,3H)、1.11−0.92(m,28H)。
【0266】
実施例18−2.S−4の調製
撹拌した3d(520mg、1mmol)の無水THF(5mL)溶液に、1.7Mのtert−ブチルマグネシウムクロリド(1.8mL、3.1mmol、3.1当量)溶液を室温で15分間かけて加えた。30分後、(S)−2−[(S)−(4−ニトロ−フェノキシ)−フェノキシホスホリルアミノ]プロピオン酸イソプロピルエステル(8、S−異性体、653mg、1.6mmol)のTHF(1mL)溶液を3分間かけて滴加した。混合物を室温で60時間撹拌した。粗生成試料のH及び31P NMRでは、ジアステレオマーの混合比率がおよそ1:0.76であった。反応混合物を飽和NHCl水溶液(20mL)で反応停止した。混合物を酢酸エチル(150mL)、次に10%NaCO水溶液(3x20mL)と水(20mL)で分離した。合わせた有機抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、淡黄色の残渣を得た(14、878mg)。
上記化合物14をテトラヒドロフラン(3mL)に再度溶解させ、その後、80%ギ酸水溶液を加えた。混合物を55℃で20時間加熱した。反応混合物を0℃に冷却し、その後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(pH7.0)で反応を停止した。その後、反応混合物を酢酸エチルと水で分離した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、560mgの残渣を得た。残渣を0〜5%メタノール/ジクロロメタンの濃度勾配によるクロマトグラフィーに供し、未反応の出発物質(14、242mg)とS−4(80mg、収率15%)を白色固体として得た。
【0267】
実施例19.同位体標識されたS−4の調製
【化39】
【0268】
実施例19−1.1−((6aR,8R,9R,9aS)−9−ヒドロキシ−2,2,4,4−テトライソプロピルテトラヒドロ−6H−フロ[3,2−f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン−8−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン:16の調製
ウリジン(15、100.0g、409.5mmol)を無水ピリジン(600mL)と同時蒸発して乾固し、無水ピリジン(700mL)に再度懸濁した。撹拌した微細粒子懸濁液に、1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン(135.7g、482.5mmol)を雰囲気温度で60分間かけて加えた。微細粒子懸濁液を雰囲気温度で17時間撹拌した後、メタノール(20mL)を加えて反応を停止し、その後、減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチル(1.5L)と水(2L)で分離した。有機層をさらに5%塩酸(2x1L)、食塩水(500mL)で洗い、固体硫酸ナトリウム(50g)で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物約250gを得た。残渣を、シリカゲルと酢酸エチルのヘキサン溶液20〜65%の濃度勾配を用いた濾過カラムに供した。相同TLC(1:1ヘキサン−酢酸エチル溶液でRf=0.55)で確認した純生成物の画分を合わせて、減圧下で濃縮し、乾燥させ(40℃、0.2mmHg、24時間)、16を白色の泡状固体として145.5g(76%)得た。わずかに純粋でない16の別の画分(35g)も回収した。H NMR(DMSO−d)δ(ppm)11.35(s,1H,NH)、7.66(d,1H,J=7.6Hz,H−6)、5.57(d,1H,J=4.8Hz,2’−OH)、5.50−5.49(m,2H,1’−H及びH−5)、4.14−4.18(m,3H,2’,3’,4’−H)、3.97−3.87(m,2H,5’−Ha及びHb)、1.02−0.95(m,28Η,CH(CH)。
【0269】
実施例19−2.1−((6aR,8R,9aR)−2,2,4,4−テトライソプロピル−9−オキソテトラヒドロ−6H−フロ[3,2−f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン−8−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン:17の調製
乾燥した三口丸底フラスコに、無水DCM(600mL)とDMSO(30.82g、394.5mmol)を加えた。溶液を窒素雰囲気下、ドライアイス/アセトン浴で−7
8℃に冷却した。トリフルオロ酢酸無水物(無水、77.7g、369.8mmol)をシリンジで40分間かけて加え、濁った混合物を得た。混合物に、ウリジン誘導体16のDCM(600mL)溶液を、添加用漏斗を用いて、−78℃で75分間かけて滴加した。この不均一混合物を−78〜−65℃で2時間撹拌し、その後、無水トリエチルアミン(92mL)をシリンジで素早く加え、透明な淡黄色の溶液を得た。低温で1時間後、反応の完了をTLC(30%EtOAcのヘキサン溶液)で確認した。冷却浴を取り除き、反応混合物を雰囲気温度まで1時間でゆっくりと昇温させた。飽和NHCl(180mL)を加えて反応を停止した。水(200mL)を加え、有機層を分離した。水層を再度DCM(300mL)で抽出した。合わせた有機層を水(3x400mL)、食塩水(150mL)で洗い、NaSOで乾燥させた。溶媒を除去し、粘質の褐色残渣を得た。
【0270】
粗生成の油状残渣(微量のDCMを含む)をフリーザーに一晩置いた。その後、油中に結晶性固体が一部観察された。油状物を500mLのヘキサンに雰囲気温度で溶解させた。溶液をフリーザーに24時間置き、固体がさらに形成された。固体を濾過して回収し、低温の10%DCMのヘキサン溶液(1L)で洗い、オレンジ色がほとんど除かれた。固体(17)を真空下で2時間乾燥させ、その後、24時間風乾させた。真空下50℃で乾燥させた後、固体の重量は21gとなった。濾液を濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(10〜70%酢酸エチルのヘキサン溶液)で精製し、17を淡オレンジ色の固体としてさらに37g得た(合計収率97%)。
【0271】
実施例19−3.1−((2R,3S,4R,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−3−13C−ペルジュウテリオメチルテトラヒドロフラン−2−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン:18の調製
5%塩酸水溶液で洗い、乾燥(50℃、0.2mmHg、24時間)したマグネシウム(3.53g、147mmol)を、マグネチックスターラーとコンデンサーを備えた二口丸底フラスコに入れた。フラスコをアルゴンガスで満たし、その後、無水エーテル(80mL)を加えた。エーテル中のマグネシウムに、ヨウ化ペルジュウテリオ−13Cメチル(15.06g、110.3mmol)をゆっくりと加え、発熱反応が起きた。反応混合物が冷めた後、上清を、乾燥した化合物17(50℃、0.2mmHg、15時間)(10.0g、20.63mmol)の無水THF(1L)溶液に、−50℃で20分間かけて移した。温度を−40℃まで昇温させ、混合物を−40〜−25°で4時間撹拌した。反応終了後、混合物をEtOAc(1L)により−50℃で希釈し、その後、食塩水(300mL)をゆっくりと加えた。有機層を分離し、その後、飽和塩化アンモニウム水溶液(300mLx2)で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過及び減圧下での濃縮後、残渣をMeOH(250mL)に溶解させた。フッ化アンモニウム(12g)とTBAF(400mg)を加えた。混合物を90℃で7時間撹拌し、その後、シリカゲル(20g)を用いて減圧下で濃縮した。真空で完全乾燥した後、得られた残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH:CHCl=1:20〜1:10)で精製し、化合物18(5g、46%)を白色固体として得た。H NMR(DMSO−d)δ(ppm)11.26(s,1Η,ΝΗ)、7.65(d,1H,J=8.4Hz,H−6)、5.77(d,1H,J=2.4Hz,H−1’)、5.57(d,1H,J=8.0Hz,H−5)、5.46(d,1H,J=5.2Hz,HO−3’)、5.24(d,1H,J=2.4Hz,HO−2’)、5.14(t,1H,J=5.6Hz,HO−5’)、3.74−3.56(m,4H,H−3’,4’,5’,5”)。
【0272】
実施例19−4.((2R,3R,4S,5R)−3−アセトキシ−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−ジヒドロキシ−4−13C−ペルジュウテリオメチルテトラヒドロフラン−2−イル)メチルアセテート:19の調製
化合物18(5.00g、19.1mmol)の無水ピリジン(100mL)溶液に、
無水酢酸(3mL)を雰囲気温度で加えた。得られた混合物を雰囲気温度で15時間撹拌し、EtOAc(250mL)で希釈し、水(50mLx3)で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過及び濃縮後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜5%MeOHのCHCl溶液)で精製し、化合物19(4.0g、68%)を灰色の固体として得た。
【0273】
実施例19−5.((2R,3R,4R,5R)−3−アセトキシ−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−4−13C−ペルジュウテリオメチルテトラヒドロフラン−2−イル)メチルアセテート:20の調製
化合物19(2.33g、6.73mmol)の無水CHCl(60mL)溶液に、DAST(1.33mL、10.1mmol)を−78℃でゆっくりと加えた。得られた混合物を、雰囲気温度にさらした後、30分撹拌した。同様の方法で、2.33gスケールの2つの反応物と、1.00gスケールの1つの反応物をさらに処理した。4つの反応混合物のすべてを合わせ、CHCl(300mL)で希釈し、氷水(100mLx2)、続いて、低温のNaHCO水溶液(100mLx2)で洗った。乾燥、濾過、濃縮後、残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(0〜50%EtOAcのヘキサン溶液、化合物は48%前後で確認された)、化合物20を白色固体として得た(2.0g、合計7.99gの化合物19から24%)。H NMR(CDCl)δ(ppm)8.27(s,1H,NH)、7.55(d,1H,J=8.4Hz,H−6)、6.17(d,1H,J=18.8Hz,Η−1’)、5.78(dd,1H,J=1.2,8.4Hz,H−5)、5.12(dd,1H,J=9.6,21.6Hz,H−3’)、4.40−4.31(m,3H,H−4’,5’,5”)、2.19(s,3H,CH)、2.15(s,3H,CH)。
【0274】
実施例19−6.1−((2R,3R,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−3−13C−ペルジュウテリオメチルテトラヒドロフラン−2−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン:21の調製
化合物20(2g、5.74mmol)のメタノール(20mL)溶液に、n−ブチルアミン(6mL)を加えた。得られた混合物を室温で15時間撹拌し、シリカゲルを用いて真空中で濃縮した。得られた残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(0〜10%MeOHのCHCl溶液)で精製し、化合物21(1.3g、85%)を白色固体として得た。H NMR(CDOD)δ(ppm)8.08(d,1H,J=8.0Hz,H−6)、6.13(d,1H,J=18.4Hz,H−1’)、5.70(d,1H,J=8.0Hz,H−5)、3.99(d,1H,J=13.6Hz,H−5’)、3.97−3.91(m,2H,H−3’,4’)、3.80(dd,1H,J=2.0,12.8Hz,H−5”)、ESMS(M+1)推定265、実測265。
【化40】
【0275】
実施例19−7.(S)−イソプロピル2−((((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−13C−ペルジュウテリオメチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエート:22の調製
保護化されていないヌクレオシド21(207mg、0.783mmol)及びN−メチルイミダゾール(0.4ml、5mmol)のTHF(4mL)溶液に、あらかじめ調
製したホスホロクロリデートのTHF溶液(1.0M、2.35ml、2.35mmol)を0℃で滴加した。反応物を1時間かけてゆっくりと雰囲気温度に昇温させ、その後、水(1mL)とEtOAc(5mL)を加えた。有機溶液を飽和一塩基クエン酸ナトリウム水溶液(2x2ml)、飽和NaHCO水溶液(1x2ml)で洗い、乾燥させ(MgSO)、減圧下で濃縮した。粗生成物を、0〜5%PrOHのCHCl溶液を溶出剤として用いたシリカカラムクロマトグラフィーで精製し、ホスホルアミダート22(216mg、52%、P−ジアステレオマーの1:1混合物)を白色固体として得た:H NMR(400MHz,DMSO−d)δ11.54(s,1H)、7.56(d,J=6.8Hz,1H)、7.40−7.35(m,2H)、7.23−7.18(m,3H)、6.14−5.96(m,2H)、5.89(dd,J=5.6,25.6Hz,1H)、5.55(t,J=8.4Hz,1H)、4.85(dq,J=1.6,6.0Hz,1H)、4.44−4.32(m,1H)、4.25(m,1H)、4.06−3.98(m,1H)、3.86−3.70(m,2H)、1.30−1.08(m,9H);31P NMR(162MHz,DMSO−d6)δ4.90、4.77;LRMS(ESI)[M+H]2113CH27FNPの計算値534.5、実測値534.4。
【0276】
実施例19−8.(2S)−2−(((((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−13C−ペルジュウテリオメチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(ヒドロキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸:23の調製
ホスホルアミダート22(147mg、0.276mmol)をトリエチルアミン(2mL)と水(0.5mL)に懸濁し、60℃で30時間加熱した。その後、揮発性成分を減圧下で留去した。粗生成物を、シリカカラムクロマトグラフィーにより、50〜70%PrOHのCHCl溶液、次に0〜20%NHOHのPrOH溶液で溶出させて精製し、23を白色固体として得た(95mg、83%):H NMR(400MHz,DMSO−d)δ8.00(d,J=8.4Hz,1H)、5.98(d,J=19.2Hz,1H)、5.52(d,J=8.4Hz,1H)、4.02−3.81(m,4H)、1.10(d,J=6.8Hz,3H);31P NMR(162MHz,DMSO−d)δ8.12;LRMS(ESI)[M+H]1213CH17FNPの計算値416.3、実測値416.4。
【0277】
−4、4、及びS−4の試料の特性
−4、4、及びS−4の試料を、X線粉体回折(XRPD)、核磁気共鳴(NMR)分析法、フーリエ変換赤外(FT−IR)分光法、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、重量法水蒸気吸着測定(GVS)、熱力学的水溶解度、及び高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した。
【0278】
実施例20.X線粉体回折
−4、4、及びS−4の試料を、X線粉体回折(XRPD)により下記の条件で分析した。
【0279】
a.Bruker AXS/Siemens D5000
X線粉体回折パターンを、Siemens D5000回折計により、Cu Kα放射(40kV、40mA)、θ−θ角度計、V20及び受光スリットの発散、グラファイト二次モノクロメーター、並びにシンチレーションカウンターを用いて収集した。本機器を、認証されたコランダム標準(NIST1976)を用いて、性能検査を行う。データ収集用のソフトウェアとして、Diffrac Plus XRPD Commander
v2.3.1を用い、データの解析及び提示にはDiffrac Plus EVA v11.0.0.2又はv13.0.0.2.を用いた。
【0280】
環境条件
環境条件下で計測した試料は、受領したままの粉体を用いて、平板試料として調製した。約35mgの試料を、滑らかなゼロバックグラウンド(510)シリコンウエハーに切り込まれた穴に軽く詰めた。分析中、試料はその平面で回転させた。データ収集の詳細は、角度範囲:2〜42°2θ;ステップサイズ:0.05°2θ;及び、収集時間:4s.ステップ−1とした。
【0281】
b.Bruker AXS C2 GADDS
X線粉体回折パターンを、Bruker AXS C2 GADDS回折計により、Cu Kα放射(40kV、40mA)、自動XYZステージ、自動サンプル位置決め用レーザービデオ顕微鏡、及びHiStar2次元領域検出器を用いて収集した。X線光学系は、0.3mmのピンホールコリメータに連結された単一のGobel多層膜鏡から成る。
【0282】
ビーム発散、すなわち試料上のX線ビームの有効な大きさは、約4mmであった。θ−θ連続スキャンモードを試料−検出器間距離20cmで用い、これにより、3.2°〜29.7°の有効2θ範囲が得られた。通常、試料はX線ビームに120秒間当てられる。データ収集用のソフトウェアとしてGADDS for WNT 4.1.16を用い、データの解析及び提示にはDiffrac Plus EVA v9.0.0.2又はv13.0.0.2を用いた。
【0283】
環境条件
環境条件下で計測した試料は、受領したままの粉体を用いて、粉砕を行わず、平板試料として調製した。約1〜2gの試料をスライドガラスに軽く押し付け、平面にした。
【0284】
X線粉体回折(XRPD)
XRPDにより、4は非結晶であることがわかった(図1参照)。実施例3に従って調製したR−4の高分解能XRPD分析では、S−4(実施例4、方法4に従って調製)のものとは異なる粉体パターンを呈する結晶性固体が確認され、またS−4も結晶性固体であることが確認された。R−4及びS−4のXRPDの結果を表1に示す(≦5%(R−4)及び≦3%(S−4)の強度を示すピークはすべて除く)。
【0285】
表1.R−4及びS−4のXRPDデータ
【表1-1】
【表1-2】
【0286】
−4の試料は、乳棒と乳鉢で粉砕し、その後、500μmと250μmの篩に連続してかけ、微粉末の試料とした。この試料を高分解能XRPDで再分析し、形態の変化が起きていないことを確認した。
【0287】
実施例21.S−4の結晶化の検討
結晶性のS−4は多形性を示す。そのため、ある態様は、結晶性S−4及びその個
々の多形型に向けられている。S−4は少なくとも5つの多形型で存在でき、それらを形態1〜5と呼ぶ。さらに、非結晶S−4も調製することができる。一般的な結晶化では、約100mgのS−4を適切な量の結晶化溶媒(アセトニトリル(5vol)、クロロホルム(5vol)、酢酸n−ブチル(7vol)、ジクロロメタン(50vol)、アニソール(7vol)、及び1:1MTBE/ヘプタン(50vol))に溶解し、その後、溶液を5℃で蒸発させる。様々な結晶形が得られるが、濾過及び/又は乾燥により、各結晶形から形態1が得られる。
【0288】
形態1、2、及び3は、それぞれ、溶媒和されていない形態、1:1のDCM溶媒和物、1:1のクロロホルム溶媒和物であり、単結晶X線及びXRPD分析で確認されている。形態4及び5は、S−4をそれぞれアセトニトリルとアニソールの溶液から結晶化することで得られる。形態4及び5は、十分な質の単結晶が得られなかったため、溶媒和されていない形態であるか、水和物であるか、又は溶媒和物であるかを決定する十分なデータを収集することができなかった。形態4及び5は、濾過により形態1に変換される。S−4を酢酸n−ブチル(BuAc)、並びにメチル−ブチルエーテル(MTBE)及びヘプタンを含む溶液から結晶化させることで、2つのさらなる結晶形態が得られた;濾過により、これらの結晶形態はともに形態1に変換される。形態2及び3も、単離することで形態1に変換される。形態1は、溶媒和されていない形態であり、幅広い融解吸熱範囲を持ち、開始温度は94.3℃、ΔHfusは24.0kJmol−1である。S−4形態1のさらなるXRPDパターンを図4に示す。
【0289】
−4の形態1からS−4の形態6への変換
形態1は、少なくとも2つの方法で、形態2に変換することができる。
【0290】
まず、形態1の微細結晶を大気湿度に数日間さらし、固化したゴム質の外観を呈する形態1の一水和物を生成する。一水和物の固体を粉砕して微粉末にした後も、XRPDパターンは形態1と一致したままであった。開放容器に6〜10週間放置したところ、粉砕した物質はゆっくりと無水固体である形態6に変化した。密閉容器内では、形態1は少なくとも2年間安定である。
【0291】
別の方法として、形態1を雰囲気温度で水に5〜50mg/mLで懸濁し、数時間で形態6に変換することができる。水変換処理は、水を形態1がさらに溶解する温度まで加熱し、固化したゴム質からS−4の混合しない部分の流動性を高め、懸濁油状物程度又はそれ以上にすることで、効率を上げることができる。時間が経つと、形態6は50℃で結晶化し始める。懸濁液をさらに0〜10℃に冷却すると、固体の回収率を上げることができる。また、水からの結晶化は、極性の微量不純物をより多く取り除くことができ、全体の純度を高めることができる。
【0292】
ジクロロメタン又はアセトニトリルなどの有機溶媒に、形態6を再度溶解させ、続いて結晶化させることで、形態6の結晶をシードに用いた場合でも、形態1を生成することができる。
【0293】
ゴム隔膜とマグネット撹拌子を備えた、乾燥した100mLの一口丸底フラスコに、1.04gのS−4形態1を入れた。HPLC純度99.7%。40mLの脱イオン水を加えた。懸濁液を勢いよく撹拌し、50℃まで加熱した。50℃に達すると、大部分が均質な溶液を60分間放置し、その間に固体が溶液から沈殿して薄いスラリーを形成した。スラリーを90分間かけて20℃に冷却し、20℃で16時間放置し、その後さらに30分間かけて0〜5℃に冷却し、0〜5℃で2.5時間放置した。スラリーを、中程度の間隙率のガラスフリット付き漏斗で濾過し、10mLの氷冷水で洗った。湿った固形物を2時間真空乾燥し、その後、真空オーブンで一晩23時間、50℃で乾燥させた。0.88
g(回収率84.6%)のS−4形態6を単離した。
形態6は、約124.5〜126℃の実測融点を有する。
【0294】
実施例21−1.S−4形態1
表2に、S−4形態1のピークのリストを示す。
【表2-1】
【表2-2】
【0295】
実施例21−2.S−4形態2
図5に、S−4形態2のXRPDパターンを示す。
表3に、S−4形態2のピークのリストを示す。
【表3】
【0296】
実施例21−3.S−4形態3
図6に、S−4形態3のXRPDパターンを示す。
表4に、S−4形態3のピークのリストを示す。
【表4】
【0297】
実施例21−4.S−5形態4
図7に、S−4形態4のXRPDパターンを示す。
表5に、S−4形態4のピークのリストを示す。
【表5】
【0298】
実施例21−5.S−4形態5
図8に、S−4形態5のXRPDパターンを示す。
表6に、S−4形態5のピークのリストを示す。
【表6】
【0299】
実施例21−5.S−4形態6
図21に、S−4形態6のXRPDパターンを示す。
下記表に、S−4形態6のピークのリストを示す。
【表7】
【0300】
実施例21−7.S−4(非結晶)
図9に、非結晶S−4のXRPDパターンを示す。
【0301】
実施例22.S−4及びその溶媒和物の単結晶X線結晶構造解析
【0302】
実施例22−1.S−4(形態1)の単結晶X線結晶構造解析
図10は、S−4形態1のX線結晶構造を示す。この図では、結晶構造から見た形態1の分子を示し、また用いたナンバリング方式を示している。非水素原子の異方性原子変位楕円体は、50%の確率水準で示されている。水素原子は任意の小半径で示されている。
【0303】
構造解は、直接的手法、加重w−1=σ(F)+(0.0592P)+(0.6950P)(ここで、P=(F+2F)/3)を用いたFの完全行列最小二乗精密化、異方性変位パラメーター、球面調和関数を用いた経験的吸収補正を、SCALE3 ABSPACKスケーリングアルゴリズムに実施して得た。すべてのデータで最終wR={Σ[w(F−F]/Σ[w(F1/2}=0.0871、F>4σ(F)である7090個の反射のF値について通常R=0.0329、すべてのデータ及び870個のパラメーターでS=1.016。最終Δ/σ(最大)0.001、Δ/σ(平均)0.000。最終差分マップは+0.534〜−0.36eÅ−3
【0304】
表7.形態1の単結晶パラメーター
【表8】
【0305】
実施例22−2.S−4(形態2)の単結晶X線結晶構造解析
図11は、S−4形態2のX線結晶構造を示す。この図では、結晶構造から見た形態2の分子を示し、また用いたナンバリング方式を示している。データが非常に弱いため、ヘテロ原子は等方性で分割している。水素原子は示していない。
【0306】
構造解は、直接的手法、加重w−1=σ(F)+(0.0975P)+(10.6969P)(ここで、P=(F+2F)/3)を用いたFの完全行列最小二乗精密化、異方性変位パラメーター、球面調和関数を用いた経験的吸収補正を、SCA
LE3 ABSPACKスケーリングアルゴリズムに実施して得た。すべてのデータで最終wR={Σ[w(F−F]/Σ[w(F1/2}=0.1883、F>4σ(F)である2525個の反射のF値について通常R=0.0741、すべてのデータ及び158個のパラメーターでS=1.05。最終Δ/σ(最大)0.000、Δ/σ(平均)0.000。最終差分マップ+1.388〜−0.967eÅ−3
【0307】
表8.形態2の単結晶パラメーター
【表9】
【0308】
実施例22−3.S−4(形態2)の単結晶X線結晶構造解析
図12は、S−4(形態2)のX線結晶構造(ORTEP−異方性)を示す。S
4(形態2)の塩化メチレン溶媒和物C2331POFClの結晶構造は、単斜晶系空間群P2(消滅則0k0:k=奇数)を生じ、a=12.8822(14)Å、b=6.1690(7)Å、c=17.733(2)Å、β=92.045(3)°、V=1408.4(3)Å、Z=2、d計算値=1.449g/cmである。X線強度データは、Rigaku Mercury CCD面検出器により、グラファイトで単色化したMo−Kα放射(λ=0.71073Å)を用いて、温度143Kで収集した。予備指標化は、照射時間30秒で一連の12個の0.5°回転イメージから行った。結晶−検出器間距離35mm、2θスイング角−12°、回転幅0.5°、及び照射30秒で、合計648個の回転イメージを収集した:スキャン番号1は、ω=10°、χ=20°で315°〜525°のφ−スキャン;スキャン番号2は、χ=−90°、φ=315°で−20°〜5°のω−スキャン;スキャン番号3は、χ=−90°、φ=135°で−20°〜4°のω−スキャン;スキャン番号4は、χ=−90°、φ=225°で−20°〜5°のω−スキャン;スキャン番号5は、χ=−90°、φ=45°で−20°〜20°のω−スキャン。回転イメージは、CrystalClear(CrystalClear:株式会社リガク、1999)を用いて処理し、平均化していないF及びσ(F)値のリストを作成し、その後、それらをCrystalStructure(CrystalStructure:CrystalStructureアナリシスパッケージ、株式会社リガク、Rigaku/MSC(2002))プログラムパッケージにより、Dell Pentium(登録商標) IIIコンピューターを用いて、さらなる処理と構造解析を行った。5.48≦2θ≦50.04°、−14≦h≦15、−7≦k≦6、−19≦l≦21の範囲で、合計7707個の反射を測定し、4253個の固有反射(Rint=0.
0180)が得られた。強度データは、ローレンツ効果及び分極効果、並びに吸収の補正を、REQABを用いて行った(最小及び最大トランスミッション0.824、1.000)。
【0309】
構造は、直接的手法により解明した(SIR97、SIR97:Altomare, A., M. Burla, M. Camalli, G. Cascarano, C. Giacovazzo, A. Guagliardi, A. Moliterni, G. Polidori & R. Spagna (1999). J Appl. Cryst., 32, 115-119)。精密化は、Fの完全行
列最小二乗法を、SHELXL−97を用いて行った(SHELXL−97:Sheldrick,
G.M. (2008) Acta Cryst, A64, 112-122)。精密化では、すべての反射を用いた。用い
た加重の式は、w=1/[σ(F)+0.0472P+0.4960P](ここで、P=(F+2F)/3)。非水素原子は異方的に精密化し、水素原子は「ライディング(riding)」モデルを用いて精密化した。精密化は、F>4σ(F)である4046個の反射に対してR=0.0328及びwR=0.0817、全4253個の固有の非ゼロ反射及び358の変数に対してR=0.0348、wR=0.0838、GOF=1.056に収束させた(R=Σ||F|−|F||/Σ|F|;wR={Σw(F−F/Σw(F1/2;GOF={Σw(F
−F/(n−p)}1/2;ここで、n=反射の数、p=精密化するパラメー
ターの数)。最小二乗の最終サイクルの最大Δ/σは、0.000で、最終差分フーリエの2つの最も突出したピークは、+0.312と−0.389e/Åであった。フラック(Flack)絶対構造パラメーターは−0.06(6)に精密化し、これにより表題化合
物の立体化学を確認した。
【0310】
表1に、セル情報、データ収集パラメーター、及び精密化データを記載する。最終ポジション及び等価の等方性熱パラメーターを表2に示す。異方性熱パラメーターを表3に示す。("ORTEP-II: A Fortran Thermal Ellipsoid Plot Program for Crystal Structure Illustrations"、C.K. Johnson (1976) ORNL-5138。)確率30%の熱振動楕円体で分子
を示している。
【0311】
表9.S−4・CHCl化合物の構造決定の概要
【表10】
【0312】
実施例22−4.S−4(形態3)の単結晶X線結晶構造解析
図13は、S−4形態3のX線結晶構造を示す。この図では、結晶構造から見た形態3の分子を示し、また用いたナンバリング方式を示している。非水素原子の異方性原子変位楕円体は、50%の確率水準で示されている。水素原子は任意の小半径で示されている。
【0313】
構造解は、直接的手法、加重w−1=σ(F)+(0.0512P)+(0.6810P)(ここで、P=(F+2F)/3)を用いたFの完全行列最小二乗精密化、異方性変位パラメーター、球面調和関数を用いた経験的吸収補正を、SCALE3 ABSPACKスケーリングアルゴリズムに実施して得た。すべてのデータで最終wR={Σ[w(F−F]/Σ[w(F1/2}=0.0796、F>4σ(F)である2486個の反射のF値に関して通常R=0.0294、すべてのデータ及び377個のパラメーターでS=1.068。最終Δ/σ(最大)0.001、Δ/σ(平均)0.000。最終差分マップは+0.211〜−0.334eÅ−3
【0314】
表10.形態3の単結晶パラメーター
【表11】
【0315】
実施例23.高温及び高相対湿度における安定性
−4の試料を40℃、相対湿度75%の湿度室に1週間置き、試料をXRPDで再度分析した。得られたR−4の粉末パターンは、実験中に実質的な変化が起きていないことを示しており、すなわち固体形状に変化は観察されなかった。これは、4の試料とは対照的で、4の試料では40℃、相対湿度75%で保管すると約16時間以内に潮解が起きた。実際の4の潮解性質を以下に説明する。4の試料を250μmの篩にかけ、その後、試料を40℃/75%RH及び25℃/53%相対湿度に置き、目視による観察を一定間隔で行った。結果を表4に示す。
【0316】
表11.高相対湿度に対する4の安定性
【表12】
【0317】
−4の試料は、40℃、相対湿度75%に置くと、16時間以内に潮解した。例として、S−4の試料を乳棒と乳鉢で粉砕し、その後、500μmと250μmの篩に連続してかけ、微粉末の試料とした。この物質の試料を40℃、相対湿度75%、及び25℃、53%RHに置き、目視による観察を一定間隔で行った。結果を表5に示す。
【0318】
表12.高相対湿度に対するS−4の安定性
【表13】
【0319】
25℃、53%RHに104時間置いた試料のXRPD分析では、生成されたディフラクトグラムに実質的な変化は見られず、形態の変化は起きていないことが示された。
【0320】
実施例24.フーリエ変換−赤外(FT−IR)分光法
汎用減衰全反射(ATR)サンプリング付属装置を取り付けたパーキンエルマーSpectrum Oneを用いてデータを収集した。データは、Spectrum v5.0.1ソフトウェアを用いて収集、解析を行った。
【0321】
4、R−4、S−4の得られたIRスペクトルを、それぞれ図5〜7に示す。主要なピークを波長数(cm−1)で以下に記載する:
4:〜1680、〜1454、〜1376、〜1205、〜1092、〜1023(図14);
−4:〜1742、〜1713、〜1679、〜1460、〜1377、〜1259、〜1157、〜1079(図15);及び
−4(形態1):〜1743、〜1713、〜1688、〜1454、〜1378、〜1208、〜1082(図16)。
【0322】
実施例25.示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)
DSCのデータを、50検体オートサンプラーを備えたTA InstrumentsのQ2000で収集した。熱容量の校正はサファイアを用いて行い、エネルギーと温度の校正は認証付きインジウムを用いて行った。
【0323】
温度変調DSCは、通常、各試料0.8〜1.2mgに対して、小さな穴を設けたアルミニウムパンで、底部加熱速度2℃.min−1、温度変調パラメーター±0.2℃.min−1及び40秒によって実施した。試料に対して乾燥窒素のパージを50ml.min−1で維持した。
【0324】
機器の制御ソフトウェアは、Q Series用Advantage v2.8.0.392及びThermal Advantage v4.8.3を用い、データ解析はUniversal Analysis v4.3Aを用いて行った。
【0325】
DSCのデータを、34検体オートサンプラーを備えたMettler DSC823eで収集した。機器のエネルギーと温度の校正は認証付きインジウムを用いて行った。通常、各試料0.8〜1.2mgを、小さな穴を設けたアルミニウムパン中で、10℃.min−1で25℃から250℃まで加熱した。試料に対して乾燥窒素のパージを50ml.min−1で維持した。機器の制御及びデータ解析のソフトウェアには、STARe v9.20を用いた。
【0326】
−4(形態6)のDSCデータは、DSC装置(TA Q2000)を用いて、加熱速度10℃/min、乾燥窒素ガスの連続流入下(100ml/min)で収集した。約2.2mgの試料を正確に計量し、密閉されていないゆるい蓋の付いた「Tzero」パン中で加熱した。機器は、インジウム標準物(エンタルピー及び温度)とサファイア標準物(熱容量)で校正を行った。不安定性は、温度で±0.1℃、計測エンタルピーで±5%と推定される。開始温度の測定には、TA Universal Analysisソフトウェアを用いた。
【0327】
TGAデータは、34検体オートサンプラーを備えたMettler TGA/SDTA851eで収集した。認証付きインジウムで機器の温度の校正を行った。通常、各試料8〜12mgを、あらかじめ計量したアルミ製るつぼにのせ、10℃.min−1で雰囲気温度から350℃まで加熱した。試料に対して窒素のパージを50ml.min−1で維持した。機器の制御及びデータ解析のソフトウェアには、STARe v9.20を用いた。
【0328】
4のDSC分析では、58.7℃から始まる単一の広い吸熱(ΔH14J.g−1)が、さらなる変調DSC分析によるガラス転移中の分子緩和によるものであることが確認された(図17)。4のTGA分析では、240℃を超えた分解の前に重量の減少は見られず、該物質が溶媒和されないことが確認された。4のXRPD分析で該物質が非晶質であることが確認されたため、ガラス転移点を算出するために変調DSC分析を実施し、それが57℃であることがわかった。
【0329】
DSC分析では、136.2℃から始まる単一の急な吸熱(ΔH76J.g−1)が高温顕微鏡観察による溶解であることが確認された。図18参照。R−4のTGA分析では、240℃を超えた分解の前に重量の減少は見られず、該物質が溶媒和されないことが確認された。
【0330】
−4のDSC分析では、93.9℃から始まる単一の広い吸熱(ΔH43J.g−1)が高温顕微鏡観察による溶解であることが確認された。図19参照。S−4のTGA分析では、240℃を超えた分解の前に重量の減少は見られず、該物質が溶媒和されないことが確認された。
【0331】
−4(形態6)のDSC分析では、120.7℃から始まる広い吸熱(ΔH79J
.g−1)が見られた。
【0332】
実施例26.重量法水蒸気吸着測定(GVS)
SMS DVS Intrinsic
収着等温線は、SMS DVS Intrinsic水分収着等温線分析計を用いて、SMS Analysis Suiteソフトウェアで制御を行って得た。試料温度は、機器制御により25℃に維持した。湿度は、乾燥窒素と湿性窒素の混合流で制御し、合計流量は200ml.min−1とした。相対湿度は、校正済みのRotronic製プローブ(ダイナミックレンジ1.0〜100%RH)を試料の近くに置いて計測した。%RHの作用として、試料の重量変化(質量の緩和)を微量天秤(精度±0.005mg)で常に測定した。
【0333】
通常、試料5〜20mgを、環境条件下で、風袋を計量したメッシュのステンレススチール製バスケットに入れた。試料の出し入れは、40%RH、25℃(一般的な室内条件)で行った。水分収着等温線は以下に示す概要で測定した(2回のスキャンで全サイクル1回)。標準等温線は、25℃、10%RH間隔で0.5〜90%RHの範囲において測定した。
【0334】
表13.SMS DVS Intrinsic試験の手法のパラメーター
【表14】
【0335】
等温線の測定後、試料を回収し、XRPDで再度分析した。
【0336】
GVS分析では、R−4は非吸湿性であり、相対湿度0〜90%で約0.2wt%の水を可逆的に取り込んでいたことが示された。GVS試験後の試料をXRPDで再度分析したところ、形態に変化は見られなかった。
【0337】
−4の試料を乳棒と乳鉢で粉砕し、その後、500μmと250μmの篩に連続してかけて微粉末の試料とし、これを1サイクルに変更した方法で分析した。試料は、標準方法の90%ではなく、40%RH(ほぼ環境条件)から60%RHで取り、その後、0%まで、そして逆に40%RHまで測定した。この分析により、S−4は、60%RHまでは非吸湿性であり、0〜60%RHで〜0.2重量%の水を可逆的に取り込んでいたことが示された。
【0338】
実施例27.熱力学的水溶解度
水溶解度は、十分な量の化合物を水に懸濁し、化合物の親遊離型の≧10mg.ml−1の最大最終濃度を得ることで決定した。懸濁液は、25℃、24時間で平衡化し、その後、pHを測定した。その後、懸濁液をガラス繊維Cフィルターで濾過し、96ウェルプレートに入れた。その後、濾液を101倍に希釈した。定量はHPLCで行い、約0.1mg.ml−1のDMSO溶液を標準液とした。異なる量の標準試料溶液、希釈試料溶液、及び未希釈試料溶液を注入した。溶解度は、標準試料の主要ピークと同じ保持時間にあるピークを積分して求めたピーク面積を用いて算出した。
【0339】
表14.溶解度測定のためのHPLCの手法のパラメーター
【表15】
【0340】
分析は、上記の条件で、ダイオードアレイ検出器を備えたAgilent HP1100シリーズシステムにより、ChemStationのソフトウェアvB.02.01−SR1を用いて実施した。
【0341】
表15.R−4、4、S−4の水溶解度の結果
【表16】
【0342】
実施例28.HPLCによる化学的純度の決定
本明細書に記載する化合物の化学的純度の決定には、様々なHPLCの条件を用いることができる。その1つの例が、熱力学的水溶解度の試験に関連して、上記に記載されている。以下に別の例を記載する。
【表17】
【0343】
これらの条件で、4、R−4、及びS−4の純度は、それぞれ〜99.6、〜99%、及び〜99.5%と決定された。上記の手法を最適化することで、より高い純度を得
ることもできる。
【0344】
XRPDのディフラクトグラムを検討すると、2つの結晶性単一ジアステレオ異性体は、はっきりと異なるXRPDパターンを示している。さらに、2つの結晶性ジアステレオ異性体の融点には明確な差があり、R−4の開始温度がS−4よりも大幅に高くなっている(136℃対94℃)。
【0345】
実施例29.その他の分離方法
下記のSFC分離法(条件は以下に記載)で、R−4とS−4のジアステレオマー混合物が適切に分離された。
【表18】
【0346】
下記のSFC分離法(条件は以下に記載)で、R−4とS−4のジアステレオマー混合物が適切に分離された。
【表19】
【0347】
表16.R−4、4、及びS−4のバッチ特性評価結果のまとめ
【表20】
【0348】
実施例30.8(S−異性体)のX線結晶構造解析
化合物8(S−異性体)C1821POは、単斜晶系空間群P2(消滅則0k0:k=奇数)で結晶化し、a=5.3312(4)Å、b=15.3388(8)Å、c=23.7807(13)Å、β=92.891(3)°、V=1942.2(2)Å、Z=4、及びd計算値=1.397g/cmである。X線強度データは、Bruker APEXII CCD面検出器により、グラファイトで単色化したMo−Kα放射(λ=0.71073Å)を用いて、温度100(1)Kで収集した。図20A及び20Bは、非対称ユニットのそれぞれ番号1と番号2の分子を示す。
【0349】
予備指標化は、照射時間30秒で一連の36個の0.5°回転フレームから行った。結晶−検出器間距離70.00mm、回転幅0.5°、及び照射20秒で、合計3608個のフレームを収集した:
【表21】
【0350】
回転フレームは、SAINT(Bruker(2009)SAINT。Bruker AXS Inc.、米国ウィスコンシン州マディソン)を用いてまとめ、平均化していないF及びσ(F)値のリストを作成し、その後、それらをSHELXTL(Bruker(2009)SHELXTL。Bruker AXS Inc.、米国ウィスコンシン州マディソン)プログラムパッケージにより、Dell Pentium(登録商標)4コンピューターを用いて、さらなる処理と構造解析を行った。1.58≦θ≦25.09°、−6≦h≦6、−18≦k≦18、−28≦l≦28の範囲で、合計6909個の反射を測定し、6909個の固有反射(Rint=0.0581)が得られた。強度データは、ローレン
ツ効果及び分極効果、並びに吸収の補正を、SADABS(Sheldrick, G.M. (2007) SADABS. University of Gottingen, Germany)を用いて行った(最小及び最大トランスミッ
ション0.6093、0.7452)。
【0351】
構造は、直接的手法により解明した(SHELXS−97(Sheldrick, G.M. (2008) Acta Cryst. A64,112-122))。精密化は、Fの完全行列最小二乗法を、SHELXL−97(Sheldrick, G.M. (2008) Acta Cryst. A64, 112-122)を用いて行った。精密化で
は、すべての反射を用いた。用いた加重の式は、w=1/[σ(F)+(0.0000P)+14.0738P](ここで、P=(F+2F)/3)。非水素原子は異方的に精密化し、水素原子はライディングモデルを用いて精密化した。精密化は、F>4σ(F)である6173個の観察された反射に対してR1=0.0847及びwR2=0.1899、全6909個の固有の非ゼロ反射及び512の変数に対してR1=0.0963、wR2=0.1963、GOF=1.119に収束させた(R1=Σ||F|−|F||/Σ|F|;wR2=[Σw(F−F/Σw(F1/2;GOF=[Σw(F−F/(n−p)]1/2;ここで、n=反射の数、p=精密化するパラメーターの数)。最小二乗の最終サイクルの最大Δ/σは、0.000で、最終差分フーリエの2つの最も突出したピークは、+0.402と−0.559e/Åであった。図20A及び20Bは、非対称ユニットの分子1と分子2のORTEP(確率30%の熱振動楕円体)である。
【0352】
表17.化合物8(S−異性体)の構造決定のまとめ
【表22-1】
【表22-2】
【0353】
実施例32.(S)−イソプロピル2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエートのX線結晶構造解析
(S)−イソプロピル2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート、C1817NPOは、三斜晶系空間群P1で結晶化し、a=5.2641(6)Å、b=12.0548(13)Å、c=16.4307(15)Å、α=74.960(4)°、β=83.959(4)°、γ=80.275(4)°、V=990.40(18)Å、Z=2、及びd計算値=1.520g/cmである。X線強度データは、Bruker APEXII CCD面検出器により、グラファイトで単色化したMo−Kα放射(λ=0.71073Å)を用いて、温度143(1)Kで収集した。予備指標化は、照射時間20秒で一連の36個の0.5°回転フレームから行った。結晶−検出器間距離37.600mm、回転幅0.5°、及び照射20秒で、合計3593個のフレームを収集した:
【表23】
【0354】
回転フレームは、SAINT(Bruker(2009)SAINT。Bruker AXS Inc.、米国ウィスコンシン州マディソン)を用いてまとめ、平均化していな
いF及びσ(F)値のリストを作成し、その後、それらをSHELXTL(Bruker(2009)SHELXTL。Bruker AXS Inc.、米国ウィスコンシン州マディソン)プログラムパッケージにより、Dell Pentium(登録商標)4コンピューターを用いて、さらなる処理と構造解析を行った。1.77≦θ≧25.12°、−6≦h≦6、−14≦k≦14、−19≦l≦19の範囲で、合計17880個の反射を測定し、6897個の固有反射(Rint=0.0212)が得られた。強度データは、ローレ
ンツ効果及び分極効果、並びに吸収の補正を、SADABS(Sheldrick, G.M. (2007) SADABS. University of Gottingen, Germany)を用いて行った(最小及び最大トランスミ
ッション0.6887、0.7452)。
【0355】
構造は、直接的手法により解明した(SHELXS−97(Sheldrick, G.M. (2008) Acta Cryst. A64,112-122))。精密化は、Fの完全行列最小二乗法を、SHELXL−97(Sheldrick, G.M. (2008) Acta Cryst. A64, 112-122)を用いて行った。精密化で
は、すべての反射を用いた。用いた加重の式は、w=1/[σ(F)+(0.0344P)+0.1102P](ここで、P=(F+2F)/3)。非水素原子は異方的に精密化し、水素原子はライディングモデルを用いて精密化した。精密化は、F>4σ(F)である6527個の観察された反射に対してR1=0.0259及びwR2=0.0609、全6897個の固有の非ゼロ反射及び548の変数に対してR1=0.0284、wR2=0.0621、GOF=1.040に収束させた(R1=Σ||F|−|F||/Σ|F|;wR2=[Σw(F−F/Σw(F1/2;GOF=[Σw(F−F/(n−p)]1/2;ここで、n=反射の数、p=精密化するパラメーターの数)。最小二乗の最終サイクルの最大Δ/σは、0.001で、最終差分フーリエの2つの最も突出したピークは、+0.254と−0.236e/Åであった。図22A及び22Bは、非対称ユニットの分子1と分子2のORTEP(確率30%の熱振動楕円体)である。
【0356】
表18.(S)−イソプロピル2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエートの構造決定のまとめ
【表24-1】
【表24-2】
【0357】
実施例33.生物活性
レプリコンを含む細胞を、白色/不透明の96ウェルプレートに3,000細胞/ウェル(50μL)、又は白色/不透明の384ウェルプレートに1,500細胞/ウェル(25μL)で播種した。50μLの2X化合物を96ウェルプレートに加え、又は25μLの2X化合物を384ウェルプレートに加えた。プレートを、加湿した5%CO雰囲気下、37℃で4日間培養した。培養後、Bright−Glo試薬(96ウェルプレートに50μL、384ウェルプレートに25μL)を加え、HCVの複製をホタルルシフェラーゼレポーターで測定した。阻害率は、薬剤なしの対照と比較して算出した。
【表25】
【0358】
−4及びS−4は、広い遺伝子型範囲を有することが実証されている。例えば、双方ともC型肝炎ウイルスの遺伝子型1〜4に対して活性であることが示されている。
【0359】
本出願は、2010年5月20日に提出された米国特許出願第12/783,680号の一部継続出願であり、該出願は、2009年5月20日に提出された米国仮特許出願第61/179,923号及び2010年3月31日に提出された第61/319,513号に対する優先権を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に取り込まれる。
【0360】
米国特許出願第12/783,680号及び第12/053,015号、並びに2009年5月20日に提出された米国仮特許出願第61/179,923号及び2010年3月31日に提出された第61/319,513号の内容は、参照によりその全体が本明細書に取り込まれる。引用したすべての文献の内容は、参照により本明細書に取り込まれる。取り込まれる用語の意味が本明細書に定義する用語の意味と矛盾する場合、本明細書に
おける用語の意味が、取り込まれる用語の意味よりも優先される。
なお、本願発明は以下のものにも関する。
(請求項1)
結晶性2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピル。
(請求項2)
(1)約:5.2、7.5、9.6、16.7、18.3、および22.2のXRPD2θ−反射(°);
(2)約:5.0、7.3、9.4、および18.1のXRPD2θ−反射(°);
(3)約:4.9、6.9、9.8、19.8、20.6、24.7、および26.1のXRPD2θ−反射(°);
(4)約:6.9、9.8、19.7、20.6、および24.6のXRPD2θ−反射(°);
(5)約:5.0、6.8、19.9、20.6、20.9、および24.9のXRPD2θ−反射(°);
(6)約:5.2、6.6、7.1、15.7、19.1、および25.0のXRPD2θ−反射(°);または
(7)約:6.1、8.2、10.4、12.7、17.2、17.7、18.0、18.8、19.4、19.8、20.1、20.8、21.8、および23.3のXRPD2θ−反射(°)
を有する、結晶性2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピル。
(請求項3)
(1)約:5.2、7.5、9.6、16.7、18.3、および22.2のXRPD2θ−反射(°);
(2)約:5.0、7.3、9.4、および18.1のXRPD2θ−反射(°);または
(7)約:6.1、8.2、10.4、12.7、17.2、17.7、18.0、18.8、19.4、19.8、20.1、20.8、21.8、および23.3のXRPD2θ−反射(°)を有する、請求項2記載の結晶性2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピル。
(請求項4)
(1)約:5.2、7.5、9.6、16.7、18.3、および22.2のXRPD2θ−反射(°);
(2)約:5.0、7.3、9.4、および18.1のXRPD2θ−反射(°);または
(7)約:6.1、8.2、10.4、12.7、17.2、17.7、18.0、18.8、19.4、19.8、20.1、20.8、21.8、および23.3のXRPD
2θ−反射(°)を有する、請求項2記載の結晶性2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピル。
(請求項5)
約:5.2、7.5、9.6、16.7、18.3、および22.2のXRPD2θ−反射(°)を有する、請求項2記載の結晶性2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピル。
(請求項6)
約:5.0、7.3、9.4、および18.1のXRPD2θ−反射(°)を有する、請求項2記載の結晶性2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピル。
(請求項7)
約:6.1、8.2、10.4、12.7、17.2、17.7、18.0、18.8、19.4、19.8、20.1、20.8、21.8、および23.3のXRPD2θ−反射(°)を有する、請求項2記載の結晶性2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピル。
(請求項8)
請求項1記載の結晶性2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを含む組成物。
(請求項9)
請求項1記載の結晶性2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルおよび薬剤的に許容される媒体を含む、医薬組成物。
(請求項10)
それを必要とする対象者においてC型肝炎ウイルス感染を治療する方法であって:
対象者に、有効量の請求項1記載の結晶性2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを投与することを含む、方法。
(請求項11)
構造式
【化41】

(式中、LG’は脱離基である)
により表される化合物。
(請求項12)
LG’が、トシレート、カンファースルホネート、ベンゾ[d]チアゾリド−2(3H)−チオン、アリールオキシド、または少なくとも1つの電子吸引基で置換されたアリールオキシドである、請求項11記載の化合物。
(請求項13)
LG’が、2,4−ジニトロフェノキシド、4−ニトロフェノキシド、2−ニトロフェノキシド、2−クロロ−4−ニトロフェノキシド、2,4−ジクロロフェノキシド、またはペンタフルオロフェノキシドである、請求項11記載の化合物。
(請求項14)
2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピル。
(請求項15)
結晶性2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピル。
(請求項16)
請求項11記載の化合物を調製するためのプロセスであって、
a)第1の組成物;
b)第2の脱離基前駆体;
c)非求核性塩基;および
d)液体組成物;
を含む組成物から化合物を結晶化させること、を含み、ここで、第1組成物が、化合物およびその対応するPベースのジアステレオマーを含む、前記プロセス。
(請求項17)
化合物のモル量およびそのPベースのジアステレオマーのモル量が同一または異なる、請求項16記載のプロセス。
(請求項18)
化合物のモル量が、その対応するPベースのジアステレオマーのモル量よりも多い、請求項17記載のプロセス。
(請求項19)
第2の脱離基前駆体が、2,4−ジニトロフェノール、4−ニトロフェノール、2−ニトロフェノール、2−クロロ−4−ニトロフェノール、2,4−ジクロロフェノール、またはペンタフルオロフェノールである、請求項16記載のプロセス。
(請求項20)
LG’がペンタフルオロフェノキシドである、請求項19記載のプロセス。
(請求項21)
第2の脱離基前駆体がペンタフルオロフェノールである、請求項20記載のプロセス。
(請求項22)
ペンタフルオロフェノールの量が、化合物およびそのPベースのジアステレオマーのモル量に対して約0.01モル当量〜約10モル当量の範囲である、請求項21記載のプロセス。
(請求項23)
ペンタフルオロフェノールの量が、化合物およびそのPベースのジアステレオマーのモル量に対して約0.1モル当量〜約1モル当量の範囲である、請求項21記載のプロセス。
(請求項24)
結晶化が約−10℃〜約+40℃の範囲の温度で起こる、請求項16記載のプロセス。
(請求項25)
結晶化がほぼ室温で起こる、請求項16記載のプロセス。
(請求項26)
非求核性塩基が、炭酸カリウム、炭酸セシウム、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、キヌクリジン、ナフタレン−1,8−ジアミン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,8−ジアザビシクロウンデク−7−エン、4−ジメチルアミノ−ピリジン、ピリジン、2,6−ジ−C1〜6−アルキル−ピリジン、2,4,6−トリ−C1〜6−アルキル−ピリジン、およびそれらの混合物から選択される、請求項16記載のプロセス。
(請求項27)
非求核性塩基がトリエチルアミンである、請求項16記載のプロセス。
(請求項28)
非求核性塩基が、化合物およびそのPベースのジアステレオマーの総モル量に対して約0.01モル当量〜約10モル当量の範囲の量で存在する、請求項16記載のプロセス。
(請求項29)
非求核性塩基が、化合物およびそのPベースのジアステレオマーの総モル量に対して約0.1モル当量〜約1モル当量の範囲の量で存在する、請求項16記載のプロセス。
(請求項30)
化合物の溶解度が、液体組成物中のその対応するPベースのジアステレオマーの溶解度よりも低い、請求項16記載のプロセス。
(請求項31)
液体組成物が溶媒および貧溶媒の少なくとも1つを含む、請求項16記載のプロセス。
(請求項32)
液体組成物が、C〜Cアルコール、C〜Cエーテル、C〜Cケトン、C〜Cエステル、C〜Cクロロカーボン、C〜Cニトリル、C〜C12飽和炭化水素、およびC〜C12芳香族炭化水素の少なくとも1つを含む、請求項16記載のプロセス。
(請求項33)
液体組成物が、C〜Cエーテル、C〜Cエステル、C〜C12飽和炭化水素、およびC〜C12芳香族炭化水素の少なくとも1つを含む、請求項16記載のプロセス。
(請求項34)
液体組成物が、C〜Cエーテル、C〜Cエステル、およびC〜C12飽和炭化水素の少なくとも1つを含む、請求項16記載のプロセス。
(請求項35)
液体組成物が、酢酸エチル、t−ブチル−メチルエーテル、およびヘキサンの少なくとも1つを含む、請求項34記載のプロセス。
(請求項36)
液体組成物が酢酸エチルおよびヘキサンを含む、請求項34記載のプロセス。
(請求項37)
液体組成物がt−ブチル−メチルエーテルおよびヘキサンを含む、請求項34記載のプロセス。
(請求項38)
液体組成物の量が、第1組成物1グラムにつき約1mL〜約10mLの範囲である、請求項16記載のプロセス。
(請求項39)
結晶性化合物を組成物に添加することをさらに含む、請求項16記載のプロセス。
(請求項40)
約0.1〜約1重量%の結晶性化合物を第1組成物に添加することをさらに含む、請求項16記載のプロセス。
(請求項41)
a)PhOP(O)(LG)およびPr−Ala−NH・HClを第1塩基の存在下で反応させて、(PhO)P(O)(LG)(NHAla−Pr)を得;
b)(PhO)P(O)(LG)(NHAla−Pr)を第1の脱離基前駆体(LG’H)と第2塩基の存在下で反応させて、化合物およびそのPベースのジアステレオマーを含む組成物を得ることをさらに含み;
ここで、LGおよびLG’は、互いに独立して、脱離基であり;
ここで、第1の脱離基前駆体および第2の脱離基前駆体は同一または異なり;そして第1塩基および第2塩基が同一または異なる、請求項16記載のプロセス。
(請求項42)
結晶性2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを調製するプロセスであって:
2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを、
a)第1の組成物;
b)ペンタフルオロフェノール;
c)非求核性塩基;および
d)液体組成物
を含む第2の組成物から結晶化すること、を含み、
ここで、第2の組成物が、2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルおよび2−(((R)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを含む、前記プロセス。
(請求項43)
2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルのモル量および2−(((R)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルのモル量が同一または異なる、請求項42記載のプロセス。
(請求項44)
2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルのモル量が、2−(((R)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルのモル量よりも多い、請求項42記載のプロセス。
(請求項45)
ペンタフルオロフェノールの量が、2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルおよび2−(((R)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルのモル量に対して、約0.01モル当量〜約10モル当量の範囲である、請求項43記載のプロセス。
(請求項46)
結晶化が、約−10℃〜約+40℃の範囲の温度で起こる、請求項42記載のプロセス。
(請求項47)
結晶化がほぼ室温で起こる、請求項42記載のプロセス。
(請求項48)
非求核性塩基が、炭酸カリウム、炭酸セシウム、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、キヌクリジン、ナフタレン−1,8−ジアミン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,8−ジアザビシクロウンデク−7−エン、4−ジメチルアミノ−ピリジン、ピリジン、2,6−ジ−C1−6−アルキル−ピリジン、2,4,6−トリ−C1−6−アルキル−ピリジン、およびそれらの混合物から選択される、請求項42記載のプロセス。
(請求項49)
非求核性塩基がトリエチルアミンである、請求項42記載のプロセス。
(請求項50)
非求核性塩基が、2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルおよび2−(((R)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルの総モル量に対して約0.1〜約1モル当量の範囲の量で存在する、請求項42記載のプロセス。
(請求項51)
2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルの溶解度が、2−(((R)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルの液体組成物中の溶解度よりも低い、請求項42記載のプロセス。
(請求項52)
液体組成物が、溶媒および貧溶媒の少なくとも1つを含む、請求項42記載のプロセス。
(請求項53)
液体組成物が、C〜Cアルコール、C〜Cエーテル、C〜Cケトン、C〜Cエステル、C〜Cクロロカーボン、C〜Cニトリル、C〜C12飽和炭化水素、およびC〜C12芳香族炭化水素の少なくとも1つを含む、請求項42記載のプロセス。
(請求項54)
液体組成物が、C〜Cエーテル、C〜Cエステル、C〜C12飽和炭化水素、およびC〜C12芳香族炭化水素の少なくとも1つを含む、請求項42記載のプロセス。
(請求項55)
液体組成物が、C〜Cエーテル、C〜Cエステル、およびC〜C12飽和炭化水素の少なくとも1つを含む、請求項42記載のプロセス。
(請求項56)
液体組成物が、酢酸エチル、t−ブチル−メチルエーテル、およびヘキサンの少なくとも1つを含む、請求項55記載のプロセス。
(請求項57)
液体組成物が、酢酸エチルおよびヘキサンを含む、請求項55記載のプロセス。
(請求項58)
液体組成物が、t−ブチル−メチルエーテルおよびヘキサンを含む、請求項55記載のプロセス。
(請求項59)
1グラムの第1組成物について、液体組成物の量が約1〜約10mLの範囲である、請求項42記載のプロセス。
(請求項60)
結晶性2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを第2の組成物に添加することをさらに含む、請求項42記載のプロセス。
(請求項61)
第1組成物中の2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルの総重量を基準として、約0.1〜約1重量%の結晶性2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを添加することをさらに含む、請求項42記載のプロセス。
(請求項62)
請求項42記載のプロセスにより得られる結晶性2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピル。
(請求項63)
2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを調製するためのプロセスであって:
2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを、
a)第1の組成物;
b)ペンタフルオロフェノール;
c)非求核性塩基;および
d)液体組成物;
を含む第2の組成物から結晶化させること、を含み、ここで、第1組成物が、2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルおよび2−(((R)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを含む、前記プロセス。
(請求項64)
2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを調製するためのプロセスであって:
2−(((S)−(パーフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを、t−ブチルマグネシウムハライドと1−((2R,3R,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−3−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオンとt−ブチルマグネシウムハライドとを反応させることにより得られる生成物と接触させることを含む、前記プロセス。
(請求項65)
接触を、約0℃〜約40℃の範囲の温度を有する媒体中で行う、請求項64記載のプロセス。
(請求項66)
接触を、約0℃〜約30℃の範囲の温度を有する媒体中で行う、請求項64記載のプロセス。
(請求項67)
t−ブチルマグネシウムハライドの1−((2R,3R,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−3−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオンに対するモル比が約2〜約2.2の範囲である、請求項64記載のプロセス。
(請求項68)
t−ブチルマグネシウムハライドの1−((2R,3R,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−3−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオンに対するモル比が約2.1である、請求項64記載のプロセス。
(請求項69)
t−ブチルマグネシウムハライドがt−ブチルマグネシウムクロリドである、請求項64記載のプロセス。
(請求項70)
実質的に純粋な2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを調製するプロセスであって:
請求項35記載のプロセスにしたがって、2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを得、そして
そのようにして形成された2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパン酸(S)−イソプロピルを結晶化させることを含む、前記プロセス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
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図16
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図19
図20A
図20B
図21
図22A
図22B
【手続補正書】
【提出日】2015年7月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載の発明。