【解決手段】制御部は、包装動作中、定位置検知センサ61が包装紙Sの先端部を検知する位置を基準に給紙ローラ23で包装紙Sを所定量送り出してカッタ57で切断する供給ステップと、定位置検知センサ61が包装紙Sの先端部を検知するまで給紙ローラ23で包装紙Sを送り出す準備ステップと、を交互に繰り返し、包装動作の終了時には、準備ステップ後の包装紙Sを給紙ローラ23で所定量引き戻す終了ステップを実行する。
前記定位置検知センサにより先端部が検知された状態の包装紙は、前記給紙ローラに接触する範囲に、前記カッタにより切断されて先端部となる部分が位置することを特徴とする請求項1記載の硬貨処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の包装紙供給装置は、包装紙ロールが載置されるターンテーブルを駆動するモータと、内面が凹状をなすガイド板と、ガイド板の内面に対向するブロアと、ガイド板の内側で包装紙のたるみを検出するフォトセンサとを有しており、たるみを形成するためだけに多くの部品が必要であり、コストが増大してしまっている。他方で、給紙ローラの材質によっては、包装紙にたるみを形成しなくても、給紙ローラと包装紙との間で生じるスリップを抑制できることから、近年では、低コスト化のため、包装紙にたるみを形成しない包装紙供給装置が採用されている。
【0005】
しかしながら、上記のように包装紙にたるみを形成しないと、装置の停止状態が長く続いたときに、包装紙の給紙ローラへの接触部分に、給紙ローラの形状に倣った巻き癖がついてしまう。このような包装紙の巻き癖は、包装紙の供給不良を生じてしまう可能性がある。
【0006】
したがって、本発明は、包装紙の供給不良の発生を抑制することができる硬貨処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、包装紙ロールを回転可能に支持するロール支持部と、前記ロール支持部に支持された包装紙ロールの包装紙を包装部へ向けて送り出す給紙ローラと、前記給紙ローラで送り出される包装紙の先端部を前記包装部へ向けてガイドする給紙ガイド部と、前記給紙ガイド部の前記包装部側の端部近傍に配置されて包装紙の先端部を検知する定位置検知センサと、前記給紙ローラと前記定位置検知センサとの間に配置されて包装紙を切断するカッタと、前記給紙ローラの駆動を制御する制御部と、を有する硬貨処理装置であって、前記制御部は、包装動作中、前記定位置検知センサが包装紙の先端部を検知する位置を基準に前記給紙ローラで包装紙を所定量送り出して前記カッタで切断する供給ステップと、前記定位置検知センサが包装紙の先端部を検知するまで前記給紙ローラで包装紙を送り出す準備ステップと、を交互に繰り返し、包装動作の終了時には、前記準備ステップ後の包装紙を前記給紙ローラで所定量引き戻す終了ステップを実行することを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記定位置検知センサにより先端部が検知された状態の包装紙は、前記給紙ローラに接触する範囲に、前記カッタにより切断されて先端部となる部分が位置することを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、包装動作の開始の操作入力を受け付ける開始釦を有し、前記制御部は、前記開始釦が操作されると、前記準備ステップを実行し、当該準備ステップの実行後、所定時間経過時点で当該準備ステップの次の前記供給ステップが実行できない場合、前記終了ステップを実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、包装動作中、制御部は、定位置検知センサが包装紙の先端部を検知する位置を基準に給紙ローラで包装紙を所定量送り出してカッタで切断する供給ステップと、定位置検知センサが包装紙の先端部を検知するまで給紙ローラで包装紙を送り出す準備ステップと、を交互に繰り返して、所定長さの包装紙を順次包装部に供給する。そして、制御部は、包装動作の終了時には、準備ステップ後の包装紙を給紙ローラで所定量引き戻す終了ステップを実行する。すると、包装紙ロールと給紙ローラと間の包装紙にたるみが生じることになり、包装紙の給紙ローラへの押し付け力が低減される。よって、包装紙の給紙ローラへの接触部分に巻き癖がつくことを抑制できる。したがって、包装紙の供給不良の発生を抑制することができる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、定位置検知センサにより先端部が検知された状態の包装紙は、給紙ローラに接触する範囲に、カッタにより切断されて先端部となる部分が位置する。このため、終了ステップを実行することにより、カッタにより切断されて先端部となる部分に巻き癖がついてしまうことを抑制できる。つまり、給紙ローラに接触する範囲に、カッタにより切断されて先端部となる部分が位置する場合は、終了ステップを実行しなければ、切断後に先端部となる部分に巻き癖が残る状態になり、供給不良がより発生しやすくなるが、このような状態になることを抑制できる。したがって、包装紙の供給不良の発生を効果的に抑制することができる。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、制御部は、開始釦が操作されると準備ステップを実行することになるが、当該準備ステップの実行後、所定時間経過時点で当該準備ステップの次の供給ステップが実行できない場合に、終了ステップを実行する。このため、包装部に硬貨がない等、包装ができない状態で開始釦が操作されてしまっても、包装紙の給紙ローラへの接触部分に巻き癖がつくことを抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態に係る硬貨処理装置を
図1〜
図3を参照して以下に説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る硬貨処理装置11は、包装紙Sを供給する包装紙供給部12と、包装紙供給部12から供給される包装紙Sを集積状態の図示略の硬貨に巻き付けて包装し棒金とする包装部13とを有している。
【0015】
包装紙供給部12は、包装紙ロールS1を回転可能に支持するロール支持部15を有している。包装紙ロールS1は、紙または樹脂フィルムからなる長尺シート状の包装紙Sが巻かれることでロール状に形成されている。ロール支持部15は、水平に配置される台部16と、台部16の中央から鉛直上方に延出する支持軸17とを有する回転可能な載置台18を有している。包装紙ロールS1は、支持軸17を内周側に挿入させて台部16上に載置される。包装紙ロールS1は、載置台18と一体に回転する。ロール支持部15は、載置台18に回転抵抗を負荷する図示略の回転抵抗部を有しており、載置台18は所定以上の外力が加わると回転し、外力が加わらなくなると回転抵抗部の抵抗によって即座に停止する。
【0016】
包装紙供給部12は、ロール支持部15の側方に第1挿入ガイド板21および第2挿入ガイド板22を有している。また、包装紙供給部12は、第1挿入ガイド板21および第2挿入ガイド板22のロール支持部15とは反対側に給紙ローラ23および補助ローラ機構24を有している。
【0017】
第1挿入ガイド板21および第2挿入ガイド板22は、いずれも鉛直方向に沿っており、ロール支持部15側に開口を形成するように互いに水平方向に間隔をあけて配置されている。第1挿入ガイド板21および第2挿入ガイド板22は、ロール支持部15側の間隔が広くロール支持部15から離れるほど間隔が狭くなるように互いに傾斜して配置されている。
【0018】
第1挿入ガイド板21は第2挿入ガイド板22よりもロール支持部15とは反対方向に延出している。第2挿入ガイド板22は、ロール支持部15から離れるほど間隔が狭くなるように第1挿入ガイド板21に対して傾斜する基板部22Aと、基板部22Aのロール支持部15側の端部から第1挿入ガイド板21から離れる方向に延出する口元板部22Bとを有している。ここで、包装紙ロールS1は、その包装紙Sの繰り出しの基点が、第1挿入ガイド板21と第2挿入ガイド板22とを結ぶ方向の第2挿入ガイド板22側に位置する向きでロール支持部15に取り付けられている。包装紙ロールS1から繰り出される包装紙Sは第2挿入ガイド板22の基板部22Aに接触しながら第1挿入ガイド板21と第2挿入ガイド板22との間を通過する。
【0019】
給紙ローラ23は、第2挿入ガイド板22のロール支持部15とは反対側に配置されており、その第1挿入ガイド板21側の外周面が第2挿入ガイド板22の基板部22Aの延長線上に位置するように配置されている。また、給紙ローラ23は、そのロール支持部15とは反対側の外周面が第1挿入ガイド板21のロール支持部15とは反対側の端部よりも、ロール支持部15に対し反対側に位置するように配置されている。給紙ローラ23は、位置固定の中央の軸部23Aを中心に鉛直軸回りに回転するものであり、
図2に示す給紙駆動モータ31で駆動されて回転する。給紙駆動モータ31はパルス制御されるステッピングモータである。
【0020】
補助ローラ機構24は、位置固定の軸部33と、軸部33を中心に鉛直軸回りに回転するアーム34と、アーム34の先端部に鉛直方向に沿って設けられた支持軸部35と、支持軸部35にこれを中心に回転可能に支持された補助ローラ36と、アーム34を付勢するバネ部材37とを有している。
【0021】
軸部33は、第1挿入ガイド板21のロール支持部15とは反対側に配置されており、アーム34は、軸部33から第1挿入ガイド板21の先端部よりもロール支持部15とは反対側を通って給紙ローラ23のロール支持部15とは反対側まで延出している。よって、アーム34の先端部に設けられた支持軸部35および補助ローラ36は、給紙ローラ23のロール支持部15とは反対側に配置されており、補助ローラ36は給紙ローラ23のロール支持部15とは反対側の外周面に当接可能となっている。バネ部材37は、補助ローラ36を給紙ローラ23に押し付けるようにアーム34の補助ローラ36とは反対側を付勢している。
【0022】
上記のように包装紙ロールS1から繰り出される包装紙Sは第2挿入ガイド板22の基板部22Aに接触し給紙ローラ23の外周面に倣って略90°湾曲して給紙ローラ23と補助ローラ36との間に挟まれる。給紙ローラ23および補助ローラ36は、ロール支持部15に支持された包装紙ロールS1から包装紙Sを引き出して供給先となる包装部13に向けて送り出す。
【0023】
包装紙供給部12は、給紙ローラ23および補助ローラ36の第1挿入ガイド板21とは反対側に給紙ガイド部40を有している。この給紙ガイド部40は、給紙ローラ23側に配置される第1供給ガイド板41と、第1供給ガイド板41の給紙ローラ23とは反対側に配置される第2供給ガイド板42と、第2供給ガイド板42の第1供給ガイド板41とは反対側の端部に並設される第3供給ガイド板43とを有している。第1供給ガイド板41、第2供給ガイド板42および第3供給ガイド板43は、いずれも鉛直方向に沿っている。
【0024】
第1供給ガイド板41は、給紙ローラ23側に平板状の上流板部41Aを有しており、給紙ローラ23とは反対側に湾曲板状の下流板部41Bを有している。上流板部41Aは、第2挿入ガイド板22の基板部22Aと略直交しており、その下流板部41Bとは反対側への延長線上に給紙ローラ23のロール支持部15とは反対側の外周面および補助ローラ36のロール支持部15側の外周面が配置されている。下流板部41Bは、上流板部41Aの給紙ローラ23とは反対側の端部から給紙ローラ23から離れるほどロール支持部15からも離れるように湾曲して延出している。
【0025】
第2供給ガイド板42は、ロール支持部15側に平板状の上流板部42Aを有しており、中間部からロール支持部15とは反対側にかけて湾曲板状の下流板部42Bを有している。上流板部42Aは、第1供給ガイド板41の下流板部41Bの給紙ローラ23とは反対側に配置されており、ロール支持部15に対し反対側ほど給紙ローラ23から離れるように傾斜している。下流板部42Bは、上流板部42Aのロール支持部15とは反対側の端部から第1供給ガイド板41の下流板部41Bの延長上でこの下流板部41Bと略同様に湾曲して延出している。
【0026】
第3供給ガイド板43は、第2供給ガイド板42の下流板部42Bの上流板部42Aとは反対側の端部と平行をなす下流板部43Aと、下流板部43Aの第1供給ガイド板41側の端部から、第1供給ガイド板41側ほど第2供給ガイド板42の下流板部42Bから離れるように下流板部43Aに対し傾斜して延出する上流板部43Bとを有している。第3供給ガイド板43の下流板部43Aの延在方向は、給紙ローラ23および補助ローラ36の共通接線方向に対して略直交する。
【0027】
上記のように給紙ローラ23と補助ローラ36との間に挟まれた包装紙Sは、第1供給ガイド板41の下流板部41Bに沿って湾曲し、第2供給ガイド板42の下流板部42Bに沿って湾曲して、第2供給ガイド板42の下流板部42Bと第3供給ガイド板43の下流板部43Aとの間を通って、これら下流板部42Bおよび下流板部43Aの間の出口45からこれら下流板部42Bおよび下流板部43Aに沿って繰り出される。これら下流板部42Bおよび下流板部43Aの前方に包装部13が配置されている。その結果、第1供給ガイド板41、第2供給ガイド板42および第3供給ガイド板43を有する給紙ガイド部40は、給紙ローラ23および補助ローラ36で送り出される包装紙Sの先端部を包装部13へ向けてガイドする。
【0028】
包装部13は鉛直方向に沿う三本の包装ローラ47を有する従来と同様のものであり、これら包装ローラ47の間に上下方向に集積された図示略の集積硬貨が配置されると、包装ローラ47が集積硬貨とで包装紙Sを挟持しつつ回転して集積硬貨に包装紙Sを巻き付けて集積硬貨を包装する。
【0029】
包装紙供給部12は、テープ切断部52を有している。テープ切断部52は、基部材55と、基部材55に取り付けられるカッタ保持部材56と、カッタ保持部材56に取り付けられてカッタ保持部材56よりも第1供給ガイド板41側に突出するカッタ57とを有している。給紙ローラ23が停止させられた状態で包装紙Sが包装部13に引き込まれると、包装紙Sがカッタ57に接触して切断される。
【0030】
包装紙供給部12は、給紙ガイド部40の包装部13側の端部近傍となる第2供給ガイド板42と第3供給ガイド板43との間の出口45の位置に、この出口45の位置の包装紙Sの先端部を検知する定位置検知センサ61が設けられている。定位置検知センサ61は発光素子61Aと受光素子61Bとを有する透過型の光センサであり、発光素子61Aの発光を、受光素子61Bが受光している状態から包装紙Sで遮光されることにより受光素子61Bが受光しなくなると、包装紙Sの先端部を検知する。上記したカッタ57は、この定位置検知センサ61と給紙ローラ23との間に配置されて包装紙Sを切断する。
【0031】
硬貨処理装置11は、上記した定位置検知センサ61に接続され、定位置検知センサ61の検知結果に基づいて給紙駆動モータ31の駆動および停止を制御する
図2に示す制御部63を有している。つまり、制御部63は、定位置検知センサ61の検知結果に基づいて給紙ローラ23の駆動および停止を制御する。制御部63は包装部13も制御する。硬貨処理装置11には、包装動作の開始の操作入力を受け付ける開始釦65が設けられており、この開始釦65も制御部63に接続されている。制御部63には、包装する硬貨の金種に応じた包装紙Sの長さ情報に相当する給紙駆動モータ31の回転量等を記憶する記憶部66が接続されている。
【0032】
次に、制御部63の制御内容について説明する。
包装紙供給部12は、
図3に示すように、包装紙Sの先端部を定位置検知センサ61よりも上流側つまり給紙ローラ23側に配置した待機状態で待機している(詳細は後述)。
【0033】
この状態で、図示略の選択設定部で包装対象の硬貨の金種が設定されて、開始釦65が押圧操作されると、制御部63は、記憶部66から包装対象の金種に対して設定された包装紙Sの長さに対応する給紙駆動モータ31の回転量を読み出す。そして、制御部63は、包装動作を開始して、
図1に示すように、定位置検知センサ61が包装紙Sの先端部を検知するまで給紙駆動モータ31を駆動して給紙ローラ23で包装紙Sを送り出す準備ステップを行う。
【0034】
他方で、開始釦65が押圧操作されると、制御部63は、図示略の投入部に投入されたバラ硬貨を図示略の識別部で識別して分別し、包装対象の金種の硬貨を順次所定枚数集積して集積硬貨を作製し、この集積硬貨を包装部13の3つの包装ローラ47の内側に配置する。この状態で、制御部63は、準備ステップ後の給紙駆動モータ31を駆動して給紙ローラ23で包装紙Sを包装部13側に送り出し、所定の包装ローラ47と集積硬貨との間に挿入して3つの包装ローラ47を集積硬貨に押し付けながら回転させて包装紙Sを集積硬貨に巻き付ける供給ステップを実行する。
【0035】
この供給ステップの開始時点から、制御部63は、給紙駆動モータ31の回転量が、記憶部66から読み出した上記の回転量となると、給紙ローラ23を停止させて、包装部13に引き込まれる包装紙Sをカッタ57に接触させて切断する。これにより、包装紙ロールS1側から分断された包装紙Sの長さが包装対象の金種に応じた長さとなり、この分断された包装紙Sが集積硬貨に巻き付けられる。つまり、供給ステップで、制御部63は、定位置検知センサ61が包装紙Sの先端部を検知する位置を基準に給紙ローラ23で包装紙Sを包装対象の金種に応じた所定量送り出してカッタ57で切断する。
【0036】
制御部63は、3つの包装ローラ47で包装紙Sを集積硬貨に巻き付けた後、包装紙Sの両端を加締めることで包装硬貨つまり棒金を作製して、この棒金を包装部13から排出する。また、制御部63は、上記した供給ステップの後、定位置検知センサ61が包装紙Sの先端部を検知するまで給紙駆動モータ31を駆動して給紙ローラ23で包装紙Sを送り出し、
図3に示すように定位置検知センサ61が包装紙Sの先端部を検知すると給紙駆動モータ31を停止して給紙ローラ23を停止させる準備ステップを行う。
【0037】
棒金が包装部13から排出されると、制御部63は、次の集積硬貨を3つの包装ローラ47の内側に配置して、上記した供給ステップを実行する。
【0038】
以上により、包装動作中、包装紙供給部12について見てみると、制御部63は、定位置検知センサ61が包装紙Sの先端部を検知する位置を基準に給紙ローラ23で包装紙Sを所定量送り出してカッタ57で切断する供給ステップと、定位置検知センサ61が包装紙Sの先端部を検知するまで給紙ローラ23で包装紙Sを送り出す準備ステップと、を交互に包装数に応じた回数繰り返す。
【0039】
ここで、ロール支持部15の載置台18は、給紙ローラ23で包装紙ロールS1から包装紙Sが引き出されている間はこの引き出しの力により回転し、給紙ローラ23による包装紙Sの引き出しが停止されると、回転抵抗によりブレーキがかかって即座に停止する。よって、包装動作開始にあたって最初の準備ステップを実行すると、包装紙Sは、包装紙ロールS1から給紙ローラ23と補助ローラ36との挟持部分までの間が、たるみのない状態となっている。
【0040】
そして、制御部63は、包装部13の図示略の識別部で硬貨が所定時間検出されなくなったり、図示略の終了釦が押圧操作されたりすると、その時点で包装処理中の集積硬貨を包装した後に、包装動作を終了することになる。この包装動作の終了時に、制御部63は、記憶部66から所定の戻し回転量を読み出し、この戻し回転量だけ給紙駆動モータ31を逆転させる終了ステップを実行する。つまり、この終了ステップでは、
図1に示す準備ステップ後の包装紙Sを給紙ローラ23で
図3に示すように所定量引き戻す。これにより、停止した状態にある包装紙ロールS1に対して、
図3に示すように包装紙Sがたるむことになる。
【0041】
ここで、給紙駆動モータ31の戻し回転量すなわち終了ステップで給紙ローラ23が包装紙Sを引き戻す所定量は、包装紙Sが給紙ローラ23を越えて包装紙ロールS1側に戻ることがない量となっている。また、この所定量は、その後、包装対象の全金種のうちのいずれの金種が選択設定されて供給ステップが行われたとしてもカッタ57による切断で包装紙Sの先端部となる部分が、給紙ローラ23と補助ローラ36との挟持位置から離れる量に設定されている。
【0042】
ここで、上述したように、開始釦65が押圧操作されると、制御部63は、包装動作を開始して、定位置検知センサ61が包装紙Sの先端部を検知するまで給紙駆動モータ31を駆動して給紙ローラ23で包装紙Sを送り出す準備ステップを行うことになるが、例えば、包装部13の図示略の投入部へのバラ硬貨の投入が忘れられている場合や、投入部でジャムが生じてバラ硬貨が送り出せない状態が生じている場合には、準備ステップの実行後、所定時間経過時点で当該準備ステップの次の供給ステップが実行できない状態となる。このように準備ステップの実行後、所定時間経過時点で当該準備ステップの次の供給ステップが実行できない状態となると、制御部63は、終了ステップを実行して包装紙Sを給紙ローラ23で所定量引き戻した待機状態となる。これにより、停止した状態にある包装紙ロールS1に対して包装紙Sがたるむことになる。
【0043】
また、バラ硬貨を投入することなく、包装紙ロールS1を交換する場合には、包装紙ロールS1をロール支持部15にセットして包装紙Sを包装紙ロールS1から引き出し、第1挿入ガイド板21と第2挿入ガイド板22との間を通し、給紙ローラ23と補助ローラ36との間に通してから、開始釦65を押圧操作する。すると、制御部63は、包装動作を開始して、
図1に示すように定位置検知センサ61が包装紙Sの先端部を検知するまで給紙駆動モータ31を駆動して給紙ローラ23で包装紙Sを送り出す準備ステップを行い、その後、所定時間経過時点で当該準備ステップの次の供給ステップが実行できない状態となる。これにより、制御部63は、終了ステップを実行して包装紙Sを給紙ローラ23で
図3に示すように所定量引き戻した待機状態となる。よって、包装紙ロールS1の交換時に包装紙Sを待機状態にするための専用の操作が不要となり、そのための専用の操作を受け付ける操作部も不要となる。
【0044】
以上に述べた本実施形態によれば、包装動作中、制御部63は、定位置検知センサ61が包装紙Sの先端部を検知する位置を基準に給紙ローラ23で包装紙Sを所定量送り出してカッタ57で切断する供給ステップと、定位置検知センサ61が包装紙Sの先端部を検知するまで給紙ローラ23で包装紙Sを送り出す準備ステップと、を交互に繰り返して、所定長さの包装紙Sを順次包装部13に供給する。そして、制御部63は、包装動作の終了時には、準備ステップ後の包装紙Sを給紙ローラ23で所定量引き戻す終了ステップを実行する。すると、包装紙ロールS1と給紙ローラ23と間の包装紙Sにたるみが生じることになり、包装紙Sの給紙ローラ23への押し付け力が低減される。よって、包装紙Sの給紙ローラ23への接触部分に巻き癖がつくことを抑制できる。したがって、包装紙Sの供給不良の発生を抑制することができる。
【0045】
また、制御部63は、開始釦65が操作されると準備ステップを実行することになるが、当該準備ステップの実行後、所定時間経過時点で当該準備ステップの次の供給ステップが実行できない場合に、終了ステップを実行する。このため、包装部13に硬貨がない等、包装ができない状態で開始釦65が操作されてしまっても、包装紙Sの給紙ローラ23への接触部分に巻き癖がつくことを抑制できる。
【0046】
ここで、金種によっては、定位置検知センサ61により先端部が検知された状態の包装紙Sは、給紙ローラ23に接触する範囲に、カッタ57により切断されて先端部となる部分が位置することになる。この場合、終了ステップを実行しなければ、包装紙Sの後に先端部となる部分に巻き癖が残る状態になり、先端部となったときに供給不良がより発生しやすくなる。よって、定位置検知センサ61により先端部が検知された状態の包装紙Sの給紙ローラ23に接触する範囲に、後に先端部となる部分が位置する場合には、特に終了ステップを実行することによる効果が顕著となる。
【0047】
上記硬貨処理装置11においては、
図4に示すように、ロール支持部15と、第1挿入ガイド板21および第2挿入ガイド板22との間に、印字ユニット71を追加することができる。この印字ユニット71は、一対のフリーローラ72,73と、これらフリーローラ72,73の間に配置された印字部74とを有している。ロール支持部15に支持された包装紙ロールS1から引き出された包装紙Sは、ロール支持部15側のフリーローラ72に掛けられた後、ロール支持部15とは反対側のフリーローラ73に掛けられる。印字部74は、包装紙Sのこれらフリーローラ72,73間の直線状の部分に印字を行う。印字ユニット71は、フリーローラ73から延出する包装紙Sを第1挿入ガイド板21と第2挿入ガイド板22との間に導く複数のフリーローラを75,76を有している。
【0048】
このように印字ユニット71を設ける場合においても、上記と同様に、包装紙供給部12は包装紙Sの先端部を定位置検知センサ61よりも上流側つまり給紙ローラ23側に配置した待機状態で待機する(
図5参照)。開始釦65が押圧操作されると、制御部63は、包装動作を開始して、
図4に示すように、定位置検知センサ61が包装紙Sの先端部を検知するまで給紙駆動モータ31を駆動して給紙ローラ23で包装紙Sを送り出す準備ステップを行う。また、制御部63は、準備ステップと並行して、集積硬貨を作製し、この集積硬貨を包装部13の3つの包装ローラ47の内側に配置する。この状態で、制御部63は、給紙駆動モータ31を駆動して給紙ローラ23で包装紙Sを包装部13側に送り出し、所定の包装ローラ47と集積硬貨との間に挿入して3つの包装ローラ47を集積硬貨に押し付けながら回転させて包装紙Sを集積硬貨に巻き付けるとともに、給紙ローラ23を停止させて包装紙Sをカッタ57に接触させて切断する供給ステップを実行する。
【0049】
上記した供給ステップの後、
図4に示すように、定位置検知センサ61が包装紙Sの先端部を検知するまで給紙駆動モータ31を駆動して給紙ローラ23で包装紙Sを送り出す準備ステップを行う。包装動作中、包装紙供給部12については、制御部63が、供給ステップと準備ステップと、を交互に繰り返す。そして、制御部63は、包装動作を終了する際には、所定の戻し回転量だけ給紙駆動モータ31を逆転させる終了ステップを実行して、停止した状態にある包装紙ロールS1に対して包装紙Sをたるませる。