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特開2015-207748コモンモードフィルタ及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-207748(P2015-207748A)
(43)【公開日】2015年11月19日
(54)【発明の名称】コモンモードフィルタ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/00 20060101AFI20151023BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20151023BHJP
【FI】
   H01F17/00 D
   H01F41/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-136479(P2014-136479)
(22)【出願日】2014年7月2日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0048305
(32)【優先日】2014年4月22日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ゲオン−セ チャン
(72)【発明者】
【氏名】ジン−ヒュック ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン−ミン チョ
【テーマコード(参考)】
5E062
5E070
【Fターム(参考)】
5E062DD04
5E070AA01
5E070AB02
5E070BA12
5E070CB03
5E070CB13
5E070CB17
5E070CB18
5E070EA01
(57)【要約】
【課題】コモンモードフィルタ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】磁性基板と、磁性基板上に形成される第1コイル電極と、第1コイル電極の端部と接続されるように磁性基板上に形成される第1リード電極と、第1コイル電極の上面と第1リード電極の上面とをカバーするために、磁性基板上に形成される第1絶縁層と、第1絶縁層と第1リード電極との間の高さの差を補償するために、第1リード電極の上面に形成される高さ補償電極と、第1コイル電極に電気的に接続されるように第1絶縁層上に形成される第2コイル電極と、第2コイル電極の端部と接続され、高さ補償電極の上面と接触するように、第1絶縁層の上面に形成される第2リード電極と、第2コイル電極の上面と第2リード電極の上面とをカバーするために、第1絶縁層上に形成される第2絶縁層と、第2リード電極に電気的に接続されるように、第2絶縁層上に形成される外部電極と、を含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性基板と、
前記磁性基板上に形成される第1コイル電極と、
前記第1コイル電極の端部と接続されるように、前記磁性基板上に形成される第1リード電極と、
前記第1コイル電極の上面と前記第1リード電極の上面とをカバーするために、前記磁性基板上に形成される第1絶縁層と、
前記第1絶縁層と前記第1リード電極との間の高さの差を補償するために、前記第1リード電極の上面に形成される高さ補償電極と、
前記第1コイル電極に電気的に接続されるように、前記第1絶縁層上に形成される第2コイル電極と、
前記第2コイル電極の端部と接続され、前記高さ補償電極の上面と接触するように、前記第1絶縁層の上面に形成される第2リード電極と、
前記第2コイル電極の上面と前記第2リード電極の上面とをカバーするために、前記第1絶縁層上に形成される第2絶縁層と、
前記第2リード電極に電気的に接続されるように、前記第2絶縁層上に形成される外部電極と、
を含むコモンモードフィルタ。
【請求項2】
前記第1絶縁層には、前記第1リード電極が露出するように溝が形成され、前記高さ補償電極が前記溝内に形成されることを特徴とする請求項1に記載のコモンモードフィルタ。
【請求項3】
前記高さ補償電極及び前記第2リード電極が、一体に形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコモンモードフィルタ。
【請求項4】
前記高さ補償電極の断面積が、前記第1リード電極の断面積より小さいことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコモンモードフィルタ。
【請求項5】
前記第2リード電極が、前記第1リード電極よりも内側に位置することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコモンモードフィルタ。
【請求項6】
前記第1リード電極が、前記磁性基板上の隅側に配置されることを特徴とする請求項5に記載のコモンモードフィルタ。
【請求項7】
前記第2絶縁層上に形成される磁性層をさらに含むことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のコモンモードフィルタ。
【請求項8】
前記磁性基板と前記第1絶縁層との間に介在される絶縁コーティング層をさらに含む、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のコモンモードフィルタ。
【請求項9】
磁性基板上に第1コイル電極を形成するステップと、
前記磁性基板上に前記第1コイル電極の端部と接続される第1リード電極を形成するステップと、
前記第1コイル電極の上面と前記第1リード電極の上面とをカバーする第1絶縁層を形成するステップと、
前記第1リード電極が露出されるように、前記第1絶縁層に溝を形成するステップと、
前記第1絶縁層上に、前記第1コイル電極に電気的に接続される第2コイル電極を形成するステップと、
前記第1絶縁層と前記第1リード電極との間の高さの差を補償するために、前記溝内に高さ補償電極を形成するステップと、
前記第1絶縁層上に、前記第2コイル電極の端部と接続され、前記高さ補償電極の上面と接触する第2リード電極を形成するステップと、
前記第1絶縁層上に、前記第2コイル電極の上面と前記第2リード電極の上面とをカバーする第2絶縁層を形成するステップと、
前記第2絶縁層上に、前記第2リード電極に電気的に接続される外部電極を形成するステップと、
を含むコモンモードフィルタの製造方法。
【請求項10】
前記第2リード電極が、前記高さ補償電極と同時に形成されることを特徴とする請求項9に記載のコモンモードフィルタの製造方法。
【請求項11】
前記高さ補償電極及び前記第2リード電極を形成するステップが、
前記溝の内部及び前記第1絶縁層上にレジストを形成するステップと、
前記レジストに、前記高さ補償電極及び前記第2リード電極の位置に対応して、前記溝の内部及び前記第1絶縁層の一部を露出させる開口部を形成するステップと、
前記開口部内に導電層を形成するステップと、
前記レジストを除去するステップと、を含むことを特徴とする請求項10に記載のコモンモードフィルタの製造方法。
【請求項12】
前記レジストを形成するステップの前に、
シード層を形成するステップをさらに含み、
前記導電層を形成するステップが、
前記シード層上にメッキを施して前記導電層を形成することを特徴とする請求項11に記載のコモンモードフィルタの製造方法。
【請求項13】
前記レジストを除去するステップの後に、
露出された前記シード層を除去するステップをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載のコモンモードフィルタの製造方法。
【請求項14】
前記第2リード電極及び前記高さ補償電極が、前記第2コイル電極と同時に形成されることを特徴とする請求項10から請求項13のいずれか1項に記載のコモンモードフィルタの製造方法。
【請求項15】
前記高さ補償電極を形成するステップにおいて、前記高さ補償電極の断面積が、前記第1リード電極の断面積より小さいことを特徴とする請求項9から請求項14のいずれか1項に記載のコモンモードフィルタの製造方法。
【請求項16】
前記第2リード電極を形成するステップにおいて、前記第2リード電極が、前記第1リード電極よりも内側に設けられることを特徴とする請求項9から請求項15のいずれか1項に記載のコモンモードフィルタの製造方法。
【請求項17】
前記第1リード電極を形成するステップにおいて、前記第1リード電極が、前記磁性基板上の隅側に形成されることを特徴とする請求項16に記載のコモンモードフィルタの製造方法。
【請求項18】
前記外部電極を形成するステップの後に、
前記第2絶縁層上に磁性層を形成するステップをさらに含む請求項9から請求項17のいずれか1項に記載のコモンモードフィルタの製造方法。
【請求項19】
前記第1コイル電極を形成するステップが、
前記磁性基板上に絶縁コーティング層を形成するステップと、
前記絶縁コーティング層上に前記第1コイル電極を形成するステップと、を含むことを特徴とする請求項9から請求項18のいずれか1項に記載のコモンモードフィルタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コモンモードフィルタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
USBのような高速ディジタルインタフェースには、ノイズ対策品が要求される。この中、コモンモードノイズを選択的に除去するものがコモンモードフィルタである。
【0003】
コモンモードノイズは、配線系のインピーダンスのアンバランスなどによって発生することがある。また、このようなノイズは、高周波になるほど著しく発生する。コモンモードノイズは、地面などにも伝達され、大きなルーフを描いて戻ってくるので、遠く離れた電子機器にもさまざまなノイズ障害を起している。
【0004】
コモンモードフィルタは、差動モード信号を通過させ、コモンモードノイズを選択的に除去することができる。コモンモードフィルタ内では、差動モード信号による磁束が互いに相殺され、インダクタンスが発生しないため差動モード信号が通過される。これに対して、コモンモードノイズによる磁束は合成され、インダクタンスの作用が大きくなり、これにより、ノイズを除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】大韓民国公開特許公報第10-2011-0129844号公報(コモンモードノイズフィルタ、2011.12.06 公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、コイル電極とリード電極との高さの差を低減できるコモンモードフィルタ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によれば、磁性基板と、上記磁性基板上に形成される第1コイル電極と、 上記第1コイル電極の端部と接続されるように、上記磁性基板上に形成される第1リード電極と、上記第1コイル電極の上面と上記第1リード電極の上面とをカバーするために、上記磁性基板上に形成される第1絶縁層と、上記第1絶縁層と上記第1リード電極との間の高さの差を補償するために、上記第1リード電極の上面に形成される高さ補償電極と、上記第1コイル電極に電気的に接続されるように、上記第1絶縁層上に形成される第2コイル電極と、上記第2コイル電極の端部と接続され、上記高さ補償電極の上面と接触するように、上記第1絶縁層の上面に形成される第2リード電極と、上記第2コイル電極の上面と上記第2リード電極の上面とをカバーするために、上記第1絶縁層上に形成される第2絶縁層と、上記第2リード電極に電気的に接続されるように、上記第2絶縁層上に形成される外部電極と、を含むコモンモードフィルタが提供される。
【0008】
上記第1絶縁層には、上記第1リード電極が露出するように溝が形成されており、上記高さ補償電極は、上記溝内に形成されることができる。
【0009】
上記高さ補償電極と上記第2リード電極とは、一体に形成されてもよい。
【0010】
上記高さ補償電極の断面積は、上記第1リード電極の断面積より小さくてもよい。
【0011】
上記第2リード電極は、上記第1リード電極よりも内側に位置することができる。
【0012】
上記第1リード電極は、上記磁性基板上の隅側に配置されることができる。
【0013】
上記第2絶縁層上に形成される磁性層をさらに含むことができる。
【0014】
上記磁性基板と上記第1絶縁層との間に介在される絶縁コーティング層をさらに含むことができる。
【0015】
本発明の他の側面によれば、磁性基板上に第1コイル電極を形成するステップと、上記磁性基板上に上記第1コイル電極の端部と接続される第1リード電極を形成するステップと、上記第1コイル電極の上面と上記第1リード電極の上面とをカバーする第1絶縁層を形成するステップと、上記第1リード電極が露出するように、上記第1絶縁層に溝を形成するステップと、上記第1絶縁層上に、上記第1コイル電極に電気的に接続される第2コイル電極を形成するステップと、上記第1絶縁層と上記第1リード電極との間の高さの差を補償するために、上記溝内に高さ補償電極を形成するステップと、上記第1絶縁層上に、上記第2コイル電極の端部と接続され、上記高さ補償電極の上面と接触する第2リード電極を形成するステップと、上記第1絶縁層上に、上記第2コイル電極の上面と上記第2リード電極の上面とをカバーする第2絶縁層を形成するステップと、上記第2絶縁層上に、上記第2リード電極に電気的に接続される外部電極を形成するステップと、を含むコモンモードフィルタの製造方法が提供される。
【0016】
上記第2リード電極は、上記高さ補償電極と同時に形成することができる。
【0017】
上記高さ補償電極及び上記第2リード電極を形成するステップは、上記溝の内部及び上記第1絶縁層上にレジストを形成するステップと、上記レジストに、上記高さ補償電極及び上記第2リード電極の位置に対応して、上記溝の内部及び上記第1絶縁層の一部を露出させる開口部を形成するステップと、上記開口部内に導電層を形成するステップと、上記レジストを除去するステップと、を含むことができる。
【0018】
上記レジストを形成するステップの前に、シード層を形成するステップをさらに含み、上記導電層を形成するステップは、上記シード層上にメッキを施して上記導電層を形成することができる。
【0019】
上記レジストを除去するステップの後に、露出した上記シード層を除去するステップをさらに含むことができる。
【0020】
上記第2リード電極及び上記高さ補償電極は、上記第2コイル電極と同時に形成することができる。
【0021】
上記高さ補償電極を形成するステップにおいて、上記高さ補償電極の断面積は、上記第1リード電極の断面積より小さくてもよい。
【0022】
上記第2リード電極を形成するステップにおいて、上記第2リード電極は、上記第1リード電極よりも内側に形成されることができる。
【0023】
上記第1リード電極を形成するステップにおいて、上記第1リード電極は、上記磁性基板上の隅側に形成されることができる。
【0024】
上記外部電極を形成するステップの後に、上記第2絶縁層上に磁性層を形成するステップをさらに含むことができる。
【0025】
上記第1コイル電極を形成するステップは、上記磁性基板上に絶縁コーティング層を形成するステップと、上記絶縁コーティング層上に上記第1コイル電極を形成するステップと、を含むことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の実施例によれば、コイル電極とリード電極との間のショートの発生を防止することができ、コモンモードフィルタの不良率を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施例に係るコモンモードフィルタを示す図である
図2】本発明の一実施例に係るコモンモードフィルタの製造方法を示す順序図である。
図3】本発明の一実施例に係るコモンモードフィルタの製造方法の一工程を示す工程図である。
図4図3に続く工程図である。
図5図4に続く工程図である。
図6図5に続く工程図である。
図7図6に続く工程図である。
図8図7に続く工程図である。
図9図8に続く工程図である。
図10図9に続く工程図である。
図11図10に続く工程図である。
図12図11に続く工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の一実施例に係るコモンモードフィルタ及びその製造方法の実施例を添付図面に基づいて詳細に説明し、添付図面に基づいて説明するに当たって、同一または対応する構成要素には同一の図面符号を付し、これに対する重複説明は省略する。
【0029】
また、以下で使用する「第1」、「第2」などのような用語は、同一または対応する構成要素を区別するための識別記号に過ぎず、同一または対応する構成要素が、第1、第2などの用語により限定されるものではない。
【0030】
また、「結合」とは、各構成要素の間の接触関係において、各構成要素の間に物理的に直接接触される場合のみを意味することではなく、他の構成が各構成要素の間に介在され、該他の構成に構成要素がそれぞれ接触されている場合まで包括する概念として使用する。
【0031】
図1は、本発明の一実施例に係るコモンモードフィルタを示す図面である。
【0032】
図1を参照すると、本発明の一実施例に係るコモンモードフィルタ100は、磁性基板110、第1コイル電極、第1リード電極121、第1絶縁層122、高さ補償電極130、第2コイル電極140、第2リード電極141、第2絶縁層142、及び外部電極150を含み、磁性層160及び絶縁コーティング層111をさらに含むことができる。
【0033】
磁性基板110は、コモンモードフィルタ100の最下層に位置する基板であって、磁性を有する。磁性基板110は、フェライトを含むことができる。
【0034】
磁性基板110上には、絶縁コーティング層111を形成してもよい。絶縁コーティング層111は、絶縁物質のコーティングにより形成できる。絶縁コーティング層111は、磁性基板110と第1コイル電極120(または、第1リード電極121)とを絶縁させることができる。絶縁コーティング層111の材料としては、電気的絶縁特性に優れ、かつ加工性に優れる高分子樹脂を用いることができ、高分子樹脂としては、エポキシ樹脂またはポリイミド樹脂などを用いることができる。
【0035】
第1コイル電極120は、インダクタ(inductor)の役割を担う素子である。第1コイル電極120は、磁性基板110の絶縁コーティング層111上に、導電性及び加工性に優れた銅(Cu)またはアルミニウム(Al)などの導体で形成され、二つの導体ライン(line)から構成されることができる。
【0036】
二つの導体ラインは、互いに並んで螺旋状に形成されることができる。二つの導体ラインに沿って電流が流れると、各導体ラインで発生する磁場の磁気的結合により、差動モード信号は通過され、コモンモードノイズは遮断されることができる。
【0037】
第1コイル電極120の一端は、第1リード電極121に直接接続されることができ、他端は、絶縁コーティング層111の上面の中央側に位置することになる。
【0038】
第1リード電極121は、絶縁コーティング層111上に形成され、第1コイル電極120と外部電極150とを電気的に接続させる役割を担う。第1リード電極121は、第1コイル電極120と同じ導体で形成でき、工程上、同時に形成することができる。
【0039】
第1リード電極121は、4つの電極から構成されることができる。第1コイル電極120が二つの導体ラインで構成される場合、第1リード電極121の4つの電極中、2つの電極が第1コイル電極120のそれぞれの導体ラインに接続されることができる。
【0040】
第1リード電極121は、絶縁コーティング層111の上面での隅側に位置することができる。第1リード電極121が絶縁コーティング層111の上面の隅側に位置すると、第1コイル電極120を設ける面積が相対的に大きくなるため、螺旋状の第1コイル電極120のターン(turn)数が増加し、コモンモードノイズを効率的に除去することができる。
【0041】
第1リード電極121は、四角形状に形成することができ、四角形の少なくとも1辺の長さは、第1コイル電極120の一つの導体ラインの幅より長くてもよい。
【0042】
第1絶縁層122は、第1コイル電極120の上面と第1リード電極121の上面とをカバーするために、絶縁コーティング層111上に形成されることができる。第1絶縁層122は、第1コイル電極120と第2コイル電極140とを絶縁させる役割を担い、感光性を有する絶縁物質で形成することができる。
【0043】
第1絶縁層122が第1リード電極の上面をカバーするため、第1絶縁層122の高さ(厚さ)は第1リード電極121の高さ(厚さ)より大きくなる。すなわち、第1絶縁層122と第1リード電極121との間に高さの差が発生する。
【0044】
高さ補償電極130は、第1絶縁層122と第1リード電極121との間の高さの差を補償するための電極であって、第1リード電極121と同じ導体で形成されてもよい。
【0045】
高さ補償電極130は、第1リード電極121を露出させるために第1絶縁層122に形成された溝131内に形成することができる。第1絶縁層122が感光性を有する絶縁物質で形成された場合、露光及び現像工程を経て上記溝131の位置に対応する第1絶縁層122の一部を除去することができる。
【0046】
溝131の深みは、第1絶縁層122と第1リード電極121との間の高さの差と同一であり、溝131の面積は、第1リード電極121の面積と同一であるか、第1リード電極121の面積より小さいことが好ましい。溝131の面積が第1リード電極121の面積より小さいと、高さ補償電極130を形成するための導体の費用を低減することができる。一方、高さ補償電極130は、溝131の深みと同一の厚さを有するように形成される。
【0047】
第2コイル電極140は、第1コイル電極120に電気的に接続されるように、第1絶縁層122上に形成される電極である。第1コイル電極120と第2コイル電極140とは、第1絶縁層122を貫通するビア(via)を介して接続されることができ、ビアは、第1コイル電極120の端部が位置する第1絶縁層122の中央側に対応して形成されることができる。
【0048】
第2コイル電極140は、第1コイル電極120と同様に、二つの導体ラインから構成され、二つの導体ラインが互いに並んで螺旋状に配置されることができる。このとき、一端は、第1絶縁層122に設けられるビアと直接接続され、他端は、第2リード電極141と直接接続される。
【0049】
第1コイル電極120及び第2コイル電極140によれば、コイル電極の全長が長くなり、これにより、インダクタンスの作用が大きくなるので、コモンモードノイズの除去能力を強化することができる。
【0050】
第2リード電極141は、第2コイル電極140を外部電極150に接続させる電極であって、第1リード電極121と同じ導体で形成することができる。第2リード電極141は、第2コイル電極140の端部に直接接続され、高さ補償電極130の上面と接触するように第1絶縁層122上に形成される。第2リード電極141は、高さ補償電極130を媒介にして第1リード電極121に電気的に接続されることができる。また、第2リード電極141は、高さ補償電極130により第2コイル電極140と同一の高さを維持することができる。
【0051】
図1に示すように、第2リード電極141は、高さ補償電極130の上面だけでなく第1絶縁層122の上面にも形成される。すなわち、第2リード電極141は、高さ補償電極130と第1絶縁層122との両方にわたって形成される。この場合、高さ補償電極130と第2リード電極141とを一体に形成することができ、この場合、高さ補償電極130と第2リード電極141を同時に形成できるので、工程の単純化を図ることができる。
【0052】
高さ補償電極130を備えない場合、第2コイル電極140は第1絶縁層122上に形成される反面、第2リード電極141は第1リード電極121上に直接形成されるため、第2リード電極141と第2コイル電極140との間の位置の差(最上端の高さの差)が発生することになる。すなわち、第2リード電極141が第2コイル電極140よりも下に位置することになる。この場合、第2リード電極141と第2コイル電極140とを形成する工程中に、第2リード電極141と第2コイル電極140との間にショートが発生する場合がある。
【0053】
しかし、高さ補償電極130を備える場合は、第2コイル電極140と第2リード電極141とが同一の高さに形成できるので、ショートを防止することができる。
【0054】
第2リード電極141は、第1リード電極121と同様に、4つの電極で構成でき、その中の二つの電極が、第2コイル電極140の二つの導体ラインとそれぞれ接続されることができる。
【0055】
第2リード電極141は、第1リード電極121よりも内側に位置することができる。これは、第2リード電極141と第1絶縁層122の中央との距離が、第1リード電極121と絶縁コーティング層111の中央との距離よりも短いことを意味する。これにより、第1リード電極121、高さ補償電極130、及び第2リード電極141が、階段形状をなすことになる。ここで、第2リード電極141の断面積は、第1リード電極121の断面積と同じであってもよい。
【0056】
第2絶縁層142は、第2コイル電極140を保護し、第2絶縁層142上に形成される磁性層160と第2コイル電極140との間を絶縁させるための層である。第2絶縁層142は、第2コイル電極140の上面と第2リード電極141の上面とをカバーするために、第1絶縁層122上に形成される。第2絶縁層142は、第1絶縁層122と同じ物質で形成でき、感光性を有することができる。
【0057】
外部電極150は、電流が第1コイル電極120及び第2コイル電極140に入り、そこから出る通路の役割を担う電極である。外部電極150は、第2リード電極141に電気的に接続されるように、第2絶縁層142上に形成される。
【0058】
外部電極150は、4つの電極で構成でき、4つの電極は、4つの第2リード電極141のそれぞれと電気的に接続されることができる。外部電極150は、第2絶縁層142の上面の4隅に位置することができる。
【0059】
磁性層160は、第2絶縁層142上に形成でき、磁気粉末と樹脂とが混合された物質で形成することができる。磁性層160は、コモンモードフィルタ100の内部を保護する役割を担いながら磁性基板110と共に閉磁路を形成し、コモンモードノイズの除去を強化することができる。
【0060】
一方、図1に示されたように、本発明の一実施例に係るコモンモードフィルタ100は、第3コイル電極170、第3リード電極171及び第3絶縁層172と、第4コイル電極180、第4リード電極181及び第4絶縁層182とをさらに含むことができる。
【0061】
ここで、第3コイル電極170、第3リード電極171及び第3絶縁層172は、第1コイル電極120、第1リード電極121及び第3絶縁層172にそれぞれ対応し、第4コイル電極180、第4リード電極181及び第4絶縁層182は、第2コイル電極140、第2リード電極141及び第2絶縁層142にそれぞれ対応することができる。
【0062】
すなわち、同一の構成が繰り返して積層されることにより、さらに多いコイル電極層を有したコモンモードフィルタ100を提供することができる。ここで、第2リード電極141と第3リード電極171との間、第3リード電極171と第4リード電極181との間の全部に高さ補償電極130を介在することができる。
【0063】
したがって、第1リード電極121から第4リード電極181は、高さ補償電極130を媒介にして電気的に接続され、図1に示されているように、一方向へ上昇する階段形状を形成することができる。また、必要によって、階段の上昇方向を層ごとに異なるように形成することもできる。
【0064】
高さ補償電極が存在しない場合、コイル電極層が多くなるほど、最上層のリード電極とコイル電極との間の位置の差は大きくなり、これにより、ショート不良発生の可能性も大きくなる。
【0065】
しかし、高さ補償電極を介在した複数のリード電極によれば、リード電極とコイル電極との間の位置の差を克服できるので、コイル電極の間のショートの発生を抑えながら多層構造のコモンモードフィルタを製造することが可能になる。
【0066】
コモンモードフィルタの大きさが小さい場合は、コイル電極の長さを長くするために、コイル電極層を多くすることがコモンモードノイズの除去に有利である。したがって、本発明の一実施例に係るコモンモードフィルタの構造は、小型化されたコモンモードフィルタに効果的に適用することができる。
【0067】
以上では、本発明の一実施例に係るコモンモードフィルタについて説明したが、以下では、本発明の一実施例に係るコモンモードフィルタの製造方法について説明する。
【0068】
図2は、本発明の一実施例に係るコモンモードフィルタの製造方法を示す順序図であり、図3から図12は、本発明の一実施例に係るコモンモードフィルタの製造方法を示す工程図である。
【0069】
図2を参照すると、本発明の一実施例に係るコモンモードフィルタの製造方法は、第1コイル電極を形成するステップS110と、第1リード電極を形成するステップS120と、第1絶縁層を形成するステップS130と、第1絶縁層に溝を形成するステップS140と、第2コイル電極を形成するステップS150と、高さ補償電極及び第2リード電極を形成するステップS160と、第2絶縁層を形成するステップS170と、外部電極を形成するステップS180と、磁性層を形成するステップS190と、を含むことができる。
【0070】
図3を参照すると、第1コイル電極を形成するステップS110は、磁性基板110上に第1コイル電極120を形成するステップである。第1コイル電極120を形成するステップS110は、磁性基板110上に絶縁コーティング層111を形成するステップS111と絶縁コーティング層111上に第1コイル電極120を形成するステップS112とを含むことができる。絶縁コーティング層111は、上述したように、第1コイル電極120と磁性基板110とを絶縁させる役割を担う。
【0071】
第1リード電極を形成するステップS120は、磁性基板110上に、第1コイル電極120の端部と接続される第1リード電極121を形成するステップであって、第1リード電極121は、絶縁コーティング層111の上面に形成されることができる。ここで、第1コイル電極120と第1リード電極121とは、フォト工程により同じ導体で同時に形成することができる。
【0072】
図4を参照すると、第1絶縁層を形成するステップS130は、第1コイル電極120の上面と第1リード電極121の上面とをカバーする第1絶縁層122を形成するステップである。第1絶縁層122は、第1コイル電極120の上面全体と第1リード電極121の上面全体とをカバーすることができる。第1絶縁層122は、感光性を有する物質であってもよい。
【0073】
図5を参照すると、第1絶縁層に溝を形成するステップS140は、第1リード電極121を露出させるために、第1絶縁層122に溝131を形成するステップである。第1絶縁層122が感光性物質からなった場合、露光及び現像工程を経て溝131を形成することができる。溝131の断面積は、第1リード電極121の断面積と同一であるか、第1リード電極121の断面積より小さいことが好ましい。
【0074】
第2コイル電極を形成するステップS150は、第1絶縁層122上に、第1コイル電極120に電気的に接続される第2コイル電極140を形成するステップである。
【0075】
高さ補償電極及び第2リード電極を形成するステップS160は、第1絶縁層122と第1リード電極121との間の高さの差を補償するための高さ補償電極130と、第2コイル電極140の端部と接続される第2リード電極141とを形成するステップである。第2リード電極141の断面積は、第1リード電極121の断面積と同一であってもよく、高さ補償電極130の断面積は、第1リード電極121の断面積より小さくてもよい。
【0076】
高さ補償電極130と第2リード電極141は別途に形成されてもよく、一体に形成されてもよいが、この場合、工程の単純化を図ることができる。
【0077】
高さ補償電極及び第2リード電極を形成するステップS160は、溝131の内部及び第1絶縁層122上にレジスト132を形成するステップS161と、高さ補償電極130及び第2リード電極141の位置に対応して開口部133を形成するステップS162と、開口部133内に導電層134を形成するステップS163と、レジスト132を除去するステップS164と、を含むことができる。
【0078】
図6を参照すると、溝131の内部及び第1絶縁層122上にレジスト132を形成するステップS161は、第1絶縁層122に形成された溝131の内部がレジスト132で満たされるように、第1絶縁層122の表面にレジスト132を形成するステップである。ここで、レジスト132は、感光性物質である。
【0079】
図7を参照すると、高さ補償電極130及び第2リード電極141の位置に対応して開口部133を形成するステップS162は、第1リード電極121と第1絶縁層122 との両方にわたっている開口部133を形成するステップである。例えば、第1リード電極121の断面積と同一の断面積を有する開口部133を第1リード電極121とずれるように形成することができる。
【0080】
図8を参照すると、開口部133内に導電層134を形成するステップS163は、開口部133内に高さ補償電極130と、第2リード電極141の役割を担う導電層134とを形成するステップである。すなわち、第1絶縁層122と第1コイル電極120との間の高さの差に対応する導電層134の厚さ分は高さ補償電極130の役割を担い、その他の厚さは第2リード電極141の役割を担うことになる。
【0081】
導電層134は、メッキ方式を用いて形成することができる。この場合、レジスト132を形成する前に、第1絶縁層122上にシード層(seed layer)を形成し、導電層134はシード層をシードとしてメッキすることにより形成できる。
【0082】
図9を参照すると、レジスト132を除去するステップS164は、不要なレジスト132を剥離するステップである。なお、導電層がメッキ方式により形成された場合は、レジスト132の除去後に、露出されたシード層を除去することになる。
【0083】
図9に示すように、第2リード電極141の厚さは、均一なものとして示されているが、導電層134がメッキ方式により形成された場合は、第2リード電極141において、溝131の上側部分の厚さが溝131と遠い上側部分の厚さより薄くなる。これは、メッキされる厚さがどの位置でも均一であると仮定する場合、第2リード電極141は、高さ補償電極130と同時にメッキされるため、第2リード電極141において溝131の上側部分が高さ補償電極130のメッキされる分だけ厚さが薄くなるからである。
【0084】
それにもかかわらず、第1絶縁層122の上面に位置する第2リード電極141の高さは、第2コイル電極140の高さと一致できるので、ショートは発生しなくなる。
【0085】
一方、図6から図9を参照すると、第2コイル電極140は、第2リード電極141 及び高さ補償電極130と同時に形成されることができる。上述したように、感光性レジスト132を用いる場合、第2コイル電極140、第2リード電極141、及び高さ補償電極130は同じ導体で同時に形成することができる。
【0086】
第2リード電極141は、第1リード電極121よりも内側に設けることができ、第1リード電極121は、磁性基板110上の隅側に設けることができる。すなわち、第1リード電極121は、絶縁コーティング層111の上面のうちの隅側に位置することができる。この場合、第1リード電極121、高さ補償電極130、及び第2リード電極141は、階段形状をなすことができる。
【0087】
図10を参照すると、第2絶縁層を形成するステップS170は、第1絶縁層122上に、第2コイル電極140の上面と上記第2リード電極141の上面とをカバーする第2絶縁層142を形成するステップである。
【0088】
一方、図11に示すように、同様の工程を繰り返して、第3コイル電極170、第3リード電極171及び第3絶縁層172と、第4コイル電極180、第4リード電極181及び第4絶縁層182とをさらに形成することができる。
【0089】
ここで、第3コイル電極170、第3リード電極171及び第3絶縁層172は、第1コイル電極120、第1リード電極121、及び第1絶縁層122にそれぞれ対応し、第4コイル電極180、第4リード電極181及び第4絶縁層182は、第2コイル電極140、第2リード電極141及び第2絶縁層142にそれぞれ対応することができる。
【0090】
図12を参照すると、外部電極を形成するステップS180は、第2リード電極141に電気的に接続され、第1コイル電極120及び第2コイル電極140に電流を印加したり、そこから電流が出るための通路の役割を担う外部電極150を第2絶縁層142上に形成するステップである。
【0091】
外部電極150は、第2リード電極141と直接接触されてもよく、これのために、第2絶縁層142の一部を除去し、第2リード電極141を露出させる工程が必要である。第2絶縁層142が感光性を有する物質である場合、フォト工程を用いて第2リード電極141を露出させることができる。
【0092】
また、図11に示されたように、外部電極150は、第3リード電極171及び第4リード電極181を媒介にして、第2リード電極141と接続することができる。
【0093】
磁性層を形成するステップS190は、第2絶縁層142上に磁気粉末と樹脂とが混合された物質で磁性層を形成するステップである。磁性層160は、磁性基板110と共にコモンモードフィルタ100の能力を強化することができる。
【0094】
上述したように、本発明の一実施例に係るコモンモードフィルタの製造方法によれば、単純な工程でもショートの不良を防止できるコモンモードフィルタの製造方法を提供することができる。
【0095】
以上、本発明の一実施例について説明したが、該当技術分野で通常の知識を有する者であれば、特許請求範囲に記載した本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除または追加することにより本発明を多様に修正及び変更することができ、これも本発明の権利範囲内に含まれるものといえよう。
【符号の説明】
【0096】
100 コモンモードフィルタ
110 磁性基板
111 絶縁コーティング層
120 第1コイル電極
121 第1リード電極
122 第1絶縁層
130 高さ補償電極
131 溝
132 レジスト
133 開口部
134 導電層
140 第2コイル電極
141 第2リード電極
142 第2絶縁層
150 外部電極
160 磁性層
170 第3コイル電極
171 第3リード電極
172 第3絶縁層
180 第4コイル電極
181 第4リード電極
182 第4絶縁層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12