【解決手段】手数料決定装置1は、預金口座への預入金額及び預入予定期間の入力を受ける入力受付部61と、預入予定期間が終了してから所定の期間内に預金口座内の預金が外貨に換金される確率を示す換金確率情報を算出する換金確率算出部62と、換金確率情報に基づいて、預入予定期間が終了してから所定の期間内に預金口座内の預金を外貨に換金する場合の換金レート又は手数料を決定する手数料決定部63と、を備える。
前記換金確率算出部は、複数の前記預金口座内のうち、前記預入予定期間が終了してから所定の期間内に前記預金口座内の預金が外貨に換金された預金口座の割合に基づいて、前記換金確率情報を算出する、
請求項1に記載の手数料決定装置。
前記手数料決定部は、前記預金口座内の預金が外貨に換金されるときよりも前の所定期間における複数の前記預金口座の残高と、金利とにさらに基づいて、前記換金レート又は手数料を決定する、
請求項1又は2に記載の手数料決定装置。
前記手数料決定部は、前記預入予定期間よりも前に前記預金口座内の預金を外貨に換金する場合の前記換金レート又は手数料を、前記預入予定期間を過ぎてから前記預金口座内の預金を外貨に換金する場合の前記換金レート又は手数料と異ならせる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の手数料決定装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の両替装置のように、顧客が保有している取引口座の種類に応じて両替手数料を決定すると、両替が発生する頻度が想定している頻度より高い場合に、採算性が悪化する。特に、外貨への両替を行う場合は、窓口対応が必要になることが多いため人件費がかかることに加えて、外貨を管理する費用や外貨を調達する費用も発生する。したがって、特許文献1のように口座の種別によって手数料を決定する手法はリスクが高く、従来は、外貨に両替する際の手数料を値引きすることが困難であった。一方で、外貨両替時の手数料を全く値引きしないと顧客満足度が低下し、他銀行に対する優位性が劣ってしまうため、結局のところ銀行の採算性を悪化させてしまう。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、顧客満足度と銀行の採算性の双方を考慮した換金レート又は手数料を決定可能な手数料決定装置、手数料決定方法及び手数料決定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、預金口座への預入金額及び預入予定期間の入力を受ける入力受付部と、前記預入予定期間が終了してから所定の期間内に前記預金口座内の預金が外貨に換金される確率を示す換金確率情報を算出する換金確率算出部と、前記換金確率情報に基づいて、前記預入予定期間が終了してから所定の期間内に前記預金口座内の預金を外貨に換金する場合の換金レート又は手数料を決定する手数料決定部と、を備える手数料決定装置を提供する。
【0007】
また、前記換金確率算出部は、複数の前記預金口座内のうち、前記預入予定期間が終了してから所定の期間内に前記預金口座内の預金が外貨に換金された預金口座の割合に基づいて、前記換金確率情報を算出することとしてもよい。
【0008】
また、前記手数料決定部は、前記預金口座内の預金が外貨に換金されるときよりも前の所定期間における複数の前記預金口座の残高と、金利とにさらに基づいて、前記換金レート又は手数料を決定することとしてもよい。
【0009】
また、前記手数料決定部は、前記預入予定期間よりも前に前記預金口座内の預金を外貨に換金する場合の前記換金レート又は手数料を、前記預入予定期間を過ぎてから前記預金口座内の預金を外貨に換金する場合の前記換金レート又は手数料と異ならせることとしてもよい。
【0010】
また、前記換金確率算出部は、前記預入予定期間の長さに関連づけて、前記換金確率情報を算出し、前記手数料決定部は、前記預入予定期間の長さに基づいて前記換金レート又は前記手数料を決定することとしてもよい。
【0011】
また、前記入力受付部は、前記預入予定期間の終了後に換金する予定の外貨種別の入力をさらに受け、前記手数料決定部は、前記換金した外貨の種別が、前記入力受付部が入力を受けた前記外貨種別に一致するか否かに基づいて、前記換金レート又は前記手数料を決定することとしてもよい。
【0012】
また、手数料決定装置は、前記預入金額と前記換金確率情報とに基づいて、前記入力受付部が入力を受けた前記外貨種別の準備額を算出する準備額算出部をさらに備えることとしてもよい。
【0013】
また、本発明の第2の態様においては、預金口座への預入金額及び預入予定期間の入力を受けるステップと、前記預入予定期間が終了してから所定の期間内に前記預金口座内の預金が外貨に換金される確率を示す換金確率情報を算出するステップと、前記換金確率情報に基づいて、前記預入予定期間が終了してから所定の期間内に前記預金口座内の預金を外貨に換金する場合の換金レート又は手数料を決定するステップと、を含む手数料決定方法を提供する。
【0014】
また、本発明の第3の態様においては、端末装置と、前記端末装置と通信可能に接続された手数料決定装置と、を備える手数料決定システムであって、前記端末装置は、預金口座への預入金額及び預入予定期間の入力操作を受け付ける操作受付部を有し、前記手数料決定装置は、前記操作受付部が受け付けた前記預入金額及び前記預入予定期間の入力を受ける入力受付部と、前記預入予定期間が終了してから所定の期間内に前記預金口座内の預金が外貨に換金される確率を示す換金確率情報を算出する換金確率算出部と、前記換金確率情報に基づいて、前記預入予定期間が終了してから所定の期間内に前記預金口座内の預金を外貨に換金する場合の換金レート又は手数料を決定する手数料決定部と、を有する、手数料決定システムを提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、顧客満足度と銀行の採算性の双方を考慮した換金レート又は手数料を決定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[手数料決定装置1の構成]
図1は、本発明の手数料決定装置1の機能構成図である。手数料決定装置1は、例えば、銀行の行員に用いられる端末装置からアクセス可能なコンピュータであり、定期預金等の預金口座に預け入れられた預金を外貨に換金する際の換金レート又は手数料を決定する。本実施形態では、複数年の預入期間の後に、ユーザが、預け入れした預金の少なくとも一部を外貨に換金することを想定している。このようなケースの具体的な一例として、定期的に行われる国際的なイベント(ワールドカップ、オリンピック(登録商標)等)に合わせて積み立てた預金を、イベント開催に合わせて開催国の貨幣に換金することが考えられる。
【0018】
なお、手数料決定装置1は、1台の端末装置により実現されることとしてもよく、また、複数台の端末装置により実現されることとしてもよい。一例として、預金口座の開設を受け付ける端末装置と、換金レート又は手数料を決定する端末装置とは同一装置であってもよく、また、別装置であってもよい。また、手数料決定装置1は、各行員が用いる端末装置であってもよい。
【0019】
図1に示すように、手数料決定装置1は、入力部2と、表示部3と、記憶部4と、通信部5と、制御部6と、を含んで構成される。
【0020】
入力部2は、例えば、マウス、キーボード、各種ボタンやタッチパネル等により構成されており、手数料決定装置1を用いる行員等から操作入力を受け付ける。
表示部3は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等により構成される。
【0021】
記憶部4は、例えば、ROM及びRAM等により構成される。記憶部4は、手数料決定装置1を機能させるための各種プログラムを記憶する。例えば、記憶部4は、手数料決定装置1の制御部6を、後述する入力受付部61、換金確率算出部62、手数料決定部63及び準備額算出部64として機能させるためのプログラムを記憶する。記憶部4は、外部メモリ等の記憶媒体に記憶されたプログラムを読み取って記憶してもよく、ネットワークを介して外部機器からダウンロードされたプログラムを記憶してもよい。
【0022】
通信部5は、所定の通信回線を介して外部機器との間で通信を行う。一例として、口座が開設されると、通信部5は、銀行で取り扱っている預金口座を管理する口座管理サーバ70に対して開設した預金口座に関する情報を送信する。また、換金レートや手数料を決定するとき等には、通信部5は、口座管理サーバ70から銀行で取り扱う預金口座やその他の各種必要な情報を取得し、制御部6に出力する。
【0023】
制御部6は、例えば、CPUにより構成される。制御部6は、記憶部4に記憶されている各種プログラムを実行することにより、手数料決定装置1に係る機能を統括的に制御する。具体的には、本実施形態において制御部6は、入力受付部61と、換金確率算出部62と、手数料決定部63と、準備額算出部64と、を含んで構成される。
【0024】
入力受付部61は、預金口座の開設時に入力部2又は行員の端末装置を介して指定された各種情報の入力を受け付ける。ここで、預金口座開設時に表示部3に表示される入力画面30の一例を
図2に示す。
図2に示すように、入力画面30は、毎月(又は総額)の預入金額を指定する入力欄と、預入予定期間を指定する入力欄と、預入予定期間の終了後に換金する予定の外貨種別を指定する入力欄と、を少なくとも含む。入力受付部61は、これら預金口座への預入金額、預入予定期間及び換金予定の外貨種別に関する情報を、入力画面30を介して受け付ける。入力受付部61は、行員の端末装置において入力された預入金額及び預入予定期間を、通信回線を介して受け付けてもよい。入力受付部61が受け付けた各種情報は、通信部5を介して口座管理サーバ70に送信され、口座管理サーバ70において管理される。
【0025】
換金確率算出部62は、預入予定期間が終了してから、即ち満期になってから所定の期間内に預金口座内の預金が外貨に換金される確率を示す換金確率情報を算出して、算出した換金確率情報を記憶部4又は口座管理サーバ70に記憶させる。換金確率情報の算出方法は任意であるが、一例として、換金確率算出部62は、開設した複数の預金口座のうち、預入予定期間が終了してから所定の期間内に預金口座内の預金が外貨に換金された預金口座の割合に基づいて、換金確率情報を算出する。
ここで、換金確率情報は、外貨換金時の換金レート又は手数料の算出に用いられるが、換金レート又は手数料は、後述するように預入予定期間毎に算出する。そのため、換金確率算出部62は、預入予定期間の長さに関連づけて換金確率情報を算出することが好ましい。
【0026】
なお、預金をした人は、預金口座内の一部の預金を外貨に換金する場合が多いと考えられる。そこで、換金確率算出部62は、所定の期間内に外貨に換金される額に関連付けて、換金確率情報を算出してもよい。例えば、換金確率算出部62は、100万円の預金のうち、所定の期間内に10万円が換金される確率が70%、所定の期間内に20万円が換金される確率が50%、所定の期間内に100万円が換金される確率が10%というように換金確率を算出することができる。
【0027】
手数料決定部63は、預金口座内の預金を外貨に換金する場合の換金レート又は手数料を決定する。決済方法が多様化した近年では、外貨への換金は、預金した貨幣を外国貨幣に換金する態様の他、外国におけるクレジットカードでの決済を預金口座から引き落とす態様が考えられる。そのため、預金口座内の預金を外貨に換金するとは、例えば、預金した貨幣を外国貨幣に換金することに加え、外国におけるクレジットカード決済に伴う引き落としを預金口座の預金から行うことを含むこととしてよい。
【0028】
ここで、
図3を参照して、手数料決定部63による換金レート又は手数料の決定方法の一例について説明する。
図3Aに示すように、手数料決定部63は、換金確率情報、予想運用益、預入予定期間及び換金対象外貨等の各種情報に基づいて換金レート又は手数料を決定する。なお、手数料決定部63は、単独の情報のみに基づいて換金レート又は手数料を決定することとしてもよく、夫々の情報を適宜組み合わせて換金レート又は手数料を決定することとしてもよい。
【0029】
換金確率が高く多くの顧客が外貨に換金する場合、換金レート又は手数料を大きく軽減すると銀行の採算性が悪化する。そのため、手数料決定部63は、預入予定期間が終了してから所定の期間内に預金口座内の預金を外貨に換金する場合の換金レート又は手数料を、換金確率情報に基づいて決定する。一例として、
図3A(A)に示すように、手数料決定部63は、換金確率が高い場合は換金レート又は手数料の優遇幅を小さくし、換金確率が低い場合は換金レート又は手数料の優遇幅を大きくする。これにより、多くの顧客が外貨に換金する場合であっても、優遇幅を想定内に収めることができ、採算性を向上させることができる。
【0030】
また、外貨換金に伴う銀行の採算性は、預金口座内の預金の運用益と換金レート又は手数料との関係等により決まる。そこで、
図3A(B)に示すように、手数料決定部63は、預金口座内の預金の予想運用益に基づいて、より具体的には、預金口座内の預金が外貨に換金されるときよりも前の所定期間における複数の預金口座の残高と金利とに基づいて、換金レート又は手数料の優遇幅を算出することとしてもよい。これにより、運用益に基づいて換金レート又は手数料の優遇幅を算出できるので、採算性が悪化してしまうことを防止できる。
【0031】
また、預金の預入予定期間が長い場合、銀行では預金の運用を長期間行うことができ、銀行は運用益を得ることができる。そのため、手数料決定部63は、預入予定期間の長さに基づいて換金レート又は手数料を決定することとしてもよい。一例として、
図3A(C)に示すように、手数料決定部63は、預入予定期間が長いほど換金レート又は手数料の優遇幅を大きくする。これにより、運用益が見込まれる場合に優遇幅を大きくすることができるため、顧客満足度を向上させることができるとともに、預入予定期間が短い場合であっても優遇幅が小さくなるため、どの預入予定期間が選択された場合であっても、採算性が悪化してしまうことを防止できる。
【0032】
また、外貨への換金を行う場合、銀行では外貨を調達しておかなければならず、外貨の管理費用や調達費用が発生する。銀行にとってみれば、換金対象の外貨種別が予め分かっていれば調達計画を立てやすく管理が容易になる。そのため、手数料決定部63は、換金対象の外貨種別が入力画面30を介して指定された予定外貨と一致するか否かに応じて、換金レート又は手数料の優遇幅を算出することとしてもよい。より具体的には、
図3A(D)に示すように、手数料決定部63は、換金対象の外貨種別が予定外貨である場合には優遇幅を大きくし、予定外の外貨である場合には優遇幅を小さくする。これにより、予定通りの外貨に換金するように動機付けることができ、外貨の調達計画が立てやすくなる。
【0033】
手数料決定部63は、このようにして決定した優遇幅に従い換金レート又は手数料を決定する。一例として、為替レートに3円上乗せして外貨に換金する場合、上乗せする3円を優遇幅に従い調整し、換金レート又は手数料を決定する。即ち、手数料決定部63は、優遇幅に基づいて上乗せ分を0円から3円の範囲で調整する。具体的には、優遇幅が小さい場合は上乗せ分を3円に近い方に調整し、優遇幅が大きい場合は上乗せ分を0円に近い方に調整する。
【0034】
なお、顧客によっては預入予定期間の途中で口座を解約し、外貨への換金を望むことがある。このような途中で解約した顧客と、満期まで継続した顧客とを同じ換金レート又は手数料としたのでは公平性に欠ける。そこで、手数料決定部63は、預入予定期間よりも前に預金口座内の預金を外貨に換金する場合の換金レート又は手数料を、預入予定期間を過ぎてから預金口座内の預金を外貨に換金する場合の換金レート又は手数料と異ならせることとしてもよい。具体的な方法は任意であるが、本実施形態では、手数料決定部63は、換金確率情報、予想運用益、預入予定期間及び換金対象外貨等の各種情報に基づいて決定された優遇幅を預入期間に基づいて補正することで、途中解約時の換金レート又は手数料と満期解約時の換金レート又は手数料とを異ならせることとしている。
【0035】
一例として、
図3Bに示すように、預入期間に対して最低預入期間が設定されている場合、手数料決定部63は、外貨換金時と最低預入期間との関係から優遇幅を補正する。ここで、
図3Bにおいて、ユーザA1は、預入予定期間を過ぎてから預金口座内の預金を外貨に換金するユーザであり、ユーザA2は、預入予定期間よりも前であるが最低預入期間を過ぎてから預金口座内の預金を外貨に換金するユーザであり、ユーザA3は、最低預入期間よりも前に預金口座内の預金を外貨に換金するユーザである。
【0036】
ユーザA1のように預入予定期間を過ぎてから外貨に換金する場合、手数料決定部63は、各種情報に基づいて決定された優遇幅(
図3A参照)をそのまま利用して換金レート又は手数料を決定する。また、ユーザA3のように最低預入期間よりも前に外貨に換金する場合、手数料決定部63は、優遇幅を0にして換金レート又は手数料を決定する。
他方、ユーザA2のように最低預入期間を過ぎてから外貨に換金する場合、手数料決定部63は、預入期間の長さに応じて優遇幅を補正して換金レート又は手数料を決定する。例えば、預入予定期間が10年で最低預入期間が6ヶ月である場合、手数料決定部63は、預入期間が6ヶ月から3年までは預入期間が長くなる毎に優遇幅を大きくして換金レート又は手数料を決定し、預入期間が3年以上では最大の優遇幅で換金レート又は手数料を決定する。
【0037】
なお、
図3Bに示す例では、優遇幅の補正を預入期間に基づいて行うこととしているが、積み立てた預金の残高に基づいて優遇幅を補正することとしてもよい。即ち、手数料決定部63は、最低積立額を設定し、外貨換金時の預金残高と最低積立額との関係から優遇幅を補正することとしてもよい。
【0038】
また、手数料決定部63は、預入予定期間を過ぎてから所定の期間が経過するまでに外貨に換金された場合に、優遇幅が大きくなるように補正してもよい。例えば、ユーザが、3年後に開催される予定のワールドカップに合わせて預金口座を開設し、ユーザが、予定通りに、ワールドカップに行くために外貨に換金した場合、手数料決定部63は、優遇幅を最も大きくしてもよい。手数料決定部63は、換金確率が所定値よりも小さいことを条件に、手数料を無料にしてもよい。このようにすることで、将来の海外で開催されるイベントを目標にして外貨預金をするように、ユーザに動機付けることができる。
【0039】
図2に戻り、準備額算出部64は、預金口座の預入金額と換金確率情報とに基づいて、入力画面30を介して指定された予定外貨の準備額を算出する。即ち、準備額算出部64は、預入金額と換金確率とを乗算することにより将来換金される外貨の総額を予想し、準備額として算出する。準備額算出部64は、所定の期間内に外貨に換金される額に関連付けて換金確率が算出されている場合は、換金確率に対応する換金額と換金確率とを乗算することにより、準備額を算出する。銀行にとってみれば、予め外貨の準備額が把握できるため、適切な額の外貨を準備することができ、好適である。
【0040】
[手数料決定装置1の処理]
以上、本発明の手数料決定装置1の構成について説明した。続いて、手数料決定装置1の処理の流れについて説明する。
図4は、手数料決定装置1が換金レート又は手数料の優遇幅を算出する際の処理の流れを示すフローチャートであり、
図5は、手数料決定装置1が預金口座の開設及び外貨への換金を行う際の処理の流れを示すフローチャートである。
【0041】
初めに、
図4を参照して、手数料決定装置1が換金レート又は手数料の優遇幅を算出する処理について説明する。なお、手数料決定装置1は、換金レート又は手数料の優遇幅を任意のタイミングで算出することができる。例えば、手数料決定装置1は、預金口座の開設時に過去の実績値(換金確率、予想運用益等)から優遇幅を算出することができ、また、手数料決定装置1は、外貨換金時に最新の実績値から優遇幅を算出することができる。
そのため、
図4に示すフローチャートは、手数料決定装置1が任意のタイミングで実行する処理を示す。
【0042】
ステップS1において、換金確率算出部62は、預入期間に初期値(例えば、1年)をセットする。
図4に示す処理では、預入期間毎に優遇幅を算出することとしているため、ステップS1では、その初期値をセットしている。なお、セットした預入期間は、ステップS4,S5において更新される。
【0043】
続いて、ステップS2において、換金確率算出部62は、預入予定期間が終了してから所定の期間内に預金口座内の預金が外貨に換金される確率を示す換金確率情報を算出する。上述したように、本実施形態では、所定の期間内に外貨への換金が行われた預金口座の割合に基づいて換金確率を算出する。続いて、ステップS3において、手数料決定部63は、換金確率算出部62により算出された換金確率や予想運用益等に基づいて優遇幅を算出する。手数料決定部63は、例えば、換金確率が高い場合には小さい優遇幅を算出する(
図3A(A)参照)。
【0044】
続いて、ステップS4において、手数料決定部63は、予定されている預入期間の全てに対して優遇幅を算出したか否かを判定する。この判定がNOのとき、即ち優遇幅が算出されていない預入期間がある場合、ステップS5において、手数料決定部63は、預入期間を更新し(例えば、1年から3年に更新)、処理をステップS2に移す。
【0045】
他方、ステップS4の判定がYESのとき、即ち、全ての預入期間について優遇幅を算出し終わったとき、ステップS6において、手数料決定部63は、預入期間毎に算出した優遇幅を記憶し、処理を終了する。なお、算出した優遇幅は、手数料決定装置1の記憶部4に記憶することとしてもよく、また、口座管理サーバ70に記憶することとしてもよい。
【0046】
続いて、
図5を参照して、手数料決定装置1が口座の開設及び外貨への換金を行う際の処理について説明する。
ステップS11において、手数料決定装置1は、口座開設の申し込みを受け付けたか否かを判定する。この判定がYESのときは、入力受付部61は、処理をステップS12に移し、NOのときは、処理をステップS14に移す。
【0047】
ステップS12では、入力受付部61は、入力画面30を介して預入金額、預入予定期間及び予定外貨種別等の各種情報の入力を受け付ける。続いて、準備額算出部64は、換金確率に基づいて、予定外貨種別の準備額を算出し(ステップS13)、処理をステップS14に移す。ステップS13で算出した外貨の準備額は、関係者に通知され、当該関係者による外貨調達に利用される。
【0048】
ステップS14では、手数料決定装置1は、外貨換金の申し込みを受け付けたか否かを判定する。この判定がNOのときは、手数料決定装置1は、処理をステップS11に移し、YESのときは、処理をステップS15に移す。
【0049】
ステップS15では、手数料決定部63は、任意のタイミングで予め算出され、例えば記憶部4に記憶された、換金の申し込みを行った顧客の預金口座の予定預入期間に対応する優遇幅を取得する。続いて、ステップS16では、手数料決定部63は、外貨への換金を行う際の預入期間及び換金対象の外貨種別に基づいて優遇幅を補正する。例えば、預入予定期間の途中で顧客が外貨への換金を望んだ場合、手数料決定部63は、預入期間の長さに応じて優遇幅を補正する。また、顧客が予定外貨種別とは異なる外貨への換金を望んだ場合、手数料決定部63は、優遇幅が小さくなるように補正する。
【0050】
続いて、ステップS17では、手数料決定部63は、顧客が指定する換金額及び算出した優遇幅に基づいて外貨換金の換金レート又は手数料を決定する。即ち、手数料決定部63は、換金対象の外貨の為替レートに優遇幅に基づく上乗せ分を加算したレートを換金レートとして決定する。また、手数料決定部63は、為替レートに従い準備した外貨の調達費用と、換金レートに基づき換金した換金額との差分を、手数料として決定する。
【0051】
[手数料決定装置1の効果]
以上、本発明の手数料決定装置1の一実施形態について説明した。本発明の手数料決定装置1によれば、以下の効果を奏する。
【0052】
手数料決定装置1では、顧客が預金口座内の預金を外貨に換金することを望むと、換金のための換金レート又は手数料を決定する。このとき、手数料決定装置1は、換金レート又は手数料を、預入予定期間が終了した後に外貨に換金される確率を示す換金確率情報に基づいて決定する。
即ち、換金確率が高く多くの顧客が換金を望む場合は、換金レート又は手数料を軽減しすぎると銀行の採算性が悪化することから、換金レート又は手数料の優遇幅を低く抑え、換金レート又は手数料を確保する。他方、換金確率が低く換金を望む顧客があまりいない場合には、換金レート又は手数料の優遇幅を大きくし、換金レート又は手数料を大きく軽減し、顧客満足度を向上させる。このように手数料決定装置1では、換金確率を見て換金レート又は手数料を決定するため、顧客満足度と銀行の採算性の双方を考慮した換金レート又は手数料を決定することができる。
【0053】
なお、換金確率情報は、預入予定期間が終了してから所定の期間内に預金が外貨に換金された預金口座の割合に基づいて算出する。これにより、換金確率を容易に算出することができ、好適である。
【0054】
また、手数料決定装置1では、外貨換金前の予想運用益(即ち、預金口座の残高と金利)に基づいて換金レート又は手数料を決定するため、銀行の採算性が悪化することを確実に防止できる。
【0055】
また、手数料決定装置1は、預入予定期間が満了してから外貨への換金を行う顧客と、預入予定期間の途中で外貨への換金を行う顧客とで、異なる換金レート又は手数料を決定する。これにより、顧客への公平性を担保できるとともに、満期まで預け入れるように顧客を動機付けることができる。
【0056】
また、手数料決定装置1は、換金確率情報を預入予定期間の長さに関連付けて算出しておき、顧客の預入予定期間に関連付けられた換金確率情報に基づいて、換金レート又は手数料を決定する。これにより、預入予定期間の長さに関わらず、顧客満足度と銀行の採算性の双方を考慮した好適な換金レート又は手数料を決定できるため、顧客に対して預入予定期間を自由に選択させることが可能になり、顧客固有のニーズに対応することができる。
【0057】
また、手数料決定装置1では、顧客が換金する予定の外貨種別の入力を受け付けておき、実際に換金する外貨の種別が受け付けた予定外貨種別に一致するか否かに基づいて、換金レート又は手数料を決定する。これにより、予定通りの外貨に換金するように顧客を動機付けることができるため、外貨の調達準備計画が立てやすくなり管理コストを低減することができるとともに、顧客への更なる還元が可能になる。
【0058】
また、手数料決定装置1は、外貨への換金が行われる換金確率に基づいて、入力を受け付けた予定外貨種別の準備額を算出する。これにより、適切な額の外貨を準備することができるため、銀行の採算性を向上させることができる。
【0059】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0060】
例えば、上記の実施形態においては、手数料決定装置1において手数料を決定するものとして説明したが、行員が用いる端末装置に接続された口座管理サーバ70が、入力受付部61、換金確率算出部62、手数料決定部63及び準備額算出部64を備え、手数料を決定してもよい。この場合、行員が用いる端末装置において、預金口座への預入金額及び預入予定期間の入力操作を受け付けるとともに、口座管理サーバ70の入力受付部61が、行員が用いる端末装置から、通信回線を介して、預入金額及び預入予定期間を示す情報の入力を受けることで、端末装置及び口座管理サーバ70は、手数料決定システムを構成する。