【解決手段】イメージスキャナ100の撮像制御部15は、原稿の読取動作が指示された場合(S91)に、外部電源供給量検知部14により検出された外部電源入力部13からの電源供給量で、指定された読取条件での読取動作の実行が可能か否かを判定し(S92)、前記電源供給量で前記読取動作の実行が不可能と判定された場合(S92でNoの場合)、光量調整回路7にて調整された光源31の光量に応じて、画像信号増幅回路9の増幅率を変更して、前記指定された読取動作を実行する(S93)。
前記制御手段は、前記判定手段により前記電源供給量で前記読取動作の実行が不可能と判定された場合であっても、前記調整された光源の光量が閾値を超えない場合には、前記増幅手段の増幅率を所定の増幅率から変更することなく前記読取動作を実行することを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
前記制御手段は、前記判定手段により前記電源供給量で前記読取動作の実行が不可能と判定され、且つ、前記調整された光源の光量が閾値を超える場合には、前記光源の光量を下げるとともに、前記増幅手段の増幅率を上げて前記読取動作を実行することを特徴とする請求項4に記載の画像読取装置。
前記制御手段は、前記判定手段により前記電源供給量で前記読取動作の実行が不可能と判定され、且つ、前記調整手段で調整された光源の光量が前記他の閾値を超える場合には、前記いずれか1又は複数の光源を消灯させた読取動作を行うか又は読取動作を中止するかを、操作者の選択入力に応じて制御することを特徴とする請求項6に記載の画像読取装置。
光源から原稿に照射された光の反射光を受光して画像信号を出力する読取手段と、前記読取手段の出力信号を増幅する増幅手段と、を有する画像読取装置の制御方法であって、
電源供給量を検出する検出ステップと、
前記検出ステップで検出された電源供給量で所定の読取動作の実行が可能か否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップで前記電源供給量で前記読取動作の実行が不可能と判定された場合、前記増幅手段の増幅率を上げて前記読取動作を実行う制御ステップと、
を有することを特徴とする画像読取装置の制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の実施例1における画像読取装置の概略構成を例示する図である。
図1において、100、本発明の画像読取装置としてのイメージスキャナである。1は書類、写真などの原稿(シート)である。2は原稿1と密着する原稿台ガラスである。3は光学ユニットである。光学ユニット3は、光源31と、ライトガイド32と、ラインセンサ33と、セルホックレンズ34とを含む。
【0016】
光源31は、原稿台ガラス2を介して原稿1を照明するためのものである。ライトガイド32は、照明光を原稿面に導くためのものである。セルホックレンズ34は、照明された原稿1の光学像をラインセンサ33に導くためのものである。ラインセンサ33は、結像された光学像を主走査方向に読み取るための光電変換装置(例えば、CMOSセンサやCCDセンサ等)により構成される。即ち、ラインセンサ33は、光源31から原稿に照射された光の反射光を受光して画像信号を出力する。なお、光源31は、互いに異なる発光波長を有する複数種の光源で構成され、可視光であるR、G、Bの3色を個別点灯可能な構成を取ることが一般的である。なお、撮像光学系として、密着型イメージセンサ(CIS)でも、一体型光学系を採用しても良いのは言うまでもない。
【0017】
4はモータで、原稿1を副走査方向に移動するための駆動源となる。5は搬送ローラで、モータ4軸の回転運動により搬送方向(副走査方向)へと原稿1を搬送する、50は従動ローラで、搬送ローラ5に対向した位置にあり、搬送ローラ5の回転に連動して回転する。搬送ローラ5および従動ローラ50により、原稿1を把持する。6はモータ制御回路で、原稿1を副走査方向に移動させるためのものである。搬送ローラ5と従動ローラ50により把持した原稿1を搬送路30内に搬送する。
【0018】
7は光量調整回路で、光源31の点灯光量を調整する。8は光量調整読取部で、光量調整回路7により調整された光量を読出し可能である。光量調整回路7にて、後述の光量調整動作を行った結果得られた光量調整量を、光量調整読取部8が読み出す構成になっている。
【0019】
本実施例では、光量調整回路7が調整するのは、光源31を点灯する期間である。そして、光量調整読取部8が光量調整回路7から読み出すのは、光量調整後の光源31の点灯期間である。光源31の点灯期間が長ければ長いほど、ラインセンサ33に投光される光量(すなわち、画像信号出力値)が大きくなる。一方で、光源31の点灯期間が長いと、それだけ光源31を点灯させるために必要な電力が大きくなる。本実施例では、光源31の点灯期間により調整された点灯光量(光源を点灯する期間)を監視して、光源31を点灯させるために必要な電力を低減させるものである。以下、「点灯光量」は、光源31を点灯する期間(点灯期間)を示す。なお、光量調整は、点灯期間に限定されるものではなく、他の光量調整方法を用いてもよい。
【0020】
9は画像信号増幅回路で、ラインセンサ33が撮像した画像信号を受信して、所定の増幅率で増幅可能である。10は画像信号増幅制御部で、画像信号増幅回路9の増幅率を設定可能である。光量調整回路7により光源31の点灯光量を調整し、ラインセンサ33で受光した光が光電変換されて電気信号(画像信号)となり、得られた電気信号を画像信号増幅回路9で増幅することで、読取画像を得ることになる。
【0021】
13は外部電源入力部で、外部電源を入力可能である。14は外部電源供給量検知部で、外部電源入力部13からの電源供給量を検知し、検知結果を撮像制御部15に送信可能である。16は操作スイッチで、操作者からの読取開始指示を撮像制御部15に送信可能である。
【0022】
15は撮像制御部である。撮像制御部15は、外部電源供給量検知部14からの検知結果を受信可能である。また、撮像制御部15は、ラインセンサ33を駆動制御し、光量調整回路7に対して点灯光量を調整可能である。さらに、撮像制御部15は、画像信号増幅制御部10が設定する信号増幅率を調整可能である。撮像制御部15は、例えば、内部にCPU、ROM、RAM等を有し、CPUがROMに格納されてプログラムを実行することにより、上記制御を実現するものである。
【0023】
以下、
図2を用いて実施例1のイメージスキャナ100の動作のシーケンスを詳しく説明する。
図2は、実施例1のイメージスキャナ100の動作を例示するフローチャートである。なお、このフローチャートに示す処理は、例えば、撮像制御部15内のCPUがROMに格納されてプログラムを実行することにより実現される。
【0024】
まず、S91において、撮像制御部15は、操作スイッチ16により操作者が画像読取指示を発行したかどうかを判定する。操作者による画像読取指示を受信していないと判定した場合(S91でNoの場合)、撮像制御部15は、S91の判定を繰り返す。
【0025】
一方、撮像制御部15が操作者による画像読取指示を受信したと判定した場合(S91でYesの場合)、撮像制御部15は、S92に処理を進める。S92では、撮像制御部15は、外部電源供給量検知部14を介して外部電源入力部13に入力される電源供給量を取得し、外部電源入力部13から得られる電源供給量が上記S91で操作者から指示された読取条件にて画像読取動作を行うのに充分かどうか判定する。
【0026】
なお、外部電源供給量検知部14は、撮像制御部15からの指示等に応じて外部電源入力部13に入力される電源供給量を検知し、該検知した結果を撮像制御部15に送信する。外部電源供給量の検知の一例としては、イメージスキャナ100がUSB2.0に接続されたことを外部電源供給量検知部14が検知して、外部電源供給量を+5V/500mAと判定することが挙げられる。
【0027】
外部電源供給量検知部14の検知結果を撮像制御部15が受信すると、撮像制御部15は、上記S91で指示された読取条件にて画像読取動作を行うのに必要とされる電力と、外部電源入力部13から得られる電源供給量とを比較する。なお、撮像制御部15は、イメージスキャナ100が設定可能な全ての読取条件にて読取動作を行うのに必要な電力に関するデータ(電力データ)を保持している。この電力データは、工場出荷時等、予め設定され撮像制御部15内の不揮発性記憶装置に格納されている。
【0028】
そして、上記S91で操作者から指示された読取条件にて画像読取動作を実行するための電力に対して外部電源から得られる電源供給量が充分であると判定した場合(S92でYesの場合)、撮像制御部15は、S94に処理を進める。
【0029】
S94では、撮像制御部15は、通常読取動作を実行する。詳細には、撮像制御部15は、通常の光量調整を行い、画像信号増幅制御部10を介して画像信号増幅率を通常の増幅率に設定し、画像読取を行うように制御する。
【0030】
なお、通常の増幅率は、
図3の通常の増幅率に対応する直線に示すように、画像信号として入力し得る最大値に近い値を入力した時に画像出力が飽和する(出力最大値になる)様に設定する、すなわち、ダイナミックレンジが最も広くなる増幅率に設定するのが一般的である。
図3は、画像増幅率の概念を説明する図である。
【0031】
ここで光量調整について説明をする。
光量調整とは、ラインセンサ33の受光光量が飽和せずに、かつラインセンサの明状態(受光量が多い状態)と暗状態(受光量が無い状態)の画像信号出力値の比を調整することを指す。以下、
図4を用いて説明する。
【0032】
図4は、ラインセンサ33の出力特性を例示する図である。
ラインセンサ33の出力特性は、
図4のように、点灯光量が増加すると線形性が変化してくるようになり、最終的にはラインセンサ33が飽和してくるため、線形性が変化する以前の点灯量で、光量調整を設定する。明状態と暗状態のラインセンサ出力値の比は、そのまま画像信号のS/N比となるため、通常は
図4の両矢印領域301内で、かつS/N比が大きくなる様に設定するのが一般的である。なお、上述した通常の光量調整では、光量調整回路7に対して光源31を通常点灯量(例えば
図4の301の最大)まで点灯して良いという条件下で光量調整を実行するものとする。このように、光量調整回路7は、ラインセンサ33の出力信号に基づいて光源31の光量を調整する。
【0033】
以下、
図2のフローチャートの説明に戻る。
一方、上記S92において、上記S91で操作者から指示された読取条件にて画像読取動作を実行するための電力に対して外部電源から得られる電源供給量が充分でないと判定した場合(S92でNoの場合)、撮像制御部15は、S93に処理を進める。
【0034】
S93では、撮像制御部15は、通常の光量調整を行い、画像信号増幅制御部10に指示して、画像信号の増幅率を変更させ、画像読取動作を実行する。ここでは、光量調整後の点灯光量が大きいほど、画像信号の増幅率の傾きを大きくするように、画像信号の増幅率を調整する。S93は外部電源供給量が不充分な場合に実行されるステップであり、光量調整後の点灯光量が大きい(即ち、点灯に要する電力が大きい)状況を避ける必要がある。光量調整の結果、点灯光量が大きい且つ外部電源供給量が不充分な場合は、光量調整動作時の点灯光量をそのまま用いると、点灯光量が通常よりも小さくなってしまう可能性がある。このような不安定な状況での点灯動作をさける目的で、点灯光量を光量調整動作にて得られた値よりも小さい値で点灯させるとともに、ラインセンサ33の出力値が減少した分を補償するために、増幅率を通常点灯調整時の増幅率よりも高く設定するように制御する。一方、光量調整後の点灯光量が小さい場合は、少ない点灯光量でもラインセンサ33から目標の画像信号出力値を得られる場合であるため、画像増幅率を上げる必要がない。このように、光量調整後の点灯光量が大きいほど、画像信号の増幅率の傾きを大きくするように、画像信号の増幅率を調整する。
【0035】
具体的には、光量調整後の点灯光量に応じて、
図3において斜線部で示す領域(可変増幅率領域)中に増幅率の直線が入るように、画像入力信号に対する画像出力信号の増幅率に対応する直線の傾きを設定する。
【0036】
以上示したように、実施例1によれば、イメージスキャナ100に供給される外部電源の電力量が少なく指定された画像読取動作に不十分な場合には、ユーザが所望とする読取条件は変更せずに、画像読取時の撮像条件(光源点灯光量・アナログフロントエンドの画像信号ゲイン量(増幅率)など)を変更して、読取動作を実行する。これにより、イメージスキャナ100に供給される外部電源の電力量が少ない場合においても、ユーザが所望する読取条件にて撮像を行うことができ、ユーザが本来所望する画像を得ることができる。
【実施例2】
【0037】
実施例2におけるイメージスキャナ100のハードウェア構成は、実施例1と同様である。実施例2と実施例1との差異は、点灯光量に閾値を設け、制御方法を変えたことである。以下、実施例1との差異のみを説明し、同一の部分は説明を省略する。
【0038】
図5は、実施例2のイメージスキャナ100の動作を例示するフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、例えば、撮像制御部15内のCPUがROMに格納されてプログラムを実行することにより実現される。
以下、
図5を用いて実施例2のイメージスキャナ100の動作のシーケンスを詳しく説明する。なお、S1、S2、S4の処理は、実施例1で説明した
図2のS91、S92、S94と同一の処理なので説明を省略する。
【0039】
S2において、S1で操作者から指示された読取条件にて画像読取動作を実行するための電力に対して外部電源から得られる電源供給量が充分でないと判定した場合(S2でNoの場合)、撮像制御部15は、S3に処理を進める。
【0040】
S3では、撮像制御部15は、まず、光量調整回路7に対して光源31を通常点灯量まで点灯して良いという条件下で光量調整(通常の光量調整)を実行する。ここで述べている、通常点灯量では、実施例1で示したものと同様に、
図4において、点灯光量を増加していき、ラインセンサの出力値の線形性が変化する直前の値を上限値に設定するのが一般的である。本実施例においては、この点灯光量に対して閾値を設定する。さらに、撮像制御部15は、上記光量調整を行った結果、点灯光量が閾値を超えたかどうか判定し、閾値を超えた場合(これは点灯光量が大きく(明るく)なっている状況に相当する場合)に、制御シーケンスを変更するように制御する。光量調整の結果、点灯光量が閾値より大きい且つ外部電源供給量が不充分な場合は、光量調整動作時の点灯光量をそのまま用いると、点灯光量が通常よりも小さくなってしまう可能性がある。このような不安定な状況での点灯動作をさける目的で、点灯光量を光量調整動作にて得られた値よりも小さい値で点灯させるとともに、ラインセンサ33の出力値が減少した分を補償するために、増幅率を通常点灯調整時の増幅率よりも高く設定するように制御する。
【0041】
上記通常の光量調整を行った結果の点灯光量が閾値以下と判定した場合(S3でYesの場合)、撮像制御部15は、S4に処理を進め、通常点灯量による光量調整値で読取動作を実行する。
【0042】
一方、上記光量調整を行った結果の点灯光量が閾値を超えたと判定した場合(S3でNoの場合)、撮像制御部15は、S5に処理を進める。
【0043】
S5では、撮像制御部15は、光量調整回路7に対して、光源31を通常点灯量よりも低い所定光量まで点灯して良いという条件下で再度光量調整を実行する。この場合、
図4が示すように、明状態のラインセンサ出力値は通常点灯時に得られるラインセンサ出力値よりも小さい値となる。その減少分を補償するために、撮像制御部15は、画像信号増幅制御部10を介して画像信号増幅回路9に設定される画像信号増幅率を、通常点灯量調整時の増幅率よりも高く設定する。
【0044】
具体的には、通常点灯量での光量調整時と、通常点灯よりも低い点灯量で光量調整した時とのそれぞれから得られるラインセンサ出力値を画像信号増幅回路9へと入力した時の、画像信号増幅回路9からの出力値が両者同一になるように、信号増幅率を決定する。そして、撮像制御部15は、上記の通りに、点灯調整値および信号増幅率を確定した後に、画像読取動作を実行する。
【0045】
以上示したように、実施例2によれば、イメージスキャナ100に供給される外部電源の電力量が少なく指定された画像読取動作に不十分で且つ光量調整後の点灯光量が閾値を超える場合には、ユーザが所望とする読取条件は変更せずに、画像読取時の撮像条件(光源点灯光量・アナログフロントエンドの画像信号ゲイン量(増幅率)など)を変更して、読取動作を実行する。これにより、イメージスキャナ100に供給される外部電源の電力量が少ない場合においても、ユーザが所望する読取条件にて撮像を行うことができ、ユーザが本来所望する画像を得ることができる。
【実施例3】
【0046】
実施例3におけるイメージスキャナ100のハードウェア構成は、実施例1,2と同様である。実施例3と実施例2との差異は、光量調整の閾値を第1閾値と第2閾値の二段階設けたことにある。以下、実施例2との差異のみを説明し、同一の部分は説明を省略する。
【0047】
図6は、実施例3のイメージスキャナ100の動作を例示するフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、例えば、撮像制御部15内のCPUがROMに格納されてプログラムを実行することにより実現される。
以下、
図4を用いて実施例3のイメージスキャナ100の動作のシーケンスを詳しく説明する。なお、S21、S22、S24の処理は、実施例1で説明した
図2のS91、S92、S94や、実施例2で説明した
図5のS1、S2、S4と同一の処理なので説明を省略する。
【0048】
S22において、S21で操作者から指示された読取条件にて画像読取動作を実行するための電力に対して外部電源から得られる電源供給量が充分でないと判定した場合(S22でNoの場合)、撮像制御部15は、S23に処理を進める。
【0049】
S23では、撮像制御部15は、
図5のS3と同様に、まず、光量調整回路7に対して光源31を通常点灯量まで点灯して良いという条件下で光量調整(通常の光量調整)を実行する。さらに、撮像制御部15は、上記通常の光量調整を行った結果の点灯光量が第1閾値以下かどうか判定する。
【0050】
なお、第1閾値に関しては、外部電源供給量検知部14にて検知した外部電源供給量と、操作者が指定した所定の読取条件にて画像読取動作を行うのに要する電力量の比を取り、例えば画像読取動作を実行するための電力量に対して、外部電源供給量が不足しているほど、第1閾値が低くなる様に設定する。なお、ここで記述した第1閾値の決定方法は一例であり、その他線形または非線形な式を用いて、外部電源供給量と画像読取動作に必要な電力量から第1閾値を決定しても良いし、イメージスキャナ100が得ることのできる物理量を用いて、第1閾値を決定しても良い。
【0051】
そして、上記通常の光量調整を行った結果の点灯光量が第1閾値以下と判定した場合(S23でYesの場合)、撮像制御部15は、S24に処理を進め、通常点灯量による光量調整値で読取動作を実行する。
【0052】
一方、上記光量調整を行った結果の点灯光量が第1閾値を超えたと判定した場合(S23でNoの場合)、撮像制御部15は、S25に処理を進める。
【0053】
S25では、撮像制御部15は、上記通常の光量調整を行った結果の点灯光量が第2閾値以下かどうかを判定する。なお、第2閾値に関しても、第1閾値を決定する際に述べた方法と同様に、イメージスキャナ100が得ることのできる各種物理量を用いて、第2閾値を決定する。ただし、第1閾値と第2閾値の関係は、
図7に示す通り、「第1閾値<第2閾値」であることが望ましい。
図7は、光量調整後の点灯光量に対する第1閾値と第2閾値の関係を示す概念図である。
【0054】
そして、上記通常の光量調整を行った結果の点灯光量が第2閾値以下と判定した場合(S25でYesの場合)、撮像制御部15は、S26に処理を進める。
【0055】
S26では、
図5のS5と同様に、撮像制御部15は、光量調整回路7に対して、光源31を通常点灯量よりも低い所定光量まで点灯して良いという条件下で再度光量調整を実行する。この場合、
図4が示す様に、明状態のラインセンサ出力値は通常点灯時に得られるラインセンサ出力値よりも小さい値となる。その減少分を補償するために、撮像制御部15は、画像信号増幅制御部10を介して画像信号増幅回路9に設定される画像信号増幅率を、通常点灯量調整時の増幅率よりも高く設定する。そして、撮像制御部15は、上記の通りに、点灯調整値および信号増幅率を確定した後に、画像読取動作を実行する。
【0056】
一方、上記光量調整を行った結果の点灯光量が第2閾値を超えたと判定した場合(S25でNoの場合)、撮像制御部15は、操作者が指定した読取条件での画像読取動作は不可能と判定し、S27に処理を進める。
【0057】
S27では、撮像制御部15は、読取モードをモノクロモード(ここではグレースケールモードとする)にするとともに、光源31のうちR、G、Bから1種または2種点灯させて画像読取動作を実行する(即ち、光源31のうちR、G、Bから1種または2種を消灯させて画像読取動作を実行する)。このときの画像読取動作は、通常の画像読取動作よりも低消費電力な動作となる。
【0058】
なお、本実施例が特に有用となるのは、操作者が読取条件として、グレースケールモードを指定した場合である。通常、グレースケールモードを指定すると、R,G,Bの3種を点灯させることで画像を得るが、本実施例においては、1種または2種点灯によりグレースケールモードの画像を得る。この場合は、操作者が要求する読取条件と一致した読取画像を操作者に提供することが可能となる。なお、このときの点灯光量は、通常点灯量まで点灯して良いという条件下で光量調整を行った結果で得られた光量調整量(通常の光量調整量)としてもよいし、より低消費電力を実現する動作としては、通常よりも低い値まで点灯してよいという条件下で光量調整を実行して得られた光量調整量(低光量調整量)としてもよい。なお、通常の光量調整量で画像読取動作を行う場合には、増幅率も通常の増幅率に設定する。一方、通常よりも低い低光量調整量で画像読取動作を行う場合には、通常の増幅率よりも高く増幅率を設定するものとする。
【0059】
また、
図6では、光量調整を行った結果の点灯光量が第2閾値を超えたと判定した場合(S25でNoの場合)、グレースケールノードに設定し、光源31のうちR、G、Bから1種または2種点灯させて画像読取動作を実行する(S27)構成を示した。しかし、S25でNoの場合には、電力不足により、操作者に指示された画像読取動作を実行できず、グレースケールモードとなる旨のメッセージを表示し、画像読取動作を実行することなく、処理を終了するように構成してもよい。また、S25でNoの場合には、上記メッセージを不図示の表示部に表示し、光源31のうちR、G、Bから1種または2種点灯させた画像読取動作(S27)を実行するかどうかを操作者に問い合わせる(選択入力を促す)。そして、操作スイッチ16等から、「実行する」旨の指示があった場合には、撮像制御部15が上記S27の読取動作を実行し、「実行しない」旨の指示があった場合には、撮像制御部15が画像読取動作を実行することなく(中止し)、処理を終了するように構成してもよい。なお、操作者により指定されたモードがグレースケールモードの場合には、上記メッセージの表示を行わず、S27を実行するものとする。
【0060】
また、強制的に所望の読み取り動作を実行する旨の指示の選択を受け付け可能とし、該指示の選択があった場合には、撮像制御部15が上記S26の読取動作を実行するようにしてもよい。ただし、この場合、読取に失敗する等の可能性がある旨のメッセージを不図示の表示部に表示し、ユーザに警告するようにする。
【0061】
以上示したように、実施例3によれば、イメージスキャナ100に供給される外部電源の電力量が少なく指定された画像読取動作に不十分な状況下でも、ユーザが所望する読取条件で画像読取を実行できる場合は、ユーザが所望とする読取条件は変更せずに、画像読取時の撮像条件(光源点灯光量・アナログフロントエンドの画像信号ゲイン量(増幅率)など)を変更して、読取動作を実行し、実施例1、2と同様の効果を奏する。一方、ユーザが所望する読取条件にて画像読取を実行するのが不可となる場合には、より電力消費の少ない読取条件にて画像読取を実行し、確実に画像読取動作を行うことができる。このため、イメージスキャナに供給される電力量が限定されている場合でも、ユーザに読取画像を確実に提供することが可能となる。特にグレースケールモードでの読取条件が操作者により指定された場合には、読取モードを変更すること無く画像読取を実行可能とする画像読取装置を提供することができる。
【0062】
なお、実施例1、2の構成の場合、カラー読取/モノクロ読取(例えばグレースケールモードでの読み取り)どちらの読取条件であっても、操作者が指定した読取条件での画像読取を実現することができる。
【実施例4】
【0063】
図8は、本発明の実施例4における画像読取装置の概略構成を例示する図である。
図8において
図1と同一の構成については同一符号を付してその詳細説明を省略する。
【0064】
図8において、17はバッテリーなどの内部電源である。18は、内部電源17の内部電源残量を監視するための残量検出部である。残量検出部18は、内部電源17の残量検出結果を撮像制御部15に通知する。撮像制御部15は、この通知に基づいて、画像読取のための内部電源残量が充分にあるかどうかを判定する。撮像制御部15は、実施例1〜3の場合と同様に、イメージスキャナ100が設定可能な全ての読取条件にて読取動作を行うのに必要な電力に関するデータ(電力データ)を保持している。
【0065】
図9は、実施例4のイメージスキャナ100の動作を例示するフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、例えば、撮像制御部15内のCPUがROMに格納されてプログラムを実行することにより実現される。
以下、
図9を用いて実施例4のイメージスキャナ100の動作のシーケンスを詳しく説明する。なお、S111、S113、S114の処理は、実施例1で説明した
図2のS91、S93、S94と同一の処理なので説明を省略する。
【0066】
S112では、撮像制御部15は、残量検出部18を介して内部電源17の電源残量を取得し、内部電源17の電源残量がS111で操作者から指示された読取条件にて画像読取動作を行うのに充分かどうか判定する。
【0067】
なお、残量検出部18は、撮像制御部15からの指示に応じて内部電源17の電源残量を検知し、該検知した結果を撮像制御部15に送信する。残量検出部18の検知結果を撮像制御部15が受信すると、撮像制御部15は、上記S111で指示された読取条件にて画像読取動作を行うのに必要とされる電力と、残量検出部18から得られる内部電源残量とを比較する。
【0068】
そして、上記S111で操作者から指示された読取条件にて画像読取動作を実行するための電力に対して内部電源残量が充分であると判定した場合(S112でYesの場合)、撮像制御部15は、S114に処理を進め、通常点灯量による光量調整値で読取動作を実行する。詳細は、
図2のS94と同一のため省略する。
【0069】
一方、上記S111で操作者から指示された読取条件にて画像読取動作を実行するための電力に対して内部電源残量が充分でないと判定した場合(S112でNoの場合)、撮像制御部15は、S113に処理を進め、通常の光量調整を行い、該光量調整後の点灯光量に応じて、画像信号の増幅率を変更させ、画像読取動作を実行する。詳細は、
図2のS93と同一のため省略する。
【0070】
以上示したように、実施例4によれば、イメージスキャナ100に供給される内部電源の残量が少なく指定された画像読取動作に不十分な場合には、ユーザが所望とする読取条件は変更せずに、画像読取時の撮像条件(光源点灯光量・アナログフロントエンドの画像信号ゲイン量(増幅率)など)を変更して、読取動作を実行する。これにより、イメージスキャナ100の内部電源残量が少ない場合においても、ユーザが所望する読取条件にて撮像を行うことができ、ユーザが本来所望する画像を得ることができる。
【実施例5】
【0071】
実施例5おけるイメージスキャナ100のハードウェア構成は、実施例4と同様である。実施例5と実施例4との差異は、点灯光量に閾値を設け、制御方法を変えたことである。以下、実施例4との差異のみを説明し、実施例4と同一の部分は説明を省略する。
【0072】
図10は、実施例5のイメージスキャナ100の動作を例示するフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、例えば、撮像制御部15内のCPUがROMに格納されてプログラムを実行することにより実現される。
以下、
図10を用いて実施例5のイメージスキャナ100の動作のシーケンスを詳しく説明する。
【0073】
まず、S31、S32の処理は、実施例4で説明した
図9のS111、S112と同一の処理なので説明を省略する。S32において、S31で操作者から指示された読取条件にて画像読取動作を実行するための電力に対して内部電源残量が充分でないと判定した場合(S32でNoの場合)、撮像制御部15は、S33に処理を進める。
また、S33〜S35の処理は、実施例2で説明した
図5のS3〜S5と同一の処理なので説明を省略する。
【0074】
以上示したように、実施例5によれば、イメージスキャナ100の内部電源残量が少なく指定された画像読取動作に不十分で且つ光量調整後の点灯光量が閾値を超える場合には、ユーザが所望とする読取条件は変更せずに、画像読取時の撮像条件(光源点灯光量・アナログフロントエンドの画像信号ゲイン量(増幅率)など)を変更して、読取動作を実行する。これにより、イメージスキャナ100の内部電源残量が少ない場合においても、ユーザが所望する読取条件にて撮像を行うことができ、ユーザが本来所望する画像を得ることができる。
【実施例6】
【0075】
実施例6おけるイメージスキャナ100のハードウェア構成は、実施例4と同様である。実施例6と実施例5との差異は、光量調整の閾値を第1閾値と第2閾値の二段階設けたことにある。以下、実施例5との差異のみを説明し、同一の部分は説明を省略する。
【0076】
図11は、実施例6のイメージスキャナ100の動作を例示するフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、例えば、撮像制御部15内のCPUがROMに格納されてプログラムを実行することにより実現される。
以下、
図11を用いて実施例6のイメージスキャナ100の動作のシーケンスを詳しく説明する。
【0077】
まず、S41、S42の処理は、実施例4で説明した
図9のS111、S112や、実施例5で説明した
図10のS31、S32と同一の処理なので説明を省略する。S42において、S41で操作者から指示された読取条件にて画像読取動作を実行するための電力に対して内部電源残量が充分でないと判定した場合(S42でNoの場合)、撮像制御部15は、S43に処理を進める。
また、S43〜S47の処理は、実施例3で説明した
図6のS23〜S27と同一の処理なので説明を省略する。
【0078】
以上示したように、実施例6によれば、イメージスキャナ100の内部電源残量が少なく指定された画像読取動作に不十分な状況下でも、ユーザが所望する読取条件で画像読取を実行できる場合は、ユーザが所望とする読取条件は変更せずに、画像読取時の撮像条件(光源点灯光量・アナログフロントエンドの画像信号ゲイン量(増幅率)など)を変更して、読取動作を実行し、実施例4、6と同様の効果を奏する。一方、ユーザが所望する読取条件にて画像読取を実行するのが不可となる場合には、より電力消費の少ない読取条件にて画像読取を実行し、確実に画像読取動作を行うことができる。このため、イメージスキャナの内部電源残量が少ない場合でも、ユーザに読取画像を確実に提供することが可能となる。特にグレースケールモードでの読取条件が操作者により指定された場合には、読取モードを変更すること無く画像読取を実行可能とする画像読取装置を提供することができる。
【0079】
なお、実施例4、5の構成の場合、カラー読取/モノクロ読取(例えばグレースケールモードでの読み取り)どちらの読取条件であっても、操作者が指定した読取条件での画像読取を実現することができる。
【0080】
以上示したように、本発明の画像読取装置としてのイメージスキャナ100の撮像制御部15は、電力供給が限りある状況でも、できるだけ長く使用できるようにするめ、所定の電力供給の範囲内で画像の読取動作を実行する制御を行う。この際、画像品質を保ちながら省エネ駆動を実現するために、例えば、ラインセンサ33からの出力信号の増幅率を変更するように制御する。なお、本発明は、上記増幅率を変更して読取動作を行う制御に限定されるものではなく、所定の電力供給の範囲内で画像の読取動作を実行する制御であれば、他の制御により、画像読取動作を実行する構成も含まれるものである。
以上のように、例えば、外部電源からの電力供給量が少ない、内部電源の残量が少ない等の装置への供給電源が限定されている場合であっても、画像読取動作を実行でき、できるだけ長く装置を使用可能にできる。
【0081】
なお、上述した各種データの構成及びその内容はこれに限定されるものではなく、用途や目的に応じて、様々な構成や内容で構成されることは言うまでもない。
以上、一実施形態について示したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
また、上記各実施例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【0082】
(他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施例の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。即ち、上述した各実施例及びその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。