【解決手段】低圧蒸気を生成する蒸気発生装置10と、蒸気発生装置10に供給される温水の流量を調整する三方弁19と、低圧蒸気を昇圧する蒸気昇圧装置20と、低圧蒸気の圧力を測定する低圧蒸気圧測定部31と、ボイラ水の温度を測定するボイラ温度測定部111と、起動時における蒸気発生装置10及び蒸気昇圧装置20の動作を制御する起動時制御部50と、を備える蒸気システム1であって、起動時制御部50は、蒸気発生装置10が起動された場合に、低圧蒸気の圧力が第1基準圧力P1以上であるか否かを判定する第1圧力判定部52と、低圧蒸気の圧力が第1基準圧力P1以上でないと判定された場合に、ボイラ水の温度が第1基準温度T1以上になるまでの間低圧蒸気の圧力が第1基準圧力P1となるように三方弁19を制御する暖機制御部53と、を備える。
前記起動時制御部は、前記第2圧力判定部により前記低圧蒸気の圧力が前記第2基準圧力以上であると判定された場合、前記低圧蒸気の圧力が前記第2基準圧力になるまで該低圧蒸気の圧力を低下させる請求項2に記載の蒸気システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の蒸気システムの好ましい一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態の蒸気システム1は、
図1に示すように、蒸気を生成する蒸気発生装置10と、この蒸気発生装置10において生成された蒸気を昇圧する蒸気昇圧装置20と、蒸気発生装置10と蒸気昇圧装置20とを接続する低圧蒸気供給ライン30と、この低圧蒸気供給ライン30を流通する蒸気の圧力(低圧蒸気圧)を測定する低圧蒸気圧測定部としての低圧蒸気圧力センサ31と、蒸気昇圧装置20から吐出される吐出蒸気が流通する蒸気吐出ライン40と、この蒸気吐出ライン40を流通する吐出蒸気の圧力を測定する吐出蒸気圧測定部としての吐出蒸気圧力センサ41と、蒸気システム1の動作を制御する制御装置5と、を備える。
【0015】
蒸気発生装置10は、
図1に示すように、ガスエンジン200のジャケット冷却水の排熱等の比較的低温の熱源流体を利用して水(ボイラ水)を加熱して蒸気を発生させる。この蒸気発生装置10は、タンク部11と、タンク部11の内部に配置されるチューブ12及び噴霧ノズル13と、熱源流体供給ラインとしての温水供給ライン14と、熱源流体排出ラインとしての温水排出ライン15と、噴霧水供給ライン16と、補給水ライン17と、バイパスライン18と、流量調整弁としての三方弁19と、ボイラ温度測定部としてのボイラ水温度センサ111と、水位センサ112と、を備える。「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0016】
タンク部11は、蒸気発生装置10における本体部分を構成する。タンク部11の内部は負圧もしくは低圧(例えば、−0.05MPaG〜0.1MPaG程度)に維持され、このタンク部11の内部において蒸気が生成される。このタンク部11の上部には、後述の低圧蒸気供給ライン30の基端部が接続される。
また、タンク部11には、安全弁32が設けられる。安全弁32は、タンク部11の内部の圧力が所定の圧力(設定圧力)を超えた場合に、蒸気を外部に放出してタンク部11(蒸気発生装置10)の内部の圧力を低下させる。
【0017】
チューブ12は、タンク部11の内部に水平方向に延びて配置される。より具体的には、チューブ12は、タンク部11の内部において、水平方向に所定間隔をあけて複数本配置されると共に、高さ方向にも所定間隔をあけて複数本配置される。このチューブ12の内部には、熱源流体としての温水が流通する。
【0018】
噴霧ノズル13は、タンク部11の内部におけるチューブ12よりも上方に配置される。この噴霧ノズル13は、チューブ12に向けてボイラ水を噴霧する。
温水供給ライン14は、チューブ12に熱源となる温水を供給する。温水供給ライン14の上流側は、熱源となる温水を供給するガスエンジン200等に接続される。温水供給ライン14の下流側は、チューブ12の一端部に接続される。
【0019】
温水排出ライン15は、チューブ12の内部を流通し、熱源として利用された温水を外部に排出する。温水排出ライン15の上流側は、チューブ12の他端部に接続される。温水排出ライン15の下流側は、ガスエンジン200等に接続される。
噴霧水供給ライン16は、タンク部11の下部と噴霧ノズル13とを接続し、タンク部11の下部に貯留されたボイラ水を、噴霧水として噴霧ノズル13に供給する。噴霧水供給ライン16には、噴霧水ポンプ161が配置されている。
噴霧水ポンプ161は、タンク部11に貯留された水を噴霧ノズル13まで汲み上げる。
【0020】
補給水ライン17は、タンク部11と水を貯留している貯留槽等(図示せず)とを接続する。補給水ライン17は、タンク部11に補給水を供給する。この補給水ライン17には、補給水ポンプ171が配置される。
補給水ポンプ171は、貯留槽等から供給された水を昇圧してタンク部11の内部に供給する。
【0021】
バイパスライン18は、温水供給ライン14と温水排出ライン15とを接続する。
三方弁19は、温水供給ライン14とチューブ12との接続部分の近傍に配置され、温水供給ライン14、チューブ12(蒸気発生装置10)及びバイパスライン18を接続する。三方弁19は、温水供給ライン14からチューブ12側に流れる温水の量及びバイパスライン側に流れる温水の流量を調整する。即ち、三方弁19により温水供給ライン14からバイパスライン18への流路を閉止した状態(全開状態)では、温水供給ライン14を流通する温水は、全量チューブ12側に流れる。この状態からバイパスライン18への流路を開くように三方弁19の開度を調整すると、温水供給ライン14を流通する温水の一部は、バイパスライン18側に流れる。また、三方弁19により温水供給ライン14からチューブ12への流路を閉止した状態(全閉状態)では、温水供給ライン14を流通する温水は、全量バイパスライン18側に流れる。このように、三方弁19の開度を調整することで、チューブ12側に流れる温水の流量を調整できる。
【0022】
ボイラ水温度センサ111は、タンク部11の内部に貯留されているボイラ水の温度を測定する。
水位センサ112は、タンク部11の内部に貯留されているボイラ水の水位を測定する。
【0023】
以上の蒸気発生装置10によれば、三方弁19により温水供給ライン14からバイパスライン18への流路を閉止した状態では、まず、ガスエンジン200等から熱源となる温水(例えば、約90℃)が、温水供給ライン14を通じてチューブ12に供給される。チューブ12に供給された温水は、タンク部11の内部に配置されたチューブ12に導入される。
一方、タンク部11の内部においては、噴霧ノズル13からチューブ12に向けて、噴霧水が噴霧される。また、タンク部11の内部は、負圧もしくは低圧(例えば、−0.05MPaG〜0.1MPaG程度)に維持されている。これにより、チューブ12を流通する温水は、噴霧水によって熱を奪われて85℃程度まで降温し、温水排出ライン15を通じて排出される。
【0024】
また、温水が流通するチューブ12には、噴霧ノズル13から80℃程度の水が噴霧されることで、表面に薄い液膜が形成される。このように、タンク部11の内部が負圧に維持された状態において、チューブ12の表面に薄い液膜が形成されることによって、チューブ12の内部を流通する温水と、噴霧ノズル13によって噴霧される水との温度差が比較的小さい場合(例えば、約10℃)であっても効率的に蒸気を生成することが可能になる。
【0025】
タンク部11の内部で発生した蒸気は、低圧蒸気供給ライン30を通って導出される。
タンク部11の内部で蒸気にならなかった水は、タンク部11の下部に貯留される。タンク部11の下部に貯留された水は、噴霧水供給ライン16を通じて、噴霧水ポンプ161によって噴霧ノズル13まで汲み上げられ、再びチューブ12に噴霧される。
タンク部11に貯留される水が少なくなった場合には、補給水ライン17からタンク部11に補給水が補給される。
【0026】
また、三方弁19の開度を調整してチューブ12に供給される温水の流量を調整することで、タンク部11の内部で発生する蒸気の量を調整できる。
【0027】
蒸気昇圧装置20は、蒸気発生装置10において生成された低圧蒸気(例えば、−0.05MPaG〜0.1MPaG)を吸引して圧縮し、昇圧する。この蒸気昇圧装置20は、低圧の蒸気を圧縮する圧縮部21と、この圧縮部21の動作を制御する負荷率制御部22と、を備える。
【0028】
圧縮部21は、例えば、スクリュー式の蒸気圧縮機により構成され、低圧の蒸気を0.4MpaG〜0.8MPaG程度に昇圧する。
負荷率制御部22は、低圧蒸気供給ライン30を流通する蒸気の圧力(圧縮部21に導入される低圧蒸気の圧力)に基いて、圧縮部21の動作(負荷率)を制御する。より具体的には、負荷率制御部22は、圧縮部21に導入される低圧蒸気の圧力が設定された目標圧力(例えば、0.04MPa〜0.05MPa)となるように、蒸気昇圧装置20の負荷率を制御する。
【0029】
即ち、低圧蒸気供給ライン30の蒸気圧が目標圧力よりも高くなっている場合には、負荷率制御部22は、負荷率を最大(負荷率100%)にして蒸気昇圧装置20を駆動させる。これにより、蒸気昇圧装置20には、上限量の蒸気が吸引されることになり、低圧蒸気供給ライン30の蒸気圧は低下していく傾向にある。尚、蒸気昇圧装置20が100%の負荷率で運転した状態においても、低圧蒸気供給ライン30の蒸気圧が目標圧力を上回っている場合には、蒸気昇圧装置20は100%の負荷率で稼動を続ける。
【0030】
一方、低圧蒸気供給ライン30の蒸気圧が、目標圧力を下回った場合には、負荷率制御部22は、蒸気昇圧装置20の負荷率を低下させる。これにより、蒸気昇圧装置20に吸引される蒸気の量は減少し、低圧蒸気供給ライン30の蒸気圧は上昇する。
このようにして、低圧蒸気供給ライン30の蒸気圧を目標圧力となるように制御することにより、蒸気発生装置10により蒸気を効率よくかつ安定的に生成させられる。
【0031】
低圧蒸気供給ライン30は、蒸気発生装置10において生成された低圧蒸気を蒸気昇圧装置20に供給する。
低圧蒸気圧力センサ31は、低圧蒸気供給ライン30の内部における蒸気圧(低圧蒸気の圧力)を測定する。
【0032】
蒸気吐出ライン40は、基端側が蒸気昇圧装置20に接続される。この蒸気吐出ライン40は、蒸気昇圧装置20において昇圧された後吐出される吐出蒸気を流通させる。蒸気吐出ライン40の先端側は、蒸気使用機器210に接続される。
吐出蒸気圧力センサ41は、蒸気吐出ライン40の内部における蒸気圧(吐出蒸気の圧力)を測定する。
【0033】
制御装置5は、蒸気発生装置10及び蒸気昇圧装置20の動作を制御する。
図2は、制御装置5の構成を示す機能ブロック図である。
本実施形態では、制御装置5は、蒸気システム1の起動時における蒸気発生装置10及び蒸気昇圧装置20の動作を制御する起動時制御部50と、起動時制御部50により蒸気システム1が所定の状態に到達した状態において蒸気発生装置10の動作を制御する弁制御部62と、を備える。
【0034】
起動時制御部50は、
図2に示すように、第1起動指示部51と、第1圧力判定部52と、暖機制御部53と、第2圧力判定部54と、第2起動指示部55と、ボイラ温度判定部56と、第3起動指示部57と、起動時弁制御部58と、を備える。
【0035】
第1起動指示部51は、停止状態にある蒸気システム1の運転スイッチがONにされた場合に蒸気発生装置10及び蒸気昇圧装置20を起動させる。ここで、蒸気発生装置10及び蒸気昇圧装置20を起動させるとは、蒸気発生装置10及び蒸気昇圧装置20を制御装置5により制御可能な状態にすることをいう。
【0036】
第1圧力判定部52は、第1起動指示部51により蒸気発生装置10が起動された場合に、低圧蒸気圧力センサ31により測定される低圧蒸気の圧力が第1基準圧力P1(例えば、20kPa)以上であるか否かを判定する。第1基準圧力P1は、蒸気昇圧装置20により吸引可能な最低圧力以上の値に設定される。
【0037】
暖機制御部53は、第1圧力判定部52により低圧蒸気の圧力が第1基準圧力P1以上でないと判定された場合に、蒸気発生装置10を暖機運転させる。より具体的には、暖機制御部53は、低圧蒸気の圧力が第1基準圧力P1以上でないと判定された場合、ボイラ水温度センサ111により測定されるボイラ水の温度が第1基準温度T1(例えば、100℃)以上になるまでの間、低圧蒸気の圧力が第1基準圧力P1となるように三方弁19を制御して蒸気発生装置10による蒸気の生成量を調整する。
【0038】
即ち、ボイラ水の温度が低い場合には、蒸気発生装置10による蒸気の生成が不安定になり、蒸気昇圧装置20に供給される蒸気の圧力も不安定になる。そこで、暖機制御部53に、低圧蒸気の圧力が第1基準圧力P1以上でないと判定された場合、ボイラ水の温度が第1基準温度T1以上になるまでの間、低圧蒸気の圧力が第1基準圧力P1となるように暖機運転させる。これにより、蒸気の生成が不安定となる蒸気発生装置10の運転開始時に、ボイラ水が温まり安定して蒸気を生成できるようになるまでの間、低圧蒸気の圧力を上げ過ぎないように暖機運転させられる。
【0039】
より具体的には、暖機制御部53は、第1圧力判定部52により低圧蒸気の圧力が第1基準圧力P1以上でないと判定された場合、まず、噴霧水ポンプ161を運転させ、噴霧ノズル13はからチューブ12に向けてボイラ水を噴霧させる。そして、暖機制御部53は、低圧蒸気圧力センサ31により測定される低圧蒸気の圧力に基づいて三方弁19の開度を調整する。即ち、低圧蒸気の圧力が第1基準圧力P1よりも高くなった場合には、温水供給ライン14からチューブ12側に流れる温水の流量が減少するように三方弁19の開度を調整する。これにより、蒸気発生装置10により生成される蒸気の量を減少させられる。また、チューブ12側に流れる温水の流量が制限された状態で低圧蒸気の圧力が減少した場合には、チューブ12側に流れる温水の流量が増加するように三方弁19の開度を調整する。
尚、三方弁19の開度の調整は、PID制御やPI制御により行うことができる。
【0040】
第2圧力判定部54は、第1起動指示部51により蒸気発生装置10が起動された場合に、低圧蒸気圧力センサ31により測定される低圧蒸気の圧力が第1基準圧力P1より高い第2基準圧力P2(例えば、50kPa)以上であるか否かを判定する。第2基準圧力P2としては、蒸気発生装置10が通常運転している場合に生成される蒸気の量に相当する圧力が設定される。
【0041】
第2起動指示部55は、第2圧力判定部54により低圧蒸気の圧力が第2基準圧力P2以上でないと判定された場合に蒸気昇圧装置20の運転を開始させる。即ち、蒸気発生装置10が起動されたときに、低圧蒸気の圧力が蒸気昇圧装置20を運転させるのに好適な圧力である第2基準圧力を超過していない場合には、蒸気発生装置10により安定して蒸気が生成されていると判断できる。そこで、このような場合には、第2起動指示部55により蒸気昇圧装置20の運転を開始させて低圧蒸気の昇圧を開始させることで、蒸気システム1を速やかにかつ安定して起動させられる。
尚、第2圧力判定部54により低圧蒸気の圧力が第2基準圧力P2以上であると判定された場合、起動時制御部50は、低圧蒸気の圧力が第2基準圧力になるまで該低圧蒸気の圧力を低下させる制御を行う。例えば、起動時制御部50は、蒸気発生装置10に設けられた濃縮ブロー弁(図示せず)を開放することにより、蒸気発生装置10(タンク部11)の内部の蒸気の圧力を低下させ、低圧蒸気圧力センサ31により測定される低圧の蒸気の圧力を低下させる。
【0042】
ボイラ温度判定部56は、ボイラ水温度センサ111により測定されるボイラ水の温度が第1基準温度(例えば、100℃)以上であるか否かを判定する。
第3起動指示部57は、暖機制御部53により蒸気発生装置10が暖機運転されている状態において、第1圧力判定部52において低圧蒸気の圧力が第1基準圧力P1以上であると判定され、かつ、ボイラ温度判定部56によりボイラ水の温度が第1基準温度T1以上であると判定された場合に蒸気昇圧装置20の運転を開始させる。これにより、蒸気システム1を暖機運転させた場合に、低圧蒸気の圧力が上昇しボイラ水の温度も十分に上昇した状態で蒸気昇圧装置20の運転を開始させられる。よって、蒸気システム1を安定的に起動させられる。
【0043】
弁制御部62は、起動時制御部50により起動された後の蒸気システム1の動作を制御する。
弁制御部62は、吐出蒸気圧力センサ41により測定される吐出蒸気の圧力に基いて三方弁19を制御する。より具体的には、弁制御部62は、例えば、吐出蒸気圧力センサ41により測定された吐出蒸気の圧力が所定の基準圧力を下回った場合には、三方弁19の開度が大きくなるような開度値を算出し、基準圧力を上回った場合には、三方弁19の開度が小さくなるような開度値を算出する。
尚、ここで、三方弁19の開度を大きくするとは、チューブ12側に流通する温水の量が増加するように三方弁19の開度を調整することをいう。また、三方弁19の開度を小さくするとは、チューブ12側に流通する温水の量が減少するように三方弁19の開度を調整することをいう。
【0044】
以上の弁制御部62によれば、例えば、蒸気使用機器210による蒸気の消費量が減少して吐出蒸気圧力センサ41により測定される吐出蒸気の圧力が上昇し基準圧力を上回ると、バイパスライン18に温水の一部が流通するように三方弁19が制御される。これにより、チューブ12に供給される温水の量が減少することで、蒸気発生装置10において生成される蒸気の量が減少し、低圧蒸気圧力センサ31により測定される低圧蒸気の圧力も低下する。すると、負荷率制御部61は、低圧蒸気圧力センサ31により測定される低圧蒸気の圧力を目標圧力に保つために、蒸気昇圧装置20の負荷率を減少させるので、蒸気昇圧装置20から吐出される吐出蒸気の量が減少する。よって、吐出蒸気圧力センサ41により測定される吐出蒸気の圧力の上昇を抑制できる。
【0045】
このように、吐出蒸気の圧力に応じて三方弁19の開度を調整してチューブ12(蒸気発生装置10)に供給される温水の量を制御することで、吐出蒸気の量を調整し、吐出蒸気圧力センサ41により測定される吐出蒸気の圧力を安定化させられる。
【0046】
尚、吐出蒸気の圧力の上昇が続き、弁制御部52により、チューブ12側を閉止するように三方弁19が制御された場合には、温水供給ライン14を流通する温水は全量バイパスライン18側に流れ、チューブ12(蒸気発生装置10)への温水の供給は停止される。すると、制御装置5は、蒸気発生装置10の運転を停止させる。この場合、蒸気発生装置10における蒸気の生成も停止されるので、低圧蒸気圧力センサ31により測定される低圧蒸気の圧力も大きく低下する。そして、低圧蒸気圧力センサ31により測定される低圧蒸気の圧力が目標圧力よりも低い所定の最低圧力(例えば、0.02MPa)を下回ると、制御装置5は、蒸気昇圧装置20の運転を停止させる。
【0047】
次に、本実施形態の蒸気システム1の具体的な制御の流れにつき、
図2を参照しながら説明する。
図2は、本実施形態の蒸気システム1の起動時における制御の流れを示すフローチャートである。
【0048】
蒸気システム1の電源がONにされ、蒸気発生装置10及び蒸気昇圧装置20の運転スイッチがONにされると、ステップST1において、第1起動指示部51は、蒸気発生装置10及び蒸気昇圧装置20を起動させる。
【0049】
ステップST2において、制御装置5は、蒸気システム1の運転停止時間が所定時間T2(例えば、15秒)を超えていたかを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップST3に移る。判定がNOの場合、処理を所定の時間が経過するまで待機させた後、処理はステップST2に戻る。
【0050】
ステップST3において、制御装置5は、ガスエンジン200の運転開始から所定時間T3(例えば、60秒)が経過したかを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップST4に移る。判定がNOの場合、ステップST3の処理を繰り返す。
【0051】
ステップST4において、制御装置5は、吐出蒸気圧力センサ41により測定される吐出蒸気の圧力が所定圧力P3(例えば、600kPa)を超えているかを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップST5に移る。判定がNOの場合、ステップST4の処理を繰り返す。
【0052】
ステップST5において、第2圧力判定部54は、低圧蒸気圧力センサ31により測定される低圧の蒸気の圧力が第2基準圧力P2(例えば、50kPa)未満であるかを判定する。この判定がNOの場合、処理はステップST6に移る。判定がYESの場合、処理はステップST7に移る。
【0053】
ステップST6において、起動時制御部50は、低圧蒸気圧力センサ31により測定される低圧の蒸気の圧力を下げる制御を行う。例えば、起動時制御部50は、蒸気発生装置10に設けられた濃縮ブロー弁(図示せず)を開放することにより、蒸気発生装置10(タンク部11)の内部の蒸気の圧力を低下させ、低圧蒸気圧力センサ31により測定される低圧の蒸気の圧力を低下させる。そして、処理は、ステップST5に戻る。
【0054】
ステップST7において、起動時制御部50は、ステップST6において行った制御を停止させる。例えば、起動時制御部50は、開放された濃縮ブロー弁(図示せず)を閉止する。そして、処理は、ステップST8に移る。
【0055】
ステップST8において、制御装置5は、蒸気発生装置10のボイラ水の水位を所定の水位となるように制御する。具体的には、制御装置5は、補給水ポンプ171を運転させてボイラ水の水位を所定の水位となるように制御する。
【0056】
ステップST9において、第1圧力判定部52は、低圧蒸気圧力センサ31により測定される低圧の蒸気の圧力が第1基準圧力P1(例えば、20kPa)未満であるかを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップST10に移る。判定がNOの場合、処理はステップST11に移る。
【0057】
ステップST10において、起動時制御部50は、蒸気発生装置10を暖機運転させる。この暖機運転の詳細については、後述する。
【0058】
ステップST11において、制御装置5は、蒸気昇圧装置20の運転を開始させる。
【0059】
ステップST12において、制御装置5は、蒸気昇圧装置20に運転確認信号を送信し、蒸気昇圧装置20からの運転応答信号を受信したか否かを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップST13に移る。判定がNOの場合、ステップST12の処理を繰り返す。
【0060】
ステップST13において、制御装置5は、蒸気昇圧装置20において負荷率制御部22から圧縮部21への運転状況信号が送信されているか否かを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップST14に移る。判定がNOの場合、ステップST13の処理を繰り返す。
【0061】
ステップST14において、制御装置5は、蒸気昇圧装置20の負荷率が第1基準負荷率以上であるか否かを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップST15に移る。判定がNOの場合、ステップST14の処理を繰り返す。
【0062】
ステップST15において、制御装置5は、噴霧水ポンプ161の運転を開始させ、噴霧ノズル13からチューブ12へのボイラ水の噴霧を開始させる。
【0063】
ステップST16において、負荷率制御部61は、蒸気発生装置10で生成された低圧蒸気の圧力が設定された目標圧力になるように蒸気昇圧装置20の負荷率を制御する。また、弁制御部62は、蒸気昇圧装置20から吐出される吐出蒸気の圧力が所定範囲の圧力となるように三方弁19の開度を制御する。
【0064】
次に、起動時制御部50による暖機運転の流れにつき、
図4を参照しながら説明する。
【0065】
ステップST71において、起動時制御部50は、噴霧水ポンプ161の運転を開始させ、噴霧ノズル13からチューブ12へのボイラ水の噴霧を開始させる。
【0066】
ステップST72において、暖機制御部53は、低圧蒸気圧力センサ31により測定される低圧蒸気の圧力が第1基準圧力P1となるように三方弁19を制御する。
【0067】
ステップST73において、起動時制御部50は、水位センサ112により測定される蒸気発生装置10の水位が所定水位L以上であるかを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップST74に移る。判定がNOの場合、処理はステップST75に移る。
【0068】
ステップST74において、ボイラ温度判定部56は、ボイラ水温度センサ111により測定されるボイラ水の温度が第1基準温度T1以上であるか否かを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップST78に移る。判定がNOの場合、処理はステップST73に戻る。
【0069】
ステップST75において、起動時制御部50は、補給水ポンプ171を運転させる。
【0070】
ステップST76において、起動時制御部50は、水位センサ112により測定される蒸気発生装置10の水位が所定の水位以上Lであるかを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップST77に移る。判定がNOの場合、処理はステップST73に戻る。
【0071】
ステップST77において、起動時制御部50は、補給水ポンプ171の運転を停止させ、処理をステップST73に戻す。
【0072】
ステップST78において、第1圧力判定部52は、低圧蒸気圧力センサ31により測定される低圧蒸気の圧力が第1基準圧力P1以上であるか否かを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップST79に移る。判定がNOの場合、処理はステップST73に戻る。
ステップST79において、起動時制御部50は、三方弁19を全閉状態として温水のチューブ12側への供給を停止させる。
ステップST80において、起動時制御部50は、三方弁19が全閉状態となったか否かを判定する。この判定がYESの場合、暖機運転制御を終了し、処理をステップST10に移す。判定がNOの場合、ステップST80の処理を繰り返す。
【0073】
以上説明した本実施形態の蒸気システム1によれば、以下のような効果を奏する。
【0074】
(1)蒸気発生装置10の起動時は、蒸気を生成するために用いられるボイラ水の温度が低くなっている場合がある。ボイラ水の温度が低い場合には、蒸気発生装置10による蒸気の生成が不安定になり、蒸気昇圧装置20に供給される蒸気の圧力も不安定になる。そこで、蒸気システム1を、起動時制御部50を含んで構成し、この起動時制御部50を、蒸気発生装置10が起動された場合に低圧蒸気の圧力が第1基準圧力P1以上であるか否かを判定する第1圧力判定部52と、この第1圧力判定部52により低圧蒸気の圧力が第1基準圧力P1以上でないと判定された場合に、ボイラ水の温度が第1基準温度T1以上になるまでの間、低圧蒸気の圧力が第1基準圧力P1となるように三方弁19を制御する暖機制御部53と、を含んで構成した。これにより、蒸気の生成が不安定となる蒸気発生装置10の運転開始時に、ボイラ水が温まり安定して蒸気を生成できるようになるまでの間、低圧蒸気の圧力を上げ過ぎないように暖機運転させられる。よって、その後、蒸気昇圧装置20の運転を開始させた場合に、蒸気昇圧装置20の負荷率をゆるやかに上昇させられるので、蒸気システム1を安定的に起動させられる。
【0075】
(2)起動時制御部50を、蒸気発生装置10が起動された場合に低圧蒸気の圧力が第2基準圧力P2以上であるか否かを判定する第2圧力判定部54と、この第2圧力判定部54により低圧蒸気の圧力が第2基準圧力以上でないと判定された場合に蒸気昇圧装置20の運転を開始させる第2起動指示部55と、を含んで構成した。これにより、蒸気発生装置10が起動されたときに、低圧蒸気の圧力が蒸気昇圧装置20の運転を開始させるのに好適な圧力である第2基準圧力P2を超過していない場合には、蒸気発生装置10により安定して蒸気が生成されていると判断できるので、蒸気昇圧装置20の運転を速やかに開始させられる。よって、蒸気システム1を安定的に起動させられる。
【0076】
(3)起動時制御部50を、暖機制御部53により制御されている状態において、低圧蒸気の圧力が第1基準圧力P1以上であると判定され、かつ、ボイラ水の温度が第1基準温度T1以上であると判定された場合に蒸気昇圧装置20の運転を開始させる第3起動指示部57を含んで構成した。これにより、蒸気発生装置10を暖機運転させた場合に、低圧蒸気の圧力が上昇しボイラ水の温度も十分に上昇した状態で蒸気昇圧装置20の運転を開始させられる。よって、蒸気システム1を安定的に起動させられる。
【0077】
(4)制御装置5を、起動時制御部50により起動された後の蒸気システム1の動作を制御する負荷率制御部61及び弁制御部62を含んで構成した。そして、負荷率制御部61に、蒸気発生装置10で生成された低圧蒸気の圧力が設定された目標圧力になるように蒸気昇圧装置20の負荷率を制御させ、弁制御部62に、蒸気昇圧装置20から吐出される吐出蒸気の圧力に基いて三方弁19を制御させた。これにより、蒸気昇圧装置20の運転が安定状態になった後は、吐出蒸気の圧力に基いて三方弁19を制御して蒸気発生装置10による蒸気の生成量を調整できる。
即ち、蒸気昇圧装置20から吐出される吐出蒸気の圧力が高い場合には、三方弁19の開度を小さくすることで、蒸気発生装置10に供給される温水の流量を少なくでき、蒸気発生装置10で生成される蒸気の量を低減できる。よって、蒸気発生装置10で生成される低圧蒸気の圧力を低下させることで、蒸気昇圧装置20の負荷率を低下でき、吐出蒸気の圧力を低下させられる。
また、蒸気発生装置10に供給される温水の流量が少なくされた状態で蒸気昇圧装置20から吐出される吐出蒸気の圧力が低くなった場合には、三方弁19の開度を大きくすることで、蒸気発生装置10に供給される温水の流量を多くでき、蒸気発生装置10で生成される蒸気の量を増加させられる。よって、蒸気発生装置10で生成される低圧蒸気の圧力を上昇させることで、蒸気昇圧装置20の負荷率を増加させられ、吐出蒸気の圧力を上昇させられる。その結果、蒸気昇圧装置20に供給される蒸気の圧力が目標圧力となるように蒸気昇圧装置20を制御する蒸気システム1において、より安定的に蒸気を供給できる。
【0078】
(5)蒸気システム1を、温水供給ライン14と、温水排出ライン15と、バイパスライン18とを含んで構成し、流量調整弁を、これら3つのラインにつながる三方弁19により構成した。これにより、三方弁19の開度を制御することで、蒸気発生装置10に供給される温水の流量を容易に調整できるので、蒸気システム1による安定的な蒸気の供給を簡易な構成で実現できる。
【0079】
以上、本発明の蒸気システム1の好ましい一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態では、熱源流体として温水を用いたが、これに限らない。即ち、熱源流体として、排ガスや空気等の他の流体を用いてもよい。
【0080】
また、本実施形態では、起動時制御部50により蒸気システム1が起動された後、負荷率制御部61に、蒸気発生装置10で生成された低圧蒸気の圧力が設定された目標圧力になるように蒸気昇圧装置20の負荷率を制御させ、弁制御部62に、蒸気昇圧装置20から吐出される吐出蒸気の圧力に基いて三方弁19を制御させたが、これに限らない。即ち、蒸気システム1が起動された後、負荷率制御部に、蒸気昇圧装置から吐出される吐出圧力の圧力が設定された目標圧力になるように蒸気昇圧装置の負荷率を制御させ、弁制御部に、低圧蒸気の圧力に基づいて三方弁を制御させてもよい。
【0081】
また、本実施形態では、低圧蒸気圧力センサ31を低圧蒸気供給ライン30に配置して低圧蒸気供給ライン30を流通する蒸気の圧力を測定したが、これに限らない。即ち、低圧蒸気供給ライン30を流通する蒸気の圧力は、蒸気発生装置10(タンク部11)における蒸気の圧力と等しいため、低圧蒸気圧力センサを蒸気発生装置(タンク部)に配置してもよい。
【0082】
また、本実施形態では、流量調整弁を三方弁19により構成したが、これに限らない。即ち、流量調整弁を、複数の弁を組み合わせて構成してもよい。