【解決手段】パーツフィーダ用画像処理装置8は、搬送路10に沿って搬送されるワークWを撮像するカメラを備えたパーツフィーダ100に適用される。前記カメラとして、ワークWの搬送方向およびそれに直交する方向に配列された複数の撮像素子を有し、これらの撮像素子により画像データを取得するエリアカメラ2が有する複数の撮像素子のうち、搬送方向に直交して列をなす一部の撮像素子のみを撮像に利用可能に設定する設定手段30と、一部の撮像素子のみを撮像に利用する場合に、取得された画像データをエリアカメラ2から即時に取り込む画像取込手段31と、画像取込手段31が取り込んだ画像データに基づいてワークWの良否判別処理を行う姿勢判別手段33と、を備える。
前記パーツフィーダは、前記搬送路上に設定されたワーク処理位置に到達したワークに対し付勢力付与部から付勢力を付与することによって前記搬送路から排除若しくは前記搬送路上で姿勢矯正するワーク処理手段を備えており、
前記ワークの良否判別手段の判別結果に応じて前記ワーク処理手段を作動させるように構成するとともに、
ほぼすべての撮像素子を撮像に利用する場合に、前記エリアカメラの撮像範囲を、前記付勢力付与部を含む位置に設定し、当該撮像範囲が現れた画像データ上で前記設定手段により前記一部の撮像素子の位置を選択して設定することができるように構成されている請求項1記載のパーツフィーダ用画像処理装置。
前記パーツフィーダは、前記搬送路上に設定されたワーク処理位置に到達したワークに対し付勢力を付与することによって前記搬送路から排除若しくは前記搬送路上で姿勢矯正するワーク処理手段を備えており、
前記設定手段は、複数の撮像素子のうちから、前記搬送方向に直交して列をなす第1撮像素子群と、前記第1撮像素子群よりも前記搬送方向下流側において前記搬送方向に直交して列をなす第2撮像素子群とを設定するものであり、
前記ワークの良否判別手段は、前記第1撮像素子群が取得した画像データに基づいて良否判別処理を行うとともに、前記第2撮像素子群が取得した画像データに基づいて良否判別処理を行い、
前記ワークの良否判別手段の判別結果に応じて前記ワーク処理手段を作動させるように構成する請求項1記載のパーツフィーダ用画像処理装置。
前記パーツフィーダは、前記搬送路上に設定されたワーク処理位置に到達したワークに対し付勢力を付与することによって前記搬送路から排除若しくは前記搬送路上で姿勢矯正するワーク処理手段を備えており、
前記ワークとして、特定の面の一部分に所定の特徴点が形成されたものを用い、
前記設定手段は、複数の撮像素子のうちから、前記搬送方向に直交して列をなす第1撮像素子群と、前記第1撮像素子群よりも前記搬送方向下流側において前記搬送方向に直交して列をなす第2撮像素子群とを設定するものであり、
前記ワークの搬送方向前端若しくは搬送方向後端が前記第2撮像素子群の撮像範囲内にある場合に、当該ワークに形成された特徴点が前記第1撮像素子群の撮像範囲内に現れるように調整され、
前記画像取込手段が取り込んだ画像データに基づいてワークの搬送方向前端若しくは搬送方向後端、および前記特徴点を検出可能な前処理手段をさらに備え、
前記第2撮像素子群が取得した画像データに基づいてワークの搬送方向前端若しくは搬送方向後端が検出されると、当該画像データと同時に取得された第1撮像素子群の画像データに基づいて前記特徴点の検出を行い、
前記特徴点が検出されなかったワークに対して前記ワーク処理手段を作動させる請求項1記載のパーツフィーダ用画像処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記構成のパーツフィーダ200では、
図9に示すように、時刻t11にエリアカメラ202による撮像を行うと、画像データの取り込みを時刻t12に画像取込手段204aを介して開始し、時刻t13に前処理手段204bによって2値化等の画像データの前処理を開始する。その後、前処理が終了すると、時刻t14に姿勢判別手段204cにより前処理後の画像データに基づいてワークの姿勢を判別することが常套手段と考えられる。
【0006】
しかしながら、パーツフィーダ200は、エリアカメラ202が有する撮像素子のほぼ全てを利用して得た画素数の多いデータの取り込みを行うので、取込時間(転送時間)が長くなり、1つのワークに対して撮像開始から姿勢判別までの時間が長くなるという問題がある。撮像位置P1で撮像されたワークWは、排除処理が行われる排除位置P2に到達する前に姿勢が判別される必要があることから、姿勢判別に掛かる時間が長いとワークWの搬送速度を制限する必要があり、ワークWを高速で搬送することが難しくなり処理効率の低下につながってしまう。なお、姿勢判別までの時間を短縮するために、制御装置204(CPU)の性能を向上させて前処理や姿勢判別処理にかかる時間を短縮することも考えられるが、
図9に示すように、取込時間は前処理や姿勢判別処理に要する時間と比較して十分に大きく、制御装置204の性能を向上させたとしても十分な時間短縮とはならない。
【0007】
このような問題を解決するために、エリアカメラ202の代わりにラインカメラを利用することが考えられる。ラインカメラは1列の撮像素子のみを撮像に用いるものであり、撮像範囲が狭いことから、得られる画像データは画素数の少なく転送時間を短縮することができると考えられる。しかしながら、ラインカメラは、1次元の線状撮影のため得られた画像データがどの部分を撮像したものか判断することが難しく、適切な箇所を撮像可能な位置に正確に設置するために、外部から超高速カメラで撮像を行ったり、位置合わせ用のダミーワークを使用する必要があり、手間が掛かるという問題がある。
【0008】
本発明は、このような課題を有効に解決することを目的としており、適切な位置に正確かつ容易にカメラの撮像素子を設けることができるとともに、当該カメラで取得した画像データの転送速度を向上させてワークの搬送を高速化することが可能なパーツフィーダ用画像処理装置およびパーツフィーダを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は以上のような問題点を鑑み、次のような手段を講じたものである。
【0010】
すなわち、本発明のパーツフィーダ用画像処理装置は、搬送路に沿って搬送されるワークを撮像するカメラを備えたパーツフィーダに適用されるパーツフィーダ用画像処理装置であって、前記カメラとして、前記ワークの搬送方向およびそれに直交する方向に配列された複数の撮像素子を有し、これらの撮像素子により画像データを取得するエリアカメラを採用するとともに、前記エリアカメラが有する複数の撮像素子のうち、前記搬送方向に直交して列をなす一部の撮像素子のみを撮像に利用可能に設定する設定手段と、前記一部の撮像素子のみを撮像に利用する場合に、取得された画像データを前記エリアカメラから即時に取り込む画像取込手段と、前記画像取込手段が取り込んだ画像データに基づいてワークの良否判別処理を行うワークの良否判別手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
ここでワークの良否の判別とは、ワークの外観や姿勢が所定のものか否か判別することを示す。
【0012】
設定手段により一部の撮像素子のみを利用可能にすることで、1回の撮像でエリアカメラが取得する画像データの画素数を減少させ、画像取込手段による取込速度(転送速度)を向上させることができるので、1つのワークに対して撮像から良否判別処理までの時間を短縮してワークの搬送を高速化することができる。一方、エリアカメラが有するほぼすべての撮像素子を利用することで、ラインカメラよりも広範囲を画像データに現すことができ、この画像データに現れている部材等を基準とすることで前記一部の撮像素子を適切な位置に簡単かつ正確に設定することができる。なお、ほぼすべての撮像素子を利用することには、すべての撮像素子を利用する場合も含まれる。
【0013】
具体的な構成としては、前記パーツフィーダが、前記搬送路上に設定されたワーク処理位置に到達したワークに対し付勢力付与部から付勢力を付与することによって前記搬送路から排除若しくは前記搬送路上で姿勢矯正するワーク処理手段を備えており、前記ワークの良否判別手段の判別結果に応じて前記ワーク処理手段を作動させるように構成するとともに、ほぼすべての撮像素子を撮像に利用する場合に、前記エリアカメラの撮像範囲を、前記付勢力付与部を含む位置に設定し、当該撮像範囲が現れた画像データ上で前記設定手段により前記一部の撮像素子の位置を選択して設定できるように構成する。
【0014】
このような構成であると、付勢力付与部が現れた画像データをみながら、設定手段により付勢力付与部を基準として前記一部の撮像素子の位置を選択することができ、前記一部の撮像素子の位置合わせの時間を大幅に短縮することができる。
【0015】
一方、他の具体的な構成では、前記パーツフィーダが、前記搬送路上に設定されたワーク処理位置に到達したワークに対し付勢力を付与することによって前記搬送路から排除若しくは前記搬送路上で姿勢矯正するワーク処理手段を備えており、前記設定手段が、複数の撮像素子のうちから、前記搬送方向に直交して列をなす第1撮像素子群と、前記第1撮像素子群よりも前記搬送方向下流側において前記搬送方向に直交して列をなす第2撮像素子群とを設定するものであり、前記ワークの良否判別手段は、前記第1撮像素子群が取得した画像データに基づいて良否判別処理を行うとともに、前記第2撮像素子群が取得した画像データに基づいて良否判別処理を行い、前記ワークの良否判別手段の判別結果に応じて前記ワーク処理手段を作動させるように構成する。
【0016】
このような構成であると、第1撮像素子群が取得した画像データに基づいた1回目の良否判別処理の後に、第2撮像素子群が取得した画像データに基づいた2回目の良否判別処理を行うことができる。そのため、このようなワークの良否判別手段の判別結果に応じてワーク処理手段を作動させるように構成することで、良否判別処理を1回しか行わない場合と比べて、外観や姿勢が適切なワークのみをより安定して搬送先に送ることができる。
【0017】
一方、さらに他の具体的な構成では、前記パーツフィーダが、前記搬送路上に設定されたワーク処理位置に到達したワークに対し付勢力を付与することによって前記搬送路から排除若しくは前記搬送路上で姿勢矯正するワーク処理手段を備えており、前記ワークとして、特定の一部分に所定の特徴点が形成されたものを用い、前記設定手段は、複数の撮像素子のうちから、前記搬送方向に直交して列をなす第1撮像素子群と、前記第1撮像素子群よりも前記搬送方向下流側において前記搬送方向に直交して列をなす第2撮像素子群とを設定するものであり、前記ワークの搬送方向前端若しくは搬送方向後端が第2撮像素子群の撮像範囲内にある場合に、当該ワークに形成された特徴点が前記第1撮像素子群の撮像範囲内に現れるように調整され、前記画像取込手段が取り込んだ画像データに基づいてワークの搬送方向前端若しくは搬送方向後端、および前記特徴点を検出可能な前処理手段をさらに備え、前記第2撮像素子群が取得した画像データに基づいてワークの搬送方向前端若しくは搬送方向後端が検出されると、当該画像データと同時に取得された第1撮像素子群の画像データに基づいて前記特徴点の検出を行い、前記特徴点が検出されなかったワークに対して前記ワーク処理手段を作動させるように構成する。
【0018】
このような構成であることで、第2撮像素子群をワークの搬送方向前端若しくは搬送方向後端を検出する同期センサのように機能させて、ワークの搬送方向前端若しくは搬送方向後端が検出されると特徴点の検出を行い、特徴点が検出されれば当該ワークの外観若しくは姿勢が所定のものと判別し、検出されなければ当該ワークの外観若しくは姿勢が所定のものでないと判別してワーク処理手段を作動させることができる。そのため、特定の一部分に所定の特徴点が形成されたワークに対して、短い処理時間で容易かつ正確に良否判別することができ、不適切なワークを確実に排除することができる。一方、エリアカメラが有するほぼすべての撮像素子を利用することで、第1撮像素子群と第2撮像素子群の位置を適切な位置に簡単かつ正確に設定することができる。
【0019】
特に、上記の具体的な構成において、前記設定手段により設定された前記一部の撮像素子による撮像を連続して行わせ、前記画像取込手段が即時取り込んだ画像データに基づいて前記ワークを判別可能な前処理手段をさらに備え、前記ワークの良否判別手段は、前記前処理手段によりワークが現れていると判別された画像データに基づいてワークの良否判別処理を行うように構成することが好適である。
【0020】
このように、前記一部の撮像素子による撮像を連続して行わせることで、搬送されてきた全てのワークを撮像することができる。また、ワークが現れていると判別された画像データに基づいて良否判別処理を行うようにすることで、ワークが現れていない画像データに基づいて良否判別処理を行うことがなく、無駄な処理を行うことが防止される。したがって、ワークの位置を把握するために別途にセンサなどを設ける必要がなく、コスト上昇および処理の増加を抑制しつつ、搬送されてくる全てのワークに対して確実に良否判別処理を行うことができる。
【0021】
本発明のパーツフィーダは、上記パーツフィーダ用画像処理装置を用いるものであって、ワークが搬送される搬送路を有するパーツフィーダ本体と、前記ワークの搬送方向およびそれに直交する方向に配列された複数の撮像素子を有し、前記搬送路に沿って搬送される前記ワークを撮像して画像データを取得するエリアカメラと、前記搬送路に設定されたワーク処理位置を通過するワークに対して、搬送路から排除若しくは搬送路上で姿勢矯正する処理手段と、前記ワークの良否判別手段が所定の外観若しくは姿勢のものでないと判別すると、前記ワーク処理手段を作動させるための指令を出力する指令出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0022】
そのため、1つのワークに対して撮像から良否判別処理までの時間を短縮してワークの搬送を高速化することができるとともに、エリアカメラが有するほぼすべての撮像素子を利用することで、前記一部の撮像素子を適切な位置に簡単かつ正確に設定することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上、説明した本発明によれば、エリアカメラに備わるほぼ全ての撮像素子を利用することで、簡単かつ正確な位置に前記一部の撮像素子を設定することができるとともに、この一部の撮像素子のみを撮像に利用することで、画像取込手段による取込速度を向上させてワークの搬送を高速化することができるパーツフィーダ用画像処理装置及びパーツフィーダを提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態を、図面を参照して説明する。
【0026】
図1に示すように、本発明の第1実施形態であるパーツフィーダ100は、パーツフィーダ本体1が備える搬送路10に沿って搬送物である複数のワークWを図示しない供給先に向けて搬送するものである。
【0027】
パーツフィーダ本体1は、前記搬送路10と駆動手段11とを含んで構成され、駆動手段11によって搬送路10を振動させることで搬送路10上にある複数のワークWを搬送する。
【0028】
搬送路10上の上方にはエリアカメラ2が設けられており、このエリアカメラ2は、ワークWの搬送方向(搬送路10の延在方向)およびそれに直交する方向に並ぶ複数の感度の高い撮像素子(CMOSセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor))を有し、搬送路10上を搬送されるワークWの撮像を行う。エリアカメラ2は、エリアカメラ2に備わるすべての撮像素子を撮像に利用するエリアモードと、前記搬送方向に直交して並ぶ一部の撮像素子(本実施形態では1列)のみを撮像に利用するラインモードとに切り替え可能であり、ラインモード時に使用する一部の撮像素子である撮像素子群を制御装置3を構成する設定手段30により設定する。ラインモード時のエリアカメラ2の撮像範囲(撮像ライン)E
Lは、
図2に示す撮像位置(撮影点)P1となり、ワークWの搬送方向の一部および当該ワークWの搬送方向に直交する方向全体が撮像される。
【0029】
本実施形態では、エリアカメラ2の設置位置の確認や調整を行う場合にはエリアモードとし、搬送されるワークWの姿勢判別を行う場合にはラインモードとする。そのため、ラインモード時に撮像に利用する撮像素子群の位置は不適正な姿勢のワークWを排除するタイミングをとる上で重要であり、以下のようにして適切な位置に設定する。まずエリアモード時のエリアカメラ2の撮像範囲(撮像エリア)E
Eを、後述するワーク処理装置5の空気噴射ノズル50を含む位置に設置する。また、ワークWの長さ、画像処理に要する時間やワークWの搬送速度など後述する式(2)に記載の要件から、撮像位置(撮影点)P1と、空気噴射ノズル50より圧縮空気が噴射される排除位置P2との間の距離L(
図2参照)を制御装置3によって算出し、エリアカメラ2が取得した画像データに基づいて設定手段30により撮像素子群の位置が設定される。なお、このときのワークWの搬送速度は設定値とする。このように本実施形態では、複数の撮像素子のうちから撮像素子群の位置を選択可能であるが、撮像素子群の位置が固定されている構成であってもよい。
【0030】
ラインモード時のエリアカメラ2により取得される画像データは、エリアモード時に取得される画像データよりも画素数が少なくデータ量が少ないことから画像取込手段31を介して制御装置3に即時に取り込むことができる。ラインモード時のエリアカメラ2はワークWが撮像位置P1に到達する前から一定間隔で連続して撮像を行うように動作し、下流側へ向けて搬送されるワークWが撮像位置P1を通過する間に複数回撮像を行ない、そのワークWの前端Waから後端Wbにわたって当該ワークWの異なる位置がそれぞれ現れた複数の画像データを取得する。取得された画像データは、1回の撮像が行われるたびに後述する制御装置(コントローラ)3に転送される。
【0031】
図1に示す制御装置3は、図示しないCPUやメモリ、インターフェース等を備えた通常のマイクロコンピュータユニットにより構成されるもので、メモリ内に適宜のプログラムが格納されており、CPUは逐次そのプログラムを読み込み、周辺ハードリソースと協働して設定手段30、画像取込手段31、前処理手段32、姿勢判別手段33、速度算出手段35、指令出力手段34、およびタイミング制御手段36としての役割を担う。
【0032】
画像取込手段31はエリアカメラ2が取得した画像データを制御装置3に取り込むものであり、ラインモード時にはエリアカメラ2が撮像を行うたびに画像データを即時に取り込む。前処理手段32は、2値化処理部32aと端部検出部32bと合成画像データ生成部32cとを有し、画像データが画像取込手段31を介して取り込まれると、2値化処理部32aはその画像データ毎に即時に2値化処理等の所定の前処理を行う。また、端部検出部32bは画像データに基づいてワークWの前端Wa及び後端Wbを適宜の画像処理を通じて判別する。例えば、画像データではワークWが現れている部分とワークW以外のものが現れている部分(具体的には搬送路10)とでは色合い等が異なることから、ワークWの前端Waまたは後端Wbを撮像した画像データには、ワークWの搬送方向に直交する方向に亘って色の濃さの異なる部分が現れる。端部検出部32bはこのような色の濃さ(輝度)の違い等から、画像データに現れたワークWの前端Wa及び後端Wbを検出(画像判別)する。或いは、端部検出部32bが画像データに基づいてワークWの隅にあるR形状を判別することで前端Wa及び後端Wbを検出するように構成されてもよい。さらに合成画像データ生成部32cは、ワークWの前端Waが現れた画像データから当該ワークWの後端Wbが現れた画像データまでを撮像順につなぎ合わせて、1つのワークWの略全体が現れた2次元の画像データとして合成画像データを生成する。
【0033】
ワークの良否判別手段としての姿勢判別手段33は、このような合成画像データに基づいて例えばパターンマッチングによりワークWの姿勢を判別(画像判別)する良否判別処理としての姿勢判別処理を行う。なお、不適切な姿勢のワークとしては、例えば表裏が反転していたり、前後方向の向きが逆のものが挙げられる。このように画像取込手段31、前処理手段32及び姿勢判別手段33はワークWの姿勢を判別する本発明のパーツフィーダ用画像処理装置8を構成するものである。
【0034】
速度算出手段35は、このように姿勢判別で利用する合成画像データを用いてワークWの搬送速度を算出する速度算出処理を行うものであり、具体的には、下記式(1)に基づいてワークWの搬送速度Vw(m/s)を算出する。
Vw=Lw1/S・A・・・(1)
【0035】
ここで、Sはエリアカメラ2のスキャンレートすなわちエリアカメラ2の撮像間隔(sec)であり、Aはエリアカメラ2が単体のワークWの略全体すなわちワークWの前端Waから後端Wbまでを撮像するのに要する撮像回数(回)であり、Lw1はワークWの搬送方向長さ(m)である(
図3参照)。速度算出手段35は、エリアカメラ2の撮像間隔Sと撮像回数Aとの積である撮像所要時間をワークWが撮像位置P1を通過するに要した時間とみなし、その撮像所要時間とワークWの搬送方向長さLw1とに基づいてワークWの搬送速度Vwを算出している。ワークWの搬送方向長さLw1は実物のワークWのものが予め設定されている。なお、ワークWの搬送方向長さLw1やエリアカメラ2の撮像間隔Sは入力手段41を介して入力される。また、速度算出手段35は撮像回数取得部35aを有し、撮像回数取得部35aは1回の撮像で得られる画像データの画素数と合成画像データの画素数とから撮像回数Aを算出する。
【0036】
このようにして算出されたワークWの搬送速度Vwは、次に述べる不正姿勢にあるワークWを排除するタイミング制御に用いられるほか、
図1に示す表示手段40に表示される。また、このようにして算出されたワークWの搬送速度Vwを、ワークWが搬送されているか或いは停止しているかの判断材料として用いてもよい。
【0037】
指令出力手段34は、姿勢判定手段33が不適切な姿勢(不正姿勢)であると判定すると、
図1に示すワーク処理手段としての排除手段5に、搬送路10に設定されたワーク処理位置としての排除位置P2にあるワークWを搬送路10上から排除する排除処理(排除動作)を行わせるための指令を出力する。排除手段5は、前記撮像位置P1を基準として少なくともワークWの搬送方向長さLw1(
図3参照)よりも搬送方向下流側に設定された排除位置P2に向けて圧縮空気を噴射する付勢力付与部としての空気噴射ノズル50を有し、この空気噴射ノズル50から噴射された圧縮空気によりワークWに付勢力を付与してワークWを搬送路10上から排除する。空気噴射ノズル50は、例えば搬送路10の側壁10aに設けられた孔により形成され、前記指令としての通電指令が入力されることで圧縮空気が噴射される。ワークW上にはこの付勢力を作用させる目標位置Pw(
図3参照)が予め設定されており、本実施形態では空気噴射ノズル50と対向するワークW側面の搬送方向中央を目標位置Pwとして設定している。この目標位置Pwに付勢力を作用させることで、搬送路10上から排除する際に排除対象であるワークWが水平回転しながら移動することを抑制できる。なお、本発明における排除処理には、ワークWを搬送路10上から搬送路10の下方にあるワーク受容部等に落下させる処理や、ワークWを排除位置P2より枝分かれした何れかの搬送路10等に振り分ける処理等が含まれる。
【0038】
タイミング制御手段36は、速度算出手段35が算出したワークWの搬送速度Vwに基づいて指令出力手段34が噴射ノズル50に通電指令を出力するタイミングを制御する。具体的には、下記式(2)に基づいて、姿勢判別手段33が不正姿勢であると判別してから指令出力手段34が前記通電指令を出力するまでの待機時間tα(sec)(
図4参照)を算出し、この待機時間tαに基づいて指令出力手段34が空気噴射ノズル50に通電指令を出力するタイミングを制御することで、ワークWの搬送速度Vwが設定値から変化した場合でも前記目標位置Pwに付勢力を作用させることができるようにしている。
tα={(L−Lw2)/Vw}−tp−td・・・(2)
【0039】
ここで、Vwは搬送路10上を搬送されるワークWの搬送速度(m/s)(
図3参照)であり、Lは撮像素子群の撮像範囲E
Lから排除位置P2までの距離(m)(
図3参照)であり、Lw2はワークWの後端Wbから目標位置Pwまでの距離(m)(
図3参照)であり、tpは前記画像取込手段31による取り込みの完了から前記姿勢判別手段33による姿勢判別の完了までに要する画像処理時間(sec)(
図4参照)である。画像処理時間tpは、前処理、姿勢判別処理及び速度算出処理にかかる時間が常に一定となるように構成されている場合には、固定値又は設定値となる。一方、搬送速度Vwの変化を原因とする合成画像データの画素数の増減に応じて画像処理時間tpが変化するように構成されている場合には制御装置3内で画像処理時間tpのカウントを行う。tdは、前記通電指令を受けた排除手段5が排除処理を通じてワークWに付勢力を作用させるまでの機械的な伝達時間(sec)(
図4参照)であり、排除手段5毎のパラメータ設定である。上記距離Lや伝達時間td等は入力手段41を介して入力される。
【0040】
以上のような構成のパーツフィーダ100における動作を、
図4に示すタイミングチャートを参照して説明する。以下では、エリアカメラ2はラインモードに設定し、不適切な姿勢の1つのワークWがエリアカメラ2により撮像されてから排除手段5により排除されるまでの動作を記載している。
【0041】
搬送路10上を搬送されるワークWを時刻t01で撮像すると、それによって取得された画像データは即時に画像取込手段31を介して取り込まれ(転送され)、その画像データに対して2値化処理部32aが2値化等の前処理を行う。また端部検出部32bがワークWの前端Wa及び後端Wbの検出を行い、時刻t01に取得された画像データに基づいてワークWの前端Waが検出される。時刻t01における撮像後も所定の間隔で順次撮像が行われ、そのたびに画像データの取り込み及び前処理が即時に行われていく。そして、時刻t02の撮像で取得された画像データに基づいて端部検出部32bによりワークWの後端Wbが認識されると、時刻t03で合成画像データ生成部32cが合成画像データの生成を開始するとともに、この合成画像データに基づいて姿勢判別手段33による姿勢判別処理及び速度算出手段35による速度算出処理を行う。なお、時刻t03までの処理はハードウエア(例えばFPGA(field-programmable gate array))により行われ、時刻t03以後の処理はメモリに記憶させたプログラムを実行することによりソフト的に行われる。その後、タイミング制御手段36は時刻t04から待機時間tαが経過した時刻t05に通電指令が出力されるように指令出力手段34を制御する。そして、これにより排除手段5の空気噴射ノズル50から圧縮空気が噴射され、時刻t05から伝達時間tdが経過した時刻t06でワークWに空気による付勢力が実際に作用する。なお、仮に姿勢判別処理が行われたワークWが適切な姿勢であり、姿勢判別処理により所定の姿勢であると判別された場合には、そのワークWを搬送路10上から排除するための処理(通電指令の出力及び空気噴射ノズル50からの噴射)は行われない。
【0042】
このようにして、姿勢が不適切なワークWは排除され、適切な姿勢のワークWのみが供給先に供給されることになる。
【0043】
以上のように第1実施形態のパーツフィーダ用画像処理装置8は、搬送路10に沿って搬送されるワークWを撮像するカメラを備えたパーツフィーダ100に適用されるものであって、カメラとして、ワークWの搬送方向およびそれに直交する方向に配列された複数の撮像素子を有し、これらの撮像素子により画像データを取得するエリアカメラ2を採用するとともに、前記エリアカメラ2が有する複数の撮像素子のうち、前記搬送方向に直交して列をなす一部の撮像素子のみを撮像に利用可能に設定する設定手段30と、前記一部の撮像素子のみを撮像に利用する場合に、取得された画像データを前記エリアカメラ2から即時に取り込む画像取込手段31と、前記画像取込手段31が取り込んだ画像データに基づいてワークWの良否判別処理としての姿勢別処理を行うワークの良否判別手段である姿勢判別手段33と、を備えるように構成したものである。
【0044】
ここでワークWの良否の判別とは、ワークWの外観や姿勢が所定のものか否か判別することを示す。
【0045】
設定手段30により一部の撮像素子のみを利用可能にすることで、1回の撮像でエリアカメラ2が取得する画像データの画素数を減少させ、画像取込手段31による取込速度(転送速度)を向上させることができるので、1つのワークWに対して撮像から姿勢判別処理までの時間を短縮してワークWの搬送を高速化することができる。一方、エリアカメラ2が有する全ての撮像素子を利用することで、ラインカメラよりも広範囲を画像データに現すことができ、この画像データに現れている部材等を基準とすることで一部の撮像素子としての撮像素子群を適切な位置に簡単かつ正確に設定することができる。
【0046】
すなわち本実施形態においてパーツフィーダ100は、搬送路10上に設定されたワーク処理位置としての排除位置P2に到達したワークWに対し付勢力付与部としての空気噴射ノズル50から付勢力として圧縮空気を噴射することによって搬送路10から排除するワーク処理手段としての排除手段5を備えており、姿勢判別手段33の判別結果に応じて排除手段5を作動させるように構成するとともに、すべての撮像素子を撮像に利用する場合に、エリアカメラ2の撮像範囲E
Eを、空気噴射ノズル50を含む位置に設定し、当該撮像範囲E
Eが現れた画像データ上で設定手段30により撮像素子群の位置を選択して設定することができるように構成されている。
【0047】
空気噴射ノズル50に対する撮像素子群の位置は、不適正な姿勢のワークWを排除するために重要であるが、空気噴射ノズル50が現れた画像データをみながら、空気噴射ノズル50を基準として撮像素子群の位置を選択することで、位置合わせの時間を大幅に短縮することができる。具体的には、設定値として予め定めたワークWの搬送速度など上記式(2)に記載の要件を用いて撮像位置P1と排除位置P2との間の距離Lを求め、エリアモードのエリアカメラ2で取得した画像データ上で排除位置P2から距離Lだけ離れた位置に撮像素子群の位置を設定することで、適切な位置に正確かつ簡単に撮像素子群を設けることができる。また万一、ワークWの搬送速度が途中で変化した場合には、上記式(1)で求めたワークWの搬送速度Vw等を用いて、上記式(2)により指令出力手段34が通電指令を出力するまでの適切な待機時間tαを求めて、圧縮空気が噴射されるタイミングを調整することができる。
【0048】
さらに、前記設定手段30により設定された撮像素子群による撮像を連続して行わせ、画像取込手段31が即時取り込んだ画像データに基づいてワークWを判別可能な前処理手段32をさらに備え、姿勢判別手段33は、前記前処理手段32によりワークWが現れていると判別された画像データに基づいてワークWの姿勢判別処理を行うように構成している。
【0049】
ここで、搬送されてくる全てのワークWに姿勢判別処理を行うためには、搬送されてくる全てのワークWを確実に撮像する必要があり、これを実現するために、例えばセンサを用いてワークWが撮像範囲E
L内に到達するタイミングを図ることが考えられるが、センサなどの装置が別途必要になるためにコストが上昇するという問題がある。これに対して本実施形態では、一部の撮像素子による撮像を連続して行わせることで、搬送されてきた全てのワークWを確実に撮像することができる。また、ワークWが現れていると判別された画像データに基づいて姿勢判別処理を行うようにすることで、ワークWが現れていない画像データに基づいて姿勢判別処理を行うことがなく、無駄な処理を行うことが防止される。したがって、センサなどの装置を別途設けることなく、コスト上昇および処理の増加を抑制しつつ、搬送されてくる全てのワークWに姿勢判別処理を行うことができる。
【0050】
<第2実施形態>
以下、
図5を用いて本発明の第2実施形態であるパーツフィーダ110について説明する。なお、本実施形態のパーツフィーダ110は、後述する構成以外は上記第1実施形態のパーツフィーダ100と同様であるため、パーツフィーダ100と同様の構成については記載を省略する。
【0051】
第1実施形態のパーツフィーダ100ではラインモード時に撮像素子群が1列だけ設けられているが、本実施形態のパーツフィーダ110は、ラインモード時に、ワークWの搬送方向に直交して列をなす第1撮像素子群と、この第1撮像素子群よりも搬送方向下流側において前記搬送方向に直交して列をなす第2撮像素子群とが設定されており、第1撮像素子群の撮像範囲(第1撮像ライン)E
L1または第2撮像素子群の撮像範囲(第2撮像ライン)E
L2に位置するワークWが撮像されるように構成される。また、本実施形態では、排除手段5は2つの空気噴射ノズル50a,50bを有しており、一方の空気噴射ノズル50aを第1撮像素子群の撮像範囲E
L1と第2撮像素子群の撮像範囲E
L2との間の位置に設けるとともに、他方の空気噴射ノズル50bを第2撮像素子群の撮像範囲E
L2よりも搬送方向下流側に設けている。さらに、姿勢判別手段33(
図1参照)は、第1撮像素子群が取得した画像データに基づいて姿勢判別処理を行い、その結果、不適正な姿勢と判別されたワークWに対しては一方の空気噴射ノズル50aを用いて排除処理を行い、一方の空気噴射ノズル50aで排除されなかったワークWに対して、第2撮像素子群が取得した画像データに基づいて再度姿勢判別処理を行うように構成されている。再度の姿勢判別処理で不適正な姿勢と判別されたワークWは、他方の空気噴射ノズル50bを用いて排除処理が行われ、再度の姿勢判別処理で適正な姿勢と判別されたワークWは、排除処理が行われることなく、図示しない搬送先に搬送される。上記以外の構成は第1実施形態と同様である。
【0052】
以上のように第2実施形態のパーツフィーダ用画像処理装置は、搬送路10上に設定された排除位置P2,P2に到達したワークWに対し圧縮空気を噴射することによって搬送路10から排除する排除手段5を備えるパーツフィーダ100に適用されるものであり、設定手段30は、複数の撮像素子のうちから、前記搬送方向に直交して列をなす第1撮像素子群と、前記第1撮像素子群よりも前記搬送方向下流側において前記搬送方向に直交して列をなす第2撮像素子群とを設定するものであり、姿勢判別手段33(
図1参照)は、第1撮像素子群が取得した画像データに基づいて姿勢判別処理を行うとともに、第2撮像素子群が取得した画像データに基づいて姿勢判別処理を行い、姿勢判別手段33の判別結果に応じて排除手段5を作動させるように構成したものである。
【0053】
ここで、判別処理に利用する画像データの取得にラインカメラを1台のみ用いる場合、振動によるワークWの搬送路10上からの飛び上がりなどに起因して撮像ミスが生じ、達成率(姿勢を正確に判別して適切な姿勢のワークWのみを搬送先に送ることができる確率)を低下させることがある。この問題を解消するためにラインカメラを2台設置して姿勢判別処理を2回行うことも考えられるが、ラインカメラの設置台数を増やすとコストアップにつながる。
【0054】
これに対して本実施形態であれば、第1撮像素子群が取得した画像データに基づいた1回目の姿勢判別処理の後に、一方の空気噴射ノズル50aで排除されなかったワークWに対して前記第2撮像素子群が取得した画像データに基づいた2回目の姿勢判別処理を行うことができる。そのため、このような判別結果に応じて排除手段5を作動させるように構成することで、姿勢判別処理を1回しか行わない場合に比べて、所定の姿勢と判別されたワークWのみをより安定して搬送先に送ることができ、コストの上昇を抑えつつ、達成率を向上させることができる。
【0055】
<第3実施形態>
以下、
図6を用いて本発明の第3実施形態であるパーツフィーダ120について説明する。なお、本実施形態のパーツフィーダ120は、後述する構成以外は上記第1実施形態のパーツフィーダ100と同様であるため、パーツフィーダ100と同様の構成については記載を省略する。
【0056】
図6に示す本発明の第3実施形態であるパーツフィーダ120は、ワークWの特定の面が所定方向を向いているかどうかだけでなく、前後方向も揃える必要があるワークWを簡単に判別するためのものであり、ワークWとして例えば特定の面としての上面W
Uにおいて搬送方向後方に特徴点(マーク)Wmが形成されているダイオードを用いる。
【0057】
本実施形態は、第2実施形態と同様にラインモード時に第1撮像素子群および第2撮像素子群を設定しており、これらは同時タイミングで連続して撮像を行うように構成されている。第1撮像素子群の撮像範囲(第1撮像ライン)E
L1と第2撮像素子群の撮像範囲(第2撮像ライン)E
L2との間の距離はワークWの前端Waから特徴点Wmまでの距離に設定されており、第1撮像素子群の撮像範囲E
L1と第2撮像素子群の撮像範囲E
L2との間であって第2撮像素子群の撮像範囲E
L2と近い位置に空気噴射ノズル50を設けている。本実施形態では、第2撮像素子群の撮像範囲E
L2内にワークWが到達して端部検出部32bによりワークWの前端Waが検出されたときに、それと同時に取り込まれた第2撮像素子群に基づく画像データに基づいてワークWの前記特徴点Wmを検出されると、当該ワークWが適切な姿勢であると判別し、それ以外は不適切な姿勢と判別する。上記構成以外は第1実施形態と同様である。
【0058】
図7に示すフローチャートを用いて1つのワークWに対する処理をより具体的に説明する。第1撮像素子群および第2撮像素子群で同時に取得した画像データを画像取込手段31を介して制御装置3に取り込み(ステップS1)、前処理手段32によって前処理を行い、第2撮像素子群が取得した画像データに基づいて端部検出部32bによりワークWの前端Waが検出されたか否か判断する(ステップ2)。ワークWの前端Waが検出されない場合(ステップS2:NO)、ステップS1に戻る。ワークWの前端Waが検出された場合(ステップS2:YES)、第1撮像素子群が取得した画像データに基づいて前処理手段32によりワークWの特徴点Mwが検出されたか否か判断する(ステップ3)。特徴点Mwが検出された場合(ステップS3:YES)、姿勢判別手段33が当該ワークWの姿勢を適切と判断して排除処理を行わず、本フローチャートを終了する。ワークWの特徴点Wmが検出されない場合(ステップS2:NO)、姿勢判別手段33が当該ワークWの姿勢を不適切と判断し、排除手段5の空気噴射ノズル50が圧縮空気を噴射するタイミングを算出する(ステップS4)。このタイミングは、第1撮像素子群または第2撮像素子群が取得した画像データに基づいて、第1実施形態と同様に、タイミング制御手段36がワークWの搬送速度Vwに基づいて待機時間Tαを算出することで行う。待機時間Tαが経過すると指令出力手段34が通電指令を出力し(ステップS5)、排除手段5により不適切な姿勢と判別されたワークWが排除され(ステップS6)、本フローチャートの終了となる。
【0059】
以上のように第3実施形態であるパーツフィーダ用画像処理装置は、搬送路10上に設定されたワーク処理位置P2,P2に到達したワークWに対し圧縮空気を噴射することによって搬送路10から排除する排除手段5を備えるパーツフィーダ120に適用されるものであり、前記ワークWとして、特定の面としての上面W
Uの一部分に所定の特徴点Wmが形成されたものを用い、設定手段30は、複数の撮像素子のうちから、前記搬送方向に直交して列をなす第1撮像素子群と、前記第1撮像素子群よりも前記搬送方向下流側において前記搬送方向に直交して列をなす第2撮像素子群とを設定するものであり、ワークWの搬送方向前端が第2撮像素子群の撮像範囲E
L2内にある場合に、当該ワークWに形成された特徴点Mwが前記第1撮像素子群の撮像範囲E
L1内に現れるように調整され、画像取込手段31が取り込んだ画像データに基づいてワークWの搬送方向における前端Waおよび特徴点Wmを検出可能な前処理手段32をさらに備え、前記第2撮像素子群が取得した画像データに基づいてワークWの前端Waが検出されると、当該画像データと同時に取得された第1撮像素子群の画像データに基づいて前記特徴点Wmの検出を行い、特徴点Wmが検出されなかったワークWに対して排除手段5を動作させるように構成したものである。
【0060】
上面W
Uにおける搬送方向後方又は前方に特徴点Wmが形成されているワークは、上記第1および第2実施形態の構成でも姿勢判別が可能であるが、第1および第2実施形態の構成では処理が複雑になる。そこで、第2撮像素子群をワークWの前端Waを検出する同期センサのように機能させて、ワークWの前端Waが検出されると特徴点Wmの検出を行い、特徴点が検出されれば当該ワークWの姿勢が適正と判別し、検出されなければ不適切と判別することで、短い処理時間で姿勢判別を容易に行うことができる。また、第1撮像素子群と第2撮像素子群は、例えばエリアモード時に取得した画像データをみながら設定手段30により設定することで、容易かつ適切な位置に設けることができる。
【0061】
なお、1つのワークWの2か所を撮像する構成としてラインカメラを2台用いることも考えられるが、本実施形態で用いるワークWは1辺が6mm程度の大きさのものであり、このような狭い範囲を撮像可能な位置に2台のラインカメラを配置することは難しい。
【0062】
本発明のパーツフィーダ100,110,120は、上記パーツフィーダ用画像処理装置8を用いるものであって、ワークWが搬送される搬送路10を有するパーツフィーダ本体1と、前記ワークWの搬送方向およびそれに直交する方向に配列された複数の撮像素子を有し、前記搬送路10に沿って搬送される前記ワークWを撮像して画像データを取得するエリアカメラ2と、前記搬送路10に設定されたワーク処理位置P2を通過するワークWに対して、搬送路10から排除する排除手段5と、姿勢判別手段33が所定の姿勢のものでないと判別すると、前記排除手段5を作動させるための指令を出力する指令出力手段34と、を備えることを特徴とする。このようなパーツフィーダ100,110,120は、エリアカメラ2が有するほぼ全ての撮像素子を利用することで、適切な位置に撮像素子群を簡単かつ正確に設定することができるとともに、撮像素子群のみを撮像に利用可能にすることで、画像データの転送速度を向上させてワークWの搬送を高速化することができる。
【0063】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0064】
例えば、第1〜第3実施形態では、不適切な姿勢であると判別されたワークWに対して搬送路10上から排除する排除処理を行っているが、ワーク処理手段として排除手段5の代わりに姿勢矯正手段を設けて、不適切な姿勢であると判別されたワークWの姿勢を搬送路10上に設定された矯正位置で矯正する構成としてもよい。姿勢矯正手段は、搬送路10の姿勢矯正位置に設けられた孔を介してワークWに向けて圧縮空気を噴射する空気噴射ノズルを備え、空気噴射ノズルから圧縮空気を噴射して、矯正位置にあるワークWを反転又は回転させることにより姿勢を矯正する。なお、姿勢矯正手段としてはワークWの姿勢を矯正可能なものであればこの構成に限定されない。姿勢矯正手段は、指令出力手段から通電指令が出力されると空気噴射ノズルから圧縮空気を噴射するように構成される。
【0065】
また本実施形態では、パーツフィーダ用画像処理装置8をワークWの姿勢を判別するために用いているが、ワークWの形状や色、ワークW上のシルク文字等、ワークWの外観を検査するために用いてもよい。この場合のパーツフィーダ用画像処理装置は、ワークWの姿勢の判別を行う姿勢判別手段33の代わりに、ワークWの外観を検査する手段を適宜有する構成となる。
【0066】
また第1〜第3実施形態では、前処理手段32は画像取込手段31により画像データが取り込まれるたびに即時2値化処理等の前処理を行っているが、1つ分のワークWの取り込みが終了してから当該ワークWが現れている全ての画像データに対して前処理である2値化処理および画像の結合を行うように構成されてもよい。
【0067】
さらに、第1,第2実施形態において前記撮像回数取得手段42aは、上記式(1)に適用する撮像回数Aの算出に合成画像データの画素数を用いているが、合成画像データの画素数の代わりに、ワークWの前端Waが現れた画像データから当該ワークWの後端Wbが現れた画像データまでの複数の画像データにおける画素数の合計値を用いてもよい。また、撮像回数Aを取得するためにエリアカメラ2が撮像する回数を直接カウントする構成であってもよい。
【0068】
またさらに第1,第2実施形態ではエリアカメラ2で取得された画像データが合成されるが、合成されることなく判別が行われるようにしてもよい。また1つのワークWにつき、1回の撮像で得られた画像データのみに基づいて良否判別が行われるようにしてもよい。さらに連続で撮影されず、ワークWが到達したことを検知するセンサを別途設けて、ワークWが到達したときに撮像するようにしてもよい。
【0069】
また第2実施形態において、第1撮像素子群が取得した画像データに基づいて判別されたワークWが不適正な場合、それが一方の空気噴射ノズル50aにより排除されたかどうか確認するために第2撮像素子群を用いてもよい。この場合、第1撮像素子群と第2撮像素子群との間の距離に基づいて、ワークWが第1撮像素子群の撮像範囲E
L1を通過してから第2撮像素子群の撮像範囲E
L2に到達するまでの時間を予め求めておき、第1撮像素子群が取得した画像データに基づいて不適正と判別されたワークWが第2撮像素子群に取得された場合、他方の空気噴射ノズル50bにより当該ワークWを排除するようにする。
【0070】
また第2実施形態では、一方の空気噴射ノズル50aで排除されなかった全てのワークWに対して2回目の姿勢判別処理を行うように構成されているが、処理の増加を抑制するために、1つのワークWについて、第1撮像素子群が取得した画像データに基づいた姿勢判別処理により適正な姿勢と判別された場合にのみ、第2撮像素子群で撮像を行い、その画像データに基づいて2回目の姿勢判別処理を行うようにしてもよい。
【0071】
さらに、第2実施形態では2つの空気噴射ノズル50a,50bが設けられているが、第2撮像素子群の撮像範囲E
L2よりも搬送方向下流側にのみ空気噴射ノズルが設けられるように構成されてもよい。この場合、搬送されてきた全てのワークWに対して2回ずつ姿勢判別処理を行うことになり、少なくともどちらか一方の姿勢判別処理で不適正と判別されたワークWに対して排除処理を行うようにする。
【0072】
また、第3実施形態では第1撮像素子群が取得した画像データに基づいてワークWの前端Waを検出しているが、第1撮像素子群が取得した画像データに基づいてワークWの後端Wbを検出するように構成してもよい。なお、ワークWの前端Waを検出する構成は、ワークWの後端Wbを検出する構成よりも、1つのワークWに対して撮像を開始してから当該ワークWの姿勢判別を行うまでのタイミングを早めて、当該ワークWが不適正な場合には速やかに排除動作を行うことができる。
【0073】
さらに、撮像素子群は撮像素子が1列のみ配列したものに限らず、本発明の効果が発揮される範囲内において、ワークWの搬送方向に沿って隣接する2列以上の撮像素子が配列したものであってもよい。
【0074】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。