【課題】ファン入口が吹出口に対向するように形成されたファン室に回転軸がファン入口及び吹出口の開口方向を向いた状態で後向き羽根の遠心ファンが設けられた空気調和装置において、遠心ファンの送風性能を向上させる。
【解決手段】遠心ファン(5)の羽根車(51)は、回転軸(52)がファン入口(13)及び吹出口(12)の開口方向に沿うケーシング(2)の側部の1つである羽根車近傍側部(25、26)に寄った位置に配置されている。しかも、吹出口(12)は、少なくとも一部が羽根車近傍側部(25)に対向するケーシング(2)の側部である吹出口近傍側部(26、25)に寄った位置に配置されている。
前記ファン室(S2)の前記羽根車(51)の風下側の空間であるファン風下空間(S21)のうち前記吹出口(12)に対向しない部分である吹出口非対向空間(S23)には、電装品(14)を冷却するためのヒートシンク(15)が設けられている、
請求項1に記載の空気調和装置(1)。
前記吹出口非対向空間(S23)を形成しており前記羽根車(51)の風下側の位置において前記ファン入口(13)に対向している吹出口非対向面部(27)をさらに有しており、
前記吹出口非対向面部は、前記ファン入口に近い側から前記吹出口(12)に近い側に向かうにつれて前記羽根車から遠ざかるように傾斜する傾斜面(27b)をなしており、
前記ヒートシンク(15)は、前記傾斜面に配置されている、
請求項2に記載の空気調和装置(1)。
前記羽根車(51)は、前記複数の後向き羽根(53)の前記吹出口(12)側の端部を結ぶとともに前記回転軸(52)を中心として回転するハブ(54)をさらに有しており、
前記ファン風下空間(S21)には、前記ハブに連結されているファンモータ(59)が設けられており、
前記傾斜面(27b)は、前記回転軸に沿う方向から見た際に、前記ファンモータに重なるように配置されている、
請求項3に記載の空気調和装置(1)。
前記羽根車(51)は、前記複数の後向き羽根(53)の前記吹出口(12)側の端部を結ぶとともに前記回転軸(52)を中心として回転するハブ(54)をさらに有しており、
前記ファン風下空間(S21)には、前記ハブに連結されているファンモータ(59)が設けられており、
前記傾斜面(27b)は、前記回転軸に直交する方向から見た際に、前記ファンモータに重なるように配置されている、
請求項3に記載の空気調和装置(1)。
前記羽根車(51)は、前記複数の後向き羽根(53)の前記吹出口(12)側の端部を結ぶとともに前記回転軸(52)を中心として回転するハブ(54)をさらに有しており、
前記ファン風下空間(S21)には、前記ハブに連結されているファンモータ(59)が設けられており、
前記ヒートシンクは、前記回転軸に沿う方向から見た際に、少なくとも一部が前記ファンモータに重ならないように配置されている、
請求項2又は3に記載の空気調和装置(1)。
前記羽根車(51)は、前記複数の後向き羽根(53)の前記吹出口(12)側の端部を結ぶとともに前記回転軸(52)を中心として回転するハブ(54)をさらに有しており、
前記ファン風下空間(S21)には、前記ハブに連結されているファンモータ(59)が設けられており、
前記ハブには、前記羽根車によって前記ファン風下空間に吹き出された空気の一部を前記羽根車に還流させて前記ファンモータを冷却するためのモータ冷却孔が形成されていない、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気調和装置(1)。
前記ファン風下空間(S21)のうち前記吹出口(12)に対向する部分である吹出口対向空間(S22)には、前記羽根車(51)によって前記ファン風下空間に吹き出された空気を加熱する加熱手段(6)が設けられており、
前記ヒートシンク(15)は、前記加熱手段よりも風上側に配置されている、
請求項2〜6のいずれか1項に記載の空気調和装置(1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、遠心ファンの羽根車によって吹き出される空気は、ケーシングを遠心ファンの回転軸に沿う方向から見た際に、羽根車の回転方向への旋回流れを伴いつつ、ケーシングの側部に沿って流れる傾向がある。このため、特許文献1の構成のように、遠心ファンの羽根車によって吹き出される空気をケーシングの中央寄りに案内することは、遠心ファンの羽根車によって吹き出される空気の旋回流れやケーシングの側部に沿う流れを強制的に変更するものといえる。すなわち、特許文献1の構成では、回転軸がファン入口及び吹出口の開口方向を向いた状態でファン室に設けられた後向き羽根の遠心ファンの風流れの傾向があまり考慮されておらず、遠心ファンの送風性能の向上が十分に図られているとはいえない。したがって、遠心ファンの風流れの傾向を考慮して遠心ファンの送風性能を向上させることが望まれる。
【0004】
本発明の課題は、ファン入口が吹出口に対向するように形成されたファン室に回転軸がファン入口及び吹出口の開口方向を向いた状態で後向き羽根の遠心ファンが設けられた空気調和装置において、遠心ファンの送風性能を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の観点にかかる空気調和装置は、ケーシングと、仕切部材と、熱交換器と、遠心ファンとを有している。ケーシングには、吸込口と吹出口とが形成されている。仕切部材は、ケーシング内を吸込口側の熱交換器室と吹出口側のファン室とに仕切っており、熱交換器室とファン室とを連通するファン入口が吹出口に対向するように形成されている。熱交換器は、熱交換器室に設けられている。遠心ファンは、複数の後向き羽根を有する羽根車を有しており、回転軸がファン入口及び吹出口の開口方向を向いた状態で羽根車がファン室に設けられてファン入口を通じて熱交換器室の空気をファン室に吸い込む。そして、羽根車は、回転軸がファン入口及び吹出口の開口方向に沿うケーシングの側部の1つである羽根車近傍側部に寄った位置に配置されている。しかも、吹出口は、少なくとも一部が羽根車近傍側部に対向するケーシングの側部である吹出口近傍側部に寄った位置に配置されている。
【0006】
ここでは、上記のように、羽根車の回転軸を羽根車近傍側部に寄せて配置し、かつ、吹出口の少なくとも一部を羽根車近傍側部に対向する吹出口近傍側部に寄せて配置するようにしている。このため、ここでは、遠心ファンの羽根車によって吹き出される空気を、その旋回流れやケーシングの側部に沿う流れの傾向を極力変更することなく、スムーズに吹出口に案内することができる。
【0007】
これにより、ここでは、従来のような遠心ファンの羽根車によって吹き出される空気をケーシングの中央寄りに案内する構成に比べて、遠心ファンの送風性能を向上させることができる。
【0008】
第2の観点にかかる空気調和装置は、第1の観点にかかる空気調和装置において、ファン室の羽根車の風下側の空間であるファン風下空間のうち吹出口に対向しない部分である吹出口非対向空間には、電装品を冷却するためのヒートシンクが設けられている。
【0009】
ここでは、上記のように、ヒートシンクをファン風下空間に配置するにあたり、吹出口非対向空間にヒートシンクを配置するようにしている。このため、ここでは、吹出口の近傍を避けてヒートシンクを配置することができる。
【0010】
これにより、ここでは、遠心ファンの送風性能の低下を極力抑えつつ、ヒートシンクをファン風下空間に配置することができる。
【0011】
第3の観点にかかる空気調和装置は、第2の観点にかかる空気調和装置において、吹出口非対向空間を形成しており羽根車の風下側の位置においてファン入口に対向している吹出口非対向面部をさらに有している。そして、吹出口非対向面部は、ファン入口に近い側から吹出口に近い側に向かうにつれて羽根車から遠ざかるように傾斜する傾斜面をなしており、ヒートシンクは、傾斜面に配置されている。
【0012】
ここでは、上記のように、ヒートシンクを吹出口非対向空間に配置するにあたり、吹出口非対向面部がなす傾斜面にヒートシンクを配置するようにしている。このため、ここでは、遠心ファンの羽根車によって吹き出される空気の風速を大きくし、かつ、通風抵抗を極力増大させることなく、ヒートシンクを配置することができる。
【0013】
これにより、ここでは、遠心ファンの送風性能の低下を極力抑えながら電装品を効率的に冷却することができるように、ヒートシンクを吹出口非対向空間に配置することができる。
【0014】
第4の観点にかかる空気調和装置は、第3の観点にかかる空気調和装置において、羽根車が、複数の後向き羽根の吹出口側の端部を結ぶとともに回転軸を中心として回転するハブをさらに有している。そして、ファン風下空間には、ハブに連結されているファンモータが設けられており、傾斜面は、回転軸に沿う方向から見た際に、ファンモータに重なるように配置されている。
【0015】
ここでは、上記のように、ファンモータをファン風下空間に配置するにあたり、回転軸に沿う方向から見た際に、傾斜面がファンモータに重なるようにしている。このため、ここでは、遠心ファンの羽根車によって吹き出される空気の風速が大きい傾斜面とファンモータとを回転軸に直交する方向に接近させた状態で配置することができる。
【0016】
これにより、ここでは、遠心ファンの羽根車によって吹き出される空気によってファンモータを効率的に冷却することができるように、ファンモータをファン風下空間に配置することができる。
【0017】
第5の観点にかかる空気調和装置は、第3の観点にかかる空気調和装置において、羽根車が、複数の後向き羽根の吹出口側の端部を結ぶとともに回転軸を中心として回転するハブをさらに有している。そして、ファン風下空間には、ハブに連結されているファンモータが設けられており、傾斜面は、回転軸に直交する方向から見た際に、ファンモータに重なるように配置されている。
【0018】
ここでは、上記のように、ファンモータをファン風下空間に配置するにあたり、回転軸に直交する方向から見た際に、傾斜面がファンモータに重なるようにしている。このため、ここでは、遠心ファンの羽根車によって吹き出される空気の風速が大きい傾斜面とファンモータとを回転軸に沿う方向に接近させた状態で配置することができる。
【0019】
これにより、ここでは、遠心ファンの羽根車によって吹き出される空気によってファンモータを効率的に冷却することができるように、ファンモータをファン風下空間に配置することができる。
【0020】
第6の観点にかかる空気調和装置は、第2又は第3の観点にかかる空気調和装置において、羽根車が、複数の後向き羽根の吹出口側の端部を結ぶとともに回転軸を中心として回転するハブをさらに有している。そして、ファン風下空間には、ハブに連結されているファンモータが設けられており、ヒートシンクは、回転軸に沿う方向から見た際に、少なくとも一部がファンモータに重ならないように配置されている。
【0021】
ここでは、上記のように、ファンモータをファン風下空間に配置するにあたり、回転軸に沿う方向から見た際に、ヒートシンクの少なくとも一部がファンモータに重ならないようにしている。このため、ここでは、ヒートシンク及びファンモータという2つの冷却が必要な部材を互いにずらして配置することができる。
【0022】
これにより、ここでは、遠心ファンの羽根車によって吹き出される空気によって電装品及びファンモータを効率的に冷却することができるように、ヒートシンク及びファンモータをファン風下空間に配置することができる。
【0023】
第7の観点にかかる空気調和装置は、第1〜第3の観点にかかる空気調和装置のいずれかにおいて、羽根車が、複数の後向き羽根の吹出口側の端部を結ぶとともに回転軸を中心として回転するハブをさらに有している。そして、ファン風下空間には、ハブに連結されているファンモータが設けられており、ハブには、羽根車によってファン風下空間に吹き出された空気の一部を羽根車に還流させてファンモータを冷却するためのモータ冷却孔が形成されていない。
【0024】
ここでは、上記のように、ファンモータをファン風下空間に配置するにあたり、羽根車のハブにモータ冷却孔を形成しないようにしている。このため、ここでは、羽根車によってファン風下空間に吹き出された空気の一部がモータ冷却孔を通じて羽根車に還流する流れをなくすことができる。
【0025】
これにより、ここでは、遠心ファンの送風性能の低下を抑えることができる。
【0026】
第8の観点にかかる空気調和装置は、第2〜第6の観点にかかる空気調和装置のいずれかにおいて、ファン風下空間のうち吹出口に対向する部分である吹出口対向空間には、羽根車によってファン風下空間に吹き出された空気を加熱する加熱手段が設けられている。そして、ヒートシンクは、加熱手段よりも風上側に配置されている。
【0027】
ここでは、上記のように、加熱手段をファン風下空間に配置するにあたり、加熱手段を吹出口対向空間に設けて、ヒートシンクを加熱手段よりも風上側に配置するようにしている。このため、ここでは、遠心ファンの羽根車によって吹き出される空気が電装品を冷却した後に加熱手段で加熱されることになる。そうすると、加熱手段をヒートシンクよりも風上側に配置する場合に比べて低い温度の空気によって電装品を冷却することができるようになる。
【0028】
これにより、ここでは、遠心ファンの羽根車によって吹き出される空気によって電装品を効率的に冷却することができるように、ヒートシンク及び加熱手段をファン風下空間に配置することができる。
【発明の効果】
【0029】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0030】
第1の観点にかかる空気調和装置では、従来のような遠心ファンの羽根車によって吹き出される空気をケーシングの中央寄りに案内する構成に比べて、遠心ファンの送風性能を向上させることができる。
【0031】
第2の観点にかかる空気調和装置では、遠心ファンの送風性能の低下を極力抑えつつ、ヒートシンクをファン風下空間に配置することができる。
【0032】
第3の観点にかかる空気調和装置では、遠心ファンの送風性能の低下を極力抑えながら電装品を効率的に冷却することができるように、ヒートシンクを吹出口非対向空間に配置することができる。
【0033】
第4の観点にかかる空気調和装置では、遠心ファンの羽根車によって吹き出される空気によってファンモータを効率的に冷却することができるように、ファンモータをファン風下空間に配置することができる。
【0034】
第5の観点にかかる空気調和装置では、遠心ファンの羽根車によって吹き出される空気によってファンモータを効率的に冷却することができるように、ファンモータをファン風下空間に配置することができる。
【0035】
第6の観点にかかる空気調和装置では、遠心ファンの羽根車によって吹き出される空気によって電装品及びファンモータを効率的に冷却することができるように、ヒートシンク及びファンモータをファン風下空間に配置することができる。
【0036】
第7の観点にかかる空気調和装置では、遠心ファンの送風性能の低下を抑えることができる。
【0037】
第8の観点にかかる空気調和装置では、遠心ファンの羽根車によって吹き出される空気によって電装品を効率的に冷却することができるように、ヒートシンク及び加熱手段をファン風下空間に配置することができる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明にかかる空気調和装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。尚、本発明にかかる空気調和装置の具体的な構成は、下記の実施形態及びその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0040】
(1)空気調和装置の基本構成
まず、空気調和装置1の基本構成について、
図1〜
図8を用いて説明する。ここで、
図1は、本発明の一実施形態にかかる空気調和装置1の外観斜視図(縦置形態)である。
図2は、空気調和装置1の第1側部23を取り外した状態を示す前側面図(縦置形態)である。
図3は、空気調和装置1の第2側部24を取り外した状態を示す後側面図(縦置形態)である。
図4は、空気調和装置1の第3側部25を取り外した右側面図(縦置形態)である。
図5は、空気調和装置1の第4側部26を取り外した左側面図(縦置形態)である。
図6は、遠心ファンの羽根車の外観斜視図である。
図7は、空気調和装置1の外観斜視図(横置形態)である。
図8は、空気調和装置1の第1側部23を取り外した状態を示す右側面図(横置形態)である。
【0041】
空気調和装置1は、建物内に設置されて室内の冷房や暖房を行う装置である。空気調和装置1は、ケーシング2と、仕切部材3と、熱交換器4と、遠心ファン5とを有している。ケーシング2には、吸込口11と吹出口12とが形成されている。仕切部材3は、ケーシング2内を吸込口11側の熱交換器室S1と吹出口12側のファン室S2とに仕切っており、熱交換器室S1とファン室S2とを連通するファン入口13が形成されている。熱交換器4は、熱交換器室S1に設けられている。遠心ファン5は、複数の後向き羽根53を有する羽根車51を有しており、回転軸52(その軸線を回転軸線Aとする)がファン入口13の開口方向Bを向いた状態で羽根車51がファン室S2に設けられてファン入口13を通じて熱交換器室S1の空気をファン室S2に吸い込む。
【0042】
また、ここでは、ファン入口13が吹出口12に対向しており、羽根車51の回転軸52(回転軸線A)がファン入口31の開口方向B及び吹出口12の開口方向Cを向いた状態になっている。また、ここでは、吸込口11がファン入口13に対向しており、羽根車51の回転軸52(回転軸線A)がファン入口31の開口方向B、吹出口12の開口方向C及び吸込口11の開口方向Dを向いた状態になっている。
【0043】
また、ここでは、空気調和装置1が、縦置形態及び横置形態という2つの形態を取り得るようになっている。縦置形態は、羽根車51の回転軸52(回転軸線A)が鉛直方向Zを向いた状態でケーシング2が配置される形態である(
図1〜
図5参照)。横置形態は、羽根車51の回転軸52(回転軸線A)が水平方向Xを向いた状態でケーシング2が配置される形態である(
図7及び
図8参照)。
【0044】
ケーシング2は、上記のように、吸込口11と吹出口12とが形成されている。ケーシング2は、主として、上流側部21と、下流側部22と、第1側部23と、第2側部24と、第3側部25と、第4側部26とを有している。これらの側部21〜26によって長尺の直方体形状のケーシング2が形成されている。上流側部21は、縦置形態の場合にケーシング2の底側面を形成し、横置形態の場合にケーシング2の後側面を形成する部材である。下流側部22は、縦置形態の場合にケーシング2の天側面を形成し、横置形態の場合にケーシング2の前側面を形成する部材である。上流側部21及び下流側部22は、ケーシング2の長手方向(回転軸線A及び開口方向B、C、Dに沿う方向)に互いに離間して配置されている。上流側部21には、吸込口11が形成されている。吸込口11は、上流側部21の中央に形成された四角孔形状の開口である。下流側部22には、吹出口12が形成されている。吹出口12は、下流側部22の中央からずらして形成された四角孔形状の開口である。ここでは、吹出口12は、下流側部22の第2側部24側に寄った位置に配置されている。第1側部23は、縦置形態の場合にケーシング2の前側面を形成し、横置形態の場合にケーシング2の右側面を形成する部材である。第2側部24は、縦置形態の場合にケーシング2の後側面を形成し、横置形態の場合にケーシング2の左側面を形成する部材である。第1側部23及び第2側部24は、ケーシング2の長手方向に直交する方向(縦置形態の場合は回転軸線A及び開口方向B、C、Dに直交する水平方向X、横置形態の場合は回転軸線A及び開口方向B、C、Dに直交する左右方向Y)に互いに離間して配置されている。第3側部25は、縦置形態の場合にケーシング2の右側面を形成し、横置形態の場合にケーシング2の天側面を形成する部材である。第4側部26は、縦置形態の場合にケーシング2の左側面を形成し、横置形態の場合にケーシング2の底側面を形成する部材である。第3側部25及び第4側部26は、ケーシング2の長手方向に直交する方向(縦置形態の場合は回転軸線A及び開口方向B、Cに直交する左右方向Y、横置形態の場合は回転軸線A及び開口方向B、C、Dに直交する鉛直方向Z)に互いに離間して配置されている。
【0045】
また、ここでは、上流側部21に吸込口11の外周縁を囲むように複数の突条21aが形成されており、下流側部22に吹出口12の外周縁を囲むように形成された複数の突条22aが形成されている。そして、突条21aを介して吸込ダクト18が接続され、突条22aを介して吹出ダクト19が接続されており、これにより、ここでは、空気調和装置1は、ダクト18、19を通じて空調室との間で空気のやりとりを行うダクト接続型の空気調和装置となっている。尚、ここでは、吸込口11及び吹出口12が四角孔形状であり、ダクト18、19も四角管形状であるが、これに限定されるものではなく、種々の形状を採用してもよい。また、空気調和装置1の型式も、ダクト接続型に限定されるものではなく、吸込口11や吹出口12から直接に空調室との間で空気のやりとりを行う型式等であってもよい。
【0046】
仕切部材3は、上記のように、ケーシング2内を吸込口11側の熱交換器室S1と吹出口12側のファン室S2とに仕切っており、熱交換器室S1とファン室S2とを連通するファン入口13が形成されている。仕切部材3は、主として、ケーシング2の長手方向に直交する方向(回転軸線A及び開口方向B、C、Dに直交する方向)に平行な四角板形状の仕切本体部31を有している。ファン入口13は、仕切本体部31に形成されており、ここでは、円孔形状である。仕切本体部31の周縁辺からは、ケーシング2の側部23〜26の内面に沿ってファン室S2側に向かって延びる四角枠形状の仕切周縁部32が形成されている。
【0047】
熱交換器4は、上記のように、熱交換器室S1に設けられている。熱交換器4は、冷房時に熱交換器室S1を流れる空気を冷媒によって冷却する熱交換器である。また、暖房時には、熱交換器室S1を流れる空気を冷媒によって加熱することもできる。ここでは、熱交換器4として、多数のフィン及び伝熱管からなるフィンチューブ型熱交換器が採用されている。そして、熱交換器4には、建物外に設置された室外ユニットなどから冷媒が供給されるようになっている。熱交換器4は、ケーシング2の第3側部25寄りの部分41と、ケーシング2の第4側部26寄りの部分42とを有している。そして、熱交換器4の第3側部25寄りの部分41は、ファン入口13に近い側から吸込口11に近い側に向かうにつれて、第3側部25に近づくように傾斜して配置されている。熱交換器4の第4側部26寄りの部分42は、ファン入口13に近い側から吸込口11に近い側に向かうにつれて、第4側部26に近づくように傾斜して配置されている。これにより、熱交換器4は、ファン入口13に近い側から吸込口11に近い側に向かうにつれて、ケーシング2の第3側部25側及び第4側部26に近づくV字形状をなしている。尚、熱交換器4の形状は、V字形状に限定されるものではなく、種々の形状を採用してもよい。
【0048】
また、熱交換器室S1には、熱交換器4において発生する結露水を受けるドレンパン43、44が設けられている。第1ドレンパン43は、羽根車51の回転軸52(回転軸線A)が水平方向Xを向いた状態でケーシング2が配置される場合(横置形態)に使用されるドレンパンである。第2ドレンパン44は、羽根車51の回転軸52(回転軸線A)が鉛直方向Zを向いた状態でケーシング2が配置される場合(縦置形態)に使用されるドレンパンである。第1ドレンパン43は、ファン入口13の開口方向Bに沿うケーシング2の側部23〜26の1つである第4側部26に寄った位置に配置されている。これにより、第1ドレンパン43は、横置形態の場合に、ケーシング2の底側面を形成する第4側部26の上側において、熱交換器4の下方を受けるように配置されていることになる。第2ドレンパン44は、ファン入口13の開口方向Bに直交する方向に沿うケーシング2の側部21、22の1つである上流側部21に寄った位置に配置されている。これにより、第2ドレンパン44は、縦置形態の場合に、ケーシング2の底側面を形成する上流側部21の上側において、熱交換器4の下方を受けるように配置されていることになる。そして、ここでは、縦置形態及び横置形態の両方に対応できるが、縦置形態においても、横置形態に使用される第1ドレンパン43が熱交換器室S1に存在し、横置形態においても、縦置形態に使用される第2ドレンパン44が熱交換器室S1に存在することになる。
【0049】
遠心ファン5は、上記のように、複数の後向き羽根53を有する羽根車51を有しており、回転軸52(回転軸線A)がファン入口13の開口方向Bを向いた状態で羽根車51がファン室S2に設けられてファン入口13を通じて熱交換器室S1の空気をファン室S2に吸い込む。また、ファン室S2には、羽根車51を回転駆動するファンモータ59が設けられている。ここで、ファン室S2には、羽根車51の回転軸52(回転軸線A)に沿って、ファン入口13に最も近い側に、羽根車51が配置されており、羽根車51の風下側にファンモータ59が配置されている。また、ファン入口13には、ベルマウス33が設けられている。ここで、ファン室S2の羽根車51の風下側の空間をファン風下空間S21とする。これにより、ファンモータ59は、ファン風下空間S21に配置されていることになる。
【0050】
羽根車51は、ハブ54と、シュラウド55と、ハブ54とシュラウド55との間に配置された複数の後向き羽根53と、を有している。ハブ54は、複数の後向き羽根53の吹出口22側の端部を結ぶとともに回転軸52(回転軸線A)を中心として回転する。ハブ54は、その中央にシュラウド55側に突出するハブ突出部54aを有する円板形状の部材である。ハブ突出部54aは、ファンモータ59に連結されている。シュラウド55は、ハブ54のファン入口13側に対向しており、複数の後向き羽根53のファン入口13側の端部を結ぶとともに回転軸52(回転軸線A)を中心として回転する。シュラウド55には、回転軸52(回転軸線A)を中心として円孔形状のファン開口55aが形成された円環形状の部材である。シュラウド55は、その外径がハブ54に近い側に向かうにつれて大きくなる湾曲形状をなしている。複数の後向き羽根53は、ハブ54とシュラウド55との間に回転軸52(回転軸線A)の周方向に沿って所定の間隔を空けて配置されている。各後向き羽根53は、ハブ54の径方向に対して羽根車51の回転方向R(ここでは、吹出口22側から見た際の時計回り方向)の反対向きに傾斜している羽根である。
【0051】
ベルマウス33は、羽根車51のファン開口55aに対向するように、仕切部材3のファン入口13に設けられており、熱交換器室S1からの空気を羽根車51のファン開口55aに案内する。ベルマウス33は、回転軸52(回転軸線A)を中心とする円環形状の部材である。ベルマウス33は、その外径がシュラウド55に近い側に向かうにつれて大きくなる湾曲形状をなしている。
【0052】
ファンモータ59は、ファン風下空間S21において、羽根車51の回転軸52(回転軸線A)と同軸上になるように配置されている。ファンモータ59は、回転軸52(回転軸線A)を中心とする円柱形状をなしている。ここでは、ファンモータ59は、モータ支持台34を介して仕切部材3に固定されている。具体的には、モータ支持台34は、仕切部材3の仕切周縁部32のケーシング2の第3側部25寄りの部分及び第4側部26寄りの部分からファンモータ59の外周面付近に向かって延びる門形状の支持フレーム35、36を有している。そして、ファンモータ59は、その外周面から第3側部25側及び第4側部26側に向かって延びる端板部59aが、ブラケット37を介して支持フレーム35、36に固定されている。これにより、羽根車51及びファンモータ59を含む遠心ファン5は、モータ支持台34を介して仕切部材3に固定されていることになる。このため、メンテナンス時などにおいては、ケーシング2から仕切部材3を取り外すことによって、遠心ファン5全体を取り外すことができるようになっている。
【0053】
また、ファン室S2のファン風下空間S21は、吹出口12に対向する部分である吹出口対向空間S22を有している。ここでは、吹出口12が下流側部22の第2側部24側に寄った位置に配置されているため、ケーシング2を吹出口12側から見た際に、吹出口12の開口の周縁辺に沿う部分、すなわち、第2側部24、第3側部25の第2側部24寄りの部分、及び、第4側部26の第2側部24寄りの部分によって囲まれる空間が吹出口対向空間S22になっている。そして、ファン風下空間S21のうち吹出口対向空間S22を除く部分は、羽根車51の風下側の位置においてファン入口13に対向している吹出口非対向面部27を設けることによって、この吹出口非対向面部27に対向しているが吹出口12に対向しない吹出口非対向空間S23が形成されている。また、ここでは、吹出口非対向面部27の吹出口12側の端部からファン入口13の開口方向B及び吹出口12の開口方向Cに沿って吹出口12側に延びる吹出口周縁面部28が設けられている。これにより、ここでは、吹出口非対向面部27、吹出口周縁面部28、下流側部22の吹出口12が形成されていない第1側部23寄りの部分、第1側部23、第3側部25、及び、第4側部26によって、空気調和装置1を構成する機器の制御に使用される電装品14が配置される電装品室S3が形成されている。また、吹出口対向空間S22の吹出口12寄りの部分、すなわち、吹出口周縁面部28、第2側部24、第3側部25の第2側部24寄りの部分、及び、第4側部26の第2側部24寄りの部分によって囲まれる空間が、吹出口12と同じ開口サイズを有する吹出通路部S24になっている。
【0054】
また、ここでは、ファン室S2のファン風下空間S21に、遠心ファン5の羽根車51によってファン風下空間S21に吹き出された空気を加熱する電気ヒータ6が設けられている。電気ヒータ6は、暖房時にファン室S2を流れる空気を加熱する加熱手段である。ここでは、電気ヒータ6(加熱手段)として、電熱線をコイル状に形成したヒータエレメントの集合体が採用されている。電気ヒータ6(加熱手段)は、ファン風下空間S21のうち吹出口12に対向する部分である吹出口対向空間S22に配置されている。より具体的には、電気ヒータ6(加熱手段)は、吹出口対向空間S22のうち吹出口12寄りの吹出通路部S24に配置されている。尚、電気ヒータ6(加熱手段)は、電熱線をコイル状に形成したヒータエレメントの集合体に限定されるものではなく、種々の型式のヒータを採用してもよい。
【0055】
(2)空気調和装置の基本動作
次に、空気調和装置1の基本動作について、
図1〜
図8を用いて説明する。
【0056】
上記の構成を有する空気調和装置1では、ファンモータ59の駆動によって遠心ファン5の羽根車51が回転する。これにより、吸込口11、熱交換器室S1、ファン入口13、ファン室S2、吹出口12の順にケーシング2内を通過する空気の流れが発生する。
【0057】
そして、冷房時においては、吸込口11を通じてケーシング2内に送られた空気は、熱交換器室S1に流入して、熱交換器4を流れる冷媒によって冷却される。そして、熱交換器4によって冷却された空気は、ファン入口13を通じてファン室S2に流入して、遠心ファン5の羽根車51に吸い込まれる。羽根車51に吸い込まれた空気は、羽根車51の風下側のファン風下空間S21に吹き出される。このファン風下空間S21に吹き出された空気は、吹出口12を通じてケーシング2外に送られる。
【0058】
また、暖房時においては、吸込口11を通じてケーシング2内に送られた空気は、熱交換器室S1に流入して、熱交換器4を流れる冷媒によって加熱される。この熱交換器4によって加熱された空気は、ファン入口13を通じてファン室S2に流入して、遠心ファン5の羽根車51に吸い込まれる。羽根車51に吸い込まれた空気は、羽根車51の風下側のファン風下空間S21に吹き出される。このファン風下空間S21に吹き出された空気は、電気ヒータ6(加熱手段)によってさらに加熱された後に、吹出口12を通じてケーシング2外に送られる。
【0059】
(3)遠心ファンの送風性能を向上させるための構成
上記の構成を有する空気調和装置1では、ファン入口13が吹出口12に対向するように形成されたファン室S2に回転軸52(回転軸線A)がファン入口13及び吹出口12の開口方向B、Cを向いた状態で後向き羽根53の遠心ファン5が設けられている。
【0060】
ここで、遠心ファン5の羽根車51によって吹き出される空気は、ケーシング2を遠心ファン5の回転軸52(回転軸線A)に沿う方向(ファン入口13及び吹出口12の開口方向B、C)から見た際に、羽根車51の回転方向Rへの旋回流れを伴いつつ、ケーシング2の側部23〜26に沿って流れる傾向がある(
図9及び
図10参照)。ここで、
図9は、
図2のI−I断面図である。
図10は、
図4のファン室S2付近を拡大した図である。そして、
図9及び
図10において、矢印は羽根車51から吹き出される風流れを示し、ハッチングは風速の大きい部分を示している。
【0061】
したがって、空気調和装置1では、このような遠心ファン5の風流れの傾向を考慮して遠心ファン5の送風性能を向上させることが望まれる。
【0062】
そこで、ここでは、羽根車51及び吹出口12の配置上の工夫を施している。具体的には、羽根車51は、回転軸52(回転軸線A)がファン入口13及び吹出口12の開口方向B、Cに沿うケーシング2の側部23〜26の1つである第3側部25(羽根車近傍側部)に寄った位置に配置されている(
図2、
図3、
図8及び
図9参照)。すなわち、ここでは、羽根車51の回転軸52(回転軸線A)が、第3側部25と第4側部26との間の中央線Eに対して、第3側部25(羽根車近傍側部)寄りにずらして配置されている。また、羽根車51の回転軸52(回転軸線A)が第3側部25(羽根車近傍側部)に寄った位置に配置されることから、ファン入口13及びベルマウス33についても、仕切部材3の第3側部25(羽根車近傍側部)に寄った位置に配置されることになる。しかも、吹出口12は、その一部(
図9における吹出口12の右寄りの部分)が第3側部25(羽根車近傍側部)に対向するケーシング2の側部である第4側部26(吹出口近傍側部)に寄った位置に配置されている(
図1、
図4、
図5、
図7及び
図10参照)。すなわち、ここでは、吹出口12が、下流側部22の第2側部24寄りにずらして配置されることで、その一部(
図9における吹出口12の右寄りの部分)が第3側部25(羽根車近傍側部)に対向する第4側部26(吹出口近傍側部)に寄った位置に配置されている。
【0063】
尚、ここでは、羽根車51の回転軸52(回転軸線A)が第3側部25に寄った位置に配置され、かつ、吹出口12の一部が第4側部26に寄った位置に配置されているが、これに限定されるものではない。例えば、羽根車51の回転軸52(回転軸線A)が第4側部26に寄った位置に配置され、かつ、吹出口12の一部が第3側部25に寄った位置に配置される等のように、別の側部に寄った配置であってもよい。また、ここでは、吹出口12の一部(
図9における吹出口12の右寄りの部分)が第4側部26に寄った位置に配置されているが、これに限定されるものではない。例えば、
図11に示すように、吹出口12の全部が第3側部25(羽根車近傍側部)に対向する第4側部26(吹出口近傍側部)に寄った位置に配置されていてもよい。すなわち、吹出口12の少なくとも一部が、第3側部25(羽根車近傍側部)に対向する第4側部26(吹出口近傍側部)に寄った位置に配置されていればよい。
【0064】
このように、ここでは、羽根車51の回転軸52(回転軸線A)を羽根車近傍側部に寄せて配置し、かつ、吹出口12の少なくとも一部を羽根車近傍側部に対向する吹出口近傍側部に寄せて配置するようにしている。このため、ここでは、遠心ファン5の羽根車51によって吹き出される空気を、その旋回流れやケーシング2の側部23〜26に沿う流れの傾向を極力変更することなく、スムーズに吹出口12に案内することができる。
【0065】
これにより、ここでは、従来のような遠心ファンの羽根車によって吹き出される空気をケーシングの中央寄りに案内する構成に比べて、遠心ファン5の送風性能を向上させることができる。
【0066】
(4)電装品の効率的な冷却を可能にするための構成
上記の構成を有する空気調和装置1では、電装品14のうちパワー素子やリアクタ等の発熱電気部品を冷却する必要がある。
【0067】
このとき、電装品14の冷却構成として、遠心ファン5によって吹き出される空気の流れを利用した構成を採用することが考えられる。
【0068】
ここで、遠心ファン5の羽根車51によって吹き出される空気は、上記のように、ケーシング2を遠心ファン5の回転軸52(回転軸線A)に沿う方向(ファン入口13及び吹出口12の開口方向B、C)から見た際に、羽根車51の回転方向Rへの旋回流れを伴いつつ、ケーシング2の側部23〜26に沿って流れる傾向がある(
図9及び
図10参照)。
【0069】
したがって、空気調和装置1では、このような遠心ファン5の風流れの傾向を考慮して電装品14の効率的な冷却を可能にすることが望まれる。
【0070】
そこで、ここでは、電装品14の冷却構成として、電装品14に熱的に接触するヒートシンク15をファン風下空間S21に設けた構成を採用して、このヒートシンク15の配置に工夫を施している。
【0071】
具体的には、まず、ファン室S2の羽根車51の風下側の空間であるファン風下空間S21のうち吹出口21に対向しない部分である吹出口非対向空間S23には、電装品14を冷却するためのヒートシンク15が設けられている(
図10参照)。ここでは、電装品14が吹出口非対向面部27の電装品室S3側の面27aに設けられ、その反対側の面である吹出口非対向空間S23側の面27bにヒートシンク15が設けられている。
【0072】
このように、ここでは、ヒートシンク15をファン風下空間S21に配置するにあたり、吹出口非対向空間S23にヒートシンク15を配置するようにしている。このため、ここでは、吹出口12の近傍を避けてヒートシンク15を配置することができる。
【0073】
これにより、ここでは、遠心ファン5の送風性能の低下を極力抑えつつ、ヒートシンク15をファン風下空間S21に配置することができる。
【0074】
しかも、ここでは、吹出口非対向面部27は、ファン入口13に近い側から吹出口12に近い側に向かうにつれて羽根車51から遠ざかるように傾斜する傾斜面27bをなしており、ヒートシンク15は、傾斜面27bに配置されている(
図10参照)。また、ここでは、ヒートシンク15に形成されている複数のフィン15aは、吹出口12から遠い側から吹出口12に近い側に向かって細長い板形状を有している。
【0075】
このように、ここでは、ヒートシンク15を吹出口非対向空間S23に配置するにあたり、吹出口非対向面部27がなす傾斜面27bにヒートシンク15を配置するようにしている。このため、ここでは、遠心ファン5の羽根車51によって吹き出される空気の風速を大きくし、かつ、通風抵抗を極力増大させることなく、ヒートシンク15を配置することができる。
【0076】
これにより、ここでは、遠心ファン5の送風性能の低下を極力抑えながら電装品14を効率的に冷却することができるように、ヒートシンク15を吹出口非対向空間S23に配置することができる。また、ここでは、ヒートシンク15のフィン15aが空気の流れに沿った形状(吹出口12から遠い側から吹出口12に近い側に向かって細長い板形状)を有しているため、フィン15aによる通風抵抗も極力抑えて、電装品14の効率的な冷却に寄与している。
【0077】
そして、ここでは、傾斜面27bは、回転軸52(回転軸線A)に沿う方向(ファン入口13及び吹出口12の開口方向B、C)から見た際に、ファンモータ59に重なるように配置されている(
図10及び
図12参照)。より具体的には、ケーシング2を吹出口12側から見た際に、傾斜面27bをなす吹出口非対向面部27の吹出口12側の端部(または、この端部に繋がる吹出口12側に延びる吹出口周縁面部28)がファンモータ59を横切る位置に配置されている。これにより、吹出口非対向面部27がなす傾斜面27bの吹出口12寄りの一部がファンモータ59に重なっている。ここで、
図12は、空気調和装置1の下流側部22を取り外した状態を示す天側面図(縦置形態)である。尚、
図12においては、電装品14、モータ支持台34及び電気ヒータ6(加熱手段)の図示を省略している。
【0078】
このように、ここでは、ファンモータ59をファン風下空間S21に配置するにあたり、回転軸52(回転軸線A)に沿う方向(ファン入口13及び吹出口12の開口方向B、C)から見た際に、傾斜面27bがファンモータ59に重なるようにしている。このため、ここでは、遠心ファン5の羽根車51によって吹き出される空気の風速が大きい傾斜面27bとファンモータ59とを回転軸52(回転軸線A)に直交する方向(縦置形態の場合は回転軸線A及び開口方向B、Cに直交する水平方向X、横置形態の場合は回転軸線A及び開口方向B、Cに直交する左右方向Y)に接近させた状態で配置することができる。
【0079】
これにより、ここでは、遠心ファン5の羽根車51によって吹き出される空気によってファンモータ59を効率的に冷却することができるように、ファンモータ59をファン風下空間S21に配置することができる。
【0080】
また、ここでは、傾斜面27bは、回転軸52(回転軸線A)に直交する方向(縦置形態の場合は回転軸線A及び開口方向B、Cに直交する水平方向X、横置形態の場合は回転軸線A及び開口方向B、Cに直交する左右方向Y)から見た際に、ファンモータ59に重なるように配置されている(
図10及び
図13参照)。より具体的には、ケーシング2を第1側部23又は第2側部24側から見た際に、傾斜面27bをなす吹出口非対向面部27のファン入口13側の端部がファンモータ59を横切る位置に配置されている。これにより、吹出口非対向面部27がなす傾斜面27bのファン入口13寄りの一部がファンモータ59に重なっている。ここで、
図13は、
図3のファン室S2付近を拡大した図である。
【0081】
このように、ここでは、ファンモータ59をファン風下空間S21に配置するにあたり、回転軸52(回転軸線A)に直交する方向(縦置形態の場合は回転軸線A及び開口方向B、Cに直交する水平方向X、横置形態の場合は回転軸線A及び開口方向B、Cに直交する左右方向Y)から見た際に、傾斜面27bがファンモータ59に重なるようにしている。このため、ここでは、遠心ファン5の羽根車51によって吹き出される空気の風速が大きい傾斜面27bとファンモータ59とを回転軸52(回転軸線A)に沿う方向(ファン入口13及び吹出口12の開口方向B、C)に接近させた状態で配置することができる。
【0082】
これにより、ここでは、遠心ファン5の羽根車51によって吹き出される空気によってファンモータ59を効率的に冷却することができるように、ファンモータ59をファン風下空間S21に配置することができる。
【0083】
また、ここでは、ヒートシンク15は、回転軸52(回転軸線A)に沿う方向(ファン入口13及び吹出口12の開口方向B、C)から見た際に、少なくとも一部がファンモータ59に重ならないように配置されている(
図10及び
図12参照)。より具体的には、ケーシング2を吹出口12側から見た際に、ヒートシンク15の一部(ここでは、
図12における左部)がファンモータ59に重なっておらず、残りの右部がファンモータ59に重なるように配置されている。尚、ここでは採用していないが、ケーシング2を吹出口12側から見た際に、ヒートシンク15の全部がファンモータ59に重ならないように配置してもよい。
【0084】
このように、ここでは、ファンモータ59をファン風下空間S21に配置するにあたり、回転軸(回転軸線A)に沿う方向(ファン入口13及び吹出口12の開口方向B、C)から見た際に、ヒートシンク15の少なくとも一部がファンモータ59に重ならないようにしている。このため、ここでは、ヒートシンク15及びファンモータ59という2つの冷却が必要な部材を互いにずらして配置することができる。
【0085】
これにより、ここでは、遠心ファン5の羽根車51によって吹き出される空気によって電装品14及びファンモータ59を効率的に冷却することができるように、ヒートシンク15及びファンモータ59をファン風下空間S21に配置することができる。
【0086】
また、ここでは、ヒートシンク15は、電気ヒータ6(加熱手段)よりも風上側に配置されている(
図1、
図3〜
図5、
図7、
図10及び
図13参照)。
【0087】
このように、ここでは、電気ヒータ6(加熱手段)をファン風下空間S21に配置するにあたり、電気ヒータ6(加熱手段)を吹出口対向空間S22に設けて、ヒートシンク15を電気ヒータ6(加熱手段)よりも風上側に配置するようにしている。このため、ここでは、遠心ファン5の羽根車51によって吹き出される空気が電装品14を冷却した後に電気ヒータ6(加熱手段)で加熱されることになる。そうすると、電気ヒータ6(加熱手段)をヒートシンク15よりも風上側に配置する場合に比べて低い温度の空気によって電装品14を冷却することができるようになる。
【0088】
これにより、ここでは、遠心ファン5の羽根車51によって吹き出される空気によって電装品14を効率的に冷却することができるように、ヒートシンク15及び電気ヒータ6(加熱手段)をファン風下空間S21に配置することができる。
【0089】
(5)遠心ファンの送風性能の低下を抑えるための構成
上記の構成を有する空気調和装置1では、ファンモータ59がファン風下空間S21に配置されているため、羽根車51から吹き出された空気によって、ファンモータ59の冷却を行うことができるようになっている。
【0090】
そこで、ここでは、ファンモータ59をファン風下空間S21に配置するにあたり、羽根車51の形状に工夫を施している。具体的には、羽根車51のハブ54に、羽根車51によってファン風下空間S21に吹き出された空気の一部を羽根車51に還流させてファンモータ59を冷却するためのモータ冷却孔を形成しないようにしている(
図6参照)。このため、ここでは、羽根車51によってファン風下空間S21に吹き出された空気の一部がモータ冷却孔を通じて羽根車51に還流する流れをなくすことができる。
【0091】
これにより、ここでは、遠心ファン5の送風性能の低下を抑えることができる。
【0092】
(6)遠心ファンの送風性能をさらに向上させるための構成
上記の構成を有する空気調和装置1では、ファン入口13が吹出口12に対向するように形成されたファン室S2に回転軸52(回転軸線A)がファン入口13及び吹出口12の開口方向B、Cを向いた状態で後向き羽根53の遠心ファン5が設けられている。
【0093】
ここで、遠心ファン5の羽根車51から吹き出された直後の空気は、羽根車51の径方向に向かう流れ成分(径方向成分)が強く、ファン室S2における通風抵抗が増大する原因となっている。
【0094】
そこで、ここでは、羽根車51の形状にさらに工夫を施している。具体的には、
図14に示すように、ハブ54の複数の後向き羽根53の間に位置する翼間部54aを切り欠いた羽根車51を採用するようにしている。ここで、
図14は、ハブ54の翼間部54bが切り欠かれた羽根車51を示す外観斜視図である。
【0095】
このように、翼間部54bを切り欠いた羽根車51を採用すると、遠心ファン5の羽根車51から吹き出された直後の空気の軸方向成分を強めるとともに径方向成分を弱めることができ、これにより、斜流流れの傾向を強めることができることができるため、ファン室S2における通風抵抗を低減することができる。
【0096】
これにより、ここでは、遠心ファン5の送風性能をさらに向上させることができる。