【解決手段】工作機械1は、ワークWを搬送するローダ装置10と、ワークWを加工する加工装置20とがプログラム32a,32bに基づいて動作する。工作機械1の一部に備えたプログラム検索装置40は、プログラム32a,32bを表示領域110に表示する表示部41と、表示領域100近傍の特定ボタン171の選択操作に応じて、表示領域110に表示されたプログラム32a,32b内の指定位置に対応する移行指令及び該移行指令の移行先を認識する認識部42aと、認識部42aにより認識された移行指令の移行先を検索し、検索した移行先に指定位置を移動させる検索部42bとを含んでいる。
前記移行指令は分岐指令及びプログラム呼び出し指令であり、前記移行先は前記分岐指令の分岐先及び前記プログラム呼び出し指令の呼び出し先であることを特徴とする請求項1に記載の工作機械。
前記認識部は、前記指定位置が前記移行指令である場合は該移行指令に対応する移行先を認識し、前記指定位置が前記移行先である場合は該移行先に対応する移行指令を認識することを特徴とする請求項1または請求項2に記載された工作機械。
前記プログラム検索装置は、前記表示領域近傍の復帰ボタンの選択操作に応じて、前記検索部により移動された前記指定位置を、前記検索部により移動される前の位置に戻す復帰部を含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか1項に記載の工作機械。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の特許文献1に記載された装置においては、作業者がマウスを操作して検索対象を選択することとされている。一方において、作業者が工作機械に設けられたコントローラ上でプログラムの検索を行う場合は、作業スペースの制約などの観点から、作業者がマウスなどを操作することは困難である。従って、上記の特許文献1に記載された構成をそのまま工作機械に適用することはできない。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、工作機械のプログラム検索における作業者の手間を軽減するとともに、作業者が工作機械の作業環境に応じたインタフェイスでプログラム検索を実行可能な工作機械、プログラム検索方法、及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、ワークを搬送するローダ装置と、ワークを加工する加工装置とを備え、ローダ装置及び加工装置がプログラムに基づいて駆動する工作機械であって、工作機械の一部に、プログラムを検索可能なプログラム検索装置を備え、プログラム検索装置は、プログラムを表示領域に表示する表示部と、表示領域近傍の特定ボタンの選択操作に応じて、表示領域に表示されたプログラム内の指定位置に対応する移行指令及び該移行指令の移行先を認識する認識部と、認識部により認識された移行指令の移行先を検索し、検索した移行先に指定位置を移動させる検索部と、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、移行指令は分岐指令及びプログラム呼び出し指令であり、移行先は分岐指令の分岐先及びプログラム呼び出し指令の呼び出し先である構成でもよい。また、認識部は、指定位置が移行指令である場合は該移行指令に対応する移行先を認識し、指定位置が移行先である場合は該移行先に対応する移行指令を認識してもよい。
【0009】
また、プログラム検索装置は、表示領域近傍の復帰ボタンの選択操作に応じて、検索部により移動された指定位置を、検索部により移動される前の位置に戻す復帰部を含む構成でもよい。また、復帰部は、検索部により移動された指定位置を初期位置に戻す構成でもよい。
【0010】
また、本発明では、ローダ装置によるワークの搬送と、加工装置によるワークの加工とを行うためのプログラムを検索する工作機械のプログラム検索方法であって、工作機械に設けられた表示部の表示領域にプログラムを表示する表示ステップと、表示領域近傍の特定ボタンの選択操作に応じて、表示領域に表示されたプログラム内の指定位置に対応する移行指令及び該移行指令の移行先を認識する認識ステップと、認識ステップにより認識された移行指令の移行先を検索し、検索した移行先に指定位置を移動させる検索ステップと、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明では、ローダ装置によるワークの搬送と、加工装置によるワークの加工とをプログラムに基づいて行う工作機械の制御部に、工作機械に設けられた表示部の表示領域にプログラムを表示する表示処理と、表示領域近傍の特定ボタンの選択操作に応じて、表示領域に表示されたプログラム内の指定位置に対応する移行指令及び該移行指令の移行先を認識する認識処理と、認識処理により認識された移行指令の移行先を検索し、検索した移行先に指定位置を移動させる検索処理と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、認識部が表示領域近傍の特定ボタンの選択操作に応じて、表示領域に表示されたプログラム内の指定位置に対応する移行指令及び該移行指令の移行先を認識し、検索部が認識部により認識された移行指令の移行先を検索し、検索した移行先に指定位置を移動させる。このような構成によれば、工作機械のプログラム検索における作業者の手間を軽減するとともに、作業者が工作機械の作業環境に応じたインタフェイスでプログラム検索を実行することができる。
【0013】
また、移行指令は分岐指令及びプログラム呼び出し指令であり、移行先は分岐指令の分岐先及びプログラム呼び出し指令の呼び出し先であるので、工作機械で用いられるNCプログラムなどの指令に対応した検索を行うことができる。また、認識部は、指定位置が移行指令である場合は該移行指令に対応する移行先を認識し、指定位置が移行先である場合は該移行先に対応する移行指令を認識するので、作業者が指定位置を移行指令または移行先に移動させるだけで検索対象を指定することができ、作業者による検索対象の指定時の操作性が向上する。
【0014】
また、プログラム検索装置は、表示領域近傍の復帰ボタンの選択操作に応じて、検索部により移動された指定位置を、検索部により移動される前の位置に戻す復帰部を含むので、作業者によるプログラム内容の確認時の操作性が向上する。また、復帰部は、検索部により移動された指定位置を初期位置に戻すので、より一層、作業者によるプログラム内容の確認時の操作性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、水平面に平行な平面をXZ平面とする。このXZ平面に平行な主軸(後述する主軸21,22)の方向をZ方向と表記し、Z方向に直交する方向(ワークWに対する切削量を規定する方向)をX方向と表記する。また、XZ平面に垂直な方向はY方向と表記する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとして説明する。
【0017】
図1(a)及び(b)は、実施形態に係る工作機械1の一例を示す図である。
図1(a)は、工作機械1を+Z側から見たときの例を示している。
図1(b)は、工作機械1を+Y側から見たときの例を示している。この工作機械1は、例えば平行2軸旋盤である。
図1において、工作機械1の+Z側が正面であり、−Z側が背面である。また、工作機械1の±X側は側面であり、X方向は工作機械1の左右方向である。
図1(a)及び(b)に示すように、工作機械1は、ローダ装置10と、加工装置20、制御装置30と、コントローラ(プログラム検索装置)40と、を備えている。
【0018】
ローダ装置10は、ワーク保持部11と、ローダ駆動部13とを備えている。ローダ装置10は、例えば、後述する主軸21,22とワーク搬入部25との間の搬送経路TにおいてワークWを搬送する。ワーク保持部11は、ワークWを複数の把持爪によって把持するローダチャック12を有している。ローダチャック12は、例えば、ワークWを把持して−Y方向に向けた姿勢と、−Z方向に向けた姿勢(後述する主軸21,22にワークWを向けた姿勢)とに移動可能に形成される。なお、ローダ装置10は、複数のローダチャック12が形成されてもよい。
【0019】
ローダ駆動部13は、X駆動部14と、Z駆動部15と、Y駆動部16とを有している。X駆動部14は、不図示の駆動源により、X移動体14aをガイドレール14bに沿ってX方向に移動可能に構成している。Z駆動部15は、X移動体14aに形成され、不図示の駆動源により、Z移動体15aを不図示のガイド部に沿ってZ方向に移動可能に構成している。Y駆動部16は、Z移動体15aに形成され、不図示の駆動源により、Y移動体16aをガイド部16bに沿ってY方向に移動可能に構成している。
【0020】
ワーク保持部11は、Y移動体16aの下部に形成される。ワーク保持部11のローダチャック12により把持したワークWは、X駆動部14、Z駆動部15、及びY駆動部16がそれぞれ駆動することにより、X〜Z方向またはこれらを合成した方向に搬送される。以上のように構成されるローダ装置10の駆動は、後述する制御装置30によって制御される。
【0021】
加工装置20は、主軸21,22と、タレット23,24と、ワーク搬入部25とを有している。主軸21,22は、X方向に並んで配置され、それぞれ不図示の駆動装置によって中心軸AX1,AX2まわりに回転する。主軸21,22の+Z側の端部には、それぞれワークWを把持可能な複数の把握爪21a,22aが設けられている。タレット23は、主軸21の−X側に配置されている。タレット24は、主軸22の+X側に配置されている。
【0022】
タレット23,24は、それぞれ不図示の駆動装置によって、Z方向に平行な軸まわりに回転する。また、タレット23,24の周面には、不図示の複数の切削工具が保持されており、タレット23,24を回転させることにより、所望の切削工具が選択される。切削工具としては、ワークWに対して切削加工を施すバイト等の他、ドリルやエンドミル等の回転工具が用いられてもよい。また、タレット23,24は、不図示の駆動装置により、ワークWに対して例えばX方向、Y方向、及びZ方向、またはこれらを合成した方向に移動可能となっている。ただし、主軸21,22やタレット23,24は2つであることに限定されず、例えば主軸及びタレットのいずれか一方または双方が1つあってもよい。
【0023】
ワーク搬入部25には、加工対象であるワークWが載置される。ワーク搬入部25としては、例えば固定台が用いられるが、これに限定されるものではなく、コンベアやロータリー式の載置台などが用いられてもよい。なお、ワーク搬入部25は、ワークWの搬出部を兼ねてもよく、この搬出部をワーク搬入部25と異なる部分に配置してもよい。以上のように構成される加工装置20の駆動は、後述する制御装置30によって制御される。
【0024】
制御装置30は、所定のプログラムに基づいてローダ装置10や加工装置20の動作を統括的に制御する。なお、制御装置30は、有線または無線を介して上位制御装置50に接続されてもよい。制御装置30は、上位制御装置50の記憶部に記憶されたプログラムに基づいてローダ装置10や加工装置20の動作を制御してもよい。
【0025】
コントローラ40は、作業者(オペレータ)により操作される工作機械1の操作装置である。コントローラ40は、制御装置30に有線または無線を介して接続されている。コントローラ40は、ローダ装置10や加工装置20を囲むように配置されたパネルPLに保持される。コントローラ40は、各種スイッチを備えるとともに、液晶ディスプレイのような表示部(
図2参照)を備えている。コントローラ40は、例えば作業者によるプログラムの切り替えや制御装置30の各種設定などの操作(入力)に用いられる。また、コントローラ40は、作業者によるプログラムの編集の操作(入力)にも用いられる。また、コントローラ40は、作業者によるプログラムの検索の操作(入力)にも用いられる。
【0026】
図2は、
図1に示す制御装置30及びコントローラ40の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、制御装置30は、CPU(Central Processing Unit )などの演算装置31及び第1記憶部32を有している。演算装置31は、第1記憶部32に記憶されている第1プログラム32a(ローダプログラム)に基づいてローダ装置10の動作を制御するとともに、第1記憶部32に記憶されている第2プログラム32b(NCプログラム;Numerical Controlプログラム)に基づいて加工装置20の動作を制御する。第1記憶部32は、第1プログラム32a及び第2プログラム32bを記憶するほかに、ローダ装置10や加工装置20の制御に必要な各種情報を記憶する。なお、ローダ装置10の動作を制御する第1プログラム32aと加工装置20の動作を制御する第2プログラム32bは異なるプログラム言語で作成されている。以下の説明においては、第1プログラム32aと第2プログラム32bとを総称する場合は単にプログラムという。
【0027】
コントローラ40は、表示部41、制御部42、及び第2記憶部43を備えている。表示部41は、液晶表示パネルなどで構成された表示画面41aと、この表示画面41a上に形成されたタッチパネル41bとを備えている。表示画面41aは、プログラムを表示するとともに、作業者によって選択(押下)されるボタンやキーの画像を表示する。タッチパネル41bは、作業者がプログラムの検索などを行う際に、作業者が触れた位置を示す信号を制御部42に出力する。
【0028】
制御部42は、コントローラ40の制御全般を司る処理部である。
図2に示すように、制御部42は、認識部42a、検索部42b、及び復帰部42cを有している。認識部42aは、作業者によるボタンやキーの画像の選択操作に応じて、表示画面41aに表示されたプログラムの指定位置(後述するカーソル200の位置)に対応する移行指令及びこの移行指令の移行先を認識する処理を行う。ここで、移行指令としては、後述する分岐指令(ジャンプ指令)やプログラム呼び出し指令があげられる。また、移行先としては、後述する分岐先(シーケンス番号)やプログラムの呼び出し先(プログラム番号)があげられる。
【0029】
また、検索部42bは、認識部42aにより認識された移行指令の移行先を検索し、検索した移行先に指定位置を移動させる処理を行う。また、復帰部42cは、作業者によるボタンやキーの画像の選択操作に応じて、検索部42bにより移動された指定位置を、検索部42bにより移動される前の位置に戻す処理を行う。また、復帰部42cは、検索部42bにより移動された指定位置を初期位置(検索部42bが最初に指定位置を移動させる前の位置)に戻す処理も行う。なお、制御部42(認識部42a及び復帰部42c)は、タッチパネル41bからの信号に基づいて作業者が選択(押下)した画像の位置を認識することにより、作業者が選択したボタンを認識する。
【0030】
ここで、プログラム(第1プログラム32a、第2プログラム32b)は、プログラム番号(プログラム名)、コメント(注釈)、シーケンス番号(シーケンス名)、命令コード(指令コードともいう。)などから構成される。プログラム番号は、プログラムを識別する番号である。例えばNCプログラムの場合、プログラム番号はプログラムの先頭を表す記号‘%’の後(すなわち次のブロック)に例えば1桁〜4桁の数字で記述される。コメントは、プログラムの説明や、プログラム内の処理の説明などである。このコメントは、プログラム内においてローダ装置10や加工装置20の制御とは無関係な文字(キャラクタ)または文字列である。
【0031】
シーケンス番号は、プログラムを認識しやすくするために付される目印である。例えばNCプログラムの場合、シーケンス番号はアルファベット‘N’と数字との組合せで表される。命令コードは、ローダ装置10や加工装置20に対して動作を実行させるための文字または文字列である。例えばNCプログラムの場合、命令コードはM,S,Gなどのアルファベットと数字との組合せで構成される。具体的には、「M03」は主軸を時計回りに回転させる制御を指示する命令コードである。また、「M05」は主軸を停止させる制御を指示する命令コードである。また、「GOTO」は無条件に分岐先(シーケンス番号)にシャンプ(移行)させる分岐指令の命令コードである。
【0032】
図2の説明に戻り、第2記憶部43は、制御部42に処理または制御を実行させるための制御プログラム43aや各種情報を記憶する。なお、制御部42はCPUなどの演算装置を有し、制御部42の演算装置が制御プログラム43aに基づいて実行する処理または制御が制御部42の各部の構成(認識部42a、検索部42b、及び復帰部42c)に相当する。
【0033】
図3は、
図2に示す表示部41の表示画面41aの表示例を示す図である。
図3に示すように、表示画面41aの左側には、プログラム(第1プログラム32a、第2プログラム32b)を表示するプログラム表示領域(表示領域)110が設けられている。
図3に示す例では、プログラム表示領域110には第1プログラム32a(ローダプログラム)の具体例が表示されている。例えば、「H80 P900」において、「H80」が分岐指令の命令コードであり、「P900」が分岐先を示している。この分岐指令によって、演算装置31による第1プログラム32aの読み込み位置がシーケンス番号「N900」にジャンプされる。また、プログラム内の行の先頭からセミコロン‘;’までをブロックという。つまり、ブロックは1行分のプログラムである。また、アルファベットと数字との組合せからなる1つの命令コードをワードという。このワードがプログラムの最小単位となる。なお、プログラム表示領域110内にはカーソル200が表示される。
【0034】
また、表示画面41aの右側の上部には、作業者がプログラム表示領域110に書き込む文字(アルファベット、数字、記号など)を入力するための入力欄であるキーインバッファ部120が設けられている。また、キーインバッファ部120の下には、プログラム表示領域110の表示範囲(ページ)を上下にスクロール(移動)させるページキー131と、プログラム表示領域110上に表示されるカーソル200を上下及び左右に移動させるカーソルキー132と、プログラム表示領域110やカーソル200を元の位置に戻すリセットキー133とが設けられている。
【0035】
また、ページキー131、カーソルキー132、及びリセットキー133の下には、アルファベット(ローマ字)を入力するためのアルファベットキー141と、数字や演算記号(丸括弧、ドット、スラッシュなど)などを入力するためのテンキー151とが設けられている。また、アルファベットキー141及びテンキー151の下には、シフトキー161(SHIFTと表記しているキー)、キャンセルキー162(CANCELと表記しているキー)、インプットキー163(INPUTと表記しているキー)、オルトキー164(ALTERと表記しているキー)、インサートキー165(INSERTと表記しているキー)、及びデリートキー166(DELETEと表記しているキー)が設けられている。なお、シフトキー161、キャンセルキー162、インプットキー163、オルトキー164、インサートキー165、及びデリートキー166を総称して特殊キーという。
【0036】
また、表示画面41aの下部には、第1操作メニューボタン170mが設けられている。第1操作メニューボタン170mは、O/N検索ボタン(特定ボタン)171及び検索ボタン172を含んでいる。O/N検索ボタン171は、作業者の簡易な操作でプログラムの検索を実行させる処理を開始させるボタンである。
図3に示すように、作業者によってO/N検索ボタン171が選択されると、第1操作メニューボタン170mに代えて第2操作メニューボタン180mが表示される。検索ボタン172は、作業者がアルファベットキー141、テンキー151、及び特殊キー161〜166などを選択操作してキーインバッファ部120に入力した移行先(シーケンス番号、プログラム番号)を検索する際に選択されるボタンである。
【0037】
第2操作メニューボタン180mは、終了ボタン181、O/N初期ボタン(復帰ボタン)182、及びO/N戻るボタン(復帰ボタン)183を含んでいる。終了ボタン181は、O/N検索ボタン171が選択されたことに基づく検索を終了させるためのボタンである。O/N初期ボタン182は、検索後に移動されたカーソル200の位置を最初の検索がされる前の初期位置に戻すためのボタンである。O/N戻るボタン183は、検索後に移動されたカーソル200の位置を、移動される1つ前の位置に戻すためのボタンである。なお、O/N検索ボタン171は、第1操作メニューボタン170mにおけるO/N検索ボタン171と同様の機能のボタンであるため、同一符号を付している。
【0038】
次に、上記の制御部42が実行する処理について説明する。
【0039】
図4は、実施形態に係るプログラム検索処理を説明するためのフォローチャートである。また、
図5及び
図6は、作業者によるプログラム検索の作業手順を説明するための表示画面41aの表示例を示す図である。
図4に示す処理において、制御部42は、表示部41の表示画面41aに
図3に示したキーやボタンの画像を表示するとともに、作業者による所定のボタンの操作に応じて検索対象のプログラムをプログラム表示領域110に表示する(ステップS1)。
【0040】
次に、認識部42aは、カーソルキー132が選択されたか否かを判定する(ステップS2)。認識部42aは、カーソルキー132が選択されたと判定した場合は(ステップS2のYES)、その選択されたカーソルキー132の操作に応じて範囲を指定する(ステップS3)。例えば、作業者は、カーソルキー132を操作してカーソル200の位置を所定の位置に移動させる。
図3に示した例では、作業者はカーソル200の位置を「H80」の位置に移動させている。また、
図5に示す例では、作業者はカーソル200の位置を「P900」の位置に移動させている。
【0041】
次に、認識部42aは、カーソル200の位置が移行指令の命令コードの位置であるか否かを判定する(ステップS4)。認識部42aは、カーソル200の位置が移行指令の命令コードの位置であると判定した場合は(ステップS4のYES)、移行指令の命令コードに対応する分岐先を認識する(ステップS5)。
図3に示した例では、認識部42aは、カーソル200の位置が移行指令の命令コード(分岐指令の命令コード「H80」)の位置であると判定し、移行指令の命令コードに対応する分岐先(「P900」)を認識する。
【0042】
また、認識部42aは、カーソル200の位置が移行先の位置であるか否かを判定する(ステップS6)。認識部42aは、カーソル200の位置が移行先の位置であると判定した場合は(ステップS6のYES)、移行先に対応する移行指令の命令コードを認識する(ステップS7)。
図5に示した例では、認識部42aは、カーソル200の位置が移行先(分岐先「P900」)の位置であると判定し、移行先に対応する移行指令の命令コード(分岐指令の命令コード「H80」)を認識する。認識部42aは、ステップS4〜S7の処理によってカーソル200の位置に対応する移行指令及びこの移行指令の移行先を認識することができる。
【0043】
そして、検索部42bは、作業者によりO/N検索ボタン171が選択されたか否かを判定する(ステップS8)。検索部42bは、O/N検索ボタン171が選択されたと判定した場合は(ステップS8のYES)、ステップS5及びS7において認識した移行指令及び移行先に基づいて、移行指令の命令コードが指し示す移行先を検索する(ステップS9)。例えば、移行指令の命令コードが分岐指令の命令コードである場合は、検索部42bは、移行先を示すシーケンス番号に基づいて、プログラム表示領域110に表示されているプログラム内においてシーケンス番号を検索する。また、移行指令の命令コードがプログラム呼び出し指令である場合は、検索部42bは、移行先を示すプログラム番号に基づいて、プログラム表示領域110内に表示されているプログラムとは別のプログラム(プログラム番号に合致するプログラム)を第1記憶部32内において検索する。
【0044】
検索部42bは、カーソル200の位置をステップS9で検索した移行先(分岐先、呼び出し先)に移動させる(ステップS10)。そして、制御部42は、カーソル200の移動後の位置のプログラム(例えば、プログラム内の分岐先を含む所定範囲、別プログラムの先頭位置を含む所定範囲)をプログラム表示領域110に表示する(ステップS11)。
図6に示す例では、カーソル200の位置が移行先である「N900」に移動され、移行先を含む所定範囲のプログラムがプログラム表示領域110に表示されている。
【0045】
作業者は、認識部42a及び検索部42bに対してステップS1〜S11の処理を繰り返し実行させることにより、プログラム内の分岐先やプログラム呼び出し先が正しいか否かを確認する。
【0046】
次に、復帰部42cは、作業者によりO/N戻るボタン183が選択されたか否かを判定する(ステップS12)。復帰部42cは、O/N戻るボタン183が選択されたと判定した場合は(ステップS12のYES)、検索部42bにより検索後に移動されたカーソル200の位置を、検索部42bにより移動される1つ前の位置に戻す(ステップS13)。このとき、制御部42は、カーソル200の戻り後の位置のプログラムをプログラム表示領域110に表示する。
【0047】
次に、復帰部42cは、作業者によりO/N初期ボタン182が選択されたか否かを判定する(ステップS14)。復帰部42cは、O/N初期ボタン182が選択されたと判定した場合は(ステップS14のYES)、検索部42bにより検索後に移動されたカーソル200の位置を最初の検索がされる前の初期位置に戻す(ステップS15)。このときも、制御部42は、カーソル200の戻り後の位置(初期位置)のプログラムをプログラム表示領域110に表示する。
【0048】
図7は、ボタン操作に応じたカーソル位置の移動を示す図である。
図7に示すように、カーソル200の位置が「H80P900」の位置(「H80」または「P900」の位置)にある場合に、作業者によりO/N検索ボタン171が押されると(ステップS8参照)、カーソル200の位置は分岐先である「N900」に移動する(ステップS9〜S11参照)。また、作業者により次の検索位置としての「H96P9000」の位置(「H96」または「P9000」の位置)にカーソル200の位置が移動され、作業者によりO/N検索ボタン171が押されると(ステップS8参照)、カーソル200の位置はプログラム呼び出し先である「O9000」に移動する(ステップS9〜S11参照)。なお、「H96」はプログラム呼び出し指令の命令コードであり、「O9000」はプログラム番号である。検索部42bは、カーソル200の位置の移動毎に、移動前のカーソル200の位置を第2記憶部43に順次記憶させる。
【0049】
作業者によりO/N戻るボタン183が押される度に、カーソル200の位置が1つ前の位置に戻される(ステップS12,S13参照)。また、作業者によりO/N初期ボタン182が押される度に、カーソル200の位置が初期位置に戻される(ステップS14,S15参照)。このようにO/N初期ボタン182が作業者により押されることでカーソル200の位置が初期位置に戻されるので、作業者によるプログラム内容の確認時の操作性が向上する。
【0050】
第2プログラム32b(NCプログラム)におけるプログラム検索の具体例について説明する。なお、以下の説明において下線がカーソル200の位置とする。
N100 ; シーケンス番号100
Gggg
P1234 ; プログラム1234番を呼び出す(1)
…
GOTO200 ; シーケンス番号200へシャンプ(2)
…
N200 ; シーケンス番号200
Mmmm
P100 ; シーケンス番号100へジャンプ(3)
【0051】
(1)カーソル200の位置が「P1234」にある状態でO/N検索ボタン171の選択操作がされた場合、表示画面41aに表示されるプログラムがプログラム1234に切り替えられる。
(2)カーソル200の位置が「GOTO」にある状態でO/N検索ボタン171の選択操作がされた場合、カーソル200の位置が「N200」のワードの位置に移動される。
(3)カーソル200の位置が「P100」にある状態でO/N検索ボタン171の選択操作がされた場合、カーソル200の位置が「N100」のワードの位置に移動される。
【0052】
以上に説明したように、本実施形態では、工作機械1の一部にプログラム32a,32bを検索可能なプログラム検索装置40を備え、プログラム検索装置40は、プログラム32a,32bを表示領域110に表示する表示部41と、表示領域100近傍の特定ボタン(O/N検索ボタン171)の選択操作に応じて、表示領域110に表示されたプログラム32a,32b内の指定位置に対応する移行指令及び該移行指令の移行先を認識する認識部42aと、認識部42aにより認識された移行指令の移行先を検索し、検索した移行先に指定位置を移動させる検索部42bとを含む。このような構成によれば、工作機械1のプログラム検索における作業者の手間を軽減し、作業者の手入力による検索条件などの入力操作が不要となり入力ミスを防止することができる。また、作業者が工作機械1の作業環境に応じたインタフェイスでプログラム検索を実行することができる。
【0053】
また、本実施形態では、移行指令は分岐指令及びプログラム呼び出し指令であり、移行先は分岐指令の分岐先及びプログラム呼び出し指令の呼び出し先であるので、工作機械1で用いられるNCプログラムなどの指令に対応した検索を行うことができる。また、認識部32aは、指定位置が移行指令である場合は該移行指令に対応する移行先を認識し、指定位置が移行先である場合は該移行先に対応する移行指令を認識するので、作業者が指定位置を移行指令または移行先に移動させるだけで検索対象を指定することができ、作業者による検索対象の指定時の操作性が向上する。
【0054】
また、本実施形態では、プログラム検索装置40は、表示領域100近傍の復帰ボタン(O/N初期ボタン182、O/N戻るボタン183)の選択操作に応じて、検索部42bにより移動された指定位置を、検索部42bにより移動される前の位置に戻す復帰部42cを含むので、作業者によるプログラム内容の確認時の操作性が向上する。また、復帰部42cは、検索部42bにより移動された指定位置を初期位置に戻すので、より一層、作業者によるプログラム内容の確認時の操作性が向上する。
【0055】
以上の実施形態について説明したが、本発明は図示の構成等に限定されるものではなく、各構成の機能や用途などを逸脱しない範囲で変更は可能である。
【0056】
例えば、上記した実施形態において、
図1に示したローダ装置10及び加工装置20の構成は一例であって、このような構成以外のローダ装置及び加工装置に対してもプログラム検索装置を適用することができる。また、上記した実施形態では、制御装置30とコントローラ40とが別構成とされていたが、制御装置30とコントローラ40とは一体構成とされてもよい。また、ローダ装置10と加工装置20とは別々の第1プログラム32aと第2プログラム32bとで制御されていたが、同じプログラムで制御されてもよい。また、第1プログラム32aと第2プログラム32bは異なるプログラム言語で作成されていたが、同一のプログラム言語で作成されてもよい。
【0057】
また、上記した実施形態におけるキーやボタンの配置は、
図3に示した配置に限定されず、適宜変更可能である。また、操作メニューボタン170m,180mもプログラム表示領域110の近傍に設けられていればよく、作業環境などに合わせて適宜配置される。また、操作メニューボタン170m,180mは、作業者によるタッチパネル41bのタッチ操作によって選択されていたが、これらのボタンを機械的なボタンとし、作業者による押下操作で選択されてもよい。また、カーソル200も指定位置を指し示すものであれば、どのようなポインディングデバイスであってもよい。また、作業者が検索を行う手順も
図4〜
図7に示した手順に限定されない。例えば、作業者はO/N検索ボタン171を選択した後にカーソル200の位置を移動させてもよい。