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特開2015-207858通信装置、溶接電源装置、ワイヤ送給装置、溶接システム、受信方法、および、送信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-207858(P2015-207858A)
(43)【公開日】2015年11月19日
(54)【発明の名称】通信装置、溶接電源装置、ワイヤ送給装置、溶接システム、受信方法、および、送信方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 1/00 20060101AFI20151023BHJP
   B23K 9/10 20060101ALI20151023BHJP
   H04L 25/02 20060101ALI20151023BHJP
   H03M 1/12 20060101ALI20151023BHJP
   H04B 3/54 20060101ALI20151023BHJP
【FI】
   H04L1/00 E
   B23K9/10 A
   H04L25/02 301D
   H03M1/12 C
   H04B3/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-86440(P2014-86440)
(22)【出願日】2014年4月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100115369
【弁理士】
【氏名又は名称】仙波 司
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(72)【発明者】
【氏名】大西 孝典
【テーマコード(参考)】
4E082
5J022
5K014
5K029
5K046
【Fターム(参考)】
4E082AA01
4E082EA04
4E082EE08
5J022AA01
5J022AC02
5J022BA06
5J022CA01
5J022CA10
5J022CC02
5J022CE01
5J022CF01
5K014BA01
5K014FA12
5K014GA02
5K029AA01
5K029AA13
5K029BB01
5K029CC01
5K029DD02
5K029DD12
5K029DD22
5K029HH13
5K029JJ04
5K029KK27
5K029KK35
5K046AA03
5K046BB06
5K046PS03
5K046PS17
5K046PS31
(57)【要約】
【課題】伝送路のインピーダンスの変化に対応することができ、かつ、消費電力も抑制することができる通信装置を提供する。
【解決手段】通信部13(23)において、受信した受信信号をサンプリング周波数でサンプリングしてデジタル信号に変換するA/D変換部57と、受信成功率に基づいて、サンプリング周波数を変更する通信制御部51とを備えるようにした。受信成功率に応じてサンプリング周波数を調整することができるので、伝送路のインピーダンスの変化により受信成功率が変化した場合に、サンプリング周波数を変化させることで受信成功率の変化を抑制することができる。また、サンプリング周波数を必要に応じて変化させるので、常に大きくしておく場合と比べて、消費電力を抑制することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信信号を受信する受信手段と、
前記受信信号をサンプリング周波数でサンプリングしてデジタル信号に変換するA/D変換手段と、
前記受信信号に基づいて、前記サンプリング周波数を変更する周波数変更手段と、
を備えていることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記周波数変更手段は、
前記受信信号が正しく受信されたかを判断する判断手段と、
前記判断手段によって正しく受信されたと判断された割合である受信成功率を算出する算出手段と、
を備えており、
前記受信成功率に基づいて、前記サンプリング周波数を変更する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記周波数変更手段は、前記受信成功率が第1の所定値より高い場合は、前記サンプリング周波数を減少させ、前記受信成功率が第2の所定値より低い場合は、前記サンプリング周波数を増加させる、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第1の所定値と前記第2の所定値とは同じ値である、
請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記周波数変更手段は、
前記受信信号の振幅を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された振幅の平均値を算出する算出手段と、
を備えており、
前記平均値に基づいて、前記サンプリング周波数を変更する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
送信信号を第2のサンプリング周波数でアナログ信号に変換するD/A変換手段と、
前記D/A変換手段によってアナログ化された送信信号を送信する送信手段と、
をさらに備え、
前記周波数変更手段は、さらに、前記第2のサンプリング周波数も変更する、
請求項1ないし5のいずれかに記載の通信装置。
【請求項7】
受信信号を受信する受信手段と、
前記受信信号をサンプリング周波数でサンプリングしてデジタル信号に変換するA/D変換手段と、
送信信号を第2のサンプリング周波数でアナログ信号に変換するD/A変換手段と、
前記D/A変換手段によってアナログ化された送信信号を送信する送信手段と、
前記受信信号に基づいて、前記第2のサンプリング周波数を変更する周波数変更手段と、
を備えていることを特徴とする通信装置。
【請求項8】
電力伝送線を介して通信を行う、
請求項1ないし7のいずれかに記載の通信装置。
【請求項9】
請求項8に記載の通信装置を備えており、
前記電力伝送線を介して、ワイヤ送給装置との間で通信を行う、
ことを特徴とする溶接電源装置。
【請求項10】
請求項8に記載の通信装置を備えており、
前記電力伝送線を介して、溶接電源装置との間で通信を行う、
ことを特徴とするワイヤ送給装置。
【請求項11】
請求項8に記載の通信装置を備えている溶接電源装置と、
請求項8に記載の通信装置を備えているワイヤ送給装置と、
を備えており、
前記電力伝送線を介して、前記溶接電源装置と前記ワイヤ送給装置との間で通信を行う、
ことを特徴とする溶接システム。
【請求項12】
通信装置の受信信号を受信する方法であって、
前記受信信号を受信する第1の工程と、
前記受信信号をサンプリング周波数でサンプリングしてデジタル信号に変換する第2の工程と、
デジタル信号に変換された受信信号に基づいて、前記受信信号が正しく受信されたかを判断する第3の工程と、
前記第3の工程によって正しく受信されたと判断された割合である受信成功率を算出する第4の工程と、
前記受信成功率に基づいて、前記サンプリング周波数を変更する第5の工程と、
を備えていることを特徴とする受信方法。
【請求項13】
通信装置の送信信号を送信する方法であって、
受信信号を受信する第1の工程と、
前記受信信号に基づいて、前記受信信号が正しく受信されたかを判断する第2の工程と、
前記第2の工程によって正しく受信されたと判断された割合である受信成功率を算出する第3の工程と、
前記受信成功率に基づいて変更されたサンプリング周波数でアナログ化された前記送信信号を送信する第4の工程と、
を備えていることを特徴とする送信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、溶接電源装置、ワイヤ送給装置、溶接システム、受信方法、および、送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消耗電極式の溶接装置は、通常、重量があるために移動させない溶接電源装置と、溶接位置の移動に伴って作業者が持ち運びするワイヤ送給装置とに分離されている。溶接電源装置とワイヤ送給装置とは、パワーケーブルで接続されている。
【0003】
このパワーケーブルを介して、溶接電源装置とワイヤ送給装置との間で通信を行う溶接システムが開発されている。例えば、特許文献1には、直接スペクトル拡散(Direct Sequence Spread Spectrum:DSSS)通信方式を用いて、パワーケーブルを介して通信を行う溶接システムが記載されている。
【0004】
溶接電源装置とワイヤ送給装置とを接続するパワーケーブルは、溶接電源装置とワイヤ送給装置とが離れている状態では伸ばした状態になっており、溶接電源装置とワイヤ送給装置とが近い状態では例えば巻いた状態になっている。また、溶接電源装置と作業場所との距離に応じたパワーケーブルに取り換える場合がある。パワーケーブルの長さまたは引き回し方が異なると、通信のための伝送路のインピーダンスが変わってくる。
【0005】
伝送路のインピーダンスが大きくなって通信信号の減衰が大きくなると、受信側で通信信号を正しく受信できず、受信成功率が低くなる。しかし、送信電力を大きくしていた場合、伝送路のインピーダンスが小さくなって通信信号の減衰が小さくなると、受信した通信信号の振幅が受信可能な最大電圧を超えてしまう場合がある。この場合も、通信信号を正しく受信できず、受信成功率が低くなる。例えば、特許文献2には、送信機が信号の振幅を昇圧して送信し、受信機が受信した信号の振幅を減衰させて参照電圧と比較し、比較結果によって減衰した信号と減衰前の信号とを切り替えて用いる伝送システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−191075号公報
【特許文献2】WO2011/074094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、通信信号の振幅を常に昇圧して送信する場合、消費電力が必要以上に増大してしまうという問題が生じる。
【0008】
本発明は上記した事情のもとで考え出されたものであって、伝送路のインピーダンスの変化に対応することができ、かつ、消費電力も抑制することができる通信装置を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0010】
本発明の第1の側面によって提供される通信装置は、受信信号を受信する受信手段と、前記受信信号をサンプリング周波数でサンプリングしてデジタル信号に変換するA/D変換手段と、前記受信信号に基づいて、前記サンプリング周波数を変更する周波数変更手段とを備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記周波数変更手段は、前記受信信号が正しく受信されたかを判断する判断手段と、前記判断手段によって正しく受信されたと判断された割合である受信成功率を算出する算出手段とを備えており、前記受信成功率に基づいて、前記サンプリング周波数を変更する。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記周波数変更手段は、前記受信成功率が第1の所定値より高い場合は、前記サンプリング周波数を減少させ、前記受信成功率が第2の所定値より低い場合は、前記サンプリング周波数を増加させる。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1の所定値と前記第2の所定値とは同じ値である。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記周波数変更手段は、前記受信信号の振幅を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された振幅の平均値を算出する算出手段とを備えており、前記平均値に基づいて、前記サンプリング周波数を変更する。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記通信装置は、送信信号を第2のサンプリング周波数でアナログ信号に変換するD/A変換手段と、前記D/A変換手段によってアナログ化された送信信号を送信する送信手段とをさらに備え、前記周波数変更手段は、さらに、前記第2のサンプリング周波数も変更する。
【0016】
本発明の第2の側面によって提供される通信装置は、受信信号を受信する受信手段と、前記受信信号をサンプリング周波数でサンプリングしてデジタル信号に変換するA/D変換手段と、送信信号を第2のサンプリング周波数でアナログ信号に変換するD/A変換手段と、前記D/A変換手段によってアナログ化された送信信号を送信する送信手段と、前記受信信号に基づいて、前記第2のサンプリング周波数を変更する周波数変更手段とを備えていることを特徴とする。
【0017】
本発明の第1または第2の側面によって提供される通信装置の好ましい実施の形態においては、前記通信装置は、電力伝送線を介して通信を行う。
【0018】
本発明の第3の側面によって提供される溶接電源装置は、本発明の第1または第2の側面によって提供される通信装置を備えており、前記電力伝送線を介して、ワイヤ送給装置との間で通信を行う。
【0019】
本発明の第4の側面によって提供されるワイヤ送給装置は、本発明の第1または第2の側面によって提供される通信装置を備えており、前記電力伝送線を介して、溶接電源装置との間で通信を行う。
【0020】
本発明の第5の側面によって提供される溶接システムは、本発明の第1または第2の側面によって提供される通信装置を備えている溶接電源装置と、本発明の第1または第2の側面によって提供される通信装置を備えているワイヤ送給装置とを備えており、前記電力伝送線を介して、前記溶接電源装置と前記ワイヤ送給装置との間で通信を行う。
【0021】
本発明の第6の側面によって提供される受信方法は、通信装置の受信信号を受信する方法であって、前記受信信号を受信する第1の工程と、前記受信信号をサンプリング周波数でサンプリングしてデジタル信号に変換する第2の工程と、デジタル信号に変換された受信信号に基づいて、前記受信信号が正しく受信されたかを判断する第3の工程と、前記第3の工程によって正しく受信されたと判断された割合である受信成功率を算出する第4の工程と、前記受信成功率に基づいて、前記サンプリング周波数を変更する第5の工程とを備えていることを特徴とする。
【0022】
本発明の第7の側面によって提供される送信方法は、通信装置の送信信号を送信する方法であって、受信信号を受信する第1の工程と、前記受信信号に基づいて、前記受信信号が正しく受信されたかを判断する第2の工程と、前記第2の工程によって正しく受信されたと判断された割合である受信成功率を算出する第3の工程と、前記受信成功率に基づいて変更されたサンプリング周波数でアナログ化された前記送信信号を送信する第4の工程とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、受信信号に基づいて、受信信号をデジタル信号に変換するためのサンプリング周波数が変更される。したがって、伝送路のインピーダンスが大きくなって受信信号の振幅が小さくなった場合や、受信成功率が低くなった場合には、サンプリング周波数を増加させることで受信成功率を高めることができる。これにより、受信成功率が低下することを抑制することができる。また、伝送路のインピーダンスが小さくなって受信信号の振幅が大きくなった場合や、受信成功率が高くなった場合には、サンプリング周波数を減少させることで受信成功率を低下させることができる。サンプリング周波数を必要に応じて変化させるので、常に大きくしておく場合と比べて、消費電力を抑制することができる。
【0024】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1実施形態に係る溶接システムを説明するための図である。
図2】第1実施形態に係る通信部の内部構成を説明するための図である。
図3】通信制御部が行う周波数調整処理を説明するためのフローチャートである。
図4】第2実施形態に係る溶接システムを説明するための図である。
図5】第3実施形態に係る溶接システムを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を、本発明に係る通信装置を溶接システムに用いた場合を例として、図面を参照して具体的に説明する。
【0027】
図1は、第1実施形態に係る溶接システムAを説明するための図であり、溶接システムAの全体構成を示している。
【0028】
図1に示すように、溶接システムAは、溶接電源装置1、ワイヤ送給装置2、溶接トーチ3、および、パワーケーブル41,42を備えている。溶接電源装置1の一方の出力端子aは、パワーケーブル41を介して、ワイヤ送給装置2に接続されている。ワイヤ送給装置2は、ワイヤ電極を溶接トーチ3に送り出して、ワイヤ電極の先端を溶接トーチ3の先端から突出させる。溶接トーチ3の先端に配置されているコンタクトチップにおいて、パワーケーブル41とワイヤ電極とは電気的に接続されている。溶接電源装置1の他方の出力端子bは、パワーケーブル42を介して、被加工物Wに接続される。溶接電源装置1は、溶接トーチ3の先端から突出するワイヤ電極の先端と、被加工物Wとの間に発生させたアークに電力を供給する。溶接システムAは、当該アークの熱で被加工物Wの溶接を行う。
【0029】
溶接電源装置1は、アーク溶接のための直流電力を溶接トーチ3に供給するものである。溶接電源装置1は、電源部11、制御部12、および、通信部13を備えている。
【0030】
電源部11は、電力系統から入力される三相交流電力をアーク溶接に適した直流電力に変換して出力するものである。電源部11に入力される三相交流電力は、整流回路によって直流電力に変換され、インバータ回路によって交流電力に変換される。そして、トランスによって降圧(または昇圧)され、整流回路によって直流電力に変換されて出力される。なお、電源部11の構成は、上記したものに限定されない。
【0031】
制御部12は、溶接電源装置1の制御を行うものであり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。制御部12は、溶接電源装置1から出力される溶接電圧や溶接電流が設定電圧や設定電流になるように、制御を行う。また、制御部12は、溶接条件の変更や電源部11の起動、異常の検出などを行う。また、制御部12は、ワイヤ送給装置2に対する送給指令などのための信号を通信部13に出力させる。
【0032】
通信部13は、パワーケーブル41,42を介して、ワイヤ送給装置2との間で通信を行うためのものである。通信部13は、ワイヤ送給装置2から受信した通信信号を復調して、制御部12に出力する。ワイヤ送給装置2から受信する通信信号には、例えば、溶接条件を設定するための信号や、電源部11の起動を指示する起動信号などがある。また、通信部13は、制御部12から入力される信号を変調して、通信信号としてワイヤ送給装置2に送信する。ワイヤ送給装置2に送信する通信信号には、例えば、検出された溶接電圧または溶接電流の検出信号や、異常発生を示す信号、送給指令のための信号などがある。なお、ワイヤ送給装置2との間で送受信される通信信号は、上記したものに限定されない。
【0033】
通信部13は、直接スペクトル拡散通信方式を用いて通信を行う。直接スペクトル拡散通信方式では、送信側は、送信する通信信号に対して拡散符号による演算を行い、元の信号のスペクトルをより広い帯域に拡散して送信する。受信側は、受信した通信信号を共通する拡散符号を用いて逆拡散することで、元の信号に戻す。通信信号にノイズが重畳された場合でも、逆拡散によってノイズのスペクトルが拡散されるので、フィルタリングによって元の通信信号を抽出することができる。また、溶接システムA毎に異なる拡散符号を用いていれば、別の溶接システムAで送受信される通信信号を誤って受信したとしても、当該通信信号は異なる拡散符号で逆拡散されて、ノイズとして除去される。したがって、高い通信品質で通信を行うことができる。
【0034】
通信部13は、結合回路を備えている。当該結合回路は、通信部13の入出力端に接続されたコイルと、パワーケーブル41,42が接続された出力線に並列接続されたコイルとを磁気結合させた高周波トランスを備えており、通信部13が出力する通信信号をパワーケーブル41,42に重畳し、また、パワーケーブル41,42に重畳された通信信号を検出する。
【0035】
図2は、通信部13の内部構成を説明するための図である。通信部13は、通信制御部51、D/A変換部52、増幅部53、送信BPF54、受信BPF55、増幅部56、および、A/D変換部57を備えている。結合回路に接続する伝送路は分岐されており、一方はD/A変換部52に接続し、他方はA/D変換部57に接続している。D/A変換部52に接続する伝送路には増幅部53および送信BPF54が配置されており、A/D変換部57に接続する伝送路には増幅部56、受信BPF55が配置されている。
【0036】
通信制御部51は、制御部12より入力される信号に応じてキャリア信号をBPSK(Binary Phase Shift Keying)変調し、変調信号にスペクトル拡散を行って、D/A変換部52に出力する。なお、変調方法はBPSK変調に限られず、ASK変調やFSK変調を行うようにしてもよい。また、スペクトル拡散は直接拡散方式に限られず、周波数ホッピング方式を用いてもよい。なお、本実施形態では、スペクトル拡散を行っているが、これに限定されず、スペクトル拡散を行わないようにしてもよい。
【0037】
また、通信制御部51は、A/D変換部57より入力されるデジタル信号(受信信号をデジタル化した信号)に、逆拡散および復調を行って、受信信号を正しく受信できたか否かを判断する。具体的には、通信制御部51は、まず、受信信号に含まれるヘッダを検出する。検出できれば、ヘッダに含まれる誤り検出符号(例えば、チェックサムやCRCなど)により、受信信号が正しく受信されているか否かを判断する。通信制御部51は、正しく受信されていると判断した場合、受信が成功したと判断して、受信信号を制御部12に出力する。一方、受信信号からヘッダを検出できなかった場合や、正しく受信されていないと判断した場合は、受信が失敗したとして、送信元に再送信するように要求する。通信制御部51は、受信が成功した回数と失敗した回数とから受信成功率Xを算出している。
【0038】
通信制御部51は、受信成功率Xが所定値X0に近づくように、A/D変換部57のサンプリング周波数を調整する。具体的には、通信制御部51は、受信成功率Xが所定値X0より高い場合はサンプリング周波数を減少させるための信号(以下では、「減少信号」とする)をA/D変換部57に出力し、受信成功率Xが所定値X0より低い場合はサンプリング周波数を増加させるための信号(以下では、「増加信号」とする)をA/D変換部57に出力する。また、通信制御部51は、A/D変換部57に出力するのと同じ信号を、D/A変換部52にも出力する。
【0039】
図3は、通信制御部51が行う、A/D変換部57のサンプリング周波数を調整する処理(以下では、「周波数調整処理」とする)を説明するためのフローチャートである。通信制御部51は、通信を開始するときに当該処理を開始する。
【0040】
まず、受信成功率Xが算出される(S1)。例えば、前回サンプリング周波数を変更してからの受信成功回数と失敗回数とがカウントされており、これらを用いて受信成功率Xが算出される。次に、受信成功率Xが所定値X0より高いか否かが判別される(S2)。所定値X0は、例えば、90%程度の値が設定される。
【0041】
受信成功率Xが所定値X0より高いと判別された場合(S2:YES)、D/A変換部52およびA/D変換部57に減少信号が出力されて(S3)、ステップS1に戻る。一方、ステップS2において、受信成功率Xが所定値X0以下と判別された場合(S2:NO)、受信成功率Xが所定値X0より低いか否かが判別される(S4)。受信成功率Xが所定値X0より低いと判別された場合(S4:YES)、D/A変換部52およびA/D変換部57に増加信号が出力されて(S5)、ステップS1に戻る。受信成功率Xが所定値X0以上であると判別された場合(S4:NO)、すなわち、受信成功率Xが所定値X0に等しい場合、D/A変換部52およびA/D変換部57に信号を出力せずに、ステップS1に戻る。
【0042】
なお、通信制御部51が行う周波数調整処理は、上述したものに限定されない。例えば、受信成功率Xを上限値X1および下限値X2(X1>X2)と比較するようにしてもよい。すなわち、受信成功率Xが上限値X1より高い場合に減少信号を出力し、受信成功率Xが下限値X2より低い場合に増加信号を出力するようにしてもよい。
【0043】
D/A変換部52は、通信制御部51より入力されるデジタル信号を設定された周期で取得して、アナログ信号に変換して、増幅部53に出力する。このデジタル信号を取得する周期に対応する周波数も、本願では「サンプリング周波数」とする。つまり、D/A変換部52は、設定されたサンプリング周波数に応じてデジタル信号を取得して、取得したデジタル信号のみを用いて、アナログ信号を生成する。また、D/A変換部52は、このサンプリング周波数を、通信制御部51より入力される信号に基づいて変化させる。すなわち、減少信号が入力された場合にはサンプリング周波数を減少させ、増加信号が入力された場合にはサンプリング周波数を増加させる。本実施形態では、サンプリング周波数を半分にすることでサンプリング周波数を減少させ、サンプリング周波数を倍にすることでサンプリング周波数を増加させている。なお、所定の単位周波数ずつ増減させるようにしてもよい。サンプリング周波数が小さい場合、用いられるデジタル信号の数が少ないので、出力されるアナログ信号の精度は悪くなるが、処理される情報量が少ないので消費電力を抑制することができる。一方、サンプリング周波数が大きい場合、用いられるデジタル信号の数が多いので、出力されるアナログ信号の精度がよくなる。
【0044】
増幅部53は、D/A変換部52より入力されるアナログ信号を増幅して、送信BPF54に出力する。なお、アナログ信号を増幅する必要がない場合は、増幅部53がなくてもよい。
【0045】
送信BPF54は、送信信号を通過させるための帯域通過型フィルタ(バンドパスフィルタ)である。本実施形態では、溶接電源装置1からワイヤ送給装置2に送信する通信信号と、ワイヤ送給装置2から溶接電源装置1に送信する通信信号とで、異なる周波数帯域を利用している。送信BPF54は、送信信号が利用する周波数帯域の周波数成分のみを通過させるように設計されており、受信信号やノイズを遮断する。送信信号は、送信BPF54を通過し、結合回路によってパワーケーブル41,42に重畳される。
【0046】
受信BPF55は、受信信号を通過させるための帯域通過型フィルタである。受信BPF55は、受信信号が利用する周波数帯域の周波数成分のみを通過させるように設計されており、送信信号やノイズを遮断する。パワーケーブル41,42に重畳された信号のうち、受信信号だけが受信BPF55を通過し、増幅部56に出力される。
【0047】
増幅部56は、増幅部53と同様のものであり、受信BPF55より入力されるアナログ信号を増幅して、A/D変換部57に出力する。なお、アナログ信号を増幅する必要がない場合は、増幅部56がなくてもよい。
【0048】
A/D変換部57は、増幅部56より入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換して、通信制御部51に出力する。また、A/D変換部57は、アナログ信号をデジタル信号に変換するときのサンプリング周波数を、通信制御部51より入力される信号に基づいて変化させる。すなわち、減少信号が入力された場合には、サンプリング周波数を減少させる。また、増加信号が入力された場合には、サンプリング周波数を増加させる。本実施形態では、サンプリング周波数を半分にすることでサンプリング周波数を減少させ、サンプリング周波数を倍にすることでサンプリング周波数を増加させている。なお、所定の単位周波数ずつ増減させるようにしてもよい。A/D変換部57のサンプリング周波数は、D/A変換部52のサンプリング周波数と同じであってもよいし、異なっていてもよい。サンプリング周波数が小さい場合、出力されるデジタル信号の精度は悪くなるが、処理される情報量が少ないので消費電力を抑制することができる。一方、サンプリング周波数が大きい場合、出力されるデジタル信号の精度がよくなる。
【0049】
図1に戻って、ワイヤ送給装置2は、ワイヤ電極を溶接トーチ3に送り出すものである。ワイヤ送給装置2は、制御部21、送給機構22、および、通信部23を備えている。なお、ワイヤ送給装置2は、ガスタンクのシールドガスを溶接トーチ3の先端に供給するためのガス電磁弁などを備えているが、記載を省略している。
【0050】
制御部21は、ワイヤ送給装置2の制御を行うものであり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。制御部21は、溶接トーチ3に設けられている図示しないトーチスイッチより入力される起動のための操作信号に応じて、溶接電源装置1の電源部11を起動するための起動信号を通信部23に出力する。また、図示しない操作部より入力される溶接条件を変更するための操作信号に応じて、図示しない記憶部に記憶されている溶接条件を変更する。制御部21は、あらかじめ設定された送信周期ごとに、記憶部に記憶されている溶接条件を読み出して、通信部23に出力する。また、制御部21は、通信部23より入力される溶接電圧または溶接電流の検出値を、図示しない表示部に出力して表示させたり、通信部23より入力される異常発生を示す信号に基づいて、図示しない報知部に異常の報知(例えば、スピーカによる警告音や振動による報知)をさせたりする。また、制御部21は、通信部23から送給指令を入力されている間、送給機構22にワイヤ電極の送給を行わせて、溶接トーチ3にワイヤ電極を送り出す。
【0051】
送給機構22は、溶接トーチ3にワイヤ電極の送給を行うものである。送給機構22は、制御部21からの送給指令に基づいて、モータによって送給ローラを回転させて、ワイヤ電極を溶接トーチ3に送り出す。
【0052】
通信部23は、パワーケーブル41,42を介して、溶接電源装置1との間で通信を行うためのものである。通信部23は、溶接電源装置1から受信した通信信号を復調して、制御部21に出力する。溶接電源装置1から受信する通信信号には、例えば、溶接電源装置1においてセンサで検出された溶接電圧または溶接電流の検出信号や、異常発生を示す信号、送給指令のための信号などがある。また、通信部23は、制御部21から入力される信号を変調して、通信信号として溶接電源装置1に送信する。溶接電源装置1に送信する通信信号には、例えば、溶接条件を設定するための信号や、電源部11の起動を指示する起動信号などがある。なお、溶接電源装置1との間で送受信される通信信号は、上記したものに限定されない。通信部23も、通信部13と同様に、直接スペクトル拡散通信方式を用いて通信を行う。
【0053】
通信部23は、結合回路を備えている。当該結合回路は、パワーケーブル41,42に並列接続されたコイルと通信部23の入出力端に接続されたコイルとを磁気結合させた高周波トランスを備えており、通信部23が出力する通信信号をパワーケーブル41,42に重畳し、また、パワーケーブル41,42に重畳された通信信号を検出する。通信部23の内部構成は、通信部13の内部構成と同様である(図2参照)。
【0054】
次に、通信部13(23)の作用および効果について説明する。
【0055】
通信制御部51は、受信成功率Xが所定値X0より高い場合に、A/D変換部57に減少信号を出力し、受信成功率Xが所定値X0より低い場合に、A/D変換部57に増加信号を出力する。A/D変換部57は、減少信号が入力された場合にはサンプリング周波数を減少させ、増加信号が入力された場合にはサンプリング周波数を増加させる。したがって、通信部13(23)は、伝送路のインピーダンスが大きくなって受信信号の振幅が小さくなることで受信成功率Xが低くなると、A/D変換部57のサンプリング周波数を増加させることで受信信号の精度をよくして、受信成功率Xを高める。また、通信部13(23)は、伝送路のインピーダンスが小さくなって受信信号の振幅が大きくなることで受信成功率Xが高くなると、受信成功率Xを低下させてもよいので、A/D変換部57のサンプリング周波数を減少させる。パワーケーブル41および42の長さが変化したり、引き回し方が変化したことで伝送路のインピーダンスが変化しても、通信制御部51は、A/D変換部57のサンプリング周波数を変化させることで、受信成功率Xが所定値X0に近づくように制御する。したがって、受信成功率Xが低下することを抑制することができる。また、サンプリング周波数を必要に応じて変化させるので、サンプリング周波数を常に大きくしておく場合と比べて、消費電力を抑制することができる。
【0056】
また、通信制御部51は、受信成功率Xが所定値X0より高い場合に、D/A変換部52に減少信号を出力し、受信成功率Xが所定値X0より低い場合に、D/A変換部52に増加信号を出力する。D/A変換部52は、減少信号が入力された場合にはサンプリング周波数を減少させ、増加信号が入力された場合にはサンプリング周波数を増加させる。したがって、通信部13(23)は、伝送路のインピーダンスが大きくなって受信信号の振幅が小さくなることで受信成功率Xが低くなると、D/A変換部52のサンプリング周波数を増加させることで送信信号の精度をよくする。これにより、送信先での受信成功率を高めることができる。また、通信部13(23)は、伝送路のインピーダンスが小さくなって受信信号の振幅が大きくなることで受信成功率Xが高くなると、送信信号の精度を低くしても、送信先での受信成功率が許容できるレベルになるので、D/A変換部52のサンプリング周波数を減少させる。パワーケーブル41および42の長さが変化したり、引き回し方が変化したことで伝送路のインピーダンスが変化しても、通信制御部51は、D/A変換部52のサンプリング周波数を変化させることで、送信先の受信成功率を調整する。したがって、送信先の受信成功率が低下することを抑制することができる。また、サンプリング周波数を必要に応じて変化させるので、サンプリング周波数を常に大きくしておく場合と比べて、消費電力を抑制することができる。
【0057】
なお、本実施形態においては、コイルによる磁気結合を利用して、通信部13,23が通信信号をパワーケーブル41,42に重畳し、パワーケーブル41,42に重畳された通信信号を検出する場合について説明したが、これに限られない。例えば、コンデンサによる電界結合を利用するようにしてもよい。また、パワーケーブル41,42に並列に通信信号を入力するのではなく、パワーケーブル41または42に直列に通信信号を入力するようにしてもよい。
【0058】
本実施形態においては、サンプリング周波数を多段階で増減させる場合について説明したが、これに限られない。例えば、受信成功率Xが所定値X0より高い場合には低い方のサンプリング周波数を適用し、受信成功率Xが所定値X0以下の場合には高い方のサンプリング周波数を適用するようにして、サンプリング周波数を二段階で変化させるようにしてもよい。
【0059】
本実施形態においては、受信成功率Xに応じてサンプリング周波数を変更する場合について説明したが、これに限られない。例えば、受信信号の振幅に応じてサンプリング周波数を変更するようにしてもよい。
【0060】
具体的には、通信制御部51が受信信号の振幅の平均値Yを算出して、算出された平均値Yが所定値Y0より大きい場合はサンプリング周波数を減少させるための信号(減少信号)をD/A変換部52およびA/D変換部57に出力し、算出された平均値Yが所定値Y0より小さい場合はサンプリング周波数を増加させるための信号(増加信号)をD/A変換部52およびA/D変換部57に出力する。所定値Y0としては、例えば、A/D変換部57の許容最大電圧の半分の電圧値が設定される。
【0061】
本実施形態においては、通信制御部51がD/A変換部52およびA/D変換部57の両方のサンプリング周波数を調整する場合について説明したが、これに限られない。通信制御部51がA/D変換部57のサンプリング周波数のみを調整するようにしてもよいし、D/A変換部52のサンプリング周波数のみを調整するようにしてもよい。
【0062】
本実施形態においては、溶接電源装置1およびワイヤ送給装置2が互いに送受信を行う場合について説明したがこれに限られない。例えば、溶接電源装置1が送信のみを行い、ワイヤ送給装置2が受信のみを行うようにしてもよいし、ワイヤ送給装置2が送信のみを行い、溶接電源装置1が受信のみを行うようにしてもよい。
【0063】
上記第1実施形態においては、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2とが、パワーケーブル41,42を介して通信を行う場合について説明したが、これに限られない。例えば、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2とが、専用の通信線で通信を行うようにしてもよい。また、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2とが、無線通信を行うようにしてもよい。溶接電源装置1とワイヤ送給装置2とが無線通信を行う場合を、第2実施形態として、以下に説明する。
【0064】
図4は、第2実施形態に係る溶接システムA2を説明するための図である。図4において、第1実施形態に係る溶接システムA(図1参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
【0065】
図4に示す溶接電源装置1は、通信部13に代えて、無線通信を行う通信部13’を備えている点で、第1実施形態に係る溶接電源装置1と異なる。また、図4に示すワイヤ送給装置2は、通信部23に代えて、無線通信を行う通信部23’を備えている点で、第1実施形態に係るワイヤ送給装置2と異なる。
【0066】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0067】
上記第1および第2実施形態においては、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2との間で通信を行う場合について説明したが、これに限られない。例えば、非消耗電極式の溶接装置の場合、ワイヤ送給装置2は用いられず、溶接電源装置1と溶接トーチ3に接続されたリモコンとの間で、通信を行う。この場合、リモコンに通信のための構成を設け、溶接電源装置1との間で通信を行うようにすればよい。溶接電源装置1とリモコンとが通信を行う場合を第3実施形態として、以下に説明する。
【0068】
図5は、第3実施形態に係る溶接システムA3を説明するための図である。図5において、第1実施形態に係る溶接システムA(図1参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
【0069】
図5に示す溶接システムA3は、ワイヤ送給装置2に代えて、リモコン2’を備えている点で、第1実施形態に係る溶接システムAと異なる。リモコン2’は、パワーケーブル41,42を介して、溶接電源装置1との間で通信を行う。通信部23は、第1実施形態におけるワイヤ送給装置2の通信部23と同様の構成で同様の機能を有する。したがって、第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0070】
なお、溶接トーチ3にリモコン2’を取り付けるのではなく、溶接トーチ3自体に制御部21および通信部23を設けて、溶接電源装置1と溶接トーチ3との間で通信を行うようにしてもよい。
【0071】
上記第1ないし第3実施形態においては、本発明に係る通信装置を溶接システムに用いた場合について説明したが、これに限られない。本発明に係る通信装置は、他のシステムにおいても用いることができる。また、本発明は、通信のみを行う通信装置においても適用することができる。
【0072】
本発明に係る通信装置、溶接電源装置、ワイヤ送給装置、溶接システム、受信方法および送信方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る通信装置、溶接電源装置、ワイヤ送給装置、溶接システム、受信方法および送信方法の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0073】
A,A2,A3 溶接システム
1 溶接電源装置
11 電源部
12 制御部
13,13’ 通信部(通信装置)
2 ワイヤ送給装置
2’ リモコン
21 制御部
22 送給機構
23,23’ 通信部(通信装置)
3 溶接トーチ
41,42 パワーケーブル(電力伝送線)
51 通信制御部(周波数変更手段、判断手段、算出手段、検出手段)
52 D/A変換部
53 増幅部
54 送信BPF(送信手段)
55 受信BPF(受信手段)
56 増幅部
57 A/D変換部
W 被加工物
図1
図2
図3
図4
図5