特開2015-206490(P2015-206490A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2015206490-蒸気システム 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-206490(P2015-206490A)
(43)【公開日】2015年11月19日
(54)【発明の名称】蒸気システム
(51)【国際特許分類】
   F22B 3/04 20060101AFI20151023BHJP
   F22B 1/16 20060101ALI20151023BHJP
   F22B 35/00 20060101ALI20151023BHJP
【FI】
   F22B3/04
   F22B1/16 Z
   F22B35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-85742(P2014-85742)
(22)【出願日】2014年4月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】大下 悟
(72)【発明者】
【氏名】大熊 恭輔
(72)【発明者】
【氏名】刑部 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 恵輔
【テーマコード(参考)】
3L021
【Fターム(参考)】
3L021AA03
3L021BA03
3L021CA08
3L021DA04
3L021FA11
3L021FA28
(57)【要約】
【課題】蒸気発生装置及び蒸気昇圧装置をより適切な状態で連携させられる蒸気システムを提供すること。
【解決手段】熱源流体を熱源として低圧蒸気を生成する蒸気発生装置10と、蒸気発生装置10に供給される熱源流体の流量を調整する流量調整弁19と、低圧蒸気を昇圧する蒸気昇圧装置20と、低圧蒸気を蒸気昇圧装置に供給する低圧蒸気供給ライン30と、低圧蒸気供給ライン30を流通する低圧蒸気の圧力を測定する低圧蒸気圧測定部31と、を備える蒸気システム1であって、蒸気昇圧装置20は、低圧蒸気を圧縮する圧縮部21と、圧縮部21に導入される低圧蒸気の圧力が設定された第1目標圧力P1になるように圧縮部21の負荷率を制御する負荷率制御部22と、を備え、低圧蒸気の圧力が第1目標圧力P1よりも高い第2目標圧力P2になるように流量調整弁19を制御する弁制御部51を更に備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源流体を熱源として低圧蒸気を生成する蒸気発生装置と、
前記蒸気発生装置に供給される熱源流体の流量を調整する流量調整弁と、
前記蒸気発生装置において生成された低圧蒸気を昇圧する蒸気昇圧装置と、
前記蒸気発生装置において生成された低圧蒸気を前記蒸気昇圧装置に供給する低圧蒸気供給ラインと、
前記低圧蒸気供給ラインを流通する低圧蒸気の圧力を測定する低圧蒸気圧測定部と、を備える蒸気システムであって、
前記蒸気昇圧装置は、低圧蒸気を圧縮する圧縮部と、該圧縮部に導入される低圧蒸気の圧力が設定された第1目標圧力になるように該圧縮部の負荷率を制御する負荷率制御部と、を備え、
前記低圧蒸気の圧力が前記第1目標圧力よりも高い第2目標圧力になるように前記流量調整弁を制御する弁制御部を更に備える蒸気システム。
【請求項2】
前記第2目標圧力は、前記蒸気発生装置が最大出力で運転し、かつ、前記蒸気昇圧装置が最大負荷率で運転している状態において前記低圧蒸気圧測定部で測定されるバランス圧力よりも高く設定される請求項1に記載の蒸気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気システムに関する。より詳細には、温水等の熱源流体を熱源として蒸気を生成する蒸気発生装置と、この蒸気発生装置で生成された蒸気を昇圧する蒸気昇圧装置と、を備える蒸気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温水等の熱源流体を熱源として低圧蒸気を生成する蒸気発生装置と、この蒸気発生装置で生成された低圧蒸気を吸引して昇圧する蒸気昇圧装置と、を備える蒸気システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような蒸気システムでは、蒸気発生装置により生成された低圧蒸気は、蒸気発生装置と蒸気昇圧装置とを接続する低圧蒸気供給ラインを介して蒸気昇圧装置に供給され、蒸気昇圧装置によって昇圧された後、蒸気使用機器に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−138924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような蒸気システムにおいては、蒸気昇圧装置の駆動状態(負荷率)を、この蒸気昇圧装置に供給される蒸気の圧力に基いて制御することが行われる。より具体的には、蒸気昇圧装置の負荷率は、蒸気昇圧装置に供給される蒸気の圧力が予め設定された所定の目標圧力となるように制御される。
【0005】
即ち、蒸気昇圧装置は、低圧蒸気供給ラインを流通する低圧蒸気の圧力が目標圧力よりも低い場合には、負荷率を落として駆動する。これにより、蒸気昇圧装置に供給される蒸気量(つまり、蒸気昇圧装置が吸引する蒸気量)は減少するため、低圧蒸気供給ラインにおける低圧蒸気の圧力は上昇して目標圧力に近づく。
一方、低圧蒸気供給ラインを流通する低圧蒸気の圧力が目標圧力よりも高い場合には、蒸気昇圧装置は、最大負荷率(100%)で駆動する。これにより、蒸気昇圧装置が吸引する蒸気量は最大量となるため、低圧蒸気供給ラインにおける低圧蒸気の圧力は低下して目標圧力に近づく。
このように、低圧蒸気供給ラインを流通する低圧蒸気の圧力が目標圧力となるように蒸気昇圧装置を駆動させることで、蒸気発生装置において安定的に蒸気を生成させられる。
【0006】
しかしながら、蒸気昇圧装置が最大負荷率で駆動した状態においても低圧蒸気供給ラインを流通する低圧蒸気の圧力が目標圧力よりも高い状態が継続される状況では、蒸気発生装置において生成される蒸気の量は過剰になっているといえる。
【0007】
従って、本発明は、蒸気発生装置及び蒸気昇圧装置をより適切な状態で連携させられる蒸気システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、熱源流体を熱源として低圧蒸気を生成する蒸気発生装置と、前記蒸気発生装置に供給される熱源流体の流量を調整する流量調整弁と、前記蒸気発生装置において生成された低圧蒸気を昇圧する蒸気昇圧装置と、前記蒸気発生装置において生成された低圧蒸気を前記蒸気昇圧装置に供給する低圧蒸気供給ラインと、前記低圧蒸気供給ラインを流通する低圧蒸気の圧力を測定する低圧蒸気圧測定部と、を備える蒸気システムであって、前記蒸気昇圧装置は、低圧蒸気を圧縮する圧縮部と、該圧縮部に導入される低圧蒸気の圧力が設定された第1目標圧力になるように該圧縮部の負荷率を制御する負荷率制御部と、を備え、前記低圧蒸気の圧力が前記第1目標圧力よりも高い第2目標圧力になるように前記流量調整弁を制御する弁制御部を更に備える蒸気システムに関する。
【0009】
また、前記第2目標圧力は、前記蒸気発生装置が最大出力で運転し、かつ、前記蒸気昇圧装置が最大負荷率で運転している状態において前記低圧蒸気圧測定部で測定されるバランス圧力よりも高く設定されることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の蒸気システムによれば、蒸気発生装置及び蒸気昇圧装置をより適切な状態で連携させられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る蒸気システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の蒸気システムの好ましい一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態の蒸気システム1は、図1に示すように、蒸気を生成する蒸気発生装置10と、この蒸気発生装置10において生成された蒸気を昇圧する蒸気昇圧装置20と、蒸気発生装置10と蒸気昇圧装置20とを接続する低圧蒸気供給ライン30と、この低圧蒸気供給ライン30を流通する低圧蒸気の圧力(低圧蒸気圧)を測定する低圧蒸気圧測定部としての低圧蒸気圧力センサ31と、蒸気昇圧装置20から吐出される吐出蒸気が流通する蒸気吐出ライン40と、この蒸気吐出ライン40を流通する吐出蒸気の圧力を測定する吐出蒸気圧測定部としての吐出蒸気圧力センサ41と、蒸気システム1の動作を制御する制御装置5と、を備える。
【0013】
蒸気発生装置10は、図1に示すように、ガスエンジン200のジャケット冷却水の排熱等の比較的低温の熱源流体を利用して水(ボイラ水)を加熱して蒸気を発生させる。この蒸気発生装置10は、タンク部11と、タンク部11の内部に配置されるチューブ12及び噴霧ノズル13と、熱源流体供給ラインとしての温水供給ライン14と、熱源流体排出ラインとしての温水排出ライン15と、噴霧水供給ライン16と、補給水ライン17と、バイパスライン18と、流量調整弁としての三方弁19と、を備える。「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0014】
タンク部11は、蒸気発生装置10における本体部分を構成する。タンク部11の内部は負圧もしくは低圧(例えば、−0.05MPaG〜0.1MPaG程度)に維持され、このタンク部11の内部において蒸気が生成される。このタンク部11の上部には、後述の低圧蒸気供給ライン30の基端部が接続される。
また、タンク部11には、安全弁32が設けられる。安全弁32は、タンク部11の内部の圧力が所定の圧力(設定圧力)を超えた場合に、蒸気を外部に放出してタンク部11(蒸気発生装置10)の内部の圧力を低下させる。
【0015】
チューブ12は、タンク部11の内部に水平方向に延びて配置される。より具体的には、チューブ12は、タンク部11の内部において、水平方向に所定間隔をあけて複数本配置されると共に、高さ方向にも所定間隔をあけて複数本配置される。このチューブ12の内部には、熱源流体としての温水が流通する。
【0016】
噴霧ノズル13は、タンク部11の内部におけるチューブ12よりも上方に配置される。この噴霧ノズル13は、チューブ12に向けてボイラ水を噴霧する。
温水供給ライン14は、チューブ12に熱源となる温水を供給する。温水供給ライン14の上流側は、熱源となる温水を供給するガスエンジン200等に接続される。温水供給ライン14の下流側は、チューブ12の一端部に接続される。
【0017】
温水排出ライン15は、チューブ12の内部を流通し、熱源として利用された温水を外部に排出する。温水排出ライン15の上流側は、チューブ12の他端部に接続される。温水排出ライン15の下流側は、ガスエンジン200等に接続される。
噴霧水供給ライン16は、タンク部11の下部と噴霧ノズル13とを接続し、タンク部11の下部に貯留されたボイラ水を、噴霧水として噴霧ノズル13に供給する。噴霧水供給ライン16には、噴霧水ポンプ161が配置されている。
噴霧水ポンプ161は、タンク部11に貯留された水を噴霧ノズル13まで汲み上げる。
【0018】
補給水ライン17は、タンク部11と水を貯留している貯留槽等(図示せず)とを接続する。補給水ライン17は、タンク部11に補給水を供給する。この補給水ライン17には、補給水ポンプ171が配置される。
補給水ポンプ171は、貯留槽等から供給された水を昇圧してタンク部11の内部に供給する。
【0019】
バイパスライン18は、温水供給ライン14と温水排出ライン15とを接続する。
三方弁19は、温水供給ライン14とチューブ12との接続部分の近傍に配置され、温水供給ライン14、チューブ12(蒸気発生装置10)及びバイパスライン18を接続する。三方弁19は、温水供給ライン14からチューブ12側に流れる温水の量及びバイパスライン18側に流れる温水の流量を調整する。
【0020】
即ち、三方弁19により温水供給ライン14からバイパスライン18への流路を閉止した状態(全開状態)では、温水供給ライン14を流通する温水は、全量チューブ12側に流れる。この状態からバイパスライン18への流路を開くように三方弁19の開度を調整すると、温水供給ライン14を流通する温水の一部は、バイパスライン18側に流れる。また、三方弁19により温水供給ライン14からチューブ12への流路を閉止した状態(全閉状態)では、温水供給ライン14を流通する温水は、全量バイパスライン18側に流れる。このように、三方弁19の開度を調整することで、チューブ12側に流れる温水の流量を調整できる。
【0021】
以上の蒸気発生装置10によれば、三方弁19により温水供給ライン14からバイパスライン18への流路を閉止した状態では、まず、ガスエンジン200等から熱源となる温水(例えば、約90℃)が、温水供給ライン14を通じてチューブ12に供給される。チューブ12に供給された温水は、タンク部11の内部に配置されたチューブ12に導入される。
一方、タンク部11の内部においては、噴霧ノズル13からチューブ12に向けて、噴霧水が噴霧される。また、タンク部11の内部は、負圧もしくは低圧(例えば、−0.05MPaG〜0.1MPaG程度)に維持されている。これにより、チューブ12を流通する温水は、噴霧水によって熱を奪われて85℃程度まで降温し、温水排出ライン15を通じて排出される。
【0022】
また、温水が流通するチューブ12には、噴霧ノズル13から80℃程度の水が噴霧されることで、表面に薄い液膜が形成される。このように、タンク部11の内部が負圧に維持された状態において、チューブ12の表面に薄い液膜が形成されることによって、チューブ12の内部を流通する温水と、噴霧ノズル13によって噴霧される水との温度差が比較的小さい場合(例えば、約10℃)であっても効率的に蒸気を生成することが可能になる。
【0023】
タンク部11の内部で発生した蒸気は、低圧蒸気供給ライン30を通って導出される。
タンク部11の内部で蒸気にならなかった水は、タンク部11の下部に貯留される。タンク部11の下部に貯留された水は、噴霧水供給ライン16を通じて、噴霧水ポンプ161によって噴霧ノズル13まで汲み上げられ、再びチューブ12に噴霧される。
タンク部11に貯留される水が少なくなった場合には、補給水ライン17からタンク部11に補給水が補給される。
【0024】
また、三方弁19の開度を調整してチューブ12に供給される温水の流量を調整することで、タンク部11の内部で発生する蒸気の量を調整できる。
【0025】
蒸気昇圧装置20は、蒸気発生装置10において生成された低圧蒸気(例えば、−0.05MPaG〜0.1MPaG)を吸引して圧縮し、昇圧する。この蒸気昇圧装置20は、低圧の蒸気を圧縮する圧縮部21と、この圧縮部21の動作を制御する負荷率制御部22と、を備える。
【0026】
圧縮部21は、例えば、スクリュー式の蒸気圧縮機により構成され、低圧の蒸気を0.4MpaG〜0.8MPaG程度に昇圧する。
負荷率制御部22は、低圧蒸気供給ライン30を流通する蒸気の圧力(圧縮部21に導入される低圧蒸気の圧力)に基いて、圧縮部21の駆動状態(負荷率)を制御する。より具体的には、負荷率制御部22は、圧縮部21に導入される低圧蒸気の圧力が設定された第1目標圧力P1(例えば、0.04MPa〜0.05MPa)となるように、蒸気昇圧装置20の負荷率を制御する。
【0027】
即ち、低圧蒸気供給ライン30の蒸気圧が第1目標圧力P1よりも高くなっている場合には、負荷率制御部22は、負荷率を最大(負荷率100%)にして蒸気昇圧装置20を駆動させる。これにより、蒸気昇圧装置20には、上限量の蒸気が吸引されることになり、低圧蒸気供給ライン30の蒸気圧は低下していく傾向にある。尚、蒸気昇圧装置20が100%の負荷率で運転した状態においても、低圧蒸気供給ライン30の蒸気圧が第1目標圧力P1を上回っている場合には、蒸気昇圧装置20は最大負荷率(100%)で運転を続ける。
【0028】
一方、低圧蒸気供給ライン30の蒸気圧が、第1目標圧力P1を下回った場合には、負荷率制御部22は、蒸気昇圧装置20の負荷率を低下させる。これにより、蒸気昇圧装置20に吸引される蒸気の量は減少し、低圧蒸気供給ライン30の蒸気圧は上昇する。
このようにして、低圧蒸気供給ライン30の蒸気圧を第1目標圧力P1となるように制御することにより、蒸気発生装置10により蒸気を効率よくかつ安定的に生成させられる。
尚、負荷率制御部22は、蒸気昇圧装置20に設けられた圧力センサ(図示せず)により圧縮部21に導入される低圧蒸気の圧力を検出する。
【0029】
低圧蒸気供給ライン30は、蒸気発生装置10において生成された低圧蒸気を蒸気昇圧装置20に供給する。
低圧蒸気圧力センサ31は、低圧蒸気供給ライン30の内部における蒸気圧(低圧蒸気の圧力)を測定する。
【0030】
蒸気吐出ライン40は、基端側が蒸気昇圧装置20に接続される。この蒸気吐出ライン40は、蒸気昇圧装置20において昇圧された後吐出される吐出蒸気を流通させる。蒸気吐出ライン40の先端側は、蒸気使用機器210に接続される。
吐出蒸気圧力センサ41は、蒸気吐出ライン40の内部における蒸気圧(吐出蒸気の圧力)を測定する。
【0031】
制御装置5は、蒸気発生装置10の動作を制御する。本実施形態では、制御装置5は、低圧蒸気供給ライン30を流通する低圧蒸気の圧力に基いて、三方弁19の開度を制御する弁制御部51を含んで構成される。
上述のように、蒸気システム1において、蒸気昇圧装置20が最大負荷率で運転した状態においても、低圧蒸気供給ライン30の蒸気圧が第1目標圧力P1を上回っている場合には、蒸気昇圧装置20は100%の負荷率で運転を続ける。このような、蒸気昇圧装置20が最大負荷率で運転した状態においても低圧蒸気供給ライン30を流通する低圧蒸気の圧力が第1目標圧力P1よりも高い状態が継続される状況では、蒸気発生装置10において生成される蒸気の量は過剰になっているといえる。
【0032】
そこで、弁制御部51は、低圧蒸気圧力センサ31により測定される低圧蒸気の圧力が第1目標圧力P1よりも高い第2目標圧力P2になるように三方弁19を制御する。
この場合、蒸気昇圧装置20が最大負荷率で運転し、かつ低圧蒸気供給ライン30の蒸気圧が第1目標圧力P1を上回っている状態において、低圧蒸気圧力センサ31により測定される低圧蒸気の圧力が第2目標圧力P2を上回ると、弁制御部51は、温水供給ライン14から蒸気発生装置10(チューブ12)側に供給される温水の量が減少するように三方弁19の開度を制御する(三方弁19の開度を小さくする)。すると、蒸気発生装置10に供給される温水の量が減少するので、蒸気発生装置10における蒸気の生成量が減少する。これにより、低圧蒸気供給ライン30を流通する低圧蒸気の圧力は低下し、第2目標圧力P2に近づく。よって、蒸気昇圧装置20を最大負荷率で運転させつつ、低圧蒸気供給ライン30を流通する低圧蒸気の圧力が過剰に高くなることを防げるので、蒸気発生装置10及び蒸気昇圧装置20をより適切な状態で連携させられる。
【0033】
尚、低圧蒸気圧力センサ31により測定される低圧蒸気の圧力が第2目標圧力P2以下である場合には、弁制御部51は、三方弁19を全開状態に制御し、温水供給ライン14を流通する温水を全量蒸気発生装置10(チューブ12)側に流通させる。
【0034】
また、第2目標圧力P2を第1目標圧力P1よりも高く設定することで、蒸気昇圧装置20を最大負荷率で安定的に運転させられる。即ち、第1目標圧力P1と第2目標圧力P2を同じ値に設定すると、弁制御部51による三方弁19の制御により、低圧蒸気供給ライン30を流通する低圧蒸気の圧力は、第1目標圧力P1(第2目標圧力P2)付近を上下する。そのため、蒸気昇圧装置20は、最大負荷率で安定的に運転できなくなってしまう。
【0035】
また、第2目標圧力P2は、低圧蒸気供給ライン30における低圧蒸気のバランス圧力よりも高く設定され、第1目標圧力P1は、バランス圧力よりも低く設定されることが好ましい。
ここで、低圧蒸気のバランス圧力とは、蒸気発生装置10を最大出力で運転させ、かつ、蒸気昇圧装置20を最大負荷率で運転させた場合に、低圧蒸気供給ライン30を流通する低圧蒸気の圧力が安定した状態で低圧蒸気圧力センサ31により測定される低圧蒸気の圧力を示す。
【0036】
第2目標圧力P2をバランス圧力よりも高く設定することで、蒸気発生装置10が最大出力に到達する前に三方弁19の開度を小さくしてしまうことを防げる。また、第1目標圧力P1をバランス圧力よりも低く設定することで、低圧蒸気供給ライン30を流通する低圧蒸気の圧力がバランス圧力に到達した状態においても蒸気昇圧装置20が最大負荷率で運転されなくなってしまうことを防げる。
【0037】
以上、本発明の蒸気システム1の好ましい一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態では、熱源流体として温水を用いたが、これに限らない。即ち、熱源流体として、排ガスや空気等の他の流体を用いてもよい。
【0038】
また、本実施形態では、低圧蒸気圧力センサ31を低圧蒸気供給ライン30に配置して低圧蒸気供給ライン30を流通する蒸気の圧力を測定したが、これに限らない。即ち、低圧蒸気供給ライン30を流通する蒸気の圧力は、蒸気発生装置10(タンク部11)における蒸気の圧力と等しいため、低圧蒸気圧力センサを蒸気発生装置(タンク部)に配置してもよい。
【0039】
また、本実施形態では、流量調整弁を三方弁19により構成したが、これに限らない。即ち、流量調整弁を、複数の弁を組み合わせて構成してもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 蒸気システム
10 蒸気発生装置
14 温水供給ライン(熱源流体供給ライン)
15 温水排出ライン(熱源流体排出ライン)
18 バイパスライン
19 三方弁(流量調整弁)
20 蒸気昇圧装置
21 圧縮部
22 負荷率制御部
30 低圧蒸気供給ライン
31 低圧蒸気圧力センサ(低圧蒸気圧測定部)
51 弁制御部
P1 第1目標圧力
P2 第2目標圧力
図1