特開2015-207817(P2015-207817A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-207817(P2015-207817A)
(43)【公開日】2015年11月19日
(54)【発明の名称】通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 3/50 20060101AFI20151023BHJP
   H03H 7/06 20060101ALI20151023BHJP
   H03H 7/09 20060101ALI20151023BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20151023BHJP
   B60L 11/18 20060101ALN20151023BHJP
【FI】
   H04B3/50
   H03H7/06
   H03H7/09 A
   H02J7/00 P
   B60L11/18 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-85519(P2014-85519)
(22)【出願日】2014年4月17日
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 隆史
(72)【発明者】
【氏名】二井 和彦
(72)【発明者】
【氏名】萩原 剛志
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
5J024
5K046
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA03
5G503FA06
5G503GD03
5G503GD04
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125CC06
5H125FF11
5J024AA01
5J024CA06
5J024DA01
5J024DA25
5J024EA01
5J024EA03
5J024EA08
5K046AA01
5K046BA03
5K046BB05
5K046CC02
5K046CC26
(57)【要約】
【課題】信号を送受信する2本の電線の平衡度を高くすることができる通信装置を提供する。
【解決手段】プラグインハイブリッド自動車又は電気自動車等の車輌4は、バッテリ41を充電するための低周波数帯域の充電制御信号と、車輌4の認証又は充電に対する課金管理等のための高周波数帯域の通信信号とが重畳された重畳信号を送受信する通信装置44を備える。通信装置44は、コモンモードノイズフィルタ60によってコモンモードノイズが除去された重畳信号を、LPF50及びBPF62に通過させることにより、充電制御信号を充電制御装置43へ、通信信号を通信部66へ夫々出力する構成となっているため、制御線47と接地線48とのインピーダンスの平行度を高く保ったまま、分岐を設けることができ、コモンモードノイズを効率よく除去できる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1信号と、該第1信号とは異なり直流成分を含む周波数帯域の第2信号とが重畳された重畳信号を送受信する通信装置において、
前記重畳信号からコモンモードノイズを除去するコモンモードノイズ除去部と、
該コモンモードノイズ除去部によってコモンモードノイズが除去された信号から前記第2信号を抽出するローパスフィルタと
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記ローパスフィルタは並列に接続されたコイル及び抵抗器を有することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数帯域の異なる複数の信号を共通の電線に重畳して送受信する通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラグインハイブリッド自動車及び電気自動車が普及している。これらの車輌の普及に伴って、車輌のバッテリに充電するため、例えば充電スタンドに設置される商用の充電装置の整備が必要とされている。商用充電装置においては、バッテリの充電機能の他に、車輌の認証機能又は電力の供給量に応じて課金するための課金情報送受信機能等を備える必要がある。
【0003】
このため、前述の様な充電装置の中には、CPLT(コントロールパイロット)信号といった充電制御信号及び、認証又は課金管理等に必要な通信信号を送受信する通信装置を備えるものがある。特許文献1には、周波数帯域が異なる複数の信号を2本の電線を介して送受信する通信装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−227820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
2本の電線を用いた通信においては、2本の電線上を伝送される信号に外部から混入する2本の電線上をコモンモードで伝導するコモンモードノイズの影響により、誤った信号が送受信されることがあるという問題がある。このため、特許文献1の通信装置には、コモンモードチョークコイルによって構成され、2本の電線上のコモンモードノイズを除去するコモンモードノイズ除去部を備える。コモンモードノイズ除去部は、2本の電線上をコモンモードで伝導するノイズを除去する。しかし、2本の電線のインピーダンスが互いに異なる場合、コモンモードで伝導するノイズの振幅が互いに異なるため、一部の成分がノーマルモードノイズとしてコモンモードノイズ除去部を通過する。このような通信装置においては、コモンモードノイズを効率的に除去するために、コモンモードノイズ除去部に接続されコモンモードノイズが乗った重畳信号が伝送される2本の電線の平衡度を高く保つ必要がある。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、信号が伝送される2本の電線の平衡度を高くすることができる通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る通信装置は、第1信号と、該第1信号とは異なり直流成分を含む周波数帯域の第2信号とが重畳された重畳信号を送受信する通信装置において、前記重畳信号からコモンモードノイズを除去するコモンモードノイズ除去部と、該コモンモードノイズ除去部によってコモンモードノイズが除去された信号から前記第2信号を抽出するローパスフィルタとを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る通信装置にあっては、第1信号と、第1信号とは異なった周波数帯域であって直流成分を含む周波数帯域の第2信号とが重畳された重畳信号を送受信する。コモンモードノイズ除去部は、例えばコモンモードチョークコイルにより構成され、重畳信号からコモンモードノイズを除去する。ローパスフィルタは、コモンモードノイズ除去部によってコモンモードノイズが除去された信号から第2信号を抽出する。
【0009】
以上の構成においては、コモンモードノイズが除去された信号から第1信号も抽出することになり、装置間を接続する2本の電線に分岐を設ける必要がないため、当該2本の電線の平衡度を高くすることが可能である。したがって、コモンモードノイズ除去部を通過するノーマルモードノイズの影響を小さくすることができる。
【0010】
本発明に係る通信装置は、前記ローパスフィルタは並列に接続されたコイル及び抵抗器を有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る通信装置にあっては、ローパスフィルタは並列に接続されたコイル及び抵抗器を備える。コイルは、入力された重畳信号の高周波成分を減衰させることにより重畳信号から第2信号を抽出する。抵抗器は、信号波形の立ち上がり又は立ち下がりにより引き起こされる振動ノイズを減衰させる。したがって、第2信号をより誤りなく受信することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、信号が伝送される2本の電線の平衡度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態に係る給電システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態に係る通信装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0015】
図1は本発明の実施の形態に係る給電システム1の構成を示すブロック図である。この給電システム1は、給電装置2、給電装置2に接続されている充電ケーブル3、及び車輌4を備えている。充電ケーブル3は、車輌4に着脱可能に接続される充電コネクタ30を端部に有する。車輌4はプラグインハイブリッド自動車又は電気自動車等であって、充電ケーブル3の充電コネクタ30に着脱可能に接続されるインレット40と、バッテリ41とを有する。
【0016】
給電装置2は例えば給電スタンドに設置されている。給電装置2は、充電ケーブル3の充電コネクタ30が車輌4のインレット40に接続された状態で、充電ケーブル3を介して車輌4のバッテリ41に給電する。
【0017】
充電ケーブル3は、2本の給電線31,32と、車輌4に搭載されたバッテリ41の充電制御に用いる充電制御信号、例えばCPLT信号が伝送される制御線33と、接地用の導線である接地線34とを内包している。給電線31,32、制御線33及び接地線34夫々の一端は充電コネクタ30に接続されている。給電線31,32、制御線33及び接地線34夫々は電線である。
【0018】
給電装置2は、2本の給電線31,32夫々の他端間に接続される交流電源20と、充電制御信号を送信する充電制御部21と、通信信号の送受信を行う通信機22とを有する。通信機22は制御線33及び接地線34夫々の他端に接続されており、充電制御部21は通信機22を介して制御線33に接続されている。更に、接地線34は給電装置2内で接地電位に接続されており、充電制御部21及び通信機22も接地電位に接続されている。
【0019】
車輌4は、インレット40及びバッテリ41の他に、バッテリ41への充電を行う充電装置42、充電制御信号を受信する充電制御装置43、及び通信信号の送受信を行う通信装置44を有する。インレット40には、2本の給電線45,46、充電制御信号を伝播する制御線47、及び、接地用の導線である接地線48夫々の一端が接続されている。
【0020】
充電装置42は、2本の給電線45,46夫々の他端と、バッテリ41の正極端子とに各別に接続されている。充電制御装置43は通信装置44に接続しており、通信装置44を介して制御線47に接続している。通信装置44は、制御線47及び接地線48夫々の他端に接続している。バッテリ41の負極端子、充電装置42、充電制御装置43、通信装置44及び接地線48夫々はボディアースされている。給電線45,46、制御線47及び接地線48は電線である。
【0021】
充電ケーブル3の充電コネクタ30が車輌4のインレット40に接続された場合、2本の給電線31,32夫々の一端が2本の給電線45,46の一端に接続され、更に、制御線33の一端が制御線47の一端に接続され、接地線34の一端が接地線48の一端に接続される。
【0022】
充電ケーブル3の充電コネクタ30が車輌4のインレット40に接続された場合、給電装置2の交流電源20は給電線45,46を介して交流電圧を充電装置42に印加する。充電装置42は、交流電源20によって印加された交流電圧を直流電圧に整流し、整流した直流電圧をバッテリ41に印加する。これにより、バッテリ41は電力を蓄える。バッテリ41は、蓄えた電力を例えば車輌4に搭載されている図示しない負荷に供給する。
【0023】
給電装置2の充電制御部21は、例えば、充電制御に関する国際規格に準拠した給電側の回路である。充電制御部21は、車輌4の充電制御装置43に充電制御信号を送信すること、及び、充電制御装置43によって変更される充電制御信号の振幅を監視することによって接続確認及び通信開始等の充電制御を行う。充電制御部21は、接地線34の電位を基準とした電圧を制御線33に印加することによって直流成分を含む低周波数帯域の充電制御信号を送信する。
【0024】
車輌4の充電制御装置43は、例えば、充電制御に関する国際規格に準拠した車輌側の回路である。充電制御装置43は、給電装置2の充電制御部21と通信可能となった場合、充電制御部21から受信した充電制御信号に基づいて充電装置42によるバッテリ41への充電を制御する。充電制御装置43は、充電制御部21と同様に、接地線48の電位を基準とした制御線47の電圧を検出することによって充電制御信号を受信する。また、充電制御装置43は、制御線47及び接地線48間のインピーダンスを変化させることによって、充電制御信号の振幅を変更する。
【0025】
また、充電制御装置43は、バッテリ41の充電制御に関する充電制御情報、例えば、充電装置42がバッテリ41に充電した充電量を示す情報を通信装置44に出力する。
【0026】
充電ケーブル3の充電コネクタ30が車輌4のインレット40に接続された場合、給電装置2の通信機22は、制御線33及び接地線34を伝送媒体として、周波数帯域が充電制御信号と異なる通信信号の送受信を車輌4の通信装置44と行い、インバンド通信を実行する。通信信号の周波数帯域は、例えば2MHz〜30MHzである。通信機22は、接地線34における電位を基準とした電圧を制御線33に印加することによって通信信号を送信し、接地線34における電位を基準とした制御線33の電圧を検出することによって通信信号を受信する。
【0027】
充電制御部21は、重畳信号を図示しないLPF(Low Pass Filter、ローパスフィルタ)に通過させることによって、充電制御信号を抽出し、抽出した充電制御信号を受信する。通信機22は、重畳信号を、透過する信号の周波数帯域が例えば2MHz〜30MHzである図示しないBPF(Band Pass Filter、バンドパスフィルタ)に通過させることによって通信信号を抽出し、抽出した通信信号を受信する。
【0028】
通信機22は、通信信号を送受信することによって、車輌認証、充電管理又は課金管理等を行うための情報の受け渡しを車輌4の通信装置44と行う。
【0029】
車輌4の通信装置44は、制御線47及び接地線48を伝送媒体として通信信号の送受信を給電装置2の通信機22と行う。通信装置44は、通信機22と同様に、接地線48における電位を基準とした電圧を制御線47に印加することによって通信信号を送信し、接地線48における電位を基準とした制御線47の電圧を検出することによって通信信号を受信する。
【0030】
以上のように、通信装置44は、制御線47及び接地線48を伝送媒体として、周波数帯域が充電制御信号と異なる通信信号の送受信を行うことによってインバンド通信を実行する。充電制御部21が充電制御装置43に充電制御信号を送信し、通信機22が通信装置44と通信信号を送受信することによって、充電制御信号と通信信号が重畳した重畳信号が制御線33及び接地線34を介して伝送される。ここで、通信信号が特許請求の範囲に記載の第1信号に、充電制御信号が特許請求の範囲に記載の第2信号に夫々相当する。
【0031】
通信装置44は、充電制御装置43から入力された充電制御情報が示す内容に基づいて通信信号を送受信することによって、車輌認証、充電管理又は課金管理等を行うための情報の受け渡しを給電装置2の通信機22と行う。
【0032】
図2は本発明の実施の形態に係る通信装置44の構成を示すブロック図である。
【0033】
通信装置44は、LPF50、コモンモードノイズフィルタ60、絶縁トランス61、BPF62、保護回路63,64、変換回路65及び通信部66を有する。充電制御装置43は、コンデンサC3を有する。
【0034】
通信装置44のコモンモードノイズフィルタ60は2つのコイルを有し、それらのうち一方のコイルの一端は制御線47の他端に接続され、他方のコイルの一端は接地線48の他端に接続されている。インレット40と、コモンモードノイズフィルタ60との間に接続される制御線47及び接地線48は略平行又は平行に配置されている。
【0035】
コモンモードノイズフィルタ60が有する2つのコイル夫々の他端は、コンデンサC1,C2夫々の一端に接続されている。コンデンサC1,C2夫々の他端間には、絶縁トランス61の一方のコイルが接続されている。絶縁トランス61の他方のコイルにおける両端は、BPF62に接続されると共に保護回路63にも接続されている。BPF62は更に保護回路64に接続されている。保護回路63,64夫々は変換回路65に接続されており、変換回路65は更に通信部66に接続されている。通信部66は更に充電制御装置43に接続されている。
【0036】
コモンモードノイズフィルタ60の一方のコイルの他端、より詳しくは、コモンモードノイズフィルタ60とコンデンサC1との間の接続ノードが、LPF50の一端に接続されている。また、LPF50の他端は充電制御装置43、より詳しくは充電制御装置43のコンデンサC3の一端に接続されている。コンデンサC3の他端は接地されている。
【0037】
コモンモードノイズフィルタ60が有する2つのコイルは所謂コモンモードチョークコイルであって、互いに反対方向に巻かれている。コモンモードノイズフィルタ60に、制御線47及び接地線48夫々を介してコモンモードノイズが伝導した場合、コモンモード電流によってコイル内に発生する磁束が足し合わされることによりコイルが高インピーダンスとなり、コモンモードノイズを除去する。一方、コモンモードノイズフィルタ60にノーマルモード電流が流れた場合、コイル内に発生する磁束は互いに打ち消し合うため、コイルは低インピーダンスとなる。したがって、コモンモードノイズフィルタ60は、特許請求の範囲に記載のコモンモードノイズ除去部に相当する。
【0038】
通信部66には充電制御情報が充電制御装置43から入力されている。通信部66は、入力された充電制御情報が示す内容に基づいて通信信号を送受信することによって、車輌認証、充電管理、又は課金管理等を行うための情報の受け渡しを給電装置2の通信機22と行う。
【0039】
コモンモードノイズフィルタ60は、制御線47及び接地線48上を伝送される重畳信号からコモンモードノイズを除去し、コモンモードノイズを除去した信号をコンデンサC1,C2夫々の一端に出力する。コンデンサC1,C2は、コモンモードノイズフィルタ60がコモンモードノイズを除去した信号の直流成分を除去し、直流成分を除去した信号を、絶縁トランス61における一方のコイルの両端に出力する。絶縁トランス61は、一方のコイルの両端に入力された信号を、差動信号に変換し、変換した差動信号をBPF62に出力する。
【0040】
BPF62は、絶縁トランス61が出力した差動信号から所定の周波数帯域、例えば2MHz〜30MHzの周波数帯域の通信信号を抽出し、抽出した通信信号を保護回路64を介して変換回路65に出力する。保護回路64は、サージ電圧、過電流及び過電圧等から変換回路65を保護する回路である。
【0041】
変換回路65は、保護回路64を介してBPF62から入力された通信信号を「1」及び「0」によって構成されるビット列の通信信号に変換し、変換したビット列の通信信号を通信部66に出力する。これにより、通信部66は、車輌認証、充電管理、又は課金管理等を行うための情報を受信する。
【0042】
通信部66には、充電制御装置43から充電制御情報が入力される。通信部66は、入力された充電制御情報に基づいて、車輌認証、充電管理、又は課金管理等を行うための情報を給電装置2の通信機22に渡すため、「1」及び「0」によって構成されるビット列の通信信号を変換回路65に出力する。変換回路65は、通信部66から入力されたビット列の通信信号を差動信号に変換し、差動信号に変換された通信信号を、保護回路63を介して絶縁トランス61の他方のコイルの両端に出力する。保護回路63は、保護回路64と同様に、サージ電圧、過電流及び過電圧等から変換回路65を保護する回路である。
【0043】
絶縁トランス61は、変換回路65により差動信号に変換された通信信号を、一方のコイルにおけるコンデンサC2側の電位を基準とした通信信号に変換し、コンデンサC1,C2及びコモンモードノイズフィルタ60を介してインレット40に出力する。このとき、通信装置44から出力される通信信号は、接地線48の電位を基準とした電圧で表された通信信号である。通信装置44が出力した通信信号と充電制御装置43が出力した充電制御信号とが重畳された重畳信号は、インレット40から給電装置2へ送信される。
【0044】
LPF50は、並列に接続されたコイルL1及び抵抗器R1を有する。コイルL1は、入力された重畳信号の高周波成分を減衰させることにより重畳信号から低周波成分の充電制御信号を抽出することができる。更に、コイルL1は、充電制御装置43のコンデンサC3と共に回路を形成することにより、より高次のフィルタとして機能する。また、抵抗器R1は、信号波形の立ち上がり又は立ち下がりにより引き起こされる振動ノイズを減衰させるダンピング抵抗として機能する。LPF50は抽出した充電制御信号を充電制御装置43へ出力する。充電制御装置43は、コンデンサC3の両端の電圧を検出することにより、充電制御信号を受信する。
【0045】
以上のように通信装置44が構成された場合、制御線47及び接地線48は互いに平行又は略平行に設置されているので、外部からノイズが混入した場合、制御線47及び接地線48における電位は同様に変動する。したがって、制御線47及び接地線48によって構成される伝送路の平衡度は高い。また、前述の理由により、制御線47に分岐を設ける必要がない。したがって、制御線47と接地線48のインピーダンスを略同じにすることができるため、制御線47と接地線48との平衡度を更に高くすることができる。これにより、制御線47及び接地線48上を伝送される重畳信号に外部から混入したコモンモードノイズが、コモンモードノイズフィルタ60により効率的に除去される。
【0046】
尚、給電装置2の通信機22を、本発明の通信装置44と同様の構成としてもよい。この場合、制御線33に分岐を設ける必要がないため、制御線47と制御線48についてと同様、制御線33と接地線34との平衡度も高くすることができる。
【0047】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0048】
1 給電システム
2 給電装置
20 交流電源
21 充電制御部
22 通信機
3 充電ケーブル
30 充電コネクタ
31,32 給電線
33 制御線
34 接地線
4 車輌
40 インレット
41 バッテリ
42 充電装置
43 充電制御装置
44 通信装置
45,46 給電線
47 制御線
48 接地線
50 LPF
60 コモンモードノイズフィルタ
61 絶縁トランス
62 BPF
63,64 保護回路
65 変換回路
66 通信部
C1,C2,C3 コンデンサ
L1 コイル
R1 抵抗器
図1
図2