特開2015-206493(P2015-206493A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三浦工業株式会社の特許一覧

特開2015-206493蒸気発生装置及び蒸気発生装置連携システム
<>
  • 特開2015206493-蒸気発生装置及び蒸気発生装置連携システム 図000003
  • 特開2015206493-蒸気発生装置及び蒸気発生装置連携システム 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-206493(P2015-206493A)
(43)【公開日】2015年11月19日
(54)【発明の名称】蒸気発生装置及び蒸気発生装置連携システム
(51)【国際特許分類】
   F22B 3/04 20060101AFI20151023BHJP
   F22B 35/00 20060101ALI20151023BHJP
   F01P 7/16 20060101ALI20151023BHJP
【FI】
   F22B3/04
   F22B35/00 E
   F01P7/16 504D
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-85785(P2014-85785)
(22)【出願日】2014年4月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】井上 一信
(72)【発明者】
【氏名】大下 悟
【テーマコード(参考)】
3L021
【Fターム(参考)】
3L021AA08
3L021BA08
3L021CA10
3L021DA04
3L021FA21
3L021FA28
(57)【要約】
【課題】より好適な状態で運転させられる蒸気発生装置及び蒸気発生装置連携システムを提供すること。
【解決手段】廃熱源200と、廃熱源200を冷却する冷却水が循環する冷却水循環ライン220と、冷却水を熱源として低圧蒸気を生成する蒸気発生装置本体11と、蒸気発生装置本体11に供給される冷却水の流量を調整する流量調整弁19と、を備える蒸気発生装置10であって、蒸気発生装置本体11において冷却水から除去することが許容される熱量である要求除去熱量を算出する除去熱量算出部51と、除去熱量算出部51により算出された要求除去熱量に基づいて流量調整弁19の開度を算出する開度算出部52と、開度算出部52により算出された開度に流量調整弁19を制御する弁制御部53と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃熱を発生させる廃熱源と、
前記廃熱源を冷却する冷却水が循環する冷却水循環ラインと、
前記冷却水を熱源として低圧蒸気を生成する蒸気発生装置本体と、
前記蒸気発生装置本体に供給される熱源流体の流量を調整する流量調整弁と、を備える蒸気発生装置であって、
前記蒸気発生装置本体において前記冷却水から除去することが許容される熱量である要求除去熱量を算出する除去熱量算出部と、
前記除去熱量算出部により算出された要求除去熱量に基づいて前記流量調整弁の開度を算出する開度算出部と、
前記開度算出部により算出された開度に前記流量調整弁を制御する弁制御部と、を備える蒸気発生装置。
【請求項2】
複数台の請求項1に記載の蒸気発生装置と、
前記除去熱量算出部により算出された要求除去熱量に基いて、運転させる前記蒸気発生装置の台数を決定する台数制御部と、を備える蒸気発生装置連携システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気発生装置及び蒸気発生装置連携システムに関する。より詳細には、温水等の熱源流体を熱源として蒸気を生成する蒸気発生装置、及びこの蒸気発生装置を複数台備える蒸気発生装置連携システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温水等の熱源流体を熱源として蒸気を生成する蒸気発生装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような蒸気発生装置により生成された低圧蒸気は、例えば、蒸気昇圧装置によって昇圧された後、蒸気使用機器に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−138924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような蒸気発生装置においては、熱源から適切な熱量を回収することが求められる。即ち、熱源としてガスエンジン等のジャケット冷却水を用いた場合、ガスエンジンには、適正な温度の冷却水が供給されることが好ましい。そのため、蒸気発生装置においては、ガスエンジンに供給される冷却水が適正な温度となるように熱回収を行うことが求められる。
【0005】
従って、本発明は、より好適な状態で運転させられる蒸気発生装置及び蒸気発生装置連携システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、廃熱を発生させる廃熱源と、前記廃熱源を冷却する冷却水が循環する冷却水循環ラインと、前記冷却水を熱源として低圧蒸気を生成する蒸気発生装置本体と、前記蒸気発生装置本体に供給される熱源流体の流量を調整する流量調整弁と、を備える蒸気発生装置であって、前記蒸気発生装置本体において前記冷却水から除去することが許容される熱量である要求除去熱量を算出する除去熱量算出部と、前記除去熱量算出部により算出された要求除去熱量に基づいて前記流量調整弁の開度を算出する開度算出部と、前記開度算出部により算出された開度に前記流量調整弁を制御する弁制御部と、を備える蒸気発生装置に関する。
【0007】
また、本発明は、複数台の蒸気発生装置と、前記除去熱量算出部により算出された要求除去熱量に基いて、運転させる前記蒸気発生装置の台数を決定する台数制御部と、を備える蒸気発生装置連携システムに関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、より好適な状態で運転させられる蒸気発生装置及び蒸気発生装置連携システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る蒸気発生装置を含む蒸気システムの構成を示す図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る蒸気発生装置連携システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の蒸気発生装置及び蒸気発生装置連携システムの好ましい各実施形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、第1実施形態に係る蒸気発生装置を含んで構成される蒸気システム1について、図1を参照しながら説明する。
第1実施形態の蒸気システム1は、廃熱源としてのガスエンジン200と、冷却水循環ライン220と、蒸気を生成する蒸気発生装置10と、この蒸気発生装置10において生成された蒸気を昇圧する蒸気昇圧装置20と、蒸気発生装置10と蒸気昇圧装置20とを接続する低圧蒸気供給ライン30と、この低圧蒸気供給ライン30を流通する蒸気の圧力(低圧蒸気圧)を測定する低圧蒸気圧測定部としての低圧蒸気圧力センサ31と、蒸気昇圧装置20から吐出される吐出蒸気が流通する蒸気吐出ライン40と、この蒸気吐出ライン40を流通する吐出蒸気の圧力を測定する吐出蒸気圧測定部としての吐出蒸気圧力センサ41と、蒸気システム1の動作を制御する制御部50と、を備える。尚、「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0011】
ガスエンジン200は、ガスを燃料として駆動し、発電を行う。
冷却水循環ライン220は、ガスエンジン200を冷却する冷却水を循環させる。この冷却水循環ライン220は、ガスエンジン200において熱回収を行った高温の冷却水(温水)を後述の蒸気発生装置本体に供給する温水供給ライン14と、蒸気発生装置本体から排出された温水をガスエンジン200に供給する温水排出ライン15と、温水供給ライン14と温水排出ライン15とをバイパスするバイパスライン18と、温水排出ライン15をバイパスする第2バイパスライン155と、を備える。
【0012】
温水供給ライン14とバイパスライン18との接続部分には、流量調整弁としての三方弁19が配置される。この三方弁19は、温水供給ライン14から蒸気発生装置10側に流れる温水の量及びバイパスライン18側に流れる温水の流量を調整する。本実施形態では、三方弁19は、開度調整が可能なモータバルブにより構成される。
【0013】
温水排出ライン15には、冷却器151と、第1温度センサ152と、第2温度センサ153と、流量計154と、が配置される。
冷却器151は、温水排出ライン15を流通する温水から熱回収を行う。
第1温度センサ152は、温水排出ライン15における冷却器151の上流側に配置され、冷却器151に導入される前の温水の温度を測定する。
第2温度センサ153は、温水排出ライン15における冷却器151の下流側に配置され、冷却器151において熱回収された後の温水の温度を測定する。
流量計154は、第2温度センサ153の下流側に配置され、温水排出ライン15を流通する温水の流量を測定する。
【0014】
第2バイパスライン155は、温水排出ライン15における冷却器151の上流側と下流側とをバイパスする。本実施形態では、第2バイパスライン155は、第1温度センサ152の上流側と流量計154の下流側とを接続して、冷却器151をバイパスしている。この第2バイパスライン155の上流側と温水排出ライン15との接続部分には、三方弁156が配置される。三方弁156は、蒸気発生装置本体から排出され温水排出ライン15を流通する温水の流路を、冷却器151側又は第2バイパスライン155側に切り替える。
【0015】
蒸気発生装置10は、ガスエンジン200のジャケット冷却水の排熱等の比較的低温の熱源流体を利用して蒸気を発生させる。この蒸気発生装置10は、蒸気発生装置本体としてのタンク部11、チューブ12及び噴霧ノズル13と、噴霧水供給ライン16と、補給水ライン17と、を備える。
【0016】
タンク部11は、蒸気発生装置10における本体部分を構成する。タンク部11の内部は負圧もしくは低圧(例えば、−0.05MPaG〜0.1MPaG程度)に維持され、このタンク部11の内部において蒸気が生成される。このタンク部11の上部には、後述の低圧蒸気供給ライン30の基端部が接続される。
また、タンク部11には、安全弁32が設けられる。安全弁32は、タンク部11の内部の圧力が所定の圧力(設定圧力)を超えた場合に、蒸気を外部に放出してタンク部11(蒸気発生装置10)の内部の圧力を低下させる。
【0017】
チューブ12は、タンク部11の内部に水平方向に延びて配置される。より具体的には、チューブ12は、タンク部11の内部において、水平方向に所定間隔をあけて複数本配置されると共に、高さ方向にも所定間隔をあけて複数本配置される。このチューブ12の一端側(入口側)には温水供給ライン14の先端側が接続され、他端側(出口側)には、温水排出ライン15の基端側が接続される。これにより、チューブ12内部には、熱源流体としての温水が流通する。
【0018】
噴霧ノズル13は、タンク部11の内部におけるチューブ12よりも上方に配置される。この噴霧ノズル13は、チューブ12に向けて水を噴霧する。
噴霧水供給ライン16は、タンク部11の下部と噴霧ノズル13とを接続し、タンク部11の下部に貯留された水を、噴霧水として噴霧ノズル13に供給する。噴霧水供給ライン16には、噴霧水ポンプ161が配置されている。
噴霧水ポンプ161は、タンク部11に貯留された水を噴霧ノズル13まで汲み上げる。
【0019】
補給水ライン17は、タンク部11と水を貯留している貯留槽等(図示せず)とを接続する。補給水ライン17は、タンク部11に補給水を供給する。この補給水ライン17には、補給水ポンプ171が配置される。
補給水ポンプ171は、貯留槽等から供給された水を昇圧してタンク部11の内部に供給する。
【0020】
以上の蒸気発生装置10によれば、三方弁19により温水供給ライン14からバイパスライン18への流路を閉止した状態では、まず、ガスエンジン200から熱源となる温水(例えば、約90℃)が、温水供給ライン14を通じてチューブ12に供給される。チューブ12に供給された温水は、タンク部11の内部に配置されたチューブ12に導入される。
一方、タンク部11の内部においては、噴霧ノズル13からチューブ12に向けて、噴霧水が噴霧される。また、タンク部11の内部は、負圧もしくは低圧(例えば、−0.05MPaG〜0.1MPaG程度)に維持されている。これにより、チューブ12を流通する温水は、噴霧水によって熱を奪われて85℃程度まで降温し、温水排出ライン15を通じて排出される。
【0021】
また、温水が流通するチューブ12には、噴霧ノズル13から80℃程度の水が噴霧されることで、表面に薄い液膜が形成される。このように、タンク部11の内部が負圧に維持された状態において、チューブ12の表面に薄い液膜が形成されることによって、チューブ12の内部を流通する温水と、噴霧ノズル13によって噴霧される水との温度差が比較的小さい場合(例えば、約10℃)であっても効率的に蒸気を生成することが可能になる。
【0022】
タンク部11の内部で発生した蒸気は、低圧蒸気供給ライン30から導出される。
タンク部11の内部で蒸気にならなかった水は、タンク部11の下部に貯留される。タンク部11の下部に貯留された水は、噴霧水供給ライン16を通じて、噴霧水ポンプ161によって噴霧ノズル13まで汲み上げられ、再びチューブ12に噴霧される。
タンク部11に貯留される水が少なくなった場合には、補給水ライン17からタンク部11に補給水が補給される。
【0023】
また、三方弁19の開度を調整してチューブ12に供給される温水の流量を調整することで、タンク部11の内部で発生する蒸気の量を調整できる。
【0024】
蒸気昇圧装置20は、蒸気発生装置10において生成された低圧蒸気(例えば、−0.05MPaG〜0.1MPaG)を吸引して圧縮し、昇圧する。この蒸気昇圧装置20は、低圧蒸気を圧縮する圧縮部21と、この圧縮部21の動作を制御する負荷率制御部22と、を備える。
【0025】
圧縮部21は、例えば、スクリュー式の蒸気圧縮機により構成され、低圧の蒸気を0.4MpaG〜0.8MPaG程度に昇圧する。
負荷率制御部22は、低圧蒸気供給ライン30を流通する蒸気の圧力(圧縮部21に導入される蒸気の圧力)に基いて、圧縮部21の動作(負荷率)を制御する。より具体的には、負荷率制御部22は、低圧蒸気供給ライン30を流通する蒸気の圧力が設定された目標圧力(例えば、0.04MPa〜0.05MPa)となるように、蒸気昇圧装置20の負荷率を制御する。
【0026】
即ち、低圧蒸気供給ライン30の蒸気圧が目標圧力よりも高くなっている場合には、負荷率制御部22は、負荷率を最大(負荷率100%)にして蒸気昇圧装置20(圧縮部21)を駆動させる。これにより、蒸気昇圧装置20には、上限量の蒸気が吸引されることになり、低圧蒸気供給ライン30の蒸気圧は低下していく傾向にある。尚、蒸気昇圧装置20が100%の負荷率で駆動した状態においても、低圧蒸気供給ライン30の蒸気圧が目標圧力を上回っている場合には、蒸気昇圧装置20は100%の負荷率で稼動を続ける。
【0027】
一方、低圧蒸気供給ライン30の蒸気圧が、目標圧力を下回った場合には、負荷率制御部22は、蒸気昇圧装置20(圧縮部21)の負荷率を低下させる。これにより、蒸気昇圧装置20に吸引される蒸気の量は減少し、低圧蒸気供給ライン30の蒸気圧は上昇する。
このようにして、低圧蒸気供給ライン30の蒸気圧を目標圧力となるように制御することにより、蒸気発生装置10により蒸気を効率よくかつ安定的に生成させられる。
【0028】
低圧蒸気供給ライン30は、蒸気発生装置10において生成された低圧蒸気を蒸気昇圧装置20に供給する。
低圧蒸気圧力センサ31は、低圧蒸気供給ライン30の内部における蒸気圧(低圧蒸気の圧力)を測定する。
【0029】
蒸気吐出ライン40は、基端側が蒸気昇圧装置20に接続される。この蒸気吐出ライン40は、蒸気昇圧装置20において昇圧された後吐出される吐出蒸気を流通させる。蒸気吐出ライン40の先端側は、蒸気使用機器210に接続される。
吐出蒸気圧力センサ41は、蒸気吐出ライン40の内部における蒸気圧(吐出蒸気の圧力)を測定する。
【0030】
制御部50は、蒸気発生装置10の動作を制御する。本実施形態では、制御部50は、冷却水循環ライン220を流通する冷却水(温水)から蒸気発生装置10において回収することが許容される熱量である除去熱量に応じて、三方弁19の開度を制御し、蒸気発生装置10により生成される蒸気量を制御する。
【0031】
上述の制御を行うための構成として、制御部50は、除去熱量算出部51と、開度算出部52と、弁制御部53と、を備える。
【0032】
除去熱量算出部51は、蒸気発生装置10において冷却水から除去することが許容される熱量である要求除去熱量を算出する。本実施形態では、除去熱量算出部51は、温水排出ライン15に配置された第1温度センサ152により測定された温水の温度、第2温度センサ153により測定された温水の温度、及び流量計154により測定された温水の流量に基いて要求除去熱量を算出する。即ち、流量計154により測定された温水の流量が一定であり、第1温度センサ152及び第2温度センサ153により測定された温水の温度と予め設定された基準温度との差が大きい場合には、上流側(蒸気発生装置10)においてより多くの熱量を除去することが要求される(要求除去熱量は大きくなる)。また、流量計154により測定された温水の流量が一定であり、第1温度センサ152及び第2温度センサ153により測定される温水の温度と基準温度との差が小さい場合には、上流側において除去することが要求される熱量は少なくなる(要求除去熱量は小さくなる)。
【0033】
開度算出部52は、除去熱量算出部51により算出された要求除去熱量に基づいて三方弁19の開度を算出する。例えば、制御部50は、要求除去熱量の下限値(例えば、50kW)を設定値として記憶部に記憶している。そして、開度算出部52は、要求除去熱量がこの設定値を下回らないような三方弁19の開度を算出する。
【0034】
弁制御部53は、開度算出部52により算出された開度に三方弁19を制御する。
【0035】
以上の蒸気発生装置10によれば、ガスエンジン200の負荷の減少等により、除去熱量算出部51において算出される要求除去熱量が設定された下限値を下回った場合、開度算出部52は、三方弁19の開度として100%ではない所定の開度(例えば、80%)を算出する。そして、弁制御部53は、三方弁19を当該開度(この場合、80%)に制御する。これにより、蒸気発生装置10に供給される冷却水(温水)の量を減少させることで蒸気発生装置10における熱回収量を減少させて要求除去熱量を増加させられる。よって、冷却水から過剰に熱回収することに伴ってガスエンジン200の運転に悪影響を与えることを防げるので、蒸気発生装置10を、より好適な状態で運転をさせられる。
【0036】
次に、本発明の第2実施形態に係る蒸気発生装置連携システム100につき、図2を参照しながら説明する。尚、第2実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
【0037】
本実施形態の蒸気発生装置連携システム100は、複数台(本実施形態では2台)の蒸気発生装置10A,10Bを含む蒸気システム1A,1Bと、これら複数台の蒸気システム1A,1Bから吐出される吐出蒸気が集合される吐出蒸気集合ライン60と、この吐出蒸気集合ライン60を流通する集合蒸気の圧力を測定する集合蒸気圧測定部としての集合蒸気圧力センサ61と、これら複数台の蒸気システム1A,1Bを制御する台数制御部500と、を備える。
【0038】
本実施形態では、2台の蒸気システム1A,1Bは、並列に配置される。そして、温水供給ライン14は、蒸気発生装置10Aに温水を供給する温水供給ライン14A及び蒸気発生装置10Bに温水を供給する温水供給ライン14Bに分岐している。また、蒸気発生装置10Aにおける温水排出ライン15B及び蒸気発生装置10Bにおける温水排出ライン15Bは合流してガスエンジン200に接続される。
【0039】
吐出蒸気集合ライン60は、複数台の蒸気システム1A,1Bそれぞれにおける蒸気吐出ライン40A,40Bの下流側に接続される。吐出蒸気集合ライン60は、複数台の蒸気システム1A,1Bから吐出された吐出蒸気を蒸気使用機器210に供給する。
尚、蒸気吐出ライン40A,40Bそれぞれにおける吐出蒸気圧力センサ41A,41Bの下流側には、逆止弁42A,42Bが配置される。
【0040】
集合蒸気圧力センサ61は、吐出蒸気集合ライン60の内部における蒸気圧(集合蒸気の圧力)を測定する。
【0041】
台数制御部500は、除去熱量算出部51により算出された要求除去熱量に基いて、複数台の蒸気システム1A,1Bの連携状態を制御する。本実施形態では、第1実施形態において制御部50が備えていた除去熱量算出部51は、台数制御部500が備える。
【0042】
より具体的には、台数制御部500は、蒸気システム1(蒸気発生装置10)において回収される熱量(例えば、500kW)を増台設定値として記憶部に記憶している。そして、台数制御部500は、除去熱量算出部51により算出された要求除去熱量が増台設定値以上となった場合、運転させる蒸気システム1の台数を増加させる。これにより、ガスエンジン200の負荷が増加する等により、冷却水の要求除去熱量が増加した場合に運転させる蒸気システム1の台数を増加させることで、冷却水から適切に熱回収を行える。
【0043】
また、台数制御部500は、運転させる蒸気システム1の台数を減少させる基準となる要求除去熱量(例えば、50kW)を減台設定値として記憶部に記憶している。そして、台数制御部500は、除去熱量算出部51により算出された要求除去熱量が減台設定値未満となった場合、運転させる蒸気システム1の台数を減少させる。これにより、ガスエンジン200の負荷が減少する等により、冷却水の要求除去熱量が減少した場合に運転させる蒸気システム1の台数を減少させることで、冷却水から過剰に熱回収を行うことを防げる。
【0044】
尚、蒸気発生装置連携システム100では、複数台の蒸気システム1に、それぞれ優先順位を設定しておくことで、運転させる蒸気システム1の台数を増加させる場合には優先順位の高い順に運転を開始させられる。また、運転させる蒸気システム1の台数を減少させる場合には優先順位の低い順に運転を停止させられる。
【0045】
以上、本発明の蒸気発生装置10及び蒸気発生装置連携システム100の好ましい各実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、第2実施形態では、蒸気発生装置連携システム100を、2台の蒸気発生装置10A,10Bを含んで構成したが、これに限らない。即ち、蒸気発生装置連携システムを、3台以上の蒸気発生装置を含んで構成してもよい。
【0046】
また、第2実施形態では、複数の蒸気発生装置10の複数の三方弁19をすべて要求除去熱量に基づいて制御したが、これに限らない。即ち、蒸気発生装置連携システムにおいて複数の蒸気発生装置を運転させた場合、運転している蒸気発生装置のうちの最も優先順位の低い蒸気発生装置の三方弁のみを要求除去熱量に基いて制御し、他の蒸気発生装置の三方弁を低圧蒸気の圧力、又は吐出蒸気の圧力に基いて制御してもよい。この場合、制御部又は台数制御部は、低圧蒸気圧力センサ31により測定される低圧蒸気の圧力、又は吐出蒸気圧力センサにより測定される吐出蒸気の圧力に基いて三方弁の開度を算出し、この算出された開度で三方弁を制御できる。
【0047】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、流量調整弁を三方弁19により構成したが、これに限らない。即ち、流量調整弁を、複数の弁を組み合わせて構成してもよい。
【0048】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、廃熱源としてガスエンジン200を用いたが、これに限らない。即ち、廃熱源としてディーゼルエンジンやガソリンエンジンを用いてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1,1A,1B 蒸気システム
10,10A,10B 蒸気発生装置本体
19 三方弁(流量調整弁)
20,20A,20B 蒸気昇圧装置
50,50A,50B 制御部
51 除去熱量算出部
52 開度算出部
53 弁制御部
100 蒸気発生装置連携システム
200 ガスエンジン(廃熱源)
220 冷却水循環ライン
500 台数制御部
図1
図2