【解決手段】視感度最高色である第一色のサブ画素と第二色のサブ画素と視感度最低色である第三色のサブ画素とを内包する矩形状の画素が2次元に配列された画素アレイにおいて、第一色のサブ画素及び第二色のサブ画素は第1の方向に配列され、第三色のサブ画素は、第一色のサブ画素及び第二色のサブ画素に対して第1の方向に直交する第2の方向に配置され、第三色のサブ画素は第一色のサブ画素及び第二色のサブ画素よりも面積が大きく、第一色のサブ画素の重心は、第二色のサブ画素の重心よりも画素の重心に近い、及び/又は、第三色のサブ画素を画素の重心を通り第2の方向に延在する線で分割した場合に、第2の方向に関して、第二色のサブ画素側の重心は第一色のサブ画素側の重心よりも画素の重心に近い構造とする。
前記第一色のサブ画素は、矩形形状に対して前記画素の重心から遠い角の部分を凹ませた形状である、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の画素アレイ。
前記第一色のサブ画素と前記第二色のサブ画素は同じ形状であり、前記第一色のサブ画素は、前記第二色のサブ画素と比較して、前記第三色のサブ画素との距離が近い、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の画素アレイ。
有機エレクトロルミネッセンス素子からなる請求項1乃至7のいずれか一に記載の画素アレイと、前記画素アレイを駆動する回路部と、がフレキシブル基板上に形成された有機エレクトロルミネッセンス装置を表示装置として備える、ことを特徴とする電気機器。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る有機EL表示装置の平面図である。
【
図2】本発明の一実施の形態に係る有機EL表示装置の画素(サブ画素3つ分)の構成を模式的に示す平面図である。
【
図3】本発明の一実施の形態に係る有機EL表示装置の画素(サブ画素1つ分)の構成を模式的に示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施の形態に係る有機EL表示装置の画素の主要回路構成図である。
【
図5】本発明の一実施の形態に係る有機EL表示装置の画素の波形図である。
【
図6】本発明の一実施の形態に係る有機EL表示装置の駆動TFTの出力特性図である。
【
図7】従来のSストライプの画素配列構造を示す平面図である。
【
図8】従来のSストライプの画素配列構造におけるサブ画素の位置関係を示す平面図である。
【
図9】従来のSストライプの画素配列構造の視感度分布図である。
【
図10】本発明の一実施の形態に係るSストライプ(パターン1)の画素配列構造を示す平面図である。
【
図11】本発明の一実施の形態に係るSストライプ(パターン1)の画素配列構造におけるサブ画素の位置関係を示す平面図である。
【
図12】本発明の一実施の形態に係るSストライプ(パターン1)の画素配列構造の視感度分布図である。
【
図13】本発明の一実施の形態に係るSストライプ(パターン2)の画素配列構造を示す平面図である。
【
図14】本発明の一実施の形態に係るSストライプ(パターン2)の画素配列構造におけるサブ画素の位置関係を示す平面図である。
【
図15】本発明の一実施の形態に係るSストライプ(パターン2)の画素配列構造の視感度分布図である。
【
図16】本発明の一実施の形態に係るSストライプ(パターン3)の画素配列構造を示す平面図である。
【
図17】本発明の一実施の形態に係るSストライプ(パターン3)の画素配列構造におけるサブ画素の位置関係を示す平面図である。
【
図18】本発明の一実施の形態に係るSストライプ(パターン3)の画素配列構造の視感度分布図である。
【
図19】本発明の一実施の形態に係るSストライプ(パターン4)の画素配列構造を示す平面図である。
【
図20】本発明の一実施の形態に係るSストライプ(パターン4)の画素配列構造におけるサブ画素の位置関係を示す平面図である。
【
図21】本発明の一実施の形態に係るSストライプ(パターン4)の画素配列構造の視感度分布図である。
【
図22】本発明の一実施の形態に係るSストライプ(パターン5)の画素配列構造を示す平面図である。
【
図23】本発明の一実施の形態に係るSストライプ(パターン5)の画素配列構造におけるサブ画素の位置関係を示す平面図である。
【
図24】本発明の一実施の形態に係るSストライプ(パターン5)の画素配列構造の視感度分布図である。
【
図25】本発明の第1の実施例に係る有機EL表示装置の製造工程(第1工程)を説明する平面図である。
【
図26】本発明の第1の実施例に係る有機EL表示装置の製造工程(第1工程)を説明する断面図である。
【
図27】本発明の第1の実施例に係る有機EL表示装置の製造工程(第2工程)を説明する平面図である。
【
図28】本発明の第1の実施例に係る有機EL表示装置の製造工程(第2工程)を説明する断面図である。
【
図29】本発明の第1の実施例に係る有機EL表示装置の製造工程(第3工程)を説明する平面図である。
【
図30】本発明の第1の実施例に係る有機EL表示装置の製造工程(第3工程)を説明する断面図である。
【
図31】本発明の第1の実施例に係る有機EL表示装置の製造工程(第4工程)を説明する平面図である。
【
図32】本発明の第1の実施例に係る有機EL表示装置の製造工程(第4工程)を説明する断面図である。
【
図33】本発明の第2の実施例に係る有機EL表示装置の応用例を示す模式図である。
【
図34】本発明の第2の実施例に係る有機EL表示装置の応用例を示す模式図である。
【
図35】本発明の第2の実施例に係る有機EL表示装置の応用例を示す模式図である。
【
図36】本発明の第2の実施例に係る有機EL表示装置の応用例を示す模式図である。
【
図37】本発明の第3の実施例に係る有機EL表示装置の構造を模式的に示す断面図である。
【
図38】本発明の第3の実施例に係る有機EL表示装置の応用例を示す模式図である。
【
図39】本発明の第3の実施例に係る有機EL表示装置の他の応用例を示す模式図である。
【
図40】本発明の第3の実施例に係る有機EL表示装置の他の応用例を示す模式図である。
【
図41】従来の有機EL表示装置の画素配列構造(RGB縦ストライプ方式)を模式的に示す平面図である。
【
図42】従来の有機EL表示装置の画素配列構造(ペンタイル方式)を模式的に示す平面図である。
【
図43】従来の有機EL表示装置の画素配列構造(Sストライプ方式)を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
RGB縦ストライプ方式の画素は、例えば、
図41に示すように、RGB3色の縦長のサブ画素が横に並んで配置されるが、有機EL表示装置の高精細化に伴い、FMMを用いてRGB3色の有機材を個別に塗り分けるのが困難になってきている。この課題に対して、
図42に示すような、GRのサブ画素、及び、GBのサブ画素のそれぞれで1画素を構成するペンタイル方式が提案されている。このペンタイル方式では、RとBのサブ画素の幅をRGB縦ストライプ方式の2倍にすることができるため、高精細化な構造でもFMMによる塗り分けが可能になるという利点がある。しかしながら、ペンタイル方式は、ソフトウェア処理によってサブ画素数の減少による色の破綻を緩和し、人間の眼には問題のない程度の表示を行うようにするものであるため、画像の縁のギザギザが目立つジャギーが発生したり、色の変化がライン状に見えたりするなどの不具合が発生する。
【0018】
このような背景から、
図43に示すように、RとGを同じ列に並べて配置し、RとGの次の列かつR及びGの行にBを配置したSストライプ方式が提案されている。このSストライプ方式では、RGB縦ストライプ方式よりもサブ画素の幅を広くすることができるため、FMMの開口サイズを大きくすることができ、また、1画素内にRGBのサブ画素が配置されるため、ペンタイル方式よりも表示品質を向上させることができる。
【0019】
しかしながら、上述したペンタイル方式及びSストライプ方式共に、視感度が最も高いGのサブ画素が画素の端に配置されてしまうため、画素内での視感度の偏りが大きくなり、その結果、画像の縁が色付いて見えるカラーエッジが発生する。特に、Sストライプ方式では、Gのサブ画素を通過しない画素の対角線に対してGのサブ画素が画素の中心から最も遠い位置に配置されるため、視感度の偏りが顕著になり、カラーエッジの発生による表示品質の低下が大きな問題になる。
【0020】
そこで、本発明の一実施の形態では、リアル解像度でFMMの開口率を最大化できるSストライプ方式の画素配列構造において、サブ画素の配置や形状を工夫することで、等価的にGのサブ画素を画素の中央寄りに配置し、結果として視感度の偏りを抑制してカラーエッジを抑制する。例えば、Gのサブ画素の内、画素の重心から遠い位置を凹ませたり、Bのサブ画素の内、画素の重心から遠い位置を凹ませたりする。これにより、縦ラインや横ライン、Gのサブ画素を通過しない対角方向のラインに対して、Gのサブ画素の視感度のピークとBのサブ画素の視感度のピークとが近づき、画素内の視感度の分布の偏りを緩和することができ、カラーエッジの発生を抑制することができる。また、どの角度のラインであっても混色が良好となり、微細パターンの色認識性を向上させることができる。
【0021】
以下、図面を参照して詳細に説明する。なお、電気光学素子とは、電気的作用により光の光学的状態を変化させる電子素子一般をいい、有機EL素子などの自発光素子の他に、液晶素子のように光の偏向状態を変化させることで階調表示する電子素子を含む。また、電気光学装置とは、電気光学素子を利用して表示を行う表示装置である。本発明では有機EL素子が好適であり、有機EL素子を用いることで、電流駆動により自発光する電流駆動型発光素子を得ることができることから、以下では有機EL素子を前提にして説明する。
【0022】
図1は、本発明の電気光学装置の一例としての有機EL表示装置を示している。この有機EL表示装置は、大別して、発光素子が形成されるTFT(Thin Film Transistor)基板100と、発光素子を封止する封止ガラス基板200と、TFT基板100と封止ガラス基板200とを接合する接合手段(ガラスフリットシール部)300などで構成される。また、TFT基板100の表示領域外側のカソード電極形成領域114aの周囲に、TFT基板100の走査線を駆動する走査ドライバ131、各画素の発光期間を制御するエミッション制御ドライバ132、静電気放電による破損を防ぐデータ線ESD(Electro-Static-Discharge)保護回路133、高転送レートのストリームを本来の低転送レートの複数のストリームに戻すデマルチプレクサ(1:n DeMUX134)、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)を用いて実装される、データ線を駆動するデータドライバIC135などが配置され、FPC(Flexible Printed Circuit)136を介して外部の機器と接続される。なお、
図1は、本実施形態の有機EL表示装置の一例であり、その形状や構成は適宜変更可能である。
【0023】
図2は、TFT基板100上に形成される発光素子の一画素(3つのサブ画素)に着目した平面図であり、この画素がデータ線の延在方向及び走査線(ゲート電極)の延在方向に繰り返し形成される。また、
図3は、1つのサブ画素に着目した断面図である。なお、
図3では、本実施形態のサブ画素の構造を分かりやすくするために、
図2の平面図の中のTFT部108b(M2駆動TFT)と保持容量部109の領域を抜き出し、簡略化して記載している。
【0024】
TFT基板100は、ガラス基板101上に下地絶縁膜102を介して形成された低温ポリシリコン(LTPS:Low-temperature poly silicon)等からなるポリシリコン層103と、ゲート絶縁膜104を介して形成された第1金属層105(ゲート電極105a及び保持容量電極105b)と、層間絶縁膜106に形成された開口を介してポリシリコン層103に接続される第2金属層107(データ線107a、電力供給線107b、ソース/ドレイン電極、第1コンタクト部107c)と、平坦化膜110を介して形成される発光素子116(アノード電極111、有機EL層113、カソード電極114及びキャップ層115)とで構成される。
【0025】
上記発光素子116と封止ガラス基板200との間に乾燥空気が封入され、ガラスフリットシール部300により封止され、有機EL表示装置が形成される。この発光素子116はトップエミッション構造であり、発光素子116と封止ガラス基板200とは所定の間隔に設定されると共に、封止ガラス基板200の光出射面側にλ/4位相差板201と偏光板202とが形成され、外部から入射した光の反射が抑制されるようになっている。
【0026】
図2において、一画素は、対向するデータ線107aと電力供給線107bとで挟まれた3つの領域で構成され、各々の領域に、スイッチTFT108a、駆動TFT108b及び保持容量部109が配置される。ここで、RGB縦ストライプ方式の画素配列構造の場合、アノード電極111が上記の3つの領域に分かれて形成され、各々の領域のスイッチTFT108a、駆動TFT108b及び保持容量部109を用いて、その領域に形成された発光素子116を駆動することになるが、本実施例では、RGB縦ストライプ方式と同様の構造でSストライプの画素配列構造を実現するために、Rのサブ画素及びGのサブ画素のアノード電極111を2つの領域を跨ぐように形成する。
【0027】
具体的には、視感度最低色であるBのサブ画素に関しては、アノード電極111(
図2の太い実線)は主にBのデータ線107a及びBの電力供給線107bに沿って縦長に形成されるため、発光素子116は図の右側のB発光領域119(
図2の太い破線)で発光する。一方、Rのサブ画素に関しては、アノード電極111がRのデータ線107aからGの電力供給線107bに渡る領域の上半分で矩形状に形成されるため、発光素子116は図の左上のR発光領域117で発光する。また、視感度最高色であるGのサブ画素に関しては、アノード電極111がRのデータ線107aからGの電力供給線107bに渡る領域の下半分で矩形状に形成されるため、発光素子116は図の左下のG発光領域118で発光する。なお、本明細書及び請求の範囲における視感度最高色及び視感度最低色とは、相対的な意味であり、1画素の中で含まれる複数のサブ画素同士間で比較する場合の「最高」/「最低」を指す。
【0028】
すなわち、各色のサブ画素は、その色のデータ線107a及び電力供給線107bで囲まれる領域に形成されるスイッチTFT108a、駆動TFT108b及び保持容量部109を用いて駆動されるが、RとGのサブ画素のアノード電極111は、Rのデータ線107a及び電力供給線107bで囲まれる領域と、Gのデータ線107a及び電力供給線107bで囲まれる領域とを跨ぐように上下に分けて形成するため、アノード電極111と駆動TFT108bのソース/ドレイン電極とを繋ぐ第2コンタクト部111aは図のような配置となる。また、スイッチTFT108aはデータ線107aからのクロストークを抑えるため、図のようなデュアルゲート構造とし、電圧を電流に変換する駆動TFT108bは製造プロセスのばらつきを最小限に抑えるため図のような引き回し形状とすることで十分なチャネル長を確保している。またこの駆動TFTのゲート電極を延長して保持容量部109の電極としても使うことで、限られた面積で十分な保持容量を確保することができる。このような画素構造とすることにより、RGB各色の発光領域を大きくできるため、必要輝度を得るための各色の単位面積あたりの電流密度を下げることができ、発光素子の長寿命化が可能となる。
【0029】
なお、
図3では、発光素子116の各放射光が、封止ガラス基板200を介して外部に放射されるトップエミッション構造を示したが、ガラス基板101を介して外部に放射されるボトムエミッション構造とすることもできる。
【0030】
次に、各サブ画素の駆動方法について
図4乃至
図6を参照して説明する。
図4はサブ画素の主要回路構成図であり、
図5は波形図、
図6は駆動TFTの出力特性図である。各サブ画素は、M1スイッチTFTと、M2駆動TFTと、C1保持容量と、発光素子(OLED)とを備えて構成されており、2トランジスタ方式により駆動制御される。M1スイッチTFTはpチャネル型FET(Field Effect Transistor)であり、そのゲート端子には走査線(Scan)が接続され、ドレイン端子にはデータ線(Vdata)が接続されている。M2駆動TFTはpチャネル型FETであり、そのゲート端子はM1スイッチTFTのソース端子に接続されている。また、M2駆動TFTのソース端子は電力供給線(VDD)に接続されており、ドレイン端子は発光素子(OLED)に接続されている。さらに、M2駆動TFTのゲート/ソース間にはC1保持容量が形成されている。
【0031】
上記の構成において、走査線(Scan)に選択パルスを出力し、M1スイッチTFTを開状態にすると、データ線(Vdata)を介して供給されたデータ信号は電圧値としてC1保持容量に書き込まれる。C1保持容量に書き込まれた保持電圧は1フレーム期間を通じて保持され、当該保持電圧によって、M2駆動TFTのコンダクタンスがアナログ的に変化し、発光諧調に対応した順バイアス電流を発光素子(OLED)に供給する。
【0032】
このように、発光素子(OLED)を定電流で駆動することにより、発光素子(OLED)の劣化によって抵抗が変化しても発光輝度を一定に保つことができるため、本実施形態の有機EL表示装置の駆動方法として好適である。
【0033】
次に、上記構造の有機EL表示装置の画素配列構造について説明する。まず、本発明の理解を容易にするために、従来のSストライプの画素配列構造について
図7乃至
図9を参照して説明する。
図7は、従来のSストライプの画素(上下に隣り合う2画素)におけるRGBのサブ画素の配置を模式的に示す平面図である。
図8は、各画素の重心位置と視感度最高色であるGサブ画素及び視感度最低色であるBサブ画素の重心位置を示す平面図である。
図9は、
図8におけるY方向(
図8の上から下に向かう方向)及びX方向(
図8の左から右に向かう方向)のRGB各サブ画素の視感度とそれらを合計した視感度の分布図である。上記視感度とは、人間の目が最も強く感じる周波数の光を1とした場合の、他の波長の明るさを感じる度合いを比率で表現したものである。
【0034】
なお、
図7乃至
図24では、各画素の左上側にRサブ画素を配置し、左下側に視感度最高色であるGサブ画素を配置し、右側に視感度最低色であるBサブ画素を配置しているが、視感度最低色のサブ画素の面積が最も大きく、当該サブ画素が矩形状の画素の4隅の内の隣り合う2隅近傍に配置され、視感度最高色のサブ画素が、画素の4隅の内の他の2隅の一方の近傍に配置され、視感度最高色及び視感度最低色以外の色のサブ画素が、画素の4隅の内の他の2隅の他方の近傍に配置されていればよく、本発明の画素配列構造における各サブ画素の形状やサブ画素間の間隔、各サブ画素と画素の周囲との間隔などは図の構成に限定されず、製造上の精度や有機EL表示装置に求められる表示性能を勘案して適宜変更可能である。
【0035】
また、
図8、11、14、17、20、23における各画素の境界線(破線)は、TFT基板100の構成部材によって規定されるものではなく、サブ画素の組を繰り返し配置した場合における隣り合うサブ画素の組との関係で規定されるものであり、必ずしも矩形である必要はないが、ここでは矩形としている。ただし、本明細書及び請求の範囲における画素の重心は、この矩形の重心ではなく、第一色のサブ画素(Gサブ画素)と第二色のサブ画素(Rサブ画素)と第三色サブ画素(Bサブ画素)とを囲む最小矩形(図の太線)の重心(すなわち、この最小矩形の2つの対角線が交差する位置)である。
【0036】
図7に示すようなSストライプの画素配列構造におけるY方向の視感度分布は、
図9の左側に示すように、Bサブ画素の視感度のピーク位置が画素重心に一致し、Rサブ画素の視感度のピーク位置とGサブ画素の視感度のピーク位置とが画素重心に対してほぼ対称な位置になる。また、X方向の視感度分布は、
図9の右側に示すように、Rサブ画素の視感度のピーク位置とGサブ画素の視感度のピーク位置とが一致し、このピーク位置とBサブ画素の視感度のピーク位置とが画素重心に対してほぼ対称な位置になる。
【0037】
図10乃至
図12は、本発明の画素配列構造の一例(パターン1)である。パターン1は、視感度最高色であるGサブ画素の内の画素重心から遠い部分(図の左下部分)を凹ませた(角を削った)ことを特徴とするものである。
【0038】
図10に示すようなSストライプの画素配列構造では、
図11に示すように、Gサブ画素の重心(図の十字印)が従来のSストライプのGサブ画素の重心に対して、図の右上方向(すなわち、画素重心に近づく方向)に移動している。この画素配列構造の場合、Y方向の視感度分布は、
図12の左側に示すように、Gサブ画素の視感度のピーク位置(図の短い破線)が、従来のSストライプのGサブ画素の重心に対して画素重心側に移動している。また、X方向の視感度分布は、
図12の右側に示すように、Gサブ画素の視感度のピーク位置が、従来のSストライプのRGサブ画素の重心に対して画素重心側に移動している。すなわち、視感度最高色であるGサブ画素の視感度のピーク位置が画素重心に近づくことにより、視感度最低色であるBサブ画素の視感度のピーク位置との間隔が小さくなり、X方向、Y方向、及び、Gサブ画素を通過しない画素の対角線(図の左上から右下に向かう対角線)の延在方向における、カラーエッジの発生を抑制することができる。
【0039】
図13乃至
図15は、本発明の画素配列構造の他の例(パターン2)である。パターン2は、視感度最高色であるGサブ画素のX方向における画素重心から遠い部分(図の左部分を凹ませた(単なる移動ではなく、面積を減少させた)ことを特徴とするものである。
【0040】
図13に示すようなSストライプの画素配列構造では、
図14に示すように、Gサブ画素の重心が従来のSストライプのGサブ画素の重心に対して、図の右方向(すなわち、画素重心に近づく方向)に移動している。この画素配列構造の場合、Y方向の視感度分布に関しては、
図15の左側に示すように、Gサブ画素の視感度のピーク位置は変わらないが、Gサブ画素の視感度が相対的に低下することにより、RGBのサブ画素の視感度を合計した分布(図の太い実線)の一番大きいピークが画素重心側にわずかに移動している。また、X方向の視感度分布は、
図15の右側に示すように、Gサブ画素のピーク位置が、従来のSストライプのRGサブ画素の重心に対して画素重心側に大きく移動している。この構造でも、視感度最高色であるGサブ画素の視感度のピーク位置と視感度最低色であるBサブ画素の視感度のピーク位置との間隔が小さくなり、X方向、Y方向、及び、Gサブ画素を通過しない画素の対角線の延在方向における、カラーエッジの発生を抑制することができる。
【0041】
図16乃至
図18は、本発明の画素配列構造の他の例(パターン3)である。パターン3は、視感度最低色であるBサブ画素の画素重心から遠い部分(図の右上部分)を凹ませた(角を削った)ことを特徴とするものである。
【0042】
図16に示すようなSストライプの画素配列構造では、
図17に示すように、Bサブ画素の重心が従来のSストライプのBサブ画素の重心に対して、図の左下方向(すなわち、画素重心に近づく方向)に移動している。この画素配列構造の場合、Y方向の視感度分布は、
図18の左側に示すように、Bサブ画素の視感度のピーク位置(図の短い破線)が、従来のSストライプよりもGサブ画素の重心側に移動している。また、X方向の視感度分布は、
図18の右側に示すように、Bサブ画素のピーク位置が、従来のSストライプのBサブ画素の重心に対して画素重心側に移動している。この構造でも、視感度最高色であるGサブ画素の視感度のピーク位置と視感度最低色であるBサブ画素の視感度のピーク位置との間隔が小さくなり、X方向、Y方向、及び、Gサブ画素を通過しない画素の対角線の延在方向における、カラーエッジの発生を抑制することができる。
【0043】
図19乃至
図21は、本発明の画素配列構造の他の例(パターン4)である。パターン4は、パターン1と同様に、視感度最高色であるGサブ画素の画素重心から遠い部分(図の左下部分)を凹ませ、かつ、パターン3と同様に、視感度最低色であるBサブ画素の画素重心から遠い部分(図の右上部分)を凹ませたことを特徴とするものである。
【0044】
図19に示すようなSストライプの画素配列構造では、
図20に示すように、Gサブ画素の重心が従来のSストライプのGサブ画素の重心に対して、図の右上方向(すなわち、画素重心に近づく方向)に移動し、かつ、Bサブ画素の重心が従来のSストライプのBサブ画素の重心に対して、図の左下方向(すなわち、画素重心に近づく方向)に移動している。この画素配列構造の場合、Y方向の視感度分布は、
図21の左側に示すように、Gサブ画素の視感度のピーク位置が、従来のSストライプのGサブ画素の重心に対して画素重心側に移動すると共に、Bサブ画素の視感度のピーク位置が、従来のSストライプよりもGサブ画素の重心側に移動している。また、X方向の視感度分布は、
図21の右側に示すように、Gサブ画素の視感度のピーク位置が、従来のSストライプのRGサブ画素の重心に対して画素重心側に移動すると共に、Bサブ画素の視感度のピーク位置が、従来のSストライプのBサブ画素の重心に対して画素重心側に移動している。この構造でも、視感度最高色であるGサブ画素の視感度のピーク位置と視感度最低色であるBサブ画素の視感度のピーク位置との間隔が小さくなり、X方向、Y方向、及び、Gサブ画素を通過しない画素の対角線の延在方向における、カラーエッジの発生を抑制することができる。
【0045】
図22乃至
図24は、本発明の画素配列構造の他の例(パターン5)である。パターン5は、視感度最高色であるGサブ画素のX方向における画素重心から遠い部分(図の左部分)を凹ませ(単なる移動ではなく、面積を減少させ)、かつ、視感度最高色及び視感度最低色以外の色であるRサブ画素のX方向における画素重心に近い部分(図の右部分)を凹ませた(単なる移動ではなく、Gサブ画素と同じ量だけ面積を減少させた)ことを特徴とするものである。
【0046】
図22に示すようなSストライプの画素配列構造では、
図23に示すように、Gサブ画素の重心が従来のSストライプのGサブ画素の重心に対して、図の右方向(すなわち、画素重心に近づく方向)に移動し、かつ、Rサブ画素の重心が従来のSストライプのRサブ画素の重心に対して、図の左方向(すなわち、画素重心から遠くなる方向)に移動している。この画素配列構造の場合、Y方向の視感度分布に関しては、
図24の左側に示すように、Gサブ画素及びRサブ画素の視感度のピーク位置は変わらないが、Gサブ画素及びRサブ画素の視感度が同様に低下することにより、色バランスを保持している。また、X方向の視感度分布は、
図24の右側に示すように、Gサブ画素の視感度のピーク位置が、従来のSストライプのRGサブ画素の重心に対して画素重心側に大きく移動している。この構造でも、視感度最高色であるGサブ画素の視感度のピーク位置と視感度最低色であるBサブ画素の視感度のピーク位置との間隔が小さくなり、かつ、Gサブ画素の面積の減少による色バランスの崩れが抑制されるため、X方向、Y方向、及び、Gサブ画素を通過しない画素の対角線の延在方向における、カラーエッジの発生を抑制することができる。
【0047】
なお、本発明は、視感度最高色であるGサブ画素及び/又は視感度最低色であるBサブ画素の形状が変化又は面積が減少することによって、Gサブ画素の視感度のピーク位置とBサブ画素の視感度のピーク位置との間隔が小さくなるような任意のパターンを採用することができる。また、パターン1乃至パターン5を任意に組み合わせることも可能である。
【実施例1】
【0048】
次に、本発明の第1の実施例に係る画素アレイ及び電気光学装置について、
図25乃至
図32を参照して説明する。
【0049】
前記した実施形態では、本発明の電気光学装置(有機EL表示装置)の画素配列構造に着目して説明したが、本実施例では、この画素配列構造の画素アレイを備えた有機EL表示装置の製造方法について説明する。なお、
図25、27、29、31は
図19のパターン4と同様の画素配列構造の一画素の平面図であり、
図26、28、30、32は一つのサブ画素に着目したTFT部、保持容量部及び発光素子の断面図である。
【0050】
まず、
図25及び
図26に示すように、ガラス等の透光性の基板(ガラス基板101)上にCVD(Chemical Vapor Deposition)法等によって、例えばシリコン窒化膜等を堆積して下地絶縁膜102を形成する。次に、公知の低温ポリシリコンTFT製造技術を用いて、TFT部及び保持容量部を形成する。具体的には、CVD法等によってアモルファスシリコンを堆積し、ELA(Excimer Laser Annealing)により結晶化してポリシリコン層103を形成する。その際、電圧電流変換増幅器として用いるM2駆動TFTのチャネル長を十分長く確保して出力電流のばらつきを抑え、M1スイッチTFTのソースとデータ線107aとの接続、M1スイッチTFTのドレインとC1保持容量との接続、C1保持容量と電力供給線107bとの接続、M2駆動TFTのソースと電力供給線107bとの接続、M2駆動TFTのドレインと各サブ画素のアノード電極111との接続を可能にするために、図のようにポリシリコン層103を引き回している。
【0051】
次に、
図27及び
図28に示すように、ポリシリコン層103上にCVD法等によって、例えばシリコン酸化膜等を堆積してゲート絶縁膜104を形成し、更に、スパッタ法等により第1金属層105としてMo(モリブデン)やNb(ニオブ)、W(タングステン)との合金等を堆積してゲート電極105a及び保持容量電極105bを形成する。なお、例えばMo、W、Nb、MoW、MoNb、Al、Nd、Ti、Cu、Cu合金、Al合金、Ag、Ag合金などからなる群より選択される一つの物質で単一層を形成したり、配線抵抗を減少させるために低抵抗物質であるMo、Cu、AlまたはAgの2層構造またはそれ以上の多重膜構造からなる群より選択される一つの積層構造で形成しても良い。その際、各サブ画素における保持容量を大きくすると共に、各サブ画素のM1スイッチTFTのドレインと保持容量電極105bとの接続を容易にするために、図のような形状で第1金属層105を形成している。次に、ゲート電極形成前に高濃度不純物層(p+層103c)をドーピングしておいたポリシリコン層103に、ゲート電極105をマスクとして追加不純物ドーピングを施して低濃度不純物層(p−層103b)を形成することにより、TFT部にLDD(Lightly Doped Drain)構造を形成する。
【0052】
次に、
図29及び
図30に示すように、CVD法等によって、例えばシリコン酸化膜等を堆積して層間絶縁膜106を形成する。この層間絶縁膜106及びゲート絶縁膜104に異方性エッチングを行い、ポリシリコン層103に接続するためのコンタクトホール(図の太い破線の部分)を開口する。次に、スパッタ法等によって、例えばTi/Al/Ti等のアルミ合金の第2金属層107を堆積し、パターニングを行ってソース/ドレイン電極、データ線107a、電力供給線107b、第1コンタクト部107cを形成する。これにより、データ線107aとM1スイッチTFTのソース、M1スイッチTFTのドレインと保持容量電極105b及びM2駆動TFTのゲート、M2駆動TFTのソースと電力供給線107bとが接続される。
【0053】
次に、
図31及び
図32に示すように、感光性の有機材料を塗布し平坦化膜110を形成する。そして、露光条件を最適化してテーパー角を調整し、M2駆動TFTのドレインに接続するためのコンタクトホール(×印を付した太い実線の部分)を開口する。その際、コンタクトホールを形成した部分は平坦でなくなり、その上に発光素子116を形成すると光の放射が不均一になることから、本実施例では、コンタクトホールが極力、サブ画素の凹んだ位置(例えば、
図31の右上参照)に配置されるようにしている。この上にAg、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Crおよびこれらの化合物金属で反射膜を堆積し、その上に続けてITO、IZO、ZnO、In
2O
3等の透明膜を堆積し、同時にパターニングして各サブ画素のアノード電極111を形成する。アノード電極111は第2コンタクト部111aでM2駆動TFTのドレインと接続される。なお、アノード電極111は、トップエミッション構造の場合は反射膜としても機能させるため反射膜が必要だが、ボトムエミッション構造の場合には反射膜を省き、ITO等の透明膜のみで形成する。次に、スピンコート法等によって、例えば感光性の有機樹脂膜を塗布して素子分離膜112を形成し、パターニングを行って、各サブ画素のアノード電極111を底部に露出させた素子分離層を形成する。この素子分離層により、各サブ画素の発光領域が分離される。
【0054】
次に、素子分離膜112を形成したガラス基板101を蒸着機にセットし、必要に応じてサブ画素の同色部のみに開口が形成されたFMM、または表示画面領域とその周辺のみを開口したオープンマスクを位置合わせして固定し、有機材料を蒸着してアノード電極111上に、有機EL層113を形成する。有機EL層113は、下層側から、例えば正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などによって構成される。また、有機EL層113は、電子輸送層/発光層/正孔輸送層、電子輸送層/発光層/正孔輸送層/正孔注入層、電子注入層/電子輸送層/発光層/正孔輸送層あるいは発光層単独のいずれの構造でもよく、電子ブロッキング層等を追加しても構わない。発光層の材質はサブ画素の色毎に異なり、必要に応じて正孔注入層や正孔輸送層等の膜厚もサブ画素毎に個別に制御する。
【0055】
この有機EL層113の上に仕事関数が小さな金属、すなわちLi、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Mg及びこれらの化合物を蒸着してカソード電極114を形成する。カソード電極の膜厚は光取り出し効率を向上させ良好な視野角依存性を確保するため最適化される。カソード電極の抵抗が高く発光輝度の均一性が損なわれる場合には、その上にITO、IZO、ZnOまたはIn
2O
3などの透明電極形成用の物質で補助電極層を追加する。さらに光取り出し効率向上のため、ガラスより屈折率の高い絶縁膜を堆積させキャップ層115を形成する。キャップ層は有機EL素子の保護層としての役割も果たす。
【0056】
以上により、RGBの各サブ画素に対応する発光素子116が形成され、アノード電極111と有機EL層113とが接触した部分(素子分離膜112の開口部分)が各々、R発光領域117、G発光領域118、B発光領域119となる。
【0057】
なお、発光素子116をボトムエミッション構造とする場合は、平坦化膜110の上層にカソード電極114(ITOなどの透明電極)を形成し、有機EL層113の上に、アノード電極111(反射電極)を形成すればよい。ボトムエミッション構造では光を上面に取り出す必要が無いため、Al等の金属膜を厚く形成することができ、カソード電極の抵抗値を大幅に減少させることができるため大型化に適しているが、TFT素子や配線部分は光が透過できないため、発光領域が極端に小さくなり高精細化には適していない。
【0058】
次に、TFT基板100の外周にガラスフリットを塗設し、その上に封止ガラス基板200を載置し、ガラスフリット部をレーザー等で加熱して溶融させTFT基板100と封止ガラス基板200を密封する。その後、封止ガラス基板200の光出射側にλ/4位相差板201、偏光板202を形成し、有機EL表示装置が完成する。
【0059】
なお、
図25乃至
図32は、本実施例での有機EL表示装置の製造方法の一例であり、実施形態で示した画素配列構造が実現可能であれば、その製造方法は特に限定されない。
【実施例2】
【0060】
次に、本発明の第2の実施例に係る電気光学装置及び電気機器について、
図33乃至
図36を参照して説明する。本実施例では、有機EL表示装置の応用例として、有機EL表示装置を表示手段として備えた各種電気機器について説明する。
【0061】
図33乃至
図36は、本発明の電気光学装置(有機EL表示装置)を適用可能な電気機器の例を示している。
図33は、パーソナルコンピュータへの適用例、
図34は、PDA(Personal Digital Assistants)や電子手帳、電子ブック、タブレット端末などの携帯端末機器への適用例、
図35は、スマートフォンへの適用例、
図36は携帯電話機への適用例である。これらの電気機器の表示部に、本発明の有機EL表示装置を利用することができる。なお、電気機器としては、表示装置を備えるものであれば特に限定はなく、例えば、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ヘッドマウントディスプレイ、プロジェクタ、ファックス装置、携帯型TV、DSP(Demand Side Platform)装置などに適用することができる。
【実施例3】
【0062】
次に、本発明の第3の実施例に係る電気光学装置及び電気機器について、
図37乃至
図40を参照して説明する。前記した第2の実施例では、本発明の電気光学装置としての有機EL表示装置を平面状の表示部を備える電気機器に適用する場合について説明したが、有機EL表示装置を変形可能な構造にすることにより、曲面状の表示部を必要とする電気機器に適用することができる。
【0063】
図37は、変形可能な有機EL表示装置の構造を示す断面図である。前記した第1の実施例と異なる点は、(1)TFT部108a、108b及び保持容量部109がフレキシブルな基板上に形成されること、(2)発光素子116上に封止ガラス基板200を配置しないことである。
【0064】
まず、(1)に関して、ガラス基板101上に、剥離液で除去可能な有機樹脂等の剥離膜120を形成し、その上にポリイミドなどの可撓性を有するフレキシブル基板121を形成する。次に、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜等の無機薄膜122と有機樹脂等の有機膜123とを交互に積層する。そして、最上層の膜(ここでは無機薄膜124)の上に、第1の実施例で示した製造方法に従って、下地絶縁膜102、ポリシリコン層103、ゲート絶縁膜104、第1金属層105、層間絶縁膜106、第2金属層107、平坦化膜110を順次形成し、TFT部108a、108b及び保持容量部109を形成する。
【0065】
また、(2)に関しては、平坦化膜110上にアノード電極111、素子分離膜112を形成し、素子分離膜112を除去したバンク層に有機EL層113、カソード電極114、キャップ層115を順次形成して発光素子116を形成する。その後、キャップ層115の上に、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜等の無機薄膜124と有機樹脂等の有機膜125とを交互に積層し、最上層の膜(ここでは有機膜125)の上にλ/4位相差板126と偏光板127を形成する。
【0066】
その後、ガラス基板101上の剥離膜120を剥離液などで除去し、ガラス基板101を取り外す。この構造では、ガラス基板101や封止ガラス基板200がなく、有機EL表示装置全体が変形可能であるため、曲面状の表示部を必要とする様々な用途の電気機器、特に、ウェアラブルな電気機器に利用可能になる。
【0067】
例えば、
図38に示すような手首に装着するリストバンド型電気機器(例えば、スマートフォンと連動する端末、GPS(Global Positioning System)機能を備えた端末、脈拍や体温などの人体情報を測定する端末など)の表示部に本発明の有機EL表示装置を利用することができる。スマートフォンと連動する端末の場合は、端末に予め設けられた通信手段(例えば、Bluetooth(登録商標)やNFC(Near Field Communication)等の規格に従って動作する近距離無線通信部)を用いて受信した画像データや映像データを有機EL表示装置に表示させることができる。また、GPS機能を備えた端末の場合は、GPS信号に基づいて特定した位置情報や移動距離情報、移動速度情報などを有機EL表示装置に表示させることができる。また、人体情報を測定する端末の場合は、測定した情報を有機EL表示装置に表示させることができる。
【0068】
また、
図39に示すような電子ペーパーに本発明の有機EL表示装置を利用することができる。例えば、電子ペーパーの端部に設けられた記憶部に記憶した画像データや映像データを有機EL表示装置に表示させたり、電子ペーパーの端部に設けられたインターフェイス手段(例えば、USB(Universal Serial Bus)などの有線通信部やイーサネット(登録商標)、FDDI(Fiber-Distributed Data Interface)、トークンリング等の規格に従って動作する無線通信部)を用いて受信した画像データや映像データを有機EL表示装置に表示させたりすることができる。
【0069】
また、
図40に示すような顔に装着するグラス型電子機器の表示部に本発明の有機EL表示装置を利用することができる。例えば、眼鏡やサングラス、ゴーグルのツル(テンプル)などに設けられた記憶部に記憶した画像データや映像データを有機EL表示装置に表示させたり、ツル(テンプル)などに設けられたインターフェイス手段(例えば、USBなどの有線通信部やBluetooth(登録商標)やNFC等の規格に従って動作する近距離無線通信部、LTE(Long Term Evolution)/3Gなどの移動体通信網を利用して通信を行う移動体通信部)を用いて受信した画像データや映像データを有機EL表示装置に表示させたりすることができる。
【0070】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、電気光学装置の種類や構造、各構成物の材料、製造方法などは適宜変更可能である。
【0071】
例えば、上記実施形態及び実施例では、RGBのサブ画素で構成される画素が格子状に配置される構成として説明したが、画素の配列形態は格子状に限定されず、例えば、上下若しくは左右の画素が半画素分ずれて配置される構成などに対しても適用することができる。
【0072】
また、上記実施形態及び実施例では、サブ画素をRGBの3色としたが、視感度が異なる任意の3色に対して本発明の画素配列構造を適用することができる。
【0073】
また、本発明の電気光学装置は実施形態及び実施例で示した有機EL表示装置に限定されない。また、画素を構成する基板も実施形態及び実施例で示したTFT基板に限られない。また、画素を構成する基板は、アクティブ型の基板のみならず、パッシブ型の基板にも適用可能である。また、画素の制御する回路としてM1スイッチTFTとM2駆動TFTとC1保持容量とで構成される回路(いわゆる2T1C回路)を例示したが、3つ以上のトランジスタを備える回路(例えば3T1C回路)などとしてもよい。