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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-206513(P2015-206513A)
(43)【公開日】2015年11月19日
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/00 20110101AFI20151023BHJP
   F04D 29/62 20060101ALI20151023BHJP
   F04D 29/58 20060101ALI20151023BHJP
【FI】
   F24F1/00 321
   F04D29/62 Z
   F04D29/58 T
   F24F1/00 306
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-86209(P2014-86209)
(22)【出願日】2014年4月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】横山 直史
(72)【発明者】
【氏名】横溝 剛志
(72)【発明者】
【氏名】山崎 登博
(72)【発明者】
【氏名】柏原 貴士
(72)【発明者】
【氏名】森 亮彦
【テーマコード(参考)】
3H130
3L049
3L050
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB46
3H130AC11
3H130BA32G
3H130BA32Z
3H130BA33G
3H130BA34C
3H130BA34Z
3H130EA06C
3H130EA06Z
3H130EA07C
3H130EA07Z
3H130EA08C
3H130EA08Z
3H130EB01Z
3H130EC17C
3L049BB07
3L049BD01
3L050BA01
3L050BA10
(57)【要約】
【課題】ファン入口が吹出口に対向するように形成されたファン室に回転軸がファン入口及び吹出口の開口方向を向いた状態で後向き羽根の遠心ファンが設けられた空気調和装置において、吹出口近傍に加熱手段を設けるにあたり、遠心ファンの羽根車として樹脂製の羽根車を採用できるようにする。
【解決手段】ファン室(S2)の羽根車(51)の風下側の空間であるファン風下空間(S21)には、ファン風下空間(S21)のうち吹出口(12)に対向する部分である吹出口対向空間(S22)に加熱手段(6)が設けられている。ここで、羽根車(51)は、樹脂製であり、ファン風下空間(S21)には、羽根車(51)の加熱手段(6)に対向する部分を覆うファン遮熱部材(38)がさらに設けられている。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口(11)と吹出口(12)とが形成されているケーシング(2)と、
前記ケーシング内を前記吸込口側の熱交換器室(S1)と前記吹出口側のファン室(S2)とに仕切っており、前記熱交換器室と前記ファン室とを連通するファン入口(13)が前記吹出口に対向するように形成されている仕切部材(3)と、
前記熱交換器室に設けられている熱交換器(4)と、
複数の後向き羽根(53)を有する羽根車(51)を有しており、回転軸(52)が前記ファン入口及び前記吹出口の開口方向を向いた状態で前記羽根車が前記ファン室に設けられて前記ファン入口を通じて前記熱交換器室の空気を前記ファン室に吸い込む遠心ファン(5)と、
を備えており、
前記ファン室の前記羽根車の風下側の空間であるファン風下空間(S21)には、前記ファン風下空間のうち前記吹出口に対向する部分である吹出口対向空間(S22)に加熱手段(6)が設けられており、
前記羽根車は、樹脂製であり、
前記ファン風下空間には、前記羽根車の前記加熱手段に対向する部分を覆うファン遮熱部材(38)がさらに設けられている、
空気調和装置(1)。
【請求項2】
前記ファン遮熱部材(38)は、前記回転軸(5)に沿う方向から見た際に、前記羽根車(51)の外径以下のサイズを有している、
請求項1に記載の空気調和装置(1)。
【請求項3】
前記羽根車(51)は、前記複数の後向き羽根(53)の前記吹出口(12)側の端部を結ぶとともに前記回転軸(52)を中心として回転するハブ(54)をさらに有しており、
前記ファン遮熱部材(38)は、前記ハブの前記加熱手段(6)に対向する部分の少なくとも一部を覆っている、
請求項1又は2に記載の空気調和装置(1)。
【請求項4】
前記ファン遮熱部材(38)は、前記ハブ(54)との間に隙間を空けて配置されている、
請求項3に記載の空気調和装置(1)。
【請求項5】
前記ファン遮熱部材(38)と前記ハブ(54)との隙間は、80mm以下である、
請求項4に記載の空気調和装置(1)。
【請求項6】
前記ファン風下空間(S21)には、前記ハブ(54)に連結されているファンモータ(59)が設けられており、
前記ファン遮熱部材(38)は、前記ハブと前記ファンモータとの間に配置されており、
前記ファン遮熱部材は、前記回転軸(52)に沿う方向から見た際に、前記ファンモータと重なる部分の少なくとも一部が切り欠かれている、
請求項3〜5のいずれか1項に記載の空気調和装置(1)。
【請求項7】
前記ファンモータ(59)の前記加熱手段(6)に対向する部分を覆うモータ遮熱部材(37a)がさらに設けられている、
請求項6に記載の空気調和装置(1)。
【請求項8】
前記モータ遮熱部材(37a)には、前記羽根車(51)によって前記ファン風下空間(S21)に吹き出された空気の一部を前記ファン風下空間のうち前記吹出口(12)に対向しない部分である吹出口非対向空間(S23)から前記ファンモータ(59)を通じて前記吹出口対向空間に案内するためのモータ案内口(37b)が形成されている、
請求項7に記載の空気調和装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置、特に、ファン入口が吹出口に対向するように形成されたファン室に回転軸がファン入口及び吹出口の開口方向を向いた状態で後向き羽根の遠心ファンが設けられた空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、特許文献1(特開平6−281194号公報)に示すように、ファン入口が吹出口に対向するように形成された送風ユニット(ファン室)に回転軸がファン入口及び吹出口の開口方向を向いた状態で後向き羽根の遠心ファンが設けられた空気調和装置がある。また、特許文献2(特開2009−198141号公報)に示すように、シロッコファンが設けられた空気調和装置において、シロッコファンの吹出口近傍に温調エレメント(加熱手段)を設けたものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、特許文献1のような遠心ファンが設けられた空気調和装置において、吹出口近傍に特許文献2のような加熱手段を設けることが考えられる。
【0004】
しかし、ファンモータの故障等によって加熱手段の運転が継続している状態で遠心ファンの運転が停止する事象が発生すると、遠心ファンの羽根車が加熱手段の輻射熱によって加熱されることになる。このとき、遠心ファンの羽根車として樹脂製の羽根車を採用すると、加熱手段の輻射熱によって樹脂製の羽根車が損傷するおそれがある。
【0005】
このため、ファン入口が吹出口に対向するように形成されたファン室に回転軸がファン入口及び吹出口の開口方向を向いた状態で後向き羽根の遠心ファンが設けられた空気調和装置において、吹出口近傍に加熱手段を設けるにあたり、遠心ファンの羽根車として樹脂製の羽根車を採用することが難しい。
【0006】
本発明の課題は、ファン入口が吹出口に対向するように形成されたファン室に回転軸がファン入口及び吹出口の開口方向を向いた状態で後向き羽根の遠心ファンが設けられた空気調和装置において、吹出口近傍に加熱手段を設けるにあたり、遠心ファンの羽根車として樹脂製の羽根車を採用できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の観点にかかる空気調和装置は、ケーシングと、仕切部材と、熱交換器と、遠心ファンとを有している。ケーシングには、吸込口と吹出口とが形成されている。仕切部材は、ケーシング内を吸込口側の熱交換器室と吹出口側のファン室とに仕切っており、熱交換器室とファン室とを連通するファン入口が吹出口に対向するように形成されている。熱交換器は、熱交換器室に設けられている。遠心ファンは、複数の後向き羽根を有する羽根車を有しており、回転軸がファン入口及び吹出口の開口方向を向いた状態で羽根車がファン室に設けられてファン入口を通じて熱交換器室の空気をファン室に吸い込む。そして、ファン室の羽根車の風下側の空間であるファン風下空間には、ファン風下空間のうち吹出口に対向する部分である吹出口対向空間に加熱手段が設けられている。ここで、羽根車は、樹脂製であり、ファン風下空間には、羽根車の加熱手段に対向する部分を覆うファン遮熱部材がさらに設けられている。
【0008】
ここでは、上記のように、吹出口対向空間に加熱手段を設けるとともに、ファン風下空間に樹脂製の羽根車の加熱手段に対向する部分を覆うファン遮熱部材を設けるようにしている。このため、ここでは、加熱手段の運転が継続している状態で遠心ファンの運転が停止する事象が発生した場合であっても、加熱手段の輻射熱によって樹脂製の羽根車が損傷することを防ぐことができる。
【0009】
これにより、ここでは、吹出口近傍に加熱手段を設けるにあたり、遠心ファンの羽根車として樹脂製の羽根車を採用することができる。
【0010】
第2の観点にかかる空気調和装置は、第1の観点にかかる空気調和装置において、ファン遮熱部材が、回転軸に沿う方向から見た際に、羽根車の外径以下のサイズを有している。
【0011】
ここでは、上記のように、ファン遮熱部材をファン風下空間に配置するにあたり、回転軸に沿う方向から見た際に、ファン遮熱部材を羽根車の外径以下のサイズにしている。このため、ここでは、通風抵抗を極力増大させることなく、ファン遮熱部材をファン風下空間に配置することができる。
【0012】
これにより、ここでは、遠心ファンの送風性能の低下を極力抑えつつ、ファン遮熱部材をファン風下空間に配置することができる。
【0013】
第3の観点にかかる空気調和装置は、第1又は第2の観点にかかる空気調和装置において、羽根車が、複数の後向き羽根の吹出口側の端部を結ぶとともに回転軸を中心として回転するハブをさらに有している。そして、ファン遮熱部材は、ハブの加熱手段に対向する部分の少なくとも一部を覆っている。
【0014】
ここでは、上記のように、ファン遮熱部材が羽根車のハブの加熱手段に対向する部分の少なくとも一部を覆うようにしている。このため、ここでは、遠心ファンの羽根車を構成するハブの損傷を防ぐことができる。
【0015】
これにより、ここでは、遠心ファンの羽根車を構成する部分のうちで最も加熱手段に近い位置に配置されるハブの損傷を防ぐことができる。
【0016】
第4の観点にかかる空気調和装置は、第3の観点にかかる空気調和装置において、ファン遮熱部材が、ハブとの間に隙間を空けて配置されている。
【0017】
ここでは、上記のように、ファン遮熱部材をハブとの間に隙間を空けて配置するようにしている。このため、ここでは、加熱手段の輻射熱がファン遮熱部材を通じてハブに伝わりにくくすることができる。
【0018】
これにより、ここでは、遠心ファンの羽根車を構成する部分のうちで最も加熱手段に近い位置に配置されるハブの損傷を確実に防ぐことができる。
【0019】
第5の観点にかかる空気調和装置は、第4の観点にかかる空気調和装置において、ファン遮熱部材とハブとの隙間が、80mm以下である。
【0020】
ここでは、上記のように、ファン遮熱部材をファン風下空間に配置するにあたり、ファン遮熱部材とハブとの隙間を80mm以下にしている。このため、ここでは、通風抵抗を極力増大させることなく、ファン遮熱部材をファン風下空間に配置することができる。
【0021】
これにより、ここでは、遠心ファンの送風性能の低下を極力抑えつつ、ファン遮熱部材をファン風下空間に配置することができる。
【0022】
第6の観点にかかる空気調和装置は、第3〜第5の観点にかかる空気調和装置のいずれかにおいて、ファン風下空間には、ハブに連結されているファンモータが設けられており、ファン遮熱部材は、ハブとファンモータとの間に配置されている。そして、ファン遮熱部材は、回転軸に沿う方向から見た際に、ファンモータと重なる部分の少なくとも一部が切り欠かれている。
【0023】
ここでは、上記のように、ファン遮熱部材及びファンモータをファン風下空間に配置するにあたり、ファン遮熱部材を、羽根車のハブとファンモータとの間に配置し、回転軸に沿う方向から見た際に、ファンモータと重なる部分の少なくとも一部を切り欠くようにしている。このため、ここでは、ファン遮熱部材によって羽根車のハブを覆う部分を小さくすることができる。
【0024】
これにより、ここでは、ファン遮熱部材のサイズを小さくしつつ、加熱手段の輻射熱による羽根車のハブの損傷を防ぐことができる。
【0025】
第7の観点にかかる空気調和装置は、第6の観点にかかる空気調和装置において、ファンモータの加熱手段に対向する部分を覆うモータ遮熱部材がさらに設けられている。
【0026】
ここでは、上記のように、ファンモータをファン風下空間に配置するにあたり、モータ遮熱部材をさらに設けるようにしている。このため、加熱手段の輻射熱によってファンモータが加熱されることを防ぐことができる。
【0027】
これにより、ここでは、加熱手段の輻射熱によってファンモータが異常過熱することを防ぐことができる。
【0028】
第8の観点にかかる空気調和装置は、第7の観点にかかる空気調和装置において、モータ遮熱部材には、羽根車によってファン風下空間に吹き出された空気の一部をファン風下空間のうち吹出口に対向しない部分である吹出口非対向空間からファンモータを通じて吹出口対向空間に案内するためのモータ案内口が形成されている。
【0029】
ここでは、モータ遮熱部材をファン風下空間に配置するにあたり、モータ案内口が形成されるようにしている。このため、ここでは、ファンモータ近傍における空気の流れを確保することができる。
【0030】
これにより、ここでは、遠心ファンの羽根車によって吹き出される空気によるファンモータの冷却を行いつつ、モータ遮熱部材をファン風下空間に配置することができる。
【発明の効果】
【0031】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0032】
第1の観点にかかる空気調和装置では、吹出口近傍に加熱手段を設けるにあたり、遠心ファンの羽根車として樹脂製の羽根車を採用することができる。
【0033】
第2の観点にかかる空気調和装置では、遠心ファンの送風性能の低下を極力抑えつつ、ファン遮熱部材をファン風下空間に配置することができる。
【0034】
第3の観点にかかる空気調和装置では、遠心ファンの羽根車を構成する部分のうちで最も加熱手段に近い位置に配置されるハブの損傷を防ぐことができる。
【0035】
第4の観点にかかる空気調和装置では、遠心ファンの羽根車を構成する部分のうちで最も加熱手段に近い位置に配置されるハブの損傷を確実に防ぐことができる。
【0036】
第5の観点にかかる空気調和装置では、遠心ファンの送風性能の低下を極力抑えつつ、ファン遮熱部材をファン風下空間に配置することができる。
【0037】
第6の観点にかかる空気調和装置では、ファン遮熱部材のサイズを小さくしつつ、加熱手段の輻射熱による羽根車のハブの損傷を防ぐことができる。
【0038】
第7の観点にかかる空気調和装置では、加熱手段の輻射熱によってファンモータが異常過熱することを防ぐことができる。
【0039】
第8の観点にかかる空気調和装置では、遠心ファンの羽根車によって吹き出される空気によるファンモータの冷却を行いつつ、モータ遮熱部材をファン風下空間に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の一実施形態にかかる空気調和装置の外観斜視図(縦置形態)である。
図2】空気調和装置の第1側部を取り外した状態を示す前側面図(縦置形態)である。
図3】空気調和装置の第2側部を取り外した状態を示す後側面図(縦置形態)である。
図4】空気調和装置の第3側部を取り外した右側面図(縦置形態)である。
図5】空気調和装置の第4側部を取り外した左側面図(縦置形態)である。
図6】遠心ファンの羽根車の外観斜視図である。
図7】空気調和装置の外観斜視図(横置形態)である。
図8】空気調和装置の第1側部を取り外した状態を示す右側面図(横置形態)である。
図9図3のファン室付近を拡大した図である。
図10図4のファン室付近を拡大した図である。
図11図9のI−I断面図である。
図12図10のF部を拡大した図である。
図13】ファン遮熱部材のうちファンモータと重なる部分を切り欠いた構成を示す図であって、図11に対応する図である。
図14図9のII−II断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明にかかる空気調和装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。尚、本発明にかかる空気調和装置の具体的な構成は、下記の実施形態及びその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0042】
(1)空気調和装置の基本構成
まず、空気調和装置1の基本構成について、図1図8を用いて説明する。ここで、図1は、本発明の一実施形態にかかる空気調和装置1の外観斜視図(縦置形態)である。図2は、空気調和装置1の第1側部23を取り外した状態を示す前側面図(縦置形態)である。図3は、空気調和装置1の第2側部24を取り外した状態を示す後側面図(縦置形態)である。図4は、空気調和装置1の第3側部25を取り外した右側面図(縦置形態)である。図5は、空気調和装置1の第4側部26を取り外した左側面図(縦置形態)である。図6は、遠心ファンの羽根車の外観斜視図である。図7は、空気調和装置1の外観斜視図(横置形態)である。図8は、空気調和装置1の第1側部23を取り外した状態を示す右側面図(横置形態)である。
【0043】
空気調和装置1は、建物内に設置されて室内の冷房や暖房を行う装置である。空気調和装置1は、ケーシング2と、仕切部材3と、熱交換器4と、遠心ファン5とを有している。ケーシング2には、吸込口11と吹出口12とが形成されている。仕切部材3は、ケーシング2内を吸込口11側の熱交換器室S1と吹出口12側のファン室S2とに仕切っており、熱交換器室S1とファン室S2とを連通するファン入口13が形成されている。熱交換器4は、熱交換器室S1に設けられている。遠心ファン5は、複数の後向き羽根53を有する羽根車51を有しており、回転軸52(その軸線を回転軸線Aとする)がファン入口13の開口方向Bを向いた状態で羽根車51がファン室S2に設けられてファン入口13を通じて熱交換器室S1の空気をファン室S2に吸い込む。
【0044】
また、ここでは、ファン入口13が吹出口12に対向しており、羽根車51の回転軸52(回転軸線A)がファン入口31の開口方向B及び吹出口12の開口方向Cを向いた状態になっている。また、ここでは、吸込口11がファン入口13に対向しており、羽根車51の回転軸52(回転軸線A)がファン入口31の開口方向B、吹出口12の開口方向C及び吸込口11の開口方向Dを向いた状態になっている。
【0045】
また、ここでは、空気調和装置1が、縦置形態及び横置形態という2つの形態を取り得るようになっている。縦置形態は、羽根車51の回転軸52(回転軸線A)が鉛直方向Zを向いた状態でケーシング2が配置される形態である(図1図5参照)。横置形態は、羽根車51の回転軸52(回転軸線A)が水平方向Xを向いた状態でケーシング2が配置される形態である(図7及び図8参照)。
【0046】
ケーシング2は、上記のように、吸込口11と吹出口12とが形成されている。ケーシング2は、主として、上流側部21と、下流側部22と、第1側部23と、第2側部24と、第3側部25と、第4側部26とを有している。これらの側部21〜26によって長尺の直方体形状のケーシング2が形成されている。上流側部21は、縦置形態の場合にケーシング2の底側面を形成し、横置形態の場合にケーシング2の後側面を形成する部材である。下流側部22は、縦置形態の場合にケーシング2の天側面を形成し、横置形態の場合にケーシング2の前側面を形成する部材である。上流側部21及び下流側部22は、ケーシング2の長手方向(回転軸線A及び開口方向B、C、Dに沿う方向)に互いに離間して配置されている。上流側部21には、吸込口11が形成されている。吸込口11は、上流側部21の中央に形成された四角孔形状の開口である。下流側部22には、吹出口12が形成されている。吹出口12は、下流側部22の中央からずらして形成された四角孔形状の開口である。ここでは、吹出口12は、下流側部22の第2側部24側に寄った位置に配置されている。第1側部23は、縦置形態の場合にケーシング2の前側面を形成し、横置形態の場合にケーシング2の右側面を形成する部材である。第2側部24は、縦置形態の場合にケーシング2の後側面を形成し、横置形態の場合にケーシング2の左側面を形成する部材である。第1側部23及び第2側部24は、ケーシング2の長手方向に直交する方向(縦置形態の場合は回転軸線A及び開口方向B、C、Dに直交する水平方向X、横置形態の場合は回転軸線A及び開口方向B、C、Dに直交する左右方向Y)に互いに離間して配置されている。第3側部25は、縦置形態の場合にケーシング2の右側面を形成し、横置形態の場合にケーシング2の天側面を形成する部材である。第4側部26は、縦置形態の場合にケーシング2の左側面を形成し、横置形態の場合にケーシング2の底側面を形成する部材である。第3側部25及び第4側部26は、ケーシング2の長手方向に直交する方向(縦置形態の場合は回転軸線A及び開口方向B、Cに直交する左右方向Y、横置形態の場合は回転軸線A及び開口方向B、C、Dに直交する鉛直方向Z)に互いに離間して配置されている。
【0047】
また、ここでは、上流側部21に吸込口11の外周縁を囲むように複数の突条21aが形成されており、下流側部22に吹出口12の外周縁を囲むように形成された複数の突条22aが形成されている。そして、突条21aを介して吸込ダクト18が接続され、突条22aを介して吹出ダクト19が接続されており、これにより、ここでは、空気調和装置1は、ダクト18、19を通じて空調室との間で空気のやりとりを行うダクト接続型の空気調和装置となっている。尚、ここでは、吸込口11及び吹出口12が四角孔形状であり、ダクト18、19も四角管形状であるが、これに限定されるものではなく、種々の形状を採用してもよい。また、空気調和装置1の型式も、ダクト接続型に限定されるものではなく、吸込口11や吹出口12から直接に空調室との間で空気のやりとりを行う型式等であってもよい。
【0048】
仕切部材3は、上記のように、ケーシング2内を吸込口11側の熱交換器室S1と吹出口12側のファン室S2とに仕切っており、熱交換器室S1とファン室S2とを連通するファン入口13が形成されている。仕切部材3は、主として、ケーシング2の長手方向に直交する方向(回転軸線A及び開口方向B、C、Dに直交する方向)に平行な四角板形状の仕切本体部31を有している。ファン入口13は、仕切本体部31に形成されており、ここでは、円孔形状である。仕切本体部31の周縁辺からは、ケーシング2の側部23〜26の内面に沿ってファン室S2側に向かって延びる四角枠形状の仕切周縁部32が形成されている。
【0049】
熱交換器4は、上記のように、熱交換器室S1に設けられている。熱交換器4は、冷房時に熱交換器室S1を流れる空気を冷媒によって冷却する熱交換器である。また、暖房時には、熱交換器室S1を流れる空気を冷媒によって加熱することもできる。ここでは、熱交換器4として、多数のフィン及び伝熱管からなるフィンチューブ型熱交換器が採用されている。そして、熱交換器4には、建物外に設置された室外ユニットなどから冷媒が供給されるようになっている。熱交換器4は、ケーシング2の第3側部25寄りの部分41と、ケーシング2の第4側部26寄りの部分42とを有している。そして、熱交換器4の第3側部25寄りの部分41は、ファン入口13に近い側から吸込口11に近い側に向かうにつれて、第3側部25に近づくように傾斜して配置されている。熱交換器4の第4側部26寄りの部分42は、ファン入口13に近い側から吸込口11に近い側に向かうにつれて、第4側部26に近づくように傾斜して配置されている。これにより、熱交換器4は、ファン入口13に近い側から吸込口11に近い側に向かうにつれて、ケーシング2の第3側部25側及び第4側部26に近づくV字形状をなしている。尚、熱交換器4の形状は、V字形状に限定されるものではなく、種々の形状を採用してもよい。
【0050】
また、熱交換器室S1には、熱交換器4において発生する結露水を受けるドレンパン43、44が設けられている。第1ドレンパン43は、羽根車51の回転軸52(回転軸線A)が水平方向Xを向いた状態でケーシング2が配置される場合(横置形態)に使用されるドレンパンである。第2ドレンパン44は、羽根車51の回転軸52(回転軸線A)が鉛直方向Zを向いた状態でケーシング2が配置される場合(縦置形態)に使用されるドレンパンである。第1ドレンパン43は、ファン入口13の開口方向Bに沿うケーシング2の側部23〜26の1つである第4側部26に寄った位置に配置されている。これにより、第1ドレンパン43は、横置形態の場合に、ケーシング2の底側面を形成する第4側部26の上側において、熱交換器4の下方を受けるように配置されていることになる。第2ドレンパン44は、ファン入口13の開口方向Bに直交する方向に沿うケーシング2の側部21、22の1つである上流側部21に寄った位置に配置されている。これにより、第2ドレンパン44は、縦置形態の場合に、ケーシング2の底側面を形成する上流側部21の上側において、熱交換器4の下方を受けるように配置されていることになる。そして、ここでは、縦置形態及び横置形態の両方に対応できるが、縦置形態においても、横置形態に使用される第1ドレンパン43が熱交換器室S1に存在し、横置形態においても、縦置形態に使用される第2ドレンパン44が熱交換器室S1に存在することになる。
【0051】
遠心ファン5は、上記のように、複数の後向き羽根53を有する羽根車51を有しており、回転軸52(回転軸線A)がファン入口13の開口方向Bを向いた状態で羽根車51がファン室S2に設けられてファン入口13を通じて熱交換器室S1の空気をファン室S2に吸い込む。また、ファン室S2には、羽根車51を回転駆動するファンモータ59が設けられている。ここで、ファン室S2には、羽根車51の回転軸52(回転軸線A)に沿って、ファン入口13に最も近い側に、羽根車51が配置されており、羽根車51の風下側にファンモータ59が配置されている。また、ファン入口13には、ベルマウス33が設けられている。ここで、ファン室S2の羽根車51の風下側の空間をファン風下空間S21とする。これにより、ファンモータ59は、ファン風下空間S21に配置されていることになる。
【0052】
羽根車51は、ハブ54と、シュラウド55と、ハブ54とシュラウド55との間に配置された複数の後向き羽根53と、を有している。ハブ54は、複数の後向き羽根53の吹出口22側の端部を結ぶとともに回転軸52(回転軸線A)を中心として回転する。ハブ54は、その中央にシュラウド55側に突出するハブ突出部54aを有する円板形状の部材である。ハブ突出部54aは、ファンモータ59に連結されている。シュラウド55は、ハブ54のファン入口13側に対向しており、複数の後向き羽根53のファン入口13側の端部を結ぶとともに回転軸52(回転軸線A)を中心として回転する。シュラウド55には、回転軸52(回転軸線A)を中心として円孔形状のファン開口55aが形成された円環形状の部材である。シュラウド55は、その外径がハブ54に近い側に向かうにつれて大きくなる湾曲形状をなしている。複数の後向き羽根53は、ハブ54とシュラウド55との間に回転軸52(回転軸線A)の周方向に沿って所定の間隔を空けて配置されている。各後向き羽根53は、ハブ54の径方向に対して羽根車51の回転方向R(ここでは、吹出口22側から見た際の時計回り方向)の反対向きに傾斜している羽根である。
【0053】
ベルマウス33は、羽根車51のファン開口55aに対向するように、仕切部材3のファン入口13に設けられており、熱交換器室S1からの空気を羽根車51のファン開口55aに案内する。ベルマウス33は、回転軸52(回転軸線A)を中心とする円環形状の部材である。ベルマウス33は、その外径がシュラウド55に近い側に向かうにつれて大きくなる湾曲形状をなしている。
【0054】
ファンモータ59は、ファン風下空間S21において、羽根車51の回転軸52(回転軸線A)と同軸上になるように配置されている。ファンモータ59は、回転軸52(回転軸線A)を中心とする円柱形状をなしている。ここでは、ファンモータ59は、モータ支持台34を介して仕切部材3に固定されている。具体的には、モータ支持台34は、仕切部材3の仕切周縁部32のケーシング2の第3側部25寄りの部分及び第4側部26寄りの部分からファンモータ59の外周面付近に向かって延びる門形状の支持フレーム35、36を有している。そして、ファンモータ59は、その外周面から第3側部25側及び第4側部26側に向かって延びる端板部59aが、ブラケット37を介して支持フレーム35、36に固定されている。これにより、羽根車51及びファンモータ59を含む遠心ファン5は、モータ支持台34を介して仕切部材3に固定されていることになる。このため、メンテナンス時などにおいては、ケーシング2から仕切部材3を取り外すことによって、遠心ファン5全体を取り外すことができるようになっている。
【0055】
また、ファン室S2のファン風下空間S21は、吹出口12に対向する部分である吹出口対向空間S22を有している。ここでは、吹出口12が下流側部22の第2側部24側に寄った位置に配置されているため、ケーシング2を吹出口12側から見た際に、吹出口12の開口の周縁辺に沿う部分、すなわち、第2側部24、第3側部25の第2側部24寄りの部分、及び、第4側部26の第2側部24寄りの部分によって囲まれる空間が吹出口対向空間S22になっている。そして、ファン風下空間S21のうち吹出口対向空間S22を除く部分は、羽根車51の風下側の位置においてファン入口13に対向している吹出口非対向面部27を設けることによって、この吹出口非対向面部27に対向しているが吹出口12に対向しない吹出口非対向空間S23が形成されている。また、ここでは、吹出口非対向面部27の吹出口12側の端部からファン入口13の開口方向B及び吹出口12の開口方向Cに沿って吹出口12側に延びる吹出口周縁面部28が設けられている。これにより、ここでは、吹出口非対向面部27、吹出口周縁面部28、下流側部22の吹出口12が形成されていない第1側部23寄りの部分、第1側部23、第3側部25、及び、第4側部26によって、空気調和装置1を構成する機器の制御に使用される電装品14が配置される電装品室S3が形成されている。また、吹出口対向空間S22の吹出口12寄りの部分、すなわち、吹出口周縁面部28、第2側部24、第3側部25の第2側部24寄りの部分、及び、第4側部26の第2側部24寄りの部分によって囲まれる空間が、吹出口12と同じ開口サイズを有する吹出通路部S24になっている。
【0056】
また、ここでは、ファン室S2のファン風下空間S21に、遠心ファン5の羽根車51によってファン風下空間S21に吹き出された空気を加熱する電気ヒータ6が設けられている。電気ヒータ6は、暖房時にファン室S2を流れる空気を加熱する加熱手段である。ここでは、電気ヒータ6(加熱手段)として、電熱線をコイル状に形成したヒータエレメントの集合体が採用されている。電気ヒータ6(加熱手段)は、ファン風下空間S21のうち吹出口12に対向する部分である吹出口対向空間S22に配置されている。より具体的には、電気ヒータ6(加熱手段)は、吹出口対向空間S22のうち吹出口12寄りの吹出通路部S24に配置されている。尚、電気ヒータ6(加熱手段)は、電熱線をコイル状に形成したヒータエレメントの集合体に限定されるものではなく、種々の型式のヒータを採用してもよい。
【0057】
(2)空気調和装置の基本動作
次に、空気調和装置1の基本動作について、図1図8を用いて説明する。
【0058】
上記の構成を有する空気調和装置1では、ファンモータ59の駆動によって遠心ファン5の羽根車51が回転する。これにより、吸込口11、熱交換器室S1、ファン入口13、ファン室S2、吹出口12の順にケーシング2内を通過する空気の流れが発生する。
【0059】
そして、冷房時においては、吸込口11を通じてケーシング2内に送られた空気は、熱交換器室S1に流入して、熱交換器4を流れる冷媒によって冷却される。そして、熱交換器4によって冷却された空気は、ファン入口13を通じてファン室S2に流入して、遠心ファン5の羽根車51に吸い込まれる。羽根車51に吸い込まれた空気は、羽根車51の風下側のファン風下空間S21に吹き出される。このファン風下空間S21に吹き出された空気は、吹出口12を通じてケーシング2外に送られる。
【0060】
また、暖房時においては、吸込口11を通じてケーシング2内に送られた空気は、熱交換器室S1に流入して、熱交換器4を流れる冷媒によって加熱される。この熱交換器4によって加熱された空気は、ファン入口13を通じてファン室S2に流入して、遠心ファン5の羽根車51に吸い込まれる。羽根車51に吸い込まれた空気は、羽根車51の風下側のファン風下空間S21に吹き出される。このファン風下空間S21に吹き出された空気は、電気ヒータ6(加熱手段)によってさらに加熱された後に、吹出口12を通じてケーシング2外に送られる。
【0061】
(3)遠心ファンの羽根車として樹脂製の羽根車を採用できるようにするための構成
上記の基本構成を有する空気調和装置1では、軽量化や性能向上を目的として遠心ファン5の羽根車51として樹脂製の羽根車を採用することが考えられる。
【0062】
ここで、空気調和装置1では、ファン入口13が吹出口12に対向するように形成されたファン室S2に回転軸52(回転軸線A)がファン入口13及び吹出口12の開口方向B、Cを向いた状態で後向き羽根53の遠心ファン5が設けられており、吹出口12近傍に電気ヒータ6(加熱手段)が設けられた構成になっている。
【0063】
このため、空気調和装置1において遠心ファン5の羽根車51として樹脂製の羽根車を採用すると、ファンモータ59の故障等によって電気ヒータ6(加熱手段)の運転が継続している状態で遠心ファン5の運転が停止する事象が発生した場合に、遠心ファン5の羽根車51が電気ヒータ6(加熱手段)の輻射熱によって加熱されて、羽根車51が損傷するおそれがある。
【0064】
したがって、空気調和装置1では、吹出口12近傍に電気ヒータ6(加熱手段)を設けるにあたり、遠心ファン5の羽根車51として樹脂製の羽根車を採用できるようにする必要がある。
【0065】
そこで、ここでは、電気ヒータ6(加熱手段)の輻射熱を遮るための工夫を施している。具体的には、ファン風下空間S21には、羽根車51の電気ヒータ6(加熱手段)に対向する部分を覆うファン遮熱部材38が設けられている(図9図12参照)。ここで、ファン遮熱部材38は、羽根車51の回転軸52(回転軸線A)を中心とする円板形状の部材であり、羽根車51の電気ヒータ6(加熱手段)に対向する部分(ここでは、吹出口対向空間S22に位置する部分)だけでなく、吹出口非対向空間S23に位置する部分も覆うように設けられている。また、ここでは、ファン遮熱部材38は、羽根車51のハブ54とファンモータ59との間に配置されており、ファンモータ59とともにモータ支持台34に支持されている。そして、ファン遮熱部材59の中央部には、回転軸52を貫通する孔が形成されている。
【0066】
尚、ここでは、ファン遮熱部材38が円板形状の部材であり、羽根車51の風下側の部分全体を覆っているが、これに限定されるものではない。例えば、ファン遮熱部材38が羽根車51の電気ヒータ6(加熱手段)に対向する部分だけ(すなわち、吹出口対向空間S22に位置する部分だけ)を覆う半円形状の部材であってもよい。
【0067】
このように、ここでは、吹出口対向空間S22に電気ヒータ6(加熱手段)を設けるとともに、ファン風下空間S21に樹脂製の羽根車51の電気ヒータ(加熱手段)に対向する部分を覆うファン遮熱部材38を設けるようにしている。このため、ここでは、電気ヒータ6(加熱手段)の運転が継続している状態で遠心ファン5の運転が停止する事象が発生した場合であっても、電気ヒータ6(加熱手段)の輻射熱によって樹脂製の羽根車51が損傷することを防ぐことができる。
【0068】
これにより、ここでは、吹出口12近傍に電気ヒータ6(加熱手段)を設けるにあたり、遠心ファン5の羽根車51として樹脂製の羽根車を採用することができる。
【0069】
また、ここでは、ファン遮熱部材38が、回転軸52(回転軸線A)に沿う方向から見た際に、羽根車51の外径φ1以下のサイズを有している(図10参照)。ここで、円板形状のファン遮熱部材38を採用する場合には、その外径φ2を羽根車51の外径φ1以下にする。そして、遮熱性能を損なわないようにするために、ファン遮熱部材38の外径φ2を羽根車51のハブ54の外径φ1と同じにしている。そして、ここでは、ファン遮熱部材38は、ハブ54の電気ヒータ6(加熱手段)に対向する部分を覆っている。
【0070】
このように、ここでは、ファン遮熱部材38をファン風下空間S21に配置するにあたり、回転軸52(回転軸線A)に沿う方向から見た際に、ファン遮熱部材38を羽根車51の外径φ1以下のサイズにしている。このため、ここでは、通風抵抗を極力増大させることなく、ファン遮熱部材38をファン風下空間S21に配置することができる。
【0071】
これにより、ここでは、遠心ファン5の送風性能の低下を極力抑えつつ、ファン遮熱部材38をファン風下空間S21に配置することができる。また、ここでは、遠心ファン5の羽根車51を構成する部分のうちで最も電気ヒータ6(加熱手段)に近い位置に配置されるハブ54の損傷を防ぐことができる。
【0072】
また、ここでは、ファン遮熱部材38は、回転軸52(回転軸線A)に沿う方向から見た際に、ファンモータ59と重なる部分の少なくとも一部が切り欠かれていてもよい(図13参照)。すなわち、ファン遮熱部材38に図11のような回転軸52を貫通する孔を形成するだけではなく、ファン遮熱部材38と電気ヒータ6(加熱手段)との間にファンモータ59が配置されることを考慮して、ファン遮熱部材38のファンモータ59に対向する部分の全体やその一部が切り欠かれていてもよい。
【0073】
このように、ここでは、ファン遮熱部材38及びファンモータ59をファン風下空間S21に配置するにあたり、ファン遮熱部材38を、羽根車51のハブ54とファンモータ59との間に配置し、回転軸52(回転軸線A)に沿う方向から見た際に、ファンモータ59と重なる部分の少なくとも一部を切り欠くようにしている。このため、ここでは、ファン遮熱部材38によって羽根車51のハブ54を覆う部分を小さくすることができる。
【0074】
これにより、ここでは、ファン遮熱部材38のサイズを小さくしつつ、電気ヒータ6(加熱手段)の輻射熱による羽根車51のハブ54の損傷を防ぐことができる。
【0075】
また、ここでは、ファン遮熱部材38が、ハブ54との間に隙間Lを空けて配置されている(図9図10及び図12参照)。すなわち、ファン遮熱部材38がハブ54の風下側に隙間Lを空けて配置されている。そして、ここでは、ファン遮熱部材38とハブ54との隙間Lは、80mm以下である。
【0076】
このように、ここでは、ファン遮熱部材38をファン風下空間S21に配置するにあたり、ファン遮熱部材38をハブ54との間に隙間Lを空けて配置するようにしている。このため、ここでは、電気ヒータ6(加熱手段)の輻射熱がファン遮熱部材38を通じてハブ54に伝わりにくくすることができる。しかも、ここでは、ファン遮熱部材38とハブ54との隙間Lを80mm以下にしている。このため、ここでは、通風抵抗を極力増大させることなく、ファン遮熱部材38をファン風下空間S21に配置することができる。
【0077】
これにより、ここでは、遠心ファン5の羽根車51を構成する部分のうちで最も電気ヒータ6(加熱手段)に近い位置に配置されるハブ54の損傷を確実に防ぐことができ、しかも、遠心ファン5の送風性能の低下を極力抑えることができる。
【0078】
また、ここでは、ファンモータ59の電気ヒータ6(加熱手段)に対向する部分を覆うモータ遮熱部37a(モータ遮熱部材)がさらに設けられている(図9図10及び図14参照)。ここでは、ファンモータ59を支持するモータ支持台34を構成する部材の一つであるブラケット37の一部がモータ遮熱部37a(モータ遮熱部材)となっている。すなわち、ブラケット37のファンモータ59を覆う部分がモータ遮熱部37a(モータ遮熱部材)を構成している。
【0079】
このように、ここでは、ファンモータ59をファン風下空間S21に配置するにあたり、モータ遮熱部37a(モータ遮熱部材)をさらに設けるようにしている。このため、電気ヒータ6(加熱手段)の輻射熱によってファンモータ59が加熱されることを防ぐことができる。
【0080】
これにより、ここでは、電気ヒータ6(加熱手段)の輻射熱によってファンモータ59が異常過熱することを防ぐことができる。
【0081】
しかも、ここでは、モータ遮熱部37a(モータ遮熱部材)には、羽根車51によってファン風下空間S21に吹き出された空気の一部をファン風下空間S21のうち吹出口12に対向しない部分である吹出口非対向空間S23からファンモータ59を通じて吹出口対向空間S22に案内するためのモータ案内口37aが形成されている(図9図10及び図14参照)。ここでは、モータ遮熱部37a(モータ遮熱部材)が、ファンモータ59の第1側部23側の部分(吹出口12から遠い部分)及び第2側部24側の部分(吹出口12に近い部分)を覆わない形状を有しており、これにより、モータ遮熱部37a(モータ遮熱部材)には、第1側部23側から第2側部24側に向かって空気が流れる開口からなるモータ案内口37aが形成されている。
【0082】
このように、ここでは、モータ遮熱部37a(モータ遮熱部材)をファン風下空間S21に配置するにあたり、モータ案内口37bが形成されるようにしている。このため、ここでは、ファンモータ59近傍における空気の流れを確保することができる。
【0083】
これにより、ここでは、遠心ファン5の羽根車51によって吹き出される空気によるファンモータ59の冷却を行いつつ、モータ遮熱部37a(モータ遮熱部材)をファン風下空間S21に配置することができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、ファン入口が吹出口に対向するように形成されたファン室に回転軸がファン入口及び吹出口の開口方向を向いた状態で後向き羽根の遠心ファンが設けられた空気調和装置に対して、広く適用可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 空気調和装置
2 ケーシング
3 仕切部材
4 熱交換器
5 遠心ファン
6 電気ヒータ(加熱手段)
11 吸込口
12 吹出口
13 ファン入口
37a モータ遮熱部(モータ遮熱部材)
37b モータ案内口
38 ファン遮熱部材
51 羽根車
52 回転軸
53 後向き羽根
54 ハブ
59 ファンモータ
S1 熱交換器室
S2 ファン室
S21 ファン風下空間
S22 吹出口対向空間
S23 吹出口非対向空間
【先行技術文献】
【特許文献】
【0086】
【特許文献1】特開平6−281194号公報
【特許文献2】特開2009−198141号公報
図1
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図10
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