【解決手段】熱源流体を熱源として低圧蒸気を生成する蒸気発生装置10と、低圧蒸気を昇圧する蒸気昇圧装置20と、低圧蒸気供給ライン30と、を備える蒸気システム1であって、蒸気発生装置10に供給される熱源流体の流量を調整する流量調整弁19と、蒸気昇圧装置20から吐出される吐出蒸気が流通する蒸気吐出ライン40と、吐出蒸気の圧力を測定する吐出蒸気圧測定部41と、吐出蒸気の圧力に基いて流量調整弁19を制御する弁制御部52とを更に備える。
前記蒸気昇圧装置は、低圧蒸気を圧縮する圧縮部と、該圧縮部に導入される低圧蒸気の圧力が設定された目標圧力になるように前記圧縮部の負荷率を制御する負荷率制御部と、を備える請求項1に記載の蒸気システム。
前記台数制御部は、前記集合蒸気圧測定部により測定される集合蒸気の圧力が前記第1閾値よりも小さい第2閾値を下回った場合に、運転させる前記蒸気システムの台数を増加させる請求項4に記載の連携蒸気システム。
前記台数制御部は、運転している前記蒸気昇圧装置の負荷率が前記第1基準負荷率よりも高い第2基準負荷率を上回った状態が第1時間経過した場合に、運転させる前記蒸気システムの台数を増加させる請求項4又は5に記載の連携蒸気システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の蒸気システム及び連携蒸気システムの好ましい各実施形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、第1実施形態に係る蒸気システム1について、
図1を参照しながら説明する。
第1実施形態の蒸気システム1は、蒸気を生成する蒸気発生装置10と、この蒸気発生装置10において生成された蒸気を昇圧する蒸気昇圧装置20と、蒸気発生装置10と蒸気昇圧装置20とを接続する低圧蒸気供給ライン30と、この低圧蒸気供給ライン30を流通する蒸気の圧力(低圧蒸気圧)を測定する低圧蒸気圧測定部としての低圧蒸気圧力センサ31と、蒸気昇圧装置20から吐出される吐出蒸気が流通する蒸気吐出ライン40と、この蒸気吐出ライン40を流通する吐出蒸気の圧力を測定する吐出蒸気圧測定部としての吐出蒸気圧力センサ41と、蒸気システム1の動作を制御する制御部50と、を備える。
【0016】
蒸気発生装置10は、
図1に示すように、ガスエンジン200のジャケット冷却水の排熱等の比較的低温の熱源流体を利用して蒸気を発生させる。この蒸気発生装置10は、タンク部11と、タンク部11の内部に配置されるチューブ12及び噴霧ノズル13と、熱源流体供給ラインとしての温水供給ライン14と、熱源流体排出ラインとしての温水排出ライン15と、噴霧水供給ライン16と、補給水ライン17と、バイパスライン18と、流量調整弁としての三方弁19と、を備える。「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0017】
タンク部11は、蒸気発生装置10における本体部分を構成する。タンク部11の内部は負圧もしくは低圧(例えば、−0.05MPaG〜0.1MPaG程度)に維持され、このタンク部11の内部において蒸気が生成される。このタンク部11の上部には、後述の低圧蒸気供給ライン30の基端部が接続される。
また、タンク部11には、安全弁32が設けられる。安全弁32は、タンク部11の内部の圧力が所定の圧力(設定圧力)を超えた場合に、蒸気を外部に放出してタンク部11(蒸気発生装置10)の内部の圧力を低下させる。
【0018】
チューブ12は、タンク部11の内部に水平方向に延びて配置される。より具体的には、チューブ12は、タンク部11の内部において、水平方向に所定間隔をあけて複数本配置されると共に、高さ方向にも所定間隔をあけて複数本配置される。このチューブ12の内部には、熱源流体としての温水が流通する。
【0019】
噴霧ノズル13は、タンク部11の内部におけるチューブ12よりも上方に配置される。この噴霧ノズル13は、チューブ12に向けて水を噴霧する。
温水供給ライン14は、チューブ12に熱源となる温水を供給する。温水供給ライン14の上流側は、熱源となる温水を供給するガスエンジン200等に接続される。温水供給ライン14の下流側は、チューブ12の一端部に接続される。
【0020】
温水排出ライン15は、チューブ12の内部を流通し、熱源として利用された温水を外部に排出する。温水排出ライン15の上流側は、チューブ12の他端部に接続される。温水排出ライン15の他端側は、ガスエンジン200等に接続される。
噴霧水供給ライン16は、タンク部11の下部と噴霧ノズル13とを接続し、タンク部11の下部に貯留された水を、噴霧水として噴霧ノズル13に供給する。噴霧水供給ライン16には、噴霧水ポンプ161が配置されている。
噴霧水ポンプ161は、タンク部11に貯留された水を噴霧ノズル13まで汲み上げる。
【0021】
補給水ライン17は、タンク部11と水を貯留している貯留槽等(図示せず)とを接続する。補給水ライン17は、タンク部11に補給水を供給する。この補給水ライン17には、補給水ポンプ171が配置される。
補給水ポンプ171は、貯留槽等から供給された水を昇圧してタンク部11の内部に供給する。
【0022】
バイパスライン18は、温水供給ライン14と温水排出ライン15とを接続する。
三方弁19は、温水供給ライン14とチューブ12との接続部分の近傍に配置され、温水供給ライン14、チューブ12(蒸気発生装置10)及びバイパスライン18を接続する。三方弁19は、温水供給ライン14からチューブ12側に流れる温水の量及びバイパスライン側に流れる温水の流量を調整する。即ち、三方弁19により温水供給ライン14からバイパスライン18への流路を閉止した状態では、温水供給ライン14を流通する温水は、全量チューブ12側に流れる。この状態からバイパスライン18への流路を開くように三方弁19の開度を調整すると、温水供給ライン14を流通する温水の一部は、バイパスライン18側に流れる。また、三方弁19により温水供給ライン14からチューブ12への流路を閉止した状態では、温水供給ライン14を流通する温水は、全量バイパスライン18側に流れる。このように、三方弁19の開度を調整することで、チューブ12側に流れる温水の流量を調整できる。
【0023】
以上の蒸気発生装置10によれば、三方弁19により温水供給ライン14からバイパスライン18への流路を閉止した状態では、まず、ガスエンジン200等から熱源となる温水(例えば、約90℃)が、温水供給ライン14を通じてチューブ12に供給される。チューブ12に供給された温水は、タンク部11の内部に配置されたチューブ12に導入される。
一方、タンク部11の内部においては、噴霧ノズル13からチューブ12に向けて、噴霧水が噴霧される。また、タンク部11の内部は、負圧もしくは低圧(例えば、−0.05MPaG〜0.1MPaG程度)に維持されている。これにより、チューブ12を流通する温水は、噴霧水によって熱を奪われて85℃程度まで降温し、温水排出ライン15を通じて排出される。
【0024】
また、温水が流通するチューブ12には、噴霧ノズル13から80℃程度の水が噴霧されることで、表面に薄い液膜が形成される。このように、タンク部11の内部が負圧に維持された状態において、チューブ12の表面に薄い液膜が形成されることによって、チューブ12の内部を流通する温水と、噴霧ノズル13によって噴霧される水との温度差が比較的小さい場合(例えば、約10℃)であっても効率的に蒸気を生成することが可能になる。
【0025】
タンク部11の内部で発生した蒸気は、低圧蒸気供給ライン30から導出される。
タンク部11の内部で蒸気にならなかった水は、タンク部11の下部に貯留される。タンク部11の下部に貯留された水は、噴霧水供給ライン16を通じて、噴霧水ポンプ161によって噴霧ノズル13まで汲み上げられ、再びチューブ12に噴霧される。
タンク部11に貯留される水が少なくなった場合には、補給水ライン17からタンク部11に補給水が補給される。
【0026】
また、三方弁19の開度を調整してチューブ12に供給される温水の流量を調整することで、タンク部11の内部で発生する蒸気の量を調整できる。
【0027】
蒸気昇圧装置20は、蒸気発生装置10において生成された低圧蒸気(例えば、−0.05MPaG〜0.1MPaG)を吸引して圧縮し、昇圧する。この蒸気昇圧装置20は、低圧蒸気を圧縮する圧縮部21と、この圧縮部21の動作を制御する負荷率制御部22と、を備える。
【0028】
圧縮部21は、例えば、スクリュー式の蒸気圧縮機により構成され、低圧の蒸気を0.4MpaG〜0.8MPaG程度に昇圧する。
負荷率制御部22は、低圧蒸気供給ライン30を流通する蒸気の圧力(圧縮部21に導入される蒸気の圧力)に基いて、圧縮部21の動作(負荷率)を制御する。より具体的には、負荷率制御部22は、低圧蒸気供給ライン30を流通する蒸気の圧力が設定された目標圧力(例えば、0.04MPa〜0.05MPa)となるように、蒸気昇圧装置20の負荷率を制御する。
【0029】
即ち、低圧蒸気供給ライン30の蒸気圧が目標圧力よりも高くなっている場合には、負荷率制御部22は、負荷率を最大(負荷率100%)にして蒸気昇圧装置20(圧縮部21)を駆動させる。これにより、蒸気昇圧装置20には、上限量の蒸気が吸引されることになり、低圧蒸気供給ライン30の蒸気圧は低下していく傾向にある。尚、蒸気昇圧装置20が100%の負荷率で駆動した状態においても、低圧蒸気供給ライン30の蒸気圧が目標圧力を上回っている場合には、蒸気昇圧装置20は100%の負荷率で稼動を続ける。
【0030】
一方、低圧蒸気供給ライン30の蒸気圧が、目標圧力を下回った場合には、負荷率制御部22は、蒸気昇圧装置20(圧縮部21)の負荷率を低下させる。これにより、蒸気昇圧装置20に吸引される蒸気の量は減少し、低圧蒸気供給ライン30の蒸気圧は上昇する。
このようにして、低圧蒸気供給ライン30の蒸気圧を目標圧力となるように制御することにより、蒸気発生装置10により蒸気を効率よくかつ安定的に生成させられる。
【0031】
低圧蒸気供給ライン30は、蒸気発生装置10において生成された低圧蒸気を蒸気昇圧装置20に供給する。
低圧蒸気圧力センサ31は、低圧蒸気供給ライン30の内部における蒸気圧(低圧蒸気の圧力)を測定する。
【0032】
蒸気吐出ライン40は、基端側が蒸気昇圧装置20に接続される。この蒸気吐出ライン40は、蒸気昇圧装置20において昇圧された後吐出される吐出蒸気を流通させる。蒸気吐出ライン40の先端側は、蒸気使用機器210に接続される。
吐出蒸気圧力センサ41は、蒸気吐出ライン40の内部における蒸気圧(吐出蒸気の圧力)を測定する。
【0033】
制御部50は、蒸気発生装置10の動作を制御する。
上述のような負荷率制御部22備える蒸気昇圧装置20を含んで蒸気システム1を構成した場合、蒸気昇圧装置20から吐出されて蒸気使用機器210に供給される蒸気の圧力を安定化させられない場合が生じてしまう。即ち、蒸気昇圧装置20の下流側、つまり蒸気吐出ライン40における吐出蒸気の圧力は、蒸気昇圧装置20から吐出される蒸気量及び蒸気使用機器210により消費される蒸気量によって変化する。しかしながら、蒸気使用機器210により消費される蒸気量が変動して蒸気吐出ライン40における吐出蒸気の圧力が変動しても、蒸気昇圧装置20から吐出される蒸気量を制御することはできないので、蒸気吐出ライン40における吐出蒸気の圧力を安定させることはできなかった。
【0034】
そこで、本実施形態では、制御部50を、弁制御部52を含んで構成することにより上述した問題を解決した。
弁制御部52は、吐出蒸気圧力センサ41により測定される吐出蒸気の圧力に基いて三方弁19を制御する。より具体的には、弁制御部52は、例えば、吐出蒸気圧力センサ41により測定された吐出蒸気の圧力が所定の基準圧力を下回った場合には、三方弁19の開度が大きくなるような開度値を算出し、基準圧力を上回った場合には、三方弁19の開度が小さくなるような開度値を算出する。
尚、ここで、三方弁19の開度を大きくするとは、チューブ12側に流通する温水の量が増加するように三方弁19の開度を調整することをいう。また、三方弁19の開度を小さくするとは、チューブ12側に流通する温水の量が減少するように三方弁19の開度を調整することをいう。
【0035】
以上の弁制御部52によれば、例えば、蒸気使用機器210による蒸気の消費量が減少して吐出蒸気圧力センサ41により測定される吐出蒸気の圧力が上昇し基準圧力を上回ると、バイパスライン18に温水の一部が流通するように三方弁19が制御される。これにより、チューブ12に供給される温水の量が減少することで、蒸気発生装置10において生成される蒸気の量が減少し、低圧蒸気圧力センサ31により測定される低圧蒸気の圧力も低下する。すると、蒸気昇圧装置20(負荷率制御部22)が、低圧蒸気の圧力を目標圧力に保つために、圧縮部21の負荷率を減少させるので、蒸気昇圧装置20から吐出される吐出蒸気の量が減少する。よって、吐出蒸気圧力センサ41により測定される吐出蒸気の圧力の上昇を抑制できる。
【0036】
このように、吐出蒸気の圧力に応じて三方弁19の開度を調整してチューブ12(蒸気発生装置10)に供給される温水の量を制御することで、吐出蒸気の量を調整し、吐出蒸気圧力センサ41により測定される吐出蒸気の圧力を安定化させられる。
【0037】
尚、吐出蒸気の圧力の上昇が続き、弁制御部52により、チューブ12側を閉止するように三方弁19が制御された場合には、温水供給ライン14を流通する温水は全量バイパスライン18側に流れ、チューブ12(蒸気発生装置10)への温水の供給は停止される。すると、制御部50は、蒸気発生装置10の運転を停止させる。この場合、蒸気発生装置10における蒸気の生成も停止されるので、低圧蒸気供給ライン30における低圧蒸気の圧力も大きく低下する。そして、低圧蒸気の圧力が目標圧力よりも低い所定の最低圧力(例えば、0.02MPa)を下回ると、負荷率制御部22は、蒸気昇圧装置20(圧縮部21)の運転を停止させる。
【0038】
以上説明した第1実施形態の蒸気システム1によれば、以下のような効果を奏する。
【0039】
(1)蒸気システム1を、蒸気発生装置10と、蒸気昇圧装置20と、を含んで構成した。更に、蒸気システム1を、蒸気発生装置10に供給される温水の流量を調整する流量調整弁と、蒸気昇圧装置20から吐出される吐出蒸気の圧力に基いて流量調整弁を制御する弁制御部52と、を含んで構成した。これにより、蒸気昇圧装置20から吐出される吐出蒸気の圧力が高い場合には、流量調整弁の開度を小さくすることで、蒸気発生装置10に供給される温水の流量を少なくでき、蒸気発生装置10で生成される蒸気の量を低減できる。また、蒸気発生装置10に供給される温水の流量が少なくされた状態で蒸気昇圧装置20から吐出される吐出蒸気の圧力が低くなった場合には、流量調整弁の開度を大きくすることで、蒸気発生装置10に供給される温水の流量を多くでき、蒸気発生装置10で生成される蒸気の量を増加させられる。その結果、蒸気システム1において、より安定的に蒸気を供給できる。
【0040】
(2)蒸気システム1を、温水供給ライン14と、温水排出ライン15と、バイパスライン18とを含んで構成し、流量調整弁を、これら3つのラインにつながる三方弁19により構成した。これにより、三方弁19の開度を制御することで、蒸気発生装置10に供給される温水の流量を容易に調整できるので、蒸気システム1による安定的な蒸気の供給を簡易な構成で実現できる。
【0041】
次に、本発明の第2実施形態に係る蒸気システムにつき説明する。尚、第2実施形態以降の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
第2実施形態の蒸気システム1は、吐出蒸気圧力センサ41により測定される吐出蒸気の圧力、又は低圧蒸気圧力センサ31により測定される低圧蒸気の圧力に基いて三方弁19を制御する点で、第1実施形態と異なる。
【0042】
第2実施形態では、制御部50は、吐出蒸気圧力センサ41により測定された吐出蒸気の圧力が所定の基準圧力を下回った場合には、三方弁19の開度が大きくなるような開度値を算出し、基準圧力を上回った場合には、三方弁19の開度が小さくなるような開度値を算出する。
また、制御部50は、低圧蒸気圧力センサ31により測定された低圧蒸気の圧力が所定の第2目標圧力を下回った場合には、三方弁19の開度が大きくなるような開度値を算出し、第2目標圧力を上回った場合には、三方弁19の開度が小さくなるような開度値を算出する。
そして、制御部50は、吐出蒸気の圧力に基いて算出された開度値と低圧蒸気の圧力に基いて算出された開度値のうち、開度値の小さい方を選択し、選択された開度に三方弁19を調整する。
【0043】
これにより、例えば、第2目標圧力として目標圧力以上の値を設定することで、低圧蒸気の圧力が第2目標圧力を超えて高くなってしまった場合に、三方弁19の開度を小さくすることで、蒸気発生装置10に供給される温水の流量を少なくでき、蒸気発生装置10で生成される蒸気の量を低減できる。よって、低圧蒸気の圧力を目標圧力に近づけられる。このように、第2実施形態の蒸気システム1によれば、吐出蒸気の圧力だけではなく、低圧蒸気の圧力も考慮して三方弁19の開度を決定できるので、より安定的に蒸気を供給できる。
【0044】
次に、本発明の第3実施形態に係る連携蒸気システム100につき、
図2を参照しながら説明する。
【0045】
本実施形態の連携蒸気システム100は、複数台(本実施形態では2台)の蒸気システム1A,1Bと、これら複数台の蒸気システム1A,1Bから吐出される吐出蒸気が集合される吐出蒸気集合ライン60と、この吐出蒸気集合ライン60を流通する集合蒸気の圧力を測定する集合蒸気圧測定部としての集合蒸気圧力センサ61と、これら複数台の蒸気システム1A,1Bを制御する台数制御部500と、を備える。
【0046】
本実施形態では、2台の蒸気システム1A,1Bは、並列に配置される。そして、温水供給ライン14は、蒸気発生装置10Aに温水を供給する温水供給ライン14A及び蒸気発生装置10Bに温水を供給する温水供給ライン14Bに分岐している。また、蒸気発生装置10Aにおける温水排出ライン15B及び蒸気発生装置10Bにおける温水排出ライン15Bは合流してガスエンジン200に接続される。
【0047】
吐出蒸気集合ライン60は、複数台の蒸気システム1A,1Bそれぞれにおける蒸気吐出ライン40A,40Bの下流側に接続される。吐出蒸気集合ライン60は、複数台の蒸気システム1A,1Bから吐出された吐出蒸気を蒸気使用機器210に供給する。
尚、蒸気吐出ライン40A,40Bそれぞれにおける吐出蒸気圧力センサ41A,41Bの下流側には、逆止弁42A,42Bが配置される。
【0048】
集合蒸気圧力センサ61は、吐出蒸気集合ライン60の内部における蒸気圧(集合蒸気の圧力)を測定する。
【0049】
台数制御部500は、複数台の蒸気システム1A,1Bについて、第1実施形態における制御部50と同様の制御を行う他、集合蒸気圧力センサ61により測定される集合蒸気の圧力に基いて、複数台の蒸気システム1A,1Bの連携状態を制御する。
【0050】
即ち、2台の蒸気システム1A,1Bが運転されている状態において、蒸気使用機器210による蒸気使用量が減少した場合、2台の蒸気システム1A,1Bから蒸気が供給される状態が継続すると、集合蒸気圧力センサ61により測定される集合蒸気の圧力は上昇していく。この状態では、蒸気システム1A,1Bからの蒸気の供給量は過剰となっている。そこで、台数制御部500は、集合蒸気圧力センサ61により測定される集合蒸気の圧力が第1閾値を超えた場合に、運転させる蒸気システム1の台数を減少させる。これにより、蒸気システム1A,1Bからの蒸気の供給量が過剰となった場合に蒸気システム1の運転台数を減少させることで、吐出蒸気集合ライン60に吐出される集合蒸気の量を減少させられる。
【0051】
尚、連携蒸気システム100では、複数台の蒸気システム1に、それぞれ優先順位を設定しておくことで、運転させる蒸気システム1の台数を減少させる場合には優先順位の低い順に運転を停止させられる。
また、第1閾値は、蒸気システム1における制御と連携蒸気システム100における制御とを好適に両立させる観点から、第1実施形態における全閉閾値よりも若干低い値(かつ全開閾値よりも高い値)に設定することが好ましい。
【0052】
また、台数制御部500は、集合蒸気圧力センサ61により測定される集合蒸気の圧力が第1閾値よりも小さい第2閾値を下回った場合に、運転させる蒸気システム1の台数を増加させる。これにより、蒸気システム1の運転台数が減少した状態において、吐出蒸気集合ライン60を流通する集合蒸気の圧力が低下した場合に、蒸気システム1の運転台数を増加させることで、吐出蒸気集合ライン60に吐出される集合蒸気の量を増加させられる。
【0053】
以上説明した第3実施形態の連携蒸気システム100によれば、上述した(1)及び(2)の効果を奏する他、以下のような効果を奏する。
【0054】
(3)連携蒸気システム100を、複数台の蒸気システム1A,1Bと、複数台の蒸気システム1A,1Bから吐出された蒸気が集合される吐出蒸気集合ライン60と、この吐出蒸気集合ライン60を流通する集合蒸気の圧力が第1閾値を超えた場合に、運転させる蒸気システム1の台数を減少させる台数制御部500と、を含んで構成した。これにより、吐出蒸気集合ライン60を流通する集合蒸気の圧力が高くなった場合に、蒸気システム1の運転台数を減少させることで、吐出蒸気集合ライン60に吐出される集合蒸気の量を減少させられるので、過剰な蒸気供給を防げる。よって、複数台の蒸気システム1A,1Bを有する連携蒸気システム100において、より安定的な蒸気供給を行える。
【0055】
(4)台数制御部500に、集合蒸気の圧力が第1閾値よりも小さい第2閾値を下回った場合に、運転させる蒸気システム1の台数を増加させた。これにより、蒸気システム1の運転台数が減少した状態において、吐出蒸気集合ライン60を流通する集合蒸気の圧力が低下した場合に、蒸気システム1の運転台数を増加させることで、吐出蒸気集合ライン60に吐出される集合蒸気の量を増加させられるので、蒸気供給の不足を防げる。よって、更に安定的な蒸気供給を行える。
【0056】
次に、本発明の第4実施形態に係る連携蒸気システム100について説明する。第4実施形態の連携蒸気システム100は、台数制御部500による制御手法において第3実施形態と異なる。
蒸気昇圧装置20は、最大負荷率(100%)で運転される場合に最も運転効率が高くなり、負荷率が低下するにつれて運転効率も低下していく。そこで、本実施形態では、台数制御部500は、蒸気昇圧装置20の負荷率が予め設定された第1基準負荷率(例えば、40%)を下回った場合に運転させる蒸気システム1の台数を減少させる。これにより、温水の排熱を回収する熱効率の向上(メリット)よりも蒸気昇圧装置20の負荷率の低下による運転効率(経済性)の低下が大きくなる場合に、蒸気システム1の運転台数を減少させることで、経済性の低下を防げる。
【0057】
また、上述のように、蒸気昇圧装置20の負荷率が低下した場合に運転させる蒸気システム1の台数を減少させると、連携蒸気システム100として生成される蒸気量が減少する。この状態で蒸気の使用量が増加すると、運転している蒸気システム1における蒸気吐出ライン40を流通する吐出蒸気の圧力が低下する。すると、弁制御部52は、三方弁19の開度を大きくするので、蒸気発生装置10による蒸気の生成量が増加し、低圧蒸気の圧力も上昇する。その結果、蒸気昇圧装置20の負荷率は増加し、蒸気昇圧装置20の運転効率(経済性)も向上する。
【0058】
そこで、本実施形態では、台数制御部500は、運転している蒸気昇圧装置20の負荷率が第1基準負荷率よりも高い第2基準負荷率(例えば、100%)を上回った状態が予め設定された第1時間(例えば、600秒)経過した場合に、運転させる蒸気システムの台数を増加させる。これにより、蒸気昇圧装置20の運転効率が向上した場合に運転させる蒸気システム1の台数を増加させられるので、より効率的な蒸気供給が可能な連携蒸気システム100を実現できる。
【0059】
以上説明した第4実施形態の連携蒸気システム100によれば、上述した(1)及び(2)の効果を奏する他、以下のような効果を奏する。
【0060】
(5)蒸気昇圧装置20は、最大負荷率(100%)で運転される場合に最も運転効率が高くなり、負荷率が低下するにつれて運転効率も低下していく。そこで、連携蒸気システム100を、複数台の蒸気システム1A,1Bと、蒸気昇圧装置20の負荷率が第1基準負荷率を下回った場合に運転させる蒸気システム1の台数を減少させる台数制御部500と、を含んで構成した。これにより、温水の排熱を回収する熱効率の向上(メリット)よりも蒸気昇圧装置20の負荷率の低下による運転効率(経済性)の低下が大きくなる場合に、蒸気システム1の運転台数を減少させることで、経済性の低下を防げる。
【0061】
(6)蒸気昇圧装置20の負荷率が低下した場合に運転させる蒸気システム1の台数を減少させると、連携蒸気システム100として生成される蒸気量が減少する。この状態で蒸気の使用量が増加すると、蒸気吐出ライン40を流通する吐出蒸気の圧力が低下する。すると、弁制御部52は、三方弁19の開度を大きくするので、蒸気発生装置10による蒸気の生成量が増加し、低圧蒸気の圧力も上昇する。その結果、蒸気昇圧装置20の負荷率は増加し、蒸気昇圧装置の運転効率(経済性)も向上する。
そこで、台数制御部500に、運転している蒸気昇圧装置20の負荷率が第1基準負荷率よりも高い第2基準負荷率を上回った状態が第1時間経過した場合に、運転させる蒸気システム1の台数を増加させた。これにより、蒸気昇圧装置20の運転効率が向上した場合に運転させる蒸気システム1の台数を増加させられるので、より効率的な蒸気供給が可能な連携蒸気システム100を実現できる。
【0062】
以上、本発明の蒸気システム1及び連携蒸気システム100の好ましい各実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、第1実施形態〜第4実施形態では、熱源流体として温水を用いたが、これに限らない。即ち、熱源流体として、排ガスや空気等の他の流体を用いてもよい。
【0063】
また、台数制御部に、第3実施形態の台数制御部の制御及び第4実施形態の台数制御部の制御を行わせてもよい。即ち、台数制御部に、集合蒸気圧測定部により測定される集合蒸気の圧力が第1閾値を超えた場合、又は蒸気昇圧装置の負荷率が第1基準負荷率を下回った場合に運転させる蒸気システムの台数を減少させてもよい。また、この場合、台数制御部に、集合蒸気圧測定部により測定される集合蒸気の圧力が第2閾値を下回った場合で、かつ、運転している蒸気昇圧装置の負荷率が第2基準負荷率を上回った状態が第1時間経過した場合に、運転させる蒸気システムの台数を増加させてもよい。
【0064】
また、第3実施形態及び第4実施形態では、連携蒸気システム100を、2台の蒸気システム1A,1Bにより構成したが、これに限らない。即ち、連携蒸気システムを、3台以上の蒸気システムにより構成してもよい。
【0065】
また、第1実施形態〜第4実施形態では、低圧蒸気圧力センサ31を低圧蒸気供給ライン30に配置して低圧蒸気供給ライン30を流通する蒸気の圧力を測定したが、これに限らない。即ち、低圧蒸気供給ライン30を流通する蒸気の圧力は、蒸気発生装置10(タンク部11)における蒸気の圧力と等しいため、低圧蒸気圧力センサを蒸気発生装置(タンク部)に配置してもよい。
【0066】
また、第1実施形態〜第4実施形態では、流量調整弁を三方弁19により構成したが、これに限らない。即ち、流量調整弁を、複数の弁を組み合わせて構成してもよい。