【解決手段】送信装置100の転送画像生成手段140は、関心領域の画質が他の領域に比べて高くなるように動画像のフレーム画像から画像データを生成し、通信手段110により受信装置200に送信する。通信レート測定手段120は、通信手段110の通信レートを測定する。関心領域情報管理手段130は、測定された通信レートが第1の閾値に達したときに関心領域のサイズを縮小する。受信装置200の画面表示手段220は、通信手段210で受信された画像データに基づく動画像をディスプレイに表示する。関心領域情報管理手段130は、測定された通信レートが第1の閾値に達するまでは、関心領域のサイズを自動的に拡大する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
  次に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施形態]
  
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態にかかる動画像通信システムは、通信ネットワーク300を介して接続される送信装置100と受信装置200とで構成される。
 
【0011】
  送信装置100は、通信手段110と、通信レート測定手段120と、関心領域情報管理手段130と、転送画像生成手段140とを備える。また、受信装置200は、通信手段210と、画面表示手段220とを備える。これらはそれぞれ以下のような機能を有する。
 
【0012】
  通信手段110は、通信ネットワーク300を通じて受信装置200と無線または有線で通信する機能を有する。
 
【0013】
  通信レート測定手段120は、通信手段110の通信レートを測定する機能を有する。通信レートとは、単位時間当たりに転送されるデータ量を意味し、単位はbpsである。通信レート測定手段120は、主に送信装置100から受信装置200へ送信している単位時間当たりのデータ量から通信レートを測定する。また、通信レート測定手段120は、第1の閾値を保持している。第1の閾値は、単位時間当たりに転送できるデータ量を意味し、単位はbpsである。また、通信レート測定手段120は、測定した通信レートと第1の閾値とを比較し、通信レートが第1の閾値に達したことを検出すると、その旨を関心領域情報管理手段130に通知する機能を有する。
 
【0014】
  関心領域情報管理手段130は、動画像のフレーム中に設定する関心領域に関する情報を保持する。関心領域の形状は任意である。例えば関心領域の形状は矩形である。関心領域が矩形の場合、関心領域に関する情報は、例えばフレーム上での矩形の左上端点のXY座標値と右下端点のXY座標値とを含む。また、関心領域情報管理手段130は、通信レート測定手段120から通信レートが第1の閾値に達した旨の通知を受けると、関心領域のサイズを縮小する機能を有する。関心領域のサイズを縮小する幅は任意である。固定量だけ縮小しても良いし、通信レートが第1の閾値を超えた量に応じて変化する量だけ縮小しても良い。関心領域が矩形の場合、縦と横の幅をそれぞれ縮小しても良いし、縦の幅のみ、あるいは横の幅のみ縮小しても良い。
 
【0015】
  転送画像生成手段140は、動画像のフレーム画像から画像データを生成し、必要に応じて符号化して、通信手段110を通じて受信装置200へ送信する。対象となる動画像のフレーム画像は、例えば送信装置100を構成するコンピュータの画面に表示される画像である。また、対象となる動画像のフレーム画像は、送信装置100に接続されたテレビカメラで撮像された動画像など、画面の画像以外の画像であっても良い。転送画像生成手段140は、関心領域情報管理手段130に保持されている関心領域に関する情報を参照し、関心領域の画質が他の領域に比べて高くなるように動画像のフレーム画像から画像データを生成する。
 
【0016】
  本明細書において、画質が高いとは、空間解像度および時間解像度の何れか一方または双方が高いことを意味する。空間解像度とは、単位面積当たりの画素数、カラー画像の色数、画像データを周波数変換して得られる周波数信号の振幅の解像度、画素データの振幅の解像度、画素データを量子化する際の量子化刻み幅の、1つまたは複数またはすべてを意味する。時間解像度とは、フレームレートとインターレース回数の何れか一方または双方を意味する。
 
【0017】
  受信装置200の通信手段210は、通信ネットワーク300を通じて送信装置100と無線または有線で通信する機能を有する。
 
【0018】
  画面表示手段220は、通信手段210で受信された画像データを、必要に応じて復号してディスプレイに表示する機能を有する。
 
【0020】
  送信装置100の転送画像生成手段140は、動画像のフレーム画像が図示しない画面キャプチャ手段等から入力されると、関心領域情報管理手段130に保持されている関心領域に関する情報を参照し、関心領域の画質が他の領域に比べて高くなるようにフレーム画像から画像データを抽出し、必要に応じて符号化して通信手段110を介して受信装置200へ送信する。転送画像生成手段140は、動画像のフレーム画像が入力される毎に上述した動作を繰り返す。
 
【0021】
  通信レート測定手段120は、例えば一定時間毎に、通信手段110の通信レートを測定し、第1の閾値と比較する。そして、通信レートが第1の閾値に達したことを検知すると、その旨を関心領域情報管理手段130に通知する。関心領域情報管理手段130は、この通知を受けて、自身が保持する関心領域に関する情報を更新し、関心領域のサイズを縮小する。
 
【0022】
  関心領域のサイズ縮小後、新たな動画像のフレーム画像が転送画像生成手段140に入力されると、転送画像生成手段140は、上記縮小後の関心領域を参照して画像データを抽出し、通信手段110を介して受信装置200へ送信する。関心領域は他の領域に比べて画質が高くなるように画像データを生成しているため、関心領域のサイズが縮小されることにより、1フレーム当たりの画像データ量が低減する。このため、関心領域のサイズを小さくすることにより、通信手段110の通信レートを第1の閾値を超えないように制御することが可能になる。
 
【0023】
  受信装置200側では、送信装置100から送信された画像データを通信手段210が受信し、画面表示手段220が必要に応じて復号し、ディスプレイに表示する。これにより、関心領域が他の領域よりも高画質な動画像が受信装置200のディスプレイに表示されることになる。また、動画像の情報量が増える等によって通信手段210の通信レートが第1の閾値に達した場合、受信装置200に表示される画像中の関心領域のサイズは小さくなるものの、関心領域全体の画質が突然に悪化する事態は発生しない。
 
【0024】
[第2の実施形態]
  次に、本発明を画面転送・遠隔操作システムに適用した実施形態について説明する。画面転送・遠隔操作システムは、サーバ(PC)側の画面を通信によりクライアント(PC、携帯電話端末など)側に転送して表示し、クライアント側からは利用者が行うキーやマウス等の入力、操作情報を送信することにより、サーバ側を遠隔操作するシステムである。
 
【0025】
[構成の説明]
  まず、本実施形態の構成について図面を参照して詳細に説明する。
図2は、本実施形態のシステム構成図である。本実施形態の画面転送・遠隔操作システムは、サーバ1と、クライアント2と、通信網3とから構成される。
 
【0026】
  サーバ1は、画面キャプチャ手段11と、転送画像生成手段12と、通信手段13と、ROI範囲情報管理手段14と、通信レート測定手段15とを含む。
 
【0027】
  画面キャプチャ手段11は、サーバ側画面を一定の周期でキャプチャリングし、画像とする。
 
【0028】
  転送画像生成手段12は、画面キャプチャ手段11で得た画像をクライアント2に転送するのに適した形式に変換する。変換方法としては、圧縮やエンコードが一般的である。圧縮やエンコードの手法は多くの方法が一般的に知られている。本実施形態は、それら一般的な圧縮やエンコードの手法を用いることが可能である。また、転送画像生成手段12は、転送画像を生成する際には、ROI範囲情報管理手段14からROI範囲として通知される領域(例えばXY座標で特定される領域)内のみを高画質とし、その領域外は低画質とする。このように特定範囲の内と外で画質(解像度・符号量)を変化させる手段としては、JPEG2000やFlash Pixが一般的である。本実施形態は、それらの一般的な手段を用いることが可能である。またROI範囲の形状は、前述の特定範囲内の画質変更手段で技術的に許せば、円でも楕円でも矩形でも構わない。
 
【0029】
  通信手段13は、転送画像生成手段12で生成した転送画像データを、通信網3を介してクライアント2に送信する。また通信手段13は、通信レート測定手段15から受け取った後述する中間レートオーバー情報を、通信網3を介してクライアント2に送信する。また通信手段13は、ROI範囲情報管理手段14から受け取ったROI範囲縮小情報を、通信網3を介してクライアント2に送信する。さらに通信手段13は、クライアント2側から送信されてくる遠隔操作の入力情報と、ROI範囲情報とを受信する。
 
【0030】
  通信レート測定手段15は、通信手段13による通信レートを監視し、自手段15内にあらかじめ設定された第1の閾値に達した場合、ROI範囲情報管理手段14にその旨を通知すると共に、通信手段13を通してクライアント2側に通知する。第1の閾値は、通信手段13がクライアント2への送信のために使用できる帯域の上限値(以下、上限レートと呼ぶ)に設定される。また、通信レート測定手段15は、通信手段13による通信レートが自手段15内にあらかじめ設定された第2の閾値に達した場合、通信手段13を通してクライアント2側に中間レートオーバー情報を通知する。第2の閾値は、上限レートの半分(以下、中間レートと呼ぶ)に設定される。但し、第2の閾値を上限レートの半分に設定するのは一例であり、利用者の利便性を考慮して任意に定めることが可能である。また、第1の閾値となる上記の上限レート値や第2の閾値となる中間レートの値は、サーバ1、クライアント2、通信網3(通信事業者・プロバイダ)から随時設定変更しても良い。
 
【0031】
  ROI範囲情報管理手段14は、通信手段13を経由してクライアント2からのROI範囲情報を受け取り、自身に保存するとともに転送画像生成手段12に通知する。またROI範囲情報管理手段14は、通信レート測定手段15から、通信レートが上限レートに達した旨の通知を受けた場合、自身に保存している現状のROI範囲情報をよりサイズの小さなROI範囲情報に更新するとともに、通信手段13を通してクライアント2にROI範囲縮小情報を送信する。ROI範囲情報管理手段14は、ROI範囲情報をよりサイズの小さなROI範囲情報に更新する場合、例えば、ROI範囲が矩形であれば、矩形のROI範囲の縦と横の長さを、中心に向かって数ドットずつ短くする方法を使用する。さらにROI範囲情報管理手段14は、上限レートに達した通知を受けてから一定時間、クライアント2から通信手段13経由で渡されるROI範囲のサイズを拡大するROI範囲情報を無視する。但し、ROI範囲情報管理手段14は、クライアント2から通信手段13経由で渡されるROI範囲のサイズの縮小や位置を変更するROI範囲情報は受け付け、転送画像生成手段12に通知する。
 
【0032】
  クライアント2は、画面表示手段21と、通信手段22と、入力手段23と、ROI範囲情報制御手段24とを含む。
 
【0033】
  画面表示手段21は、通信手段22を経由してサーバ1側から送られてきた転送画像を表示する。この際、画面表示手段21は、サーバ1側で圧縮、エンコードがされている場合には解凍、デコードを行ってから表示する。また画面表示手段21は、ROI範囲情報制御手段24を参照して、ROI範囲の位置と枠の色を確認し、ROIの範囲を示す枠を上記の色で描画する。
 
【0034】
  通信手段22は、通信網3を経由してサーバ1から転送された画像情報を画面表示手段21に受け渡す。また通信手段22は、サーバ1からROI範囲縮小情報および中間レートオーバー通知を受信し、ROI範囲情報制御手段24に渡す。さらに通信手段22は、入力手段23から渡される遠隔操作情報、およびROI範囲情報制御手段24から渡されるROI範囲情報を通信網3を経由してサーバ1に送信する。
 
【0035】
  入力手段23は、利用者からのマウス入力やキー入力などによって、サーバ1の遠隔操作情報を受け付け、通信手段22に渡す。また入力手段23は、利用者からROI範囲を設定ないし変更する入力も受け付ける。例えば入力手段23は、クライアント2画面上でマウス操作などにより2点が指定されると、その2点を左上端点、右下端点とする矩形をROI範囲とする設定を受け付ける。また、例えば入力手段23は、クライアント2画面上に描画されているROI範囲の枠をマウスでドラッグ&ドローする操作を、ROI範囲の位置やサイズを変更する操作として受け付ける。入力手段23は、ROI範囲に変更があった場合はROI範囲情報制御手段24に通知する。
 
【0036】
  ROI範囲情報制御手段24は、入力手段23からROI範囲の設定変更要求を受け付けたとき、および通信手段22からROI範囲縮小情報を受信したとき、クライアント2内のROI範囲情報を更新する。またROI範囲情報制御手段24は、通信手段22を経由してサーバ1側から通信レートが上限レートに達した旨の通知およびROI範囲縮小情報を受けた場合には、一定期間、入力手段23から通知されるROI範囲のサイズ拡大の要求を無視する(位置移動や範囲縮小については受け付ける)。さらにROI範囲情報制御手段24は、通信手段22を経由してサーバ1側から中間レートオーバー通知を受けた場合は、ROI範囲の枠の色を更新する。これによって、利用者に通信レートが上限値到達までにどの程度余裕があるか、視覚的にわかりやすく伝えることが出来る。
 
【0037】
  通信網3は、サーバ1とクライアント2とが通信できるものであれば任意で良い。通信網3は、有線でも無線でもかまわないし、3G網、イーサネット(登録商標)網、WMAX網などどんな通信網を利用してもかまわない。
 
【0038】
[動作の説明]
  次に本実施形態の動作を
図3、
図4、
図5、
図6のフローチャートを参照して説明する。
 
【0039】
  まず、
図3、
図4を参照して、サーバ側の動作を説明する。なお、
図3に示す処理と
図4に示す処理とは同時並行的に動作する。
 
【0040】
  図3を参照すると、サーバ1は、まず画面キャプチャ手段11によってサーバ側画面をキャプチャする(S1-4)。次に、転送画像生成手段12がROI範囲情報管理手段14を参照してROI範囲情報を確認し(S1-2)、ROI範囲内のみ高画質の転送画像データを生成する(S1-3)。次に、通信手段13によって生成した画像データをクライアントに送信する(S1-4)。これらの処理は、画面転送・遠隔操作システムを利用している間、周期的に(例えばフレーム周期毎に)繰り返す。
 
【0041】
  図4の処理も
図3の処理と同じく画面転送・遠隔操作システムを利用している間、周期的に繰り返す。まず、サーバ1の通信レート測定手段15は、通信手段13の通信レートが上限レートに到達しているか否かを判定する(S2-1)。上限レートに到達している場合には、S2-2,S2-3,S2-4,S2-5のフローに進み、上限レートに到達していない場合にはS2-6,S2-7,S2-8,S2-9のフローに進む。
 
【0042】
  上限レートに到達している場合、通信レート測定手段15はクライアント2に向けて上限到達通知を送信する(S2-2)。次に、通信レート測定手段15はROI範囲情報管理手段14へ上限到達を通知し、ROI範囲情報管理手段14はROI範囲を範囲縮小したものに更新してクライアントに通知する(S2-3)。また、ROI範囲情報管理手段14は、通信手段13経由でクライアント2からROI範囲情報の通知が来たか否かを監視する(S2-4)。そして、クライアント2からROI範囲情報の通知が来ると、ROI範囲情報管理手段14は、通知内容を解析し、ROI範囲の範囲縮小、および位置移動の情報であれば、通知された通りにROI範囲情報を更新する(S2-5)。他方、ROI範囲情報管理手段14は、ROI範囲のサイズ拡大の通知であれば、通知を無視し、ROI範囲情報は更新しない(S2-5)。
 
【0043】
  上限レートに到達していない場合、通信レート測定手段15は、通信手段13の通信レートが中間レートに到達しているか否かを判定する(S2-6)。もし通信レートが上限値の半分になった場合は、通信レート測定手段15は、その旨をクライアント2に通知する(S2-7)。また、ROI範囲情報管理手段14は、通信手段13経由でクライアント2からROI範囲情報の通知が来たか否かを監視している(S2-8)。そして、クライアント2からROI範囲情報の通知が来ると、ROI範囲情報管理手段14は、通知された通りにROI範囲情報を更新する(S2-9)。すなわち、通信レートの上限値に達していないため、ROI範囲情報管理手段14は、ROI範囲のサイズ拡大の通知も含め、全ての要求を受け付けてサーバ1側のROI範囲情報を更新する。
 
【0044】
  次に、
図5、
図6を参照して、クライアント側の動作を説明する。なお、
図5に示す処理と
図6に示す処理とは同時並行的に動作する。
 
【0045】
  図5を参照すると、クライアント2の通信手段22が転送画面を受信すると(S3-1)、画面表示手段21がその転送画面をディスプレイに表示する(S3-2)。続いて画面表示手段21は、ROI範囲情報制御手段24で保持されているROI範囲情報を参照してROI範囲の位置と枠の色を確認し、ディスプレイ上にROI範囲の枠を描画する(S3-3)。これらの処理は画面転送・遠隔操作システム利用時に周期的に繰り返す。
 
【0046】
  図6の処理も
図5の処理と同じく画面転送・遠隔操作システムを利用している間、周期的に繰り返す。クライアント2は、上限レート到達通知およびROI範囲縮小情報が通信手段22に到達したとき、および到達してから一定時間以内であれば、S4-2,S4-3,S4-4,S4-5のフローに進み、一定時間以内でなければ、S4-6,S4-7,S4-8,S4-9,S4-10のフローに進む。
 
【0047】
  上限レート到達通知およびROI範囲縮小情報が通信手段22に到達したときは、ROI範囲情報制御手段24は、到達したROI範囲縮小情報に従って、自手段で保持するROI範囲情報を更新する(S4-2)。また、ROI範囲情報制御手段24は、入力手段23からROI範囲を変更する通知が来るか否かを監視する(S4-3)。そして、入力手段23からROI範囲を変更する通知が来ると、ROI範囲情報制御手段24は、通知内容を解析し、ROI範囲の縮小と位置の変更の通知であれば、変更後のROI範囲の情報を通信手段22を介してサーバ1へ通知し(S4-4)、通知した通りに自手段24に保持するROI範囲情報を更新する(S4-5)。他方、ROI範囲情報制御手段24は、ROI範囲の拡大の通知であれば、その通知を無視し、サーバ1への通知および自手段24に保持するROI範囲情報の更新は行わない。
 
【0048】
  また、上限レート到達通知およびROI範囲縮小情報が通信手段22に到達した後の一定期間以外のときは、ROI範囲情報制御手段24は、サーバ1から上限レートの半分に到達した旨の通知が来たか否かを監視する(S4-6)。若し、そのような通知が来た場合、ROI範囲情報制御手段24は、自手段で保持するROI範囲情報中の枠の色を所定の色(例えば黄色)に変更する(S4-7)。また、ROI範囲情報制御手段24は、入力手段23からROI範囲を変更する通知が来たか否かを監視する(S4-8)。そして、入力手段23からROI範囲を変更する通知が来ると、ROI範囲情報制御手段24は、通知内容を解析し、変更後のROI範囲の情報を通信手段22を介してサーバ1へ通知し(S4-9)、サーバ1に通知した通りに自手段24に保持するROI範囲情報を更新する(S4-10)。なお、ROI範囲情報制御手段24は、ROI範囲の変更がROI範囲の縮小であり、ROI範囲情報中の枠の色が黄色になっている場合には、ROI範囲の縮小にあわせて、枠の色を黄色から通常色(例えば青色)に変更する。
 
【0049】
  図7は、クライアント2のディスプレイ画面の表示例を示す。サーバ1の画面に表示される文章を画面転送によりクライアント2に転送して、利用者がスクロールしながら文章を読んでいる状況を示す(左上の表示)。但し、スクロールで新たに出てきた点線内の選択領域(ROI範囲)だけ文字が読めれば良いので、レスポンスが良くなるように、ROI範囲の外は低画質にして通信量を抑えている(右上の表示)。情報量が増えて通信レートが上限値の半分に達すると、サーバ1から通知が来てROI範囲の枠の色が変わる(左下の表示)。さらに、通信レートが上限値に達すると、サーバ1がROI範囲を、強制的に一回り小さくする(右下の表示)。ROI範囲が縮小しても、最下行はROI範囲に含まれているため、スクロールで新たに出てくる文字は読むことが可能になっている。
 
【0050】
  図7の例はテキストを読むための画面転送を例にしたが、例えばクライアント2からサーバ1のテキスト作成アプリケーションを起動し、そのアプリケーションの文字入力画面を転送して文字入力する場合にも適用できる。この場合、新規に文字が入力される周辺だけを高画質で見ることができれば、作業に支障は生じない。さらに、テキスト入力以外の分野への適用も可能である。
 
【0051】
[効果の説明]
  次に、本実施形態の効果を説明する。
 
【0052】
  本実施形態によれば、ROI範囲全体の画質が突然低下することを防止することができる。その理由は、本実施形態のサーバ1は、通信レートが上限レートに達したとき、高画質で画面転送するROI範囲を強制的に範囲縮小することにより、サーバ1からの送信レートが上限レートを超えないようにしているためである。すなわち、特許文献1および特許文献2のようにROI範囲の画質を低下させることで、サーバ1の送信レートを調整していないためである。
 
【0053】
  また本実施形態によれば、レスポンスが悪化する事態を防ぐことが可能となる。その理由は、本実施形態のサーバ1は、通信レートが上限レートに達したとき、高画質で画面転送するROI範囲を強制的に範囲縮小することにより、サーバ1からの送信レートが上限レートを超えないようにしているためである。
 
【0054】
  また本実施形態によれば、ROI範囲を現状からどの程度まで拡大可能であるかの目安を利用者に提供することができる。その理由は、通信レートが上限レートに達してROI範囲を拡大できない状態のときはROI範囲の枠をその旨を示す例えば赤色で表示し、通信レートが中間レートに達したときはROI範囲の枠をその旨を示す例えば黄色で表示し、通信レートが中間レートに達していないときはROI範囲の枠をその旨を示す例えば青色で表示するためである。
 
【0055】
[他の実施形態]
  以上、本発明を幾つかの実施形態を挙げて説明したが、本発明は以上の実施形態にのみ限定されず、その他各種の付加変更が可能である。例えば、以下のような実施形態も本発明に含まれる。
 
【0056】
  前述の説明では、送信レートが上限値に達したときのみ自動的にROI範囲をサイズ縮小する自動調整を行う機能について記述したが、上限値に達していないときに、逆にROI範囲を自動的にサイズ拡大する実施形態(第3の実施形態)も可能である。この第3の実施形態では、利用者は入力手段23からROI範囲の中心位置を指定する。利用者が指定したROI範囲の中心位置は、ROI範囲情報制御手段24に保存されると共にサーバ1に通知され、ROI範囲情報管理手段14に保存される。ROI範囲情報管理手段14は、通信手段13の送信レートが上限値に達するか、あるいはサーバ側画面全体がROI範囲になるかどちらかまで、ROI範囲を上記中心位置から周囲に向かって拡大する。例えば、ROI範囲の中心を小さな矩形で指定する場合、その矩形の縦と横の長さを外側に向かって数ドットずつ長くしていき、画面端に到達した辺についてはそれ以上の拡大を停止させる。このように第3の実施形態では、利用者はROI範囲の位置のみ操作することになり、サイズは常に自動調整されることとなる。
 
【0057】
  また、サーバ側で画面が変化した更新差分領域のみをクライアントに転送する機能を持つ実施形態(第4の実施形態)も可能である。この第4の実施形態によれば、画面更新が少ないタイミングでは通信レートをあまり上げずにROI範囲を大きく指定することが可能になる。この第4の実施形態では、利用者がROI範囲の位置を移動あるいはそのサイズを変更したときに、ROI範囲として新たに追加された画面範囲の画像部分は、実際に更新されていなくても更新があったものとして扱って、クライアントに高画質で転送する。これにより、サーバ側画面の変化がない場合でも、利用者がROI範囲を徐々に移動したり、サイズを拡大すると、それに応じて高画質で見ることが出来る画面範囲が移動し、拡大していくことになる。
 
【0058】
  また、前述の説明では、上限レートは予め設定される固定値としたが、上限レートを可変値とする実施形態(第5の実施形態)も可能である。例えば、現在利用可能な帯域幅をサーバ1側で自動的に判定する機能を持たせ、この機能により判定された帯域幅を上限ルートに用いることができる。
 
【0059】
  また、前述の説明では、本発明を画面転送・遠隔操作システムに適用した実施形態を例に挙げたが、サーバなどの送信装置からクライアントなどの受信装置に画像を転送するシステムであれば、画面転送・遠隔操作システムに限らずに適用が可能である。
 
【0060】
  また、本発明の送信装置および受信装置は、コンピュータとそのプログラムとによって上記各実施形態の機能を実現することができる。プログラムは、半導体メモリや磁気ディスク等のコンピュータ可読記録媒体に記録されて提供され、コンピュータの立ち上げ時などにコンピュータに読み取られ、そのコンピュータの動作を制御することにより、そのコンピュータを前述した各実施の形態における送信装置、サーバ、受信装置、クライアントとして機能させる。