特開2015-206422(P2015-206422A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2015-206422フィルタ取付構造及びフィルタ取付方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-206422(P2015-206422A)
(43)【公開日】2015年11月19日
(54)【発明の名称】フィルタ取付構造及びフィルタ取付方法
(51)【国際特許分類】
   F16K 51/00 20060101AFI20151023BHJP
   F16K 11/07 20060101ALI20151023BHJP
   F16H 61/00 20060101ALN20151023BHJP
【FI】
   F16K51/00 B
   F16K11/07 Z
   F16H61/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-87798(P2014-87798)
(22)【出願日】2014年4月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088100
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 千明
(72)【発明者】
【氏名】荒 貴典
(72)【発明者】
【氏名】安田 智宏
(72)【発明者】
【氏名】石井 広希
【テーマコード(参考)】
3H066
3H067
3J552
【Fターム(参考)】
3H066AA04
3H066BA17
3H066BA18
3H067AA17
3H067CC32
3H067CC33
3H067CC34
3H067DD05
3H067DD12
3H067EA02
3H067EA14
3H067ED07
3H067FF11
3H067GG15
3H067GG22
3J552NA01
3J552PA64
3J552QA44B
(57)【要約】
【課題】複雑な構造を用いずに、フィルタの巻き付け作業性を向上し、量産性にも適しているフィルタ取付構造及びフィルタ取付方法を提供する。
【解決手段】係合行程202で、各帯状フィルタ101a、101bの幅広部121a、121bを各周面溝21a,21bの拡張部121a,121bに係合する。巻付行程204で、スリーブ1を軸中心に回転し、各帯状フィルタ101a,101bを対応する周面溝21a,21bに巻き付ける。固着部クランプ行程205で、各帯状フィルタ101a,101bの先端側に当該帯状フィルタ101a,101bの後端側が重なって重合部が形成された時点で、スリーブ1の回転を停止してクランプする。固着行程206で、各帯状フィルタ101a,101bの重合部をスポット溶接し、各帯状フィルタ101a,101bの先端側と後端側とを固着する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空部に弁が内蔵されたスリーブの周面に並設された周面溝の各々に帯状フィルタを装着して前記各周面溝内に開設されたポートを覆うフィルタ取付構造において、
前記各周面溝の一部分において、前記軸方向に溝幅が拡張された拡張部を設け、
他方、前記帯状フィルタの一端側において、幅が拡張された幅広部を設け、
前記幅広部を前記拡張部に係合して前記帯状フィルタを前記周面溝に沿って巻き付けた状態で、少なくとも当該帯状フィルタの先端側と後端側が重なり合う重合部を成し、前記重合部にて前記帯状フィルタの先端側と後端側とを固着したことを特徴とするフィルタ取付構造。
【請求項2】
前記拡張部と前記幅広部とを略同一形状であって、前記幅広部が前記拡張部に対し小さく形成されていることを特徴とした請求項1記載のフィルタ取付構造。
【請求項3】
前記周面溝を、隣接して配置された第一周面溝と第二周面溝とで構成するとともに、前記第一周面溝に形成された拡張部と前記第二周面溝に形成された拡張部とを、軸方向で互いに離れる方向へ向けて拡張形成したことを特徴とする請求項1又は2記載のフィルタ取付構造。
【請求項4】
前記拡張部を形成する周方向側の壁面における前記周面側の端が中心軸側の端よりもオーバーハングしていることを特徴とした請求項1、2又は3記載のフィルタ取付構造。
【請求項5】
前記各周面溝に形成された拡張部を、前記スリーブの周方向において略同位置に設定したことを特徴とする請求項1から4にいずれか記載のフィルタ取付構造。
【請求項6】
前記重合部を、スポット溶接で固着したことを特徴とする請求項1から5にいずれか記載のフィルタ取付構造。
【請求項7】
前記拡張部及び前記幅広部を、軸方向で前記周面溝から離れる方向に従って先細りとなる三角形状に形成したことを特徴とする請求項1から6にいずれか記載のフィルタ取付構造。
【請求項8】
前記拡張部及び前記係止部を、前記周面溝から離れる方向へ向けて突出した略半円形状に形成したことを特徴とする請求項1から6にいずれか記載のフィルタ取付構造。
【請求項9】
スリーブの周面に並設された各周面溝の軸方向片側のみに当該スリーブの軸方向に広がる拡張部が形成される一方、前記周面溝に装着して当該周面溝に開設されたポートを覆う帯状フィルタの一端側に前記拡張部と係合する幅広部が形成された構造において、
前記各帯状フィルタの前記幅広部を対応する周面溝の前記拡張部に係合する第一行程と、
前記スリーブを軸中心に回転して前記各帯状フィルタを対応する周面溝に巻き付ける第二工程と、
前記各帯状フィルタの先端側に当該帯状フィルタの後端側が重なって重合部が形成された時点で前記スリーブの回転を停止し、前記先端側と前記後端側とを前記重合部にて固着して固着部を形成する第三工程と、
を備えたことを特徴とするフィルタ取付方法。
【請求項10】
スリーブの周面に並設された各周面溝の軸方向片側のみに当該スリーブの軸方向に広がる拡張部が形成される一方、前記周面溝に装着して当該周面溝に開設されたポートを覆う帯状フィルタの一端側に前記拡張部と係合する幅広部が形成された構造において、
前記各帯状フィルタの前記幅広部を対応する周面溝の前記拡張部に係合する第一行程と、
前記各帯状フィルタを、前記スリーブの軸中心に回転して前記各帯状フィルタを対応する周面溝に巻き付ける第二工程と、
前記各帯状フィルタの先端側に当該帯状フィルタの後端側が重なって重合部が形成された時点で前記各帯状フィルタの回転を停止し、前記先端側と前記後端側とを前記重合部にて固着して固着部を形成する第三工程と、
を備えたことを特徴とするフィルタ取付方法。
【請求項11】
前記第三の行程は、前記先端側と前記後端側とを前記重合部にて固着して前記固着部を形成した後、当該帯状フィルタの前記固着部より後端側をカットする行程を有することを特徴とした請求項9又は10記載のフィルタ取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリーブに取り付けるフィルタの取付構造及びフィルタ取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の自動変速機の摩擦係合装置に採用され、該摩擦係合装置(クラッチ手段やブレーキ手段等)の油圧制御を行う油圧回路において油圧の制御を行う際には、電磁弁が用いられていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この電磁弁は、弁体を内蔵した略円筒状をしたスリーブを備えている。ここで、該スリーブの長さ方向を軸方向とするとともに、この軸方向に沿ってスリーブの中央を通る線を中心軸と称し、この中心軸の周りであって当該スリーブの周面に沿った方向を周方向とする。また、当該中心軸からスリーブの周面に向かう半径方向を径方向と定義する。
【0004】
前記スリーブの周面周方向には、大凡360°に渡り周面溝が形成されている。該周面溝には、スリーブ内部に連通するポートが開設されており、該ポートは、前記周面溝に沿って配設された帯状フィルタで覆われている。
【0005】
この帯状フィルタには、スナップリングが装着されており、当該帯状フィルタを外方から圧着保持するように構成されている。
【0006】
この種のフィルタの他のフィルタの取付構造としては、帯状フィルタの長手方向一方の端部を凸形状に形成するとともに、他方の端部を凹形状とし、両者を嵌合して固定する取付構造も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
また、帯状フィルタの一端側に被係止用スリットを設け、その一端より延長部を延出するとともに、該延長部の先端に係止爪を設け、当該帯状フィルタを巻き付けて、前記係止爪を前記スリットに係合させたものが知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0008】
この帯状フィルタにあっては、スリーブに設けられた周面溝に沿って前記帯状フィルタを巻き付けるとともに、一端より延出した前記延長部をフィルタ本体上に巻き付ける。そして、前記延長部の先端に設けられた前記係止爪を前記被係止用スリットに嵌め合わせることで、当該帯状フィルタを巻き付けて固定できるように構成されている。
【0009】
さらに、帯状フィルタの長手方向両端部にV字状屈曲部を夫々形成したものも知られている(例えば、特許文献4参照。)。
【0010】
この帯状フィルタは、当該帯状フィルタをスリーブの周面溝に巻き付ける際、この帯状フィルタ一端側のV字状屈曲部を他端側のV字状屈曲部に重ねることにより、当該帯状フィルタを前記周面溝に固定できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−257454号公報
【特許文献2】特開2006−022816号公報
【特許文献3】特開2007−205465号公報
【特許文献4】特開2007−002958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、これらの従来のフィルタ取付構造にあっては、帯状フィルタをスリーブに係止しないため、帯状フィルタが取付作業時に回ってしまうという状況が考えられる。これにより、作業性が悪化する。また、作業性の悪化のみならず、取り付けた後に前記帯状フィルタの位置がずれると、本来のフィルタ効果が低下したり、ポートの開口面積が減少するという問題も生じる。
【0013】
また、帯状フィルタの固定構造が複雑であったり、固定用のスナップリングを構成する為に特殊なバネ材等を用意する必要が有り、作業の熟練度が要求されたり、部材の増加を招いていた。
【0014】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、複雑な構造を用いずに、フィルタの位置ずれを防ぎ、フィルタの巻き付け作業性をも向上し、量産性にも適しているフィルタ取付構造及びフィルタ取付方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するために本発明の請求項1のフィルタ取付構造にあっては、中空部に弁が内蔵されたスリーブの周面に並設された周面溝の各々に帯状フィルタを装着して前記各周面溝内に開設されたポートを覆うフィルタ取付構造において、前記各周面溝の一部分において、前記軸方向に溝幅が拡張された拡張部を設け、他方、前記帯状フィルタの一端側において、幅が拡張された幅広部を設け、前記幅広部を前記拡張部に係合して前記帯状フィルタを前記周面溝に沿って巻き付けた状態で、少なくとも当該帯状フィルタの先端側と後端側が重なり合う重合部を成し、前記重合部にて前記帯状フィルタの先端側と後端側とを固着した。
【0016】
すなわち、スリーブに並設された周面溝に帯状フィルタを装着する際には、前記帯状フィルタの幅広部を、対応する周面溝の拡張部に係合する。そして、前記スリーブと前記帯状フィルタとを相対的に回転させ、前記帯状フィルタを対応する周面溝に沿って巻き付ける。このとき、前記帯状フィルタは、その幅広部が前記周面溝の前記拡張部に係合しており、当該帯状フィルタの空回りが防止される。
【0017】
そして、少なくとも当該帯状フィルタの先端側と後端側が重なり合う重合部を形成し、この重合部にて前記帯状フィルタの先端側と後端側とを例えば接着や溶着により固着する。
【0018】
これにより、前記各周面溝には、前記各帯状フィルタが空回りすること無く装着固定される。
【0019】
また、請求項2のフィルタ取付構造においては、前記拡張部と前記幅広部とを略同一形状であって、前記幅広部が前記拡張部に対し小さく形成されている。
【0020】
すなわち、前記拡張部と前記幅広部とは略同一形状であって、前記幅広部が前記拡張部に対し小さく形成されている。このため、前記拡張部への前記幅広部の誤装着を防止できる。また、前記幅広部の前記拡張部への取り付け位置を正しく認識出来る。
【0021】
さらに、請求項3のフィルタ取付構造では、前記周面溝を、隣接して配置された第一周面溝と第二周面溝とで構成するとともに、前記第一周面溝に形成された拡張部と前記第二周面溝に形成された拡張部とを、軸方向で互いに離れる方向へ向けて拡張形成した。
【0022】
すなわち、隣接して配置された第一周面溝の拡張部と前記第二周面溝の拡張部とは、互いに離れる方向へ向けて形成されている。
【0023】
このため、前記第一周面溝の拡張部と前記第二周面溝の拡張部とが、隣接する方向に形成された場合と比較して、両周面溝の近接配置が可能とされる。
【0024】
また、並設された同じ間隔の溝の場合、前記拡張部を内側に拡張させると、隣の周面溝とのリークが発生し、問題となるが、この問題を解決することができる。
【0025】
加えて、請求項4のフィルタ取付構造にあっては、前記拡張部を形成する周方向側の壁面における前記周面側の端が中心軸側の端よりもオーバーハングしている。
【0026】
すなわち、前記拡張部を形成する周方向側の壁面は、前記周面側の端が中心軸側の端よりもオーバーハングするように傾斜している。
【0027】
このため、前記帯状フィルタを巻き付けるために前記スリーブと前記帯状フィルタとを相対的に回転させた際には、前記帯状フィルタの前記幅広部の側面が前記拡張部のオーバーハングした壁面に当接するので、前記幅広部には前記壁面によって中心軸方向へ向けた分力が生ずる。
【0028】
これにより、前記帯状フィルタの前記幅広部は、前記周面溝の前記拡張部に引っ掛けた状態で、外れにくくすることができ、不用意な外れが防止される。
【0029】
また、請求項5のフィルタ取付構造においては、前記各周面溝に形成された拡張部を、前記スリーブの周方向において略同位置に設定した。
【0030】
すなわち、前記各周面溝に形成された拡張部は、前記スリーブの周方向において略同位置に設定されており、前記各帯状フィルタの前記幅広部の係合作業や、前記重合部での固着作業が容易に行われる。
【0031】
さらに、請求項6のフィルタ取付構造では、前記重合部を、スポット溶接で固着した。
【0032】
すなわち、前記重合部は、スポット溶接で固着される。これにより、量産性が高められる。また、固定部分での信頼性が高められる。
【0033】
加えて、請求項7のフィルタ取付構造にあっては、前記拡張部及び前記幅広部を、軸方向で前記周面溝から離れる方向に従って先細りとなる三角形状に形成した。
【0034】
このような形状でも前記拡張部及び前記幅広部を構成できる。
【0035】
また、請求項8のフィルタ取付構造においては、前記拡張部及び前記係止部を、前記周面溝から離れる方向へ向けて突出した略半円形状に形成した。
【0036】
このような形状でも前記拡張部及び前記幅広部を構成できる。
【0037】
そして、本発明の請求項9のフィルタ取付方法にあっては、スリーブの周面に並設された各周面溝の軸方向片側のみに当該スリーブの軸方向に広がる拡張部が形成される一方、前記周面溝に装着して当該周面溝に開設されたポートを覆う帯状フィルタの一端側に前記拡張部と係合する幅広部が形成された構造において、前記各帯状フィルタの前記幅広部を対応する周面溝の前記拡張部に係合する第一行程と、前記スリーブを軸中心に回転して前記各帯状フィルタを対応する周面溝に巻き付ける第二工程と、前記各帯状フィルタの先端側に当該帯状フィルタの後端側が重なって重合部が形成された時点で前記スリーブの回転を停止し、前記先端側と前記後端側とを前記重合部にて固着して固着部を形成する第三工程と、を備えている。
【0038】
すなわち、スリーブに並設された周面溝に帯状フィルタを装着する際には、前記各帯状フィルタの前記幅広部を対応する周面溝の拡張部に係合する。
【0039】
この状態で、前記スリーブを軸中心に回転して前記各帯状フィルタを対応する周面溝に巻き付ける。このとき、前記各帯状フィルタは、前記幅広部が対応する周面溝の拡張部に係合されている。このため、巻き付け時での不用意な空回りが防止される。
【0040】
そして、前記各帯状フィルタの先端側に当該帯状フィルタの後端側が重なって重合部が形成された時点で前記スリーブの回転を停止し、前記先端側と前記後端側とを前記重合部にて接着や溶着などにより固着して固着部を形成する。
【0041】
これにより、前記各周面溝には、前記各帯状フィルタが一度の行程により装着される。
【0042】
また、本発明の請求項10のフィルタ取付方法においては、スリーブの周面に並設された各周面溝の軸方向片側のみに当該スリーブの軸方向に広がる拡張部が形成される一方、前記周面溝に装着して当該周面溝に開設されたポートを覆う帯状フィルタの一端側に前記拡張部と係合する幅広部が形成された構造において、前記各帯状フィルタの前記幅広部を対応する周面溝の前記拡張部に係合する第一行程と、前記各帯状フィルタを、前記スリーブの軸中心に回転して前記各帯状フィルタを対応する周面溝に巻き付ける第二工程と、前記各帯状フィルタの先端側に当該帯状フィルタの後端側が重なって重合部が形成された時点で前記各帯状フィルタの回転を停止し、前記先端側と前記後端側とを前記重合部にて固着して固着部を形成する第三工程と、を備えている。
【0043】
すなわち、スリーブに並設された周面溝に帯状フィルタを装着する際には、前記各帯状フィルタの前記幅広部を対応する周面溝の拡張部に係合する。
【0044】
この状態で、前記各帯状フィルタを、前記スリーブの軸中心に回転して前記各帯状フィルタを対応する周面溝に巻き付ける。このとき、前記各帯状フィルタは、前記幅広部が対応する周面溝の拡張部に係合されている。このため、巻き付け時での不用意な空回りが防止される。
【0045】
そして、前記各帯状フィルタの先端側に当該帯状フィルタの後端側が重なって重合部が形成された時点で前記各帯状フィルタの回転を停止し、前記先端側と前記後端側とを前記重合部にて固着して固着部を形成する。
【0046】
これにより、前記各周面溝には、前記各帯状フィルタが一度の行程により装着される。
【0047】
さらに、請求項11のフィルタ取付方法では、前記第三の行程は、前記先端側と前記後端側とを前記重合部にて固着して前記固着部を形成した後、当該帯状フィルタの前記固着部より後端側をカットする行程を有する。
【0048】
すなわち、前記先端側と前記後端側とを前記重合部にて固着して前記固着部を形成した際には、当該帯状フィルタの前記固着部より後端側がカットされる。
【0049】
また、前記帯状フィルタの後端側を後でカットするので、あらかじめカットされているものを巻く作業と比較して、帯状フィルタの部材が長手方向に長くなり、前記周面溝に巻きやすくなる。あるいは、前記帯状フィルタがチャックしやすく自動化に適している。
【発明の効果】
【0050】
以上説明したように本発明の請求項1のフィルタ取付構造にあっては、帯状フィルタの幅広部を、対応する周面溝の拡張部に係合することによって、帯状フィルタ巻き付け時での空回りや、フィルタ装着後の位置ずれを防止することができる。これにより、作業性の向上や巻き付け後の位置ずれを防止できる。
【0051】
そして、前記帯状フィルタの先端側と後端側が重なり合う重合部において、前記帯状フィルタの先端側と後端側とを例えば接着や溶着により固着することより、容易に前記帯状フィルタを周面溝に固着出来るとともに、装着後も周面溝に沿った回転ずれをも防止出来る。なお、前記各周面溝に前記各帯状フィルタを一度の行程により装着することも可能となる。
【0052】
このため、帯状フィルタの端部に複雑な固定構造を形成したり、帯状フィルタをスナップリングで固定する従来と比較して、組み立て作業効率性を高めることができる。
【0053】
したがって、複雑な構造を用いずに、帯状フィルタの巻き付け作業性を向上し、量産に対応することができる。
【0054】
また、請求項2のフィルタ取付構造においては、前記拡張部と前記幅広部とは略同一形状であって、前記幅広部が前記拡張部に対し小さく形成されている。
【0055】
このため、前記拡張部への前記幅広部の誤装着を防止できる。また、前記幅広部の前記拡張部への取り付け位置を正しく認識出来る。
【0056】
さらに、請求項3のフィルタ取付構造では、隣接して配置された第一周面溝の拡張部と前記第二周面溝の拡張部とは、軸方向で互いに離れる方向へ向けて拡張形成されている。
【0057】
このため、前記第一周面溝の拡張部と前記第二周面溝の拡張部とが、隣接する方向に形成された場合と比較して、両周面溝の近接配置が可能となる。
【0058】
また、並設された同じ間隔の溝の場合、前記第一周面溝の拡張部と前記第二周面溝の拡張部とを隣接する内側に拡張させると、隣の周面溝とのリークが発生し、問題となることが考えられる。しかし、第一周面溝の拡張部と前記第二周面溝の拡張部とを軸方向で互いに離れる方向へ向けて拡張形成することで、この問題の発生を解決することができる。
【0059】
加えて、請求項4のフィルタ取付構造にあっては、前記拡張部を形成する周方向側の壁面は、前記周面側の端が中心軸側の端よりもオーバーハングするように傾斜している。
【0060】
このため、前記帯状フィルタを巻き付けるために前記スリーブと前記帯状フィルタとを相対的に回転させた際には、前記帯状フィルタの前記幅広部の側面が前記拡張部のオーバーハングした壁面に当接することで、前記幅広部に中心軸方向へ向けた分力を生じさせることができる。
【0061】
これにより、前記帯状フィルタの前記幅広部を、前記周面溝の前記拡張部に引っ掛けた状態で、外れにくくすることができ、不用意な外れを防止することができる。
【0062】
また、請求項5のフィルタ取付構造においては、前記各周面溝に形成された拡張部は、前記スリーブの周方向において略同位置に設定されており、前記各帯状フィルタの前記幅広部の係合作業や、前記重合部での固着作業を容易に行うことができる。
【0063】
そして、スリーブの回転作業も少なくて済む。
【0064】
さらに、請求項6のフィルタ取付構造では、前記重合部は、スポット溶接で固着される。
【0065】
これにより、量産性を高めることができる。また、固定部分での信頼性を高めることができる。
【0066】
加えて、請求項7のフィルタ取付構造にあっては、前記拡張部及び前記幅広部を軸方向で前記周面溝から離れる方向に従って先細りとなる三角形状に形成した。
【0067】
このような形状でも前記拡張部及び前記幅広部を構成することができる。
【0068】
また、請求項8のフィルタ取付構造においては、前記拡張部及び前記係止部を、前記周面溝から離れる方向へ向けて突出した略半円形状に形成した。
【0069】
このような形状でも前記拡張部及び前記幅広部を構成することができる。
【0070】
また、本発明の請求項9のフィルタ取付方法にあっては、帯状フィルタの幅広部を、対応する周面溝の拡張部に係合することによって、帯状フィルタ巻き付け時での空回りや、フィルタ装着後の位置ずれを防止することができる。これにより、作業性の向上や巻き付け後の位置ずれを防止できる。
【0071】
そして、前記各帯状フィルタの先端側に当該帯状フィルタの後端側が重なって重合部が形成された時点で前記スリーブの回転を停止し、前記先端側と前記後端側とを前記重合部にて接着や溶着などにより固着して固着部を形成する。これにより、容易に前記帯状フィルタを周面溝に固着出来るとともに、装着後も周面溝に沿った回転ずれをも防止出来る。なお、前記各周面溝に前記各帯状フィルタを一度の行程により装着することも可能となる。
【0072】
このため、帯状フィルタの端部に複雑な固定構造を形成したり、帯状フィルタをスナップリングで固定する従来と比較して、組み立て作業効率性を高めることができる。
【0073】
したがって、複雑な構造を用いずに、帯状フィルタの巻き付け作業性を向上し、量産に対応することができる。
【0074】
また、本発明の請求項10のフィルタ取付方法においては、前記各帯状フィルタを、前記スリーブの軸中心に回転して対応する周面溝に巻き付ける場合であっても、前述と同様の作用効果を得ることができる。
【0075】
さらに、請求項11のフィルタ取付方法では、前記先端側と前記後端側とを前記重合部にて固着して前記固着部を形成した後に、当該帯状フィルタの前記固着部より後端側をカットすることができる。
【0076】
このとき、前記帯状フィルタの後端側を後でカットするので、あらかじめカットされているものを巻く作業と比較して、帯状フィルタの部材が長手方向に長くなり、前記周面溝に巻きやすくなる。あるいは、前記帯状フィルタがチャックしやすく自動化に適している。
【図面の簡単な説明】
【0077】
図1】本発明の第一の実施の形態を示す説明図である。
図2】同実施の形態の要部を示す断面図である。
図3】同実施の形態の製造工程を示す説明図である。
図4】(a)は本発明の第二の実施の形態を示す図であり、(b)は第三の実施の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
(第一の実施の形態)
【0079】
以下、本発明の第一の実施の形態を図面に従って説明する。
【0080】
図1は、本実施の形態にかかるフィルタ取付構造を備えたスリーブ1を示す図であり、該スリーブ1は、スプール弁を構成するものである。
【0081】
すなわち、このスリーブ1は、図1及び図2に示すように、円筒状に形成されており、当該スリーブ1内の中空部11には(図2参照)、スプール弁体が軸方向へ移動自在に収容されている(図示省略)。前記スリーブ1の周面12には、周面溝が周方向13全周にわたって形成されており、該周面溝は、第一周面溝21aと第二周面溝21bとによって構成されている。前記第一周面溝21aと前記第二周面溝21bとは、隣接して配置されており、両周面溝21a,21bは、平行して延設されている。
【0082】
前記各周面溝21a,21bは、その一部分に前記軸方向31に溝幅が拡張された拡張部32a,32bが形成されており、この拡張部32a,32bは前記周方向13に長い矩形状に形成されている。前記第一周面溝21aに形成された前記拡張部32aと前記第二周面溝21bに形成された前記拡張部32bとは、当該スリーブ1の周方向13においてほぼ一致する略同位置に設定されている。
【0083】
前記第一周面溝21aに形成された前記拡張部32aは、図1の軸方向31の左方向のみに拡張されており、前記第二周面溝21bに形成された前記拡張部32bは、図1の軸方向31の右方向のみに拡張されている。これにより、前記第一周面溝21aに形成された前記拡張部32aと前記第二周面溝21bに形成された前記拡張部32bとは、軸方向31で互いに離れる方向に突出するように形成されている。
【0084】
そして、前記各周面溝21a,21bを形成する際には、前記スリーブ1をダイキャストで作る際に前記拡張部32a,32bを含めダイキャストで形成しておき、その後、旋盤で前記各周面溝21a,21bを切削形成する。
【0085】
ここで、各周面溝21a,22bの内側に突起を設け、他方、後述する帯状フィルタ101a,101bの両側に凹みを設け、前記突起に前記凹みを引っかけて取り付けるタイプも考えられるが、この場合、前記各周面溝21a,21bが旋盤では製造出来ないため、ダイキャストで作る事になる。しかし、この場合前記各周面溝21a,21bの表面荒さなどで、劣ることになる。
【0086】
前記各周面溝21a,21bに形成された前記拡張部32a,32bは、図2に示したように、該拡張部32a,32bを形成する周方向13側の一壁面41における前記周面12側の端が中心軸側の端よりもオーバーハングしており(第一周面溝21aの拡張部32aのみ図示)、前記拡張部32aを構成する前記一壁面41と当該拡張部32aの底面42との角部43の成す角が鋭角となるように構成されている。
【0087】
そして、前記各周面溝21a,21bには、それぞれ前記中空部11に連通するポート51a,51bが開設されており(第一周面溝21aのポート51aのみ図示)、当該スプール弁で制御される流体が各ポート51a,51bを介して通流するように構成されている。
【0088】
前記第一周面溝21aには、図1に示したように、第一帯状フィルタ101aが巻き付けられた状態で装着されており、当該第一周面溝21aに形成された前記ポート51aは、前記第一帯状フィルタ101aによって覆われている。前記第二周面溝21aには、第二帯状フィルタ101bが巻き付けられた状態で装着されており、当該第二周面溝21aに形成された前記ポート51bは、前記第二帯状フィルタ101bによって覆われている。
【0089】
前記各帯状フィルタ101a,101bは、薄肉の金属板によって長尺状に形成されており、各帯状フィルタ101a,101bには、複数の小孔で構成された濾過部111a,111bが形成されている。各帯状フィルタ101a,101bは、前記濾過部111a,111bが前記ポート51a,51b上に位置するように構成されており、該ポート51a,51b内へのコンタミの混入を防止できるように構成されている。
【0090】
前記第一帯状フィルタ101aの先端部分には、その幅寸法が拡張された幅広部121aが形成されており、該幅広部121aは、図中軸方向31一方たる左側へ突出するように形成されている。この第一帯状フィルタ101aに形成された幅広部121aは、当該第一帯状フィルタ101aの長さ方向を長手とした長方形状に形成されており、その長さ寸法は、前記第一周面溝21aに形成された前記拡張部32aの周方向13での長さ寸法より短めに設定されている。
【0091】
また、前記幅広部121aは、周方向13の長さが短いだけでなく、前記第一帯状フィルタ101aから側方へ突出した前記幅広部121aの拡張幅も、前記第一周面溝21aから軸方向31へ拡張された前記拡張部32aの拡張幅より短くなるように設定されている。
【0092】
つまり、前記幅広部121aは、前記拡張部32aよりも周方向13の長さ及び軸方向31への出っ張り寸法の両方が短く設定されることで、前記第一帯状フィルタ101aを前記第一周面溝21aに装着する際に、前記第一帯状フィルタ101aに形成された前記幅広部121aを前記第一周面溝21aに形成された前記拡張部32aに容易に係合できるように構成されている。
【0093】
また、前記第二帯状フィルタ101bの先端部分にも、その幅寸法が拡張された幅広部121bが形成されており、該幅広部121bは、図中軸方向31他方たる右側へ突出するように形成されている。この第二帯状フィルタ101bに形成された幅広部121bは、当該第二帯状フィルタ101bの長さ方向を長手とした長方形状に形成されており、その長さ寸法は、前記第二周面溝21bに形成された前記拡張部32bの長さ寸法より短めに設定されている。
【0094】
また、前記幅広部121bは、周方向13の長さが短いだけでなく、前記第二帯状フィルタ101bから側方へ突出した前記幅広部121bの拡張幅も、前記第二周面溝21bから軸方向31へ拡張された前記拡張部32bの拡張幅より短くなるように設定されている。
【0095】
つまり、前記幅広部121bは、前記拡張部32bよりも周方向13の長さ及び軸方向31への出っ張り寸法の両方が短く設定されることで、前記第二帯状フィルタ101bを前記第二周面溝21bに装着する際に、前記第二帯状フィルタ101bに形成された前記幅広部121bを前記第二周面溝21bに形成された前記拡張部32bに容易に係合できるように構成されている。
【0096】
なお、本実施の形態では、第一帯状フィルタ101aの幅広部121aの長さ寸法が第一周面溝21aの拡張部32aの長さ寸法より短く設定された場合について説明するが、前記拡張部32aと前記幅広部121aとを略同一で、該幅広部121aの形状を僅かに小さく形成することによって、前記拡張部32a内での前記幅広部121aのがたつきを防止することができる。
【0097】
これにより、装着された第一帯状フィルタ101aのがたつきを防止するという作用効果を得ることができる。
【0098】
また、前記第二帯状フィルタ101bの前記拡張部32bと前記第二周面溝21bの前記幅広部121bとを略同一で、該幅広部121bの形状を僅かに小さく形成することによって、前記拡張部32b内での前記幅広部121bのがたつきを防止することができる。
【0099】
これにより、装着された第二帯状フィルタ101bのがたつきを防止するという作用効果を得ることができる。
【0100】
そして、前記第一及び第二帯状フィルタ101a,101bは、対応する周面溝21a,21bに沿って巻き付けた状態で、少なくともその先端側と後端側とが重なり合うように構成されており、この重なり合った重合部131a,131bは、左右の二箇所がスポット溶接で固着されてなる固着部132,133によって固着されている。
【0101】
なお、本実施の形態では、前記重合部131a,131bを溶着により固定した場合に付いて説明するが、接着等による固着方法で固着してもよい。
【0102】
図3は、本発明のフィルタ取付方法を示す説明図であり、フィルタの取付行程が示されている。
【0103】
すなわち、前記スリーブ1に前記各帯状フィルタ101a,101bを取り付ける際には、事前測定行程201において、前記スリーブ1を治具にセットするとともに、当該スリーブ1を回転し、前記各周面溝21a,21bにおける外径寸法を自動投影式により測定する。
【0104】
そして、係合行程202において、前記第一帯状フィルタ101aの先端部分に設けられた幅広部121aを前記第一周面溝21aの拡張部32aに係合するとともに、当該第一帯状フィルタ101aの後端側を引っ張り治具211に係止するなどしてセットする。また、前記第二帯状フィルタ101bの先端部分に設けられた幅広部121bを前記第二周面溝21bの拡張部32bに係合するとともに、当該第二帯状フィルタ101bの後端側を引っ張り治具211に係止するなどしてセットする。
【0105】
この状態で、係合部クランプ行程203において、前記第一帯状フィルタ101aの幅広部121aを前記第一周面溝21aの拡張部32aにトグルクランプでクランプするとともに、前記第二帯状フィルタ101bの幅広部121bを前記第二周面溝21bの拡張部32bにトグルクランプでクランプする。
【0106】
次に、巻付行程204において、前記治具にセットされた前記スリーブ1を軸中心に回転し、前記各帯状フィルタ101a,101bを対応する周面溝21a,21bに巻き付ける。このとき、前記両帯状フィルタ101a,101bは、バネ式の引っ張り治具211によって引っ張られており、前記両帯状フィルタ101a,101bにはテンションが加えられるように構成されている。
【0107】
ここで、本実施の形態の巻付行程204では、前記スリーブ1を回転して前記各帯状フィルタ101a,101bを対応する周面溝21a,21bに巻き付ける場合に付いて説明するが、前記各帯状フィルタ101a,101bを前記スリーブ1の軸中心に回転して前記各帯状フィルタ101a,101bを対応する周面溝21a,21bに巻き付けても良い。
【0108】
そして、固着部クランプ行程205において、前記スリーブ1を一周と僅か回転して前記各帯状フィルタ101a,101bの先端側に当該帯状フィルタ101a,101bの後端側が重なって重合部131a,131bが形成された時点で、前記スリーブ1の回転を停止し、前記重合部131a,131bにて前記各帯状フィルタ101a,101bの先端側と後端側とが密着するようにクランプする。
【0109】
ここで、前記各帯状フィルタ101a,101bを前記スリーブ1の軸中心に回転して前記各帯状フィルタ101a,101bを対応する周面溝21a,21bに巻き付けた場合には、前記各帯状フィルタ101a,101bの先端側に当該帯状フィルタ101a,101bの後端側が重なって重合部131a,131bが形成された時点で前記各帯状フィルタ101a,101bの回転を停止することとなる。
【0110】
この状態で、固着行程206において、前記各帯状フィルタ101a,101bの前記重合部131a,131bにおける二箇所をスポット溶接することにより、固着部132,133を形成し、前記各帯状フィルタ101a,101bの先端側と後端側とを固着する(図1参照)。
【0111】
次に、切断行程207において、前記各帯状フィルタ101a,101bの前記固着部132,133より後端側をカットして、前記引っ張り治具211を後退させる。
【0112】
これにより、前記各帯状フィルタ101a,101bの前記固着部132,133より後端側の余剰部分をカットすることができる。
【0113】
そして、検査工程208において、前記治具で前記スリーブ1を回転させながら、前記各帯状フィルタ101a,101bが巻かれた前記各周面溝21a,21b部分の外径寸法を自動投影式により測定し、前記事前測定行程201にて測定した外形寸法との比較によって、装着された各帯状フィルタ101a,101bに浮きが無いことを確認して取付作業を終了する。
【0114】
以上の構成にかかる本実施の形態にあっては、前記各帯状フィルタ101a,101bの幅広部121a,121bを、対応する周面溝21a,21bの拡張部32a,32bに係合することによって、各帯状フィルタ101a,101b巻き付け時での空回りを防止することができる。これにより、作業性が向上する。
【0115】
そして、前記各帯状フィルタ101a,101bの先端側と後端側が重なり合う重合部131a,131bにおいて、前記各帯状フィルタ101a,101bの先端側と後端側とを固着することよって、前記各周面溝21a,21bに前記各帯状フィルタ101a,101bを一度の行程により装着することができる。
【0116】
このため、各帯状フィルタ101a,101bの端部に複雑な固定構造を形成したり、各帯状フィルタ101a,101bをスナップリングで固定する従来と比較して、組み立て容易性を高めることができる。
【0117】
したがって、複雑な構造を用いずに、前記各帯状フィルタ101a,101bの巻き付け作業性を向上し、量産に対応することができる。
【0118】
そして、前記拡張部32a,32bは、前記各周面溝21a,21bの片側のみに形成されている。このため、各周面溝21a,21bの両側に前記拡張部32a,32bを設ける場合と比較して各周面溝21a,21bの加工が容易となる。
【0119】
このとき、前記第一周面溝21aの前記拡張部32aと前記第一帯状フィルタ101aの前記幅広部121aとを略同一で、該幅広部121aの形状を僅かに小さく形成しておけば、前記拡張部32a内での前記幅広部121aのがたつきを防止することができる。
【0120】
これにより、装着された前記第一帯状フィルタ101aのがたつきを防止することができる。
【0121】
また、前記第二周面溝21bの前記拡張部32bと前記第二帯状フィルタ101bの前記幅広部121bとを略同一で、該幅広部121bの形状を僅かに小さく形成しておけば、前記拡張部32b内での前記幅広部121bのがたつきを防止することができる。
【0122】
これにより、装着された前記第二帯状フィルタ101bのがたつきを防止することができる。
【0123】
また、隣接して配置された第一周面溝21aの拡張部32aと前記第二周面溝21bの拡張部32bとは、軸方向31で互いに離れる方向へ向けて拡張形成されている。
【0124】
このため、前記第一周面溝21aの拡張部32aと前記第二周面溝21bの拡張部32bとが、互いに隣接する方向に形成された場合と比較して、両周面溝21a,21bの近接配置が可能となる。
【0125】
また、並設された同じ間隔の溝の場合、前記第一周面溝21aの拡張部32aと前記第二周面溝21bの拡張部32bとを隣接する内側に拡張させると、隣の周面溝21a,21bとのリークが発生し、問題となることが考えられる。
【0126】
しかし、前記第一周面溝21aの拡張部32aと前記第二周面溝21bの拡張部32bとを軸方向31で互いに離れる方向へ向けて拡張形成することで、この問題の発生を解決することができる。
【0127】
さらに、前記各拡張部121a,121bを形成する周方向13側の一壁面41は、前記周面12側の端が中心軸側の端よりもオーバーハングするように傾斜している。
【0128】
このため、前記各帯状フィルタ101a,101bを巻き付けるために前記スリーブ1と前記各帯状フィルタ101a,101bとを相対的に回転させた際には、前記各帯状フィルタ101a,101bの前記幅広部121a,121bの側面が前記拡張部32a,32bのオーバーハングした前記一壁面41に当接することで、前記幅広部121a,121bに中心軸方向へ向けた分力を生じさせることができる。
【0129】
これにより、前記各帯状フィルタ101a,101bの前記幅広部121a,121bを、前記各周面溝21a,21bの前記拡張部32a,32bに引っ掛けた状態で、外れにくくすることができ、不用意な外れを防止することができる。
【0130】
また、前記各周面溝21a,21bに形成された拡張部32a,32bは、前記スリーブ1の周方向13において略同位置に設定されており、前記各帯状フィルタ101a,101bの前記幅広部121a,121bの係合作業や、前記重合部131a,131bでの固着作業を容易に行うことができる。
【0131】
そして、前記スリーブ1の回転作業も少なくて済む。
【0132】
さらに、本実施の形態では、前記重合部131a,131bにスポット溶接を施して、各帯状フィルタ101a,101bを固着した。
【0133】
これにより、量産性を高めることができる。また、固定部分での信頼性を高めることができる。
【0134】
(第二の実施の形態)
【0135】
図4の(a)は(第一周面溝21aのみ図示)、本発明の第二の実施の形態を示す図であり、前記周面溝21a,21bの拡張部32a,32bが、軸方向31であって対応する周面溝21a,21bから離れる方向へ向かうに従って先細りとなる三角形状に形成されている。
【0136】
また、前記各帯状フィルタ101a,101bの幅広部121a,121bも、軸方向31であって対応する帯状フィルタ101a,101bから離れる方向へ向かうに従って先細りとなる三角形状に形成されており、この幅広部121a,121bと前記拡張部32a,32bは、略同一形状に形成されている。
【0137】
このような形状でも前記拡張部121a,121b及び前記幅広部32a,32bを構成することができる。
【0138】
(第三の実施の形態)
【0139】
図4の(b)は(第一周面溝21aのみ図示)、本発明の第三の実施の形態を示す図であり、前記周面溝21a,21bの拡張部32a,32bが対応する周面溝21a,21bから離れる方向へ向けて突出した略半円形に形成されている。
【0140】
また、前記各帯状フィルタ101a,102bの幅広部121a,121bも、対応する帯状フィルタ101a,102bから離れる方向へ向けて突出した略半円形に形成されており、この幅広部121a,121bと前記拡張部32a,32bは、略同一形状に形成されている。
【0141】
このような形状でも前記拡張部121a,121b及び前記幅広部32a,32bを構成することができる。
【符号の説明】
【0142】
1 スリーブ
11 中空部
12 周面
13 周方向
21a 第一周面溝
21b 第二周面溝
31 軸方向
32a 拡張部
32b 拡張部
51a ポート
101a 第一帯状フィルタ
101b 第二帯状フィルタ
121a 幅広部
121b 幅広部
131a 重合部
132 固着部
133 固着部
図1
図2
図3
図4