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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-207370(P2015-207370A)
(43)【公開日】2015年11月19日
(54)【発明の名称】カード用コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/73 20110101AFI20151023BHJP
【FI】
   H01R12/73
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-85672(P2014-85672)
(22)【出願日】2014年4月17日
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(72)【発明者】
【氏名】戸田 賢一
(72)【発明者】
【氏名】大野 元嗣
【テーマコード(参考)】
5E123
【Fターム(参考)】
5E123AA01
5E123AC13
5E123AC23
5E123AC35
5E123BA07
5E123BA09
5E123BB01
5E123BB12
5E123CA17
5E123CB22
5E123CB31
5E123CD01
5E123DB11
5E123EA03
5E123GB15
5E123GC02
5E123GC14
5E123GC23
(57)【要約】
【課題】外形が異なる2種類のカードを共用可能なカード用コネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ10は、ベースフレーム1と第1カバー板2を備える。ベースフレーム1は、絶縁板3、複数のコンタクト4、及び一組の可動板51・52を備える。第1カバー板2は、ベースフレーム1の一方の面を開閉自在に、ベースフレーム1と連結している。外形の小さい第1カードC1を絶縁板3に載置すると、一組の可動板51・52で第1カードC1の配置が規制され、第1カードC1の接続端子とコンタクト4が位置合わせされる。そして、第1カバー板2を閉じると、第1カードC1をコンタクト4に接続できる。外形の大きい第2カードC2を第1カバー板2に収納して、第1カバー板2を閉じると、一組の可動板51・52に抗して、第2カードC2をコンタクト4に接続できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に接続端子を配列し、所定の外形を有する矩形の第1カードと、一方の面に前記接続端子を配列し、前記第1カードと板厚が同じであり、当該第1カードの外形より大きな外形を有する矩形の第2カードとが共用可能なカード用コネクタであって、
前記第1カード又は前記第2カードを導入可能に一方の面を開口した箱状のベースフレームと、
このベースフレームの一端部側と回転自在に連結し、前記ベースフレームの一方の面を開閉自在な第1カバー板であって、前記第2カードを他端部側から挿入して収納できる第1カバー板と、
前記ベースフレームの底部に配置され、少なくとも前記第1カードを載置自在な矩形の絶縁板と、
前記絶縁板に配置され、前記接続端子と電気接続する複数の片持ち状のコンタクトと、
前記絶縁板の両端部を囲うように当該絶縁板を間にして配置され、前記第1カードを前記絶縁板に載置すると、前記接続端子と前記コンタクトの位置関係を前記第1カードの外形から規定する略矩形の切り欠きを有すると共に、下降するように変位自在に前記ベースフレームの底部と連結した一組の可動板と、を備え、
前記第1カバー板は、
前記ベースフレームの底面と対向する第1主面部と、
この第1主面部の両翼が屈折して前記第2カードの両側面をスライド自在に案内する一対の第1側面部と、を有し、
これらの第1側面部には、互いに内側に屈折して、前記第2カードの両翼を当該第2カードの一方の面側から保持する一対の保持片を設けているカード用コネクタ。
【請求項2】
一方の面に接続端子を配列し、所定の外形を有する矩形の第1カードと、一方の面に前記接続端子を配列し、前記第1カードと板厚が同じであり、当該第1カードの外形より大きな外形を有する矩形の第2カードとが共用可能なカード用コネクタであって、
前記第1カード又は前記第2カードを導入可能に一方の面を開口した箱状のベースフレームと、
このベースフレームの一端部側と回転自在に連結し、前記ベースフレームの一方の面を開閉自在な第2カバー板と、
前記ベースフレームの底部に配置され、少なくとも前記第1カードを載置自在な矩形の絶縁板と、
前記絶縁板に配置され、前記接続端子と電気接続する複数の片持ち状のコンタクトと、
前記絶縁板の両端部を囲うように当該絶縁板を間にして配置され、前記第1カードを前記絶縁板に載置すると、前記接続端子と前記コンタクトの位置関係を前記第1カードの外形から規定する略矩形の切り欠きを有すると共に、下降するように変位自在に前記ベースフレームの底部と連結した一組の可動板と、を備え、
前記第2カバー板は、
前記ベースフレームの底面と対向する第2主面部と、
この第2主面部の両翼が屈折して前記第2カードの他方の面から当該第2カードの両側面に進入自在な一対の第2側面部と、を有し、
前記第2カードを前記ベースフレームに載置して前記第2カバー板を閉じた状態では、前記第2主面部は、一組の前記可動板に抗して、前記第2カードを複数の前記コンタクトに向けて押圧している、カード用コネクタ。
【請求項3】
前記ベースフレームは、
一方の端部の両翼に開口された一対の長穴と、
他方の端部の両翼に設けられ、鉤状に切り欠かれた一対の係止溝と、を有し、
一対の前記第1側面部は、
内部に突出するように一方の端部に対向配置され、前記長穴と回動自在及び移動自在に連結する一対の回動軸と、
他方の端部に設けられ、互いに外側に屈折して、一対の前記係止溝に係止可能な一対の係止片と、を有している、請求項1記載のカード用コネクタ。
【請求項4】
前記ベースフレームは、
一方の端部の両翼に開口された一対の長穴と、
他方の端部の両翼に設けられ、鉤状に切り欠かれた一対の係止溝と、を有し、
一対の前記第2側面部は、
内部に突出するように一方の端部に対向配置され、前記長穴と回動自在及び移動自在に連結する一対の回動軸と、
他方の端部に設けられ、互いに外側に屈折して、一対の前記係止溝に係止可能な一対の係止片と、を有している、請求項2記載のカード用コネクタ。
【請求項5】
前記ベースフレーム及び複数の前記コンタクトは、展開板が成形された導電性を有する金属板からなり、
この金属板の一部をモールドして前記絶縁板を成形すると共に、前記金属板の所定箇所を打ち抜き加工して、前記ベースフレームの底部から前記コンタクトを個別に分離している請求項1から4のいずれかに記載のカード用コネクタ。
【請求項6】
前記金属板の一部をモールドして一組の前記可動板を成形すると共に、一組の前記可動板が前記ベースフレームの底部から傾斜支持されるように、前記金属板の一部を折り曲げ加工している、請求項5記載のカード用コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード用コネクタに関する。特に、共通の接続端子を一方の面に配列し、板厚は同じであるが、外形が異なる2種類のカードを共用可能なカード用コネクタの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、携帯電話機などの電子機器には、情報管理用のICカードと記録用のICカードを搭載している。このような電子機器は、複数のICカードを同時に、又は個別に接続可能なコネクタを実装している。前者の情報管理用のICカードは例えば、SIM(Subscriber Identify Module:加入者識別モジュール)カードであり、後者の記録用のICカードは例えば、SD(Secure Digital)カードである。
【0003】
一方、携帯電話機などの小型化に伴って、世代を追って、SIMカードの外形が小さくなっている。例えば、2FF(2nd Form Factor)と呼ばれるminiSIMカードに対して、3FF(3rd Form Factor)と呼ばれるmicroSIMカードは、外形が一回り小さくなっている。なお、miniSIMカードとmicroSIMカードは、共通の接続端子を一方の面に配列し、板厚は同じである。
【0004】
miniSIMカードとmicroSIMカードが混在している現状では、miniSIMカード用のコネクタにmicroSIMカードを接続したいという要請がある。このような要請に対して、通常は、miniSIMカードを接続できるが、外形がminiSIMカードの外形と略同じな板状のアダプタにmicroSIMカードを搭載して、microSIMカードを接続可能なカード用コネクタが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
又、miniSIMカード用のコネクタにmicroSIMカードを接続したいという要請に対して、外形の小さいカードを搭載可能なアダプタを用いることなく、外形が異なる2種類のカードを共用可能なカード用コネクタが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
特許文献2によるカード用コネクタは、外形の小さいカードが一端側から挿入されて載置可能な板状のハウジング、このハウジングを覆うと共に、外形の大きいカードを挿入可能なシェル、及び外形の小さいカードを挿入可能な切り欠きを有し、外形の大きいカードを挿入したときは、下降するように昇降自在に内部に保持された可動板で構成することで、外形が異なる2種類のカードを共用可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−109165号公報
【特許文献2】特開2014−29781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1によるカード用コネクタは、共通の接続端子を一方の面に配列し、板厚は同じであるが、外形が異なる2種類のカードを共用できる。しかし、特許文献1によるカード用コネクタは、miniSIMカードを接続しているときには、microSIMカード用のアダプタが不要であり、このアダプタを紛失してしまうという心配がある。
【0009】
又、特許文献1によるカード用コネクタは、アダプタに設けた開口を介して、microSIMカードの接続端子に片持ち状のコンタクトの接点が接触するように、構成しているので、アダプタを出し入れ(スライド)すると、アダプタの底面がコンタクトの接点を摺動するという問題がある。更に、アダプタがスライドすることで、コンタクトを必要以上に変形させる心配がある。
【0010】
特許文献2によるカード用コネクタは、外形の小さいカードを搭載可能なアダプタを用いていないので、このアダプタを紛失する心配が無く、コンタクトを必要以上に変形させる心配も無くなる。
【0011】
しかし、特許文献2によるカード用コネクタは、カードの端部を指先で把持してコネクタ本体に挿抜する、いわゆる、手差しタイプのカード用コネクタである。このような手差しタイプのカード用コネクタを携帯電話機の背面側に実装すると、背面カバー及びバッテリーを携帯電話機本体から取り外し、バッテリーを収容していた凹部側にカードを引き出すことになるので、カードの引き出し操作が容易でない、という問題がある。
【0012】
外形の小さいカードを搭載可能なアダプタを用いることなく、共通の接続端子を一方の面に配列し、板厚は同じであるが、外形が異なる2種類のカードを共用可能であり、かつ、カードの引き出し操作が容易なカード用コネクタが求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0013】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、外形の小さいカードを搭載可能なアダプタを用いることなく、外形が異なる2種類のカードを共用可能であり、これらのカードの引き出し操作が容易なカード用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、外殻を構成すると共に、外形の大きいカードを導入可能に一方の面を開口した箱状のベースフレーム、ベースフレームの一端部側と回転自在に連結し、ベースフレームの一方の面を開閉自在なカバー板、ベースフレームの底部に配置され、複数のコンタクトを有すると共に、外形の小さいカードを載置自在な絶縁板、及び、絶縁板の前後に配置され、外形の小さいカードの外形を規制する切り欠きを有すると共に、カバー板を閉じると外形の大きいカードに押されて、ベースフレームの底面に向かって移動自在な一対の可動板でカード用コネクタを構成することにより、これらの課題が解決可能なことを見出し、これに基づいて、以下のような新たなカード用コネクタを発明するに至った。
【0015】
(1) 一方の面に接続端子を配列し、所定の外形を有する矩形の第1カードと、一方の面に前記接続端子を配列し、前記第1カードと板厚が同じであり、当該第1カードの外形より大きな外形を有する矩形の第2カードとが共用可能なカード用コネクタであって、前記第1カード又は前記第2カードを導入可能に一方の面を開口した箱状のベースフレームと、このベースフレームの一端部側と回転自在に連結し、前記ベースフレームの一方の面を開閉自在な第1カバー板であって、前記第2カードを他端部側から挿入して収納できる第1カバー板と、前記ベースフレームの底部に配置され、少なくとも前記第1カードを載置自在な矩形の絶縁板と、前記絶縁板に配置され、前記接続端子と電気接続する複数の片持ち状のコンタクトと、前記絶縁板の両端部を囲うように当該絶縁板を間にして配置され、前記第1カードを前記絶縁板に載置すると、前記接続端子と前記コンタクトの位置関係を前記第1カードの外形から規定する略矩形の切り欠きを有すると共に、下降するように変位自在に前記ベースフレームの底部と連結した一組の可動板と、を備え、前記第1カバー板は、前記ベースフレームの底面と対向する第1主面部と、この第1主面部の両翼が屈折して前記第2カードの両側面をスライド自在に案内する一対の第1側面部と、を有し、これらの第1側面部には、互いに内側に屈折して、前記第2カードの両翼を当該第2カードの一方の面側から保持する一対の保持片を設けているカード用コネクタ。
【0016】
(1)の発明によるカード用コネクタは、矩形の第1カードと矩形の第2カードを共用できる。第1カードは、一方の面に接続端子を配列し、所定の外形を有している。第2カードは、一方の面に接続端子を配列し、第1カードと板厚が同じであり、第1カードの外形より大きな外形を有している。
【0017】
(1)の発明によるカード用コネクタは、箱状のベースフレームと第1カバー板を備えている。ベースフレームは、第1カード又は第2カードを導入可能に一方の面を開口している。第1カバー板は、ベースフレームの一端部側と回転自在に連結し、ベースフレームの一方の面を開閉自在としている。又、第1カバー板は、第2カードを他端部側から挿入して収納できる。
【0018】
又、(1)の発明によるカード用コネクタは、矩形の絶縁板、複数の片持ち状のコンタクト、及び一組の可動板を備えている。絶縁板は、ベースフレームの底部に配置されている。そして、絶縁板には、少なくとも第1カードを載置できる。コンタクトは、絶縁板に配置され、接続端子と電気接続できる。
【0019】
一組の可動板は、下降するように変位自在にベースフレームの底部と連結している。一組の可動板は、絶縁板の両端部を囲うように、絶縁板を間にして配置されている。又、一組の可動板は、略矩形の切り欠きを有している。これらの切り欠きは、第1カードを絶縁板に載置すると、接続端子とコンタクトの位置関係を第1カードの外形から規定できる。
【0020】
第1カバー板は、第1主面部と一対の第1側面部を有している。第1主面部は、ベースフレームの底面と対向できる。一対の第1側面部は、第1主面部の両翼が屈折している。そして、一対の第1側面部は、第2カードの両側面をスライド自在に案内できる。
【0021】
これらの第1側面部には、一対の保持片を設けている。一対の保持片は、互いに内側に屈折して、第2カードの両翼を第2カードの一方の面側から保持できる。
【0022】
(1)の発明によるカード用コネクタは、外形の小さい第1カードを一組の可動板の切り欠きに一致させて絶縁板に載置した後に、第1カバー板を閉じると、第1カードの一方の面に設けた接続端子がコンタクトに接触して、第1カードとカード用コネクタを電気接続できる。
【0023】
一方、(1)の発明によるカード用コネクタは、外形の大きい第2カードを第1カバー板に収納した後に、第1カバー板を閉じると、一組の可動板が下降して、第2カードの一方の面に設けた接続端子がコンタクトに接触して、第2カードとカード用コネクタを電気接続できる。
【0024】
(1)の発明によるカード用コネクタは、従来技術に用いたアダプタを使用することがないので、アダプタを紛失する心配が無くなる。又、(1)の発明によるカード用コネクタは、アダプタの底面がコンタクトの接点を摺動することなく、アダプタがスライドすることで、コンタクトを不要に変形させる心配が無くなる。更に、(1)の発明によるカード用コネクタは、いわゆる、開閉式のカード用コネクタであり、手差しタイプのカード用コネクタと比べて、カードの引き出し操作が容易である。
【0025】
(2) 一方の面に接続端子を配列し、所定の外形を有する矩形の第1カードと、一方の面に前記接続端子を配列し、前記第1カードと板厚が同じであり、当該第1カードの外形より大きな外形を有する矩形の第2カードとが共用可能なカード用コネクタであって、前記第1カード又は前記第2カードを導入可能に一方の面を開口した箱状のベースフレームと、このベースフレームの一端部側と回転自在に連結し、前記ベースフレームの一方の面を開閉自在な第2カバー板と、前記ベースフレームの底部に配置され、少なくとも前記第1カードを載置自在な矩形の絶縁板と、前記絶縁板に配置され、前記接続端子と電気接続する複数の片持ち状のコンタクトと、前記絶縁板の両端部を囲うように当該絶縁板を間にして配置され、前記第1カードを前記絶縁板に載置すると、前記接続端子と前記コンタクトの位置関係を前記第1カードの外形から規定する略矩形の切り欠きを有すると共に、下降するように変位自在に前記ベースフレームの底部と連結した一組の可動板と、を備え、前記第2カバー板は、前記ベースフレームの底面と対向する第2主面部と、この第2主面部の両翼が屈折して前記第2カードの他方の面から当該第2カードの両側面に進入自在な一対の第2側面部と、を有し、前記第2カードを前記ベースフレームに載置して前記第2カバー板を閉じた状態では、前記第2主面部は、一組の前記可動板に抗して、前記第2カードを複数の前記コンタクトに向けて押圧している、カード用コネクタ。
【0026】
(2)の発明によるカード用コネクタは、箱状のベースフレームと第2カバー板を備えている。ベースフレームは、第1カード又は第2カードを導入可能に一方の面を開口している。第2カバー板は、ベースフレームの一端部側と回転自在に連結し、ベースフレームの一方の面を開閉自在としている。
【0027】
又、(2)の発明によるカード用コネクタは、矩形の絶縁板、複数の片持ち状のコンタクト、及び一組の可動板を備えている。絶縁板は、ベースフレームの底部に配置されている。そして、絶縁板には、少なくとも第1カードを載置できる。コンタクトは、絶縁板に配置され、接続端子と電気接続できる。
【0028】
一組の可動板は、下降するように昇降自在にベースフレームの底部と連結している。一組の可動板は、絶縁板の両端部を囲うように、絶縁板を間にして配置されている。又、一組の可動板は、略矩形の切り欠きを有している。これらの切り欠きは、第1カードを絶縁板に載置すると、接続端子とコンタクトの位置関係を第1カードの外形から規定できる。
【0029】
第2カバー板は、第2主面部と一対の第2側面部を有している。第2主面部は、ベースフレームの底面と対向できる。一対の第2側面部は、第2主面部の両翼が屈折している。そして、一対の第2側面部は、第2カードの他方の面から第2カードの両側面に進入できる。
【0030】
そして、(2)の発明によるカード用コネクタは、第2カードをベースフレームに載置して第2カバー板を閉じた状態では、第2主面部は、一組の可動板に抗して、第2カードを複数のコンタクトに向けて押圧できる。
【0031】
(2)の発明によるカード用コネクタは、外形の小さい第1カードを一組の可動板の切り欠きに一致させて絶縁板に載置した後に、第2カバー板を閉じると、第1カードの一方の面に設けた接続端子がコンタクトに接触して、第1カードとカード用コネクタを電気接続できる。
【0032】
一方、(2)の発明によるカード用コネクタは、外形の大きい第2カードをベースフレームに載置した後に、第2カバー板を閉じると、一組の可動板が下降して、第2カードの一方の面に設けた接続端子がコンタクトに接触して、第2カードとカード用コネクタを電気接続できる。
【0033】
(2)の発明によるカード用コネクタは、従来技術に用いたアダプタを使用することがないので、アダプタを紛失する心配が無くなる。又、(2)の発明によるカード用コネクタは、アダプタの底面がコンタクトの接点を摺動することなく、アダプタがスライドすることで、コンタクトを不要に変形させる心配が無くなる。更に、(2)の発明によるカード用コネクタは、いわゆる、開閉式のカード用コネクタであり、手差しタイプのカード用コネクタと比べて、カードの引き出し操作が容易である。
【0034】
(3) 前記ベースフレームは、一方の端部の両翼に開口された一対の長穴と、他方の端部の両翼に設けられ、鉤状に切り欠かれた一対の係止溝と、を有し、一対の前記第1側面部は、内部に突出するように一方の端部に対向配置され、前記長穴と回動自在及び移動自在に連結する一対の回動軸と、他方の端部に設けられ、互いに外側に屈折して、一対の前記係止溝に係止可能な一対の係止片と、を有している、(1)記載のカード用コネクタ。
【0035】
(4) 前記ベースフレームは、一方の端部の両翼に開口された一対の長穴と、他方の端部の両翼に設けられ、鉤状に切り欠かれた一対の係止溝と、を有し、一対の前記第2側面部は、内部に突出するように一方の端部に対向配置され、前記長穴と回動自在及び移動自在に連結する一対の回動軸と、他方の端部に設けられ、互いに外側に屈折して、一対の前記係止溝に係止可能な一対の係止片と、を有している、(2)記載のカード用コネクタ。
【0036】
(5) 前記ベースフレーム及び複数の前記コンタクトは、展開板が成形された導電性を有する金属板からなり、この金属板の一部をモールドして前記絶縁板を成形すると共に、前記金属板の所定箇所を打ち抜き加工して、前記ベースフレームの底部から前記コンタクトを個別に分離している(1)から(4)のいずれかに記載のカード用コネクタ。
【0037】
(6) 前記金属板の一部をモールドして一組の前記可動板を成形すると共に、一組の前記可動板が前記ベースフレームの底部から傾斜支持されるように、前記金属板の一部を折り曲げ加工している、(5)記載のカード用コネクタ。
【発明の効果】
【0038】
本発明によるカード用コネクタは、共通の接続端子を一方の面に配列し、板厚は同じであるが、外形が異なる2種類の第1カードと第2カードを共用できる。又、本発明によるカード用コネクタは、アダプタを使用しないので、アダプタの紛失、又はコンタクトの破損を防止できる。更に、本発明によるカード用コネクタは、開閉式のカード用コネクタであり、手差しタイプのカード用コネクタと比べて、カードの引き出し操作が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図であり、第1カバー板を開いた状態図である。
図2】第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図であり、図2(A)は、第1カバー板を開いた状態で、外形の小さい第1カードをベースフレームに配置した状態図であり、図2(B)は、第1カバー板を開いた状態で、外形の大きい第2カードを第1カバー板に収納した状態図である。
図3】第1カードの斜視図であり、図3(A)は、絶縁面を含む他方の面から第1カードを観た状態図、図3(B)は、端子面を含む一方の面から第1カードを観た状態図である。
図4】第2カードの斜視図であり、図4(A)は、絶縁面を含む他方の面から第2カードを観た状態図、図4(B)は、端子面を含む一方の面から第2カードを観た状態図である。
図5】第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す図であり、図5(A)は、第1カバー板を開いた状態でのカード用コネクタの平面図、図5(B)は、図5(A)の右側面図、図5(C)は、図5(A)の左側面図である。
図6】第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す図であり、図6(A)は、第1カバー板を開いた状態でのカード用コネクタの正面図、図6(B)は、図6(A)の背面図、図6(C)は、図6(A)の下面図である。
図7】第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す図であり、図7(A)は、第1カバー板を閉じた状態でのカード用コネクタの平面図、図7(B)は、図7(A)の縦断面図である。
図8】第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す縦断面図であり、第1カバー板を閉じて、第1カードがコンタクトに接続した状態図である。
図9】第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す縦断面図であり、第1カバー板を閉じて、第2カードがコンタクトに接続した状態図である。
図10】第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す平面図であり、図10(A)は、絶縁板及び一組の可動板をモールド成形する前の状態図であり、図10(B)は、絶縁板及び一組の可動板をモールド成形した状態図である。
図11】第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図であり、第1カバー板をベースフレームにロックする前の状態図である。
図12】第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図であり、第1カバー板をベースフレームにロックした状態図である。
図13】本発明の第2実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図であり、第2カバー板を開いた状態図である。
図14】第2実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図であり、図14(A)は、第2カバー板を開いた状態で、外形の小さい第1カードをベースフレームに配置した状態図であり、図14(B)は、第2カバー板を開いた状態で、外形の大きい第2カードをベースフレームに配置した状態図である。
図15】第2実施形態によるカード用コネクタの構成を示す図であり、図15(A)は、第2カバー板を開いた状態でのカード用コネクタの平面図、図15(B)は、図15(A)の右側面図である。
図16】第2実施形態によるカード用コネクタの構成を示す図であり、図16(A)は、第2カバー板を開くと共に、第2カードをベースフレームに配置した状態でのカード用コネクタの平面図、図16(B)は、図16(A)の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0041】
[第1実施形態]
(カード用コネクタの構成)
最初に、本発明の第1実施形態によるカード用コネクタの構成を説明する。図1は、本発明の第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図であり、第1カバー板を開いた状態図である。
【0042】
図2は、第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図であり、図2(A)は、第1カバー板を開いた状態で、外形の小さい第1カードをベースフレームに配置した状態図であり、図2(B)は、第1カバー板を開いた状態で、外形の大きい第2カードを第1カバー板に収納した状態図である。
【0043】
図3は、第1カードの斜視図であり、図3(A)は、絶縁面を含む他方の面から第1カードを観た状態図、図3(B)は、端子面を含む一方の面から第1カードを観た状態図である。図4は、第2カードの斜視図であり、図4(A)は、絶縁面を含む他方の面から第2カードを観た状態図、図4(B)は、端子面を含む一方の面から第2カードを観た状態図である。
【0044】
図5は、第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す図であり、図5(A)は、第1カバー板を開いた状態でのカード用コネクタの平面図、図5(B)は、図5(A)の右側面図、図5(C)は、図5(A)の左側面図である。
【0045】
図6は、第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す図であり、図6(A)は、第1カバー板を開いた状態でのカード用コネクタの正面図、図6(B)は、図6(A)の背面図、図6(C)は、図6(A)の下面図である。
【0046】
(全体構成)
図1を参照すると、本発明の第1実施形態によるカード用コネクタ(以下、コネクタと略称する)10は、プリント基板9pの一方の面91pに実装している。図1又は図2(A)を参照すると、コネクタ10は、外形の小さい第1カードC1を絶縁板3に載置した後に、第1カバー板2を閉じると、第1カードC1とプリント基板9pを電気的に接続できる。
【0047】
一方、図1又は図2(B)を参照すると、コネクタ10は、外形の大きい第2カードC2を第1カバー板2に収納した後に(図2(B)参照)、第1カバー板2を閉じると、第2カードC2とプリント基板9pを電気的に接続できる。
【0048】
図1を参照して、コネクタ10は、プリント基板9pの一方の面91pに設けたコンタクトパッド(図示せず)にコンタクト4のリード部を重ねてハンダ接合する、表面実装形コネクタを示している。又、コネクタ10は、第1カバー板2を開閉することで、第1カードC1又は第2カードC2をプリント基板9pに電気接続できる開閉式のカード用コネクタを示している。
【0049】
図3を参照すると、第1カードC1は、microSIMカードを示している。図3において、第1カードC1は、絶縁性のプラスチック筐体ch1の内部にICチップ(図示せず)を収納している。このICチップは、筐体ch1の一方の面に貼り付けられた複数の金属箔に接続されている。そして、複数に区画されたこの金属箔が第1カードC1の接続端子ctとなっている。
【0050】
一方、図4を参照すると、第2カードC2は、miniSIMカードを示している。図4に示した第2カードC2は、図3に示した第1カードC1と構造は同じである。又、第1カードC1と第2カードC2は、共通の接続端子ctを一方の面に配列している。第1カードC1と第2カードC2は、板厚が同じになっているが、第1カードC1の筐体ch1に対して、第2カードC2の筐体ch2は、その外形が一回り大きくなっている。
【0051】
図1又は図2及び図5又は図6を参照すると、コネクタ10は、箱状のベースフレーム1と第1カバー板2を備えている。ベースフレーム1は、第1カードC1又は第2カードC2を導入可能に一方の面を開口している(図3又は図4参照)。第1カバー板2は、ベースフレーム1の一端部側と回転自在に連結し、ベースフレーム1の一方の面を開閉自在としている。又、第1カバー板2は、第2カードC2を他端部側から挿入して収納できる(図4参照)。
【0052】
又、図1又は図2及び図5又は図6を参照すると、コネクタ10は、矩形の絶縁板3、六つの片持ち状のコンタクト4、及び一組の可動板51・52を備えている。絶縁板3は、ベースフレーム1の底部に配置している。そして、絶縁板3には、少なくとも第1カードC1を載置できる。絶縁板3には、六つのコンタクト4を配列している。コンタクト4は、第1カードC1又は第2カードC2の接続端子ctと電気接続できる(図3又は図4参照)。
【0053】
図1又は図2及び図5又は図6を参照すると、一組の可動板51・52は、下降するように変位自在にベースフレーム1の底部と連結している。一組の可動板51・52は、絶縁板3の両端部を囲うように、絶縁板3を間にして配置されている。又、一組の可動板51・52は、略矩形の切り欠き51k・52kを有している。これらの切り欠き51k・52kは、第1カードC1を絶縁板3に載置すると、接続端子ctとコンタクト4の位置関係を第1カードC1の外形から規定できる。
【0054】
引き続き、第1実施形態によるコネクタの構成を説明する。図7は、第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す図であり、図6(A)は、第1カバー板を開いた状態でのカード用コネクタの正面図、図6(B)は、図6(A)の背面図、図6(C)は、図6(A)の下面図である。
【0055】
図7は、第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す図であり、図7(A)は、第1カバー板を閉じた状態でのカード用コネクタの平面図、図7(B)は、図7(A)の縦断面図である。
【0056】
図8は、第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す縦断面図であり、第1カバー板を閉じて、第1カードがコンタクトに接続した状態図である。図9は、第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す縦断面図であり、第1カバー板を閉じて、第2カードがコンタクトに接続した状態図である。
【0057】
図10は、第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す平面図であり、図10(A)は、絶縁板及び一組の可動板をモールド成形する前の状態図であり、図10(B)は、絶縁板及び一組の可動板をモールド成形した状態図である。
【0058】
図11は、第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図であり、第1カバー板をベースフレームにロックする前の状態図である。図12は、第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図であり、第1カバー板をベースフレームにロックした状態図である。
【0059】
(ベースフレームの構成)
次に、ベースフレームの構成を説明する。図10を参照すると、ベースフレーム1は、展開された導電性を有する金属板1pの主面部11の三方を直角に折り曲げた薄直方体の箱状に形成している。金属板1pの主面部11は、ベースフレーム1の底部に相当している。主面部11の両翼には、略平行に延びる一対の折り曲げ片12・12を形成している。
【0060】
又、図10を参照すると、ベースフレーム1は、主面部11の一方の端部に折り曲げ片13を形成している。図1を参照して、ベースフレーム1に対して第1カバー板2を開くと、後述する第1カバー板2の第1主面部21の一方の端部を折り曲げ片13に当接できる。そして、ベースフレーム1に対する第1カバー板2の最大開き角度を規定できる(図5(B)又は図5(C)参照)。
【0061】
図10を参照すると、一対の折り曲げ片12・12には、片持ち状の停止片14・14を形成している。これらの停止片14・14は、折り曲げ片13に対向配置されている。図2(B)を参照して、第2カードC2を第1カバー板2に収納して、第1カバー板2を閉じた状態から、第1カバー板2をベースフレーム1の他方の端部に向かって移動すると、第2カードC2の先端縁の両端部が一対の停止片14・14に当接して、第2カードC2の必要以上の移動を阻止できる(図9を参照)。
【0062】
更に、図2又は図7(A)を参照すると、一対の折り曲げ片12・12は、長穴12hと鉤状に切り欠かれた係止溝12kを設けている。一対の長穴12h・12hは、折り曲げ片12の一方の端部に開口している。一方、図2を参照すると、第1カバー板2は、一対の回動軸22s・22sを一方の端部に有している。一対の回動軸22s・22sは、内部に突出するように、一対の第1側面部22・22の一方の端部に対向配置されている。一対の回動軸22s・22sを長穴12h・12hに嵌合することで、ベースフレーム1に対して、第1カバー板2を回動自在及び移動自在に連結できる。
【0063】
図1又は図2を参照すると、一対の係止溝12k・12kは、折り曲げ片12の他方の端部に切り欠かれている。一方、第1カバー板2は、一対の係止片22n・22nを第1側面部22の他方の端部に設けている。一対の係止片22n・22nは、互いに第1側面部22の外側に屈折している。
【0064】
図1又は図2に示した状態から第1カバー板2と閉じると、係止片22nを係止溝12kに導入できる(図11参照)。図11に示した状態から、ベースフレーム1に対して、第1カバー板2を他方の端部に向けて移動すると、係止片22nを係止溝12kに係止できる(図12参照)。つまり、第1カバー板2をロックできる。図12に示した状態から、ベースフレーム1に対して、第1カバー板2を一方の端部に向けて移動すると、係止片22nと係止溝12kの係合を解除でき、第1カバー板2を開くことができる。
【0065】
(第1カバー板の構成)
次に、第1カバー板の構成を説明する。図1又は図2及び図5又は図6を参照すると、第1カバー板2は、展開板(図示せず)の第1主面部21の両翼を直角に屈折した薄直方体の箱状に形成している。第1カバー板2を閉じた状態では、第1主面部21は、ベースフレーム1の底面と対向している。第1主面部21の両翼には、略平行に延びる一対の第1側面部22・22を形成している。第1側面部22は、第1主面部21の両翼に、断続して形成されている。
【0066】
図1又は図2及び図5又は図6を参照すると、一対の第1側面部22・22は、第2カードC2の両側面をスライド自在に案内できる。又、一対の第1側面部22・22は、一対の保持片22a・22aを設けている。一対の保持片22a・22aは、互いに内側に屈折している。そして、一対の保持片22a・22aは、第2カードC2の両翼を第2カードC2の一方の面側から保持できる。
【0067】
図1又は図2及び図5又は図6を参照すると、一対の第1側面部22・22は、回動軸22sと係止片22nを有している。一対の回動軸22s・22sを長穴12h・12hに嵌合することで、ベースフレーム1に対して、第1カバー板2を回動自在及び移動自在に連結できる。係止片22nは、係止溝12kに係止できる(図12参照)。
【0068】
更に、図7(A)を参照すると、第1主面部21には、複数の窓21wを開口しているので、窓21wを介して、第2カードC2の有無を確認できる(図2参照)。第1主面部21の表面又は裏面には、第2カードC2の挿入方向を案内する表示を設けている。又、第1主面部21の表面には、第1カバー板2の係合方向又は解除方向を案内する表示を設けているので、便利である。
【0069】
(絶縁板の構成)
次に、絶縁板の構成を説明する。図1から図3を参照すると、絶縁板3は、絶縁性を有する合成樹脂を成形している。絶縁板3の外形は、第1カードC1と略同じであることが好ましい。絶縁板3には、第1カードC1を載置できる(図8参照)。又、第1カバー板2に収納された第2カードC2を部分的に載置できる(図9参照)。そして、絶縁板3は、六つのコンタクト4を配列している。
【0070】
図10を参照して、絶縁板3は、金属板1pの主面部11の一部をモールドして成形している。絶縁板3の中央部には、六つのコンタクト4を個別に分離するための窓3wを成形している(図10(B)参照)。
【0071】
(コンタクトの構成)
次に、コンタクトの構成を説明する。図10を参照すると、コンタクト4は、展開板(図示せず)が成形された導電性を有する金属板1pからなり、金属板1pを打ち抜き加工又は折り曲げ加工して、導電性を有する片持ち状のベローズコンタクトを得ることができる。コンタクト4を成形する金属板1pは、加工の容易性や、ばね特性、導電性などを考慮すれば、銅合金が好ましく用いられるが、銅合金に限定される訳ではない。コンタクト4の接点には、金などで部分メッキしてもよい。
【0072】
図10(A)を参照すると、六つのコンタクト4は、互いに繋がっているが、図10(B)に示すように、金属板1pの主面部11をモールドして絶縁板3を成形すると共に、絶縁板3の開口された窓3wを介して、金属板1pを適宜に打ち抜き加工することで、六つのコンタクト4を個別に分離できる。
【0073】
図1又は図2を参照すると、コンタクト4は、その固定部が絶縁板3に固定されている。一方、コンタクト4の自由部は、絶縁板3に形成された窓に撓み自在に収納されている。コンタクト4の自由部の頂点は、接続端子ctに接触可能な接点4aを形成している(図7(B)参照)。
【0074】
図6(C)を参照すると、コンタクト4は、絶縁板3の背面側に露出するリード部を有している。これらのリード部は、プリント基板9pの一方の面91pにハンダ接合できる(図1参照)。つまり、コネクタ10は、表面実装形のコネクタになっている。
【0075】
(可動板の構成)
次に、可動板の構成を説明する。図10(B)を参照すると、可動板51は、絶縁性を有する合成樹脂を成形している。可動板51は、一対のアーム部材51a・51bで片持ち支持されている。図10(A)を参照すると、一対のアーム部材51a・51bは、それらの先端部同士を連結部材51cで結合している。
【0076】
同様に、図10(B)を参照すると、可動板52は、絶縁性を有する合成樹脂を成形している。可動板52は、一対のアーム部材52a・52bで片持ち支持されている。図10(A)を参照すると、一対のアーム部材52a・52bは、それらの先端部同士を連結部材52cで結合している。
【0077】
図10(A)を参照して、一対のアーム部材51a・51bの一部を含む連結部材51cをモールドすることで、可動板51を成形している。そして、可動板51がベースフレーム1の底部から傾斜支持されるように、一対のアーム部材51a・51bの基端部を折り曲げ加工している(図8参照)。
【0078】
同様に、図10(A)を参照して、一対のアーム部材52a・52bの一部を含む連結部材52cをモールドすることで、可動板52を成形している。そして、可動板52がベースフレーム1の底部から傾斜支持されるように、一対のアーム部材52a・52bの基端部を折り曲げ加工している(図8参照)。
【0079】
(カード用コネクタの作用)
次に、第1実施形態によるコネクタ10の動作を説明しながら、コネクタ10の作用及び効果を説明する。
【0080】
(第1カードとの接続)
図1を参照して、第1カバー板2を開いた状態で、ベースフレーム1の上方から絶縁板3に向けて、第1カードC1を絶縁板3に載置する(図2参照)。図2に示した状態では、一組の可動板51・52は、第1カードC1の接続端子ctとコンタクト4の位置関係を第1カードC1の外形から規定している。
【0081】
次に、図7又は図8及び図11に示すように、第1カバー板2を閉じた状態では、第1カードC1の接続端子ctがコンタクト4を押圧することで(図8参照)、コンタクト4を介して、第1カードC1とプリント基板9pを電気的に接続できる(図1参照)。
【0082】
次に、図11に示した状態から、ベースフレーム1に対して、第1カバー板2を他方の端部に向けて移動すると、係止片22nを係止溝12kに係止できる(図12参照)。つまり、第1カバー板2をロックできる。図12に示した状態から、ベースフレーム1に対して、第1カバー板2を一方の端部に向けて移動すると、係止片22nと係止溝12kの係合を解除して、第1カバー板2を開くことができ、第1カードC1をベースフレーム1から取り出すことができる(図1参照)。
【0083】
(第2カードとの接続)
図1を参照して、第1カバー板2を開いた状態で、第2カードC2を第1カバー板2の他端部側から挿入して、第2カードC2を第1カバー板2に収納する(図3参照)。次に、図7又は図9及び図11に示すように、第1カバー板2を閉じた状態では、一組の可動板51・52に抗して、第2カードC2の接続端子ctがコンタクト4を押圧することで(図9参照)、コンタクト4を介して、第2カードC2とプリント基板9pを電気的に接続できる(図1参照)。
【0084】
次に、図11に示した状態から、ベースフレーム1に対して、第1カバー板2を他方の端部に向けて移動すると、係止片22nを係止溝12kに係止できる(図12参照)。つまり、第1カバー板2をロックできる。図12に示した状態から、ベースフレーム1に対して、第1カバー板2を一方の端部に向けて移動すると、係止片22nと係止溝12kの係合を解除して、第1カバー板2を開くことができ、第2カードC2を第1カバー板2から取り出すことができる(図1参照)。
【0085】
このように、第1実施形態によるコネクタ10は、共通の接続端子ctを一方の面に配列し、板厚は同じであるが、外形が異なる2種類の第1カードC1と第2カードC2を共用できる。又、実施形態によるコネクタ10は、アダプタを使用しないので、アダプタの紛失、又はコンタクトの破損を防止できる。更に、第1実施形態によるコネクタ10は、開閉式のカード用コネクタであり、手差しタイプのカード用コネクタと比べて、カードの引き出し操作が容易である。
【0086】
[第2実施形態]
(カード用コネクタの構成)
次に、本発明の第2実施形態によるカード用コネクタの構成を説明する。図13は、本発明の第2実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図であり、第2カバー板を開いた状態図である。
【0087】
図14は、第2実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図であり、図14(A)は、第2カバー板を開いた状態で、外形の小さい第1カードをベースフレームに配置した状態図であり、図14(B)は、第2カバー板を開いた状態で、外形の大きい第2カードをベースフレームに配置した状態図である。
【0088】
図15は、第2実施形態によるカード用コネクタの構成を示す図であり、図15(A)は、第2カバー板を開いた状態でのカード用コネクタの平面図、図15(B)は、図15(A)の右側面図である。
【0089】
図15は、第2実施形態によるカード用コネクタの構成を示す図であり、図16(A)は、第2カバー板を開くと共に、第2カードをベースフレームに配置した状態でのカード用コネクタの平面図、図16(B)は、図16(A)の右側面図である。
【0090】
なお、第2実施形態によるカード用コネクタは、第1実施形態によるカード用コネクタに備わる第1カバー板を第2カバー板に変えたものであるので、第1実施形態と同じ構成品はその説明を省略すると共に、第1実施形態に用いた図面を援用することがある。
【0091】
(全体構成)
図13を参照すると、本発明の第2実施形態によるカード用コネクタ(以下、コネクタと略称する)20は、プリント基板9pの一方の面91pに実装している。図13(A)を参照すると、コネクタ20は、外形の小さい第1カードC1を絶縁板3に載置した後に、第1カバー板2を閉じると、第1カードC1とプリント基板9pを電気的に接続できる。
【0092】
一方、図13又は図14(B)を参照すると、コネクタ20は、外形の大きい第2カードC2をベースフレーム1の一方の面に導入した後に(図14(B)参照)、第1カバー板2を閉じると、第2カードC2とプリント基板9pを電気的に接続できる。
【0093】
図13又は図14を参照すると、コネクタ20は、箱状のベースフレーム1と第2カバー板6を備えている。ベースフレーム1は、第1カードC1又は第2カードC2を導入可能に一方の面を開口している(図3又は図4参照)。第2カバー板6は、ベースフレーム1の一端部側と回転自在に連結し、ベースフレーム1の一方の面を開閉自在としている。
【0094】
又、図13を参照すると、コネクタ20は、矩形の絶縁板3、六つの片持ち状のコンタクト4、及び一組の可動板51・52を備えている。絶縁板3は、ベースフレーム1の底部に配置している。そして、絶縁板3には、少なくとも第1カードC1を載置できる。絶縁板3には、六つのコンタクト4を配列している。コンタクト4は、第1カードC1又は第2カードC2の接続端子ctと電気接続できる(図3又は図4参照)。
【0095】
図13を参照すると、一組の可動板51・52は、下降するように変位自在にベースフレーム1の底部と連結している。一組の可動板51・52は、絶縁板3の両端部を囲うように、絶縁板3を間にして配置されている。又、一組の可動板51・52は、略矩形の切り欠き51k・52kを有している。これらの切り欠き51k・52kは、第1カードC1を絶縁板3に載置すると、接続端子ctとコンタクト4の位置関係を第1カードC1の外形から規定できる。
【0096】
又、図10を援用すると共に図14を参照すると、ベースフレーム1は、主面部11の一方の端部に折り曲げ片13を形成している。図13を参照して、ベースフレーム1に対して第2カバー板6を開くと、後述する第2カバー板6の第2主面部61の一方の端部を折り曲げ片13に当接できる。そして、ベースフレーム1に対する第2カバー板6の最大開き角度を規定できる(図15(B)参照)。
【0097】
図10を参照すると、一対の折り曲げ片12・12には、片持ち状の停止片14・14を形成している。これらの停止片14・14は、折り曲げ片13に対向配置されている。図14(B)又は図15を参照して、第2カードC2をベースフレーム1に導入して、第2カバー板6を閉じた状態から(図9を援用)、第1カバー板2をベースフレーム1の他方の端部に向かって移動すると、第2カードC2の先端縁の両端部が一対の停止片14・14に当接して、第2カードC2の必要以上の移動を阻止できる。
【0098】
更に、図13又は図14(A)を参照すると、一対の折り曲げ片12・12は、長穴12hと鉤状に切り欠かれた係止溝12kを設けている。一対の長穴12h・12hは、折り曲げ片12の一方の端部に開口している。一方、図13を参照すると、第2カバー板6は、一対の回動軸62s・62sを一方の端部に有している。一対の回動軸62s・62sは、内部に突出するように、一対の第2側面部62・62の一方の端部に対向配置されている。一対の回動軸62s・62sを長穴12h・12hに嵌合することで、ベースフレーム1に対して、第2カバー板6を回動自在及び移動自在に連結できる。
【0099】
図13又は図14(A)を参照すると、一対の係止溝12k・12kは、折り曲げ片12の他方の端部に切り欠かれている。一方、第2カバー板6は、一対の係止片62n・62nを第1側面部22の他方の端部に設けている。一対の係止片62n・62nは、互いに第2側面部62の外側に屈折している。
【0100】
図13又は図14に示した状態から第2カバー板6と閉じると、係止片62nを係止溝12kに導入できる。図11を援用した状態から、ベースフレーム1に対して、第2カバー板6を他方の端部に向けて移動すると、係止片62nを係止溝12kに係止できる。つまり、第2カバー板6をロックできる。図12を援用した状態から、ベースフレーム1に対して、第2カバー板6を一方の端部に向けて移動すると、係止片62nと係止溝12kの係合を解除でき、第2カバー板6を開くことができる。
【0101】
(第2カバー板の構成)
次に、第2カバー板の構成を説明する。図13から図16を参照すると、第2カバー板6は、展開板(図示せず)の第2主面部61の両翼を直角に屈折した薄直方体の箱状に形成している。第2カバー板6を閉じた状態では、第2主面部61は、ベースフレーム1の底面と対向している。第2主面部61の両翼には、略平行に延びる一対の第2側面部62・62を形成している。第2側面部62は、第2主面部61の両翼に、断続して形成されている。
【0102】
図14(B)又は図16を参照すると、第2カードC2をベースフレーム1に載置して第2カバー板6を閉じると、一対の第2側面部62・62は、第2カードC2の他方の面から第2カードC2の両側面に進入できる。そして、一対の第2側面部62・62は、第2カードC2の両翼を第2カードC2の他方の面側から保持できる。
【0103】
図13から図16を参照すると、一対の第2側面部62・62は、回動軸62sと係止片62nを有している。一対の回動軸62s・62sを長穴12h・12hに嵌合することで、ベースフレーム1に対して、第2カバー板6を回動自在及び移動自在に連結できる。係止片62nは、係止溝12kに係止できる(図13参照)。
【0104】
(カード用コネクタの作用)
次に、第2実施形態によるコネクタ20の動作を説明しながら、コネクタ20の作用及び効果を説明する。
【0105】
(第1カードとの接続)
図13を参照して、第2カバー板6を開いた状態で、ベースフレーム1の上方から絶縁板3に向けて、第1カードC1を絶縁板3に載置する(図14参照)。図14に示した状態では、一組の可動板51・52は、第1カードC1の接続端子ctとコンタクト4の位置関係を第1カードC1の外形から規定している。
【0106】
次に、図8を援用すると、第2カバー板6を閉じた状態では、第1カードC1の接続端子ctがコンタクト4を押圧することで、コンタクト4を介して、第1カードC1とプリント基板9pを電気的に接続できる(図113参照)。
【0107】
次に、図11を援用して、ベースフレーム1に対して、第2カバー板6を他方の端部に向けて移動すると、係止片62nを係止溝12kに係止できる(図13参照)。つまり、第2カバー板6をロックできる。図12を援用した状態から、ベースフレーム1に対して、第2カバー板6を一方の端部に向けて移動すると、係止片62nと係止溝12kの係合を解除して、第2カバー板6を開くことができ、第1カードC1をベースフレーム1から取り出すことができる(図13参照)。
【0108】
(第2カードとの接続)
図13を参照して、第2カバー板6を開いた状態で、第2カードC2をベースフレーム1の一方の面に導入する(図16参照)。次に、図9を援用すると、第2カバー板6を閉じた状態では、一組の可動板51・52に抗して、第2カードC2の接続端子ctがコンタクト4を押圧することで、コンタクト4を介して、第2カードC2とプリント基板9pを電気的に接続できる(図13参照)。
【0109】
次に、図11を援用して、ベースフレーム1に対して、第2カバー板6を他方の端部に向けて移動すると、係止片62nを係止溝12kに係止できる(図13参照)。つまり、第2カバー板6をロックできる。図12を援用した状態から、ベースフレーム1に対して、第2カバー板6を一方の端部に向けて移動すると、係止片62nと係止溝12kの係合を解除して、第2カバー板6を開くことができ、第2カードC2をベースフレーム1から取り出すことができる(図13参照)。
【0110】
このように、第2実施形態によるコネクタ20は、第1実施形態によるコネクタ10と同様の効果を奏するが、第1実施形態によるコネクタ10が第2カードC2を第1カバー板2に収納するのに対し、第2実施形態によるコネクタ20は、第2カードC2をベースフレーム1に載置して、第2カバー板6で押圧するという、構成と手順の違いがある。
【0111】
本発明によるカード用コネクタは、miniSIMカードとmicroSIMカードを共用可能なカード用コネクタを開示したが、本発明によるカード用コネクタは、実施形態に限定されない。本発明による技術的思想を応用すれば、microSIMカードとmicroSIMカードより小型のnanoSIMカードの共用も可能である。
【符号の説明】
【0112】
1 ベースフレーム
2 第1カバー板
3 絶縁板
4 コンタクト
10 コネクタ(カード用コネクタ)
21 第1主面部
22・22 一対の第1側面部
22a・22a 一対の保持片
51・52 一組の可動板
51k・52k 一組の切り欠き
C1 第1カード(外形の小さい第1カード)
C2 第2カード(外形の大きい第2カード)
ct 接続端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16