(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-205988(P2015-205988A)
(43)【公開日】2015年11月19日
(54)【発明の名称】直管型LED照明灯、ポリイミドを用いたLEDの固着構造、及びポリイミド
(51)【国際特許分類】
C08L 79/08 20060101AFI20151023BHJP
F21S 2/00 20060101ALI20151023BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20151023BHJP
H01L 33/48 20100101ALI20151023BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20151023BHJP
C08K 3/28 20060101ALI20151023BHJP
C08K 7/20 20060101ALI20151023BHJP
F21Y 101/02 20060101ALN20151023BHJP
【FI】
C08L79/08 Z
F21S2/00 231
F21V19/00 170
H01L33/00 400
C08K3/22
C08K3/28
C08K7/20
F21Y101:02
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-86983(P2014-86983)
(22)【出願日】2014年4月21日
(71)【出願人】
【識別番号】514100197
【氏名又は名称】Japan Valuable Provider株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100173152
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 智
(72)【発明者】
【氏名】吉池 直美
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】清水 紀夫
【テーマコード(参考)】
3K013
3K243
4J002
5F142
【Fターム(参考)】
3K013AA07
3K013BA01
3K013CA16
3K013EA13
3K243MA01
4J002CM041
4J002DE146
4J002DF016
4J002DL006
4J002FA086
4J002FD016
4J002GQ00
5F142AA44
5F142AA84
5F142BA24
5F142CA13
5F142CB15
5F142CB22
5F142CC02
5F142CC14
5F142CC26
5F142CD17
5F142CD23
5F142CD34
5F142CE04
5F142CE16
5F142CF02
5F142CF25
5F142CF27
5F142DA02
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5F142DA72
5F142DB42
5F142DB54
5F142DB60
5F142FA01
5F142FA30
5F142FA31
5F142GA24
(57)【要約】
【課題】直管型LED照明灯の製造原価を飛躍的に低減することを目的とする。
【解決手段】直管型LED照明灯は、内面が粗面化処理された円筒状のガラス管と、前記ガラス管の前記内面上に貼付されたポリイミド層と、前記ポリイミド層上に、直列接続され、前記ガラス管の長手方向に配列された複数の発光ダイオードと、を有し、前記ポリイミド層の線膨張率がガラス管の線膨張率と略等しく、熱抵抗が2℃/W以下である。これにより、直管型LED照明灯の材料費及び製造工数を大幅に低減することが可能になる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線膨張率がガラスの線膨張率と略等しく、かつ熱抵抗が2℃/W以下であることを特徴とするポリイミド。
【請求項2】
前記線膨張率は、
8.5×10−6/K±20%であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミド。
【請求項3】
線膨張率がガラスの線膨張率と略等しい物質の粒子が充填材として含有されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリイミド。
【請求項4】
前記充填材は、
アルミナ、チッ化アルミ、又はガラス粒子のいずれか1つの粒子であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリイミド。
【請求項5】
前記充填材は、粒子系が0.8μm〜15.0μmの請求項4粒子であり、
ポリイミドに対して重量比30phr〜140phrの前記請求項4の粒子を含有することを特徴とする請求項1に記載のポリイミド。
【請求項6】
直管型LED照明灯において、光を発光するLEDの固着構造であって、
粗面化処理された管状のガラス管の内面上に貼付されたポリイミド層と、
前記ポリイミド層上に、直列接続され、前記ガラス管の長手方向に配列された複数の発光ダイオードと、を有し、
前記ポリイミド層の線膨張率が前記ガラス管の線膨張率と略等しいことを特徴とするLEDの固着構造。
【請求項7】
直管型LED照明灯において、光を発光するLEDの固着構造であって、
粗面化処理された管状のガラス管の内面上の一部に形成されたアルミ蒸着膜と、
前記アルミ蒸着膜の上に貼付されたポリイミド層と、
前記ポリイミド層上に、直列接続され、前記ガラス管の長手方向に配列された複数の発光ダイオードと、を有し、
前記ポリイミド層の線膨張率が前記ガラス管の線膨張率と略等しいことを特徴とするLEDの固着構造。
【請求項8】
内面が粗面化処理された円筒状のガラス管と、
前記ガラス管の前記内面上に貼付されたポリイミド層と、
前記ポリイミド層上に、直列接続され、前記ガラス管の長手方向に配列された複数のLEDチップと、を有し、
前記ポリイミド層の線膨張率が前記ガラス管の線膨張率と略等しいことを特徴とする直管型LED照明灯。
【請求項9】
内面が粗面化処理された円筒状のガラス管と、
前記ガラス管の前記内面上の一部に形成されたアルミ蒸着膜と、
前記アルミ蒸着膜の上に貼付されたポリイミド層と、
前記ポリイミド層上に、直列接続され、前記ガラス管の長手方向に配列された複数のLEDチップと、を有し、
前記ポリイミド層の線膨張率が前記ガラス管の線膨張率と略等しいことを特徴とする直管型LED照明灯。
【請求項10】
前記LEDチップは、
白色光を発光する白色LEDチップと、白色以外の光を発光するLEDと、を含むことを特長とする請求項8又は9に記載の直管型LED照明灯。
【請求項11】
複数のLEDチップの長手方向の配列の密度が、前記ガラス管の長手方向の位置によって異なるように配列されていることを特長とする請求項8又は9に記載の直管型LED照明灯。
【請求項12】
前記アルミ蒸着膜をパターンの形成により反射面として用い、輻射される光に集光性および/または指向性を持たせたことを特徴とする請求項8又は9に記載の直管型LED照明灯。
【請求項13】
前記ガラス管の長手方向に配列された複数のLEDチップの配列パターンおよび/または光量分布を変化させることが可能であることを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載の直管型LED照明灯。
【請求項14】
前記発光ダイオードは、紫外線を発光するUV-LEDであり、
前記ガラス管の内面上の前記ポリイミドが貼付されていない領域に、紫外線で発光する蛍光体が塗付されていることを特徴とする請求項8〜13のいずれか1項に記載の直管型LED照明灯。
【請求項15】
前記発光ダイオードは、前記UV-LEDと可視光を発光する可視LEDとであり、
前記ガラス管の内面上の前記ポリイミドが貼付されていない領域に、前記蛍光体を塗付する領域と、前記蛍光体を塗付しない領域を設け、
前記蛍光体を塗付しない領域から可視光を輻射されて、演色効果を発揮させることを特徴とする請求項14に記載の直管型LED照明灯。
【請求項16】
前記直管型LED照明灯は、前記ガラス管内に有線信号又は無線信号による照明灯の入り切りを可能にするスイッチを内蔵していることを特徴とする請求項8〜15のいずれか1項に記載の直管型LED照明灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直管型LED照明灯、ポリイミドを用いたLEDの固着構造、及びLEDチップを固着するのに好適なポリイミドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、直管型蛍光灯に代えて、発光体として発光ダイオード(LED)チップを用いた直管型LED照明灯が種々提案されている。下記特許文献1には、熱膨張率に影響されない直管型LED照明灯を提供することを目的として、LEDチップはほぼ全幅に渡る構造物の内、最も線膨張係数の大きなものに固定され、かつほぼ全幅に渡る構造物の内、最も線膨張係数の大きいもの以外のほぼ全幅に渡る構造物には固定されていないか、もしくはゆるく固定されていることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−118079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたように、現行の直管型LED照明灯は、ガラス管とLEDチップが実装された基板との線膨張係数の相違から生じる、LEDの点灯及び消灯に伴う熱ストレスを吸収するための構造が採用されている。
【0005】
しかしながら、現行の直管型LED照明灯では、LEDチップを基板に実装し、LEDチップが実装した基板を保持部材でガラス管に固定する必要がある。そのため、材料費及び製造工数が掛かり、直管型LED照明灯の製造原価を低減するのが難しい。
【0006】
そこで、本発明は、直管型LED照明灯の製造原価を飛躍的に低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面におけるポリイミドは、線膨張率がガラスの線膨張率と略等しく、かつ熱抵抗が2℃/W以下であることを特徴とする。
【0008】
第2の側面におけるLEDチップの固着構造は、直管型LED照明灯において、光を発光するLEDの固着構造であって、粗面化処理されたガラス管の内面上に貼付されたポリイミド層と、前記ポリイミド層上に、直列接続され、前記ガラス管の長手方向に配列された複数の発光ダイオードと、を有することを特徴とする。
【0009】
また、第3の側面における直管型LED照明灯は、内面が粗面化処理されたガラス管と、前記ガラス管の前記内面上に貼付されたポリイミド層と、前記ポリイミド層上に、直列接続され、前記ガラス管の長手方向に配列された複数の発光ダイオードと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の直管型LED照明灯、ポリイミドを用いたLEDの固着構造、及びポリイミドによれば、新規開発されたポリイミドの線膨張係数がガラスの線膨張率と略等しく、かつ熱抵抗が2℃/W以下であるので、粗面化処理されたガラス管の内面上にLEDチップが実装されたポリイミド層を直接、貼付する構造を採用することができ、直管型LED照明灯の製造原価を飛躍的に低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態1の直管型LED照明灯の一例の断面図
【
図2】
図1の直管型LED照明灯の構造を説明する斜視図
【
図3】本発明の実施形態1の直管型LED照明灯の他の一例の断面図
【
図4】
図1〜3のLED照明灯に用いられるLED固着部材の製造工程図
【
図5】本発明の実施形態1の直管型LED照明灯の更なる他の一例を説明する斜視図
【
図6】本発明の実施形態2の直管型LED蛍光照明灯の断面図
【
図7】本発明の実施形態2の直管型LED蛍光照明灯の他の一例を説明する斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
〔実施形態1〕
(実施形態1の構成)
図1は、本発明の実施形態1の直管型LED照明灯の一例の断面図である。
【0013】
本発明の実施形態1の直管型LED照明灯は、円筒形状をしたガラス管1を有し、ガラス管1は、粗面化処理された内面2を有している。ガラス管1の粗面化処理された内面2は、3〜10μmの凹凸を有しており、公知の薬剤、例えば、フロスト加工等による処理により形成される。
【0014】
ガラス管1の粗面化処理された内面2には、LEDチップ4が実装された接着剤層を含むポリイミド3が貼付されている。ガラス管1の内面2が粗面化処理されているため、ガラス管1とポリイミド3は、アンカー効果により強固に密着する。ここで、後述製法により、ポリイミド3の線膨張率がガラスの線膨張率とほぼ等しいため、LEDチップの点灯時と消灯時との膨張収縮の温度ストレスをほとんど受けない。更に、ポリイミド3の熱抵抗が2℃/Wであり、アンカー効果によりガラス管1と強固に密着しているので、LEDチップの点灯時に発生する熱をガラス管1へ効率的に伝えて放熱することができる。ガラス管1の粗面化処理された内面2とポリイミド3との固着には接着剤を使用してもよい。
【0015】
図2は、
図1の直管型LED照明灯の構造を説明する斜視図である。
ガラス管1の長手方向に配線パターン5を介して直列接続された複数のLEDチップ4が実装されたポリイミド3が、円筒状のガラス管1の下部に貼付された構造が、
図2に示されている。
【0016】
図1及び
図2に示された直管型LED照明灯の構造によれば、LEDチップを実装する基板及びその基板を保持する保持部材が不要になるので、製造原価を飛躍的に低減することが可能になる。
【0017】
図3は、本発明の実施形態1の直管型LED照明灯の他の一例の断面図であり、
図1と共通の要素には共通の符号が付されている。
この直管型LED照明灯は、
図1に示された直管型LED照明灯のガラス管1の内面の下側に、アルミ蒸着膜6が追加されている。このアルミ蒸着膜6は、ガラス管1の内部を真空にし、ガラス管1の粗面化処理された内面2の上側部分をマスキングした上に、アルミ蒸着して形成する。マスキングせずに、アルミ蒸着した後に薬剤でアルミを除去してもよい。
【0018】
図3に示された直管型LED照明灯によれば、
図1及び
図2に示された直管型LED照明灯の効果に加え、LEDチップから発生する光をガラス管1の上側方向に効率良く放射することができ、照明効率が向上する。
【0019】
(実施形態1の製造方法例)
図1〜
図3に示されたLED照明灯は、内面2が粗面化処理されたガラス管1の内面2上に直接、又はアルミ蒸着膜6を形成した上に、LEDチップ4が実装されたポリイミド膜3を貼付することにより製造させる。LED照明灯の製造に当たり、LEDチップ4が実装されたポリイミド膜3(以下、「LED固着部材」という。)が主要部分であるので、LED固着部材の製造工程を
図4に沿って説明する。
【0020】
先ず、ポリイミド層3の主成分は、いわゆるポリイミドを含め、ポリイミドアミド、プリベンズイミダゾール、ポリイミドエステル、ポリエーテルイミド、ポリシロキンサンイミド等に代表されるように、その構造中にイミド基を有するポリマーからなる耐熱性樹脂が挙げられる。
【0021】
図4(1)〜(6)は、
図1〜
図3に示されたLED照明灯に用いられるLED固着部材のキャスト法による製造工程の概略を示す工程図である。
図4(1)の工程において、支持基材として厚さ約35μmの平板状の銅板11上に、ポリイミド合成したワニスに充填材としてのガラス粒子を加えて、市販のプラネタリミキサーや三本ロールを用いて混合したポリイミド溶液を塗布・乾燥し、ガラス粒子を含有したポリイミド層3を形成する。
【0022】
図4(2)の工程において、銅板11と、銅板11上に形成されたポリイミド層3との上下の位置を反転する。
図4(3)の工程において、ポリイミド層3上の銅板11をエッチングして配線パターン5を形成する。
【0023】
図4(4)の工程において、配線パターン5の上にレジスト7を形成する。レジスト7の材質は、酸化チタンTiO
2を充填剤として含むポリイミドを使用すると好適である。酸化チタンTiO
2を充填剤として含むポリイミドをレジストに用いると、ガラス管1の内面2にLEDチップ4を固着、点灯した際、光を効率的に反射して、直管型LED照明灯の照明効率が向上する。
【0024】
図4(5)の工程において、配線パターン5上に、LEDチップ4を半田付け8等により実装する。LEDチップ4のアノード端子及びカソード端子と配線パターン5との間を機械的な強度を確保しつつ、電気抵抗を少なく接続する方法であれば、接続方法は半田付け8以外の方法であってもよい。
図4(1)〜(6)により、
図2中のポリイミド3上に配線パターン5を介してLEDチップ4が直列接続されたテープ状のLED固着部材が形成される。このテープ状のLED固着部材を、ガラス管1の粗面化処理された内面に、略200℃で加熱・加圧することにより、アンカー効果を利用して接着すれば、
図1〜
図3に示されたような直管型LED照明灯が完成する。
【0025】
尚、更に、
図4(6)の工程において、ポリイミド層3の配線パターン5と接する面と反対の面に、接着剤層9を介して保護膜10を貼付して、接着剤付きのLED固着部材とし、この接着剤付きのLED固着部材をガラス管1の粗面化処理された内面に、接着剤層9の接着力を利用して接着してもよい。
【0026】
(実施形態1の効果)
図1に示された直管型LED照明灯によれば、ポリイミド3の線膨張率がガラスの線膨張率とほぼ等しいため、LEDチップの点灯時と消灯時との膨張収縮の温度ストレスをほとんど受けない。更に、ポリイミド3の熱抵抗が2℃/Wであり、アンカー効果によりガラス管1と強固に密着しているので、LEDチップの点灯時に発生する熱をガラス管1へ効率的に伝えて放熱することができる。
【0027】
図3に示された直管型LED照明灯によれば、
図1及び
図2に示された直管型LED照明灯の効果に加え、LEDチップから発生する光をガラス管1の上側方向に効率良く放射することができ、照明効率が向上する。
【0028】
更に、本発明の実施形態1の直管型LED照明灯の更なる他の一例を
図5に示された斜視図に基づいて説明する。
図5に示された直管型LED照明灯は、白色光を発光するLEDチップ4と、青色光を発光するB−LEDチップ4Aが交互に配列され、配線パターンを介して直列接続されている。白色光を発光するLEDチップ4と、青色光を発光するB−LEDチップ4Aを組み合わせることにより、演色効果を発揮する。
【0029】
白色光を発光するLEDチップ4と組み合わせるLEDチップは、B−LEDチップ4Aに限定されることなく、赤色光を発光するR−LEDチップ、緑色光を発光するG−LEDチップ、或いはその他の色の光を発光するLEDチップと組み合わせてもよい。
【0030】
〔実施形態2〕
(実施形態2の構成)
図6は、本発明の実施形態2の直管型LED蛍光照明灯の断面図であり、
図3と共通の要素については共通の符号が付されている。
【0031】
図6に示された直管型LED蛍光照明灯は、
図3と同様のガラス管1、粗面化処理された内面2、アルミ蒸着膜6、及びポリイミド層3と、を有している。
図6に示された直管型LED蛍光照明灯の特徴は、ポリイミド層3上に、
図3の可視光を発光するLEDチップ4に替えて紫外線を発光するUV−LEDチップ4Bが実装されている点と、ガラス管1の内面2の上側部分には、紫外線を吸収した白色光を発光する蛍光体21が塗布されている点である。
【0032】
図6に示された直管型LED蛍光照明灯によれば、従来の直管型の蛍光灯管のように、ガラス管の内部の気圧を下げて水銀蒸気を封入することなく、蛍光照明が可能になる。
図6に示された直管型LED蛍光照明灯は、円筒形のガラス管1の下半分にアルミ蒸着膜6があるため、UV−LEDチップ4Bから輻射された紫外線が効率よく蛍光体21に照射され、照明効率が高くなる。
【0033】
図7は、本発明の実施形態2の直管型LED蛍光照明灯の他の一例を説明する斜視図であり、
図2と共通の要素には共通の符号が付されている。
図7に示された直管型LED蛍光照明灯では、
図4に示された直管型LED照明灯におけるLEDチップ4に替えて、紫外線を発光するUV−LEDチップ4Bが、長手方向中央部は密に、中央部から外れるに従い疎に配列され、配線パターン5を介して直列接続されている。
【0034】
図7に示された直管型LED蛍光照明灯は、長手方向中央では照度が高く、中央部から外れるに従い照度が低い。
図7の説明では、紫外線を発光するUV−LEDチップ4Bが、長手方向の中央部は密に、中央部から外れるに従い疎に配列された例を紹介したが、UV−LEDチップ4Bの疎密の配列は、長手方向の中央部を密にする配列に限定されない。長手方向に配列するUV−LEDチップ4Bの中央部の密度を疎とし、中央部から外れるに従って密にしてもよい。
【0035】
(実施形態2の効果)
図6に示された直管型LED蛍光照明灯によれば、従来の直管型の蛍光灯管のように、ガラス管の内部の気圧を下げて水銀蒸気を封入することなく、蛍光照明が可能になる。そのため、有害物質の水銀を使用することなく蛍光照明灯を製造することができる。
図6に示された直管型LED蛍光照明灯は、円筒形のガラス管1の下半分にアルミ蒸着膜6があるため、UV−LEDチップ4Bから輻射された紫外線が効率よく蛍光体21に照射され、照明効率が高くなる。
【0036】
又、
図7に示された直管型LED蛍光照明灯によれば、UV−LEDチップ4Bの長手方向の配列の密度を変えることで、長手方向で照度が変化する直管型LED蛍光灯を実現することができる。
【0037】
更に、実施形態1及び2の直管型LED照明灯のガラス管内に有線信号又は無線信号により照明灯の入り切りを可能にするスイッチを内蔵するようにしてもよい。
【0038】
(ポリイミドの組成と物理的な特性)
今まで、実施形態1及び実施形態2について説明してきたが、これらの実施形態が有効なためには、ポリイミド層3の線膨張率がガラスの線膨張率と略等しく、かつ熱抵抗が2℃/W以下であることが必要である。ガラスの線膨張率と略等しい線膨張率としては、8.5×10
−6/K±20%が想定される。
【0039】
以下、ポリイミド中の充填材の重量比に対する線膨張率、熱抵抗を表1に示す。
【0040】
【表1】
表1によれば、重量比30〜140(phr)であれば、線膨張率6.8×1010
−6〜10.0×10
−6かつ熱抵抗2(℃/W)以下となり、本発明の実施形態に好適な条件を満たしている。
【0041】
【表2】
表2によれば、ポリイミド中の充填材の粒径が8〜15(μm)であれば、線膨張率6.8×10
−6〜10.0×10
−6かつ熱抵抗2(℃/W)以下となり、本発明の実施形態に好適な条件を満たしている。
【産業上の利用可能性】
【0042】
上記説明では、ガラスと線膨張率が略等しいポリイミド3上にLEDチップ4を実装し、ガラス管1の粗面化処理された内面に、ポリイミド3をアンカー効果により接着した構造を、直管型LED照明灯の製造原価を低減した構造として説明した。ガラスと線膨張率が略等しいポリイミド3の産業上の利用分野は、直管型LED照明灯に限定されない。その他の利用分野として、洗面台等に使用される曇り防止機能付きの鏡等への利用が考えられる。ガラスと線膨張率が略等しいポリイミド3に、曇り防止用の抵抗体を実装し、鏡の裏面に接着することで、曇り防止機能付きの鏡を安価に製造することが可能になる。
【符号の説明】
【0043】
1 ガラス管
2 粗面化処理された内面
3 ポリイミド層
4,4A,4B LEDチップ
5 配線パターン
6 アルミ蒸着膜
7 レジスト
8 半田付け
9 接着剤層
10 保護膜
11 銅板
12 ポリイミド酸層